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特開2023-172462メンブレンスイッチ部品およびこれを備えた医療装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172462
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】メンブレンスイッチ部品およびこれを備えた医療装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/04 20060101AFI20231129BHJP
   H01H 13/702 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H01H9/04 E
H01H13/702
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084282
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中澤 康二
(72)【発明者】
【氏名】青山 勇貴
【テーマコード(参考)】
5G052
5G206
【Fターム(参考)】
5G052AA05
5G052BB01
5G052HA02
5G206AS27H
5G206AS27P
5G206AS38H
5G206AS38P
5G206DS02H
5G206DS02K
5G206DS02N
5G206FS32J
5G206FU03
5G206GS16
5G206HS25
5G206HU53
5G206HU64
5G206HU66
5G206HU67
5G206KS13
5G206KS37
5G206KU31
5G206NS05
5G206PS05
5G206QS01
(57)【要約】
【課題】内部への液体の侵入を抑制しつつ、静電気放電に対する耐性を確保させる。
【解決手段】本開示に基づくメンブレンスイッチ部品10において、積層体12は、表面シート11の第2面112上に位置し、所定領域Aに対応する位置においてメンブレンスイッチ構造Sを有している。配線部13は、積層体12の内部においてメンブレンスイッチ構造Sの電気回路と電気的に接続しつつ、積層体12の外側に引き出されている。積層体12を表面シート11とは反対側から見たときに、積層体12の周側面128は、表面シート11の周端119より内側に位置している。積層体12は、配線部13を外側に引き出すための引出し口129を有している。引出し口129は、表面シート11から離隔して位置し、かつ、積層体12を表面シート11とは反対側から見たときに積層体12の周側面128より内側に位置している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部の所定領域を特定可能に構成された第1面、および、該第1面の反対側に位置する第2面を有する、表面シートと、
前記表面シートの前記第2面上に位置し、前記所定領域に対応する位置においてメンブレンスイッチ構造を有する積層体と、
前記積層体の内部において前記メンブレンスイッチ構造の電気回路と電気的に接続しつつ、前記積層体の外側に引き出された配線部とを備え、
前記積層体を前記表面シートとは反対側から見たときに、前記積層体の周側面は、前記表面シートの周端より内側に位置しており、
前記積層体は、前記配線部を外側に引き出すための引出し口を有し、
前記引出し口は、前記表面シートから離隔して位置し、かつ、前記積層体を前記表面シートとは反対側から見たときに前記積層体の前記周側面より内側に位置している、メンブレンスイッチ部品。
【請求項2】
前記第2面上において前記積層体を取り囲むように位置する第1接着層と、
前記積層体の前記表面シートとは反対側にて、前記引出し口を取り囲むように位置する第2接着層とをさらに備える、請求項1に記載のメンブレンスイッチ部品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の前記メンブレンスイッチ部品と、
前記メンブレンスイッチ部品が設けられた筐体部と、
前記筐体部より上方において、液体を収容する収容体を取り付け可能な取付部とを備える、医療装置であって、
前記筐体部は、
前記第2面側から前記表面シートを支持する支持面部と、
前記支持面部に形成され、前記積層体が嵌め込まれた凹部とを有する、医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メンブレンスイッチ部品およびこれを備えた医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平07-021877号公報(特許文献1)には、従来のメンブレンスイッチが開示されている。メンブレンスイッチは、複数の接点を有する櫛歯電極を設けたメンブレンシートを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07-021877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メンブレンスイッチ部品は、接点を含む電気回路を内部に有している。電気回路には、配線部が電気的に接続されている。配線部は、外部の電源から電気回路に給電する。このため、配線部をメンブレンスイッチ部品の内部から外部に引き出す必要がある。
