(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172372
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】データ出力処理方法、データ出力処理装置、データ出力処理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/38 20190101AFI20231129BHJP
G06Q 10/0635 20230101ALI20231129BHJP
G06F 16/332 20190101ALI20231129BHJP
G06F 16/335 20190101ALI20231129BHJP
【FI】
G06F16/38
G06Q10/06 326
G06F16/332
G06F16/335
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084112
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】512209689
【氏名又は名称】SOLIZE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】地主 亮
(72)【発明者】
【氏名】木村 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】井戸 伸彰
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B175DA01
5B175FB03
5B175GA01
5B175GB02
5B175HA01
5B175HA02
5B175HB03
5L049AA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】過去に記録された事例データベースから、ユーザーが入力した入力データに関連する情報を効率良く出力するためのデータ出力処理方法、装置及びシステムを提供する。
【解決手段】方法は、複数の文字列からなる入力データを受理する入力データ受理ステップ、該入力データから該タグデータベース中に含まれる検索用タグを抽出する検索用タグ抽出ステップ、該検索用タグと該タグ関連度データベース中に含まれる候補タグとの関連度を算出するタグ関連度算出ステップ、ユーザーに対して所定の関連度の条件を満たした該候補タグを属性毎に分けて提示する候補タグ提示ステップ、該候補タグから採用する採用タグをユーザーが選択した結果を受理する採用タグ受理ステップ、所定の計算式に従って事例データ毎のスコアを算出する事例データスコア算出ステップ及び所定のスコアの条件を満たした事例データに関する事例情報を出力する事例情報出力ステップ、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に記録された事例データベースから、ユーザーが入力した入力データに関連する情報を出力するデータ出力処理方法であって、
入力データ受理手段が、複数の文字列からなる入力データを受理する入力データ受理ステップ、
予め文字列であるタグと、そのタグの属する属性を関連付けて定義したタグデータベースを用い、検索用タグ抽出手段が、該入力データから該タグデータベース中に含まれる検索用タグを抽出する検索用タグ抽出ステップ、
タグ同士の関連度に係る関連度情報を定義したタグ関連度データベースを用い、タグ関連度算出手段が、該検索用タグと、該タグ関連度データベース中に含まれる候補タグとの関連度を算出するタグ関連度算出ステップ、
候補タグ提示手段が、ユーザーに対して所定の関連度の第1の条件を満たした該候補タグを属性毎に分けて提示する候補タグ提示ステップ、
採用タグ受理手段が、該候補タグから採用する採用タグをユーザーが選択した結果を受理する採用タグ受理ステップ、
事例データスコア算出手段が、該採用タグと、該事例データベースに含まれる事例データ中に含まれるタグとを照合し、所定の計算式に従って事例データ毎のスコアを算出する事例データスコア算出ステップ、
事例情報出力手段が、所定のスコアの条件を満たした事例データに関する事例情報を出力する事例情報出力ステップ
を有することを特徴とするデータ出力処理方法。
【請求項2】
前記候補タグ提示ステップにおいて、所定の関連度の第2の条件を満たした前記候補タグについて、予め自動選択された状態とし、
前記採用タグ受理ステップにおいて、採用タグ受理手段は、ユーザーに、自動選択された候補タグから選択を削除、又は新たな候補タグを選択させて受理する
請求項1に記載のデータ出力処理方法。
【請求項3】
前記入力データ受理ステップの前に、
事例データベース準備手段が、
事例データベースに含まれる前記タグを前記タグデータベースを用いて予め抽出し、
事例データ毎に、抽出されたタグを記録する
事例データベース準備ステップ
を有する請求項1又は2に記載のデータ出力処理方法。
【請求項4】
前記事例情報出力ステップにおいて、事例情報出力手段がユーザーに対して事例データを提示する構成であって、前記事例情報出力ステップの後に、
事例データ選択受理手段が、該事例データから採用する採用事例データをユーザーが選択した結果を受理する採用事例データ受理ステップ、
採用事例データ記録手段が、該採用事例データに係る情報を記録する採用事例データ記録ステップ、
採用事例データ出力手段が、記録された採用事例データに係る情報を呼び出し、出力する採用事例データ出力ステップ、
を有する請求項1又は2のいずれかに記載のデータ出力処理方法。
【請求項5】
事例データ要約手段が、各事例データの要約を生成する事例データ要約ステップを有し、
前記採用事例データ出力ステップにおいて、採用事例データ出力手段が、採用事例データの要約を出力する、
請求項4に記載のデータ出力処理方法。
【請求項6】
前記採用事例データ出力ステップの後に、
追記情報記録手段が、出力された採用事例データに関するユーザーが入力した追記情報を受理し、該追記情報を前記事例データベースに記録する追記情報記録ステップ
を有する請求項4に記載のデータ出力処理方法。
【請求項7】
前記採用タグ受理ステップにおいて、前記採用タグ受理手段が、前記採用タグと、当該採用タグに係る第1の重み付け値を合わせてユーザーから受理し、
前記事例データスコア算出ステップにおいて、前記事例データスコア算出手段が、該採用タグの該重み付け値を用い、所定の計算式に従って事例データ毎のスコアを算出する
請求項1又は2に記載のデータ出力処理方法。
【請求項8】
前記事例データスコア算出ステップにおいて、前記事例データスコア算出手段が、該採用タグの前記属性に応じた第2の重み付け値を用い、所定の計算式に従って事例データ毎のスコアを算出する
