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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172441
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】圧力調整装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20231129BHJP
   F16L 55/24 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
F02M25/08 G
F16L55/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084250
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】小坂 俊一
【テーマコード(参考)】
3G144
【Fターム(参考)】
3G144BA32
3G144BA39
3G144DA03
3G144GA23
3G144GA28
3G144GA30
(57)【要約】
【課題】抽出物の侵入を抑制することができる圧力調整装置を提供する。
【解決手段】圧力調整装置10は、内部を流通する流体16の圧力を調整する装置である。圧力調整装置10は、その内部を流体16が流通する流体流通部11と、流体流通部11に配設され、流体16の圧力を調整する流体調整部12と、を具備する。流体流通部11は、管路を形成する流通部本体部と、外側突出部13と、を有する。外側突出部13は、流体16の流れにおいて流体調整部12の上流側に配置され、流体流通部11の径方向外側に向かって突出することを具備する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を流通する流体の圧力を調整する圧力調整装置であり、
その内部を前記流体が流通する流体流通部と、
前記流体流通部に配設され、前記流体の圧力を調整する流体調整部と、を具備し、
前記流体流通部は、管路を形成する流通部本体部と、外側突出部と、を有し、
前記外側突出部は、前記流体の流れにおいて前記流体調整部の上流側に配置され、前記流体流通部の径方向外側に向かって突出することを具備することを特徴とする圧力調整装置。
【請求項2】
前記外側突出部は、前記流体が流通する方向に向かって傾斜することを特徴とする請求項1に記載の圧力調整装置。
【請求項3】
前記外側突出部は、前記流通部本体部の全周に渡り形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧力調整装置。
【請求項4】
前記外側突出部は、前記流通部本体部よりも柔らかい材料から成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧力調整装置。
【請求項5】
前記外側突出部は、前記流通部本体部よりも薄いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧力調整装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の圧力調整装置に関する発明として、例えば、特許文献1に記載された発明が存在する。
【0003】
特許文献1に記載された圧力調整装置では、燃料タンクから金属チューブが導出しており、かかる金属チューブに圧力調整装置が導出されている。金属チューブの内部には、気化した燃料が進入する。燃料タンクの内部圧力が一定以上になると、圧力調整装置が開状態となり、金属チューブを介して燃料タンクの内部の気体が外部に放出される。
【0004】
また、燃料供給装置では、燃料タンクの圧力を調整するためのチューブとして、金属から成る鋼管が採用されていた。近年、加工性およびコスト性に優れる合成樹脂から成る樹脂チューブが、鋼管の替わりに採用されている。
【0005】
また、特許文献2には、配管内に凹部を形成することにより、配管の内部で異物を捕捉し、異物の流動を抑制する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-169310号公報
