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  • 特開-産業用安全帽 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172380
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】産業用安全帽
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/10 20060101AFI20231129BHJP
   A42B 3/06 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A42B3/10
A42B3/06
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084127
(22)【出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000149930
【氏名又は名称】株式会社谷沢製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】崔 成根
(72)【発明者】
【氏名】大月 信一
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107BA01
3B107DA01
3B107DA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、究極的な帽体と内装体の一体成型を実現する固有の構造を創出することを目的とする。
【解決手段】帽体1の内面には、放射状に該内面から立ち上がった複数の壁部21~24と、壁部21~24の人頭側端縁から垂直に延びる頭部受け部31~33とを備え、壁部21~24および頭部受け部31~33が一体成型により帽体1と一体に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質の帽体と該帽体の内面に構成され人頭に接する内装体とを備える産業用安全帽において、
前記帽体の内面において放射状に該内面から立ち上がった複数の壁部と、
前記壁部の人頭側端縁から垂直に延びる頭部受け部と
を備え、
前記頭部受け部が前記内装体の一部を成すと共に、前記帽体と前記壁部と前記頭部受け部とが一体成型により一体に形成されることを特徴とする産業用安全帽。
【請求項2】
請求項1記載の産業用安全帽において、
前記複数の壁部は、前記壁部同士が一体成型により一体に連結されていることを特徴とする産業用安全帽。
【請求項3】
請求項1記載の産業用安全帽において、
前記頭部受け部は、前記帽体の内側に部分的に形成されることを特徴とする産業用安全帽。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載の産業用安全帽において、
前記複数の壁部の人頭側端縁から垂直に延びる複数の前記頭部受け部同士が一体成型により部分的に連結されていることを特徴とする産業用安全帽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質の帽体と人頭に接する内装体とを備えた産業用安全帽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の産業用安全帽としては、本願出願人による下記特許文献1がある。下記特許文献1の安全帽では、互に間隔を存して頭頂部側から下方に延びる4つ以上の帯状の脚部からなるハンモックの各脚部間に、脚部同士を繋いで周方向に延びる桁部を設け、桁部に、桁部と帽体との間の空隙を保持する空隙保持部を設ける。空隙保持部は、互いに間隔を存して配設された複数の板状部によって構成されて、脚部の撓みや伸びに応じて板状体が帽体の内面に当接することにより桁部と帽体との間の空隙を保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-199680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来の産業用安全帽は、内装体であるハンモック側から帽体への板状体など何らかの延設物を設けて、帽体と内装体の一体性を持たせるものであった。
【0005】
そして、本願出願人は、こららの一体性の研究を進めて、究極的な帽体と内装体の一体成型を実現する固有の構造を鋭意研究するに至った。
【0006】
