IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-照明制御装置および照明制御方法 図1
  • 特開-照明制御装置および照明制御方法 図2
  • 特開-照明制御装置および照明制御方法 図3
  • 特開-照明制御装置および照明制御方法 図4
  • 特開-照明制御装置および照明制御方法 図5
  • 特開-照明制御装置および照明制御方法 図6
  • 特開-照明制御装置および照明制御方法 図7
  • 特開-照明制御装置および照明制御方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172409
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】照明制御装置および照明制御方法
(51)【国際特許分類】
   F21V 33/00 20060101AFI20231129BHJP
   F24F 8/167 20210101ALI20231129BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20231129BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20231129BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20231129BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231129BHJP
【FI】
F21V33/00 400
F24F8/167
F21V23/00 115
F21V23/00 140
A61L9/00 C
A61L9/18
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084185
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】木下 浩樹
【テーマコード(参考)】
3K014
4C180
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014RB03
4C180AA07
4C180AA10
4C180CC03
4C180DD04
4C180HH15
4C180HH17
4C180HH19
4C180KK01
4C180KK04
4C180LL04
(57)【要約】
【課題】照明装置を用いた除菌を実際の状況に応じて効率的に行うことができる照明制御装置等を提供する。
【解決手段】照明制御装置は、人物の飛沫に関する動作を検知する検知部と、光触媒を塗布した塗布領域を照射する指向性を有する照明装置を、前記人物の飛沫に関する動作の検知結果に応じて、制御する制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物の飛沫に関する動作を検知する検知部と、
光触媒を塗布した塗布領域を照射する指向性を有する照明装置を、前記人物の飛沫に関する動作の検知結果に応じて、制御する制御部と、
を備える照明制御装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記人物を撮影する可視光カメラから取得した第1動画像に基づき、前記人物の飛沫に関する動作を検知する、請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記人物を撮影する赤外線カメラから取得した第2動画像に基づき、前記人物の飛沫に関する動作を検知する、請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項4】
前記第2動画像に含まれる前記人物の飛沫の動作に基づき、前記塗布領域のうち前記人物から発せられた飛沫が付着する付着範囲を推定する推定部、をさらに備え、
前記制御部は、前記推定部が推定した前記付着範囲に応じて、前記照明装置の照射強度および照射方向を設定する、請求項3に記載の照明制御装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記第2動画像に含まれる前記人物の口から発せられた気流の情報に基づき、前記付着範囲を推定する、請求項4に記載の照明制御装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記人物を撮影する可視光カメラから取得した第1動画像に基づき、前記人物の飛沫に関する動作が、会話またはくしゃみの何れであるかを推定し、前記会話の回数と前記くしゃみの回数とに異なる重みづけをするとともに、前記会話と前記くしゃみとのそれぞれの回数に基づき、前記飛沫の飛散量を推定する、請求項5に記載の照明制御装置。
【請求項7】
前記推定部は、前記第1動画像および前記第2動画像に含まれる複数の人物のそれぞれの動作に基づき、前記飛散量および前記付着範囲を推定し、
前記制御部は、推定された前記飛散量および前記付着範囲に基づき前記照明装置の照射方向および照射強度を制御する、請求項6に記載の照明制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、推定された前記飛散量および前記付着範囲に基づき生成した飛沫の分布のうち飛沫残量が最も多い箇所を中心に前記照明装置の照射方向を設定する、請求項7に記載の照明制御装置。
【請求項9】
