(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172416
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】トナー供給容器用シール部材
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20231129BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G03G15/08 348B
G03G21/16 176
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084197
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154483
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 和寛
(72)【発明者】
【氏名】藤田 花織
(72)【発明者】
【氏名】高木 和典
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AA05
2H077AA09
2H077CA12
2H077FA22
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA14
2H171GA12
2H171GA29
2H171JA07
2H171JA45
2H171JA58
2H171KA05
2H171KA23
2H171UA03
(57)【要約】
【課題】へたりにくく、また、トナー漏れ抑制とトナー供給容器の電子写真機器本体への着脱性を両立したトナー供給容器用シール部材を提供する。
【解決手段】MD-1硬度が15度以上35度以下である非発泡のポリウレタンにより円筒状に構成されており、その内周面10aには、周方向に周回するように延びる凸条12が厚さ方向に複数形成されており、トナー供給容器のトナー排出口に配置される、トナー供給容器用シール部材10とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー供給容器のトナー排出口に配置される円筒状のトナー供給容器用シール部材であって、
前記トナー供給容器用シール部材は、MD-1硬度が15度以上35度以下である非発泡のポリウレタンで構成されており、
前記トナー供給容器用シール部材の内周面には、周方向に周回するように延びる凸条が厚さ方向に複数形成されている、トナー供給容器用シール部材。
【請求項2】
前記凸条の高さが、0.25mm以上0.70mm以下である、請求項1に記載のトナー供給容器用シール部材。
【請求項3】
前記凸条の形成間隔が、1.0mm以上1.4mm以下である、請求項1または請求項2に記載のトナー供給容器用シール部材。
【請求項4】
前記トナー供給容器用シール部材の内径変形量が、102%以上105%以下である、請求項1または請求項2に記載のトナー供給容器用シール部材。
【請求項5】
複数の前記凸条を有する前記トナー供給容器用シール部材の内周面の厚さ方向の断面形状が鋸歯状である、請求項1または請求項2に記載のトナー供給容器用シール部材。
【請求項6】
前記トナー供給容器用シール部材の厚さが、3.0mm以上5.0mm以下である、請求項1または請求項2に記載のトナー供給容器用シール部材。
【請求項7】
前記凸条の高さが、0.25mm以上0.70mm以下であり、
前記凸条の形成間隔が、1.0mm以上1.4mm以下であり、
前記トナー供給容器用シール部材の内径変形量が、102%以上105%以下であり、
複数の前記凸条を有する前記トナー供給容器用シール部材の内周面の厚さ方向の断面形状が鋸歯状であり、
前記トナー供給容器用シール部材の厚さが、3.0mm以上5.0mm以下である、請求項1に記載のトナー供給容器用シール部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真機器に装着されるトナー供給容器のトナー排出口に配置される円筒状のトナー供給容器用シール部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真機器においては、トナーの供給にあたり、例えば
図2に示すように、電子写真機器本体30のトナーを供給する部位の装着用開口部30aに、トナーが充填されたトナー供給容器20を着脱可能に装着することが行われている。トナー供給容器20は、トナーが収容される本体部20aと、収容されているトナーの排出のために本体部20aの一端側に突出して形成された開口突出部20bと、を備えており、開口突出部20bは、封止部材22により開閉自在に封止されるようになっている。封止部材22は、開口突出部20bの内部に、円筒状のシール部材10を介して開口突出部20bの内周面に摺動可能に嵌入されている。トナー供給容器20が電子写真機器本体30の装着用開口部30aに装着される際には、電子写真機器本体30の装着用開口部30a内に配置された突き当て部材32が封止部材22をトナー供給容器20の本体部20a奥に突き、突き当て部材32の先端に形成されたトナー排出口32aがトナー供給容器20の本体部20a内に入り込むことで、トナー供給容器20から電子写真機器本体30にトナーの排出が行われるようになる。