上記の点に鑑み、本発明は、究極的な帽体と内装体の一体成型を実現する固有の構造を創出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の産業用安全帽は、硬質の帽体と該帽体の内面に構成される人頭に接する内装体とを備える産業用安全帽において、
前記帽体の内面において放射状に該内面から立ち上がった複数の壁部と、
前記壁部の人頭側端縁から垂直に延びる頭部受け部と
を備え、
前記頭部受け部が前記内装体の一部を成すと共に、前記帽体と前記壁部と前記頭部受け部とが一体成型により一体に形成されることを特徴とする。
【0008】
第1発明の産業用安全帽によれば、本願発明者らは、鋭意研究により、究極的な帽体と内装体の一体成型を実現する固有の構造は、(内装体側から帽体への一体性ではなく)帽体側から内装体との一体性を持たせ、内装体を帽体側から支持する固有の構造が必要との知見に至った。
【0009】
本願発明は、かかる知見に基づくものであり、帽体の内面おいて放射状に内面から立ち上がる壁部により、ハンモックの代わりとなる頭部受け部を支持させる。
【0010】
これにより、帽体と壁部と頭部受け部とが一体成型により一体に形成されても、壁部により頭部受け部を十分に支持することができる。
【0011】
ここで、頭部受け部は、壁部の人頭側端縁から垂直、すなわち、人頭に沿うように延出される。そのため、ハンモックと同様に人頭を包み込むように配置され、帽体と壁部と頭部受け部とが一体成型により一体に形成されても、被り心地に遜色がない。
【0012】
このように、第1発明の産業用安全帽によれば、究極的な帽体と内装体の一体成型を実現する固有の構造を創出することができる。
【0013】
第2発明の産業用安全帽は、第1発明において、
前記複数の壁部は、前記壁部同士が一体成型により一体に連結されていることを特徴とする。
【0014】
第2発明の産業用安全帽によれば、壁部同士を一体成型により一体に連結させて形成することで、全体の壁部の支持力を高めることができる。
【0015】
例えば、放射状の壁部は、左側前方と左側後方の壁部を頭頂部付近で連結してアーチ型に形成してもよく、同様に、右側前方と右側後方の壁部を頭頂部付近で連結してアーチ型に形成してもよい。
【0016】
このように、第2発明の産業用安全帽によれば、究極的な帽体と内装体の一体成型を実現する固有の構造を実際に創出することができる。
【0017】
第3発明の産業用安全帽は、第1発明において、
前記頭部受け部は、前記帽体の内側に部分的に形成されることを特徴とする。
【0018】
第3発明の産業用安全帽によれば、頭部受け部を帽体の内側に部分的に形成することで、帽体と内装体の一体成型を実現した場合にも、通常のハンモックと同様に、頭部の蒸れを抑制して快適な被り心地を維持することができる。
【0019】
このように、第3発明の産業用安全帽によれば、被り心地を維持しながら、究極的な帽体と内装体の一体成型を実現する固有の構造を実際に創出することができる。
【0020】
第4発明は、第1~第3発明のいずれかにおいて、
前記複数の壁部の人頭側端縁から垂直に延びる複数の前記頭部受け部同士が一体成型により部分的に連結されていることを特徴とする。
【0021】
第4発明の産業用安全帽によれば、頭部受け部同士を一体成型により部分体に連結して形成することで、全体の頭部受け部の強度を高めることができる。
【0022】
このように、第4発明の産業用安全帽によれば、究極的な帽体と内装体の一体成型を実現する固有の構造を実際に創出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態の産業用安全帽を示す斜視図。
図2図1の産業用安全帽のおいて顎紐を取り外した状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態として挙げる産業用安全帽は、図1および図2に示すように、硬質の帽体1と、帽体1の内面に構成される内装体の構成要素21~63とを備える。
【0025】
まず、帽体1の内面には、放射状に該内面から立ち上がった複数の壁部21~24と、壁部21~24の人頭側端縁から垂直に延びる頭部受け部31~33とを備え、壁部21~24および頭部受け部31~33が一体成型により帽体1と一体に形成されている。
【0026】
