(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017237
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/06 20060101AFI20230131BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
B65H3/06 350A
B65H5/06 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121351
(22)【出願日】2021-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123375
【弁理士】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中山 彰
【テーマコード(参考)】
3F049
3F343
【Fターム(参考)】
3F049AA05
3F049DA12
3F049EA01
3F049EA24
3F049EA29
3F049LA02
3F049LA07
3F049LB03
3F343FA02
3F343FB02
3F343FB04
3F343FC19
3F343FC27
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343JA01
3F343KB19
3F343KB20
3F343LA04
3F343LA16
3F343LC25
3F343LD00
3F343LD10
3F343MA44
3F343MA54
3F343MB13
3F343MB14
3F343MC08
(57)【要約】
【課題】給紙動作時に、複数のローラを駆動して用紙の搬送を行うと、クラッチの巻線温度が上昇して巻線の温度が下がるまで搬送動作を停止させなければならない問題があった。
【解決手段】用紙搬送ローラ(11,12)と、搬送モータ31からの駆動力を用紙搬送ローラ(11,12)に伝達する給紙クラッチ32と、用紙搬送ローラ(11,12)よりも下流側に配置されたレジストローラ対15と、搬送モータ31からの駆動力をレジストローラ対15に伝達するレジストクラッチ33と、入口センサ25と、入口センサ25よりも下流側に配置された書出しセンサ26と、制御部51とを備え、制御部51は、搬送される記録用紙を、入口センサ25が検知してから書出しセンサ26が検知するまでの経過時間、又はプリンタ1の累積使用量のカウント数に基づいて給紙クラッチ32による駆動力の伝達を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイから取り出した記録媒体を用紙搬送路に沿って搬送する画像形成装置において、
前記用紙搬送路に配置され、前記記録媒体を搬送する第1の用紙搬送ローラと、
第1の駆動源からの駆動力を前記第1の用紙搬送ローラに伝達する第1の駆動伝達手段と、
前記用紙搬送路の、前記第1の用紙搬送ローラよりも用紙搬送方向における下流側に配置されて前記記録媒体を搬送する第2の用紙搬送ローラと、
第2の駆動源からの駆動力を前記第2の用紙搬送ローラに伝達する第2の駆動伝達手段と、
前記用紙搬送路に沿って、前記第1の用紙搬送ローラよりも用紙搬送方向における下流側に配置された第1の用紙検知手段と、
前記用紙搬送路に沿って、前記第1の用紙検知手段よりも用紙搬送方向における下流側に配置された第2の用紙検知手段と、
前記記録媒体の搬送を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、搬送される前記記録媒体を、前記第1の用紙検知手段が検知してから前記第2の用紙検知手段が検知するまでの経過時間を計測する時間計測部及び/又は装置の累積使用量をカウントするカウンタを備え、前記経過時間又は前記累積使用量のカウント数に基づいて前記第1の駆動伝達手段による駆動力の伝達を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の駆動源と前記第2の駆動源が同一の駆動源であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙搬送方向において、前記第1の用紙検知手段は前記第2の用紙搬送ローラの上流に位置し、前記第2の用紙検知手段は前記第2の用紙搬送ローラの下流に位置することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記時間計測部を備え、前記経過時間に基づいて前記第1の駆動伝達手段による駆動力の伝達を制御することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の駆動伝達手段は、前記制御部の指示に基づいてオン、オフし、オン時には前記駆動源の回転力を前記第1の用紙搬送ローラに伝達し、オフ時には前記駆動源の回転力を前記第1の用紙搬送ローラに伝達しない電磁クラッチであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記経過時間が所定の閾値時間未満の場合、前記第2の用紙検知手段が、搬送される前記記録媒体を検知するのに同期して前記第1の駆動伝達手段をオンからオフにするアシスト無し搬送モードとし、前記経過時間が所定の閾値時間以上となった場合、前記第2の用紙検知手段が、搬送される前記記録媒体を検知した以後も、前記第1の駆動伝達手段をオンとするアシスト有り搬送モードとすることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2の用紙検知手段が、搬送される前記記録媒体を検知するのに同期して前記第1の駆動伝達手段をオンからオフにするアシスト無し搬送モードにおいて、前記トレイの記録媒体の搬送を繰り返し、