前記飛沫の分布は、前記照明装置の照射方向と照射強度と照射時間とに基づく前記塗布領域に付着した飛沫の除菌量に応じて更新される、請求項8に記載の照明制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記飛沫の分布のうち飛沫残量が最も多い箇所から順番に前記照明装置の照射方向を設定していく、請求項9に記載の照明制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記塗布領域を含む空間に人物が存在しないときの前記照明装置の照射強度を、前記空間に人物が存在しているときの前記照明装置の照射強度よりも高く設定する、請求項1乃至10のうち何れか1項に記載の照明制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記塗布領域を含む空間に人物の存在を検知している場合、前記照明装置の照射方向を、前記塗布領域のうち前記人物を基準とした第1範囲から当該第1範囲以外の第2範囲に変更する、請求項1乃至10のうち何れか1項に記載の照明制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記照明装置から照射される指向性を有する光の波長を所定波長以下に設定する、請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項14】
照明装置の照明制御方法であって、
人物の飛沫に関する動作を検知し、
光触媒を塗布した塗布領域を照射する指向性を有する前記照明装置を、前記人物の飛沫に関する動作の検知結果に応じて、制御する、
照明制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御装置および照明制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エレベータかご等の不特定多数の人を載せて移動し、かつ扉によって外気と遮断される密閉空間においては、汚れがエレベータかご内部に付着する。エレベータのかご内部に付着した汚れを除去する清掃作業は、エレベータが高所であるため頻繁に実施するのは困難である。かかる観点から、光触媒をエレベータかご内部に塗布し、光触媒が塗布された領域を照明して、汚れ除去を行う技術が、例えば、特許文献1に開示されている。また、飛沫感染を防止するために、咳またはくしゃみをした人がいる領域を他の領域から分離する気流を発生させる技術が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-328786号公報
【特許文献2】国際公開第2020/003867号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室内における所定の領域に光触媒を塗布した状態で、指向性を有する照明光を照射して、除菌が行われる。ここで、室内において人物が会話等を行うと、飛沫が飛散するが、飛沫が飛散する方向や量は会話等の状況に応じて変化する。一方、除菌を行うための照明光の照射範囲および照射量は一定であり、実際の飛沫の状況が考慮されていないため、効率的な除菌を行うことが難しかった。特許文献1および2は、かかる問題を解決するものではない。
【0005】
1つの側面として、本開示の目的は、照明装置を用いた除菌を実際の状況に応じて効率的に行うことができる照明制御装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る照明制御装置は、人物の飛沫に関する動作を検知する検知部と、光触媒を塗布した塗布領域を照射する指向性を有する照明装置を、前記人物の飛沫に関する動作の検知結果に応じて、制御する制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】会議室の一例を示す図である。
図2】本実施形態のシステム構成の一例を示す図である。
図3】制御サーバの構成の一例を示すブロック図である。
図4】人物がいるときの会議室の一例を示す図である。
図5】人物がいないときの会議室の一例を示す図である。
図6】人物がいないときの会議室の他の例を示す図である。
図7】本実施形態の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8図7から続くフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について説明する。図1は、本実施形態が適用される空間として会議室の一例を示す図である。本実施形態が適用される空間は、会議室には限定されない。会議室100には、照明装置101およびカメラ102が設置されている。照明装置101およびカメラ102は、例えば、会議室100の天井に設置される。
【0009】
会議室100の床には机103が設置されている。また、会議室100には、壁104および扉105が設けられている。会議室100(室内)の構成は、図1の例には限定されない。
【0010】
机103を複数の人物106が取り囲んでいる。図1の例では、机103の周囲の複数の人物106が会議をしている状況を示している。複数の人物106は、少なくとも会話をしているものとする。人物106が会話をすることにより、飛沫が飛散する。また、人物106がくしゃみをした場合には、多量の飛沫が遠くに飛散する。図1の例において、机103の上の領域107は、各人物106から発せられた飛沫が付着した領域を示す。
【0011】
会議室100のうち一部の領域には光触媒が塗布されている。光触媒は、例えば、人物106が触れる可能性のある領域や人物106から発せられた飛沫が飛散する可能性のある領域に塗布される。
【0012】
本実施形態では、一例として、光触媒は、机103の上面、壁104の全面および扉105の全面に塗布されるものとする。光触媒は、主に、飛沫が付着する領域および人物106が触れる可能性のある領域に塗布される。光触媒が塗布される領域は上記の例には限定されない。