【0005】
しかしながら、筐体上に設けられたメンブレンスイッチ部品と筐体との間、および、配線部を外部に引き出している部分を通じて、メンブレンスイッチ部品の内部に、液体が入り込んだり、静電気の放電などによる電流が流れ込む場合がある。
【0006】
本開示は上記の課題に鑑みてなされたものであり、内部への液体の侵入を抑制しつつ、静電気放電に対する耐性を確保できるメンブレンスイッチ部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づくメンブレンスイッチ部品は、表面シートと、積層体と、配線部とを備えている。表面シートは、第1面および第2面を有する。第1面は、一部の所定領域を特定可能に構成されている。第2面は、第1面の反対側に位置している。積層体は、表面シートの第2面上に位置している。積層体は、上記所定領域に対応する位置においてメンブレンスイッチ構造を有している。配線部は、積層体の内部においてメンブレンスイッチ構造の電気回路と電気的に接続しつつ、積層体の外側に引き出されている。積層体を表面シートとは反対側から見たときに、積層体の周側面は、表面シートの周端より内側に位置している。積層体は、配線部を外側に引き出すための引出し口を有している。引出し口は、表面シートから離隔して位置し、かつ、積層体を表面シートとは反対側から見たときに積層体の周側面より内側に位置している。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、内部への液体の侵入を抑制しつつ、静電気放電に対する耐性を確保できるメンブレンスイッチ部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係るメンブレンスイッチ部品を備える医療装置を示す斜視図である。
図2】本開示の一実施形態に係るメンブレンスイッチ部品を備える医療装置の一部を示す正面側斜視図である。
図3】本開示の一実施形態に係るメンブレンスイッチ部品を備える医療装置の一部を示す背面側斜視図である。
図4】本開示の一実施形態に係るメンブレンスイッチ部品を示す背面図である。
図5図2の医療装置をV-V線矢印方向から見た部分的な断面図である。
図6図3の医療装置をVI-VI線矢印方向から見た部分的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態に係るメンブレンスイッチ部品およびこれを備える医療装置の構成について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態に係るメンブレンスイッチ部品を備える医療装置を示す斜視図である。図1に示すように、本開示の一実施形態における医療装置1は、具体的には血液浄化装置であり、より具体的には、持続緩徐式血液浄化療法(Continuous Renal Replacement Therapy:CRRT)に用いられる血液浄化装置である。ただし、医療装置1は、持続的血液濾過透析法(continuous hemodiafiltration:CHDF)、持続的血液ろ過法(continuous hemofiltration:CHF)、持続的血液透析法(continuous hemodialysis:CHD)、および、持続緩徐式限外濾過(Slow Continuous UltraFiltration:SCUF)のいずれかに用いられる血液浄化装置であってもよい。
【0012】
医療装置1は、患者の血液などの体液、または、血液浄化器からの排液などが流れる回路を有する(いずれも不図示)。このため、医療装置1は、防液性を向上させることが好ましい。また、医療装置1は、電磁両立性(EMC:Electromagnetic Compatibility)を有している必要がある。さらに、医療装置1は、患者のためのベッドが置かれた部屋に配置される場合がある。ベッドのシーツなどを取り替える際には、静電気が発生する。このため、医療装置1は、静電気の放電による影響を小さくすることが好ましい。
【0013】
図2は、本開示の一実施形態に係るメンブレンスイッチ部品を備える医療装置の一部を示す正面側斜視図である。図1および図2に示すように、本開示の一実施形態における医療装置1は、メンブレンスイッチ部品10と、筐体部20と、取付部30と、ディスプレイ40と、表示灯50とを備えている。
【0014】