前記経過時間が所定の閾値時間を超える用紙搬送回数が所定の閾値回数以上となった場合、前記第2の用紙検知手段が、搬送される前記記録媒体を検知した以後も、前記第1の駆動伝達手段をオンとするアシスト有り搬送モードとすることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2の用紙検知手段が、搬送される前記記録媒体を検知するのに同期して前記第1の駆動伝達手段をオンからオフにするアシスト無し搬送モードにおいて、前記トレイの記録媒体の搬送を繰り返し、
前記経過時間が所定の閾値時間を超える搬送回数をNとし、給紙回数をMとしたとき、
タイムアウト発生率=N/M×100
が所定値K1以上となった場合、前記第2の用紙検知手段が、搬送される前記記録媒体を検知した以後も、前記第1の駆動伝達手段をオンとするアシスト有り搬送モードとすることを特徴とする請求項5の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記カウンタを備え、前記累積使用量のカウント数に基づいて前記第1の駆動伝達手段による駆動力の伝達を制御することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1の駆動伝達手段は、前記制御部の指示に基づいてオン、オフし、オン時には前記駆動源の回転力を前記第1の用紙搬送ローラに伝達し、オフ時には前記駆動源の回転力を前記第1の用紙搬送ローラに伝達しない電磁クラッチであり、
前記制御部は、前記カウンタのカウント数が所定の閾値未満の場合、前記第2の用紙検知手段が、搬送される前記記録媒体を検知するのに同期して前記第1の駆動伝達手段をオンからオフにするアシスト無し搬送モードとし、前記カウンタのカウント数が前記所定の閾値以上となった場合、前記第2の用紙検知手段が、搬送される前記記録媒体を検知した後も、前記第1の駆動伝達手段をオンとするアシスト有り搬送モードとすることを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
装置の状態を表示する表示部を備え、
前記制御部は、アシスト有り搬送モードとなった場合、ローラのメンテナンスを促すメッセージを前記表示部に表示することを特徴とする請求項6、7、8、10の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
メンテナンス検出部を備え、
前記制御部は、前記記録媒体を搬送する用紙搬送ローラのメンテナンスが行われた可能性を確認すると、一旦、前記アシスト有り搬送モードから前記アシスト無し搬送モードに切り替えて用紙搬送ローラのメンテナンスが行われたか否かを判断する判断処理を実行し、前記メンテナンスが行われたと判断した場合には前記アシスト無し搬送モードを維持し、前記メンテナンスが行われていないと判断した場合には前記アシスト有り搬送モードに切り替えることを特徴とする請求項6、7、8、10の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記判断処理は、モード切り替え後の、前記経過時間が前記所定の閾値時間を超える搬送回数をNとし、給紙回数をMとしたとき、
タイムアウト発生率=N/M×100
が、所定値K2未満の場合に用紙搬送ローラのメンテナンスが行われたと判断し、所定値K2以上の場合には用紙搬送ローラのメンテナンスが行われていないと判断することを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記タイムアウト発生率は、前記アシスト有り搬送モードから前記アシスト無し搬送モードへの切り替え後、記録媒体10枚への印刷が行われて以降に算出することを特徴とする請求項13記載の画像形成装置。
【請求項15】
トレイから取り出した記録媒体を用紙搬送路に沿って搬送する画像形成装置において、
前記用紙搬送路に配置され、前記記録媒体を搬送する第1の用紙搬送ローラと、
第1の駆動源からの駆動力を前記第1の用紙搬送ローラに伝達する第1の駆動伝達手段と、
前記用紙搬送路の、前記第1の用紙搬送ローラよりも用紙搬送方向における下流側に配置されて前記記録媒体を搬送する第2の用紙搬送ローラと、
第2の駆動源からの駆動力を前記第2の用紙搬送ローラに伝達する第2の駆動伝達手段と、
前記用紙搬送路に沿って、前記第1の用紙搬送ローラよりも用紙搬送方向における下流側に配置された第1の用紙検知手段と、
前記用紙搬送路に沿って、前記第1の用紙検知手段よりも用紙搬送方向における下流側に配置された第2の用紙検知手段と、
操作者の指示を入力するパネルと、