そして、電子写真機器本体30からトナー供給容器20を取り外す際には、封止部材22を付勢している付勢部材24の付勢力により、封止部材22は開口突出部20bの内部の元の位置に戻り、開口突出部20bは封止されるようになる。このように、電子写真機器本体30にトナー供給容器20を着脱すると、封止部材22はシール部材10を介して開口突出部20bの内周面に摺動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トナー供給容器のシール部材には、スポンジが用いられている。しかしながら、スポンジからなるシール部材はへたりやすい。シール部材がへたると、トナー漏れが起こりやすくなる。また、トナー漏れを抑えるためにシール部材の緊迫力を強くすると、トナー供給容器の電子写真機器本体への着脱がしにくくなる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、へたりにくく、また、トナー漏れ抑制とトナー供給容器の電子写真機器本体への着脱性を両立したトナー供給容器用シール部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明に係るトナー供給容器用シール部材は、トナー供給容器のトナー排出口に配置される円筒状のトナー供給容器用シール部材であって、前記トナー供給容器用シール部材は、MD-1硬度が15度以上35度以下である非発泡のポリウレタンで構成されており、前記トナー供給容器用シール部材の内周面には、周方向に周回するように延びる凸条が厚さ方向に複数形成されている。
【0007】
前記凸条の高さは、0.25mm以上0.70mm以下であるとよい。前記凸条の形成間隔は、1.0mm以上1.4mm以下であるとよい。前記トナー供給容器用シール部材の内径変形量は、102%以上105%以下であるとよい。複数の前記凸条を有する前記トナー供給容器用シール部材の内周面の厚さ方向の断面形状は鋸歯状であるとよい。前記トナー供給容器用シール部材の厚さは、3.0mm以上5.0mm以下であるとよい。
【0008】
(1)本発明に係るトナー供給容器用シール部材は、トナー供給容器のトナー排出口に配置される円筒状のトナー供給容器用シール部材であって、前記トナー供給容器用シール部材は、MD-1硬度が15度以上35度以下である非発泡のポリウレタンで構成されており、前記トナー供給容器用シール部材の内周面には、周方向に周回するように延びる凸条が厚さ方向に複数形成されている。
【0009】
(2)上記(1)において、前記凸条の高さは、0.25mm以上0.70mm以下であるとよい。
【0010】
(3)上記(1)または上記(2)において、前記凸条の形成間隔は、1.0mm以上1.4mm以下であるとよい。
【0011】
(4)上記(1)から上記(3)のいずれかにおいて、前記トナー供給容器用シール部材の内径変形量は、102%以上105%以下であるとよい。
【0012】
(5)上記(1)から上記(4)のいずれかにおいて、複数の前記凸条を有する前記トナー供給容器用シール部材の内周面の厚さ方向の断面形状は鋸歯状であるとよい。
【0013】
(6)上記(1)から上記(5)のいずれかにおいて、前記トナー供給容器用シール部材の厚さは、3.0mm以上5.0mm以下であるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るトナー供給容器用シール部材によれば、MD-1硬度が15度以上35度以下である非発泡のポリウレタンで構成されており、その内周面には周方向に周回するように延びる凸条が厚さ方向に複数形成されていることから、スポンジ(発泡体)のシール部材と比べてへたりにくく、また、トナー漏れ抑制とトナー供給容器の電子写真機器本体への着脱性を両立することができる。
【0015】
そして、前記凸条の高さが0.25mm以上0.70mm以下であると、トナー漏れ抑制とトナー供給容器の電子写真機器本体への着脱性のバランスに優れる。
【0016】
また、前記凸条の形成間隔が1.0mm以上1.4mm以下であると、トナー漏れ抑制とトナー供給容器の電子写真機器本体への着脱性のバランスに優れる。
【0017】
また、前記トナー供給容器用シール部材の内径変形量が102%以上105%以下であると、トナー漏れ抑制とトナー供給容器の電子写真機器本体への着脱性のバランスに優れる。
【0018】
そして、複数の前記凸条を有する前記トナー供給容器用シール部材の内周面の厚さ方向の断面形状が鋸歯状であると、トナー漏れ抑制の効果により優れる。
【0019】
そして、前記トナー供給容器用シール部材の厚さが3.0mm以上5.0mm以下であると、トナー漏れ抑制とトナー供給容器の電子写真機器本体への着脱性のバランスに優れる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトナー供給容器用シール部材の外観模式図(a)と、その厚さ方向の断面図(b)である。
【
図2】トナー供給容器を電子写真機器本体に装着する様子を示した断面図であり、
図2(a)は装着前の状態、
図2(b)は装着後の状態である。
【
