(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172472
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 7/28 20060101AFI20231129BHJP
B65B 51/10 20060101ALI20231129BHJP
B65B 11/08 20060101ALN20231129BHJP
【FI】
B65B7/28 B
B65B7/28 F
B65B51/10 N
B65B11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084304
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 耕作
(72)【発明者】
【氏名】樋高 敦
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 一馬
【テーマコード(参考)】
3E049
3E051
3E094
【Fターム(参考)】
3E049AA02
3E049AB03
3E049CA01
3E049DB02
3E049EA01
3E049EB03
3E049EC02
3E049FA10
3E051AA03
3E051AB09
3E051BA12
3E051EA02
3E051KA03
3E051KA07
3E051KB03
3E051KB04
3E051LA04
3E051LA10
3E051LB06
3E094AA04
3E094CA02
3E094CA12
3E094DA02
3E094EA06
3E094GA05
3E094HA08
(57)【要約】
【課題】
包装装置において、溶着箇所全体を発熱部に当接させて一度に処理すると、溶着箇所に被包装物がそのまま貼りついてしまい、包装処理に支障を来すことになるという問題に対処することを目的とする。
【解決手段】
フィルムを張架させヒーターでトレー縁部にフィルムを溶着するシール包装装置であって、トレーの縁部にフィルムを溶着するヒーター部と、トレーを保持するトレー保持部と、前記ヒーター部への貼りつき防止を行う剥離部を備えたことを特徴とする包装装置。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを張架させヒーターでトレー縁部にフィルムを溶着する包装装置であって、
トレーの縁部にフィルムを溶着するヒーター部と、
トレーを保持するトレー保持部と、
前記ヒーター部への貼りつき防止を行う剥離部と、を備えたことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
フィルムを張架させるフィルムフィード部を備え、
前記剥離部は、トレーの縁部と重ならない縁部周内に位置し、かつ、トレー及びフィルムを前記ヒーター部から離間させる付勢手段であることを特徴とする請求項1記載の包装装置。
【請求項3】
フィルムを張架させるフィルムフィード部と、
制御部を備え、
前記剥離部は、前記フィルムフィード部であって、
前記制御部が、前記フィルムフィード部を、フィルムを把持して張架完了した停止位置から再稼働させてトレーに当接させることを特徴とする請求項1記載の包装装置。
【請求項4】
前記トレー保持部は、トレーを押し上げてヒーター部に当接させるものであり、
前記制御部は、前記トレー保持部を所定の位置まで下降させた位置で停止させた後に、前記フィルムフィード部を再稼働させて前記トレーに当接させ得ることを特徴とする請求項3記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被包装物を載せたトレーにフィルムを被せ、該フィルムを前記トレーの縁部に熱溶着する包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の包装装置として、被包装物を載置台に置いて機体内に押し込み、ヒートシール後に載置台が搬出機構により自動的に機体外に押し出されるように構成することによって、利便性を向上させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の包装装置は、発熱ローラーを回転させてヒートシールを行うことから一処理に時間がかかるという難点があった。発熱ローラーを排して、溶着箇所全体を発熱部に当接させて一度に処理することも考えられるが、溶着箇所に被包装物がそのまま貼りついてしまう可能性があり、却って、包装処理に支障を来すことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の包装装置は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