前記記録媒体の搬送を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記パネルから入力された操作者の指示に基づいて前記第1の駆動伝達手段による駆動力の伝達を制御することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に関し、特に記録用紙の搬送に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、給紙ユニットによる給紙動作時に、単一のローラではなく、給紙ローラとレジストローラなどのように、搬送経路の異なる位置に配置された複数の搬送ローラによって同一の記録用紙を搬送し、搬送ローラとの間で発生する用紙すべりで発生するジャムの発生を抑制していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-84179号公報(第7,8頁、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ローラの汚れや摩耗が進行すると用紙すべりが発生して搬送能力が低下する場合がある。またローラの汚れや摩耗が進行していない状態、即ち用紙すべりが発生していないにも拘わらず、給紙ローラとレジストローラ等の複数のローラを駆動して用紙の搬送を行うと、給紙ローラに駆動力を伝達するクラッチのオン時間が長くなり、クラッチの巻線温度が上昇して巻線の温度定格を超えると、温度が下がるまで搬送動作を停止させなければならない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による画像形成装置は、トレイから取り出した記録媒体を用紙搬送路に沿って搬送する画像形成装置であって、
前記用紙搬送路に配置され、前記記録媒体を搬送する第1の用紙搬送ローラと、第1の駆動源からの駆動力を前記第1の用紙搬送ローラに伝達する第1の駆動伝達手段と、前記用紙搬送路の、前記第1の用紙搬送ローラよりも用紙搬送方向における下流側に配置されて前記記録媒体を搬送する第2の用紙搬送ローラと、第2の駆動源からの駆動力を前記第2の用紙搬送ローラに伝達する第2の駆動伝達手段と、前記用紙搬送路に沿って、前記第1の用紙搬送ローラよりも用紙搬送方向における下流側に配置された第1の用紙検知手段と、前記用紙搬送路に沿って、前記第1の用紙検知手段よりも用紙搬送方向における下流側に配置された第2の用紙検知手段と、前記記録媒体の搬送を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、搬送される前記記録媒体を、前記第1の用紙検知手段が検知してから前記第2の用紙検知手段が検知するまでの経過時間を計測する時間計測部及び/又は装置の累積使用量をカウントするカウンタを備え、前記経過時間又は前記累積使用量のカウント数に基づいて前記第1の駆動伝達手段による駆動力の伝達を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、用紙搬送能力を損なうことなく、用紙搬送ローラの駆動時間を必要最低限に抑制することが可能となるため、駆動力伝達手段の稼働時間を短縮でき、これに伴う熱の発生も抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明による実施の形態1のプリンタの要部構成を説明するための概略構成図である。
【
図2】本発明に係る、実施の形態1のプリンタの制御系の要部構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明による実施の形態1の、用紙搬送時の給紙動作を説明するためのタイムチャートであり、(a)は、アシスト無し搬送モード時のタイムチャートであり、(b)は、アシスト有り搬送モード時のタイムチャートである。
【
図4】本発明に基づく実施の形態2のプリンタの制御部が、用紙搬送モードの切り替えを実行するための処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】本発明による実施の形態3のプリンタの制御系の要部構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明による実施の形態3のプリンタの制御部が、用紙搬送モードの切り替えを実行するための処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明による実施の形態1のプリンタ1の要部構成を説明するための概略構成図である。
【0009】
同図に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1には、内部に、用紙搬送経路が形成され、その上流側から順に、用紙トレイ10、ホッピングローラ11、給紙ローラ12、分離ローラ13、搬送ローラ対14、レジストローラ対15、画像形成部16、画像定着器17、搬送ローラ対18、排出ローラ対19、及び排出用紙載置台20が配設されている。
【0010】
用紙トレイ10には、記録媒体としての記録用紙21が収容され、ホッピングローラ11は、用紙トレイ10に重ねて載置された記録用紙21の最上部の用紙を、順次搬送路の下流側に向かって排出する。給紙ローラ12及び分離ローラ13は、共働して、ホッピングローラ11によって、用紙トレイ10から排出される記録用紙21を、複数枚重なることなく一枚に捌いて用紙搬送路に沿って下流側に搬送する。このため、給紙ローラ12に接して従動する分離ローラ13は、図示しないトルク発生手段によって、反回転方向にトルクを発生する。尚、ホッピングローラ11と給紙ローラ12が第1の用紙搬送ローラに相当する。
【0011】
搬送ローラ対14は、回転駆動されて回転する駆動ローラと駆動ローラに圧接して従動するプレッシャーローラとならなり、記録用紙21を下流側に搬送する。第2の用紙搬送ローラとしてのレジストローラ対15は、同じく駆動ローラと駆動ローラに圧接して従動するプレッシャーローラとならなり、後述する所定のタイミングで回転して記録用紙21を下流側に搬送する。
【0012】
画像形成部16は、レジストローラ対15によって更に下流側に搬送される記録用紙21に対し、画像データに基づいて感光体ドラム16a上に形成したトナー像を転写ローラ16bによって転写すると共に、転写した記録用紙21を画像定着器17に搬送する。