請求項1又は2に記載のデータ出力処理方法。
【請求項9】
前記タグ関連度算出ステップから前記事例情報出力ステップは繰り返し処理され、
前記採用タグ受理ステップにおいてユーザーが前記採用タグを選択すると、当該採用タグを更新された前記検索用タグとしてタグ関連度算出ステップを再び実行し、
候補タグ提示ステップにおいて更新された前記候補タグを提示する
請求項1又は2に記載のデータ出力処理方法。
【請求項10】
前記事例データベースに第1の観点に係る情報を格納すると共に、
観点データベースを備え、
該観点データベースには、該第1の観点に係る情報と、該第1の観点と対応関係にある第2の観点に係る情報とを対応づけて格納し、
前記入力データ受理ステップの前に、
第2観点記録手段が、該事例データベースに含まれる事例データ毎に、第1の観点に係る情報に基づいて、該観点データベースから第2の観点に係る情報を抽出し、その事例データに関連づけて記録する第2観点情報記録ステップ、
を有すると共に、
前記事例情報出力手段が、事例情報として前記第2の観点に係る情報を出力する
請求項1又は2に記載のデータ出力処理方法。
【請求項11】
過去に記録された事例データベースから、ユーザーが入力した入力データに関連する情報を出力するデータ出力処理装置であって、
複数の文字列からなる入力データを受理する入力データ受理手段と、
予め文字列であるタグと、そのタグの属する属性を関連付けて定義したタグデータベースと、
該入力データから該タグデータベース中に含まれる検索用タグを抽出する検索用タグ抽出手段と、
タグ同士の関連度に係る関連度情報を定義したタグ関連度データベースと、
該検索用タグと、該タグ関連度データベース中に含まれる候補タグとの関連度を算出するタグ関連度算出手段と、
ユーザーに対して所定の関連度の第1の条件を満たした該候補タグを属性毎に分けて提示する候補タグ提示手段と、
該候補タグから採用する採用タグをユーザーが選択した結果を受理する採用タグ受理手段と、
該採用タグと、該事例データベースに含まれる事例データ中に含まれるタグとを照合し、所定の計算式に従って事例データ毎のスコアを算出する事例データスコア算出手段と、
所定のスコアの条件を満たした事例データに関する事例情報を出力する事例情報出力手段と
を備えたことを特徴とするデータ出力処理装置。
【請求項12】
前記候補タグ提示手段が、所定の関連度の第2の条件を満たした前記候補タグについて、予め自動選択された状態とし、
前記採用タグ受理手段が、ユーザーに、自動選択された候補タグから選択を削除、又は新たな候補タグを選択させて受理する
請求項11に記載のデータ出力処理装置。
【請求項13】
前記データ出力処理装置に、事例データベース準備手段を更に備え、
事例データベースに含まれる前記タグを前記タグデータベースを用いて予め抽出し、
事例データ毎に、抽出されたタグを記録する
請求項11又は12に記載のデータ出力処理装置。
【請求項14】
前記事例データベースに第1の観点に係る情報を格納すると共に、
観点データベースを備え、
該観点データベースには、該第1の観点に係る情報と、該第1の観点と対応関係にある第2の観点に係る情報とを対応づけて格納し、
前記データ出力処理装置に、
該事例データベースに含まれる事例データ毎に、第1の観点に係る情報に基づいて、該観点データベースから第2の観点に係る情報を抽出し、その事例データに関連づけて記録する第2観点情報記録手段を備えると共に、
前記事例情報出力手段が、事例情報として前記第2の観点に係る情報を出力する
請求項11又は12に記載のデータ出力処理装置。
【請求項15】
過去に記録された事例データベースから、ユーザーが入力した入力データに関連する情報を出力するデータ出力処理システムであって、サーバ装置と、該サーバ装置とネットワーク回線により通信可能な端末装置とから構成され、
複数の文字列からなる入力データを受理する端末装置の入力データ受理手段と、
予め文字列であるタグと、そのタグの属する属性を関連付けて定義したサーバ装置上のタグデータベースと、
該入力データをネットワーク回線を介して受信し、該タグデータベース中に含まれる検索用タグを抽出するサーバ装置の検索用タグ抽出手段と、
タグ同士の関連度に係る関連度情報を定義したサーバ装置上のタグ関連度データベースと、
該検索用タグと、該タグ関連度データベース中に含まれる候補タグとの関連度を算出するサーバ装置のタグ関連度算出手段と、
ユーザーに対して所定の関連度の第1の条件を満たした該候補タグをサーバ装置から受信し、属性毎に分けて提示する端末装置の候補タグ提示手段と、
該候補タグから採用する採用タグをユーザーが選択した結果を受理する端末装置の採用タグ受理手段と、
該採用タグを端末装置から受信し、該採用タグと該事例データベースに含まれる事例データ中に含まれるタグとを照合し、所定の計算式に従って事例データ毎のスコアを算出するサーバ装置の事例データスコア算出手段と、
所定のスコアの条件を満たした事例データに関する事例情報を端末装置に送信するサーバ装置の事例情報出力手段と、
送信された事例データに関する情報を表示する端末装置の表示手段と
を備えたことを特徴とするデータ出力処理システム。
【請求項16】
前記候補タグ提示手段が、所定の関連度の第2の条件を満たした前記候補タグについて、予め自動選択された状態とし、
前記採用タグ受理手段が、ユーザーに、自動選択された候補タグから選択を削除、又は新たな候補タグを選択させて受理する
請求項15に記載のデータ出力処理システム。
【請求項17】
前記サーバ装置に、事例データベース準備手段を更に備え、
事例データベースに含まれる前記タグを前記タグデータベースを用いて予め抽出し、
事例データ毎に、抽出されたタグを記録する
請求項15又は16に記載のデータ出力処理システム。
【請求項18】
前記事例データベースに第1の観点に係る情報を格納すると共に、
観点データベースを前記サーバ装置又はサーバ装置と異なるサーバ装置と異なる第2のサーバ装置に備え、
該観点データベースには、該第1の観点に係る情報と、該第1の観点と対応関係にある第2の観点に係る情報とを対応づけて格納し、
前記サーバ装置に、
該事例データベースに含まれる事例データ毎に、第1の観点に係る情報に基づいて、該観点データベースから第2の観点に係る情報を抽出し、その事例データに関連づけて記録する第2観点情報記録手段を備えると共に、
前記事例情報出力手段が、事例情報として前記第2の観点に係る情報を出力する
請求項15又は16に記載のデータ出力処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過去に記録された事例データベースから、ユーザーが入力した入力データに関連する情報を出力するデータ出力処理方法、及びその装置、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
