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  • 特開-温水装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172379
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】温水装置
(51)【国際特許分類】
   F23L 17/14 20060101AFI20231129BHJP
   F23J 13/04 20060101ALI20231129BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20231129BHJP
【FI】
F23L17/14 R
F23L17/14 D
F23L17/14 E
F23L17/14 J
F23J13/04 A
F24H9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084123
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】河内 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】山口 和城
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎之介
【テーマコード(参考)】
3K070
3L036
【Fターム(参考)】
3K070CA05
3K070CA11
3K070CA31
3K070CA36
3L036AA04
3L036AA12
3L036AA46
(57)【要約】
【課題】排ガスの温度低下に起因して発生する凝縮水が熱交換部上に流れ落ちるなどの不具合を適切に解消することが可能な温水装置を提供する。
【解決手段】上面側に排気ダクト6が接続され、かつ熱交換部2の上側に位置する上壁部30を有する排気集合筒部3を備えている、温水装置WHであって、上壁部30の下面側に重ねられた断熱材4と、主板部50aを有する断熱材用取付け部材5と、をさらに備えており、主板部50aの第1の開口部31の下方には、それよりも小径の第2の開口部52が設けられ、かつその周辺部は、排気ダクト6内の凝縮水が第1の開口部31よりも下方に流れたときに、この凝縮水を受けてから断熱材4の配置領域に導く凝縮水受け部55とされ、断熱材4は、凝縮水受け部55から断熱材4に導かれた凝縮水を吸水保持可能である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱用気体から熱回収を行なうための熱交換部と、
上面側に排気ダクトが接続され、かつ前記熱交換部の上側に位置する上壁部を有しているとともに、この上壁部には、前記熱交換部を通過した加熱用気体を排ガスとして前記排気ダクト内に導く第1の開口部が設けられている排気集合筒部と、
を備えている、温水装置であって、
前記排気集合筒部のうち、少なくとも前記上壁部の下面側に重ねられた断熱材と、
この断熱材の固定保持が図られるように前記上壁部に前記断熱材を介して対向する主板部を有する断熱材用取付け部材と、
をさらに備えており、
前記主板部のうち、前記第1の開口部の下方には、前記第1の開口部よりも小径の第2の開口部が設けられ、かつこの第2の開口部の周辺部は、前記排気ダクト内において発生した凝縮水が前記第1の開口部よりも下方に流れたときに、この凝縮水を受けてから前記断熱材の配置領域に導くことが可能な凝縮水受け部とされており、
前記断熱材は、前記凝縮水受け部から前記断熱材に導かれた凝縮水を吸水保持可能であることを特徴とする、温水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温水装置であって、
前記第2の開口部は、内周縁部に上向き起立状のバーリング部が形成されているバーリング孔である、温水装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の温水装置であって、
前記排気集合筒部は、前記上壁部の外周縁部に上端部が繋がった周側壁部を有しており、
前記断熱材は、前記上壁部の下面側に加えて、前記周側壁部の内側に重ねられた追加領域を備えており、かつこの追加領域においても前記凝縮水を吸水保持させることが可能とされている、温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置などの温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温水装置としては、たとえば特許文献1~3に記載のものがある。