【0013】
記録用紙21の搬送経路に沿って、レジストローラ対15の上流側に配置された第1の用紙検知手段としての入口センサ25は、搬送される記録用紙21の有無を検出し、その検出情報を後述する制御部51(
図2)に送信する。同じく記録用紙21の搬送経路に沿って、レジストローラ対15の下流側に配置された第2の用紙検知手段としての書出しセンサ26は、搬送される記録用紙21の有無を検出し、その検出情報を後述する制御部51(
図2)に送信する。
【0014】
画像定着器17は、加熱ローラ17aとこれに接して回転する加圧ローラ17bを備え、搬送されてくる記録用紙21に対して加熱及び加圧処理を施し、その記録用紙21に転写されたトナー像を定着して搬送方向下流側に排出する。搬送ローラ対18は、画像定着器17から送られてくる定着済みの記録用紙21を排出ローラ対19に搬送し、排出ローラ対19は、その印刷処理された記録用紙21を排出用紙載置台20に排出する。従って、上記した処理によって順次印刷された記録用紙21は、排出用紙載置台20に重ねて堆積する。
【0015】
プリンタ1のトップカバー42は、排出ローラ対19及び排出用紙載置台20を備え、ボトムフレーム41によって、回動軸45を回動中心として回動自在に保持されている。例えは、このトップカバー42を閉じた位置から矢印A方向に回動して開けることにより、プリンタ1の内部に配置された画像定着器17、画像形成部16、記録用紙の搬送系のメンテナンスが可能となる。また、トップカバー42の正面上部には、表示部を備えた操作パネル43が配置されている。
【0016】
第1及び第2の駆動源としての搬送モータ31は、第2の駆動伝達手段としてのレジストクラッチ33を含む回転伝達系を介してレジストローラ対15の駆動ローラを回転駆動し、第1の駆動伝達手段としての給紙クラッチ32を含む回転伝達系を介してホッピングローラ11及び給紙ローラ12を回転駆動し、更に回転伝達系を介して搬送ローラ対14の駆動ローラを回転駆動する。定着器モータ35は、それぞれ回転伝達系を介して画像定着器17の加圧ローラ17b、搬送ローラ対18、及び排出ローラ対19を回転駆動する。
【0017】
レジストクラッチ33は、搬送モータ31側の入力軸とレジストローラ対15側の出力軸を離接して回転を伝達する電磁クラッチであり、駆動コイルに電流を供給するオン時に両軸を結合して搬送モータ31の回転をレジストローラ対15に伝達し、オフ時に両軸を離間してレジストローラ対15の回転軸を自由状態とする。同様に、給紙クラッチ32は、駆動コイルに電流を供給するオン時に搬送モータ31の回転をホッピングローラ11及び給紙ローラ12に伝達し、オフ時に両軸を離間してホッピングローラ11及び給紙ローラ12の回転軸を自由状態とする。
【0018】
図2は、本発明に係る、プリンタ1の制御系の要部構成を示すブロック図である。
【0019】
同図中、制御部51は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、タイマ等によって構成され、上位装置52から画像データ及び制御コマンドを受信してプリンタ1全体をシーケンス制御し、印刷動作及び後述する用紙搬送モードに係る制御を行う。
【0020】
時間計測部51aは、搬送される記録用紙21の先端部が、入口センサ25を通過してから書込みセンサ26を通過するまでの経過時間Tsを計測し、カウンタとしてのドラムカウンタ51bは、印刷動作中に回転した感光体ドラム16aの回転数をカウントする。インターフェイス部53は、上位装置52ヘプリンタ情報を送信すると共に、上位装置52から入力したコマンドを解析し、上位装置52から受信したデータを処理して制御部51に送信する。
【0021】
画像形成制御部55は、画像データに基づいて、画像形成部16で行われる、感光体ドラム16aへの静電潜像及びトナー像の形成、及び転写ローラ16bによる記録用紙21へのトナー現像の転写を制御する。定着制御部56は、転写されたトナー像を記録用紙21に定着するために、画像定着器17の加熱ローラ17aに備えられた加熱ヒータを加熱駆動して加熱ローラ17aの表面温度を制御し、定着器モータ35(
図1)を介して加圧ローラ17b、搬送ローラ対18、及び排出ローラ対19の回転を駆動制御する。
【0022】
操作パネル制御部54は、制御部51からの指令に基づいて、操作パネル43の表示を制御し、更に操作パネル43からの入力データの入力情報を処理する。入口センサ25は、
図1に示すように、用紙搬送路に沿ってレジストローラ対15の上流側に配置されて搬送される記録用紙21の有無を検知し、レジストローラ対15の駆動タイミングを決めるための検知情報を制御部51に送信し、書出しセンサ26は、同じく用紙搬送路に沿ってレジストローラ対15の下流側に配置されて搬送される記録用紙21の有無を検知し、画像形成部16によるトナー像の形成タイミングを決めるための検知情報を制御部51に送信する。
【0023】
搬送モータ駆動回路57は、制御部51の指示によって所定のタイミングで記録用紙21を搬送したり停止させたりすべく、記録用紙21を搬送するための搬送モータ31を回転制御する。給紙クラッチ駆動回路58は、制御部51の指示によって給紙クラッチ32をオン・オフ制御し、レジストクラッチ駆動回路59は、制御部51の指示によってレジストクラッチ33をオン・オフ制御する。
【0024】
以上のように構成されたプリンタ1における基本的な印刷動作について、
図1、
図2を参照しながら説明する。