メンブレンスイッチ部品10は、筐体部20上に設けられている。取付部30は、筐体部20より上方において、薬液(たとえば、生理食塩液)などの液体を収容する収容体(たとえば、薬液バッグ)を取り付け可能に構成されている。このため、メンブレンスイッチ部品10には、上記収容体に収容された液体が垂れ落ちる可能性がある。この観点からも、メンブレンスイッチ部品10は防液性が高いことが好ましい。ディスプレイ40は、筐体部20に取り付けられている。ディスプレイ40は、メンブレンスイッチ部品10の上方に位置している。表示灯50は、筐体部20に取り付けられている。表示灯50は、ディスプレイ40の上方に位置している。
【0015】
次に、メンブレンスイッチ部品10の構成の詳細について説明する。図3は、本開示の一実施形態に係るメンブレンスイッチ部品を備える医療装置の一部を示す背面側斜視図である。図4は、本開示の一実施形態に係るメンブレンスイッチ部品を示す背面図である。図5は、図2の医療装置をV-V線矢印方向から見た部分的な断面図である。図6は、図3の医療装置をVI-VI線矢印方向から見た部分的な断面図である。なお、図3においては、メンブレンスイッチ部品10および筐体部20のみが示されており、筐体部20は外形のみを破線で示している。
【0016】
図2から図6に示すように、メンブレンスイッチ部品10は、メンブレンスイッチ構造を有する部品である。メンブレンスイッチ部品10は、表面シート11と、積層体12と、配線部13と、第1接着層14と、第2接着層15とを備えている。
【0017】
表面シート11は、第1面111および第2面112を有する。第1面111は、一部の所定領域Aを特定可能に構成されている。本実施形態において、第1面111は、互いに離隔した複数の所定領域Aを特定可能に構成されている。表面シート11は、所定の文字、図形および記号などが所定領域Aに印刷された印刷層(図示せず)を含んでいる。これにより、医療装置1の操作者は、所定領域Aを特定することができる。第2面112は、第1面111の反対側に位置している。
【0018】
表面シート11は、第1面111および第2面112の並ぶ方向から見て、略矩形状の外形を有している(図4参照)。表面シート11の短手方向の寸法は、具体的には40mm以下である。なお、本実施形態において、メンブレンスイッチ部品10が筐体部20上に設けられているとき、上記短手方向は、鉛直方向に沿う方向であり、ディスプレイ40の上下方向に対して平行である。
【0019】
積層体12は、表面シート11の第2面112上に位置している。積層体12は、第1スペーサ121と、第1接点シート122と、第2接点シート123と、基部124と、第2スペーサ125と、ディスク部126とを有している。
【0020】
第1スペーサ121は、平板状であり、第2面112に沿う方向に延びている。第1スペーサ121には、表面シート11と積層体12とが並ぶ方向に第1スペーサ121を貫通する貫通孔121Hが形成されている。貫通孔121Hは、表面シート11と積層体12とが並ぶ方向において所定領域Aと重なるように位置している。
【0021】
第1接点シート122は、可撓性のシートである。第1接点シート122は、第1スペーサ121に積層されている。第1接点シート122は、第1スペーサ121から見て表面シート11側に位置している。第1接点シート122は、第1スペーサ121の貫通孔121Hを覆うように位置している。第1接点シート122上には、第1導電部122Eが形成されている。第1導電部122Eは、第1スペーサ121の貫通孔121H内に位置している。
【0022】
第2接点シート123は、第1スペーサ121に積層されている。第2接点シート123は、第1スペーサ121から見て表面シート11とは反対側に位置している。第2接点シート123は、第1スペーサ121の貫通孔121Hを覆うように位置している。第2接点シート123上には、複数の第2導電部123Eが形成されている。第2導電部123Eは、第1スペーサ121の貫通孔121H内に位置している。
【0023】
基部124は、第2接点シート123に積層されている。基部124は、第2接点シート123から見て第1スペーサ121とは反対側に位置している。基部124は、たとえば、絶縁体材料からなる。メンブレンスイッチ部品10にLEDなどの発光体が組み込まれる場合には、基部124が、発光体を支持する基板を内部に有していてもよい。
【0024】
第2スペーサ125は、第1接点シート122に積層されている。第2スペーサ125は、第1接点シート122から見て第1スペーサ121とは反対側に位置している。第2スペーサ125には、表面シート11と積層体12とが並ぶ方向に第2スペーサ125を貫通する貫通孔125Hが形成されている。貫通孔125H、表面シート11と積層体12とが並ぶ方向において所定領域Aと重なるように位置している。
【0025】
ディスク部126は、第1接点シート122上に位置し、かつ、第2スペーサ125の貫通孔125H内に位置している。ディスク部126は、貫通孔125Hに係止されている。ディスク部126は、第1接点シート122とは反対側に向かって凸状に湾曲している。ディスク部126は、たとえば金属からなる。
【0026】