データベース上で、過去に記録された様々な事例を検索して活用するための様々なシステムが知られている。例えば、土木建設工事の現場における危険予知(KY)活動で用いるために、公的機関で蓄積された災害事例の情報や、建設会社毎に記録された事例、経験などの情報がデータベース化されている。このようなデータベースを、日常の作業の中で監督者が抽出し作業員に周知することによって災害発生の防止に活かされている。
【0003】
特許文献1は、別の作業における作業情報を、ユーザが容易に効率良く参照可能な作業情報の参照システムを開示しており、上位階層から下位階層へと紐付けられた複数の階層と、公知一般情報、企業・団体の固有情報、過去の災害事例、想定されるリスク事例などからユーザが階層を指定することによって、階層に紐付けられたデータが表示されるシステムを提案している。
【0004】
特許文献2は、危険予知活動(KY活動)の活動データが集積されるデータベースを用い、主携帯端末が、分析用データ領域から、工事作業の作業内容に応じて自動で選択される危険事項及び対策事項の読み出し、並びにデータ集積領域に対して書き込み及び読み出しをし、管理用端末装置は、KY活動の全データに対し、編集用のアクセスをする危険予知活動の分析支援システムを提案するものである。
【0005】
特許文献3に係る現地KY支援システムは、過去の災害事例に関する災害情報を提供するシステムであって、提供対象となる災害情報を記憶する災害事例データベースと、関連語の学習に用いると共に建設に係る学習用情報を記憶する学習用データベースと、学習用情報から機械学習によって互いに関連する関連語のセットを特定する関連語特定部と、キーワードを入力する検索用情報入力部と、入力されたキーワードの関連語とされた関連キーワードを特定する関連キーワード特定部と、特定された関連キーワードを用いて、災害事例データベースに記憶された災害情報の検索を行って提供する災害情報を抽出する検索部と、抽出された災害情報を出力する出力部とを備えている。
【0006】
労働災害の事例に限らず、過去の事例データベースとしては、過去のニュースや裁判例、カスタマーサポートにおける対応履歴など、後日に参考とするために検索を行う場面は多様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-26645号公報
【特許文献2】特開2021-101376号公報
【特許文献3】特許第6945461号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術では、事例データベースから効率良く事例を抽出する方法が提案されているが、ユーザーの入力したデータに臨機応変に対応し、適切な検索キーワードを想起させるようなシステムが提供されているとは言い難い。
【0009】
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、過去に記録された事例データベースから、ユーザーが入力した入力データに関連する情報を効率良く出力するためのデータ出力処理方法、データ出力処理装置、データ出力処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するため、本発明は次のようなデータ出力処理方法を提供する。
すなわち、本発明の第1の実施態様によると、過去に記録された事例データベースから、ユーザーが入力した入力データに関連する情報を出力するデータ出力処理方法であって、入力データ受理手段が、複数の文字列からなる入力データを受理する入力データ受理ステップ、予め文字列であるタグと、そのタグの属する属性を関連付けて定義したタグデータベースを用い、検索用タグ抽出手段が、入力データからタグデータベース中に含まれる検索用タグを抽出する検索用タグ抽出ステップ、タグ同士の関連度に係る関連度情報を定義したタグ関連度データベースを用い、タグ関連度算出手段が、検索用タグと、タグ関連度データベース中に含まれる候補タグとの関連度を算出するタグ関連度算出ステップ、候補タグ提示手段が、ユーザーに対して所定の関連度の第1の条件を満たした候補タグを属性毎に分けて提示する候補タグ提示ステップ、採用タグ受理手段が、候補タグから採用する採用タグをユーザーが選択した結果を受理する採用タグ受理ステップ、事例データスコア算出手段が、採用タグと、事例データベースに含まれる事例データ中に含まれるタグとを照合し、所定の計算式に従って事例データ毎のスコアを算出する事例データスコア算出ステップ、事例情報出力手段が、所定のスコアの条件を満たした事例データに関する事例情報を出力する事例情報出力ステップを有するデータ出力処理方法を提供する。
【0011】
本発明の第2の実施態様によると、上記の候補タグ提示ステップにおいて、所定の関連度の第2の条件を満たした上記の候補タグについて、予め自動選択された状態とし、採用タグ受理ステップにおいて、採用タグ受理手段は、ユーザーに、自動選択された候補タグから選択を削除、又は新たな候補タグを選択させて受理する構成でもよい。
【0012】
本発明の第3の実施態様によると、上記の入力データ受理ステップの前に、事例データベース準備手段が、事例データベースに含まれるタグをタグデータベースを用いて予め抽出し、事例データ毎に、抽出されたタグを記録する事例データベース準備ステップを有する構成でもよい。
【0013】
本発明の第4の実施態様によると、上記の事例情報出力ステップにおいて、事例情報出力手段がユーザーに対して事例データを提示する構成であって、事例情報出力ステップの後に、事例データ選択受理手段が、事例データから採用する採用事例データをユーザーが選択した結果を受理する採用事例データ受理ステップ、採用事例データ記録手段が、採用事例データに係る情報を記録する採用事例データ記録ステップ、採用事例データ出力手段が、記録された採用事例データに係る情報を呼び出し、出力する採用事例データ出力ステップ、を有する構成でもよい。
【0014】
本発明の第5の実施態様によると、事例データ要約手段が、各事例データの要約を生成する事例データ要約ステップを有し、上記の採用事例データ出力ステップにおいて、採用事例データ出力手段が、採用事例データの要約を出力する構成でもよい。
【0015】
本発明の第6の実施態様によると、上記の採用事例データ出力ステップの後に、追記情報記録手段が、出力された採用事例データに関するユーザーが入力した追記情報を受理し、追記情報を上記の事例データベースに記録する追記情報記録ステップを有する構成でもよい。
【0016】