【0025】
先ず、用紙トレイ10内に複数枚重ねて置かれる記録用紙21は、搬送モータ31によって矢印方向に回転駆動されるホッピングローラ11によって最上部のものから順次繰り出され、給紙ローラ12及び分離ローラ13によって複数枚重なることなく一枚に捌かれ、搬送ローラ対14を経由して用紙搬送路に沿って下流側に搬送され、レジストローラ対15に当接する。このとき、給紙クラッチ32はオンに制御され、レジストクラッチ33はオフに制御されている。
【0026】
レジストローラ対15は、搬送される記録用紙21の先端部が、入口センサ25を通過してから所定時間経過した後にレジストクラッチ33がオンとなって矢印方向への回転を開始する。これにより記録用紙21は、停止状態のレジストローラ対15に、その先端部が一様に当接して斜行が矯正された状態で回転開始したレジストローラ対15よって更に搬送される。
【0027】
記録用紙21の先端部が、書出しセンサ26を通過すると、これに同期して画像形成部16による感光体ドラム16aへの静電潜像の形成が開始され、記録用紙21が感光体ドラム16aと転写ローラ16bとのニップ部を通過する段階で、感光体ドラム16aに形成されたトナー像が、転写ローラ16bによって記録用紙21の記録面に転写される。
【0028】
トナー像が転写された記録用紙21は、画像定着器17に搬送され、加熱ローラ17aと加圧ローラ17bとのニップ部を通過する過程で加熱及び加圧処理されて記録面に転写されたトナー像が定着する。画像定着器17から送り出された定着済みの記録用紙21は、搬送ローラ対18で更に搬送された後、排出ローラ対19に至り、排出ローラ対19によって排出用紙載置台20に排出され、一連の印刷処理が終了する。
【0029】
次に
図1、
図2を参照しながら、本発明による用紙搬送時の給紙動作について説明する。
【0030】
制御部51は、上位装置52より印刷指示を受信すると、搬送モータ駆動回路57を介して搬送モータ31を駆動し、且つ給紙クラッチ駆動回路58を介し給紙クラッチ32をオンにし、ホッピングローラ11及び給紙ローラ12に搬送モータ31の回転駆動力を伝達し、これらの各ローラを矢印方向に回転して記録用紙21の給紙及び搬送を開始する。
【0031】
ホッピングローラ11によって用紙トレイ10から引き出された記録用紙21は、給紙ローラ12及び分離ローラ13によって複数枚重なることなく一枚に捌かれ、搬送ローラ対14によって更に下流に搬送される。制御部51は、記録用紙21の先端部が入口センサ25を通過するのを感知すると、その後、記録用紙21の先端部がレジストローラ対15に突き当たり、更に斜行を矯正するための矯正時間が経過した後、レジストクラッチ駆動回路59を介してレジストクラッチ33をオンにしてレジストローラ対15に搬送モータ31の回転駆動力を伝達し、矢印方向に回転する。
【0032】
これにより、搬送が再開された記録用紙21は、その先端部が書出しセンサ26に至る。制御部51の時間計測部51aは、記録用紙21の先端部が、入口センサ25を通過してから書出しセンサ26に至るまでの経過時間Tsを計測するが、この経過時間Tsは、レジストローラ対15に記録用紙21の先端を突き当てる矯正時間と、搬送速度に応じた固定の時間となる。
【0033】
制御部51は、記録用紙21が書出しセンサ26に至ったのを感知すると、上位装置52から受信した画像データに基づき、画像形成制御部55を介して、感光体ドラム16aへの静電潜像及びトナー像の生成を開始し、レジストローラ対15から画像形成部16に送られてくる記録用紙21に生成したトナー像を転写し、画像定着器17に送出する。
【0034】
ここまで説明した記録用紙21の搬送動作において、制御部51は、経過時間Tsに応じて、次回の印刷指示における用紙搬送モードを、例えばプリンタ1の工場出荷時に設定される初期の用紙搬送モードに相当するアシスト無し搬送モードからアシスト有り搬送モードに切り替えて記録用紙21を搬送する。
【0035】
図3は、本発明による用紙搬送時の給紙動作を説明するためのタイムチャートであり、同図(a)は、初期の用紙搬送モードに相当するアシスト無し搬送モード時のタイムチャートであり、同図(b)は、アシスト有り搬送モード時のタイムチャートである。
【0036】
同図(a)を参照しながら、先ずアシスト無し搬送モードについて説明する。このモードでは、時刻t11で、給紙クラッチ32がオンになって記録用紙21の給紙及び搬送が開始され、記録用紙21の先端が、時刻t12で入口センサ25に検知され、レジストローラ対15に突き当たって斜行の矯正時間が経過した時刻t13で、レジストクラッチ33がオンになってレジストローラ対15が用紙搬送を開始する。
【0037】
時刻t12から経過時間Tsだけ経過後の時刻t14で、記録用紙21の先端が書出しセンサ26に検出されると、その直後の時刻t15で給紙クラッチ32がオフとなってホッピングローラ11及び給紙ローラ12がフリー状態となり、記録用紙21が書出しセンサ26を通過した時刻t17でレジストクラッチ33がオフとなってレジストローラ対15がフリー状態とする。尚、この時各搬送ローラと記録用紙21間ですべりが発生していなければ、ここでの経過時間Tsは、レジストローラ対15に記録用紙21の先端を突き当てる矯正時間と、搬送速度に応じた固定の経過時間Taとなる。
【0038】
このアシスト無し搬送モード時には、時刻t15以後、給紙ローラ12よる用紙搬送のアシストがない状態となる点が特徴であり、その分、給紙クラッチ32の稼働時間が短縮される。
【0039】
次に、