【特許文献2】特開2011-104562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した特許文献1および特許文献2に記載された発明では、バルブを安全に動作させる観点から改善の余地があった。
【0008】
具体的には、樹脂チューブの内部には、樹脂チューブを構成する合成樹脂から抽出された抽出物が出現する。係る抽出物は、気化した燃料と共に、圧力調整装置の内部に進入する。圧力調整装置の内部に抽出物が進入すると、圧力調整装置の内部機構の動作が抽出物により阻まれ、圧力調整装置の調整動作が正常になされない課題が生じる。
【0009】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、抽出物の侵入を抑制することができる圧力調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の圧力調整装置は、内部を流通する流体の圧力を調整する圧力調整装置であり、その内部を前記流体が流通する流体流通部と、前記流体流通部に配設され、前記流体の圧力を調整する流体調整部と、を具備し、前記流体流通部は、管路を形成する流通部本体部と、外側突出部と、を有し、前記外側突出部は、前記流体の流れにおいて前記流体調整部の上流側に配置され、前記流体流通部の径方向外側に向かって突出することを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の圧力調整装置によれば、流体流通部からその内部に抽出物が出現した場合でも、その抽出物を外側突出部で捕捉することができる。よって、当該抽出物が流体調整部まで進行することを抑制し、流体調整部への抽出物の付着を防止でき、流体調整部の動作不良を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本発明の実施形態に係る圧力調整装置を示す模式図である。
図1B】本発明の実施形態に係る圧力調整装置を示す図であり、外側突出部が拡張された状態を示す模式図である。
図2A】本発明の他形態に係る圧力調整装置を示す模式図である。
図2B】本発明の更なる他形態に係る圧力調整装置を示す模式図である。
図3A】本発明の実施形態に係る圧力調整装置が備えられたタンク圧力調整装置を示す模式図である。
図3B】本発明の実施形態に係る圧力調整装置を構成する流体調整部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る圧力調整装置10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0014】
図1Aは、圧力調整装置10を示す模式図である。
【0015】
圧力調整装置10は、内部を流通する流体16の圧力を調整する機器である。圧力調整装置10は、その内部を流体16が流通する流体流通部11と、流体流通部11に配設され、流体16の圧力を調整する流体調整部12と、を具備する。更に、圧力調整装置10は、後述するタンク圧力調整装置18において、気化燃料が通過する経路に組み込まれ、燃料タンク20の内部圧力を調整するものである。
【0016】
流体流通部11は、管路を形成する流通部本体部17と、外側突出部13と、を有する。流体流通部11と外側突出部13とは、一体的に射出成形される合成樹脂から成る。
【0017】
流通部本体部17は、その内部を流体16が流通する管路であり、例えば、合成樹脂から成る。流通部本体部17の具体的な形状は、例えば、略円形の断面形状を呈する略円筒とされる。流通部本体部17の材料としては、前述したように、合成樹脂を採用することができる。このようにすることで、流体流通部11の形状の自由度を向上でき、更にはコストを低減することができる。流体16は、例えば気体であり、具体的には、後述する気化燃料である。
【0018】
流体調整部12は、流通部本体部17の内部に配設され、流体16の圧力を調整する。流体調整部12を開状態とすることで、流通部本体部17を経由して流体16を流通させることができる。一方、流体調整部12を閉状態とすることで、流通部本体部17を流体16が流通することを阻止できる。流体調整部12の具体構成は、図2Bを参照して後述する。
【0019】
外側突出部13は、流体16の流れにおいて流体調整部12の上流側に配置される。外側突出部13は、流体流通部11の径方向外側に向かって突出する。流体流通部11の具体形状が略円筒状の場合、外側突出部13は、流体流通部11の外面から、半径方向外側に向かって略リング形状を呈する。外側突出部13は、全体としては、蛇腹形状を呈する。