本発明の第7の実施態様によると、上記の採用タグ受理ステップにおいて、採用タグ受理手段が、採用タグと、当該採用タグに係る第1の重み付け値を合わせてユーザーから受理し、上記の事例データスコア算出ステップにおいて、事例データスコア算出手段が、採用タグの重み付け値を用い、所定の計算式に従って事例データ毎のスコアを算出する構成でもよい。
【0017】
本発明の第8の実施態様によると、上記の事例データスコア算出ステップにおいて、事例データスコア算出手段が、採用タグの上記の属性に応じた第2の重み付け値を用い、所定の計算式に従って事例データ毎のスコアを算出してもよい。
【0018】
本発明の第9の実施態様によると、上記のタグ関連度算出ステップから事例情報出力ステップは繰り返し処理され、採用タグ受理ステップにおいてユーザーが採用タグを選択すると、当該採用タグを更新された検索用タグとしてタグ関連度算出ステップを再び実行し、候補タグ提示ステップにおいて更新された候補タグを提示する構成でもよい。
【0019】
本発明のデータ出力処理方法として、工事作業の災害事例を記録した事例データベースから、作業内容に関連する入力データに関連する災害事例情報を出力するものであって、上記のタグの属する属性は、作業内容、作業環境、発生事象、作業員、作業対象、作業対象、器具・工具、重機・機械を属性として少なくとも含むこともできる。
【0020】
本発明の第10の実施態様によると、上記の事例データベースに第1の観点に係る情報を格納すると共に、観点データベースを備え、観点データベースには、第1の観点に係る情報と、第1の観点と対応関係にある第2の観点に係る情報とを対応づけて格納し、上記の入力データ受理ステップの前に、第2観点記録手段が、事例データベースに含まれる事例データ毎に、第1の観点に係る情報に基づいて、観点データベースから第2の観点に係る情報を抽出し、その事例データに関連づけて記録する第2観点情報記録ステップを有すると共に、事例情報出力手段が、事例情報として第2の観点に係る情報を出力する構成でもよい。
【0021】
上記において、第1の観点が作業内容に関連する危険性であり、第2の観点がその危険性に関連する安全指示事項であってもよい。
【0022】
また、本発明は次のようなデータ出力処理装置を提供することもできる。
すなわち、本発明の第11の実施態様によると、過去に記録された事例データベースから、ユーザーが入力した入力データに関連する情報を出力するデータ出力処理装置であって、複数の文字列からなる入力データを受理する入力データ受理手段と、予め文字列であるタグと、そのタグの属する属性を関連付けて定義したタグデータベースと、入力データからタグデータベース中に含まれる検索用タグを抽出する検索用タグ抽出手段と、タグ同士の関連度に係る関連度情報を定義したタグ関連度データベースと、検索用タグと、タグ関連度データベース中に含まれる候補タグとの関連度を算出するタグ関連度算出手段と、ユーザーに対して所定の関連度の第1の条件を満たした候補タグを属性毎に分けて提示する候補タグ提示手段と、候補タグから採用する採用タグをユーザーが選択した結果を受理する採用タグ受理手段と、採用タグと、事例データベースに含まれる事例データ中に含まれるタグとを照合し、所定の計算式に従って事例データ毎のスコアを算出する事例データスコア算出手段と、所定のスコアの条件を満たした事例データに関する事例情報を出力する事例情報出力手段とを備えたことを特徴とするデータ出力処理装置を提供することができる。
【0023】
本発明の第12の実施態様によると、上記の候補タグ提示手段が、所定の関連度の第2の条件を満たした上記の候補タグについて、予め自動選択された状態とし、上記の採用タグ受理手段が、ユーザーに、自動選択された候補タグから選択を削除、又は新たな候補タグを選択させて受理するデータ出力処理装置を提供してもよい。
【0024】
本発明の第13の実施態様によると、上記のデータ出力処理装置に、事例データベース準備手段を更に備え、事例データベースに含まれるタグをタグデータベースを用いて予め抽出し、事例データ毎に、抽出されたタグを記録するデータ出力処理装置を提供してもよい。
【0025】
本発明のデータ出力処理方法として、工事作業の災害事例を記録した事例データベースから、作業内容に関連する入力データに関連する災害事例情報を出力するものであって、上記のタグの属する属性は、作業内容、作業環境、発生事象、作業員、作業対象、作業対象、器具・工具、重機・機械を属性として少なくとも含むこともできる。
【0026】
本発明の第14の実施態様によると、事例データベースに第1の観点に係る情報を格納すると共に、観点データベースを備え、観点データベースには、第1の観点に係る情報と、第1の観点と対応関係にある第2の観点に係る情報とを対応づけて格納し、上記の事例情報出力処理装置に、事例データベースに含まれる事例データ毎に、第1の観点に係る情報に基づいて、観点データベースから第2の観点に係る情報を抽出し、その事例データに関連づけて記録する第2観点情報記録手段を備えると共に、事例情報出力手段が、事例情報として第2の観点に係る情報を出力する構成でもよい。
【0027】
上記において、第1の観点が作業内容に関連する危険性であり、第2の観点がその危険性に関連する安全指示事項であってもよい。
【0028】
また、本発明は次のようなデータ出力処理システムを提供することもできる。
すなわち、本発明の第15の実施態様によると、過去に記録された事例データベースから、ユーザーが入力した入力データに関連する情報を出力するデータ出力処理システムであって、サーバ装置と、サーバ装置とネットワーク回線により通信可能な端末装置とから構成される。
そして、複数の文字列からなる入力データを受理する端末装置の入力データ受理手段と、予め文字列であるタグと、そのタグの属する属性を関連付けて定義したサーバ装置上のタグデータベースと、入力データをネットワーク回線を介して受信し、タグデータベース中に含まれる検索用タグを抽出するサーバ装置の検索用タグ抽出手段と、タグ同士の関連度に係る関連度情報を定義したサーバ装置上のタグ関連度データベースと、検索用タグと、タグ関連度データベース中に含まれる候補タグとの関連度を算出するサーバ装置のタグ関連度算出手段と、ユーザーに対して所定の関連度の第1の条件を満たした候補タグをサーバ装置から受信し、属性毎に分けて提示する端末装置の候補タグ提示手段と、候補タグから採用する採用タグをユーザーが選択した結果を受理する端末装置の採用タグ受理手段と、採用タグを端末装置から受信し、採用タグと事例データベースに含まれる事例データ中に含まれるタグとを照合し、所定の計算式に従って事例データ毎のスコアを算出するサーバ装置の事例データスコア算出手段と、所定のスコアの条件を満たした事例データに関する事例情報を端末装置に送信するサーバ装置の事例情報出力手段と、送信された事例データに関する情報を表示する端末装置の表示手段とを備えたデータ出力処理システムを提供することができる。