【0013】
図2は、本実施形態のシステム構成の一例を示す図である。図2に示されるように、照明装置101およびカメラ102は、例えば、LAN(Local Area Network)等を介して、制御サーバ201に接続される。制御サーバ201(照明制御装置)は、有線または無線により、照明装置101およびカメラ102と通信可能である。
【0014】
照明装置101およびカメラ102は会議室100に設置される。一方、制御サーバ201は、会議室100と異なる別室に設置されている。ただし、制御サーバ201は、会議室100に設置されてもよい。
【0015】
照明装置101は、蛍光灯202および指向性照明装置203を含む。蛍光灯202は、広範囲を照明する照明装置である。指向性照明装置203は、例えば、指向性が高いLED(Light Emitting Diode)である。蛍光灯202と指向性照明装置203とは1つの照明装置の内部に設けられてもよいし、別個の照明装置として設けられてもよい。
【0016】
指向性照明装置203が出力する光(指向性の高い光)が、光触媒が塗布された領域に照射されると、当該領域に付着している飛沫が高い効率で除菌される。蛍光灯202が照射する光によっても、光触媒が塗布された領域に付着している飛沫が除菌される。除菌効率は、指向性照明装置203の光の方が、蛍光灯202の光よりも高い。
【0017】
カメラ102は、ビデオカメラ204および赤外線カメラ205を含む。ビデオカメラ204は可視光の映像を撮影する撮影装置である。赤外線カメラ205は、熱エネルギーを可視化するカメラである。ビデオカメラ204と赤外線カメラ205とは1つの照明装置101の内部に設けられてもよいし、別個のカメラとして設けられてもよい。
【0018】
ビデオカメラ204は、会議室100の内部に位置する各人物106を含む所定の視野範囲の動画像を取得する。ビデオカメラ204が取得する動画像は可視光の動画像(第1動画像)である。ビデオカメラ204が取得した第1動画像は、制御サーバ201に送信される。
【0019】
制御サーバ201は、ビデオカメラ204から受信した第1動画像に基づき、会議室100に人物106がいるか否かを検知する。また、制御サーバ201は、会議室100に人物106がいる場合、例えば、第1動画像を画像解析することで、当該人物106の飛沫に関する動作を検知する。
【0020】
制御サーバ201は、第1動画像に基づき、人物106の口や頭部等の挙動を解析する。人物106の挙動としては、例えば、会話やくしゃみ等がある。制御サーバ201は、解析した挙動から、飛沫の飛散量を推定する。
【0021】
赤外線カメラ205が取得した赤外線の動画像(第2動画像)は、制御サーバ201に送信される。制御サーバ201は、赤外線カメラ205から受信した第2動画像を取得し、取得した第2動画像に基づき、各人物106が発した飛沫の付着位置を推定する。
【0022】
第2動画像は赤外線カメラ205から得られた動画像であるため、温度変化の情報を含む。制御サーバ201は、第2動画像から人物106が発した飛沫の温度変化を解析する。第2動画像が示す人物106が発した飛沫の温度変化は、人物106が発した飛沫による気流の情報を含む。制御サーバ201は、当該気流の情報に基づき、人物106から発せられた飛沫の飛散方向を推定するとともに、推定した飛沫の飛散方向から飛沫の付着範囲を推定する。
【0023】
制御サーバ201は、第1動画像および第2動画像に基づき、人物106が発した飛沫の飛散方向および飛散量を推定する。また、制御サーバ201は、第1動画像に基づき、会議室100に人物106がいるか否かを認識する。
【0024】
図3は、制御サーバ201の構成の一例を示すブロック図である。制御サーバ201は、処理部301、記憶部302および通信部303を含む。処理部301は、制御部311、検知部312および推定部313を含む。
【0025】
処理部301は、本実施形態の各種の処理を実行する。処理部301は、プロセッサを有する。記憶部302は、例えば、メモリである。当該メモリに記憶された複数の命令セット(プログラム)を処理部301のプロセッサが実行することにより、本実施形態の処理部301の各種の制御が実現され得る。プロセッサには、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の任意のプロセッサが適用され得る。
【0026】
通信部303は、照明装置101の蛍光灯202および指向性照明装置203と通信を行う。また、通信部303は、カメラ102のビデオカメラ204および赤外線カメラ205と通信を行う。
【0027】
制御部311は、通信部303を介して、ビデオカメラ204および赤外線カメラ205を制御する。また、制御部311は、指向性照明装置203の動作を制御する。検知部312は、人物106が会議室100の中にいるか否か、および人物106の飛沫に関する動作を検知する。推定部313は、人物106から発せられた飛沫の飛散量、および光触媒が塗布された塗布領域のうち飛沫が付着した付着範囲を推定する。
【0028】
図4は、人物106がいるときの会議室100の一例を示す図である。図4の例は会議室100の一部を示しており、机103の周囲には椅子C1~C4が設置されている。椅子C1~C4には、人物106が着座できる。図4の例において、合計4人の人物106が、椅子C1~C4にそれぞれ着座しているものとする。なお、各人物106は、椅子C1~C4の位置で立っていてもよい。
【0029】
