(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172461
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】長手状部材、その加工方法及び加工装置
(51)【国際特許分類】
B21D 1/00 20060101AFI20231129BHJP
B21D 3/00 20060101ALI20231129BHJP
B21D 11/20 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B21D1/00 A
B21D3/00 A
B21D11/20 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084277
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】522204441
【氏名又は名称】平塚 信介
(74)【代理人】
【識別番号】100117503
【弁理士】
【氏名又は名称】間瀬 ▲けい▼一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】平塚 信介
【テーマコード(参考)】
4E003
【Fターム(参考)】
4E003AA00
4E003DA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、所望の長手形状に加工される電線、ケ-ブル及びシ-トや管状或いはチューブ状の中空部材等の長手状部材、その加工装置及び加工方法を提供する。
【解決手段】両赤外線ランプ42、52は、曲がり癖のついた長手状部材10の移動に伴い当該長手状部材10の曲がり癖を矯正加工するように長手状部材10にその曲がり癖の強さに応じた量にて赤外光を出射する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外光或いはレーザー光の照射により所定の曲がり形状に加工形成してなる長手状部材。
【請求項2】
曲がり癖のついた長手状部材と、
当該長手状部材の長手方向中間部位に赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段と、
前記長手状部材及び前記照射光出射手段のいずれか一方を前記長手状部材の長手方向に移動させる移動手段と、
前記長手状部材の曲がり癖の強さを曲がり癖強さとして検出する検出手段と、
前記移動手段により移動される前記長手状部材及び前記照射光出射手段の前記いずれか一方の移動に伴い前記長手状部材の曲がり癖を矯正加工にするために予め定めた照射光出力-曲がり癖強さ特性に基づき前記検出手段による検出曲がり癖強さに応じて設定してなる照射光出力を出射するように前記照射光出射手段を制御する制御手段とを備える長手状部材の加工装置。
【請求項3】
直線状の長手状部材と、
当該長手状部材の長手方向中間部位に赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段と、
前記長手状部材及び前記照射光出射手段のいずれか一方を前記長手状部材の長手方向に移動させる移動手段と、
前記長手状部材を所定の曲がり形状に曲げ加工するに要する曲率を設定する設定手段と、
前記移動手段により移動される前記長手状部材及び前記照射光出射手段の前記いずれか一方の移動に伴い前記照射光出射手段の前記いずれか一方の移動に伴い当該長手状部材を前記所定の曲がり形状に曲げ加工にするために前記設定手段の設定による前記曲率に応じた量にて照射光を出射するように前記照射光出射手段を制御する制御手段とを備える長手状部材の加工装置。
【請求項4】
直線状の長手状部材と、
当該長手状部材の長手方向中間部位に赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段と、
前記長手状部材及び前記照射光出射手段のいずれか一方を前記長手状部材の長手方向に移動させる移動手段と、
前記長手状部材を所定の波目形状に曲げ加工するに要する照射光出力を設定する設定手段と、
前記移動手段により移動される前記長手状部材及び前記照射光出射手段の前記いずれか一方の移動に伴い当該長手状部材を前記所定の波目形状に曲げ加工するように前記設定手段の設定による前記照射光出力を前記所定の波目形状に対応して時間的に変化させながら出射するように前記照射光出射手段を制御する制御手段とを備える長手状部材の加工装置。
【請求項5】
長手状部材と、
当該長手状部材の製造過程において、前記長手状部材の長手方向中間部位に赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射するように前記長手方向中間部位を介し対向して配設してなる両照射光出射手段と、
前記長手状部材及び前記照射光出射手段のいずれか一方を前記長手状部材の長手方向に移動させる移動手段と、
前記長手状部材を直線状に加工するに要する照射光出力を設定する設定手段と、
前記移動手段により移動される前記長手状部材及び前記照射光出射手段の前記いずれか一方の移動に伴い当該長手状部材を直線状に加工にするために前記設定手段の設定による照射光出力を出射するように前記両照射光出射手段を制御する制御手段とを備える長手状部材の加工装置。
【請求項6】
曲がり癖のついた長手状部材及び赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段のいずれか一方の移動に伴い当該長手状部材の曲がり癖を矯正加工するように前記長手状部材に対しその曲がり癖の強さに応じた量にて前記照射光を前記照射光出射手段から出射するようにした長手状部材の加工方法。
【請求項7】
直線状の長手状部材及び赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段のいずれか一方の移動に伴い前記長手状部材を所定の曲がり形状に曲げ加工するように前記長手状部材に対し前記所定の曲がり形状にするに要する曲率に応じた量にて前記照射光を前記照射光出射手段から出射するようにした長手状部材の加工方法。
【請求項8】
直線状の長手状部材及び赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段のいずれか一方の移動に伴い前記長手状部材を所定の波目形状に曲げ加工するために前記長手状部材に対し前記照射光を前記所定の波目形状に対応して時間的に変化させながら前記照射光出射手段により出射する長手状部材の加工方法。
【請求項9】
長手状部材の製造過程において、当該長手状部材及び赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段のいずれか一方の移動に伴い前記長手状部材を直線状に加工するために前記照射光を前記長手状部材の中間部位にその両側から前記照射光出射手段により出射するようにした長手状部材の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線形状或いは曲げ形状に加工してなる長手状部材、その加工方法及び加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長手状部材を直線形状或いは曲げ形状に加工する加工装置においては、下記特許文献1に記載の線状体矯正装置が提案されている。当該線状体矯正装置は、下支持台及び上支持台を備えており、当該上支持台は、下支持台の上側で対面するように配置されており、上支持台は、その上側に位置する固定部から延出する両ガイド軸に沿い、上下に昇降可能に構成されている。
【0003】
下支持台には複数のボトム矯正ロ-ラが支持され、上支持台には複数の矯正ロ-ラが支持されている。複数のボトム矯正ロ-ラ及び複数の矯正ロ-ラは、それぞれ、電線の搬送方向に適宜な間隔をあけて並べて配置されているとともに回転可能に構成されている。
【0004】
複数のボトム矯正ロ-ラ及び複数の矯正ロ-ラは、その軸方向にて、電線に対し直角になるように配置されるとともに、電線の搬送方向に対して上下に互い違いとなるように千鳥状に配置されている。
【0005】
駆動部は、上記固定部の上方に配置されている。当該駆動部は、出力ロッドを有しており、当該出力ロッドは、駆動部のハウジングを介し固定部を通り下方へ延出して上支持台に連結されている。ここで、駆動部は、そのサ-ボモ-タにより、出力ロッドを上下に昇降させるように駆動することで、上支持台をガイド軸に沿いスライドさせるようになっている。これにより、矯正ロ-ラが電線に対し適切に押圧できる位置まで上支持台を移動させることができる。
【0006】
このような構成のもと、電線を矯正するにあたっては、当該電線を複数のボトム矯正ロ-ラ上に置いた後、複数の矯正ロ-ラにより電線を押圧するように、駆動部により上支持台を目標位置まで降下させる。これにより、電線が複数の矯正ロ-ラ及び複数のボトム矯正ロ-ラにジグザグに掛けるようにセットされる。そして、引き込みロ-ラを駆動すると、電線は、引き込みロ-ラに引き込まれるように移動しつつ複数の矯正ロ-ラ及び複数のボトム矯正ロ-ラにより上下に押圧され山折り及び谷折りを繰り返すように屈曲される。これにより、電線の曲がり癖や巻き癖を除去して直線状に整形せんとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このように構成してなる線状体矯正装置において、電線を矯正するにあたっては、上述のように、上支持台を目標位置まで降下させる。ここで、当該目標位置は、以下のように定められている。
【0009】
上支持台の目標位置は、当該上支持台の昇降ストロ-クの最上端位置(原点)からの下方への移動距離として表され、電線の種類(電線の材料及び径等に基づく種類)ごとに記憶部に記憶されている。
【0010】
従って、電線を矯正するにあたっては、矯正対象の電線の種類に応じた目標位置まで上支持台を降下させることとなる。
【0011】
しかしながら、同一種類の電線であっても、電線が異なるごとに曲がり癖や巻き癖が相違する場合には、予め記憶済みの単一の目標位置のみでは電線の曲がり癖や巻き癖を適正に矯正するには不十分である。
【0012】
また、上述のような電線の矯正に限らず、当該電線から所望の曲がり形状の部品を加工したり、電線をその原材料から加工した上で所望の曲がり形状の部品とするにあたっては、上述のように電線の種類ごとに予め設定された目標位置のみでは不十分である。
【0013】
また、以上述べたことは、電線に限らず、被覆ケ-ブル等のケ-ブル、管状或いはチューブ状の中空部材や長手状シ-ト等の長手状部材であっても、同様に、成立する。
【0014】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、所望の長手形状に加工される電線、ケ-ブル及びシ-トや管状或いはチューブ状の中空部材等の長手状部材、その加工装置及び加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題の解決にあたり、本発明に係る長手状部材は、請求項1の記載によれば、 赤外光或いはレーザー光の照射により所定の曲がり形状に加工形成してなるものである。