所定領域Aにおいて、表面シート11が第1面111側から押圧されると、ディスク部126を介して、可撓性の第1接点シート122が第2接点シート123に向かって凸状に湾曲する。第1接点シート122が湾曲することで、第1接点シート122の第1導電部122Eが、第2接点シート123の複数の第2導電部123Eのそれぞれに同時に接触する。これにより、複数の第2導電部123Eが互いに通電可能となる。
【0027】
このように、積層体12は、上記所定領域Aに対応する位置においてメンブレンスイッチ構造Sを有している。メンブレンスイッチ構造Sは、少なくとも、所定領域Aに対応する位置(すなわち、表面シート11と積層体12とが互いに並ぶ方向から見て所定領域Aと重なる位置)における、第1スペーサ121と、第1接点シート122と、第2接点シート123とからなる。なお、メンブレンスイッチ構造Sの構造は上記に限定されない。たとえば、積層体12は、第2スペーサ125およびディスク部126を有していなくてもよい。また、本実施形態において、積層体12は、いずれも所定領域Aにおいて、同様のメンブレンスイッチ構造Sを有していてもよい。
【0028】
積層体12を表面シート11とは反対側から見たときに、積層体12の周側面128は、表面シート11の周端119より内側に位置している。積層体12の周側面128が上記のように位置しているため、表面シート11の周端119から積層体12までの距離を長くすることができる。ひいては、表面シート11の第1面111側から、表面シート11の周端119を伝って液体または電流が流れてきた場合においても、液体および電流が積層体12に到達することを抑制できる。
【0029】
配線部13は、積層体12の内部においてメンブレンスイッチ構造Sの電気回路と電気的に接続しつつ、積層体12の外側に引き出されている。具体的には、配線部13は、メンブレンスイッチ構造Sの電気回路の一部である第2導電部123Eと、電気的に接続される。配線部13は、たとえばフレキシブル基板である。配線部13は、第2接点シート123に接続されていてもよいし、第2接点シート123とともに一つのフレキシブル基板として構成されていてもよい。なお、本実施形態において、表面シート11の上記短手方向における、積層体12の内部に位置する電気回路全体の寸法は、およそ10mmである。
【0030】
積層体12は、配線部13を外側に引き出すための引出し口129をさらに有している。引出し口129は、表面シート11から離隔して位置し、かつ、積層体12を表面シート11とは反対側から見たときに積層体12の周側面128より内側に位置している。引出し口129が上記のように位置しているため、積層体12の周側面128から引出し口129までの距離を長くすることができる。ひいては、表面シート11の第1面111側から、表面シート11の周端119および第2面112を伝って液体または電流が積層体12の周側面128に流れてきた場合においても、液体または電流が引出し口129に到達することを抑制できる。すなわち、メンブレンスイッチ部品10の内部にへの液体の侵入を抑制しつつ、静電気放電に対する耐性を確保できる。
【0031】
なお、本実施形態において、表面シート11の短手方向の寸法は40mm以下であり、当該短手方向において、積層体12の内部に位置する電気回路全体の寸法は、およそ10mmである。このため、表面シート11の周端119と上記電気回路との間の、短手方向における距離は、15mm以下となる。ここで、仮に短手方向においてのみで考えた場合、空気の実質的な絶縁耐力が1kV/1mmであることを考慮すると、15kVの静電気が、表面シート11の周端119から上記電気回路に到達し得るようにも思われる。しかしながら、本実施形態においては、積層体12の周側面128が表面シート11の周端119より内側に位置し、かつ、引出し口129が積層体12の周側面128より内側に位置している。このため、15kVの静電気が、上記電気回路へ流れ込むことを抑制できる。
【0032】
本実施形態において、引出し口129は、具体的には基部124に形成された貫通孔である。引出し口129は、表面シート11と積層体12とが並ぶ方向において、基部124を貫通するように形成されている。
【0033】
第1接着層14は、第2面112上において積層体12を取り囲むように位置している。表面シート11の第1面111側から、表面シート11の周端119を伝って液体または電流が流れてきた場合においても、上記の第1接着層14により、液体および電流が積層体12に到達することをさらに抑制できる。本実施形態において、第1接着層14は、積層体12が位置している部分を除いて、第2面112上の全体に拡がるように位置している。
【0034】
第2接着層15は、積層体12の表面シート11とは反対側にて、引出し口129を取り囲むように位置している。これにより、表面シート11の第1面111側から、表面シート11の周端119および第2面112を伝って液体または電流が積層体12の周側面128に流れてきた場合においても、上記の第2接着層15により、液体および電流が引出し口129に到達することをさらに抑制できる。本実施形態において、第2接着層15は、引出し口129を除いて、積層体12の表面シート11とは反対側において全体的に拡がるように位置している。