机103の上部には、蛍光灯202および指向性照明装置203が設置されている。蛍光灯202は、会議室100の全体を照明する。会議室100の中に人物106がいるときには、制御部311は、人物106がいない領域に向けて光を照射するよう指向性照明装置203を制御する。
【0030】
指向性照明装置203が出力する指向性の高い光が人物106に向けられると、人物106の視認性に影響を及ぼすおそれがある。例えば、各椅子C1~C4に着座している人物106が会議をしている場合、指向性の高い光が机103の方向に向けられると、各人物106の視認性に影響を及ぼし、会議の進行が妨げられるおそれがある。
【0031】
このため、制御部311は、会議室100の中に人物106がいる場合には、指向性の高い光を人物106がいない所定の範囲に向けて照射するよう指向性照明装置203を制御する。上記の範囲は、会議室100の中にいる人物106を基準とした第1範囲(例えば、机103の周囲の一定の範囲)以外の範囲(第2範囲)である。当該第2範囲は、例えば、壁104または扉105を含む範囲である。
【0032】
また、本実施形態では、制御部311は、指向性照明装置203が照射する光の照射強度を最小レベルに設定する。制御部311は、会議室100の中に人物106がいる場合には、指向性照明装置203が光を照射しないように制御してもよい。
【0033】
一方、上述したように、指向性の高い光は、飛沫の除菌効率が高い。このため、制御部311は、会議室100の中に人物106がいない場合には、指向性の高い光を人物106がいた領域(例えば、机103の上面の領域)に向けて光を照射するよう照射方向を設定する。このとき、制御部311は、指向性照明装置203の照射強度を飛沫の除菌に必要な最大レベルに設定する。
【0034】
制御部311は、人物106が会議室100の中にいないときの指向性照明装置203の照射強度を、最大レベルではなく、人物106が会議室100の中にいるときの照射強度よりも大きい任意の照射強度に設定してもよい。この場合でも、指向性照明装置203の照射強度は大きくなることから、指向性照明装置203からの光により高い除菌効率で飛沫を除菌できる。
【0035】
以上のように、制御部311は、会議室100の中に人物106がいるか否かに基づき、指向性照明装置203の照射方向および照射強度を制御する。会議室100の中に人物106がいるかの検知は、ビデオカメラ204が撮影した第1動画像に基づき、検知部312が行う。
【0036】
会議室100の上部に設置されたビデオカメラ204は、会議室100の内側を視野範囲として撮影する。ビデオカメラ204は、各椅子C1~C4に着座している人物106を含む映像を撮影し、撮影した映像を可視光の第1動画像として制御サーバ201に送信する。
【0037】
検知部312は、ビデオカメラ204から取得した第1動画像に基づき、人物106の存在および人物106の飛沫に関する動作を検知する。検知部312は、ビデオカメラ204から取得した第1動画像に基づき、会議室100に人物106がいるかを検知する。
【0038】
例えば、検知部312は、取得した第1動画像に人物106が含まれていない場合、会議室100に人物106がいないと検知する。この場合、制御部311は、指向性照明装置203が照射する光の照射方向を人物106がいない方向に向けるように設定するとともに、指向性照明装置203の照射強度を最小レベルに設定する。
【0039】
図4の例では、会議室100に人物106がいるため、ビデオカメラ204から取得された第1動画像には人物106が含まれている。検知部312は、取得した第1動画像に人物106が含まれていることを検知する。制御部311は、指向性照明装置203の照射方向を人物106がいない方向に設定するとともに、照射強度を最小レベルに設定する。
【0040】
また、検知部312は、ビデオカメラ204から取得した第1動画像に基づき、人物106の飛沫に関する動作を検知する。飛沫に関する動作としては、例えば、会話やくしゃみ等がある。
【0041】
例えば、検知部312は、任意の顔認識手法を用いて、取得した第1動画像に含まれる人物106の顔の動き(特に口の動き)を画像解析することで、人物106が会話をしていることを検知する。また、検知部312は、上記の顔認識手法を用いて、取得した第1動画像に含まれる人物106の顔の動きを画像解析することで、人物106がくしゃみをしていることを検知する。人物106の飛沫に関する動作の検知は、他の手法により行われてもよい。
【0042】
赤外線カメラ205は、ビデオカメラ204と同じ撮影視野を撮影する。赤外線カメラ205は、撮影した映像を第2動画像として制御サーバ201に送信する。第2動画像は、赤外光の撮影により得られる動画像である。
【0043】
推定部313は、ビデオカメラ204から取得した第1動画像および赤外線カメラ205から取得した第2動画像に基づき、人物106から発せられた飛沫の飛散量および飛散した飛沫の付着範囲を推定する。
【0044】
赤外線カメラ205から取得した第2動画像を構成する映像には、撮影している視野範囲における温度の情報が含まれる。このため、第2動画像に基づき、赤外線カメラ205が撮影している視野範囲における温度変動を示す情報が認識される。第2動画像に含まれる人物106の口からの温度変動に基づき、人物106の口から発せられた飛沫による気流の情報が認識される。
【0045】
推定部313は、赤外線カメラ205から取得した第2動画像を画像解析し、第2動画像に含まれる人物106の口から発せられた飛沫による気流の情報に基づき、飛沫の飛散範囲を推定する。
【0046】