複数の壁部21~24は、(1)前側正面位置を除いて該前側正面位置を挟むように帽体1の内面の頭頂部から右前(紙面右上)に延びるラインに沿って帽体1から立ち上がった右前側壁部21(本発明の前側壁部に相当する)と、頭頂部から左前(紙面右下)に延びるラインに沿って帽体1から立ち上がった左前側壁部22(本発明の前側壁部に相当する)と、(2)後側正面位置を除いて該後側正面位置を挟むように頭頂部から右後(紙面左上)に延びるラインに沿って帽体1から立ち上がった右後側壁部23(本発明の後側壁部に相当する)と、頭頂部から左後(紙面左下)に延びるラインに沿って帽体1から立ち上がった左後側壁部23(本発明の後側壁部に相当する)とから構成される。
【0027】
ここで、右前側壁部21と右後側壁部23とが頭頂部付近で連結されて一体を成し、右前方から右後方へ延びるアーチ形状に形成される。同様に、左前側壁部22と左後側壁部24とが頭頂部付近で連結されて一体を成し、左前方から左後方へ延びるアーチ形状に形成される。
【0028】
なお、本実施形態では、右前側壁部21と右後側壁部23とが、後述する環状壁部50を介して連結されているが、環状壁部50を介しても介さなくてもよい。同様に、左前側壁部22と左後側壁部24とが、後述する環状壁部50を介して連結されているが、環状壁部50を介しても介さなくてもよい。
【0029】
頭部受け部31~33は、右前側壁部21の人頭側の端縁においてこれと垂直に両方向に延びる右前頭部受け部31と、左前側壁部22の人頭側の端縁においてこれと垂直に両方向に延びる左前側頭部受け部32と、右後側壁部23の人頭側の端縁においてこれと垂直に両方向に延びる右後側頭部受け部33と、左後側壁部24の人頭側の端縁においてこれと垂直に両方向に延びる左後側頭部受け部34とを備える。
【0030】
頭部受け部31~33は、壁部21~24の人頭側端縁から垂直、すなわち、人頭の形状に沿うように延出される。そのため、かかる頭部受け部31~33が、通常のハンモックと同様に人頭を包み込むように配置され、ハンモックの代わりとして機能する。
【0031】
なお、頭部受け部31~33は、人頭の全体を覆うほど延出されるものではなく、図中に示すように、部分的にハンモック相当領域となるように延出される。
【0032】
また、右前側壁部21と右後側壁部23とが連結されて一体を成し、左前側壁部22と左後側壁部24とが連結されて一体を成すように、右前側頭部受け部31と右後側頭部受け部33とが連結されて一体を成し、左前側頭部受け部32と左後側頭部受け部34とが連結されて一体に形成される。
【0033】
なお、本実施形態では、右前側壁部21と右後側壁部23とが、後述する環状壁部50を介して連結されていることから、右前側頭部受け部31と右後側頭部受け部33とが環状壁部50の頭頂部受け部60の一部を介して連結されているが、右前側頭部受け部31と右後側頭部受け部33とが直接連結されてもよい。
【0034】
同様に、左前側壁部22と左後側壁部24とが、後述する環状壁部50を介して連結されていることから、左前側頭部受け部32と左後側頭部受け部34とが環状壁部50の頭頂部受け部60の一部を介して連結されているが、左前側頭部受け部32と左後側頭部受け部34とが直接連結されてもよい。
【0035】
なお、この場合、環状壁部50および頭頂部受け部60自体を省略してもよい。
【0036】
また、本実施形態では、右前側壁部21と右後側壁部23とが連結されてアーチ型の形状を成し、左前側壁部22と左後側壁部24とが連結されてアーチ型の形状を成す場合について説明したが、これに限定されるものではなく、連結の組み合わせは任意でよい。
【0037】
例えば、右前側壁部21と左前側壁部22とを頭頂部付近で連結してアーチ型の形状を成し、右後側壁部23と左後側壁部24とを頭頂部付近で連結してアーチ型の形状を成すようにしてもよい。
【0038】
また、右前側壁部21と左後側壁部24とを頭頂部を越えて互いに連結させ、左前側壁部22と右後側壁部23とを頭頂部を越えて互いに連結させてもよい。
【0039】
なお、これらの場合にも、適宜、環状壁部50および頭頂部受け部60自体を省略してもよい。
【0040】
次に、右前側壁部21と左前側壁部22との間には、これらの前端同士を人頭に沿って繋ぐ前側懸架部35が形成されている。
【0041】
また、前側懸架部35は、その両端を前側壁部21,22を跨いで延出させた一対の前側延出懸架部と35A,35Bを備える。
【0042】
そして、帽体1と右前側壁部21と左前側壁部22と前側懸架部35(前側延出懸架部35A,35Bを含む)とが一体成型により一体に形成されている。
【0043】
同様に、右後側壁部23と左後側壁部24との間には、これらの後端同士を繋ぐように互いに相手側に延びた舌片状の右後側懸架部36(本発明の後側懸架部に相当する)および左後側懸架部37(本発明の後側懸架部に相当する)が設けられ、帽体1と後前側壁部23と左後側壁部24と後側懸架部36,37とが一体成型により一体に形成されている。