【0016】
これにより、赤外光或いはレーザー光の照射による加熱量でもって、所定の曲がり形状の長手状部材を良好に形成することができる。
【0017】
また、本発明に係る長手状部材の加工装置は、請求項2の記載によれば、
曲がり癖のついた長手状部材(10)と、
当該長手状部材の長手方向中間部位(13)に赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段(40、50、233、234)と、
前記長手状部材及び前記照射光出射手段のいずれか一方を前記長手状部材の長手方向に移動させる移動手段(20、30、70、231)と、
前記長手状部材の曲がり癖の強さを曲がり癖強さとして検出する検出手段(S1)と、
前記移動手段により移動される前記長手状部材及び前記照射光出射手段の前記いずれか一方の移動に伴い前記長手状部材の曲がり癖を矯正加工にするために予め定めた照射光出力-曲がり癖強さ特性に基づき前記検出手段による検出曲がり癖強さに応じて設定してなる照射光出力を出射するように前記照射光出射手段を制御する制御手段(60、80、90)とを備える。
【0018】
このような構成によれば、制御手段が、長手状部材或いは照射光出射手段の移動に伴い、予め定めた照射光出力-曲がり癖強さ特性に基づき検出手段による検出曲がり癖強さに応じて設定してなる照射光出力を出射するように照射光出射手段を制御するので、当該照射光出射手段は、設定照射光出力に対応する量にて照射光を出射する。
【0019】
このことは、当該照射光出射手段は、設定照射光出力に対応する量にて照射光を長手状部材の中間部位に集光することを意味する。
【0020】
これにより、曲がり癖のついた長手状部材は、その長手方向中間部位にて、出射光の出射量に基づく加熱量でもって、曲がり癖を、直線状に良好に矯正加工され得る。
【0021】
また、本発明に係る長手状部材の加工装置は、請求項3の記載によれば、
直線状の長手状部材(10a)と、
当該長手状部材の長手方向中間部位(13)に赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段(40、50、332、333)と、
前記長手状部材及び前記照射光出射手段のいずれか一方を前記長手状部材の長手方向に移動させる移動手段(20、30、70、331)と、
前記長手状部材を所定の曲がり形状に曲げ加工するに要する曲率を設定する設定手段(60a、320、321)と、
前記移動手段により移動される前記長手状部材及び前記照射光出射手段の前記いずれか一方の移動に伴い当該長手状部材を前記所定の曲がり形状に曲げ加工にするために前記設定手段の設定による前記曲率に応じた量にて照射光を出射するように前記照射光出射手段を制御する制御手段(60、80、90)とを備える。
【0022】
このような構成によれば、制御手段は、直線状の長手状部材或いは照射光出射手段の移動に伴い当該長手状部材を所定の曲がり形状に曲げ加工にするために設定手段の設定による曲率に応じて照射光出力に対応する量にて照射光を出射するように照射光出射手段を制御する。
【0023】
このことは、当該照射光出射手段は、設定曲率に対応する量にて照射光を長手状部材の中間部位に集光することを意味する。
【0024】
これにより、直線状の長手状部材は、その長手方向中間部位にて、設定曲率に基づく照射光出射量による加熱量でもって、所定の曲がり形状に良好に曲げ加工され得る。
【0025】
また、本発明に係る長手状部材の加工装置は、請求項4の記載によれば、
直線状の長手状部材(10a)と、
当該長手状部材の長手方向中間部位(14)に赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段(40、50、332a、333a)と、
前記長手状部材及び前記照射光出射手段のいずれか一方を前記長手状部材の長手方向に移動させる移動手段(20、30、70、331)と、
前記長手状部材を所定の波目形状に曲げ加工するに要する照射光出力を設定する設定手段(60a、320a、321a)と、
前記移動手段により移動される前記長手状部材及び前記照射光出射手段の前記いずれか一方の移動に伴い当該長手状部材を前記所定の波目形状に曲げ加工するように前記設定手段の設定による前記照射光出力を前記所定の波目形状に対応して時間的に変化させながら出射するように前記照射光出射手段を制御する制御手段(60、80。90)とを備える。
【0026】
このような構成によれば、制御手段は、長手状部材或いは照射光出射手段の移動に伴い当該長手状部材を所定の波目形状に曲げ加工するように設定手段の設定による照射光出力を所定の波目形状に対応して時間的に変化させながら出射するように照射光出射手段を制御する。
【0027】
このことは、当該照射光出射手段は、所定の波目形状に対応して時間的に変化する照射光出力に対応する量にて照射光を長手状部材の中間部位に集光することを意味する。
【0028】
これにより、長手状部材は、その長手方向中間部位にて、照射光出射量に基づく加熱量でもって、波目形状に良好に曲げ加工され得る。
【0029】
また、本発明に係る長手状部材の加工装置は、請求項5の記載によれば、
長手状部材(10)と、
前記長手状部材(10)の製造過程において、前記長手状部材の長手方向中間部位(13)に赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射するように前記長手方向中間部位を介し対向して配設してなる両照射光出射手段(40、50、233a、234a)と、
前記長手状部材及び前記照射光出射手段のいずれか一方を前記長手状部材の長手方向に移動させる移動手段(20、30、70、231)と、
前記長手状部材を直線状に加工するに要する照射光出力(Is)を設定する設定手段(60a、220a、221a)と、
前記移動手段により移動される前記長手状部材及び前記照射光出射手段の前記いずれか一方の移動に伴い当該長手状部材を直線状に加工にするために前記設定手段の設定による照射光出力を出射するように前記両照射光出射手段を制御する制御手段(60、80、90)とを備える
このような構成によれば、制御手段は、長手状部材或いは照射光出射手段の移動に伴い当該長手状部材を直線状に加工にするために設定照射光出力を出射するように両照射光出射手段を制御する。
【0030】
このことは、当該両照射光出射手段は、設定照射光出力に対応する量にて照射光を長手状部材の中間部位にその両側から集光させることを意味する。
【0031】
これにより、長手状部材は、その長手方向中間部位にて、設定照射光出力の照射光出射量に基づく加熱量でもって、直線状に良好に加工され得る。
【0032】
また、本発明に係る長手状部材の加工方法は、請求項6の記載によれば
曲がり癖のついた長手状部材及び赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段のいずれか一方の移動に伴い当該長手状部材の曲がり癖を矯正加工するように前記長手状部材に対しその曲がり癖の強さに応じた量にて前記照射光を前記照射光出射手段から出射する。
【0033】
これによれば、請求項2に記載の発明の作用効果を達成し得る長手状部材の加工方法の提供が可能となる。
【0034】
また、本発明に係る長手状部材の加工方法は、請求項7の記載によれば、
直線状の長手状部材及び赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段のいずれか一方の移動に伴い前記長手状部材を所定の曲がり形状に曲げ加工するように前記長手状部材に対し前記所定の曲がり形状にするに要する曲率に応じた量にて前記照射光を前記照射光出射手段から出射する。
【0035】
これによれば、請求項3に記載の発明の作用効果を達成し得る長手状部材の加工方法の提供が可能となる。
【0036】
また、本発明に係る長手状部材の加工方法は、請求項8の記載によれば、
直線状の長手状部材及び赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段のいずれか一方の移動に伴い前記長手状部材を所定の波目形状に曲げ加工するために前記長手状部材に対し前記照射光を前記所定の波目形状に対応して時間的に変化させながら前記照射光出射手段により出射する。
【0037】
これによれば、請求項4に記載の発明の作用効果を達成し得る長手状部材の加工方法の提供が可能となる。
【0038】
また、本発明に係る長手状部材の加工方法は、請求項9の記載によれば、
長手状部材の製造過程において、当該長手状部材及び赤外光或いはレーザー光からなる照射光を出射する照射光出射手段のいずれか一方の移動に伴い前記長手状部材を直線状に加工するために前記照射光を前記長手状部材の中間部位にその両側から前記照射光出射手段により出射する。
【0039】
これによれば、請求項5に記載の発明の作用効果を達成し得る長手状部材の加工方法の提供が可能となる。
【0040】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明が適用される長手状部材の加工装置の第1実施形態を示すブロック回路図である。
【
図2】上記第1実施形態においてCPUにより実行される矯正加工プログラムを表すフローチャートの一部である。
【
図3】上記第1実施形態においてCPUにより実行される矯正加工プログラムを表すフローチャートの一部である。
【
図4】上記第1実施形態における曲率と赤外光出力との関係を表すグラフである。
【
図5】上記第1実施形態における赤外光出力の時間経過を示すグラフである。
【
図6】本発明が適用される長手状部材の加工装置の第2実施形態を示すブロック回路図である。
【
図7】上記第2実施形態においてCPUにより実行される曲げ加工プログラムを表すフローチャートの一部である。
【
図8】上記第2実施形態においてCPUにより実行される曲げ加工プログラムを表すフローチャートの一部である。
【
図9】上記第2実施形態における曲率と赤外光出力との関係を表すグラフである。
【
図10】本発明の第3実施形態における各赤外光出力の位相との関係を示す正弦波波形図である。
【
図11】上記第3実施形態におおいて波目曲げ加工されたワイヤの一部を示す図である。
【
図12】上記第3実施形態においてCPUにより実行される曲げ加工プログラムを表すフローチャートの一部である。
【
図13】上記第3実施形態においてCPUにより実行される曲げ加工プログラムを表すフローチャートの一部である。
【
図14】本発明の第4実施形態の要部を示す直線加工プログラムを表すフローチャートの一部である。
【
図15】上記第4実施形態の要部を示す直線加工プログラムを表すフローチャートの一部である。
【