制御サーバ201は、会議室100の内部空間の配置関係(例えば、机103の設置個所等)を予め認識している。推定部313は、推定した飛沫の飛散範囲と会議室100の内部空間の配置とに基づき、飛散した飛沫の付着範囲を推定する。これにより、人物106から発せられた飛沫の付着範囲を推定できる。
【0047】
推定部313は、ビデオカメラ204から取得した第1動画像に基づき、人物106から発せられた飛沫の飛散量を推定する。上述したように、検知部312は、ビデオカメラ204から取得した第1動画像に基づき、人物106の飛沫に関する動作を検知できる。例えば、検知部312は、ビデオカメラ204から取得した第1動画像に基づき、人物106が会話をしているか、またはくしゃみをしたかを検知できる。
【0048】
推定部313は、人物106の飛沫に関する動作の種別に応じて、異なる重みづけをして、飛沫の飛散量を推定する。例えば、検知部312が検知した会話の回数をA回、くしゃみの回数をB回とする。
【0049】
推定部313は、会話の回数の重みをW1、くしゃみの回数の重みをW2(W1<W2)として設定する。推定部313は、飛沫の飛散量Xを「X=W1×A+W2×B」として、ビデオカメラ204から取得した第1動画像に基づき、飛沫の飛散量Xを推定する。
【0050】
以上により、推定部313は、人物106から発せられた飛沫の飛散範囲および飛散量を推定する。制御部311は、推定部313が推定した飛沫の付着範囲および飛散量に基づき、飛沫分布を示す情報を管理する。制御部311は、例えば、飛沫分布を示す情報を、記憶部302に記憶および記憶部302から飛沫分布を示す情報を読み出すことで、管理する。
【0051】
図4の例の机103の上面の領域にある点線で囲まれる範囲は飛沫の付着範囲を表す。各付着範囲内には、数値が表されている。当該数値は、飛沫残量を表す。例えば、各付着範囲が重複している範囲には多くの飛沫が付着するため、飛沫残量が多い。
【0052】
例えば、各椅子C1~C4に着座している人物106が会議を行っている場合、人物106から発せられた飛沫は累積して増えていくため、飛沫分布の各数値も累積的に増えていく。
【0053】
一方、机103の上面には光触媒が塗布されている。指向性照明装置203が、光触媒が塗布された机103の上面に指向性の高い光を照射することで、机103の上面に付着した飛沫が除菌される。制御部311は、検知部312が会議室100の中の人物106を検知していない間、指向性の高い光を机103の上面に向けて照射するよう指向性照明装置203を制御する。
【0054】
図5は、人物106がいないときの会議室100の一例を示す図である。検知部312は、ビデオカメラ204から取得した第1動画像から、会議室100の中の人物106を検知していない。これにより、制御部311は、会議室100の中に人物106がいないことを認識できる。
【0055】
制御部311は、会議室100の中に人物106がいないため、指向性照明装置203が照射する光の照射方向を机103の上面となるように設定する。これにより、図5の例のように、机103の上面に指向性の高い光が照射される。
【0056】
制御部311は、上述したように、飛沫分布を示す情報を管理している。制御部311は、飛沫分布のうち最も飛沫残量が多い箇所を中心に指向性の高い光が照射されるように指向性照明装置203の照射方向を設定する。これにより、最も飛沫残量が多い箇所から除菌がされていく。
【0057】
また、制御部311は、指向性照明装置203からの光が照射される範囲について、飛沫分布が表す飛沫残量が最短で除菌される照射強度を指向性照明装置203に設定する。例えば、指向性照明装置203の照射強度が5段階(レベル1~5)に設定可能であるとする。制御部311は、例えば、指向性照明装置203が照射する光の波長を変更することで、レベル1~5のうちの何れかの照射強度に設定する。
【0058】
一方、指向性照明装置203が照射する光により除菌される飛沫の量は以下の式(1)で表される。
「除菌量=照射強度×照射時間(h)・・・(1)」
レベル1の照射強度が「1」、レベル2の照射強度が「2」、レベル3の照射強度が「4」、レベル4の照射強度が「8」、レベル5の照射強度が「16」であるとする。除菌量は、飛沫分布が示す飛沫残量を除菌する量を表す。
【0059】
図5の例の場合、飛沫分布のうち飛沫残量が最も多い箇所の飛沫残量は「30」である。制御部311は、飛沫分布を参照して、指向性照明装置203からの光が照射される範囲に付着している飛沫を最短で除菌できる照射強度をレベル5に設定する。
【0060】
飛沫分布が示す飛沫残量は、指向性照明装置203が照射する光により、以下の式(2)のように変化する。以下の式(2)の飛沫量は、推定部313により推定された飛沫量を表す。除菌量は上記の式(1)により得られる値である。
「飛沫残量=飛沫量―除菌量・・・(2)」
【0061】
指向性照明装置203の照射強度がレベル5に設定された場合、飛沫残量は1時間で「16」が除菌される。従って、飛沫残量が「30」の箇所は、指向性照明装置203からの光が照射されることで、1時間で飛沫残量が「14」になる。また、当該飛沫残量が「30」の箇所は2時間経過後には「0」になる。
【0062】
制御部311は、飛沫分布のうち最も多い飛沫残量に応じて、指向性照明装置203の照射強度を設定する。例えば、飛沫分布のうち最も多い飛沫残量が「10」である場合には、制御部311は、指向性照明装置203の照射強度をレベル4に設定する。これにより、指向性照明装置203の照射強度が不要に高い強度に設定されることが抑制される。
【0063】
上述したように、制御部311は、会議室100の中に人物106がいない間に、指向性照明装置203の照射方向を、人物106がいたときの領域(例えば、机103の上面)に設定する。つまり、指向性照明装置203を用いた除菌は、会議室100の中に人物106がいない間に行われる。