【0020】
外側突出部13を有することで、流体流通部11からその内部に抽出物15が出現した場合でも、抽出物15を外側突出部13で捕捉することができる。よって、流体16と共に抽出物15が流体調整部12の側に流動したとしても、外側突出部13が抽出物15を捕捉する。このことから、抽出物15が流体調整部12に至ることを抑制し、流体調整部12への抽出物15の侵入を防止できる。よって、流体調整部12の動作不良を抑制できる。
【0021】
特に、流体流通部11が合成樹脂から成り、流体16が後述する気化燃料であると、流体流通部11の内部を流体16が流通することで、流体流通部11の内部に抽出物15が発生する。抽出物15は、例えば、オリゴマーや添加剤等である。この場合、何ら対策を施さなければ、抽出物15が流体調整部12に入り込み、流体調整部12による開閉動作が阻害される恐れがある。本実施形態では、流体流通部11に外側突出部13を設けることで、抽出物15を外側突出部13で捕捉し、抽出物15が流体調整部12に進入することを抑制している。
【0022】
また、外側突出部13は、流体16が流通する方向に向かって傾斜するように構成される。紙面上においては、外側突出部13は、流通部本体部17から離れるに従い、左方側に傾斜している。係る構成により、流体16と共に流通部本体部17の内部を左方に向かって流動する抽出物15が、更に外側突出部13に進入しやすくなり、効果的に抽出物15を捕捉することができる。
【0023】
外側突出部13は、流通部本体部17の全周に渡り形成される。即ち、外側突出部13を流体16が流れる方向に沿ってみた場合、外側突出部13は、略リング形状を呈する。係る構成により、抽出物15が流通部本体部17の内部おいて、半径方向におけるどの位置に出現した場合でも、全周に形成された外側突出部13により、抽出物15を捕獲することができる。
【0024】
外側突出部13は、前述したように、流体16が流通する方向に沿って、複数が形成される。具体的には、外側突出部13は、流体16の流れの上流側から、外側突出部131、外側突出部132、外側突出部133および外側突出部134を有する。外側突出部131ないし外側突出部134は、略等間隔に離間して配置されている。このようにすることで、抽出物15の殆どを、外側突出部131ないし外側突出部134により捕捉でき、流体調整部12に進入する抽出物15の量を、更に削減できる。
【0025】
流通部本体部17と外側突出部13とは、流体流通部11を製造する際に同時に形成することができる。即ち、流通部本体部17と外側突出部13とは、一つの金型により行われる一回の射出成形により一体成型される。よって、流体流通部11の製造に要する製造コストを低廉にできる。
【0026】
図1Bは、外側突出部13が拡張した後の圧力調整装置10を示す模式図である。
【0027】
流体流通部11が合成樹脂から成る場合、流体流通部11の利用が開始されてから最初の3ヶ月間に、流体流通部11の内部から、オリゴマーである抽出物15が析出する。本実施形態では、抽出物15の析出量が多く、図1Aに示した状態で抽出物15の全てを捕捉することが難しい場合は、外側突出部13の形状を制御し、外側突出部13により積極的に抽出物15を捕捉する。
【0028】
外側突出部13の形状を制御する具体的な方法としては、例えば、流体流通部11に外力を与える方法がある。具体的には、外力としては、エンジン等から発生する熱を利用して流体流通部11の内圧や温度を大きくする、流体流通部11に引張力や振動を与える、等を採用できる。このようにすることで、外側突出部13が拡張され、外側突出部13により多くの抽出物15を捕獲し、抽出物15が流体調整部12に及ぶことを抑制できる。更に、外側突出部13を拡張することにより、流体流通部11の破断や抜けを防止できる。
【0029】
図2Aは、他形態に係る流体流通部11を示す模式図である。
【0030】