【0035】
第1接着層14および第2接着層15の材料は特に限定されない。第1接着層14および第2接着層15は、たとえば両面テープである。
【0036】
次に、筐体部20の構成の詳細について説明する。筐体部20は、支持面部21と、凹部22とを有している。支持面部21は、第2面112側から表面シート11を支持している。凹部22は、支持面部21に形成されている。凹部22には、積層体12が嵌め込まれている。このようにして、メンブレンスイッチ部品10が筐体部20上に設けられているため、筐体部20とメンブレンスイッチ部品10との間に液体または電流が流れ込んだ場合においても、上記の支持面部21と凹部22とにより、液体および電流が引出し口129に到達することを抑制できる。
【0037】
凹部22の底部221には、貫通孔221Hが形成されている。貫通孔221Hは、表面シート11と積層体12とが互いに並ぶ方向において底部221を貫通している。貫通孔221Hは、少なくとも一部が引出し口129と重なるように位置している。貫通孔221Hには、配線部13が挿通されている。これにより、配線部13は筐体部20の内部に引き込まれる。
【0038】
また、第1接着層14は、支持面部21と接着している。これにより、表面シート11の第1面111側から、表面シート11の周端119を伝って液体または電流が流れてきた場合においても、液体および電流が積層体12に到達することをさらに抑制できる。そして、第2接着層15は、凹部22の底部221と接着している。これにより、表面シート11の第1面111側から、表面シート11の周端119および第2面112(第1接着層14)を伝って液体または電流が積層体12の周側面128に流れてきた場合においても、液体および電流が引出し口129に到達することをさらに抑制できる。
【0039】
[付記]
以上のように、本開示の実施形態は以下のような開示を含む。
【0040】
(構成1)
一部の所定領域(A)を特定可能に構成された第1面(111)、および、該第1面(111)の反対側に位置する第2面(112)を有する、表面シート(11)と、
前記表面シート(11)の前記第2面(112)上に位置し、前記所定領域(A)に対応する位置においてメンブレンスイッチ構造(S)を有する積層体(12)と、
前記積層体(12)の内部において前記メンブレンスイッチ構造(S)の電気回路と電気的に接続しつつ、前記積層体(12)の外側に引き出された配線部(13)とを備え、
前記積層体(12)を前記表面シート(11)とは反対側から見たときに、前記積層体(12)の周側面(128)は、前記表面シート(11)の周端(119)より内側に位置しており、
前記積層体(12)は、前記配線部(13)を外側に引き出すための引出し口(129)を有し、
前記引出し口(129)は、前記表面シート(11)から離隔して位置し、かつ、前記積層体(12)を前記表面シート(11)とは反対側から見たときに前記積層体(12)の前記周側面(128)より内側に位置している、メンブレンスイッチ部品(10)。
【0041】
(構成2)
前記第2面(112)上において前記積層体(12)を取り囲むように位置する第1接着層(14)と、
前記積層体(12)の前記表面シート(11)とは反対側にて、前記引出し口(129)を取り囲むように位置する第2接着層(15)とをさらに備える、構成1に記載のメンブレンスイッチ部品(10)。
【0042】
(構成3)
構成1または構成2に記載の前記メンブレンスイッチ部品(10)と、
前記メンブレンスイッチ部品(10)が設けられた筐体部(20)と、
前記筐体部(20)より上方において、液体を収容する収容体を取り付け可能な取付部(30)とを備える、医療装置(1)であって、
前記筐体部(20)は、
前記第2面(112)側から前記表面シート(11)を支持する支持面部(21)と、
前記支持面部(21)に形成され、前記積層体(12)が嵌め込まれた凹部(22)とを有する、医療装置(1)。
【0043】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
1 医療装置、10 メンブレンスイッチ部品、11 表面シート、111 第1面、112 第2面、119 周端、12 積層体、121 第1スペーサ、121H 貫通孔、122 第1接点シート、122E 第1導電部、123 第2接点シート、123E 第2導電部、124 基部、125 第2スペーサ、125H 貫通孔、126 ディスク部、128 周側面、129 引出し口、13 配線部、14 第1接着層、15 第2接着層、20 筐体部、21 支持面部、22 凹部、221 底部、221H 貫通孔、30 取付部、40 ディスプレイ、50 表示灯、A 所定領域、S メンブレンスイッチ構造。
図1
図2
図3
図4
図5
図6