(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172432
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】特殊形状電着物用母板の製造方法
(51)【国際特許分類】
C25C 7/02 20060101AFI20231129BHJP
C25C 1/08 20060101ALN20231129BHJP
【FI】
C25C7/02 303
C25C1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084225
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永嶋 和樹
【テーマコード(参考)】
4K058
【Fターム(参考)】
4K058AA30
4K058BA17
4K058BA37
4K058BB03
4K058BB04
4K058CA05
4K058EB03
4K058EB14
4K058EB16
4K058FA06
4K058FA09
4K058FA23
(57)【要約】
【課題】特殊形状電着物の不良率を低減できる母板の製造方法を提供する。
【解決手段】特殊形状電着物用母板の製造方法は、複数の電着部に対応するマスキングパターンを有するスクリーン21を金属板11上に載せるスクリーン載置工程と、スクリーン21上に絶縁樹脂23を供給する絶縁樹脂供給工程と、スクリーン21にスキージ24を押し付けながら移動させて絶縁樹脂23を金属板11に転写するとともに、スクリーン21のうちスキージ24が通過した部分を持ち上げて金属板11から剥離する印刷工程とを有する。印刷工程における、スキージ24の押付圧力は210~250kPaであり、スキージ24の移動速度は5~10cm/秒である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板の表面を複数の電着部を残して絶縁層で覆った母板の製造方法であって、
複数の前記電着部に対応するマスキングパターンを有するスクリーンを前記金属板上に載せるスクリーン載置工程と、
前記スクリーン上に絶縁樹脂を供給する絶縁樹脂供給工程と、
前記スクリーンにスキージを押し付けながら移動させて前記絶縁樹脂を前記金属板に転写するとともに、前記スクリーンのうち前記スキージが通過した部分を持ち上げて前記金属板から剥離する印刷工程と、を備え、
前記印刷工程における、前記スキージの押付圧力は210~250kPaであり、前記スキージの移動速度は5~10cm/秒である
ことを特徴とする特殊形状電着物用母板の製造方法。
【請求項2】
前記印刷工程における、前記スキージの移動速度は8~10cm/秒である
ことを特徴とする請求項1記載の特殊形状電着物用母板の製造方法。
【請求項3】
前記印刷工程における、前記スクリーンの上昇速度は4.4~8.2mm/秒である
ことを特徴とする請求項1記載の特殊形状電着物用母板の製造方法。
【請求項4】
前記印刷工程における、前記スクリーンの上昇速度は7.4~8.2mm/秒である
ことを特徴とする請求項3記載の特殊形状電着物用母板の製造方法。
【請求項5】
前記絶縁樹脂はビスA型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂を含む樹脂組成物である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の特殊形状電着物用母板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊形状電着物用母板の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、特殊形状電着物を製造する電解製錬に用いられる母板であって、金属板の表面を電着部を残して絶縁樹脂でマスキングした母板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケルなどの電解採取では、目的金属とは別種の金属であって繰り返し使用できる材質の金属板をカソードとして使用し、所定時間の電解を行った後、電着物を金属板から引き剥がして回収する方法が一般的に行われている。このとき、金属板の表面を電着部を残して絶縁樹脂でマスキングしておくことにより、任意の特殊形状の電着物を得ることができる。
【0003】
例えば、電解メッキ用のアノードとして用いられる電気ニッケルは、電解メッキ装置のアノードボックスへの充填性およびハンドリング性などの観点から、角が立たない丸みのある小塊状(例えば半球状または円板状)の形状が好まれる。このような半球状または円板状の電気ニッケルを電解採取により製造するために、上記のような多数の円形の電着部を残して金属板の表面を絶縁樹脂でマスキングしたカソード(母板)を用いて電解することが行われる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