図16】上記第4実施形態における赤外光出力の時間経過を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明を適用してなる長手状部材の加工装置の第1実施形態を示している。本第1実施形態では、長手状部材として、被覆電線10を採用する。当該被覆電線10は、1本の導線11及び被覆12でもって構成されている。被覆11は、電気絶縁材料でもって、導線11を被覆するように形成されている。なお、被覆電線10は、
図1の下方に位置する被覆電線ストック用ドラムDR(
図1参照)に巻き取られているもので、当該被覆電線10は、その先端部(
図1にて図示上端部)にて、被覆電線ストック用ドラム装置DRのドラムDRbからロ-ラRを介し巻き戻されて延在している。
【0043】
当該被覆電線ストック用ドラム装置DRは、U字状支持体DRaと、ドラムDRbを有しており、支持体DRaは、その底壁にて、
図1の図示位置にて、上記支持台上に配設されている。ドラムDRbは、支持体DRaの底壁から立ち上がる両腕壁の間にて、当該底壁から上方へ延出する支持軸に回転可能に支持されており、当該ドラムDRbには、被覆電線10が巻き戻し可能に巻回されている。また、ロ-ラRは、一対のロ-ラ31、32(後述する)の
図1の図示下方にて上記支持台から立ち上がる支持軸により回転可能に支持されている。
【0044】
これに伴い、被覆電線10は、後述のように一対のロ-ラ23、24によりその回転に伴いローラRを介し
図1にて図示上方へ引き出されて移動するにつれて、ドラムDRbから巻き戻されるようになっている。
【0045】
本第1実施形態では、一対のロ-ラ23、24の引き出し力は、ドラムDRbから被覆電線10を巻き戻すに十分な大きさを有する。なお、一対のロ-ラ23、24の引き出し力が、モーター21の回転力では不足する場合には、ドラムDRbをドラム用モーター(図示しない)でもって、確保するようにしてもよい。
【0046】
具体的には、上記ドラム用モーターの回転をドラム用エンコーダ(図示しない)により検出し、当該検出回転を、モーター21の回転を検出するエンコーダ22の検出結果と一致させるように、CPU61によりドラム用モーター制御回路(図示しない)を介し上記ドラム用モーターを制御することで、各一対のローラ23、24及び31、32を介し被覆電線10を円滑に移動させるようにすればよい。
【0047】
また、本第1実施形態では、被覆電線10がドラムDRbから
図1にて図示上方向へ巻き戻される状態では、当該被覆電線10には
図1にて図示左側への曲がり癖がついているものとする。
【0048】
また、本第1実施形態においては、加工装置は、被覆電線10の曲がり癖を矯正加工するに適した加工装置(以下、加工装置Dという)としての役割を果たす。
【0049】
当該加工装置Dは、ワ-クとしての被覆電線10をその長手方向に送るに要する両送り機構20、30を備えている。以下、本第1実施形態では、両送り機構20、30のうち、送り機構20を主送り機構20といい、送り機構30を、副送り機構30という。
【0050】
主送り機構20は、モ-タ-21、エンコ-ダ22及び一対のロ-ラ23、24を備えている。モ-タ-21は、サ-ボモ-タ-(以下、サ-ボモ-タ-21ともいう)からなるもので、当該サ-ボモ-タ-21の回転軸21aには、エンコ-ダ22が当該サ-ボモ-タ-21の反負荷側から同軸的に支持されている。エンコ-ダ22は、ロ-タリ-エンコ-ダからなるもので、当該エンコ-ダ22は、モ-タ-21の回転軸21aの回転をモ-タ-21の回転として検出してマイクロコンピュ-タ60(後述する)に出力する。
【0051】
一対のロ-ラ23、24のうち、ロ-ラ23は、上記支持台から上方へ立設してなる支持軸23aにより回転可能に支持されている。当該ロ-ラ23は、その外周部にて、横断面凹状の溝部として形成されている。これに伴い、当該ロ-ラ23は、その溝部にて、被覆電線10の先端部にその
図1にて図示左側から当接している。
【0052】
一方、ロ-ラ24は、被覆電線10の先端部を介しロ-ラ23に対向して位置するように、被覆電線10の
図1にて図示右側にて、上記支持台から上方へ立設してなる支持軸24aにより回転可能に支持されている。当該ロ-ラ24は、その外周部にて、ロ-ラ23の溝部と同様に、横断面凹状の溝部として形成されている。これに伴い、当該ロ-ラ24は、その溝部にて、被覆電線10の先端部を介し、ロ-ラ23の溝部に対向するように、被覆電線10の先端部に当接している。
【0053】
これにより、一対のロ-ラ23、24は、その各溝部にて、被覆電線10の先端部を挟むように保持する。
【0054】
ここで、モ-タ-21は、その回転軸21aを上方へ延出させるように、上記支持台上に配設されている。このような配設のもと、ロ-ラ23は、上述のごとく、その溝部にて、被覆電線10を介しロ-ラ24の溝部に対向するように、モ-タ-21の回転軸21aの出力端部に同軸的に支持されている。なお、ロ-ラ24は、上記支持台から上方へ立設してなる支持軸24aにより回転可能に支持されている。
【0055】
副送り機構30は、主送り機構20の一対のロ-ラ23、24に対応する一対のロ-ラ31、32でもって構成されている。一対のロ-ラ31、32のうち、ロ-ラ31は、上記支持台から上方へ立設してなる支持軸31aにより回転可能に支持されている。当該ロ-ラ31は、その外周部にて、ロ-ラ23の溝部と同様に、横断面凹状の溝部として形成されている。これに伴い、当該ロ-ラ31は、その溝部にて、被覆電線10の
図1にて図示下方部にその
図1にて図示左側から当接している。
【0056】
一方、ロ-ラ32は、被覆電線10の後端部を介しロ-ラ31に対向して位置するように、被覆電線10の
図1にて図示右側にて、上記支持台から上方へ立設してなる支持軸32aにより回転可能に支持されている。当該ロ-ラ32は、その外周部にて、ロ-ラ23の溝部と同様に、横断面凹状の溝部として形成されている。これに伴い、当該ロ-ラ32は、その溝部にて、被覆電線10の後端部を介し、ロ-ラ31の溝部に対向するように、被覆電線10の上記図示下方部に当接している。
【0057】
これにより、一対のロ-ラ31、32は、その各溝部にて、被覆電線10の上記図示下方部を挟むように保持する。
【0058】
このように構成してなる主送り機構20及び副送り機構30によれば、被覆電線10は、モ-タ-21の回転に伴う両ロ-ラ23、24の
図1にて図示矢印方向への回転に応じて、両ロ-ラ31、32の
図1にて図示矢印方向への回転のもと、
図1にて図示上方へ移動する。なお、各ロ-ラ24、31及び32は、ロ-ラ23のモ-タ-21の回転に連動する回転に応じた被覆電線10の上方への移動により回転する。
【0059】
また、当該加工装置Dは、
図1にて示すごとく、両赤外線ランプ装置40、50を備えており、これら両赤外線ランプ装置40、50は、被覆電線10の長手方向中間部位13を介し、互いに対向するように、上記支持台上に配設されている。両赤外線ランプ装置40、50のうち、赤外線ランプ装置40は、1点集光型赤外線ランプ装置からなるもので、当該赤外線ランプ装置40は、装置本体41と、当該装置本体41に支持してなる赤外線ランプ42とを備えている。
【0060】
装置本体41は、上記支持台上に配設されており、当該装置本体41は、凹半球面状反射面41aを備えている。これに伴い、装置本体41は、その反射面41aにて、
図1にて示すごとく、被覆電線10に対向するように上記支持台上に配設されている。本第1実施形態では、凹半球面状反射面41aの半径は赤外線ランプ42の球状ランプ部半径よりも大きい。
【0061】
赤外線ランプ42は、赤外線を赤外光として放射状に出射するランプ(球状ランプ部を有する)からなるもので、当該赤外線ランプ42は、その球状ランプ部の中央部にて、装置本体41の反射面41aの半径方向中心部(後述する)に位置するように当該装置本体41に支持されている。
【0062】
ここで、上述したごとく、凹半球面状反射面41aの半径は赤外線ランプ42の球状ランプ部の半径よりも大きいため、赤外線ランプ42がその球状ランプ部から放射状に出射する赤外光は、
図1にて示すごとく、凹半球面状反射面41aにより反射されて、被覆電線10の長手方向中間部位13(反射面41aの半径方向中心部に対応)に集光するようになっている。
【0063】
また、赤外線ランプ装置50は、赤外線ランプ装置40と同様の構成からなるもので、当該赤外線ランプ装置50は、被覆電線10に対し、赤外線ランプ装置40とは対称的な位置にて、上記支持台上に配設されている。
【0064】
赤外線ランプ装置50は赤外線ランプ装置40の装置本体41及び赤外線ランプ42に対応する装置本体51及び赤外線ランプ52でもって構成されている。装置本体51は、装置本体41と同様の構成からなるもので、当該装置本体51は、装置本体41の凹半球面状反射面41aと同様の凹半球面状反射面51aを有する。
【0065】
赤外線ランプ52は、赤外線ランプ42と同様に、赤外線を赤外光として放射状に出射するランプ(球状ランプ部を有する)からなるもので、当該赤外線ランプ52は、その球状ランプ部の中央部にて、装置本体51の凹半球面状反射面51aの半径方向中心部(後述する)に位置するように当該装置本体51に支持されている。
【0066】
ここで、凹半球面状反射面51aの半径は、凹半球面状反射面41aの場合と同様に、赤外線ランプ52の球状ランプ部の半径よりも大きいため、赤外線ランプ52がその球状ランプ部から放射状に出射する赤外光は、
図1にて示すごとく、凹半球面状反射面51aにより反射されて、赤外線ランプ42の出射赤外光と同様に、被覆電線10の長手方向中間部位13に集光するようになっている。なお、本第1実施形態では、両赤外線ランプ42、52は、共に、同一の赤外線(赤外光)出射性能を有するものとする。
【0067】
また、当該加工装置Dは、マイクロコンピュ-タ60を備えている。当該マイクロコンピュ-タ60は、
図1にて示すごとく、直流電源PS、CPU61、ROM62、RAM63及び不揮発性メモリ64を備えている。
【0068】
直流電源PSは、マイクロコンピュ-タ60の各構成素子に給電することで、当該各構成素子を作動状態におく。
【0069】
CPU61は、矯正加工プログラムを
図2及び
図3にて示すフロ-チャ-トに従い、実行するもので、当該CPU61は、その実行中において、操作表示部60aによる操作の下、エンコ-ダ22、曲がり癖検出器S1及び直線移動監視カメラS2による各検出出力に応じて、モ-タ-制御回路70、両赤外線ランプ制御回路80、90を制御するに要する演出処理を行う。ROM62は、CPU61による読み出し可能に、予め、上述の矯正加工プログラムを記憶してなる素子である。RAM63は、CPU61による処理デ-タを一時的に記憶する素子である。不揮発性メモリ64は、電力の供給なくしてデ-タを記憶保持する素子である。
【0070】
