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  • 特開-害虫忌避用エアゾール製品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172427
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】害虫忌避用エアゾール製品
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/06 20060101AFI20231129BHJP
   A01P 17/00 20060101ALI20231129BHJP
   A01N 37/18 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A01N25/06
A01P17/00
A01N37/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084215
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000149181
【氏名又は名称】株式会社大阪製薬
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】得野 克成
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC06
4H011BA07
4H011BB06
4H011BC03
4H011BC22
4H011DA21
4H011DB05
4H011DD05
4H011DE16
(57)【要約】
【課題】
害虫忌避成分を含有する害虫忌避剤に関するエアゾール製品について、5℃などの低い温度と40℃などの高い温度において噴霧したときに、おおよそ同じくらいの害虫忌避剤を被着体に付着させることができる害虫忌避用エアゾール製品を提供することを目的とする。
【解決手段】
外装容器と、外装容器に収容され、DEET、イカリジン、3-[N-アセチル-N-ブチル]-アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール、精油から選ばれる少なくとも1種である害虫忌避成分を含有する害虫忌避剤と、外装容器に害虫忌避剤とともに充填されている不燃性圧縮気体を備え、害虫忌避剤を、噴霧口から30cmに位置する25cm四方の布に対して3秒間噴霧したとき、5℃雰囲気下における付着量に対する40℃雰囲気下における付着量が0.9~1.1倍である害虫忌避用エアゾール製品により解決することができた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装容器と、
前記外装容器に収容され、DEET、イカリジン、3-[N-アセチル-N-ブチル]-アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール、精油から選ばれる少なくとも1種である害虫忌避成分を含有する害虫忌避剤と、
前記外装容器に前記害虫忌避剤とともに充填されている不燃性圧縮気体を備え、
前記害虫忌避剤を、前記噴霧口から30cmに位置する25cm四方の布に対して3秒間噴霧したとき、5℃雰囲気下における付着量に対する40℃雰囲気下における付着量が0.9~1.1倍であることを特徴とする害虫忌避用エアゾール製品。
【請求項2】
前記不燃性圧縮気体が、25℃において0.5~1.0MPaの圧力で封入されていることを特徴とする請求項1に記載の害虫忌避用エアゾール製品。
【請求項3】
前記害虫忌避剤における前記害虫忌避成分が0.1~30w/v%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の害虫忌避用エアゾール製品。
【請求項4】
前記噴霧口の口径が、0.1~0.5mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の害虫忌避用エアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、使用者の身体や頭髪又は衣類や寝具に噴霧することで、蚊、虻、シラミなどの害虫に対して噴霧された使用者や対象物などの被着体から避けさせるための忌避剤を内包するエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、畳やカーペットに存在する害虫を駆除するためなどに用いられるエアゾール製品が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着したエアゾール容器と、エアゾール容器内に充填されるエアゾール組成物と、エアゾールバルブに装着される噴射部材とからなり、前記エアゾール組成物が炭化水素系溶剤を含有する原液と可燃性液化ガスとからなり、原液と可燃性液化ガスとの割合配合が50/50~30/70(容積比)であるエアゾール製品が開示されており、実施例Aには、原液として炭化水素系溶剤(商品名:ネオチオゾール)120mlを3ピース型のブリキ製耐圧容器に充填した後に、可燃性液化ガスとして液化石油ガスとジメチルエーテルの混合物(LPG(25℃での蒸気圧が0.20MPa)/DME=72.2/27.8(重量比))180mlをアンダーカップ充填により充填したエアゾール製品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-320857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のエアゾール製品においては、液化石油ガス(LPG)などの可燃性液化ガスを使用しているところ、液化石油ガス(LPG)が温度による圧力差が比較的大きいため、温度が低い時季に十分な効果が発現するように液化石油ガス(LPG)が封入されていると温度が高い時季では液化石油ガス(LPG)の圧力が大きく勢いよく原液が噴霧され、付着体への付着量が少なくなり、十分な効果を発現することが難しい懸念があった。