【0029】
本発明の第16の実施態様によると、候補タグ提示手段が、所定の関連度の第2の条件を満たした上記の候補タグについて、予め自動選択された状態とし、上記の採用タグ受理手段が、ユーザーに、自動選択された候補タグから選択を削除、又は新たな候補タグを選択させて受理するデータ出力処理システムを提供してもよい。
【0030】
本発明の第17の実施態様によると、上記のサーバ装置に、事例データベース準備手段を更に備え、事例データベースに含まれるタグをタグデータベースを用いて予め抽出し、事例データ毎に、抽出されたタグを記録するデータ出力処理システムを提供してもよい。
【0031】
本発明のデータ出力処理システムが、工事作業の災害事例を記録した事例データベースから、作業内容に関連する入力データに関連する災害事例情報を出力するものであって、上記のタグの属する属性は、作業内容、作業環境、発生事象、作業員、作業対象、作業対象、器具・工具、重機・機械を属性として少なくとも含むこともできる。
【0032】
本発明の第18の実施態様によると、上記の事例データベースに第1の観点に係る情報を格納すると共に、観点データベースを上記のサーバ装置又はサーバ装置と異なるサーバ装置と異なる第2のサーバ装置に備え、観点データベースには、第1の観点に係る情報と、第1の観点と対応関係にある第2の観点に係る情報とを対応づけて格納し、上記のサーバ装置に、事例データベースに含まれる事例データ毎に、第1の観点に係る情報に基づいて、観点データベースから第2の観点に係る情報を抽出し、その事例データに関連づけて記録する第2観点情報記録手段を備えると共に、上記の事例情報出力手段が、事例情報として上記の第2の観点に係る情報を出力することもできる。
【0033】
上記において、第1の観点が作業内容に関連する危険性であり、第2の観点がその危険性に関連する安全指示事項であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明におけるデータ出力処理装置の全体図である。
【
図2】本発明に係るデータ出力処理方法のフローチャートである。
【
図3】本発明に係るデータ出力処理方法の別実施例1である。
【
図4】本発明に係るデータ出力処理方法の別実施例2である。
【
図5】本発明に係るデータ出力処理方法の別実施例3である。
【
図6】本発明に係るデータ出力処理方法の別実施例4である。
【
図7】本発明に係るデータ出力処理方法の別実施例5である。
【
図8】本発明に係るデータ出力処理方法の別実施例6である。
【
図9】ユーザーの入力時の画面例を示す説明図である。
【
図10】候補タグの提示時の画面例を示す説明図である。
【
図11】事例データ選択時の画面例を示す説明図である。
【
図12】追記情報記録時の画面例を示す説明図である。
【
図13】本発明におけるデータ出力処理システムの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。本発明は以下の実施例に限定されず請求項記載の範囲で適宜実施することができる。
図1は、本発明におけるデータ出力処理装置(1)の全体図である。本装置(1)は公知のパーソナルコンピュータやサーバ装置により実施することができ、その構成は周知であるから説明を省略する。
【0036】
本装置(1)のCPU(10)には本発明を実施するための各処理部と、ハードディスクやメモリなどの外部記憶装置に、格納したいくつかのデータベースを備える。
また、本発明は、データ出力処理装置(1)と共に、その処理方法として提供することもできる。
図2は、本発明に係るデータ出力処理方法のフローチャートである。また、データ処理方法の別実施例として
図3ないし
図9を挙げる。
【0037】
本発明は、過去に記録された事例データベース(21)から、ユーザーが入力した入力データに関連する情報を出力するデータ出力処理方法であって、CPU(10)の入力データ受理部(100)が、複数の文字列からなる入力データを受理する。(入力データ受理ステップ:S10)
図10は、ユーザーの入力時の画面例を示す説明図であり、クエリ入力欄(30)に、ユーザーが入力データをキーボード等から入力し、その入力データに関連した情報が出力される。
【0038】
入力データの例として図示では「配管工 配管埋設作業 振動ローラー 強風 台風」など、作業に関係するキーワードを入力している。本実施例は、土木建設工事における災害事例を出力することを実施例として主として説明するが、本発明の対象はこれに限定されない。
また、キーワードは上記のように単語の羅列でもよいし、1つまたは複数の文章であってもよい。文章の場合、例えば「雨天での足場解体作業後にトラックで足場材を運搬する」などのように入力することもできる。
【0039】
次に、検索用タグ抽出部(101)が、入力データからタグデータベース(22)中に含まれる検索用タグを抽出する。(検索用タグ抽出ステップ:S11)
タグデータベース(22)は、予め文字列であるタグと、そのタグの属する属性を関連付けて定義したものであり、例えば、以下のようなデータ構造である。
【0040】
【表1】
すなわち、検索用のタグと、そのタグについて予め定義される属性を関連付けて格納している。
【0041】
検索用タグ抽出部(101)の抽出方法は周知の自然言語処理方法を適用することができるが、単純に文字列を比較して一致するものを抽出してもよいし、入力データを形態素解析し、形態素単位で照合してもよい。さらに、タグの見出し語と、それに同義語を合わせて格納しておき、同義語と一致したものについても当該見出し語のタグを抽出するようにしてもよい。
【0042】
本処理によって、クエリ入力欄(30)に「配管工 配管埋設作業 振動ローラー 強風 台風」が入力されると、その複数の文字列から、格納されたタグに一致するものが抽出される。例えば「配管工」「配管埋設」「振動ローラー」「強風」「台風」が抽出されるとする。
【0043】
次に、タグ同士の関連度に係る関連度情報を定義したタグ関連度データベース(23)を用い、タグ関連度算出部(102)が、上記の検索用タグと、タグ関連度データベース(23)中に含まれる候補タグとの関連度を算出する。(タグ関連度算出ステップ:S12)
関連度は例えば、
【0044】
【0045】
このように、配管工と下位概念のガス配管工は高い関連度である0.8、配管工と工種は異なるものの同じ工事現場における作業員である土工は関連度0.4の関連タグ、というように定義される。
タグ関連度算出部(102)はタグ関連度データベース(23)に格納された関連度を組み合わせたり、所定の重みをさらに乗じて関連度を算出することができる。なお、本発明では格納された関連度の数値そのものを用いて関連度を決定することも算出に含める。