図3(b)を参照しながら、アシスト有り搬送モードについて説明する。このモードでは、時刻t21で給紙クラッチ32がオンになって記録用紙21の給紙及び搬送が開始され、記録用紙21の先端が、時刻t22で入口センサ25に検知され、レジストローラ対15に突き当たって斜行の矯正時間が経過した時刻t23で、レジストクラッチ33がオンになってレジストローラ対15が用紙搬送を開始する。
【0040】
時刻t22から経過時間Tsだけ経過後の時刻t24で、記録用紙21の先端が書出しセンサ26に検出されても、給紙クラッチ32はオンのままであり、記録用紙21が書出しセンサ26を通過した時刻t26で、レジストクラッチ33と共に給紙クラッチ32をオフにし、レジストローラ対15、ホッピングローラ11及び給紙ローラ12への駆動力の伝達を停止し、フリー状態とする。尚、アシスト無し搬送モード時と同様に、この時各搬送ローラと記録用紙21間ですべりが発生していなければ、ここでの経過時間Tsは、レジストローラ対15に記録用紙21の先端を突き当てる矯正時間と、搬送速度に応じた固定の経過時間Taとなる。
【0041】
このアシスト有り搬送モード時には、時刻t15以後も、給紙ローラ12よる用紙搬送のアシストが継続された状態となる点が特徴である。従って、アシスト無し搬送モード時では、アシスト有り搬送モード時に比べて、給紙クラッチ32の稼働時間(オン時間)が短縮時間W1だけ短縮される。
【0042】
次に、制御部51による用紙搬送モードの切り替えについて説明する。
プリンタ1は、例えば工場出荷時において、用紙搬送モードが、初期の用紙搬送モードであるアシスト無し搬送モードに設定されている。これは、プリンタ1の初期(使用されて間もない時期)には搬送ローラ(ここでは搬送ローラ対14、レジストローラ対15)の汚れや磨耗も軽微であるため、各搬送ローラと記録用紙21間ですべりが発生しないと想定されるためである。
【0043】
制御部51は、アシスト無し搬送モードに設定されたプリンタ1の印刷時に、記録用紙21の先端を、入口センサ25が検知してから書出しセンサ26が検知するまでの経過時間Tsを計測し、この経過時間Tsが、所定の第1の閾値時間T1未満(Ts<T1)の場合、搬送ローラ(ここでは搬送ローラ対14、レジストローラ対15)の汚れや磨耗が進行していない状態、即ち記録用紙21と各搬送ローラ間において発生する滑りが許容範囲内と判断し、次回の印刷指示における用紙搬送モードをアシスト無し搬送モードに設定し、この搬送モードを継続する。
【0044】
一方、経過時間Tsが、第1の閾値時間T1以上且つ第2の閾値時間T2未満(T1≦Ts<T2)の場合、制御部51は、搬送ローラ(ここでは搬送ローラ対14、レジストローラ対15)の汚れや磨耗が進行している状態、即ち記録用紙21と各搬送ローラ間において滑りが発生していると判断し、次回の印刷指示における用紙搬送モードを、初期の用紙搬送モードであるアシスト無し搬送モードからアシスト有り搬送モードに切り替え、更に操作者に対して、搬送ローラのメンテナンスを促すメッセージを、操作パネル制御部54を介して操作パネル43の表示部に表示する。
【0045】
従って、プリンタ1は、初期の用紙搬送モードであるアシスト無し搬送モードでの印刷において、用紙搬送に滑りが発生し始めると、アシスト有り搬送モードに切り替えて記録用紙21の搬送力を増加することによって滑りの発生を抑制すると共に、すでに搬送ローラのメンテナンスが必要な時期であることを操作者に知らせる。
【0046】
尚、アシスト有り搬送モード継続中に所定の枚数を連続で印刷する場合は、電磁クラッチである給紙クラッチ32の連続オンに伴う温度上昇を抑制するため、所定の時間印刷休止する間欠印刷としてもよい。
【0047】
更に、経過時間Tsが、第2の閾値時間T2以上(T2≦Ts)の場合、制御部51は、センサ検知のタイムアウトと判断して、給紙ジャムの発生を操作者に通知し、印刷動作を停止する。
【0048】
従って、プリンタ1は、各搬送ローラ(ここでは搬送ローラ対14、レジストローラ対15)の摩耗や汚れの進行具合に応じて、初期の用紙搬送モードであるアシスト無し搬送モードから、アシスト有り搬送モードに切り替え、更に印刷を停止して操作者にその状況を通知する。
【0049】
変形例1
この変形例1では、初期の用紙搬送モードであるアシスト無し搬送モードでの印刷を繰り返し、経過時間Tsが、第2の閾値時間T2以上(T2≦Ts)となるタイムアウトの発生回数Nが所定回数N1を超えた(N1<N)場合、アシスト有り搬送モードに切り替えるものである。
【0050】
変形例2
この変形例2では、初期の用紙搬送モードであるアシスト無し搬送モードでの印刷を繰り返し、給紙ジャムの発生率(タイムアウトの発生回数N÷給紙回数M×100)が、所定の値K1を超えたら、アシスト有り搬送モードに切り替えるものである。
【0051】
尚、本実施の形態では、レジストローラ対15がレジストクラッチ33を介して、またホッピングローラ11及び給紙ローラ12が給紙クラッチ32を介して、同一の駆動モータ31によって駆動される構成を示したが、これに限定されるものではなく、それぞれが別々の駆動モータによって駆動される構成としても良い。
【0052】
以上のように、本実施の形態1のプリンタ1によれば、初期の用紙搬送モードとしてアシスト無し搬送モードが設定され、用紙搬送での滑りの発生に応じてアシスト有り搬送モードにして用紙搬送力を増加するため、給紙クラッチ32のオン時間を必要最小限にしてその温度上昇を抑制すると共に、用紙搬送での滑りの発生、更にはジャム発生を抑制できる。
【0053】
実施の形態2.