図3】トナー供給容器用シール部材の他の実施形態を示した厚さ方向の断面図であり、
図3(a)は内周面が波形のもの、
図3(b)は内周面が角形のもの、
図3(c)は内周面が
図1(b)とは逆の鋸歯形のものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係るトナー供給容器用シール部材について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るトナー供給容器用シール部材の外観模式図(a)と、その厚さ方向の断面図(b)である。
図2は、トナー供給容器を電子写真機器本体に装着する様子を示した断面図であり、
図2(a)は装着前の状態、
図2(b)は装着後の状態である。
【0022】
トナー供給容器用シール部材10(以下、単にシール部材10ということがある。)は、トナー供給容器20のトナー排出口に配置される円筒状のものである。
【0023】
トナー供給容器20は、トナーが収容される有底円筒状の本体部20aと、本体部20aの開口側の一端に本体部20aよりも小径にて突出形成され収容されているトナーが排出される開口部を有する円筒状の開口突出部20bと、を備えている。開口突出部20bは、封止部材22により開閉自在に封止されるようになっている。封止部材22は、開口突出部20bの内径よりも小径の円柱体で構成されている。封止部材22は開口突出部20bの内部に配置されている。封止部材22は、トナー供給容器20の本体部20aの内部に配置されたばね様の付勢部材24により本体部20aの内部から開口突出部20bの内部の方向に向かって付勢された状態となっている。開口突出部20bの開口側端部の内部には、開口突出部20bの内周面に接するようにシール部材10が配置されている。封止部材22の開口側端部は、このシール部材10に摺動可能に嵌入されている。すなわち、封止部材22は、円筒状のシール部材10を介して開口突出部20bの内周面に摺動可能に嵌入されている。
【0024】
電子写真機器本体30には、トナー供給容器20が装着される装着用開口部30aが設けられている。電子写真機器本体30の装着用開口部30a内には、突き当て部材32が配置されている。突き当て部材32の先端には、トナー供給容器20内のトナーを電子写真機器本体30内に排出する連携口となるトナー排出口32aが形成されている。
【0025】
トナー供給容器20が電子写真機器本体30の装着用開口部30aに装着される際には、電子写真機器本体30の装着用開口部30b内に配置された突き当て部材32が封止部材22をトナー供給容器20の本体部20a奥に突き、突き当て部材32の先端に形成されたトナー排出口32aがトナー供給容器20の本体部20a内に入り込むことで、トナー供給容器20から電子写真機器本体30にトナーの排出が行われるようになる。そして、電子写真機器本体30からトナー供給容器20を取り外す際には、封止部材22を付勢している付勢部材24の付勢力により、封止部材22は開口突出部20bの内部の元の位置に戻り、開口突出部20bは再び封止されるようになる。このように、電子写真機器本体30にトナー供給容器20を着脱すると、封止部材22はシール部材10を介して開口突出部20bの内周面に摺動する。そして、封止部材22の外周面がシール部材10の内周面10aに摺動する。そして、封止部材22の外周面とシール部材10の内周面10aの間の摩擦力によって、トナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱しやすさが調整されるとともに、封止部材22の外周面とシール部材10の内周面10aの間の緊迫力によってこの間からのトナー漏れ抑制が調整される。
【0026】
シール部材10は、非発泡(充実、ソリッド)のポリウレタンで構成されている。このため、スポンジ(発泡体)のシール部材と比較して、へたりにくい。そうすると、長期使用や再利用などにおいて優位である。また、非発泡のシール部材10は多孔質ではないため、トナーがシール部材10の内部に入り込んでトナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱時などにトナーの飛散が生じるおそれがない。また、シール部材10は、MD-1硬度が15度以上35度以下のポリウレタンで構成されている。このため、非発泡であっても封止部材22との接触時に押圧力で潰れやすく、高いシール性を確保しやすい。したがって、トナー漏れ抑制の効果を高くすることができる。そして、シール部材10は、その内周面10aに、周方向に周回するように延びる凸条12が厚さ方向に複数形成されている。これにより、封止部材22との間で、緊迫力を確保しつつ、トナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性にも優れるようになる。
【0027】
シール部材10のMD-1硬度は、トナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性に優れるなどの観点から、より好ましくは20度以上、さらに好ましくは25度以上である。また、シール部材10のMD-1硬度は、トナー漏れ抑制の効果に優れるなどの観点から、より好ましくは33度以下、さらに好ましくは30度以下である。