母板に形成された電着部の周囲の絶縁層が薄いと、絶縁層を巻き込んで電着が進行することがある。この場合、絶縁層を巻き込んだ電着物が回収される。このような電着物は樹脂付不良と称される不良品となる。樹脂付不良の電着物を母板から引き剥がすと、電着部の周囲の絶縁層に欠損が生じる。この欠損部を起点として絶縁層の剥離が進行し、電着部の面積が大きくなる。そうすると、隣り合う複数の電着物が連結し、連結不良と称される不良品となる。これらの不良品は再溶解処理され、製品とはならない。そのため、不良率が高くなると、生産効率が低下し、製造コストが高くなる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、特殊形状電着物の不良率を低減できる母板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の特殊形状電着物用母板の製造方法は、金属板の表面を複数の電着部を残して絶縁層で覆った母板の製造方法であって、複数の前記電着部に対応するマスキングパターンを有するスクリーンを前記金属板上に載せるスクリーン載置工程と、前記スクリーン上に絶縁樹脂を供給する絶縁樹脂供給工程と、前記スクリーンにスキージを押し付けながら移動させて前記絶縁樹脂を前記金属板に転写するとともに、前記スクリーンのうち前記スキージが通過した部分を持ち上げて前記金属板から剥離する印刷工程と、を備え、前記印刷工程における、前記スキージの押付圧力は210~250kPaであり、前記スキージの移動速度は5~10cm/秒であることを特徴とする。
第2発明の特殊形状電着物用母板の製造方法は、第1発明において、前記印刷工程における、前記スキージの移動速度は8~10cm/秒であることを特徴とする。
第3発明の特殊形状電着物用母板の製造方法は、第1または第2発明において、前記印刷工程における、前記スクリーンの上昇速度は4.4~8.2mm/秒であることを特徴とする。
第4発明の特殊形状電着物用母板の製造方法は、第3発明において、前記印刷工程における、前記スクリーンの上昇速度は7.4~8.2mm/秒であることを特徴とする。
第5発明の特殊形状電着物用母板の製造方法は、第1~第4発明のいずれかにおいて、前記絶縁樹脂はビスA型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂を含む樹脂組成物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、絶縁層が厚く、かつ、電着部が明瞭な母板が得られるため、特殊形状電着物の不良率を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の一実施形態に係る方法は、特殊形状電着物用母板(以下、単に「母板」と称する。)の製造方法である。母板は特殊形状電着物を製造する電解製錬に用いられる。特殊形状電着物とは、板状の電着物を格子状に切断して得られる角形の電着物に対して、切断を伴わずに得られる半球状、円盤状などの任意の形状の電着物をいう。電着物の素材は、ニッケル、コバルトなどの金属である。電解製錬として電解採取および電解精製が挙げられる。
【0011】
本実施形態に係る母板製造方法の説明に先立ち、特殊形状電着物の一例として、半球状または円盤状のニッケル電着物(一般に、「ボタン型電気ニッケル」と称される。)を電解採取で製造する方法を説明する。
【0012】
まず、母板を製造する。
図1に示すように、母板1は、ステンレス製またはチタン製の金属板11の表面を、複数の電着部12を残して絶縁層13で覆ったものである。金属板11は、例えば、縦1,000~1,200mm、横800~900mmの長方形である。金属板11の上縁には吊り手14を介して銅製またはニッケルと銅のクラッド材製のビーム15が設けられている。母板1の製造方法は後に詳説する。
【0013】
図1に示す例では、多数の円形の電着部12が千鳥状に配置されたパターンで金属板11がマスキングされている。例えば、電着部12の直径は12~16mmである。隣接する電着部12の最短距離は5~6mmである。金属板11は両面がマスキングされている。電着部12の数は金属板11の両面で3千~5千個である。なお、電着部12の形状は円形に限定されず、楕円形、矩形など他の形状でもよい。
【0014】
つぎに、母板1をカソードとして用いて電解採取を行う。具体的には、電解液で満たされた電解槽に、複数のカソードと複数のアノードとを交互に挿入し、通電することで電解を行う。ニッケルの電解採取の場合、アノードとしてアノードボックスを備えた不溶性電極を用いる。また、電解液として塩化ニッケル水溶液を用い、これを電解槽に連続供給する。所定時間(例えば、4~10日)の通電により、母板1の電着部12に電気ニッケルが電着する。
【0015】
電着部12に電着する電着物は絶縁層13の厚さまで成長した後、金属板11に対して垂直な方向と平行な方向との両方向に成長する。すなわち、電着物は電着部12の範囲を越えて、絶縁層13が存在する領域にまで成長する。電着部12の形状が円形の場合、電着物は中央部が平らであり、周縁部が盛り上がったボタン形に成長する。