図4は、本発明に基づく実施の形態2のプリンタの制御部が、用紙搬送モードの切り替えを実行するための処理の流れを示すフローチャートである。尚、本実施の形態のプリンタの構成は、
図1、
図2に示す実施の形態1のプリンタ1の要部構成の範囲においてこれと共通するため、必要に応じて
図1、
図2を参照する。
【0054】
ここでは制御部51が、ドラムカウンタ51bがカウントする、プリンタが使用開始されてからの感光体ドラム16aの総回転数Dfに基づいて、初期の用紙搬送モードであるアシスト無し搬送モードからアシスト有り搬送モードへの切り替えを判断する。
【0055】
即ち、
図4のフローチャートに示すように、制御部51は、プリンタが使用開始されてからの感光体ドラム16aの総回転数Dmをカウントし(ステップS101)、その総回転数Dmが所定の回転回数Df以上か否かを判定し(ステップS102)、Df未満の場合には、初期の用紙搬送モードであるアシスト無し搬送モードを継続し(ステップS102,No、ステップS104)、Df以上の場合には初期の用紙搬送モードからアシスト有り搬送モードに切り替える(ステップS102,Yes、ステップS103)。
【0056】
ここでは、プリンタの使用量に応じて進行し、且つ用紙搬送時の滑りの要因となる搬送ローラ(ここでは搬送ローラ対14、レジストローラ対15)の汚れや磨耗の進行度を、プリンタの使用量に比例する感光体ドラム16aの総回転数Dfに換算して監視し、その許容限度値として所定の回転回数Dfを予め設定するものである。
【0057】
尚、ここでは、プリンタが使用開始されてからの感光体ドラム16aの総回転数Dmに基づいて用紙搬送モードを切り替えたが、プリンタが使用開始されてからの記録用紙の印刷枚数に基づいて用紙搬送モードを切り替えてもよい。
【0058】
変形例1.
この変形例1では、制御部51が、操作パネル43から入力される操作者の指示に従って、初期の用紙搬送モードであるアシスト無し搬送モードからアシスト有り搬送モードへ切り替えるものである。
【0059】
即ち、操作者は、初期の用紙搬送モードであるアシスト無し搬送モードで行われる印刷時に、例えばジャム発生等の用紙搬送系の異変を察知した段階で、アシスト無し搬送モードからアシスト有り搬送モードへの切り替えを、操作パネル43に備えられた図示しない切り替えボタンを操作することによって指示するものである。
【0060】
以上のように、本実施の形態2のプリンタによれば、初期の用紙搬送モードとしてアシスト無し搬送モードが設定され、感光体ドラム16aの回転回数、或いは切替の必要を感じた操作者の指示に応じてアシスト有り搬送モードにして用紙搬送力を増加するため、給紙クラッチ32のオン時間を必要最小限にしてその温度上昇を抑制すると共に、用紙搬送での滑りの発生、更にはジャム発生を抑制できる。
【0061】
実施の形態3.