操作表示部60aは、マイクロコンピュ-タ60と共にタブレット端末を構成する素子である。当該操作表示部60aは、当該タブレット端末のタッチパネルでもって構成されている。なお、当該操作表示部60aは、そのタッチ操作のもとに、CPU61に対する操作指令を出力し、また、CPU61による指令のもとに当該指令に対する表示を行う。
【0071】
曲がり癖検出器S1は、荷重センサ-からなるもので、当該曲がり癖検出器S1は、一対のロ-ラSa及びSbでもって被覆電線10を
図1にて図示左右両側から挟むことにより、当該一対のロ-ラS1及びS2に作用する被覆電線10の反力に基づき、被覆電線10の
図1にて図示左右方向への曲がり度合いを曲がり癖強さとして検出しCPU61に出力する。
【0072】
また、直線移動監視カメラS2は、被覆電線10のその先端側への移動を撮影することで、当該撮影移動に応じた移動長を撮影移動長として検出しCPU61に出力する。モ-タ-制御回路70は、CPU61からの制御指令に応じてサ-ボモ-タ-21を制御する。
【0073】
両赤外線ランプ制御回路80、90は、それぞれ、サイリスタ回路からなるもので、当該サイリスタ回路は、サイリスタにより商用電源(図示しない)からの交流電力を整流する回路である。
【0074】
即ち、当該両赤外線ランプ制御回路80、90のうち、赤外線ランプ制御回路80は、そのサイリスタ回路により、上記商用電源からの交流出力を、CPU61からのゲート信号に基づき位相制御することで、整流出力に変換して、赤外線ランプ装置80に供給する。
【0075】
これに伴い、赤外線ランプ装置80の赤外線ランプ42は、当該整流出力に応じた量にて赤外光を出射するように点灯制御される。なお、CPU61から出力されるゲート信号は、後述する赤外線ランプ42の赤外光出力に対応する整流出力を赤外線ランプ制御回路80のサイリスタ回路にて形成するに要するタイミングにてCPU61から出力される。
【0076】
また、赤外線ランプ制御回路90も、そのサイリスタ回路により、赤外ランプ制御回路80と同様に、上記商用電源からの交流出力を、CPU61からのゲート信号に基づき位相制御することで、整流出力に変換して、赤外線ランプ装置90に供給する。
【0077】
これに伴い、赤外線ランプ装置90の赤外線ランプ52は、当該整流出力に応じた量にて赤外光を出射するように点灯制御される。なお、赤外線ランプ装置90に対しCPU61から出力されるゲート信号は、後述する赤外線ランプ52の赤外光出力に対応する整流出力を赤外線ランプ制御回路90のサイリスタ回路にて形成するに要するタイミングにてCPU61から出力される。
【0078】
以上のように構成してなる本第1実施形態において、ワ-クとしての被覆電線10を矯正加工するにあたり、当該被覆電線10は、上述のように曲がり癖のついた被覆電線であるものとする。ここでは、当該曲がり癖とは、被覆電線10が
図1にて図示右側から左側へ曲がるような癖をいう。また、被覆電線10は、主ワ-ク送り機構20の一対のロ-ラ23、24及び副送り機構30の一対のロ-ラ31、32でもって、
図1にて示すごとく、保持されているものとする。
【0079】
このような状態にて、加工装置Dを作動状態におくと、マイクロコンピュ-タ60は、CPU61にて、
図2及び
図3にて示すフロ-チャ-トに従い矯正加工プログラムの実行を開始する。
【0080】
しかして、CPU61は、
図2のステップ200において、矯正加工要請ありか否かについて判定する。現段階において、操作表示部60aのタッチ操作により矯正加工要請をすると、ステップ200において、「YES」との判定がなされる。
【0081】
すると、次のステップ210において、ワ-クの種類の入力ありか否かが判定される。現段階において、操作表示部60aのタッチ操作により、ワ-クの種類を被覆電線と入力すれば、ステップ210における判定は「YES」となる。これに伴い、ステップ211におけるワ-クの種類設定処理において、ワ-クは、被覆電線10と設定される。
【0082】
このような設定後、次のステップ220において、ワ-クの矯正加工長の入力ありか否かが判定される。ここで、操作表示部60aのタッチ操作により、被覆電線10の矯正加工長をLとして入力すれば、ステップ220における判定が「YES」となる。本第1実施形態において、矯正加工長Lとは、
図1にて示すごとく、被覆電線10の長手方向中間部位13から当該被覆電線10の
図1にて図示下方側への長さでもって設定される。
【0083】
しかして、次のステップ221におけるワ-クの移動長設定処理において、被覆電線10の移動長が、当該被覆電線10の矯正加工長Lと同様の長さに設定される。このことは、被覆電線10をその矯正加工長Lに亘り矯正加工するにあたり、被覆電線10は、その先端部側へ、移動長Lだけ移動することを意味する。
【0084】
然る後、ステップ230において、矯正加工の開始か否かが判定される。ここで、操作表示部60aのタッチ操作により、矯正加工の開始と入力すると、当該ステップ230における判定が「YES」となる。
【0085】
ついで、次のステップ231においてモ-タ-駆動処理がなされる。当該モ-タ-駆動処理では、モ-タ-制御回路70が、CPU61からの指令に基づき、ワ-ク送り機構20のモ-タ-21の駆動を開始する。これに伴い、ロ-ラ23がモ-タ-21の回転に連動して回転し始める。すると、被覆電線10は、両ロ-ラ23、24の
図1にて示す矢印方向への回転に伴い図示上方へ移動し始める。なお、副送り機構30の両ロ-ラ31、32は、上述のような被覆電線10の移動に伴い、
図1にて図示回転方向に回転することで、被覆電線10の当該移動を助勢する。
【0086】
ステップ231の処理後、ステップ232において、ワ-クの曲がり癖強さの入力処理がなされる。当該入力処理においては、上述のように移動し始めた被覆電線10の曲がり癖強さが、曲がり癖強さ検出器S1により検出されると、当該曲がり癖強さ検出器S1の検出出力は、CPU61に入力される。本第1実施形態では、上述した被覆電線10の右側から左側への曲がり癖強さが、曲がり癖強さ検出器S1により検出されて、CPU61に入力される。
【0087】
ついで、ステップ233において曲がり癖強さに対する両赤外線ランプの各赤外光出力の設定処理がなされる。当該設定処理は、両赤外線ランプ42、52の各赤外光出力が、次のようにして、
図4に示す曲がり癖強さ(N)と赤外光出力(W)との関係を表す赤外光出力-曲がり癖強さ特性に基づき曲がり癖強さ検出器S1の検出出力に応じて設定される。なお、本第1実施形態において、上述の赤外光出力とは、赤外光出射量をいう。
【0088】
本第1実施形態において、
図4は、両グラフ1、2を示している。グラフ1は、赤外線ランプ42の赤外光出力-曲がり癖強さ特性(以下、符号1により示す)を示すV字状のグラフである。一方、グラフ2は、赤外線ランプ52の赤外光出力-曲がり癖強さ特性(以下、符号2により示す)を示すV字状のグラフである。当該両赤外光出力-曲がり癖強さ特性1、2は、マイクロコンピュ-タ60の不揮発性メモリ63に記憶されている。
【0089】
図4の座標面において、横軸は、その原点(0)の左側にて、ワ-クの左側への曲がり癖強さBaを表している。また、当該横軸は、その原点の右側にて、ワ-クの右側への曲がり癖強さBbを表している。また、
図4の座標面において、縦軸は、その原点の上側にて、赤外光出力Iを表す。
【0090】
ここで、グラフ1、2は、
図4の座標面の第1及び第2の象限にある。第1象限においては、グラフ2の勾配は、グラフ1の勾配よりも大きい。これは、ワ-クの右側への曲がり癖強さを矯正加工するためである。一方、第2象限においては、グラフ1の勾配が、グラフ2の勾配よりも大きい。これは、ワ-クの左側への曲がり癖強さを矯正加工するためである。
【0091】
ちなみに、第1象限においてグラフ1の勾配を零よりも大きな値とし、一方、第2象限においてグラフ2の勾配を零よりも大きな値とした理由について説明する。
【0092】
ワ-クである被覆電線10には、上述したごとく、左側への曲がり癖がついている。この左側への曲がり癖を矯正加工するには、赤外線ランプ42のみの赤外光照射でもって矯正加工することが考えられる。この場合、被覆電線10の右側に対する赤外線ランプ52の赤外光照射はなく、当該被覆電線10の右側は自然(大気)のみの雰囲気内におかれる。このため、被覆電線10の右側部位の温度が、被覆電線10の左側部位の温度のようには安定しない。このことは、赤外線ランプ42のみの赤外光照射によっては、被覆電線10の左側への曲がり癖を安定的に矯正加工し得ないことを意味する。
【0093】
一方、被覆電線10には、上述とは異なり、仮に、右側への曲がり癖がついているものとすれば、当該右側への曲がり癖の矯正加工をするには、赤外線ランプ52による赤外線照射のみによっては、上述と類似した理由により、被覆電線10の右側への曲がり癖を安定的に矯正加工することができない。
【0094】
そこで、上述のごとく、第1象限においてグラフ1の勾配を零よりも大きな値とすべく、赤外線ランプ52も赤外光照射を行うようにし、一方、第2象限においてグラフ2の勾配を零よりも大きな値とすべく、赤外線ランプ42も赤外光照射を行うようにした。これにより、被覆電線10の曲がり癖を、大気の雰囲気温度に影響されることなく安定的に矯正加工することが可能となる。
【0095】
しかして、現段階において、曲がり癖強さ検出器S1の検出出力である左側への曲がり癖強度が、
図4にて示すごとく、Ba1であれば、赤外線ランプ42の赤外光出力(赤外光出射量)は、グラフ1の点P1に対応する赤外光出力I1と設定され、一方、赤外線ランプ52の赤外光出力(赤外光出射量)は、グラフ2の点P2に対応する赤外光出力I2と設定される。
【0096】
このように、各赤外光出力I1、I2が、CPU61により、不揮発性メモリ64に保存済みの両赤外光出力-曲がり癖強さ特性1、2に基づき曲がり癖強さ検出器S1の検出出力に応じて設定される。
【0097】
然る後、次のステップ234において両赤外線ランプの点灯処理がなされる。当該点灯処理においては、CPU61が、ステップ233にて設定済みの赤外光出力I1(
図5参照)に対応するゲ-ト信号を赤外線ランプ制御回路80に出力する。
【0098】
これに伴い、赤外線ランプ制御回路80は、CPU61からのゲ-ト信号に基づき点弧するサイリスタ回路により形成される整流出力を赤外線ランプ装置40の赤外線ランプ42に供給する。これにより、赤外線ランプ42は、赤外線ランプ制御回路80からの整流出力(赤外光出力I1に対応)に基づき点灯するとともに当該整流出力に対応する量にて赤外光を出射する。
【0099】
このことは、赤外線ランプ42から反射面41aを介し被覆電線10の長手方向中間部位13に集光される赤外光の量は、赤外光出力I1に対応する赤外光出射量であることを意味する。
【0100】
即ち、赤外線ランプ42は、赤外線ランプ制御回路80からの整流出力を受けて点灯して、当該整流出力に対応する量(赤外光出力I1に対応する)の赤外光を出射して反射面41aを介し被覆電線10の長手方向中間部位13にその左側から集光させる。