【0064】
指向性照明装置203を用いた机103の上面の領域の除菌は短時間で行われることが好ましい。そこで、制御部311は、飛沫分布に基づき、飛沫残量が最も多い箇所の飛沫を最短で除菌できる照射強度を設定する。
【0065】
指向性照明装置203からの光の照射により、光触媒が塗布された塗布領域に付着している飛沫は除菌される。制御部311は、指向性照明装置203の照射強度に基づく除菌量を算出し、飛沫分布を更新する。
【0066】
制御部311は、飛沫分布のうち指向性照明装置203が照射する光の領域を認識している。また、制御部311は、上記の式(1)を用いて、除菌量を算出する。制御部311は、飛沫分布のうち指向性照明装置203が照射する光により除菌される領域について、式(2)を用いて、飛沫分布を更新する。
【0067】
図6は、人物106がいないときの会議室100の他の例を示す図である。図6の例は、図5の状態から、照射強度がレベル5であり且つ2時間の照射を行った後の飛沫分布を示す。図6の例に示されるように、飛沫分布のうち、指向性照明装置203が光を照射した領域の飛沫残量は「0」に更新される。
【0068】
制御部311は、指向性照明装置203が光を照射した領域の飛沫残量が「0」になった場合、飛沫分布のうち残りの飛沫残量が最も多い箇所を中心に光を照射するように指向性照明装置203の照射方向を設定する。
【0069】
例えば、図6の例の場合、飛沫分布のうち残りの飛沫残量が最も多い箇所は飛沫残量が「20」の箇所である。制御部311は、飛沫残量が「20」の箇所を中心に光が照射されるように指向性照明装置203の照射方向を設定する。これにより、飛沫残量が「20」の箇所を中心とした領域が除菌されていく。制御部311は、指向性照明装置203の照射強度および照射方向に基づく除菌量を算出し、飛沫分布を更新する。
【0070】
会議室100の中に人物106が入った場合に、検知部312は、人物106を検知する。制御部311は、会議室100の中の人物106を検知しない間、飛沫分布のうち飛沫残量が最も多い箇所から順番に光を照射するように指向性照明装置203の照射方向を設定する。
【0071】
制御部311は、飛沫分布が示す飛沫残量が全て所定値以下になったときに、またはゼロになったときに、指向性照明装置203からの光の照射を停止させる。これにより、指向性照明装置203による不要な光の照射が抑制される。
【0072】
一方、除菌が完了していない状態、つまり飛沫分布が示す飛沫残量が残っているときに、会議室100の中に人物106が入ることがある。この場合、検知部312が人物106を検知するため、制御部311は、指向性照明装置203の照射方向を人物106がいない領域(例えば、壁104や扉105等)に設定する。このときには、飛沫分布が示す飛沫残量は全てゼロになっていない。
【0073】
光触媒が塗布された塗布領域に付着した飛沫は、指向性照明装置203からの光だけではなく、蛍光灯202からの光によっても除菌される。上述したように、指向性照明装置203からの光による除菌効率に比べて、蛍光灯202からの光による除菌効率は低い。例えば、蛍光灯202からの光による除菌効率は上記のレベル1である。
【0074】
制御部311は、会議室100の中に人物106がいる場合において、蛍光灯202の光による除菌を考慮して、飛沫分布を更新する。例えば、会議室100の中に人物106がいない間における指向性照明装置203からの光による除菌により、飛沫分布が示す飛沫残量はほぼゼロになっているが、僅かに飛沫が残っていたとする。
【0075】
この場合、会議室100の中に人物106がいる状況で、蛍光灯202の光による除菌により残っていた飛沫残量がゼロになる場合がある。制御部311は、検知部312が会議室100の中の人物106を検知しなくなったときに、指向性照明装置203から光を照射しないように制御してもよい。
【0076】
次に、本実施形態の処理の流れについて説明する。図7は、本実施形態の処理の流れの一例を示すフローチャートである。制御サーバ201は、継続的に、ビデオカメラ204から第1動画像を受信しており、赤外線カメラ205から第2動画像を受信している。制御部311は、ビデオカメラ204から受信した第1動画像および赤外線カメラ205から受信した第2動画像を取得する(ステップS101)。
【0077】
制御部311は、ビデオカメラ204から受信した動画像に基づき、会議室100の中に人物106がいることを検知部312が検知しているかを判定する(ステップS102)。検知部312が人物106を検知している場合、制御部311は、ステップS102でYesと判定し、処理をステップS103に進める。
【0078】
制御部311は、ステップS101で取得したビデオカメラ204からの第1動画像に基づき、会議室100の中における人物106の位置を確認する(ステップS103)。制御部311は、ビデオカメラ204からの第1動画像の画角全体のうち人物106の位置に基づき、人物106の位置を確認できる。
【0079】
制御部311は、設定変更を行うかを判定する(ステップS104)。例えば、検知部312により人物106がいることが検知された後の初回においては、制御部311は、ステップS104でYesと判定する。この場合、制御部311は、処理をステップS105に進める。
【0080】
制御部311は、人物106がいない領域に向けて光を照射するように指向性照明装置203の照射方向を設定する(ステップS105)。例えば、制御部311は、指向性照明装置203の照射方向を、光触媒が塗布された会議室100の壁またはドアに向けるように設定する。