【0016】
電解採取は電着物が目標とする寸法に成長する条件で操業される。具体的には、電着物が目標とする寸法に成長するように、電解液の組成、アノード-カソード間の電流、通電時間などの操業条件が設定される。例えば、電解採取完了後の電着物は、直径が16~19mm、厚さが約5mmのボタン形である。
【0017】
所定時間の通電の後、電解槽から母板1を抜き取る。ハンマリングなどの方法により母板1に振動を与えて、母板1に電着した電着物を剥ぎ取る。母板1から剥ぎ取られた電着物は研磨、洗浄、乾燥を経て製品となる。
【0018】
電着物が剥ぎ取られた母板1はカソードとして再び電解槽に挿入され、電解採取に供される。すなわち、母板1は電解採取に繰り返し使用される。母板1を繰り返し使用すると、絶縁層13が劣化し、剥離するため、不良率が高くなる。不良率が基準値を超えると、絶縁層13の寿命が到来したと判断され、母板1の再整備が行われる。
【0019】
母板1の再整備は、まず、金属板11から絶縁層13を除去することにより行われる。絶縁層13の除去は、例えば、ブラスト処理により行われる。絶縁層13が除去された金属板11は再び絶縁樹脂でマスキングされる。
【0020】
つぎに、本実施形態の母板1の製造方法を説明する。
図2に示すように、本実施形態の母板1の製造方法は、(1)スクリーン載置工程、(2)絶縁樹脂供給工程、および(3)印刷工程を有し、この順に実行する。
【0021】
(1)スクリーン載置工程
スクリーン載置工程では、金属板11の表裏表面のいずれか一方の上にスクリーン21を載せる。スクリーン21は複数の電着部12に対応するマスキングパターンを有する。マスキングパターンは、絶縁樹脂を塗布する領域が開口し、絶縁樹脂を塗布しない領域が閉塞したパターンである。スクリーン21は、電着部12に相当する領域が閉塞し、その他の領域が開口した板材である。一般的に、互いに離隔した複数の閉塞領域を連結するために、絶縁樹脂が通過できる網材が開口領域に設けられる。
【0022】
(2)絶縁樹脂供給工程
つぎに、絶縁樹脂供給工程では、スクリーン21の上に絶縁樹脂23を供給する。ここで、スクリーン21の表面に沿ってスクレーパー22を移動させることで、スクリーン21上に絶縁樹脂23を均一に塗り広げる。絶縁樹脂23は、エポキシ系樹脂が好ましく、なかでもビスA型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂を含む樹脂組成物が好ましい。
【0023】
(3)印刷工程
つぎに、印刷工程では、スキージ24をスクリーン21の上から押し付けながら、スクリーン21の表面に沿って移動させる。そうすると、スクリーン21の開口領域に存在する絶縁樹脂23が金属板11に転写される。すなわち、スクリーン21のマスキングパターンに沿って絶縁樹脂23が金属板11に塗布される。なお、スキージ24はヘラ構造であってもよいし、ローラ構造であってもよい。
【0024】
スキージ24を移動させるとともに、スクリーン21のうちスキージ24が通過した部分を持ち上げて金属板11から剥離する。スキージ24の移動方向の逆側に位置するスクリーン21の一端(
図2に示す例では右端)を把持して上昇させればよい。スクリーン21を剥離することで、金属板11の表面に塗布された絶縁樹脂23がスクリーン21の開口領域から抜き出され、絶縁層13となる。金属板11の表面のうち絶縁樹脂23が塗布されなかった領域は電着部12となる。
【0025】
前述のごとく、電着物の不良として、樹脂付不良および連結不良がある。本願発明者は、絶縁層13が薄く、また、電着部12が不明瞭であると、これらの不良が発生しやすくなるとの知見を得ている。逆に言えば、絶縁層13がある程度の厚さを有し、電着部12が明瞭であれば、これらの不良を抑制できる。
【0026】
絶縁層13が薄いと、絶縁層13を巻き込んで電着が進行し、樹脂付不良となりやすい。樹脂付不良の電着物を母板1から引き剥がすと、絶縁層13に欠損が生じ、連結不良の原因となる。樹脂付不良および連結不良を抑制するという観点からは、絶縁層13の厚さは、250μm以上が好ましく、300μm以上がより好ましい。なお、不良の抑制という観点からは、絶縁層13の厚さに上限はない。しかし、一般的には、マスキング装置の構造上、絶縁層13の厚さは400μmが限界である。また、絶縁層13が厚すぎると、後述する端部の滲みが生じやすくなり、電着部12が不明瞭になる恐れがある。
【0027】
電着部12が不明瞭であるとは、例えば、電着部12を画定する絶縁層13の端部が二重になって段差がついたり、絶縁層13の端部がブレてなだらかな傾斜になったり、絶縁層13の端部から絶縁樹脂が滲んで薄くはみ出したり、絶縁樹脂がかすれて電着部12に付着したりすることをいう。電着部12の外周部に絶縁樹脂が薄く付着していると、樹脂付不良および連結不良の原因となる。これに対して、電着部12を画定する絶縁層13の端部が切り立った状態を、電着部12が明瞭であるという。電着部12が明瞭であれば、樹脂付不良および連結不良を抑制できる。