【0028】
シール部材10を構成するポリウレタンは、ウレタン組成物から形成される。ウレタン組成物は、ポリオールおよびポリイソシアネートを含有する。ポリオールおよびポリイソシアネートは、ウレタンゴムを形成するために用いられるウレタンゴム形成用のポリオールおよびポリイソシアネートであれば特に限定されるものではない。ウレタン組成物のポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール等が挙げられる。
【0029】
ポリエステルポリオールとしては、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキシレンアジペート(PHA)、エチレンアジペートとブチレンアジペートとの共重合体(PEA/BA)などをより好適なものとして挙げることができる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、これらのエチレンオキサイド変性タイプポリオール、ポリエチレングリコール(PEG)等が挙げられる。
【0030】
ポリイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、MDIやポリメリックMDIの混合物であるクルードMDI(c-MDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PDI)、リジンジイソシアネートメチルエステル(LDI)、ジメチルジイソシアネート(DDI)、多量体であるMDIヌレート、HDIヌレート、TDIヌレート、これらを尿素化、ビュレット化、アロファネート化、カルボジイミド化、ウレタン化などした変性体などが挙げられる。
【0031】
ウレタン組成物には、ポリオール、ポリイソシアネートに加えて、鎖延長剤、架橋剤、触媒、界面活性剤、着色剤、充填剤、可塑剤、安定剤、離型剤等を含有させてもよい。触媒は、ウレタン組成物のウレタン化反応やヌレート化反応、アロハネート化反応、ウレア結合化反応などを促進する触媒として用いられる触媒である。鎖延長剤としては、1,4-ブタンジオール(1,4-BD)、エチレングリコール(EG)、1,6-ヘキサンジオール(1,6-HD)、ジエチレングリコール(DEG)、プロピレングリコール(PG)などが挙げられる。架橋剤としては、トリメチロールプロパン(TMP)、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,6-ヘキサントリオールなどが挙げられる。触媒としては、第三級アミン等のアミン系化合物、有機錫化合物等の有機金属化合物等が挙げられる。
【0032】
凸条12の高さhは、トナー漏れ抑制の効果に優れるなどの観点から、0.25mm以上が好ましい。より好ましくは0.30mm以上、さらに好ましくは0.35mm以上である。また、凸条12の高さhは、トナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性に優れるなどの観点から、0.70mm以下であることが好ましい。より好ましくは0.65mm以下、さらに好ましくは0.60mm以下である。そして、凸条12の高さhは、トナー漏れ抑制とトナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性のバランスに優れるなどの観点から、0.25mm以上0.70mm以下が好ましい。凸条12の高さhは、凸条12の基部から頂部までの垂直方向の距離で表すことができる。
【0033】
凸条12の形成間隔dは、トナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性に優れるなどの観点から、1.0mm以上が好ましい。より好ましくは1.1mm以上である。また、凸条12の形成間隔dは、トナー漏れ抑制の効果に優れるなどの観点から、1.4mm以下であることが好ましい。より好ましくは1.3mm以下である。そして、凸条12の形成間隔dは、トナー漏れ抑制とトナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性のバランスに優れるなどの観点から、1.0mm以上1.4mm以下が好ましい。凸条12の形成間隔dは、凸条12の頂部間距離で表すことができる。
【0034】
凸条12の基部の幅は、トナー漏れ抑制の効果に優れる、トナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性に優れるなどの観点から、0.3mm以上1.2mm以下が好ましい。より好ましくは0.5mm以上0.7mm以下である。
【0035】
シール部材10の内周面10aにおける凸条12の数は、トナー漏れ抑制の効果に優れるなどの観点から、2以上が好ましい。より好ましくは3以上である。また、シール部材10の内周面10aにおける凸条12の数は、トナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性に優れるなどの観点から、5以下が好ましい。より好ましくは4以下である。
【0036】