【0101】
また、CPU61は、ステップ233にて設定済みの赤外光出力I2に対応するゲ-ト信号を赤外線ランプ制御回路90に出力する。換言すれば、赤外線ランプ制御回路90は、CPU61からのゲ-ト信号に基づき点弧するサイリスタ回路により形成される整流出力を赤外線ランプ装置50の赤外線ランプ52に供給する。これにより、赤外線ランプ52は、赤外線ランプ制御回路90からの整流出力(赤外光出力I2に対応)に基づき点灯するとともに当該整流出力に対応する量にて赤外光を出射する。
【0102】
このことは、赤外線ランプ52から反射面51aを介し被覆電線10の長手方向中間部位13にその右側から集光される赤外光の量は、赤外線出力I2に対応する赤外光出射量であることを意味する。
【0103】
即ち、赤外線ランプ52は、赤外線ランプ制御回路90からの整流出力を受けて点灯して、当該整流出力に対応する量(赤外光出力I2に対応する)の赤外光を出射して反射面51aを介し被覆電線10の長手方向中間部位13にその右側から集光させる。
【0104】
このようにして、赤外線ランプ42からの赤外光が赤外光出力I1に対応する量にて被覆電線10の長手方向中間部位13にその左側から集光するとともに、赤外線ランプ52からの赤外光が赤外光出力I2に対応する量にて被覆電線10の長手方向中間部位13にその右側から集光すると、当該被覆電線10は、その長手方向中間部位13にて、赤外光出力I1(
図5のグラフ3参照)に対応する赤外光出射量と赤外光出力I2(
図5のグラフ4参照)に対応する赤外光出射量との差(赤外光出射量差)に基づく加熱量でもって、矯正加工される。
【0105】
これにより、被覆電線10の長手方向中間部位13における左側への曲がり癖が、上記赤外光出射量差でもって、直線状に矯正加工され得る。長手方向中間部位13は、その左側部位だけでなく右側部位も、赤外光照射を受けているので、当該長手方向中間部位13は、大気の雰囲気温度に影響されることなく安定的に矯正加工され得る。
【0106】
以下、被覆電線10がその先端部側へ移動するにつれて、上述のように赤外光照射される長手方向中間部位13が新しく変わっていくものの、このように順次変わっていく長手方向中間部位13は、上述と同様にして、赤外線ランプ42からの赤外光出力I1に対応する赤外光出射量及び赤外線ランプ52からの赤外光出力I2に対応する赤外光出射量の差による加熱でもって、安定的に直線状に矯正加工され得る。
【0107】
このような矯正加工過程において、直線移動監視カメラS2が被覆電線10のその先端部側への移動長を撮影移動長として検出する。現段階において、当該撮影移動長が、上述した設定移動長Lに達していなければ、矯正加工長Lだけ移動していないことから、次のステップ240にて、「NO」と判定される。
【0108】
然る後、直線移動監視カメラS2による検出撮影移動長が設定移動長Lに達すると、ステップ240における判定は、「YES」となる。このことは、被覆電線10のうちの矯正加工長Lに対応する被覆電線部位が、その左側への曲がり癖にて、直線状に矯正加工されたことを意味する。
【0109】
このように矯正加工がなされると、次のステップ241におけるモ-タ-駆動停止処理にて、モ-タ-21が、CPU61によりモ-タ-制御回路70を介し駆動停止される。これに伴い、被覆電線10のその先端部側への移動が停止される。ついで、ステップ242における両赤外線ランプ消灯処理において、両赤外線ランプ42、52が、CPU61により、両赤外線ランプ制御回路80、90を介して、消灯される。
【0110】
以上説明したように、本第1実施形態によれば、加工装置Dにおいて、主送り機構20は、そのモーター21にて、CPU61からの指令に基づきモーター制御回路70により駆動制御されて回転すると、ローラ23がモーター21に連動して回転する。これに伴い、被覆電線10が、その先端部側へ、一対のローラ23、24によりその各回転のもとに引かれて移動する。このとき、副送り機構30は、一対のローラ31、32でもって被覆電線10の移動を助勢する。
【0111】
また、当該加工装置Dにおいては、赤外線ランプ装置40が、その赤外線ランプ42にて、被覆電線10の長手方向中間部位13にその左側から対向するように配設されており、一方、赤外線ランプ装置50が、その赤外線ランプ52にて、被覆電線10の長手方向中間部位13を介しその右側から赤外線ランプ42に対向するように配設されている。
【0112】
このような配設のもと、予め定めてなる赤外光出力-曲がり癖強さ特性1に基づき赤外線ランプ42の赤外光出力を、曲がり癖強さ検出器S1による検出曲がり癖強さに応じて赤外光出力I1(
図4参照)と設定し、また、予め定めてなる赤外光出力-曲がり癖強さ特性2に基づき赤外線ランプ52の赤外光出力を、曲がり癖強さ検出器S1による検出曲がり癖強さに応じて赤外光出力I2(
図4参照)と設定する。
【0113】
このような両赤外光出力I1、I2の設定のもと、赤外線ランプ制御装置80が、そのサイリスタ回路にて、CPU61によりゲート信号でもって点弧制御されて赤外光出力I1に対応する整流出力を赤外線ランプ装置40に出力するとともに、赤外線ランプ制御装置90が、そのサイリスタ回路にて、CPU61によりゲート信号でもって点弧制御されて赤外光出力I2に対応する整流出力を赤外線ランプ装置50に出力する。
【0114】
これに伴い、赤外線ランプ装置40は、その赤外線ランプ42により、赤外光出力I1に対応する量でもって赤外光を出射する。一方、赤外線ランプ装置50は、その赤外線ランプ52により、赤外光出力I2に対応する量でもって赤外光を出射する。
【0115】
すると、赤外線ランプ42が出射する赤外光は、赤外線ランプ装置40の装置本体41の凹半球面状反射面41aにより反射されて被覆電線10の長手方向中間部位13にその左側から集光する。一方、赤外線ランプ52が出射する赤外光は、赤外線ランプ装置50の装置本体51の凹半球面状反射面51aにより反射されて被覆電線10の長手方向中間部位13にその右側から集光する。
【0116】
これにより、被覆電線10は、その長手方向中間部位13にて、赤外光出力I1に対応する赤外光出射量と赤外光出力I2に対応する赤外光出射量との差に基づく加熱量でもって、左側への曲がり癖を、直線状に良好に矯正加工され得る。
【0117】
(第2実施形態)
図6は、本発明を適用してなる長手状部材の加工装置の第2実施形態を示している。本第2実施形態においては、長手状部材として、上記第1実施形態にて述べた被覆電線10に代えて、ワイヤ10aが採用されている。当該ワイヤ10aは、上記第1実施形態にて述べた被覆電線10に代えて、当該被覆電線10と同様に、主送り機構20の一対のロ-ラ23、24及び副送り機構30の一対のロ-ラ31、32でもって、
図6にて示すごとく、保持されている。なお、本第2実施形態においては、加工装置は、ワイヤ10aに曲げ加工を施すに適した加工装置(以下、加工装置Daという)としての役割を果たす。
【0118】
当該加工装置Daは、曲がり癖強さ検出器S1を採用しない点を除き、上記第1実施形態にて述べた加工装置D(
図1参照)の構成と同様の構成を有している。ただし、本第2実施形態では、赤外線ランプ42は、その出射赤外光を、上記第1実施形態にて述べた被覆電線10の長手方向中間部位13に代えて、ワイヤ10aの長手方向中間部位14にその左側から集光するようになっている。一方、赤外線ランプ52は、その出射赤外光を、ワイヤ10aの長手方向中間部位14にその右側から集光するようになっている。
【0119】
また、本第2実施形態において、マイクロコンピュ-タ60のROM62は、上記第1実施形態に述べた矯正加工プログラムに代えて、曲げ加工プログラムを予め読み出し可能に記憶してなるものである。
【0120】
これに伴い、本第2実施形態では、マイクロコンピュ-タ60のCPU61は、当該曲げ加工プログラムを、
図2及び
図3のフロ-チャ-トに代わるフロ-チャ-ト(
図7及び
図8参照)に従い実行するようになっている。当該CPU61は、その実行中において、操作表示部60aによるタッチ操作の下、エンコ-ダ22及び直線移動監視カメラS2による各検出出力に応じて、モ-タ-制御回路70、両赤外線ランプ制御回路80、90を制御するに要する演出処理を行う。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0121】
以上のように構成した本第2実施形態において、ワ-クとしてのワイヤ10aを曲げ加工するにあたり、加工装置Daを作動状態におくと、CPU61は、
図7及び
図8のフロ-チャ-トに従い、曲げ加工プログラムを実行する。
【0122】
しかして、CPU61は、
図7のステップ300において、曲げ加工要請ありか否かについて判定する。現段階において、操作表示部60aのタッチ操作に伴い、曲げ加工要請と入力されれば、ステップ300における判定が、「YES」となる。
【0123】
すると、次のステップ310において、ワ-クの種類の入力ありか否かが判定される。現段階において、操作表示部60aのタッチ操作により、ワ-クの種類をワイヤと入力すれば、ステップ310における判定は「YES」となる。これに伴い、ステップ311におけるワ-クの種類設定処理において、ワ-クは、ワイヤ10aと設定される。
【0124】
このような設定後、次のステップ320において、ワ-クの加工寸法及び曲率の入力ありか否かが判定される。ここで、操作表示部60aのタッチ操作により、ワイヤ10aの加工寸法及び曲率を入力すれば、ステップ320における判定が「YES」となる。本第2実施形態において、加工寸法とは、ワイヤ10aの長手方向中間部位14から副送り装置30側へとったワイヤ10aを曲げ加工するに要する曲げ加工長の寸法をいう。また、曲率とは、ワイヤ10aの上記曲げ加工長に対応するワイヤ部位の曲がり度合いを表す。
【0125】
然る後、ステップ321におけるワ-クの曲率及び加工寸法の設定処理において、上述のように操作表示部60aのタッチ操作により入力した加工寸法及び曲率を設定加工寸法及び設定曲率とする。ここで、当該設定加工寸法をL1とし、設定曲率をCa1とする。
【0126】
ついで、ステップ330において、曲げ加工の開始か否かが判定される。ここで、操作表示部60aのタッチ操作により、曲げ加工の開始と入力すれば、ステップ330における判定は、「YES」となる。これに伴い、次のステップ331におけるモ-タ-の駆動処理において、モ-タ-制御回路70が、上記第1実施形態と同様に、CPU61からの指令に基づき、主ワ-ク送り機構20のモ-タ-21の駆動を開始する。これに伴い、ワイヤ10aは、モ-タ-21の回転に連動するロ-ラ23の回転のもと、両ロ-ラ23、24及び両ロ-ラ31、32の各回転に伴い、
図1の図示上方へ円滑に移動する。
【0127】
すると、
図8のステップ332において、設定曲率に対する両赤外線ランプの赤外線出力の設定処理がなされる。当該設定処理においては、両赤外線ランプ42、52の各赤外光出力が、次のようにして、