【0046】
次に、候補タグ提示部(103)が、ユーザーに対して所定の関連度の第1の条件を満たした候補タグを属性毎に分けて提示する。(候補タグ提示ステップ:S13)
図9のタグ候補欄(31)に示すように、入力データに関連する候補タグ(32)が表示される。本実施例ではボタン状にタグ候補が羅列されて表示する。
候補タグ(32)の表示順は、属性毎に分けて表示してもよいし、タグデータベース(22)に重要度を合わせて格納して重要度順にしてもよいし、単純に五十音順でもよい。属性毎に分ける場合は、表形式として、以下のように表示することもできる。
【0047】
【0048】
タグ候補欄(31)の中から、ユーザーは事例データの抽出に用いたい候補タグ(32)を選択することができる。
図10の実施例では「台風」(32a)、「強風」(32c)、「土工」(32d)を選択した状態を示している。選択されたタグは太枠で表示されている。
【0049】
上記属性では、タグについて1種類の属性が定義されているが、1つのタグについて複数の属性が定義されてもよい。本発明において属性の定義は任意であり、属性を細分化した上で関連する属性を複数定義してもよい。
【0050】
また、タグデータベース(22)において属性を、大属性と小属性の2段階で定義してもよい。
具体的には、作業内容・作業環境・発生事象などの事柄に関する小属性の上位概念として「コト」と呼ぶ大属性、作業員などの人物に関する小属性の上位概念として「ヒト」と呼ぶ大属性、作業場所・作業対象・器具/工具・重機/機械などの場所や物に関する小属性の上位概念として「モノ」と呼ぶ大属性に分類する。この時のデータ構造は以下のようになる。
【0051】
【0052】
このように大属性、小属性とを用いる場合、上記の候補タグ提示ステップ(S13)において、候補タグ提示部(103)が、大属性又は小属性のいずれか、又は両方で提示を行うことができる。
大属性及び小属性を共に候補タグ(32)の表示する場合は次のように表示することもできる。
【0053】
【0054】
候補タグを選択する時、上記のようにタグを1つ1つ選択することも出来るが、小属性や大属性を選択(例えばクリックする)操作により、それに含まれる全ての候補タグの選択、解除が出来るようにしてもよい。
【0055】
本発明のタグを用いた抽出処理方法は上記のような属性という概念を用い、タグを簡便に加除できることに主な特徴がある。
すなわち、ユーザーが入力した入力データから、まずタグデータベース(22)で検索用タグを抽出し、その検索用タグと関連性の高い候補タグを抽出しユーザーに提示する。
そうすると、ユーザーが自由な形式でデータを入力しても、検索用のタグの推薦を受けてその中からさらに採用するタグを選択することができる。上記のように、配管工と入力していても、上位の概念である土工をタグとして選択したり、特に台風や強風に関連する情報を得たい場合にはこれを選択することで、当初に入力した入力データからやや離れた情報であっても適切に抽出することができるようになる。
従来のようにキーワードで検索する場合、キーワードが多岐に亘ってしまい、抽出が散漫になったり、検索効率が悪くなる問題があるが、本発明によればタグを介することで検索効率、検索精度の向上に寄与するものである。
【0056】
選択された採用タグは、採用タグ受理部(104)が受理する。(採用タグ受理ステップ:S14)
次に、事例データスコア算出部(105)が、採用タグと、事例データベース(21)に含まれる事例データ中に含まれるタグとを照合し、所定の計算式に従って事例データ毎のスコアを算出する。(事例データスコア算出ステップ:S15)
【0057】
本ステップ(S15)でも、再びタグを導入して抽出に用いる。事例データベース(21)において公知のインデックス技術を用いて、採用タグと一致する文字列を抽出することもできるが、基本的には
図3に示すように事例データベース準備ステップ(S20)を実行して、事例データベース準備部(110)が、事例データベース(21)に含まれるタグをタグデータベース(22)を用いて予め抽出し、事例データ毎に、抽出されたタグを記録しておくことが好ましい。
【0058】
事例データベース(21)は、例えば、過去の災害事例のテキストデータや写真などが含まれるファイルであり、このファイルと共に、抽出されたタグを対応付けて格納する。
そうすると、事例データスコア算出部(105)は、タグが一致する数や、そのタグに定義された重みに従って、採用タグと事例データとの一致の度合いをスコアとして算出する。
【0059】
スコアの算出方法について、さらに説明すると、各事例データに含まれるタグの出現回数を合わせて格納し、採用タグと一致するタグの出現回数が多い事例データはスコアを高くする。複数の採用データがある場合には、その数の総和順にスコアリングすることもできる。また、タグに重みがある場合は、それぞれの出現回数に重みを乗じて、スコアを算出することもできる。
【0060】
図10の例で言えば、「台風」「強風」「土工」の採用タグと一致する事例データが抽出され、事例情報出力部(106)によってこれらを含むファイル(33a)(33b)(33c)が事例データ表示欄(33)に表示される。(事例情報出力ステップ:S16)
事例データ表示欄(33)にはさらに各ファイルの下に、その事例データに対応付けられたタグ(34a)(34b)(34c)が表示される。ここでタグの表示順も出現回数や重みによって並べることができる。
【0061】
これによって、ユーザーは出力された事例データに含まれるタグを一目で把握することができる。ここで抽出すべき事項と異なるタグが多い場合には、採用タグが不適切であったことのフィードバックとなり、ユーザーは再びタグ候補欄(31)から採用タグを再選択することができる。採用タグを再選択すると、再び事例データスコア算出ステップ(S15)、事例情報出力ステップ(S16)が実行され、新しい採用タグに応じた事例データが表示される。
【0062】
別実施例として、上記の候補タグ提示ステップ(S13)において、所定の関連度の第2の条件を満たした候補タグについて、予め自動選択された状態とし、採用タグ受理ステップにおいて、採用タグ受理手段は、ユーザーに、自動選択された候補タグから選択を削除、又は新たな候補タグを選択させて受理する構成でもよい。
【0063】
すなわち、タグ関連度算出ステップ(102)がタグ関連度データベース(23)を用いて上記の検索用タグと、タグ関連度データベース(23)中に含まれる候補タグとの関連度を算出する際に、候補タグとして提示する閾値を第1の条件とすると、その中で関連度が更に高い閾値を超えるもの(第2の条件)については、先に採用タグとして自動選択された状態とすることもできる。
これにより、ユーザーはさらに簡便に採用タグを選択することができる。