シール部材10の内径変形量は、トナー漏れ抑制の効果に優れるなどの観点から、102%以上が好ましい。より好ましくは103%以上である。また、シール部材10の内径変形量は、トナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性に優れるなどの観点から、105%以下が好ましい。より好ましくは104%以下である。そして、シール部材10の内径変形量は、トナー漏れ抑制とトナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性のバランスに優れるなどの観点から、102%以上105%以下が好ましい。シール部材10の内径変形量は、封止部材22がシール部材10に嵌入される前に対する嵌入された後の内径r2の大きさの変化率で表すことができる。なお、
図1(a)において、r1は外径を表し、r2は内径を表す。
【0037】
シール部材10の厚さtは、トナー漏れ抑制の効果に優れるなどの観点から、3.0mm以上が好ましい。より好ましくは3.5mm以上である。また、シール部材10の厚さtは、トナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性に優れるなどの観点から、5.0mm以下が好ましい。より好ましくは4.5mm以下である。そして、シール部材10の厚さtは、トナー漏れ抑制とトナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性のバランスに優れるなどの観点から、3.0mm以上5.0mm以下が特に好ましい。
【0038】
図1に示すシール部材10の、内周面10aの厚さ方向の断面形状は、
図1(b)に示すように、鋸歯形(のこぎりの歯の形)である。なお、シール部材10の内周面10aの厚さ方向の断面形状は、
図1(b)に示す鋸歯形に限られない。種々の形状とすることができる。複数の凸条12を有するシール部材10の内周面10aの厚さ方向の断面形状としては、その他に、例えば、波形、角形など、種々の形状とすることができる。角形としては、四角形、三角形、台形などが挙げられる。そして、上記各形状においては、角に面取りなどの加工がなされていてもよい。
【0039】
図3(a)には、波形の断面形状のものを示している。
図3(b)には、四角形の断面形状のものを示している。
図3(c)には、
図1(b)の鋸歯形とは歯の向きが反対の逆鋸歯形の断面形状のものを示している。これらのうちでは、鋸歯形が特に好ましい。シール部材10の内周面10aの厚さ方向の断面形状が鋸歯形であると、トナー漏れ抑制とトナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性に特に優れる。
【0040】
シール部材10は、成形金型に未架橋のウレタン組成物を注入して、加熱・硬化(架橋)させた後、脱型するなどにより、形成することができる。シール部材10の内周面10aに複数の凸条12を形成するとしては、研磨、型成形などが挙げられる。シール部材10のMD-1硬度は、ウレタン組成物の組成などにより調整することができる。
【0041】
以上の構成のシール部材10によれば、MD-1硬度が15度以上35度以下である非発泡のポリウレタンで構成されており、その内周面10aには、周方向に周回するように延びる凸条12が厚さ方向に複数形成されていることから、スポンジからなるシール部材よりもへたりにくく、また、トナー漏れ抑制とトナー供給容器20の電子写真機器本体30への着脱性を両立することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【実施例0043】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明する。
【0044】
(実施例1)
シール部材の成形金型を用い、非発泡のウレタンゴムのシール部材を形成した。シール部材の内周面には、周方向に周回するように延びる凸条が厚さ方向に複数形成されている。凸条の形状は、
図1(b)に示すような鋸歯形とした。MD-1硬度、凸条高さ、凸条間隔、内径変形量、厚さは、表1の通りである。
【0045】
(実施例2~3)
ウレタンゴムの組成を調整してMD-1硬度を変更した以外は実施例1と同様にして、非発泡のウレタンゴムのシール部材を形成した。
【0046】
(実施例4、6)
凸条高さを変更した以外は実施例1と同様にして、非発泡のウレタンゴムのシール部材を形成した。
【0047】
(実施例5)
凸条高さとMD-1硬度を変更した以外は実施例1と同様にして、非発泡のウレタンゴムのシール部材を形成した。
【0048】
(実施例7、8)
凸条間隔とMD-1硬度を変更した以外は実施例1と同様にして、非発泡のウレタンゴムのシール部材を形成した。
【0049】
(実施例9)
凸条間隔を変更した以外は実施例1と同様にして、非発泡のウレタンゴムのシール部材を形成した。
【0050】
(実施例10、11)
内径の大きさを変更して内径変形量を変更した以外は実施例1と同様にして、非発泡のウレタンゴムのシール部材を形成した。
【0051】
(実施例12~14)
凸条の形状を変更した以外は実施例1と同様にして、非発泡のウレタンゴムのシール部材を形成した。凸条の形状は、
図3(a)に示すような波形(実施例12)、