前述したように、流体流通部11は、流通部本体部17と、外側突出部13と、から成る。ここで、外側突出部13は、流通部本体部17よりも柔らかい材料から成る。即ち、外側突出部13と、流通部本体部17とが、組成が異なる合成樹脂から成る。外側突出部13と、流通部本体部17とは、所謂2色成形技術により、一回の射出成形により製造できる。よって、外側突出部13と流通部本体部17とが異なる合成樹脂からなる場合でも、製造コストの上昇を抑制できる。このようにすることで、外側突出部13が軟性材料から成ることにより、温度上昇や内部圧力の上昇等に伴い、外側突出部13を拡張することができる。よって、図1Bを参照して説明したように、流体流通部11の破断等を更に抑制できる。ここで、外側突出部13の厚みと、流通部本体部17の厚みとは同様で良い。
【0031】
図2Bは、本発明の更なる他形態に係る流体流通部11を示す模式図である。
【0032】
外側突出部13の厚みをT1とし、流通部本体部17の厚みをT2とした場合、T1をT2よりも短くすることができる。即ち、外側突出部13は、流通部本体部17よりも薄い。ここで、外側突出部13と流通部本体部17とは、同種の合成樹脂から構成しても良い。更には、外側突出部13を構成する樹脂として、流通部本体部17を構成する樹脂よりも、軟らかい合成樹脂を採用できる。外側突出部13の肉厚が薄いことにより、温度上昇や内部圧力の上昇等に伴い、外側突出部13を更に積極的に拡張することができる。
【0033】
図3Aは、圧力調整装置10が備えられたタンク圧力調整装置18を示す模式図である。圧力調整装置10および燃料タンク20は、乗用車等の車両に搭載される。
【0034】
タンク圧力調整装置18は、燃料タンク20の内部における圧力を調整する装置である。タンク圧力調整装置18は、主に、流体調整部12、メカニカルリリーフバルブ23、キャニスタ24およびパージバルブ25等を有する。
【0035】
蒸発燃料経路191等は、タンク圧力調整装置18を構成する各機器を相互に接続する管路であり、図1に示した圧力調整装置10と同様の構成を呈する。
【0036】
燃料タンク20は、燃料を貯蔵するタンクである。燃料タンク20に貯蔵される燃料としては、ガソリンや軽油等を採用できる。
【0037】
給油部21は、燃料タンク20に給油するための部位である。燃料タンク20に燃料を給油する際には、給油部21は開状態とされる。それ以外の場合は、給油部21は燃料タンク20を閉鎖する。
【0038】
メカニカルリリーフバルブ23は、安全弁として配設されるバルブであり、燃料タンク20の内部圧力が所定の基準値を超えた際に開弁し、燃料タンク20の内部から気体を外部に放出させる。これにより、燃料タンク20の内部圧力が異常に上昇することを防止する。
【0039】
流体調整部12は、例えばソレノイドバルブである。流体調整部12を閉じることにより燃料タンク20は密閉され、燃料タンク20からの気化燃料の放出が抑制される。一方、燃料タンク20を開くことにより、燃料タンク20とキャニスタ24とが連通される。よって、燃料タンク20の内部の気化燃料を、キャニスタ24を介して外部に放出させ、燃料タンク20の内部圧力を低減できる。
【0040】
キャニスタ24は、その内部に活性炭等から成る吸着剤を有する。キャニスタ24は、吸着剤を有することにより、燃料タンク20から供給される気化燃料を吸着することができる。
【0041】
フィルタ22は、燃料タンク20のリークを診断するべく、燃料タンク20に対して外気を導入する際に、外気から粉塵を除去するものである。
【0042】
パージバルブ25は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンであるエンジン26への燃料の供給を司る。パージバルブ25を開くことで、キャニスタ24により吸着捕集された気化燃料を、エンジン26に供給できる。
【0043】
タンク圧力調整装置18は、燃料タンク20の内部で燃料が気化した気化燃料を輸送するための経路として蒸発燃料経路191ないし蒸発燃料経路194を有している。ここでは、気化燃料の流れの上流側を、単に上流側と称する。一方、気化燃料の流れの下流側を、単に下流側と称する。
【0044】
蒸発燃料経路191は、上流側の端部が燃料タンク20に接続され、下流側の端部がメカニカルリリーフバルブ23および流体調整部12に接続される。図1に示した流体流通部11は、蒸発燃料経路191に組み込まれる。
【0045】
蒸発燃料経路192は、上流側の端部がメカニカルリリーフバルブ23および流体調整部12に接続され、下流側の端部がキャニスタ24に接続される。
【0046】