図9に示す赤外光出力(W)と曲率(rad/m)との関係を表す両赤外光出力-曲率特性に基づき設定曲率に応じて設定される。
【0128】
本第2実施形態において、
図9は、両グラフ3、4を示している。グラフ3は、赤外線ランプ42の赤外光出力-曲率特性(以下、3により示す)を示すV字状のグラフである。一方、グラフ4は、赤外線ランプ52の赤外光出力-曲率特性(以下、4により示す)を示すV字状のグラフである。当該両赤外光出力-曲率特性3、4は、上記第1実施形態にて述べた両赤外光出力-曲がり癖強さ特性1、2に代えて、マイクロコンピュ-タ60の不揮発性メモリ63に記憶されている。
【0129】
図9の座標面において、横軸は、その原点(0)の左側にて、ワ-クの左側への曲率Caを表している。また、当該横軸は、その原点の右側にて、ワ-クの右側への曲率Cbを表している。また、
図9の座標面において、縦軸は、
図4の座標面と同様に、その原点の上側にて、赤外光出力Iを表す。
【0130】
ここで、グラフ3、4は、
図4の座標面の場合と同様に、第1及び第2の象限にある。第2象限においては、グラフ3の勾配は、グラフ4の勾配よりも大きい。これは、ワ-クであるワイヤ10aを右側への曲率Caでもって曲げ加工するためである。一方、第1象限においては、グラフ4の勾配が、グラフ3の勾配よりも大きい。これは、ワイヤ10aの左側への曲率Cbでもって曲げ加工するためである。
【0131】
なお、第1象限においてグラフ3の勾配を零よりも大きな値とし、一方、第2象限においてグラフ4の勾配を零よりも大きな値としたのは、上記第1実施形態にて述べた場合と同様に、ワイヤ10aの曲げ加工を大気の雰囲気温度に影響されることなく安定的に行うためである。
【0132】
しかして、現段階において、ステップ321における設定曲率がCa1であることから、赤外線ランプ42の赤外光出力(赤外光出射量)は、グラフ3の点P3に対応する赤外光出力I3となり、一方、赤外線ランプ52の赤外光出力(赤外光出射量)は、グラフ4の点P4に対応する赤外光出力I4と設定される。
【0133】
このように、各赤外光出力I3、I4が、CPU61により、不揮発性メモリ64に保存済みの各赤外光出力-曲率特性3、4に基づき設定曲率Ca1に応じて設定される。
【0134】
然る後、次のステップ333において両赤外線ランプの点灯処理がなされる。当該点灯処理においては、CPU61が、ステップ332にて設定済みの赤外光出力I3(
図9参照)に対応するゲ-ト信号を赤外線ランプ制御回路80に出力する。
【0135】
これに伴い、赤外線ランプ制御回路80は、CPU61からのゲ-ト信号に基づき点弧するサイリスタ回路により形成される整流出力を赤外線ランプ装置40の赤外線ランプ42に供給する。これにより、赤外線ランプ42は、赤外線ランプ制御回路80からの整流出力(赤外光出力I3に対応)に基づき点灯するとともに当該整流出力に対応する量にて赤外光を出射する。
【0136】
このことは、赤外線ランプ42から反射面41aを介しワイヤ10aの長手方向中間部位14に集光される赤外光の量は、赤外光出力I3に対応する赤外光出射量であることを意味する。
【0137】
即ち、赤外線ランプ42は、赤外線ランプ制御回路80からの整流出力を受けて点灯して、当該整流出力に対応する量(赤外光出力I3に対応する)の赤外光を出射して反射面41aを介しワイヤ10aの長手方向中間部位14にその左側から集光させる。
【0138】
また、CPU61は、ステップ332にて設定済みの赤外光出力I4に対応するゲ-ト信号を赤外線ランプ制御回路90に出力する。換言すれば、赤外線ランプ制御回路90は、CPU61からのゲ-ト信号に基づき点弧するサイリスタ回路により形成される整流出力を赤外線ランプ装置50の赤外線ランプ52に供給する。これにより、赤外線ランプ52は、赤外線ランプ制御回路90からの整流出力(赤外光出力I4に対応)に基づき点灯するとともに当該整流出力に対応する量にて赤外光を出射する。
【0139】
このことは、赤外線ランプ52から反射面51aを介しワイヤ10aの長手方向中間部位14にその右側から集光される赤外光の量は、赤外光出力I4に対応する赤外光出射量であることを意味する。
【0140】
即ち、赤外線ランプ52は、赤外線ランプ制御回路90からの整流出力を受けて点灯して、当該整流出力に対応する量(赤外光出力I4に対応する)の赤外光を出射して反射面51aを介し被覆電線10の長手方向中間部位14にその右側から集光させる。
【0141】
このようにして、赤外線ランプ42からの赤外光が赤外光出力I3に対応する量にてワイヤ10aの長手方向中間部位14にその左側から集光するとともに、赤外線ランプ52からの赤外光が赤外光出力I4に対応する量にてワイヤ10aの長手方向中間部位14にその右側から集光すると、当該ワイヤ10aは、その長手方向中間部位14にて、赤外光出力I3(
図9のグラフ3参照)に対応する赤外光出射量と赤外光出力I4(
図9のグラフ4参照)に対応する赤外光出射量との差(赤外光出射量差)に基づく加熱量でもって、曲げ加工される。
【0142】
これにより、ワイヤ10aの長手方向中間部位14における左側への曲げ加工が、上記赤外光出射量差でもって、曲率Ca1にてなされ得る。長手方向中間部位14は、その左側部位だけでなく右側部位も、赤外光照射を受けているので、当該長手方向中間部位14は、大気の雰囲気温度に影響されることなく安定的に曲げ加工され得る。
【0143】
以下、ワイヤ10aがその先端部側へ移動するにつれて、上述のように赤外光照射される長手方向中間部位14が新しく変わっていくものの、このように順次変わっていく長手方向中間部位14は、上述と同様にして、赤外線ランプ42からの赤外光出力I3に対応する赤外光出射量及び赤外線ランプ52からの赤外光出力I4に対応する赤外光出射量の差による加熱でもって、安定的に曲率Ca1にて曲げ加工され得る。
【0144】
このような曲げ加工過程において、直線移動監視カメラS2がワイヤ10aのその先端部側への移動長を撮影移動長として検出する。現段階において、当該撮影移動長が、上述した設定加工寸法L1に達していなければ、設定加工寸法L1だけ移動していないことから、次のステップ340にて、「NO」と判定される。
【0145】
然る後、直線移動監視カメラS2による検出撮影移動長が設定加工寸法L1に達すると、ステップ340における判定は、「YES」となる。このことは、ワイヤ10aのうちの設定加工寸法L1に対応するワイヤ部位が、曲率Ca1でもって、左側へ曲げ加工されたことを意味する。
【0146】
このように曲げ加工がなされると、次のステップ341におけるモ-タ-駆動停止処理にて、モ-タ-21が、CPU61によりモ-タ-制御回路70を介し駆動停止される。これに伴い、ワイヤ10aのその先端部側への移動が停止される。ついで、ステップ342における両赤外線ランプ消灯処理において、両赤外線ランプ42、52が、CPU61により、両赤外線ランプ制御回路80、90を介して、消灯される。
【0147】
以上説明したように、本第2実施形態によれば、加工装置Daにおいて、主送り機構20は、そのモーター21にて、CPU61からの指令に基づきモーター制御回路70により駆動制御されて回転すると、ローラ23がモーター21に連動して回転する。これに伴い、ワイヤ10aが、その先端部側へ、一対のローラ23、24によりその各回転のもとに引かれて移動する。このとき、副送り機構30は、一対のローラ31、32でもってワイヤ10aの移動を助勢する。
【0148】
また、本第2実施形態においても、上記第1実施形態にて述べたと同様に、赤外線ランプ42及び赤外線ランプ52が、ワイヤ10aの長手方向中間部位14を介しその左右両側から対向して配設されている。
【0149】
このような配設のもと、予め定めてなる赤外光出力-曲率特性3に基づき赤外線ランプ42の赤外光出力を、操作表示部60aによる入力曲率C1a(
図9参照)に応じて赤外光出力I3(
図9参照)と設定し、また、予め定めてなる赤外光出力-曲率特性4に基づき赤外線ランプ52の赤外光出力を、上記入力曲率C1aに応じて赤外光出力I4(
図9参照)と設定する。
【0150】
このような両赤外光出力I3、I4の設定のもと、赤外線ランプ制御装置80が、そのサイリスタ回路にて、CPU61によりそのゲート信号でもって点弧制御されて赤外光出力I3に対応する整流出力を赤外線ランプ装置40に出力するとともに、赤外線ランプ制御装置90が、そのサイリスタ回路にて、CPU61によりそのゲート信号でもって点弧制御されて赤外光出力I4に対応する整流出力を赤外線ランプ装置50に出力する。
【0151】
これに伴い、赤外線ランプ装置40は、その赤外線ランプ42により、赤外光出力I3に対応する量でもって赤外光を出射する。一方、赤外線ランプ装置50は、その赤外線ランプ52により、赤外光出力I4に対応する量でもって赤外光を出射する。
【0152】
しかして、赤外線ランプ42が出射する赤外光は、赤外線ランプ装置40の凹半球面状反射面41aにより反射されてワイヤ10aの長手方向中間部位14にその左側から集光する。一方、赤外線ランプ52が出射する赤外光は、赤外線ランプ装置50の凹半球面状反射面51aにより反射されてワイヤ10aの長手方向中間部位14にその右側から集光する。
【0153】
これにより、ワイヤ10aは、その長手方向中間部位14にて、赤外光出力I3に対応する赤外光出射量と赤外光出力I4に対応する赤外光出射量との差に基づく加熱量でもって、曲率C1aにて左側へ良好に曲げ加工され得る。
(第3実施形態)
図10は、本発明を適用してなる長手状部材の加工装置の第3実施形態の要部を示している。当該第3実施形態にいう加工装置は、上記第2実施形態にて述べた加工装置Daのようにワイヤ10aの曲げ加工を行うものではなく、ワイヤ10aを、
図11にて示すごとく、波目形状に曲げ加工する加工装置(以下、上記第2実施形態と同様に、符号Daにより示す)としての役割を果たす。
【0154】
当該加工にあたり、赤外光出力のその位相との関係を表す第1及び第2の赤外光出力-位相特性が、上記第2実施形態にて述べた両赤外光出力-曲率特性3、4に代えて、上記第2実施形態にて述べた不揮発性メモリ64に記憶されている。
【0155】
当該第1及び第2の赤外光出力-位相特性において、第1の赤外光出力-位相特性は、正弦波曲線W42でもって表される。一方、第2の赤外光出力-位相特性は、正弦波曲線W52でもって表される。
【0156】
ここで、両正弦波曲線W42、W52は、共に、その各振幅内にて、
図10にて示すごとく、赤外線出力I=Icを中心として、正弦波形状に変化している。また、位相θ=θ1~θ2の間では、正弦波曲線W42は、正弦波曲線W52とは逆位相の正弦波形状となっている。
【0157】
このことは、両正弦波曲線W42、W52は、
図10の座標面において原点0を通る横軸を基準にして、上述のような逆位相のもと、波目形状に変化することを意味する。これによれば、ワイヤ10aは、後述のように、