【0064】
さらに、
図8に示すように、タグ関連度算出ステップ(S12)から事例情報出力ステップ(S16)を繰り返し処理し、採用タグ受理ステップ(S14)においてユーザーが採用タグを選択すると、当該採用タグを更新された検索用タグとしてタグ関連度算出ステップ(S12)を再び実行し、候補タグ提示ステップ(S13)において更新された候補タグを提示する構成でもよい。
【0065】
本構成によれば、採用タグを選択しなおすたびにタグ関連度算出ステップ(S12)に戻り(LP)、候補タグの提示、採用タグの受理、事例データスコア算出、事例情報出力の各ステップが繰り返され、随時に事例データの提示を受けることができる。
【0066】
事例情報出力ステップ(S16)についていくつかの別実施例を説明する。
第1に、上記のようにユーザーに対して事例データを提示する構成であって、
図4に示すように、事例情報出力ステップ(S16)の後に、事例データ選択受理部(107)が、事例データから採用する採用事例データをユーザーが選択した結果を受理する採用事例データ受理ステップ(S17)、採用事例データ記録部(108)が、採用事例データに係る情報を記録する採用事例データ記録ステップ(S18)、採用事例データ出力部(109)が、記録された採用事例データに係る情報を呼び出し、出力する採用事例データ出力ステップ(S19)、を有する。
【0067】
具体的には、
図11の事例データ選択時の画面例のように、事例データ表示欄(33)からマウスのクリックなどで採用する事例データを選択する。画面は災害事例A(40a)と災害事例C(40b)が太枠で選択されたことを示す。
採用された事例データは図示しない外部記憶装置などに採用事例データ記録することができ、例えば作業現場などで再び呼び出して画面表示することもできる。
【0068】
第2に、事例情報出力ステップ(S16)では、必ずしも事例データそのものを出力する必要はない。例えば、
図11に示すように、事例データとして要約だけを表示する構成でもよい。要約を表示するために、CPU(10)に事例データ要約部(111)を備え、
図5及び
図6に示すように、各事例データの要約を生成する事例データ要約ステップ(S30)(S31)を任意の時点で実行することができる。なお、テキストファイルから要約テキストを生成する際には、公知の任意の技術を用いることができる。
【0069】
例えば、
図5の例では事例データベース(21)に事例データを格納し、事例データベース準備ステップ(S20)に続いて事例データ要約ステップ(S30)を実行しておく。これにより、事例情報出力(S16)時には、すぐに要約だけを出力することもできる。
【0070】
また、
図6の例では事例データベース(21)に事例データを格納し、事例データベース準備ステップ(S20)に続いて事例データ要約ステップ(S31)を実行しておく。そして、ユーザーから採用事例データを受理してから採用事例データ出力ステップ(S19)の際に、採用事例データそのものではなく、要約を表示することができる。
図11はこのような画面例を示している。
【0071】
採用事例データ画面(41)(42)には、事例データに含まれる代表写真(事前に定義しておくことができる)(410)(420)と、それぞれの要約文(411)(412)を一覧形式で表示する。さらにこれらの採用事例データ画面(41)(42)をクリックすることで、事例データ全文を表示するようにしてもよい。
【0072】
第3に、採用事例データ出力ステップ(S19)の後に、追記情報記録部(112)が、出力された採用事例データに関するユーザーが入力した追記情報を受理し、追記情報を上記の事例データベースに記録する追記情報記録ステップ(S40)を有する構成でもよい。
図12は追記情報記録時の画面例を示す説明図である。上記の採用事例データ画面(41)を選択すると、更に追記情報を記録する画面に遷移し、メモとして「予想される危険」「安全指示」「メモ」など、ユーザーが記入しておくべき追記情報を記録できるようにする。
これによって、災害事例を参照するだけでなく、その事例に基づいてユーザーの経験に基づく新たな情報を付加することができる。
【0073】
さらに、追記情報記録ステップ(S40)で追記した情報について、タグデータベース(22)に基づき情報と関連するタグを抽出して合わせて格納し、次の検索時には、検索用タグと追記情報のタグとの関連度も算出して事例データを出力することもできる。
【0074】
本発明のさらなる実施態様によると、採用タグ受理ステップ(S14)において、採用タグ受理部(104)が、採用タグと、当該採用タグに係る第1の重み付け値を合わせてユーザーから受理することもできる。具体的には、
図10に示すタグ候補欄(31)からの採用タグの選択時に、候補タグ(32)の中で特に重要と思われるものをダブルクリックして選択すると、その採用タグについては相対的に重要な重み付けを行ったと処理する。
【0075】
この場合、事例データスコア算出部(105)は、例えば2倍の重み付け値としてスコアリングを行ってもよいし、あるいはその採用タグを必須条件とする場合は最大値の重み付けとして算出してもよい。
もちろん、上記のように「重要」とそれ以外の2段階ではなく、ユーザーが重みを何段階かに分けて設定できるようにしてもよい。
【0076】
ユーザーが設定した重み付けの他、事例データスコア算出部(105)は採用タグの属性に応じた第2の重み付け値を用いてもよい。例えば、作業内容は重み0.8、作業環境は0.5、発生事象は0.9、作業員は0.3、作業対象は0.6、重機・機械は0.3などのように属性に応じた重み付けを行い、これをスコア算出の際に乗じて算出することもできる。
【0077】
本発明の事例データは、上記のように工事作業の災害事例を記録した事例データベースを例示している。すなわち、作業内容に関連する入力データに関連する災害事例情報を出力するものであって、上記のタグの属する属性は、作業内容、作業環境、発生事象、作業員、作業対象、器具・工具、重機・機械を属性として少なくとも含むものである。
【0078】
なお、本発明で取り扱う事例データは、労働災害の事例に限らず、過去のニュースや裁判例、カスタマーサポートにおける対応履歴など、時系列上の前に記録されたデータを、後になって検索対象とするデータのいずれにも適用することができる。
【0079】
(事例情報出力処理システムの構成)
本発明の別実施例として、サーバ装置と、該サーバ装置とネットワーク回線により通信可能な端末装置とから構成される事例情報出力処理システムとして提供することもできる。
図13は本システム(6)の構成図である。
図示されるように、本システム(6)は、サーバ装置(8)と、サーバ装置(8)とネットワーク回線(9)により通信可能な端末装置(7)とから構成される。