【0006】
そこで、本件発明では、害虫忌避成分を含有する害虫忌避剤に関するエアゾール製品について、5℃などの低い温度と40℃などの高い温度において噴霧したときに、おおよそ同じくらいの害虫忌避剤を噴霧された使用者や対象物などの被着体に付着させることができる害虫忌避用エアゾール製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕すなわち、本発明は、外装容器と、前記外装容器に収容され、DEET、イカリジン、3-[N-アセチル-N-ブチル]-アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール、精油から選ばれる少なくとも1種である害虫忌避成分を含有する害虫忌避剤と、前記外装容器に前記害虫忌避剤とともに充填されている不燃性圧縮気体を備え、前記害虫忌避剤を、前記噴霧口から30cmに位置する25cm四方の布に対して3秒間噴霧したとき、5℃雰囲気下における付着量に対する40℃雰囲気下における付着量が0.9~1.1倍であることを特徴とする害虫忌避用エアゾール製品である。
【0008】
〔2〕そして、前記不燃性圧縮気体が、25℃において0.5~1.0MPaの圧力で封入されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の害虫忌避用エアゾール製品である。
【0009】
〔3〕そして、記害虫忌避剤における前記害虫忌避成分が0.1~30w/v%であることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の害虫忌避用エアゾール製品である。
【0010】
〔4〕そして、前記噴霧口の口径が、0.1~0.5mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の害虫忌避用エアゾール製品である。
【発明の効果】
【0011】
本件発明によれば、害虫忌避成分を含有する害虫忌避剤に関するエアゾール製品について、5℃などの低い温度と40℃などの高い温度において噴霧したときに、おおよそ同じくらいの害虫忌避剤を噴霧された使用者や対象物などの被着体に付着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施形態の害虫忌避用エアゾール製品における中央断面図である。
図2】本発明の第二実施形態の害虫忌避用エアゾール製品における中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本件発明の害虫忌避用エアゾール製品に関する実施形態について詳しく説明する。なお、説明中における範囲を示す表記「~」のある場合は、上限と下限を含有するものである。
【0014】
外装容器1は、本発明の害虫忌避用エアゾール製品において、使用者から視認することができる最も外側に位置し、内部に害虫忌避剤2を収容する部材である。外装容器1の内部に不燃性圧縮気体Gを充填することから、アルミ合金などの金属、所定厚みを有する合成樹脂など所定の圧力以下では破断しないように耐圧性を有している。本実施形態において、外装容器1は、上部に開口を有する中空の有底円筒状である。その上部の開口は、図1に示すように、マウンティングカップ3によって封止される。
【0015】
次に、外装容器1に内包される害虫忌避剤2について説明する。
【0016】
害虫忌避剤2に含有される害虫忌避成分は、DEET(N,N-ジエチル-m-トルアミド)、イカリジン、3-[N-アセチル-N-ブチル]-アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール、精油から選ばれる少なくとも1種である。当該害虫忌避成分が含有されることにより、害虫忌避剤2が噴霧されて使用者の身体や対象物などの被着体に付着したときに、蚊、虻、シラミなどの害虫が寄り付きにくくなり、それら害虫を忌避することができる。精油は、植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから水蒸気蒸留法、熱水蒸留法などの方法により抽出される揮発性の油性化合物である。本件発明における精油としては、カナンガ油、ペパーミント油、ヒバ油、ハッカ油、レモングラス油、ケイヒ油、ベチバー油、スペアミント油、フェンネル油、イランイラン油、ゼラニウム油、スターアニス油、月桃葉油、シトロネラ油、ナツメグ油、カルダモン油、ジンジャー油、セターウッド油、クローブ油、ヒノキ油、アニス油、ティートリー油、ラベンダー油、コリアンダー油、クラリセージ油、ジュニパーベリー油、ブラックペッパー油、パチョリ油、ローズマリー油、ユーカリ油などが好ましい。これらの害虫忌避剤2は、単体で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0017】