フィルムを張架させヒーターでトレー縁部にフィルムを溶着するシール包装装置であって、トレーの縁部にフィルムを溶着するヒーター部と、トレーを保持するトレー保持部と、前記ヒーター部への貼りつき防止を行う剥離部を備えたことを特徴とする。
ここで、剥離部とは、フィルムを張架させる手段が特殊な動作をするようにソフトウェア処理により実現するものと、物理構造的な手段によるものと両者を包含するものであって、ヒーター部への貼りつき防止機能を果たすものであれば全てのものが含まれる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、包装処理を適切に実行し得る包装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る包装装置の外観を示す斜視図。
【
図2】本発明の実施形態に係る包装装置の外観を示す上面図。
【
図3】本発明の実施形態に係る包装装置の筐体を外した内部を示す斜視図。
【
図4】本発明の実施形態に係る包装装置の筐体を外した内部を示す左側面図であって、(a)は大サイズのトレー対応時、(b)は小サイズのトレー対応時を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る包装装置のトレー突き上げ部の突き上げ動作を説明する左側面図であって、(a)はトレー突き上げ部が初期位置であって最下段位置に存在する状態を、(b)は中段に位置する状態を、(c)は最上段に位置する状態を、それぞれ示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る包装装置の剥離部として、ヒーター部へのトレー貼りつき防止制御を説明する左側面図であって、(a)はフィルムフィード部がフィルムを取りに行く様子を、(b)はフィルムが引き出されヒートシール処理されている様子を、(c)はヒートシール完了直後の様子を、それぞれ示す図である。
【
図7】ヒートシール完了直後の実際の様子を撮影した写真である
【
図8】本発明の実施形態に係る包装装置の剥離部の別の例の構造及び動作例を示す写真及び図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る包装装置のトレー突き上げ部と排出部を示す斜視図。
【
図10】本発明の実施形態に係る包装装置のトレー突き上げ部と排出部を示す上面図。
【
図11】本発明の実施形態に係る包装装置のトレー突き上げ部と排出部を示す斜視図であって、異なるサイズのトレー突き上げ部が装填された様子を示す図。
【
図12】本発明の実施形態に係る包装装置のトレー突き上げ部と排出部を示す上面図であって、異なるサイズのトレー突き上げ部が装填された様子を示す図。
【
図13】発明の実施形態に係る包装装置の発熱部の端子パターンを説明する図。
【
図14】発明の実施形態に係る包装装置の発熱部の別の端子パターンを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る包装装置の実施の形態の一例を図面に基づいて説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。なお、以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0009】
(全体構成)
図1及び2は、本発明の実施形態に係る包装装置の外観を示すものであって、
図1は斜視図であり、
図2は上面図である。また、
図3は包装装置の筐体を外した内部を示す斜視図であり、
図4は包装装置の筐体を外した内部を示す左側面図であって、(a)は大サイズのトレー対応時、(b)は小サイズのトレー対応時を示している。
【0010】
図1及び2に示す本発明の実施形態に係る包装装置100は、被包装物を載せたトレーTを機内に搬入しつつ、ヒートシール処理を行った後の搬出までの一連の動作を自動で行うものである。より、具体的には、
図2において矢印を用いて示すように、包装装置100は、被包装物を載せたトレーTを載置部1に載せると、トレーTがヒーター部2を有する機内に搬入され、機内においてトレーTを上方に突き上げることによって、機内上方位置に張架されたフィルムにトレーTの縁部を当接させ、フィルムを熱溶着してシール包装した後、搬入方向と直交する搬出方向にトレーTを移動させて第1排出台3に排出し、さらに、搬入方向逆向きにトレーTを移動させて第2排出台4まで送るように構成されている。本発明の実施形態においては、サイズの異なる大小2種類のトレーTに対応できるようにされている。なお、縁部については、トレーの四辺全部を対象とする縁部でなくても、適切な包装処理を行えるのであれば、縁部の一部であるトレーの端部であってもよい。