図5は、本発明による実施の形態3のプリンタの制御系の要部構成を示すブロック図であり、
図6は、本実施の形態3のプリンタの制御部が、用紙搬送モードの切り替えを実行するための処理の流れを示すフローチャートである。
【0062】
本実施の形態のプリンタの制御系の要部構成が、
図2に示す実施の形態1の制御系の要部構成と主に異なる点は、トップカバー42のオープンや、用紙トレイ10の脱着等、搬送ローラのメンテナンスがなされた可能性があるプリンタの状態変化を検出するメンテナンス検出部70が追加された点である。従って、本実施の形態のプリンタが、前記した実施の形態1のプリンタ1と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0063】
図6のフローチャートが示すここでの処理は、プリンタが、初期の用紙搬送モードであるアシスト無し搬送モードでの印刷を繰り返し、例えば、給紙ジャムの発生率(タイムアウトの発生回数N÷給紙回数M×100)が、所定の値K1を超えたらアシスト有り搬送モードに切り替える、前記した実施の形態1の変形例2.で説明した処理により、アシスト有り搬送モードに切り替えられた後の動作に関する。
【0064】
従って、
図5のフローチャートは、用紙搬送モードがアシスト有り搬送モードになった直後にスタートし、制御部51は、操作者が、アシスト有り搬送モードに切り替えられるタイミングで操作パネル43の表示部に表示される、搬送ローラ(ここでは搬送ローラ対14、レジストローラ対15)のメンテナンスを促すメッセージを確認して、メンテナンスを実行した可能性をチェックする(ステップS201)。
【0065】
ここでは、上記したように、メンテナンス検出部70からの情報を受けてトップカバー42のオープンの有無、用紙トレイ10の脱着の有無等を監視し、搬送ローラのメンテナンスが行われた可能性の有無を判断する。メンテナンスが実行された可能性がない場合、アシスト有り搬送モードを継続して監視を継続し(ステップS201、No及びステップS203)、メンテナンスが実行された可能性がある場合(ステップS201、Yes)、一旦、アシスト無し搬送モードに切り替える(ステップS202)。
【0066】
次に、実際に搬送ローラのメンテナンスが実行されたか否かを判断する。このため先ずステップS202でアシスト無し搬送モードに切り替えた後の感光体ドラム16aの経過ドラムカウンタ数Dmpをカウントし、この経過ドラムカウンタ数Dmpが、例えば記録用紙21の印刷枚数に換算して所定枚数(例えば10枚)に相当する経過基準カウンタ数Dpを超えたか否かを監視する(ステップS204)。
【0067】
経過ドラムカウンタ数Dmpが経過基準カウンタ数Dpを超えた場合(ステップS204、Yes)、即ちステップS202でアシスト無し搬送モードに切り替えた後の印刷枚数が所定枚数(例えば10枚)となった時点で、給紙ジャムの発生率(タイムアウトの発生回数N÷給紙回数M×100)が所定の値K2以下であった場合(ステップS205、Yes)、搬送ローラのメンテナンスが実行されたものと判断してアシスト無し搬送モードを継続し(ステップS206)、給紙ジャムの発生率が所定の値K1を超えていた場合(ステップS205、No)、搬送ローラのメンテナンスが実行されていないと判断してアシスト有り搬送モードに戻す(ステップS207)。
【0068】
以上のように、本実施の形態によるプリンタは、搬送ローラの汚れや摩耗による記録用紙の搬送滑りが発生して、用紙搬送モードがアシスト無しからアシスト有りに切り替わった後、ユーザによって搬送ローラのメンテナンスが実行された可能性がある場合、一旦用紙搬送モードをアシスト無し搬送モードに戻してメンテナンスの実行を確認し、実行されたと判断した場合にはアシスト無し搬送モードを継続し、実行されていないと判断した場合にアシスト有りのモードに戻す処理を行う。
【0069】
尚、ここでは、実施の形態1の変形例2.で説明した処理により、アシスト有り搬送モードに切り替えられる場合を想定したが、これに限定するものではなく、アシスト無し搬送モードからアシスト無し搬送モードに切り替える判定方法は問わない。
【0070】
また、実際に搬送ローラのメンテナンスが実行されたか否かの判断方法も上記方法に限定するものではなく、例えば、ステップS202でアシスト無し搬送モードに切り替えた後、所定枚数の印刷を実行する過程で、給紙ジャムが発生した数に基づいて判断してもよいなど、種々の方法をとることが可能である。
【0071】
以上のように、本実施の形態3によるプリンタによれば、アシスト無し搬送モードからアシスト有り搬送モードに切り替わった後、操作者が搬送ローラのメンテナンスを行うことで、自動的に初期の用紙搬送モードとすることができるので、プリンタのメンテナンスが容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
上記した実施形態では、モノクロプリンタに採用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複写機、ファクシミリ、MFP等の画像処理装置にも利用可能である。またモノクロプリンタについて説明したが、カラープリンタであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 プリンタ、 10 用紙トレイ、 11 ホッピングローラ、 12 給紙ローラ、 13 分離ローラ、 14 搬送ローラ対、 15 レジストローラ対、 16 画像形成部、 16a 感光体ドラム、 16b 転写ローラ、 17 画像定着器、 17a 加熱ローラ、 17b 加圧ローラ、 18 搬送ローラ対、 19 排出ローラ対、 20 排出用紙載置台、 21 記録用紙、 25 入口センサ、 26 書出しセンサ、 31 搬送モータ、 32 給紙クラッチ、 33 レジストクラッチ、 35 定着器モータ、 41 ボトムフレーム、 42 トップカバー、 43 操作パネル、 45 回動軸、 51 制御部、 51a 時間計測部、 51b ドラムカウンタ、 52 上位装置、 53 インターフェイス部、 54 操作パネル制御部、 55 画像形成制御部、 56 定着制御部、 57 搬送モータ駆動回路、 58 給紙クラッチ駆動回路、 59 レジストクラッチ駆動回路。