蒸発燃料経路193は、上流側の端部がキャニスタ24に接続され、下流側の端部がフィルタ22に接続される。
【0047】
蒸発燃料経路194は、上流側の端部がキャニスタ24に接続され、下流側の端部がパージバルブ25に接続される。
【0048】
蒸発燃料経路195は、上流側の端部がパージバルブ25に接続され、下流側の端部がエンジン26に接続される。
【0049】
図3Bは、圧力調整装置10を構成する流体調整部12を示す断面図である。流体調整部12は密閉弁とも称される。
【0050】
流体調整部12は、下方ハウジング121、上方ハウジング128、出力軸126、バルブガイド123、バルブ124、封止材127およびスプリング125を有する。流体調整部12は、蒸発燃料経路191および蒸発燃料経路192の間に配設され、開閉することにより、燃料タンク20から発生する気化燃料の流通を制御する。流体調整部12を構成する各部位は、スプリング122等を除き、射出成形された合成樹脂等から成る。
【0051】
下方ハウジング121は、上面が開口する略蓋形状の部材である。
【0052】
上方ハウジング128は、下面が開口する略蓋状の部材である。上方ハウジング128と、下方ハウジング121とは、互いの開口を塞ぐように組み付けられる。
【0053】
内側壁部129は、下方ハウジング121の底面を、略円筒状に立設させた部位である。
【0054】
バルブガイド123は、下方ハウジング121の底面の中心部近傍を、略円柱状に立設させた部位である。
【0055】
出力軸126は、バルブガイド123に下方から挿入された軸状部材であり、例えば、図示しない制御装置からの指示に基づき、モータの駆動力により回転する。
【0056】
バルブ124は、略円筒形状を呈しており、その内部にはバルブガイド123が挿入される。
【0057】
スプリング122は、下方ハウジング121の内部に配置される。スプリング122の下端は下方ハウジング121の下面に当接し、スプリング122の上端はバルブ124に当接する。スプリング122は、流体調整部12の内部において、バルブ124を上方に向かって付勢する。
【0058】
封止材127は、略円環形状を呈する部材であり、バルブ124の上方側に配置される。封止材127の下面内側には、スプリング122により付勢されたバルブ124が当接する。また、封止材127の下面外側には、内側壁部129の上端が当接する。
【0059】
スプリング125は、上方ハウジング128の内部に配置される。スプリング125の上端部は上方ハウジング128の下面に当接し、スプリング125の下端部は封止材127に当接する。スプリング125は、流体調整部12の内部において、封止材127を下方に向かって付勢する。
【0060】
流体調整部12が閉状態の場合、出力軸126の変位に伴い、封止材127の下面が、内側壁部129の上端に当接している。このようにすることで、図3Aに示した蒸発燃料経路191と蒸発燃料経路192とは、非連通状態となる。よって、燃料タンク20からキャニスタ24には、蒸発燃料は供給されない。
【0061】
流体調整部12が開状態の場合、出力軸126の逆方向への変位に伴い、バルブ124および封止材127が上昇する。これにより、封止材127の下面が、内側壁部129の上端から離れ、流体調整部12は連通状態になる。
【0062】
前述のような構成を有するタンク圧力調整装置18の動作を以下に説明する。
【0063】
流体調整部12が閉状態の場合は、蒸発燃料経路191が塞がれ、燃料タンク20の内部における圧力は維持される。
【0064】
燃料タンク20に給油を行う前に、燃料タンク20の内部の蒸発燃料をキャニスタ24に抜き出すときには、流体調整部12を開状態とする。よって、図2Aを参照して、蒸発燃料経路191、流体調整部12および蒸発燃料経路192を経由して、燃料タンク20からキャニスタ24に、蒸発燃料が供給される。
【0065】
エンジン26の燃焼運転を行う際には、パージバルブ25を開状態とする。よって、図2Aを参照して、キャニスタ24における燃料成分が、蒸発燃料経路194、パージバルブ25および蒸発燃料経路195を経由して、エンジン26に供給される。供給された燃料成分は、エンジン26のシリンダに噴射される燃料と共に、エンジン26の燃焼運転に用いられる。
【0066】