【0081】
制御部311は、指向性照明装置203が照射する光の照射強度を低レベルに設定する(ステップS106)。例えば、制御部311は、上記の照射強度を最小レベルのレベル1に設定する。なお、制御部311は、上記の照射強度を、最小レベルではなく、最小レベルに近いレベル(例えば、最小レベルの次に低いレベル)に設定してもよい。
【0082】
以上により、会議室100の中に人物106がいる場合に、指向性照明装置203からの光が人物106の視認性に及ぼす影響を抑制できる。
【0083】
制御部311は、ステップS105で設定された照射方向およびステップS106で設定された照射強度で指向性照明装置203が光を照射するよう制御する(ステップS107)。
【0084】
これにより、指向性照明装置203は、人物106がいない領域に向けて、照射強度が弱い光を照射する。指向性照明装置203からの光は会議室100の壁104または扉105に照射される。壁104や扉105には光触媒が塗布されている。従って、これらの領域に付着した飛沫は除菌される。
【0085】
制御部311は、赤外線カメラ205から取得した第2動画像に基づき、会議室100の中にいる人物106から発せられた飛沫の付着位置を推定する(ステップS108)。上述したように、赤外線カメラ205から取得した第2動画像に基づき、人物106の口から発せられた飛沫の気流の情報が認識できる。推定部313は、当該気流の情報に基づき、人物106から発せられた飛沫の付着位置を推定する。
【0086】
制御部311は、ビデオカメラ204から取得した第1動画像に基づき、飛沫の飛散量を推定する(ステップS109)。上述したように、推定部313は、ビデオカメラ204から取得した第1動画像に映っている人物106の動作(会話やくしゃみ等)を画像解析し、回数に異なる重み付けをして、人物106から発せられた飛沫の飛散量を推定する。
【0087】
制御部311は、推定した飛沫の付着位置および飛散量に基づき、飛沫分布を更新する(ステップS110)。このとき、制御部311は、蛍光灯202が照射する光による除菌量も飛沫分布に反映する。ステップS107の処理とステップS108~S110の処理とは並行して行われ得る。
【0088】
制御部311は、ステップS108の処理の終了後、処理をステップS101に戻す。検知部312が人物106を検知していない間、ステップS101~ステップS108の処理が繰り返される。
【0089】
例えば、ステップS105およびS106が1回実行されると、指向性照明装置203の照射方向および照射強度が設定される。このため、検知部312が人物106を検知していない間は、基本的に、再度の照射強度の制御および照射強度の設定は不要である。このような場合、制御部311は、ステップS104でNoと判定し、ステップS105およびS106の処理を省略してもよい。
【0090】
会議室100から人物106がいなくなった場合、検知部312は人物106を検知しなくなる。この場合、制御部311は、ステップS102でNoと判定し、処理を「A」から図8のステップS111に進める。図8は、図7から続くフローチャートである。
【0091】
制御部311は、記憶部302に記憶されている飛沫分布を読み出して、会議室100の飛沫残量を認識する(ステップS111)。制御部311は、飛沫分布に基づき、飛沫が残っているかを判定する(ステップS112)。
【0092】
飛沫が残っていることを飛沫分布が示している場合、制御部311は、ステップS112でYesと判定し、処理をステップS113に進める。制御部311は、設定変更を行うかを判定する(ステップS113)。
【0093】
例えば、検知部312が人物106を検知しなくなった後の初回においては、制御部311は、ステップS113でYesと判定する。この場合、制御部311は、処理をステップS114に進める。
【0094】
制御部311は、飛沫分布のうち飛沫残量が最も多い箇所に光を照射するように指向性照明装置203の照射方向を設定する(ステップS114)。また、制御部311は、指向性照明装置203の照射強度を、飛沫残量が最も多い箇所に付着している飛沫を最短で除菌できる最大の照射強度に設定する(ステップS115)。
【0095】
例えば、制御部311は、上記の照射強度を最大レベルのレベル5に設定する。なお、制御部311は、上記の照射強度を、最大レベルではなく、最大レベルに近いレベル(例えば、最大レベルの次に高いレベル)に設定してもよい。
【0096】
制御部311は、ステップS114で設定された照射方向およびステップS115で設定された照射強度で指向性照明装置203が光を照射するよう制御する(ステップS116)。
【0097】
指向性照明装置203は、人物106がいた領域(飛沫が多く付着している領域)に向けて、照射強度が強い光を照射する。これにより、例えば、机103の上面の中心の領域ように飛沫残量が多い領域に対して、指向性が高く且つ強い光が照射される。従って、机103の上面に付着している飛沫が高い効率で除菌される。
【0098】
制御部311は、上述したように、指向性照明装置203の照射強度および照射方向に基づく除菌量を算出し、飛沫分布を更新する(ステップS117)。そして、制御部311は、処理をステップS112に戻す。
【0099】
飛沫分布が示す飛沫残量が全てゼロになった場合、制御部311は、ステップS112でNoと判定する。この場合、制御部311は、指向性照明装置203からの光の照射を停止させるとともに、処理を「B」から図7のステップS101に戻す。
【0100】