【0028】
絶縁層13の厚さと電着部12の明瞭性は、印刷工程の条件に影響される。印刷工程では、スキージ24をスクリーン21に押し付けながら移動させる。この際のスキージ24の押付圧力は210~250kPaが好ましい。また、スキージ24の移動速度は5~10cm/秒が好ましく、8~10cm/秒がより好ましい。そうすれば、絶縁層13が厚くなり、また、電着部12が明瞭となる。
【0029】
また、印刷工程では、スキージ24を移動させるとともに、スクリーン21を持ち上げて金属板11から剥離する。この際のスクリーン21の上昇速度は4.4~8.2mm/秒が好ましく、7.4~8.2mm/秒がより好ましい。そうすれば、絶縁層13がより厚くなり、また、電着部12がより明瞭となる。なお、スクリーン21の上昇速度は、スクリーン21の持ち上げのために把持した端部の上向きの移動速度を意味する。
【0030】
以上のように、印刷工程の条件を設定することで、絶縁層13が厚く、かつ、電着部12が明瞭な母板1が得られる。そのため、電着物の樹脂付不良および連結不良の不良率を低減できる。
【0031】
前述のごとく、母板1は電解製錬に繰り返し使用される。母板1の使用を繰り返すと、絶縁層13が徐々に剥がれるため、不良率が高くなる。不良率が基準値を超えると、絶縁層13の寿命が到来したと判断され、母板1の再整備が行われる。母板1の再整備は、母板1表面の絶縁層13をブラスト処理により全て除去した後、新たに絶縁樹脂でマスキングすることにより行われる。絶縁層13の寿命が短いと、母板1を再整備する頻度が高くなるため、生産効率が低下し、製造コストが高くなる。
【0032】
本実施形態によれば、絶縁層13が厚く、かつ、電着部12が明瞭な母板1が得られるため、母板1の使用を繰り返しても絶縁層13が剥がれにくい。すなわち、絶縁層13を長寿命化できる。絶縁層13の寿命が長くなれば、母板1を再整備する頻度が少なくなるので、電着物の生産効率が高くなり、製造コストが低くなる。
【実施例0033】
つぎに、実施例を説明する。
TEC社製のスクリーン印刷型マスキング装置を用いて母板を製造した。金属板として縦1,090mm、横830mmのSUS316L製ステンレス板を用いた。金属板の両面に直径15mmの真円の電着部を千鳥状に配置したパターンで絶縁層を形成した。電着部の数は金属板の片面で2,021個である。
【0034】
スキージの押付圧力を170、230kPaの2パターン、スキージの移動速度を3、6、9cm/秒の3パターン、スクリーンの上昇速度を4.8、7.8、10.8mm/秒の3パターンとし、各パターンを組み合わせた種々の条件で印刷工程を行った。
【0035】
各条件で母板の作成を行い、絶縁層の平均膜厚を測定し、電着部の明瞭性を評価した。ここで、絶縁層の平均膜厚は、40~50枚の母集団から1枚を抜き出し、1枚の母板について片面につき(上中下)×(左中右)の9箇所(両面で合計18箇所)の膜厚を測定し、測定値を平均して求めた。膜厚の測定には、電磁式の測定装置を用いた。また、電着部の明瞭性は以下の手順で評価した。マスキングパターンとして設定された電着部の面積に対する実際に形成された電着部の面積の比率を指標とした。マスキングパターンとして設定された電着部がそのまま形成された場合には、面積比が100%となる。絶縁層の端部が二重になるなどすると、実際に形成された電着部の面積は小さくなり、面積比は100%より小さくなる。面積比が95%以上を5点、面積比が80%以上95%未満を4点、面積比が70%以上80未満を3点、面積比が50%以上70%未満を2点、面積比が50%未満を1点とする。上記5、4、3、2、1点の限度見本写真を作成し、限度見本と照合することで、人が目視によって採点、評価した。電着部の明瞭性の評価には、上記平均膜厚を測定したものと同一の母板を用いた。1枚の母板に対して表裏の採点を行い、表裏の点数の平均を求めた。試験結果を表1に示す。
【0036】
【0037】
表1より、スキージの押付圧力を230kPaとし、スキージの移動速度を6または9cm/秒とした条件では、スクリーンの上昇速度によらず、絶縁層の膜厚を250μm以上、かつ、電着部の明瞭性を3.5点以上にできることが確認された。これより、スキージの押付圧力を210~250kPaとし、スキージの移動速度を5~10cm/秒とすれば、スクリーンの上昇速度によらず(少なくともスクリーンの上昇速度が4.4~11.2mm/秒の範囲で)、絶縁層の膜厚を250μm以上、かつ、電着部の明瞭性を3.5点以上にできると考えられる。
【0038】
また、スキージの移動速度を8~10cm/秒とすれば、絶縁層の膜厚を300μm以上にできる。さらに、スクリーンの上昇速度を4.4~8.2mm/秒とすれば、電着部の明瞭性を4.0点以上にできる。スクリーンの上昇速度を7.4~8.2mm/秒とすれば、電着部の明瞭性をさらに高くできる。