【0011】
載置部1は、秤になっており、載置された被包装物及びトレーTの重量を計量するように構成されている。また、載置部1には、2つの無端ベルト111、111を備えた搬入移送部11が設けられており、ヒーター部2を有する機内に向けて載置されたトレーTを搬入できるよう構成されている。より詳細には、
図3,4に示されるように、搬入移送部11は、その周面上に爪112,112を有する2つの無端ベルト111,111で構成されており、爪112,112がトレーTの縁部を押すことによって、搬入方向へのトレーTの移動が行われる。なお、
図3並びに
図4(a)及び(b)では、それぞれの無端ベルトに沿って2つの爪112(
図3においては2列の合計で4つの爪112)が近接するように描かれているが、爪112が移動する様子を分かり易くするために描かれているのであって、実際には、無端ベルト111を半周した位置に1つずつ、合計で2つの爪112(2列の合計で4つの爪112)が位置するようにされている。この爪112が周回することによって、ヒーター部2を有する機内へのトレーTの搬入が行われる。
図4(a)及び(b)においてトレーTより左側に描かれている爪112は、実際には、トレーTの機内への搬入が完了した後、速やかに、トレー突き上げ部23と干渉しない位置に移動する。
【0012】
ヒートシールがされたトレーTは、
図3に示される駆動ローラーで構成される排出部21によって、搬入方向とは直交する搬出方向に移送され、第1排出台3へ向けて排出される。第1排出台3も駆動ローラーを備えており、搬入方向逆向きにトレーTを移動させて第2排出台4まで送る。第2排出台4には傾斜がつけられており、トレーTはその自重で移動するため、第2排出台4のローラーは駆動力を持たない単なるコロである。なお、
図1や
図2に示さるように、第1排出台3の上方には、正面に表示部やテンキー、タッチパネル等の操作部、ラベル印字のための印字部を有し、内部に制御手段を有するコンソール5が配設されている。
【0013】
ヒーター部2を有する機内について概括すると、トレー突き上げ部23、機内に装填されたロールフィルムRを引き出してヒートシール処理ができるようにするためのフィルムフィード部24、ヒートシール処理を行うための発熱部、ヒートシール処理が完了した後の包装済みトレーTを排出する排出部21が設けられている。
【0014】
本実施形態において、ロールフィルムRは、その中心孔に軸を通して支持されているが、ロールフィルムR下面の4箇所を片持ち支持する4つのローラーで支持するような構造としてもよい。引き出されたフィルムは、その先端がフィルムフィード部24により挟持(クランプ)される。
図4(a)及び(b)からは、フィルムフィード部24が異なる位置までフィルムを引き出している様子を確認することができる。このように、フィルムフィード部24は、フィルムサイズに応じて設定される異なる距離の区間を往復移動するように構成されており、ヒートシール処理が実行される都度、新たなフィルムを供給する。フィルム挟持部は、フィルムの幅方向全幅を挾着するように構成されており、フィルムが挟持されない部分がないので、フィードした際に皺が生じることがない。
【0015】
引き出されたフィルムに対向するようにヒーター部2としての金属板(発熱体)が配設されている。トレー突き上げ部23によりトレーTが上昇移動させられた際には、トレー突き上げ部23とヒーター部2とで、トレーTの縁部とフィルムを挟む状態でトレーTの縁部に沿ってフィルムが熱溶着される。後述するが、ヒーター部2は、発熱体の上に耐熱性のガラスシートが貼り付けられる構造とされており、発熱体は、大小異なるサイズのトレーに対応できるパターン形状とされている。
【0016】
(トレー突き上げ部の動作)
図5は、トレー突き上げ部23の動作を説明するための左側面図であるが、ヒーター部2やフィルムフィード部24は図示されていない。
図5(a)では、載置部1に置かれたトレーTが搬入移送部11の爪112に押されて、ヒーター部2を有する機内に押し込まれる途中のトレーTと、ヒーター部2を有する機内に搬入されたトレーTの両方が、説明のために描かれているが、実際には、一つのトレーTしか存在せず、搬入途中と搬入完了済みのトレーTが同時に存在することはない。ただし、トレーTの機内への搬入が完了した後には、載置部1に次に包装対象となる新たなトレーTを置くことが可能となるため、搬入完了済みのトレーTと待機中のトレーTが同時に存在することはあり得る。また、