これらの文献に記載された温水装置は、バーナにより発生された燃焼ガスから熱回収を行なう熱交換部と、この熱交換部の上側に位置し、かつ排気ダクトが上面側に接続される排気集合筒部(熱交換部などを囲むケースの上部)とを備えている。排気集合筒部の上壁部には、排ガス通過用の開口部が設けられており、熱交換部を上向きに通過して熱回収を完了した燃焼ガスは、排ガスとして、前記開口部から排気ダクト内に導かれる。
【0003】
このような構成の温水装置においては、排ガスが排気ダクト内を進行する途中で温度低下をきたし、排ガスに含まれている水蒸気が凝縮して凝縮水が発生する場合がある。このような現象は、温水装置が屋外に設置されて冬季に使用される場合には、一層顕著となり、凝縮水の発生量は多くなる。一方、前記凝縮水が、排気集合筒部内から熱交換部やバーナ上に流れ落ちたのでは、それらの箇所の腐食や故障を生じる虞がある。
【0004】
そこで、特許文献2においては、排気集合筒部の上壁部に設けられている排ガス通過用の開口部をバーリング孔状に形成し、この開口部から熱交換部に凝縮水が流れ落ちることを阻止している。ただし、このような構成によれば、排気集合筒部の上壁部上に凝縮水が溜まるため、これを解消する手段として、排気ダクトの下部には、凝縮水流出用の孔部が設けられ、この孔部にパイプが接続されている。
一方、特許文献3においては、排気ダクトを接続するために排気集合筒部の上壁部に設けられている筒状部の内側に、凝縮水を受けるための有底のリング状の受け部材が設けられている。また、この受け部材には、この受け部材に受けられた凝縮水を排気ダクトの外部に導いて排出するためのパイプが設けられている。
【0005】
しかしながら、前記従来技術(特許文献2,3に記載された手段)においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地がある。
【0006】
第1に、排気ダクト内において発生した凝縮水を排気ダクトの外部に排出させているため、この外部に排出される凝縮水が、仮に、温水装置の外面部に触れるように流れると、この部分が腐食し易くなる虞がある。また、凝縮水が電気部品に掛かると故障の原因となる。したがって、排気ダクトの外部に排出される凝縮水によって温水装置がダメージを受けないように留意する必要があり、凝縮水の処理に苦慮し、またそのための構成が煩雑となる場合がある。
第2に、温水装置が冬季に使用されるような場合、排気ダクトのみならず、排気集合筒部も外気の作用によって冷えた結果、排気集合筒部内おいて排ガス中の水蒸気が凝縮し、凝縮水が発生する場合がある。このような凝縮水は、そのまま熱交換部やバーナ上に流れ落ちる虞がある。これに対し、前記従来技術においては、そのようなことを解消することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-208344号公報
【特許文献2】特許第3007805号公報
【特許文献3】特開2012-77965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、排ガスの温度低下に起因して発生する凝縮水が熱交換部上に流れ落ちるなどの不具合を適切に解消することが可能な温水装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明により提供される温水装置は、加熱用気体から熱回収を行なうための熱交換部と、上面側に排気ダクトが接続され、かつ前記熱交換部の上側に位置する上壁部を有しているとともに、この上壁部には、前記熱交換部を通過した加熱用気体を排ガスとして前記排気ダクト内に導く第1の開口部が設けられている排気集合筒部と、を備えている、温水装置であって、前記排気集合筒部のうち、少なくとも前記上壁部の下面側に重ねられた断熱材と、この断熱材の固定保持が図られるように前記上壁部に前記断熱材を介して対向する主板部を有する断熱材用取付け部材と、をさらに備えており、前記主板部のうち、前記第1の開口部の下方には、前記第1の開口部よりも小径の第2の開口部が設けられ、かつこの第2の開口部の周辺部は、前記排気ダクト内において発生した凝縮水が前記第1の開口部よりも下方に流れたときに、この凝縮水を受けてから前記断熱材の配置領域に導くことが可能な凝縮水受け部とされており、前記断熱材は、前記凝縮水受け部から前記断熱材に導かれた凝縮水を吸水保持可能であることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、排気ダクト内において凝縮水が発生し、この凝縮水が排ガス通過用の第1の開口部からその下方に流れると、この凝縮水は、断熱材用取付け部材に設けられている凝縮水受け部により受けられてから断熱材の配置領域に導かれて、断熱材に吸水保持される。このため、凝縮水が断熱材よりも下方の位置に流れ落ちないようにし、または、仮に流れ落ちたとしてもごく少量とすることができる。したがって、たとえば熱交換部上に多くの凝縮水が流れ落ちるといった現象を生じないようにし、熱交換部の保護などを適切に図ることが可能である。また、断熱材に吸水保持された凝縮水は、その後に蒸発させることが可能であり、とくに断熱材が排ガスの熱を受けることにより凝縮水の蒸発は促進されるため、断熱材の吸水保持状態が即座に飽和状態となることも適切に回避可能である。