【0044】
前側懸架部35は、人頭の額の上方位置で鉢巻状に形成され、通常のヘッドバンドの代わりとなる。また、前側延出懸架部と35A,35Bは、前側懸架部35をほぼ同一円上で(前側壁部21,22を跨いで)そのまま延出させた位置に設けられ、前側懸架部35と同様に通常のヘッドバンドの代わりとなる。
【0045】
後側懸架部36,37は、人頭のうなじ位置(正確にはうなじのやや上方位置)で鉢巻状に形成され、通常のヘッドバンドの代わりとなるが、右後側懸架部36と左後側懸架部37とが互いに重なり合った任意の位置で固定できる固定部40を備えることで、通常のサイズ調整機構としての機能を備える。
【0046】
固定部40は、本実施形態では、右後側懸架部36に延出方向に沿って一定の間隔で設けられた複数の貫通孔46と、左後側懸架部37に延出方向に沿って一定の間隔で設けられた複数の貫通孔47と、これら2種類の貫通孔の任意の組み合わせでこれらを重ねて貫通させる固定部40としてのビス41とにより構成しているが、固定方法は固定に限定されるものではない。例えば、通常のサイズ調整機構を後側懸架部36,37の間に設けてもよい。
【0047】
前側延出懸架部35A,35Bと後側懸架部36,37にとの間に顎紐70が渡されるようになっている。
【0048】
すなわち、顎紐70の2つの耳下紐70A,70Aの両端の接続片71,73と72,74とに設けられた突起が、前側延出懸架部35A,35Bにそれぞれ形成された貫通孔35C,35Cと後側懸架部36,37に形成された貫通孔46,47との間に係合されて渡される。なお、顎紐70は、耳下紐70Aに顎下紐70Bが吊られている。
【0049】
なお、本実施形態では、後側懸架部36,37には、後側延出懸架部を設けない構成について説明したが、前側延出懸架部35A,35Bと同様に、右後側懸架部36を右後側壁部33を跨いで延出させると共に、左後側懸架部37を左後側壁部34を跨いで延出させ、一対の後側延出懸架部を形成してもよい。
【0050】
この場合、顎紐70の耳下紐70Aとの接続位置は、前側延出懸架部35A,35Bと後側懸架部36,37に限らず、前側は、前側懸架部35と前側延出懸架部35A,35Bとから、後側は、後側懸架部36,37と後側延出懸架部とからそれぞれに任意の接続位置を選択することができる。
【0051】
さらに、後側延出懸架部を設けた場合には、前側延出懸架部35A,35Bと後側延出懸架部とを連結することで、前側懸架部35および後側懸架部36,37を合わせて、鉢巻状の環状帯を形成してよい。
【0052】
かかる環状帯は、ヘッドバンドと同じく人頭に対して鉢巻状に沿わせることができ、フィット感をより向上させることができる。また、このとき、前側懸架部35と後側懸架部36,36と一対の前側延出懸架部35A,35Bとかかる一対の後側延出懸架部とが連結されることから、環状帯全体で衝撃等を吸収することができ、安全帽自体の強度を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、顎紐70(耳下紐70A)の接続片71~74の突起を、前側延出懸架部35A,35Bおよび後側懸架部36,37の貫通孔35C,46,47に貫通させて接続したがこれに限定されるものではなく、任意の接続方法が採用され得る。
【0054】
さらに、本実施形態において、前側懸架部35および前側延出懸架部35A,35Bは、右前側頭部受け部31および左前側頭部受け部32とも一体成型により一体に構成されているが、これに限定されるものではく、前側懸架部35および前側延出懸架部35A,35Bは、右前側頭部受け部31および左前側頭部受け部32と分離されていてもよい。
【0055】
同様に、後側懸架部36は、右後側頭部受け部33とも一体に構成され、後側懸架部37は、左後側頭部受け部34とも一体に構成されているが、これに限定されるものではく、後側懸架部36は、右後側頭部受け部33と分離され、後側懸架部37は、左後側頭部受け部37と分離されてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、前側延出懸架部と35A,35Bは、前側懸架部35をほぼ同一円上で(前側壁部21,22を跨いで)そのまま延出させた位置に設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、顎紐70の取り付け位置として適した位置に(同一円上
とならない位置で)延出させてもよい。