ここで、図1に示した圧力調整装置10は、図2Aに示した蒸発燃料経路191に介装される。即ち、図2Aに示す蒸発燃料経路191の少なくとも一部が、図1に示した流体流通部11から成る。また、図2Aに示す蒸発燃料経路191の途中部分の内部に、図1に示す外側突出部131ないし外側突出部134が形成される。
【0067】
よって、燃料タンク20にて発生した蒸発燃料が蒸発燃料経路191を通過することにより、蒸発燃料経路191の内部で、前述した抽出物15が発生した場合でも、外側突出部131ないし外側突出部134により抽出物15を捕捉し、抽出物15が流体調整部12に進入することを防止できる。
【0068】
このことから、前述した抽出物15が、流体調整部12の内部において、スプリング122やバルブ124等の可動部分の動きを阻害することを抑制できる。よって、燃料タンク20の負圧流量が規定以下になることを抑制し、また、燃料タンク20の負圧が規定以下になり、警告灯が誤って点灯してしまうことを防止できる。
【0069】
以下に、前述した実施形態から把握できる発明を、効果と共に説明する。
【0070】
本発明の圧力調整装置は、内部を流通する流体の圧力を調整する圧力調整装置であり、その内部を前記流体が流通する流体流通部と、前記流体流通部に配設され、前記流体の圧力を調整する流体調整部と、を具備し、前記流体流通部は、管路を形成する流通部本体部と、外側突出部と、を有し、前記外側突出部は、前記流体の流れにおいて前記流体調整部の上流側に配置され、前記流体流通部の径方向外側に向かって突出することを具備することを特徴とする。本発明の圧力調整装置によれば、流体流通部からその内部に抽出物が出現した場合でも、その抽出物を外側突出部で捕捉することができる。よって、当該抽出物が流体調整部まで進行することを抑制し、流体調整部への抽出物の付着を防止でき、流体調整部の動作不良を抑制できる。
【0071】
また、本発明の圧力調整装置では、前記外側突出部は、前記流体が流通する方向に向かって傾斜することを特徴とする。本発明の圧力調整装置によれば、外側突出部が、流体の流通する方向に傾斜することにより、動作時において外側突出部により更に効果的に抽出物を捕捉することができる。
【0072】
また、本発明の圧力調整装置では、前記外側突出部は、前記流通部本体部の全周に渡り形成されることを特徴とする。本発明の圧力調整装置によれば、外側突出部が全周的に形成されることで、外側突出部により抽出物を捕捉する効果を更に大きくできる。
【0073】
また、本発明の圧力調整装置では、前記外側突出部は、前記流通部本体部よりも柔らかい材料から成ることを特徴とする。本発明の圧力調整装置によれば、外側突出部が軟性材料から成ることにより、温度上昇や内部圧力の上昇に伴い、外側突出部を拡張することができる。
【0074】
また、本発明の圧力調整装置では、前記外側突出部は、前記流通部本体部よりも薄いことを特徴とする。本発明の圧力調整装置によれば、外側突出部の肉厚が薄いことにより、温度上昇や内部圧力の上昇に伴い、外側突出部を拡張することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0076】
前述した実施形態では、圧力調整装置10は、タンク圧力調整装置18の一部を構成するとしたが、他の機構に圧力調整装置10を組み込むことができる。例えば、自動車の制動機構において、エンジンバキュームに、圧力調整装置10を適用することができる。このようにすることで、前述した抽出物15により制動機構の動作が阻害されることを防止できる。
【符号の説明】
【0077】
10 圧力調整装置
11 流体流通部
12 流体調整部
121 下方ハウジング
122 スプリング
123 バルブガイド
124 バルブ
125 スプリング
126 出力軸
127 封止材
128 上方ハウジング
129 内側壁部
13 外側突出部
131 外側突出部
132 外側突出部
133 外側突出部
134 外側突出部
15 抽出物
16 流体
17 流通部本体部
18 タンク圧力調整装置
191 蒸発燃料経路
192 蒸発燃料経路
193 蒸発燃料経路
194 蒸発燃料経路
195 蒸発燃料経路
20 燃料タンク
21 給油部
22 フィルタ
23 メカニカルリリーフバルブ
24 キャニスタ
25 パージバルブ
26 エンジン



図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B