第2に、前記したように本発明においては、特許文献2,3とは異なり、凝縮水を排気ダクトの外部に排出させる方式を採用していない。このため、排気ダクトの外部に排出された凝縮水が温水装置に触れてその部分が腐食し易くなるなどの不具合を生じないようにするための処理・仕様に苦慮することを適切に解消することが可能である。
第3に、排気集合筒部の少なくとも上壁部の下面側には、断熱材の主板部が重ねられてこの部分の断熱が図られているため、排気集合筒部が外気の作用により冷えたとしても、上壁部の下面側においては凝縮水が発生することは防止または抑制される。したがって、排気集合筒部の内面部に多くの凝縮水が発生し、これが熱交換部に向けて多く流れ落ちていくといった不具合も生じないようにすることが可能である。
第4に、凝縮水を断熱材に導く役割を果たす凝縮水受け部は、断熱材用取付け部材を用いて構成されているため、その構成は合理的であり、部品点数を少なくする上で好ましい。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記第2の開口部は、内周縁部に上向き起立状のバーリング部が形成されているバーリング孔である。
【0013】
このような構成によれば、凝縮水が、排ガス通過用の第1の開口部から第2の開口部の
周辺部である凝縮水受け部上に流れた際に、この凝縮水受け部上から第2の開口部内に凝縮水が流れ落ちることをバーリング部によって適切に防ぐことができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記排気集合筒部は、前記上壁部の外周縁部に上端部が繋がった周側壁部を有しており、前記断熱材は、前記上壁部の下面側に加えて、前記周側壁部の内側に重ねられた追加領域を備えており、かつこの追加領域においても前記凝縮水を吸水保持させることが可能とされている。
【0015】
このような構成によれば、断熱材を利用した排気集合筒部の断熱面積を大きくとることができるため、排気集合筒部の内面側において発生する凝縮水の量を少なくすることが可能である。また、断熱材全体のボリュームが大きくなる分だけ、断熱材による凝縮水の吸水保持量を多くすることができる。これは、断熱材によって吸水保持できなかった凝縮水が、排気集合筒部の下方に流れていくことを適切に防止または抑制する上で、一層好ましい。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る温水装置の一例を示す概略正面断面図である。
図2図1の要部拡大図である。
図3図1の要部概略側面断面図である。
図4図1に示す温水装置の排気集合筒部などに関連する要部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1に示す温水装置WHは、一般給湯用および風呂(または暖房)給湯用の給湯装置として構成されており、バーナ1(1a,1b)、熱交換部2(2a,2b)、排気集合筒部3、断熱材4、断熱材用取付け部材5、排気ダクト6、およびこれら全体を囲む外装ケース7を備えている。
【0020】
バーナ1(1a,1b)は、たとえばガスバーナであって、バーナケース10内に配されており、ガス配管部からの燃料ガスの供給およびファン12からの燃焼用空気の供給を受けてその駆動燃焼が可能である。熱交換部2(2a,2b)は、バーナ1の駆動燃焼により発生し、かつ上向きに進行した燃焼ガス(加熱用気体)から熱回収を行なう部位であり、加熱対象である湯水が送り込まれる伝熱管20a,20bを含んでいる。これら伝熱管20a,20bは、熱交換部ケース21内に配されている。バーナ1aおよび熱交換部2aは、一般給湯用である。バーナ1bおよび熱交換部2bは、風呂(または暖房)給湯用であり、一般給湯用よりも小サイズである。
【0021】
排気集合筒部3は、熱交換部ケース21とは別体の下部開口状のケースとして構成され、かつ熱交換部ケース21の上側に載設されており、上壁部30、およびこの上壁部30の外周縁部に上端部が繋がった周側壁部33を備えている(図4も参照)。周側壁部33は、具体的には、前壁部33a、左右両側壁部33b,33c、および後壁部33dを含む。