【0080】
本システム(6)は、上記事例情報出力処理装置(1)の機能を端末装置(7)とサーバ装置(8)に分離したものと考えることができ、各処理部の作用は同一であるので詳しい説明は省略するが、端末装置(7)には、入力データ受理部(100)と採用タグ受理部(104)を備え、さらに事例データ選択受理部(107)を備えてもよい。
【0081】
端末装置(7)にはキーボードやマウス、タッチパネルなど公知の入力部(71)と画面表示を行う表示部(72)、ネットワーク回線(9)と通信を行うネットワークアダプタ(73)を備える。例えば入力データ受理部(100)が入力部(71)から入力データを受理すると、ネットワークアダプタ(73)を回してサーバ装置(8)に入力データを送信し、その後はサーバ装置(8)において処理され、その結果が再びネットワークアダプタ(73)を回して端末装置(7)における処理に続く。このような処理方法は周知であるので、以後では端末装置(7)とサーバ装置(8)の間の通信については説明を省略する。
【0082】
サーバ装置(8)には検索用タグ抽出部(101)、タグ関連度算出部(102)、候補タグ提示部(103)、事例データスコア算出部(105)、事例情報出力部(106)を備える。また、事例データベース準備部(110)、採用事例データ記録部(108)、採用事例データ出力部(109)、事例データ要約部(111)、追記情報記録部(112)を追加で備えてもよい。
サーバ装置(8)の外部記憶装置には、事例データベース(21)、タグデータベース(22)、タグ関連度データベース(23)を備える。
【0083】
このような事例情報出力処理システムとすることで、工事現場などにおいてタブレット型端末を用いて大容量の事例データベースにアクセスすることができる。また、サーバー装置(8)には他の事例データベースから随時新しい事例データを取り込み、その事例データベース準備処理もバックグラウンドで処理することができる。
【0084】
(第2の観点に係る情報を出力する構成)
本発明は、上記事例データの出力の際に、さらに事例データに関連した情報を出力することもできる。すなわち、事例データで出力されるのは、災害事例に関する過去の事例であるが、これには上述したように「コト」「ヒト」「モノ」などの属性に係る情報が提示される。一方、そのような災害事例に対してどのような注意が必要であるかについては、事例データベース中に含んでおかなければ提示することができない。
【0085】
そこで、別実施例として、観点データベースを備えることができる。観点データベースには、複数の異なる観点から定義される情報が対応づけて格納される。例えば、第1の観点として作業内容に対して予想される危険、第2の観点として、予想される危険に対応するための安全指示事項を格納する。一例を次に示す。
【0086】
【0087】
本実施例における観点データベースは、元々、様々な作業事例とその中で生じる危険、又はすでに生じた危険、さらにその危険に関連する安全指示事項を含んだデータである。これを公知の言語処理方法によって、又は人手によって、作業内容と予想される危険、安全指示事項とに分類して定義する。
予想される危険と安全指示事項は、上記のように形態素解析等により、文章から単語を抽出して格納している。
【0088】
そして、事例データベース中の事例データについても、予め第1の観点、すなわち予想される危険に関する文章又は単語を抽出し、文章の場合は形態素解析等により単語に分割しておく。例えば、事例データとして「重機のブームを回転させた時に、建物にブームが衝突した」という事例が含まれていれば「重機 ブーム 回転 建物 衝突」という第1の観点の単語が抽出できる。
【0089】
その上で、事例情報出力処理装置(1)の第2観点記録部(図示せず)の処理により、第1の観点(予想される危険)に基づいて、観点データベースから第2の観点の文章又は単語を抽出し、各事例データに記録する。すなわち「重機のブームを回転させた時に、建物にブームが衝突した」に対して「旋回時旋回方向を確認する」(方向 旋回 確認)という安全指示事項の情報が付加される。
このように、ある事例に関して別の観点から情報を付加して提示することが可能となる。
【0090】
第2観点記録部が抽出するときに、事例データ中の第1の観点における単語と、観点データベースの第1の観点における単語との一致数又は一致率など所定の判定方法によって複数の第2の観点に係る情報を抽出することができる。例えば、一致数が上位10個の安全指示事項を抽出し、事例情報出力部(106)が、事例情報として安全指示事項の文章を表示することもできる。
【0091】
さらに、抽出されたものを全て表示するのではなく、10個の中からランダムで抽出し、毎回同じ注意がされないようにすることで、作業者が慣れないようにしてもよい。
【0092】
事例情報出力部(106)は安全指示事項だけでなく、予想される危険についても同時に表示してもよい。この場合、事例データにおける事例と、予想される危険の内容が同じような事例であるかをユーザーが確認することができる。
【0093】
表示された予想される危険又は安全指示事項について、ユーザーが選択できるようにすると共に、選択した事項を記憶するようにしてもよい。抽出された災害事例から、予想される危険又は安全指示事項を作業前に予め確認しておき、選択及び記憶しておくことにより、作業直前に呼び出して画面表示することもできる。
【0094】
このような別実施例に関しても事例情報出力処理装置に替えて、サーバ装置において処理を実行してもよい。また、その場合には観点データベースは別のサーバ装置に格納し、ネットワーク回線を介して読み出すようにしてもよい。
【0095】
上記実施例では、第1の観点として予想される危険、第2の観点を安全指示事項としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、観点データベースにおいて第1の観点として使用する機械や工具、第2の観点としてそのサポート窓口の連絡先、などを格納し、事例データベースに出現する機械や工具の情報に対して、サポート窓口の連絡先を自動的に付加するなど、異なる観点の情報を組み合わせる技術として用いることができる。
【符号の説明】
【0096】
1 データ出力処理装置
10 CPU
100 入力データ受理部
101 検索用タグ抽出部
102 タグ関連度算出部
103 候補タグ提示部
104 採用タグ受理部
105 事例データスコア算出部
106 事例情報出力部
107 事例データ選択受理部
108 採用事例データ記録部
109 採用事例データ出力部
110 事例データベース準備部
111 事例データ要約部
112 追記情報記録部
21 事例データベース
22 タグデータベース
23 タグ関連度データベース