一方、飛沫分布が示す飛沫残量が全てゼロになっていない場合、ステップS112~S117の処理が繰り返し行われる。指向性照明装置203が光を照射する領域は、例えば、机103の上面の一部の領域である。当該領域に付着している飛沫が全て除菌されたとしても、他の領域に飛沫が残存していることがある。
【0101】
この場合、制御部311は、ステップS113でYesと判定し、処理をステップS114に進める。ステップS114において、制御部311は、上記の他の領域のうち、最も飛沫残量が多い箇所を中心とした領域に光を照射するよう指向性照明装置203の照射方向を設定する。そして、ステップS115において、制御部311は、指向性照明装置203の照射強度を上記の他の領域に付着している飛沫を最短で除菌できる最大の照射強度に設定する。
【0102】
以上により、飛沫分布のうち最も飛沫残量が多い箇所から順番に除菌がされていく。そして、飛沫分布が示す飛沫残量が全てゼロになった時点で、制御部311は、ステップS112でNoと判定し、指向性照明装置203からの光の照射を停止させるとともに、処理を図7のステップS101に戻す。
【0103】
以上説明したように、本実施形態では、制御部311は、人物106の飛沫に関する動作の検知結果に応じて、指向性照明装置203を制御する。推定部313は、ビデオカメラ204から取得した第1動画像に基づき、人物106から発せられた飛沫の飛散量を推定し、赤外線カメラ205から取得した第2動画像に基づき、人物106から発せられた飛沫の付着範囲を推定する。
【0104】
そして、制御部311は、推定部313が推定した飛沫の付着範囲および飛沫の飛散量に応じて、指向性照明装置203の照射方向および照射強度を制御する。これにより、飛沫に関する実際の状況に応じて、照明装置を用いた除菌を効率的に行うことができる。
【0105】
また、制御部311は、会議室100の中に人物106がいるか否かに基づき、指向性照明装置203の照射方向および照射強度を制御する。これにより、飛沫に関する実際の状況に応じて、照明装置を用いた除菌を効率的に行うことができる。
【0106】
<変形例>
以上において、検知部312は、赤外線カメラ205から取得した第2動画像に基づき、人物106がいるかを検知してもよい。赤外線カメラ205は会議室100の全体を視野としており、赤外線カメラ205が撮影した第2動画像は、会議室100の中にいる人物106の温度の情報を含む。従って、赤外線カメラ205から取得した第2動画像に基づき、人物106がいるかを検知できる。
【0107】
また、推定部313は、赤外線カメラ205から取得した第2動画像に基づき、飛沫の飛散量を推定してもよい。赤外線カメラ205から取得した第2動画像から、人物106の口から発せられた飛沫の粒子の流れも認識できる。このため、推定部313は、赤外線カメラ205から取得した第2動画像から認識される飛沫の粒子の量に基づき、飛沫の飛散量を推定してもよい。
【0108】
また、推定部313は、ビデオカメラ204から取得した第1動画像に基づく飛沫の飛散量の推定結果と、赤外線カメラ205から取得した第2動画像とに基づく飛沫の飛散量の推定結果との両者を用いて、飛沫の飛散量を推定してもよい。両者の推定結果を用いることで、飛沫の飛散量をより高い精度で推定できる場合がある。
【0109】
また、制御部311は、検知部312の検知結果に応じて、指向性照明装置203と蛍光灯202とのオン・オフ制御を行ってもよい。例えば、制御部311は、検知部312が会議室100の中に人物106がいることを検知している間は、蛍光灯202をオンにして、指向性照明装置203をオフに制御する。そして、制御部311は、検知部312が人物106を検知しなくなったときに、蛍光灯202をオフに切り替えるとともに、指向性照明装置203をオンに切り替えてもよい。
【0110】
また、制御部311は、指向性照明装置203が照射する光の波長を所定波長以下(短波長)に設定してもよい。所定波長は任意に設定できる。指向性照明装置203が照射する光の波長が短波長に設定されることで、指向性照明装置203が照射する光のエネルギーが高くなるため、飛沫の除菌を速く行うことができる。制御部311は、例えば、指向性照明装置203が照射する光の青色の波長域の成分が所定量以上となるように増加させてもよい。
【0111】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態に夫々開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。更に、各実施形態に夫々開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。また、上述した実施形態で説明するフローチャートの処理の順序は、可能な限り入れ替えることができる。
【0112】
本実施形態の機能を実現するプログラムは、半導体媒体や光記録媒体、光磁気記録媒体等の非一時的な記録媒体に格納される。半導体媒体としては、例えば、不揮発性のメモリカード等が適用され得る。光記録媒体、光磁気記録媒体としては、CD(Compact Dick)やDVD(Digital Versatile Disk)等が適用され得る。また、上記プログラムは、伝送可能な任意の伝送媒体を介してコンピュータに供給されてもよい。
【符号の説明】
【0113】
101 照明装置、102 カメラ、103 机、104 壁、105 扉、106 人物、107 領域、201 制御サーバ、202 蛍光灯、203 指向性照明装置、204 ビデオカメラ、205 赤外線カメラ、301 処理部、302 記憶部、3003 通信部、311 制御部、312 検知部、313 推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8