害虫忌避成分の害虫忌避剤2における含有割合としては、0.1~30w/v%であることが好ましく、そして1~25w/v%であることがより好ましく、3~20w/v%が最も好ましい。害虫忌避成分の含有割合がこの範囲であると、使用者の身体や対象物などの被着体に付着したときに、蚊、虻、シラミなどの害虫を十分に忌避することができる。なお、w/v%の表記は、組成物100mLあたりのグラム数(g)を百分率で示したものであり、他の段落における同表記も同様である。
【0018】
本発明の害虫忌避剤2において保湿剤を配合することができる。当該保湿剤は、害虫忌避剤2を使用者の身体に付着したときに、使用者の身体の水分が飛散して皮膚がカサカサになることを防ぎ、その水分を使用者の身体に留めておくための成分である。
【0019】
保湿剤としては、具体的に、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビットなどの多価アルコールやヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウムなどの多糖類などが好ましい。これらの保湿剤は単独して使用することができるが、二種以上組み合わせて使用されてもよい。
【0020】
保湿剤の含有割合は、害虫忌避剤2のうち、0.01~3.0w/v%が好ましく、0.03~1.0w/v%がさらに好ましい。保湿剤の含有割合がこの範囲にあると、使用者の身体の水分が飛散することを防止することができ、さらに、ベタつきを抑えることができる。
【0021】
本発明の害虫忌避剤2において、炭素数1~3の低級アルコールや水を溶媒として含有していてもよい。
【0022】
具体的に、炭素数1~3の低級アルコールとしては、エタノール、プロパノールなどが好ましい。そして、害虫忌避剤における炭素数1~3の低級アルコールの配合割合は、30~60w/v%であることが好ましく、35~55w/v%であることが好ましい。
【0023】
具体的に、水としては、日本薬局方規格の水が好ましく、例えば、水道水、井戸水などである常水、そして、蒸留、イオン交換膜によるイオン交換処理、限外ろ過膜による限外ろ過処理のいずれか、またはそれらの組み合わせにより常水を処理した精製水、そして、加熱等により精製水を滅菌処理した滅菌精製水などが好ましい。そして、害虫忌避剤における水の配合割合は、30~65w/v%であることが好ましく、35~60w/v%であることが好ましい。
【0024】
本発明の害虫忌避剤2において、炭素数1~3の低級アルコールや水の含有割合がこの範囲にあると、使用者の身体や対象物などの被着体に噴霧するときに、害虫忌避成分を均等に付着させて、蚊、虻、シラミなどの害虫を満遍なく忌避することができる。
【0025】
害虫忌避剤2には、上記した成分の他に、香料などを配合することもできる。例えば、香料が含有されることで、香料の匂いがしている間は、害虫忌避成分も残存しており、害虫の忌避効果が継続されていることを使用者が感知することができる。
【0026】
このようにして配合された害虫忌避剤2は、噴霧口71から噴霧されたとき、噴霧口71から30cmに位置する25cm四方の布に対して3秒間噴霧したとき、5℃雰囲気下における付着量に対する40℃雰囲気下における付着量が0.9~1.1倍であることが好ましく、0.92~1.08倍であることがさらに好ましい。このように、40℃雰囲気下における付着量/5℃雰囲気下における付着量=0.9~1.1倍であると、5℃などの低い温度と40℃などの高い温度において、おおよそ同じくらいの害虫忌避剤を噴霧された使用者や対象物などの被着体に付着することができており、寒い時季でも暑い時季でも同じように害虫を忌避することができる。
【0027】
本発明の不燃性圧縮気体Gは、害虫忌避剤2とともに外装容器1に充填され、外装容器1内にて大気圧より高い圧力の状態の気体である。不燃性圧縮気体Gが充填されることにより、温度による圧力差が小さいことから、5℃などの低い温度と40℃などの高い温度において、おおよそ同じくらいの害虫忌避剤を噴霧された使用者や対象物などの被着体に付着することができる。そして、さらに、不燃性圧縮気体Gであれば、害虫忌避剤とともに噴霧されても、火気により引火及び燃焼が起きず、安全性に優れている。後述するアクチュエータ7が押されることにより、不燃性圧縮気体Gが害虫忌避剤2を直接的に又は間接的に押圧して外部へ排出することとなる。不燃性圧縮気体としては、例えば、窒素、二酸化炭素、亜酸化窒素、ヘリウム、アルゴンであることが好ましい。
【0028】
また、害虫忌避剤2とともに外装容器1に充填されている不燃性圧縮気体Gの圧力としては、25℃において0.5~1.0MPaであることが好ましく、0.7~0.9MPaであることがより好ましい。不燃性圧縮気体Gの圧力がこの範囲であると、不燃性圧縮気体Gとともに害虫忌避剤2が円滑に排出される。
【0029】
本件エアゾール製品は、第一実施形態として、図1に示すように、外装容器1、害虫忌避剤2、マウンティングカップ3、ステム4、弾性バネ5、チューブ6、アクチュエータ7などから構成されている。外装容器1に収容されている害虫忌避剤2と不燃性圧縮気体Gは、外装容器1の外部より圧力が高くなっている。このため、アクチュエータ7が押下されると、弾性バネ5が付勢力に抗ってステム4も押下されることにより、ステム孔41が外装容器1の内部と連通し、不燃性圧縮気体Gに押圧された害虫忌避剤2が、チューブ6、ステム4を通じてアクチュエータ7の噴霧口71から外部に排出される。
【0030】
また、噴霧口71の口径が、0.1~0.5mmあることが好ましく、0.2~0.4mmであることが好ましい。噴霧口71の口径がこの範囲であると、不燃性圧縮気体Gとともに害虫忌避剤2が円滑に排出され、使用者の身体や対象物などの被着体に虫忌避剤2を均等に付着させることができる。