【0022】
図2によく表われているように、排気集合筒部3の上壁部30の上面上には、排気ダクト6が接続される筒状部32が上向きに突出して設けられており、上壁部30のうち、筒状部32の内側領域に対応する領域には、排ガス通過用の第1の開口部31が設けられて
いる。上壁部30の下面側には、断熱材4の上部領域4a、および断熱材用取付け部材5の主板部50aが配されているが、これらは第1の開口部31を塞がないように開口部48および排ガス通過用の第2の開口部52が設けられた構成とされている。熱交換部2を上向きに通過して熱回収を完了した燃焼ガスは、排気集合筒部3内に進入した後に、第1の開口部31(および開口部48、第2の開口部52)を通過して排気ダクト6内に導かれ、かつこの排気ダクト6を利用して外装ケース7の外部に排気される。
【0023】
断熱材4は、断熱性に加え、吸水性をさらに有する材質であり、たとえば長繊維ガラスマットなどの繊維系断熱材である。この断熱材4は排気集合筒部3の内面側に重ねられた配置に取付けられている。図4においては、断熱材4は、たとえば複数のマット状(プレート状)の領域4a~4cに分離したかたちで形成されているが、それら複数の領域4a~4cが一連に繋がった構成とすることも可能である。
【0024】
本実施形態において、断熱材4としては、排気集合筒部3の上壁部30の下面側に重ねられた上部領域4(4a)に加え、前壁部33aおよび左側壁部33bの内面側に重ねられた領域4(4b,4c)を備えている。領域4b,4cは、本発明でいう追加領域の一例に相当する。
右側壁部33cおよび後壁部33dの内面側には断熱材4が設けられていないが、その理由は次のとおりである。
すなわち、右側壁部33cは、駆動燃焼時の発熱量が多いバーナ1aに比較的近い距離にあり、外気温が低い場合に、上壁部30や左側壁部33bと比較して低温になり難いからである。また、図3に示すように、外装ケース7の前壁部(フロントパネル部)70には、通気孔71が設けられ、この通気孔71から外気が外装ケース7内の前部に進入するため、外気温が低い場合には、前壁部33aが低温になり易いのに対し、後壁部33dはそのようなことはなく、低温になり難いからである。ただし、本実施形態とは異なり、排気集合筒部3の周側壁部33(前壁部33a、左右両側壁部33b,33c、および後壁部33d)の略全域に対応させて断熱材4を設けた構成としてもよい。
【0025】
断熱材用取付け部材5は、断熱材4の前記した態様での取付けを図るための部材であって、たとえばステンレス製などの金属板をプレス加工するなどして形成されている。この断熱材用取付け部材5は、断熱材4の複数の領域4a~4cにそれぞれ対応する主板部50a、前板部50b、および側板部50cを備えており、これらによって断熱材4の領域4a~4cを排気集合筒部3との相互間に挟み、それらの固定保持を図っている。断熱材用取付け部材5には、取付け固定用のフランジ部51a~51cが適宜設けられており、これらフランジ部51a~51cが排気集合筒部3に溶接されるなどして排気集合筒部3への取付けがなされている。
【0026】
断熱材用取付け部材5の主板部50aには、既述したように、排ガス通過用の第2の開口部52が設けられているが、この第2の開口部52は、第1の開口部31の下方に位置し、かつ第1の開口部31よりも小径である。また、第2の開口部52は、バーリング孔であり、その内周縁部には上向き起立状のバーリング部54が形成されている。このような構成により、主板部50aの第2の開口部52の周辺部は、平面視において、第1の開口部31よりもその中心側にはみ出した部分となっており、排気ダクト6内において発生した凝縮水が第1の開口部31よりも下方に流れたときには、この凝縮水を受けてから断熱材4の配置領域に導くことが可能な凝縮水受け部55となっている。断熱材4は、既述したように吸水性を有し、凝縮水受け部55から断熱材4の配置領域への凝縮水の進入を許容し、かつこの進入してきた凝縮水を吸水保持可能である。
【0027】
次に、前記した温水装置WHの作用について説明する。
【0028】
温水装置WHの給湯動作は、バーナ1が駆動燃焼し、これにより発生した燃焼ガスから熱交換部2を利用した熱回収が行なわれることにより、湯水が加熱される態様とされるが、熱交換部2を上向きに通過した燃焼ガスは、既述したように、排気集合筒部3から排気ダクト6内に導かれて外部に排気される。ここで、外気温が低い場合には、排気ダクト6内において排ガス中の水蒸気が凝縮して凝縮水が発生し、第1の開口部31からその下方に流れ落ちる(図2を参照)。ただし、この凝縮水は、排気集合筒部3の凝縮水受け部55によって受けられてから断熱材4の配置領域に導かれ、断熱材4に吸水保持される。