図11にて示すような波目形状に曲げ加工される。
【0158】
また、本第3実施形態では、上記第2実施形態にて述べたフロ-チャ-ト(
図7及び
図8参照)は、
図12及び
図13にて示すフロ-チャ-トに変更されている。換言すれば、上記第2実施形態にいう曲げ加工プログラムは、
図12及び
図13のフロ-チャ-トに従いCPU61により実行される波目曲げ加工プログラムに変更されている。なお、当該波目曲げ加工プログラムは、上記第2実施形態にいう曲げ加工プログラムに代えて、マイクロコンピュ-タ60のROM61に予め読み出し可能に記憶されている。本第3実施形態のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
【0159】
以上のように構成した本第3実施形態において、ワ-クとしてのワイヤ10aを波目曲げ加工するにあたり、加工装置Daを作動状態におくと、CPU61は、
図12及び
図13のフロ-チャ-トに従い、波目曲げ加工プログラムを実行する。
【0160】
しかして、操作表示部60aのタッチ操作により波目曲げ加工要請をすると、
図12のステップ300aにおいて、「YES」と判定される。次いで、上記第2実施形態と同様にステップ310における判定が「YES」になると、ステップ311において、上記第2実施形態と同様にワイヤ10aと設定される。
【0161】
しかして、操作表示部60aのタッチ操作によるワークの波目曲げ加工寸法を入力すれば、ステップ320aにおける判定が「YES」となる。これに伴い、次のステップ321aにおいて、ワークであるワイヤ10aの波目曲げ加工寸法が設定される。ここでは、当該波目曲げ加工寸法は、L2であるものとする。
【0162】
然る後、ステップ330aにおいて波目曲げ加工の開始か否かが判定される。ここで、操作表示部60aのタッチ操作により波目曲げ加工の開始と入力すれば、当該ステップ330aにおける判定は「YES」となる。このため、上記第2実施形態と同様に、ステップ331におけるモーター駆動処理において、モーター21が、駆動される。これに伴い、ワイヤ10aが、上記第2実施形態と同様に各一対のローラ23、24及び31、32の回転のもとに、先端部側へ移動し始める。
【0163】
ついで、ステップ332aにおいて、波目曲げ加工形状に対する両赤外線ランプの赤外光出力の設定処理がなされる。当該設定処理においては、不揮発性メモリ64から第1及び第2の赤外光出力-位相特性が読み出される。これに伴い、両赤外線ランプ42、52の各赤外光出力I42、I52は、当該第1及び第2の赤外光出力-位相特性に対応する両正弦波曲線W42、W52のその位相θの変化(時間tの変化)に応じて変化するように設定される(
図10参照)。
【0164】
然る後、次のステップ333aにおいて両赤外線ランプの点灯処理がなされる。当該点灯処理では、CPU61が、ステップ332aにて設定済みの赤外光出力I42、I52(
図10参照)に対応する各ゲ-ト信号を各赤外線ランプ制御回路80、90に出力する。
【0165】
ここで、赤外線ランプ制御回路80に出力されるゲート信号は、赤外光出力I42の正弦波曲線W42の位相θ=θ1-90度)における値を基準として周期ごとにCPU61から出力される。また、赤外線ランプ制御回路90に出力されるゲート信号は、赤外光出力I52の正弦波曲線W52の位相θ=θ1における値を基準として周期ごとにCPU61から出力される。
【0166】
これに伴い、赤外線ランプ制御回路80は、CPU61からの周期ごとのゲ-ト信号に基づき点弧するサイリスタ回路により形成される整流出力を赤外線ランプ装置40の赤外線ランプ42に赤外光出力I42として供給する。これにより、赤外線ランプ42は、赤外線ランプ制御回路80からの当該整流出力に基づき点灯するとともに当該整流出力に対応する量にて赤外光を出射する。
【0167】
このことは、赤外線ランプ42から反射面41aを介しワイヤ10aの長手方向中間部位14に集光される赤外光の量は、正弦波曲線W42の位相変化に従う赤外光出力I42(赤外光出射量)であることを意味する。
【0168】
即ち、赤外線ランプ42は、赤外線ランプ制御回路80からの整流出力を受けて点灯して、当該整流出力に対応する量(正弦波曲線W42の位相変化に従う赤外光出力I42に対応する量)の赤外光を、出射して反射面41aを介しワイヤ10aの長手方向中間部位14にその左側から集光させる。
【0169】
また、赤外線ランプ制御回路90は、CPU61からの周期ごとのゲ-ト信号に基づき点弧するサイリスタ回路により形成される整流出力を赤外線ランプ装置50の赤外線ランプ52に赤外光出力I52として供給する。これにより、赤外線ランプ52は、赤外線ランプ制御回路90からの当該整流出力に基づき点灯するとともに当該整流出力に対応する量にて赤外光を出射する。
【0170】
このことは、赤外線ランプ52から反射面41aを介しワイヤ10aの長手方向中間部位14に集光される赤外光の量は、正弦波曲線W52の位相変化に従う赤外光出力I52(赤外光出射量)であることを意味する。
【0171】
即ち、赤外線ランプ52は、赤外線ランプ制御回路90からの整流出力を受けて点灯して、当該整流出力に対応する量(正弦波曲線W52の位相変化に従う赤外光出力I52に対応する量)の赤外光を、出射して反射面41aを介しワイヤ10aの長手方向中間部位14にその右側から集光させる。
【0172】
このようにして、赤外線ランプ42からの赤外光が赤外光出力I42に対応する量にてワイヤ10aの長手方向中間部位14にその左側から集光するとともに、赤外線ランプ52からの赤外光が赤外光出力I52に対応する量にてワイヤ10aの長手方向中間部位14にその右側から集光すると、当該ワイヤ10aは、その長手方向中間部位14にて、赤外光出力I42に対応する赤外光出射量と赤外光出力I52に対応する赤外光出射量との差(赤外光出射量差)に基づく加熱量でもって、
図11の図示右側へ曲げ加工される。
【0173】
以下、ワイヤ10aがその先端部側へ移動するにつれて、上述のように赤外光照射される長手方向中間部位14が新しく変わっていくものの、このように順次変わっていく長手方向中間部位14は、上述と同様にして、赤外線ランプ42からの赤外光出力I42に対応する赤外光出射量及び赤外線ランプ52からの赤外光出力I52に対応する赤外光出射量の差による加熱でもって、位相θの変化(時間tの経過)に伴い、
図11にて示す波目形状となるように波目曲げ加工される。
【0174】
このような波目曲げ加工過程において、直線移動監視カメラS2がワイヤ10aのその先端部側への移動長を撮影移動長として検出する。現段階において、当該撮影移動長が、上述した波目曲げ加工寸法L2に達していなければ、次のステップ340aにて、「NO」と判定される。
【0175】
然る後、直線移動監視カメラS2による検出撮影移動長が波目曲げ加工寸法L2に達すると、ステップ340aにおける判定は、「YES」となる。このことは、ワイヤ10aのうちの波目曲げ加工寸法L2に対応するワイヤ部位が、
図11にて示す波目形状に波目曲げ加工されたことを意味する。
【0176】
このように波目曲げ曲げ加工がなされると、次のステップ341におけるモ-タ-駆動停止処理にて、モ-タ-21が、CPU61によりモ-タ-制御回路70を介し駆動停止される。これに伴い、ワイヤ10aのその先端部側への移動が停止される。ついで、ステップ342における両赤外線ランプ消灯処理において、両赤外線ランプ42、52が、CPU61により、両赤外線ランプ制御回路80、90を介して、位相θ=θ2(時間t=t2)にて、消灯される(
図10参照)。
【0177】
以上説明したように、本第3実施形態によれば、加工装置Daにおいて、主送り機構20は、そのモーター21にて、CPU61からの指令に基づきモーター制御回路70により駆動制御されて回転すると、ローラ23がモーター21に連動して回転する。これに伴い、ワイヤ10aが、その先端部側へ、一対のローラ23、24によりその各回転のもとに引かれて移動する。このとき、副送り機構30は、一対のローラ31、32でもってワイヤ10aの移動を助勢する。
【0178】
また、本第3実施形態においても、上記第2実施形態にて述べたと同様に、赤外線ランプ42及び赤外線ランプ52が、ワイヤ10aの長手方向中間部位14を介しその左右両側から対向して配設されている。
【0179】
このような配設のもと、予め定めてなる第1赤外光出力-位相特性に基づき赤外線ランプ42の赤外光出力を、位相の変化に伴い変化する赤外光出力I42(
図10参照)と設定し、また、予め定めてなる第2赤外光出力-位相特性に基づき赤外線ランプ52の赤外光出力を、位相の変化に伴い変化する赤外光出力I52(
図10参照)と設定する。
【0180】
このような両赤外光出力I42、I52の設定のもと、赤外線ランプ制御装置80が、そのサイリスタ回路にて、CPU61により赤外光出力I42に基づき周期ごとに点弧制御されて赤外光出力I42に対応する整流出力を赤外線ランプ装置40に出力するとともに、赤外線ランプ制御装置90が、そのサイリスタ回路にて、CPU61により赤外光出力I52に基づき周期ごとに点弧制御されて赤外光出力I52に対応する整流出力を赤外線ランプ装置50に出力する。
【0181】
これに伴い、赤外線ランプ装置40は、その赤外線ランプ42により、赤外光出力I42に対応する量(位相の変化に応じて変化する量)でもって赤外光を出射する。一方、赤外線ランプ装置50は、その赤外線ランプ52により、赤外光出力I52に対応する量(位相の変化に応じて変化する量)でもって赤外光を出射する。
【0182】
しかして、赤外線ランプ42が出射する赤外光は、赤外線ランプ装置40の凹半球面状反射面41aにより反射されてワイヤ10aの長手方向中間部位14にその左側から集光する。一方、赤外線ランプ52が出射する赤外光は、赤外線ランプ装置50の凹半球面状反射面51aにより反射されてワイヤ10aの長手方向中間部位14にその右側から集光する。
【0183】
これにより、ワイヤ10aは、その長手方向中間部位14にて、赤外光出力I42に対応する赤外光出射量と赤外光出力I52に対応する赤外光出射量との差に基づく加熱量でもって、
図11にて示す波目曲げ形状のワイヤとして波目曲げ加工され得る。
(第4実施形態)
図14は、本発明を適用してなる長手状部材の加工装置の第4実施形態の要部を示している。当該第4実施形態にいう加工装置は、上記第1実施形態にて述べた加工装置Dのように被覆電線10を矯正加工するのではなく、被覆電線10を製造するにあたり、当該製造プロセスにおいて採用されて被覆電線10を直線状に加工するに適した加工装置としての役割を果たす。なお、本第4実施形態にいう加工装置は、
図1の加工装置Dにおいて曲がり癖強さ検出器S1を除いた構成を有する。
【0184】
また、本第4実施形態では、被覆電線10を直線状に加工するに必要な両赤外線ランプ42、52の各赤外光出力として予め定めた所定の赤外光出力Is(