【0057】
次に、帽体1の頭頂部内面には、内面から環状に立ち上がった環状壁部50と、環状壁部50の人頭側端縁から垂直に延びる頭頂部受け部60とを備え、環状壁部50および頭頂部受け部60が一体成型により帽体1と一体に形成されている。
【0058】
環状壁部50は、帽体1の頭頂部中心を囲うように環状に立ち上がった壁部であって、本実施形態は、環状壁部50は、1つであるが、頭頂部中心を囲うように同心円状に複数の環状壁部を形成してもよい。なお、この場合、壁部21~24および頭部受け部31~34を省略または小さく(ラインを短く)設けてもよい。
【0059】
頭頂部受け部60は、環状壁部50の人頭側の端縁において環状壁部50と垂直に周方向外方に延びる。特に、前方側に大きく延出された前方側頭頂部受け部61と、後方側に大きく延出された後方側頭頂部受け部63とを備え、前方側頭頂部受け部61と後方側頭頂部受け部63との間は、これらほどの張り出しのない延出部で連結されて前方側頭部受け部61と後方側頭頂部受け部63とが一体となっている。
【0060】
頭頂部受け部60は、環状壁部50の人頭側端縁から垂直、すなわち、人頭の頭頂部形状に沿うように形成される。そのため、頭頂部受け部60は、通常のハンモックと同様に人頭を包み込むように配置され、ハンモックの代わりとして機能する。
【0061】
なお、本実施形態では、環状壁部50と頭頂部受け部60とを帽体1と一体成型により一体に構成する金型の関係上、頭頂部受け部60は環状壁部50の周方向外方にのみ構成されているが、これに限定されるものではなく、周方向内方にも(環状壁部50から垂直に左右方向に)延出されるようにしてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、環状壁部50と壁部21~24とが連結されると共に、頭頂部受け部60と頭部受け部31~33とが連結される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、環状壁部50と壁部21~24とは分離されて設けられてもよく、頭頂部受け部60と頭部受け部31~33とが分離されて設けられてもよい。
【0063】
以上が本実施形態の産業用安全帽の構成であり、かかる産業業安全帽は、本願発明者らによる鋭意研究により、究極的な帽体と内装体の一体成型を実現する固有の構造は、(内装体側から帽体への一体性ではなく)帽体側から内装体との一体性を持たせ、内装体を帽体側から支持するとの知見に基づくものである。
【0064】
かかる知見に基づき、本実施形態の産業用安全帽では、帽体1の内面おいて放射状に内面から立ち上がる壁部21~24により、ハンモックの代わりとなる頭部受け部31~34、さらにヘッドバンドの代わりのとなる前側懸架部35(前側延出懸架部35A,35Bを含む)および後側懸架部36,37を支持させ、帽体1と壁部21~24と頭部受け部31~34、前側懸架部35(前側延出懸架部35A,35Bを含む)および後側懸架部36,37が一体成型により一体に形成されても、壁部21~24により頭部受け部31~34、前側懸架部35(前側延出懸架部35A,35Bを含む)および後側懸架部36,37を十分に支持することができる。
【0065】
また、帽体1の内面から環状に立ち上がった環状壁部50により、ハンモックの代わりとなる頭頂部受け部60を支持させ、帽体1と環状壁部50と頭頂部受け部60とが一体成型により一体に形成されても、環状壁部50により頭頂部受け部60を十分に支持することができる。
【0066】
さらに、壁部21~24および環状壁部50を一体成型により一体に“連結させて”形成することで、全体の壁部21~24,50の支持力を高めることができると共に、頭部受け部31~34および頭頂部受け部60、さらに前側懸架部35(前側延出懸架部35A,35Bを含む)および後側懸架部36,37を、一体成型により“部分体に連結させて”形成することで、これら人頭と接する部分31~34,60,35~37の強度も高めることができる。
【0067】
そして、頭部受け部31~34および頭頂部受け部60とは、人頭に沿うように、壁部21~24および環状壁部50から延出されるため、通常のハンモックと同様に人頭を包み込むように配置され、帽体1と一体成型により一体に形成されても、被り心地に遜色がない。
【0068】