図3(b)に示すような角形(実施例13)、
図3(c)に示すような逆鋸歯形(実施例14)とした。
【0052】
(実施例15~18)
厚さを変更した以外は実施例1と同様にして、非発泡のウレタンゴムのシール部材を形成した。
【0053】
(比較例1)
シール部材の成形金型を用い、発泡ウレタンゴムのシール部材を形成した。また、シール部材の内周面には、凸条を形成しなかった。
【0054】
(比較例2)
凸条を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、非発泡のウレタンゴムのシール部材を形成した。
【0055】
(比較例3)
スパイラル状の凸条とした以外は実施例1と同様にして、非発泡のウレタンゴムのシール部材を形成した。
【0056】
(比較例4~5)
ウレタンゴムの組成を調整してMD-1硬度を変更した以外は実施例1と同様にして、非発泡のウレタンゴムのシール部材を形成した。
【0057】
作製したシール部材を用い、トナー漏れ抑制の評価、トナー供給容器の電子写真機器本体(実機)への着脱性の評価、ヘタリや汚れの評価を行った。評価結果を以下の表に示す。なお、
図1(b)の鋸歯形のものは、傾斜の方向がトナー供給容器の開口端から内部に向くように配置し、
図3(c)の逆鋸歯形のものは、傾斜の方向がトナー供給容器の内部から開口端に向くように配置した。
【0058】
(トナー漏れ抑制の評価)
以下の<1><2>の試験を行い、いずれの試験においてもトナー漏れが見られなかった場合を「○」、<1>の試験においてトナー漏れが見られた場合を「×」、<2>の試験において8回目以降の落下により微量のトナー漏れが見られた場合を「△」、7回目までの落下によりトナー漏れが見られた場合を「×」とした。
<1>トナー供給容器の振り試験:シール部材を装着したトナー供給容器のシール部材側を重力方向に上向きにして縦に10回振り、続いてシール部材側を重力方向に下向きにして縦に10回振り、続いてシール部材側を横向きにして横に10回振った。
<2>トナーボトルの梱包落下試験:シール部材を装着したトナー供給容器を梱包し、90cmの高さから10回落下させた。
【0059】
(実機への着脱性の評価)
以下の<3><4>の試験を行い、いずれかの試験のより低い評価結果を採用した。
<3>実機取付試験:シール部材を装着したトナー供給容器を実機に取り付ける際の力をプッシュプルゲージにて測定した。10N以上35N以下の場合を「○」、35N超40N以下の場合を「△」、40N超の場合を「×」とした。
<4>実機引抜試験:シール部材を装着したトナー供給容器を実機に取り付け、5回転させた後、取り外す動作を5回繰り返し行い、5回の引抜動作におけるトナー飛散量を計量器で測定した。トナー飛散量が5g以下の場合を「○」、トナー飛散量が5g超10g未満の場合を「△」、トナー飛散量が10g以上の場合を「×」とした。
【0060】
(へたりの評価)
トナー供給容器の封止部材と同径の金属シャフトにシール部材を圧入し、40℃95%RHにて60日間放置し、放置前後の内径変化を評価した。内径変形量が100.0%以上100.9%以下の場合を「○」、内径変形量が101.0%以上103.0%以下の場合を「△」、内径変形量が103.1%以上を「×」とした。
【0061】
(汚れの評価)
トナーが入ったケースにシール部材を入れ、40℃にて14日間放置し、シール部材のトナー付着を目視にて確認した。トナー付着が見られなかった場合を「○」、トナー付着が見られた場合を「×」とした。
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
比較例1は、トナー供給容器のシール部材がウレタンスポンジで構成されている。比較例1では、へたりやトナー付着が見られた。このため、長期使用や再利用などができないおそれがある。比較例2は、シール部材が非発泡のポリウレタンで構成されているが、内周面に凸条が設けられていない。比較例2では、トナー漏れが抑制されておらず、また、トナー供給容器の電子写真機器本体(実機)への着脱性にも劣っている。比較例3は、シール部材が非発泡のポリウレタンで構成され、内周面に凸条が設けられているが、凸条は周方向に周回するように延びるものではなく、スパイラル状である。比較例3では、トナー漏れが抑制されていない。比較例4~5は、シール部材が非発泡のポリウレタンで構成されているが、MD-1硬度が所定範囲内にない。比較例4は、MD-1硬度が低いため、トナー供給容器の実機への着脱性に劣っている。比較例5は、MD-1硬度が高いため、トナー漏れが抑制されていない。トナー供給容器の実機への着脱性にも劣っている。
【0067】
これに対し、各実施例は、トナー供給容器のシール部材がMD-1硬度15度以上35℃以下である非発泡のポリウレタンで構成され、その内周面には、周方向に周回するように延びる凸条が厚さ方向に複数形成されている。そして、各実施例によれば、トナー漏れが抑制されており、トナー供給容器の実機への着脱性にも優れ、へたりやトナー付着もない。
【0068】
以上、本発明の実施形態・実施例について説明したが、本発明は上記実施形態・実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。