【0029】
このため、前記凝縮水が断熱材4よりも下方の位置へ流れ落ちないようにすることができる。また、仮に、凝縮水が断熱材4よりも下方の位置へ流れ落ちたとしても、その量をごく少量とすることが可能である。したがって、熱交換部2やバーナ1上に多くの凝縮水が流れ落ちないようにし、それらの部位が腐食し易くなるなどの実害が生じないようにすることが可能である。断熱材4に吸水保持された凝縮水は、その後に蒸発するが、排ガスの熱を受けた場合には断熱材4の温度が上昇し、凝縮水の蒸発は促進されるため、断熱材4の吸水保持状態が即座に飽和状態となることも適切に回避される。本実施形態においては、断熱材4が複数の領域4a~4cを備え、全体のボリュームが比較的大きいため、この断熱材4の凝縮水に対する吸水保持量も多くすることが可能である。
【0030】
本実施形態の温水装置WHにおいては、排気ダクト6内において発生した凝縮水を、排気ダクト6の外部に排出させて廃棄させる方式を採用していない。このため、排気ダクト6の外部に排出された凝縮水が温水装置WHの外面部に触れてその部分が腐食し易くなるなどの不具合を生じないようにすることも可能である。
【0031】
外気温が低い場合には、排気ダクト6のみならず、排気集合筒部3も温度低下を生じる。このため、本来ならば、排気集合筒部3の内面側においても凝縮水が発生する虞があるが、排気集合筒部3の内面側には、断熱材4が設けられているため、そのような虞を適切に防止または抑制し、熱交換部2やバーナ1上に凝縮水が流れ落ちることを一層確実に防止することが可能である。本実施形態においては、排気集合筒部3の上壁部30に加え、本来的に温度低下を生じ易い前壁部33a、および左側壁部33bに断熱材4を設けているため、凝縮水の発生防止効果をより高くすることが可能である。その一方、後壁部33dおよび右側壁部33cに対しては断熱材4を設けていないため、断熱材4の使用量およびそのコストを抑制することができる利点がある。
【0032】
その他、本実施形態によれば、凝縮水を断熱材4の配置領域に導く役割を果たす凝縮水受け部55は、断熱材用取付け部材5を用いて構成されているため、その構成は合理的である。
【0033】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る温水装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0034】
上述の実施形態においては、排気集合筒部3が熱交換部ケース21とは別体のケースとして構成されているが、本発明はこれに限定されない。本発明の排気集合筒部は、熱交換部ケースと一体に形成することも可能である(熱交換部ケースの上部寄りの一部を、排気集合筒部とした構成とすることも可能である)。
【0035】
断熱材は、長繊維ガラスマットなどの繊維系断熱材に限らず、これとは異なる材質とすることができる。断熱材は、要は、凝縮水受け部からこの断熱材に向けて進行してきた凝縮水を吸水保持できるものであればよい。断熱材は、少なくとも排気集合筒部の上壁部の下面側に重ねて設けられていればよく、排気集合筒部の他の部分の内面側に対しては設けられていなくてもかまわない。また、断熱材は、上壁部の下面側の全面に重ねられていな
くてもよく、断熱材が重ねられていない領域が一部に存在してもかまわない。
【0036】
断熱材用取付け部材の具体的な形状などは、断熱材をどのように取付けるかに応じて適宜変更可能である。また、断熱材用取付け部材に設けられる排ガス通過用の第2の開口部は、上述の実施形態においては、バーリング孔とされているが、これに限定されない。本発明においては、排ガス通過用の第2の開口部の周縁部に、バーリング部を設ける手段に代えて、または加えて、第2の開口部の周辺部としての凝縮水受け部の上面が、第2の開口部から遠い部分ほど高さが低くなる円錐面状となるように、凝縮水受け部を傾斜状とする手段を採用することもできる。
【0037】
本発明でいう温水装置は、一般給湯、風呂給湯、温水暖房用の給湯などの区別を問わず、また融雪用などの温水装置として構成することも可能である。
本発明でいう加熱用気体は、燃焼ガスに限らず、たとえばコージェネレーションシステムから排出される高温の排気ガスなどとすることもできる。
【符号の説明】
【0038】
WH 温水装置
1 バーナ
2 熱交換部
3 排気集合筒部
30 上壁部
31 第1の開口部
33 周側壁部
4 断熱材
4b,4c 追加領域(断熱材の)
5 断熱材用取付け部材
50a 主板部
52 第2の開口部
54 バーリング部
55 凝縮水受け部
6 排気ダクト
図1
図2
図3
図4