また、ヘッドバンドの取り付け位置では、壁部21~24により違和感を感じることがあるところ、本実施形態では壁部21~24は、それぞれ人頭の前側位置および後側位置を除いて設けられている。そのため、ヘッドバンドの代わりのとなる前側懸架部35(前側延出懸架部35A,35Bを含む)および後側懸架部36,37によれば、前頭部および後頭部に違和感を感じることなく、ヘッドバンドと同様に人頭に鉢巻状に沿うようにフィットして配置され、帽体1と一体成型により一体に形成されても、被り心地に遜色がない。
【0069】
このように、本実施形態の産業用安全帽によれば、究極的な帽体と内装体の一体成型を実現する固有の構造を創出することができる。
【0070】
なお、本実施形態では、帽体と内装体とを金型により同一材料を用いて一体成型する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、一体成型であれば、いわゆる二色成形などにより部分的に材質を変えて射出成形してもよい。
【0071】
例えば、二色成形により、人頭に接する頭部受け部31~34や頭頂部受け部60を帽体1や壁部21~24、環状壁部50より柔らく弾力性のある材質とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0072】
1…帽体、21…右前側壁部(壁部)、22…左前側壁部(壁部)、23…右後側壁部(壁部)、24…左後側壁部(壁部)、31…右前側頭部受け部(頭部受け部)、32…左前側頭部受け部(頭部受け部)、33…右後側頭部受け部(頭部受け部)、34…左後側頭部受け部(頭部受け部)、35…前側懸架部、35A,35B…前側延出懸架部、35C…貫通孔、36,37…後側懸架部、40…固定部、41…ビス(固定部)、46,47…貫通孔、50…環状壁部、60…頭頂部受け部、61…前側頭頂部受け部(頭頂部受け部)、63…後側頭頂部受け部(頭頂部受け部)、70…顎紐、70A…耳下紐、70B…顎下紐、71~74…接続片。

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質の帽体と該帽体の内面に構成され人頭に接する内装体とを備える産業用安全帽において、
前記帽体の内面において放射状に該内面から立ち上がった複数の壁部と、
前記壁部の人頭側端縁から垂直に延びる頭部受け部と
を備え、
前記頭部受け部が前記内装体の一部を成すと共に、前記帽体と前記壁部と前記頭部受け部とが金型による成型により一体に形成され、
前記複数の壁部は、前記壁部同士が前記金型による成型により連結されていることを特徴とする産業用安全帽。
【請求項2】
請求項1記載の産業用安全帽において、
前記複数の壁部の人頭側端縁から垂直に延びる複数の前記頭部受け部同士が前記金型による成型により連結されていることを特徴とする産業用安全帽。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
第1発明の産業用安全帽は、硬質の帽体と該帽体の内面に構成され人頭に接する内装体とを備える産業用安全帽において、
前記帽体の内面において放射状に該内面から立ち上がった複数の壁部と、
前記壁部の人頭側端縁から垂直に延びる頭部受け部と
を備え、
前記頭部受け部が前記内装体の一部を成すと共に、前記帽体と前記壁部と前記頭部受け部とが金型による成型により一体に形成され、
前記複数の壁部は、前記壁部同士が前記金型による成型により連結されていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、発明の産業用安全帽によれば、壁部同士を一体成型により一体に連結させて形成することで、全体の壁部の支持力を高めることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
このように、第発明の産業用安全帽によれば、究極的な帽体と内装体の一体成型を実現する固有の構造を実際に創出することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
第2発明の産業用安全帽は、第1発明において、
前記複数の壁部の人頭側端縁から垂直に延びる複数の前記頭部受け部同士が前記金型による成型により連結されていることを特徴とする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
発明の産業用安全帽によれば、頭部受け部同士を一体成型により部分体に連結して形成することで、全体の頭部受け部の強度を高めることができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
このように、第発明の産業用安全帽によれば、究極的な帽体と内装体の一体成型を実現する固有の構造を実際に創出することができる。