図16参照)が、上記第1実施形態にて述べた両赤外光出力-曲がり癖強さ特性に代えて、マイクロコンピュータ60の不揮発性メモリ64に記憶されている。
【0185】
また、本第4実施形態において、マイクロコンピュ-タ60のROM62は、上記第1実施形態に述べた矯正加工プログラムに代えて、直線加工プログラムを予め読み出し可能に記憶してなるものである。
【0186】
これに伴い、本第4実施形態では、マイクロコンピュ-タ60のCPU61は、当該直線加工プログラムを、
図2及び
図3のフロ-チャ-トに代わるフロ-チャ-ト(
図14及び
図15参照)に従い実行するようになっている。当該CPU61は、その実行中において、操作表示部60aによる操作の下、エンコ-ダ22及び直線移動監視カメラS2による各検出出力に応じて、モ-タ-制御回路70、両赤外線ランプ制御回路80、90を制御するに要する演出処理を行う。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0187】
以上のように構成した本第4実施形態において、ワ-クとしての被覆電線10がその製造過程にあるとき、当該被覆電線10を直線加工するにあたり、本第4実施形態にいう加工装置を作動状態におく。これに伴い、CPU61は、
図14及び
図15のフロ-チャ-トに従い、直線加工プログラムを実行する。
【0188】
現段階において、操作表示部60aのタッチ操作により直線加工要請と入力すると、
図14のステップ200aにおいて、直線加工要求ありとして、「YES」と判定される。ついで、ステップ210において、上記第1形態と同様に「YES」と判定されると、ステップ211において、上記第1実施形態と同様に、ワークの種類は、被覆電線10と設定される。
【0189】
然る後、操作表示部60aのタッチ操作により直線加工長を入力すれば、ステップ220aにおいて、「YES」と判定される。ここで、当該直線加工長は、L4であるものとする。
【0190】
ステップ220aにおける「YES」との判定後、ステップ221aにおいて、入力直線加工長が、被覆電線10の直線加工長として設定される。
【0191】
然る後、操作表示部60aのタッチ操作により直線加工の開始と入力されると、次のステップ230aにおいて「YES」と判定される。すると、ステップ231におけるモーター駆動処理において、上記第1実施形態と同様にモーター21が駆動される。上記第1実施形態と同様に、モーター21の駆動のもと、被覆電線10が、各一対のローラ23、24及び31、32の回転に伴い、
図1にて図示上方へ移動する。
【0192】
すると、
図15のステップ233aにおける両赤外線ランプの赤外光出力の設定処理において、所定の赤外光出力Isが不揮発性メモリ64から読み出されて、両赤外線ランプの各赤外光出力Is(
図16参照)として設定される。ここで、両赤外線ランプ42,52の各赤外光出力が同一となっているのは、被覆電線10を直線加工するためである。
【0193】
このようにステップ233aにおける処理を行った後、次のステップ234aにおける両赤外線ランプの点灯処理において、CPU61が、ステップ233aにて設定済みの赤外光出力Is(
図16参照)に対応するゲ-ト信号を両赤外線ランプ制御回路80、90に出力する。
【0194】
これに伴い、上記第1実施形態と同様に、両赤外線ランプ制御装置80、90が、それぞれ、CPU61からの赤外光出力Isに対応するゲ-ト信号に基づき点弧するサイリスタ回路により形成される整流出力を各赤外線ランプ42、52に供給する。これにより、両赤外線ランプ42、52は、両赤外線ランプ制御回路80、90からの両整流出力(赤外光出力Isに対応)に基づき点灯するとともに当該両整流出力に対応する量にて赤外光を出射する。
【0195】
このことは、赤外線ランプ42から反射面41aを介し被覆電線10の長手方向中間部位13に集光される赤外光の量は、赤外光出力Isに対応する赤外光出射量であることを意味する。一方、赤外線ランプ52から反射面51aを介し被覆電線10の長手方向中間部位13に集光される赤外光の量も、赤外光出力Isに対応する赤外光出射量であることを意味する。
【0196】
これにより、被覆電線10の長手方向中間部位13が、上記両赤外光出射量でもって、直線状に加工され得る。
【0197】
以下、被覆電線10がその先端部側へ移動するにつれて、上述のように赤外光照射される長手方向中間部位13が新しく変わっていくものの、このように順次変わっていく長手方向中間部位13は、上述と同様にして、赤外線ランプ42からの赤外光出力Isに対応する赤外光出射量及び赤外線ランプ52からの赤外光出力Isに対応する赤外光出射量による加熱でもって、安定的に直線加工され得る。
【0198】
このような直線加工の過程において、直線移動監視カメラS2による検出撮影移動長が設定直線加工長L4に達すると、ステップ240aにおける判定が「YES」となる。これに伴い、次の各ステップ241、242の処理が上記第1実施形態と同様になされて、モーター21が停止するとともに、両赤外線ランプ42、52が消灯する。
【0199】
以上説明したように、本第4実施形態によれば、被覆電線10の製造過程において、主送り機構20は、そのモーター21にて、CPU61からの指令に基づきモーター制御回路70により駆動制御されて回転すると、ローラ23がモーター21に連動して回転する。これに伴い、被覆電線10が、その先端部側へ、一対のローラ23、24によりその各回転のもとに引かれて移動する。このとき、副送り機構30は、一対のローラ31、32でもって被覆電線10の移動を助勢する。
【0200】
また、本第4実施形態においても、上記第1実施形態にて述べたと同様に、赤外線ランプ42及び赤外線ランプ52が、ワイヤ10aの長手方向中間部位14を介しその左右両側から対向して配設されている。
【0201】
このような配設のもと、両赤外線ランプ42、53の各赤外光出力を、予め定めてなる赤外光出力Is(
図16参照)と設定する。
【0202】
当該赤外光出力Isの設定のもと、赤外線ランプ制御装置80が、そのサイリスタ回路にて、CPU61によりそのゲート信号でもって点弧制御されて赤外光出力Isに対応する整流出力を赤外線ランプ装置40に出力するとともに、赤外線ランプ制御装置90が、そのサイリスタ回路にて、CPU61によりそのゲート信号でもって赤外光出力Isに基づき点弧制御されて赤外光出力Isに対応する整流出力を赤外線ランプ装置50に出力する。
【0203】
これに伴い、赤外線ランプ装置40は、その赤外線ランプ42により、赤外光出力Isに対応する量でもって赤外光を出射する。一方、赤外線ランプ装置50は、その赤外線ランプ52により、赤外光出力Isに対応する量でもって赤外光を出射する。
【0204】
しかして、赤外線ランプ42が出射する赤外光は、赤外線ランプ装置40の凹半球面状反射面41aにより反射されて被覆電線10の長手方向中間部位14にその左側から集光する。一方、赤外線ランプ52が出射する赤外光は、赤外線ランプ装置50の凹半球面状反射面51aにより反射されて被覆電線10の長手方向中間部位14にその右側から集光する。
【0205】
これにより、被覆電線10は、その長手方向中間部位14にて、同一の赤外光出力Isに対応する赤外光出射量に基づく加熱量でもって、直線状に加工され得る。
【0206】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)本発明の実施にあたり、ワークは、被覆電線10やワイヤ10aに限らず、パイプ等のチューブ状中空部材、中空ケーブルや被覆ケーブル等のケーブルや長手状シート等であってもよく、一般的には、長手状部材であればよい。
(2)本発明の実施にあたり、両赤外線ランプ回路80、90は、それぞれ、サイリスタ回路に限ることなく、ダイオード等の整流回路であってもよい。
(3)本発明の実施にあたり、副送り機構30は、一対のローラ31、32によって構成するようにしたが、主送り機構20と同様に、モーター及びエンコーダを付加的に採用してもよい。この場合、モーターが主送り機構20のモーター21と同期回転するように、エンコーダの検出出力を利用して調整すればよい。
(4)本発明の実施にあたり、例えば、上記第1実施形態にて述べた両赤外線ランプ装置40、50に代えて、両レーザー装置を採用してもよい。この場合、両レーザー装置は、それぞれ、レーザー装置本体と、ビームレーザー光を出射するレーザー発振器及び集光レンズ機構を有しており、当該両レーザー装置は、両赤外線ランプ制御回路80、90に代わる両レーザー制御回路により両レーザー装置本体を介し両レーザー発振器の両レーザー光の出射量を制御し、このように制御された両出射量にて両レーザー発振器から出射される両レーザー光を、両集光レンズ機構により被覆電線の長手方向中間部位にその両側から集光させるように照射する。これにより、上記第1実施形態にて述べた両赤外線の集光による作用効果と同様の作用効果を達成することができる。
(5)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態とは異なり、被覆電線10を静止状態に保持し、両赤外線ランプ装置40、50を、被覆電線10に代えて、
図1にて図示上方へ同時に移動させるようにしてもよい。この場合、上記支持台上にて
図1の図示上下方向に同時に移動可能な適宜な移動体を設置し、かつ、両赤外線ランプ装置40、50が被覆電線10を介し上記第1実施形態にて述べたように対向して位置するように、上記移動体上に配設するようにすればよい。
【0207】
これによれば、両赤外線ランプ装置40、50が、上記移動体と共に
図1にて図示上方へ移動しながら、静止状態にある被覆電線10に赤外光を照射することとなる。これによっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を達成し得る。
(6)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態とは異なり、装置本体41の反射面41aは、凹半球面状に代えて、凹放物面状であってもよく、一般的には、長手状部材10の長手方向中間部位13に赤外光を集光することが可能な凹湾曲面状であってもよい。
(7)また、本発明の実施にあたり、被覆電線10の被覆12の形成材料は、熱可塑性樹脂等の合成樹脂であってもよく、導線11の形成材料は、銅等の金属からなる電気伝導体であればよい。また、上述した長手状部材であるパイプ等の中空部材、中空ケーブルや被覆ケーブル等のケーブルや長手状シート等の形成材料は、アルミニウム等の金属であってもよく、熱可塑性樹脂等の合成樹脂であってもよい。
【符号の説明】
【0208】
10…被覆電線、10a…ワイヤ、20…主送り機構、21…モーター、
23、24、31、32…ローラ、30…副送り機構、70…モーター制御装置、
40、50…赤外線ランプ装置、42、52…赤外線ランプ、
60…マイクロコンピュータ、60a…操作表示部、
80、90…赤外線ランプ制御回路、S1…曲がり癖検出器。