【0031】
また、本件エアゾール製品は、第二実施形態として、図2に示すように、外装容器1、害虫忌避剤2、袋体B、マウンティングカップ3、ステム4、弾性バネ5、チューブ6、アクチュエータ7などから構成されている。外装容器1に収容されている樹脂などからなる可撓性を有する袋体Bは、外装容器1と袋体Bの間の空間Sに充填されている不燃性圧縮気体Gに常に押圧されている。このため、アクチュエータ7が押下されると、弾性バネ5が付勢力に抗ってステム4も押下されることにより、ステム孔41が袋体Bの内部と連通し、袋体Bを介して不燃性圧縮気体Gに押圧されている害虫忌避剤2が、チューブ6、ステム4を通じてアクチュエータ7の噴射口71から外部に排出される。このように、害虫忌避剤2を袋体Bに収容し、その袋体Bを不燃性圧縮気体Gにて押圧可能とすることによって、袋体Bに内包されている害虫忌避剤2が直接外装容器1に当接しないために、害虫忌避剤2において、酸性・アルカリ性の程度を示す25℃におけるpHが3.0~6.0の弱酸性となるような場合やpHが8.0~10.0の弱アルカリ性であっても外装容器1の腐食を防止することができる。
【実施例0032】
以下、本件発明における害虫忌避剤2について具体的に説明する。なお、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
<処方1>
20℃の室温中において、容量が200mlのグリフィンビーカーに、害虫忌避成分としてDEETを5.5g、保湿剤としてグリセリンを0.05g、湿潤剤としてPEG400を0.55g、香料としてピーチを0.1g、炭素数1~3の低級アルコールとしてエタノールを58.2g、そして、精製水を45.4g加え、攪拌し、合計100mLの害虫忌避剤を得た。
【0034】
〔実施例〕
このようにして得られた害虫忌避剤を外装容器1に入れて、マウンティングカップ3、ステム4を取り付けて、ステム4より窒素を外装容器1内の圧力が25℃においておおよそ0.8MPaとなるまで充填して、図1に示すエアゾール製品を作製した。なお、噴霧口71の口径が、0.3mmあった。
【0035】
〔比較例〕
また、上記処方1の害虫忌避剤を用いて、窒素に替えて液化石油ガス(LPG)を用いた以外は、実施例と同様に、エアゾール製品を作製した。
【0036】
これらのエアゾール製品を用いて、布に対する付着量に関する試験と実際に害虫に対する忌避効果に関する試験を行った。
【0037】
〔付着量試験〕
付着量について、実施例及び比較例のエアゾール製品から噴霧した害虫忌避剤2の布に対する付着量を確認した。具体的には、5℃又は40℃の恒温室にて一晩静置したエアゾール製品を用いて、5℃又は40℃の雰囲気下で、害虫忌避剤2を噴霧口71から30cmに位置する25cm四方の布に対して3秒間噴霧したとき、5℃又は40℃のそれぞれの温度で布に付着した害虫忌避剤2の重量(DEET、グリセリン、PEG400、香料、エタノール、精製水の総量)を測定した。この測定を3回実施したときの算術平均を付着量とした。このとき、40℃雰囲気下における付着量/5℃雰囲気下における付着量=0.9~1.1倍であるものを高い温度でも低い温度でも同程度の害虫忌避剤を噴霧することができているとして優良と、0.9倍未満又は1.1倍より大きいものを高い温度と低い温度で差が大きいとして不良と判断した。この布に対する付着量に関する試験を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
〔害虫忌避試験〕
害虫に対する忌避効果について、実施例及び比較例のエアゾール製品を用いて確認した。具体的には、5℃又は40℃の恒温室にて一晩静置したエアゾール製品を用いて、5℃又は40℃の雰囲気下で、害虫忌避剤2を噴霧口71から30cmに位置するマウスに対して5秒間噴霧した。そして、ヒトスジシマカ50匹を入れた一辺30cmの箱の中に、その害虫忌避剤2を噴霧したマウスを入れて、一時間静置し、処理区とした。その後、箱内のヒトスジシマカを回収して吸血した個体数を数え、箱内に入れたヒトスジシマカのうち、吸血したヒトスジシマカの割合を百分率にて吸血率として算出した。同様に、害虫忌避剤2を噴霧しないマウスについても試験を行い、無処理区とし、同様に吸血率を算出した。
これらの処理区と無処理区における吸血率より、下式より、害虫忌避剤2を噴霧することで吸血しなかったヒトスジシマカの純粋な吸血阻止率である補正吸血阻止率を算出した。
補正吸血阻止率={1-(処理区の吸血率)/(無処理区の吸血率)}×100
この補正吸血阻止率が、90%以上であるものを優良と、90%未満であるものを不良と判断した。この害虫対する忌避効果に関する試験を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
表1、表2に示すように、処方1の害虫忌避剤について、液化石油ガス(LPG)を用いたエアゾール製品よりも窒素を用いたエアゾール製品の方が、5℃の低い温度と40℃の高い温度において、おおよそ同じくらいの害虫忌避剤を被着体に付着することができ、寒い時季でも暑い時季でも同じようにヒトスジシマカが吸血することを忌避していることが分かった。
【符号の説明】
【0042】
1・・・外装容器
2・・・害虫忌避剤
3・・・マウンティングカップ
4・・・ステム
41・・・ステム孔
5・・・弾性バネ
6・・・チューブ
7・・・アクチュエータ
71・・・噴霧口
G・・・不燃性圧縮気体
B・・・袋体
S・・・空間
図1
図2