図5においては図示されていない筐体の内面側板には、トレー突き上げ部23を昇降動させる移動機構が存在し、当該移動機構に対して、トレー突き上げ部23が連結可能(取り外し可能)とされている。また、
図5(a)において示されているトレー突き上げ部23の上端のやや上方には、3つの近接センサが設けられていて、トレー突き上げ部23の初動時に、適切なトレー突き上げ部23が装填されているか検知することができるようにされている。
【0017】
図5(b)は、トレー突き上げ部23が上昇する途中の段階(若しくは、後述する下降する途中の段階)を示している。トレー突き上げ部23が上昇していくと、矩形状の枠体であるトレー突き上げ部23内にトレーTが入り込む。この際、搬入移送部11の爪112での移送の勢いが強すぎて、多少トレーTの移動が大きくなりすぎ、適正位置からやや外れた状態に置かれていたとしても、トレーTの側面には傾斜が付けられているため、位置が矯正されて、トレー突き上げ部23内にトレーTが自然に入り込むようになっている。
【0018】
図5(c)は、さらに、トレー突き上げ部23が上昇して、トレーTが図示されないフィルムフィード部24の位置まで押し上げられている様子を示している。この状態で、トレー突き上げ部23とヒーター部2を描いたものが、
図4(a)であり、トレー突き上げ部23がフィルムフィード部24と略同じ高さ位置まで上昇した状態となっている。ヒーター部2の発熱体が駆動されることにより、ヒートシールがされた後に、上昇を終えたトレーTは元の位置に戻される。すなわち、
図5(c)から
図5(b)の流れで示されるように、トレー突き上げ部23が下降し、トレーTはトレー突き上げ部23と共に降りてきて、後述する排出動作が行われることになる。
【0019】
(ヒーター部へのトレー貼りつき防止機能)
図4(a)及び
図5にて説明したのは、大きいサイズのトレーの処理についてであった。大きいサイズのトレーの場合、包装対象の内容量、重量は一定程度の大きなものとなるので、トレーTはトレー突き上げ部23と共に降りてくるのであるが、
図4(b)に示す小さいサイズのトレーの処理については、包装対象が軽量のため、トレーTがヒーター部2に貼りついてしまって、トレー突き上げ部23が下降しても、トレーTが落ちてこない場合があるという問題が生じた。
【0020】
そこで、本発明の実施形態に係る包装装置100は、フィルムフィード部24に特殊な動きをさせるように制御して、この問題に対処している。
図6は、本発明の実施形態に係る包装装置の剥離部として、ヒーター部へのトレー貼りつき防止制御を説明する左側面図であって、(a)はフィルムフィード部24がフィルムを取りに行く様子を、(b)はフィルムが引き出されヒートシール処理されている様子を、(c)はヒートシール完了直後の様子を、それぞれ示す図である。フィルムフィード部24については、
図5と異なり、示されているものの、ヒーター部2は、
図5と同様に図示が省略されている。
【0021】
図6(a)では、フィルムフィード部24がロールフィルムR(不図示)から延びているフィルムの端部の位置に到達するべく右へ移動している。この後、フィルムの端部を挟持して引き出しつつ、左の位置に復帰した様子を示しているのが、
図6(b)であり、この状態でヒートシール処理がなされる。その直後の様子を示しているのが、
図6(c)である。トレー突き上げ部23が下降を始めているにも関わらず、トレーTはヒーター部2(不図示)に貼りついて上方に残ったままとなっている。大きいサイズのトレーを処理する場合には、先述したように、
図5(b)→
図5(c)→
図5(b)との動作をする。すなわち、トレーTはトレー突き上げ部23と共に降りてくる。被包装物が一定程度の重量を有しているため、ヒーター部2へ貼りつくことがないからである。小さいサイズのトレーの場合には、被包装物が軽いことが多く、ヒーター部2にトレーTが貼りついてしまう事態が生じる場合がある。
【0022】
そこで、本発明の実施形態に係る包装装置100では、左の位置に復帰したフィルムフィード部24を再び右方へ再稼働させてトレーTに軽く衝突する迄移動させるようにしている。一方、この間、トレー突き上げ部23を、ヒートシール処理した位置から若干下の位置まで下降した位置で一時停止させて待機させるようにしている。
図6(c)に示されるトレー突き上げ部23の位置は、待機位置である。ヒーター部2に貼りついていたトレーTは、フィルムフィード部24が衝突した衝撃で貼りつきが解かれて落下し、これをトレー突き上げ部23が受け止めて、その後は、トレー突き上げ部23とトレーTが一体となって下降する。
【0023】
図7は、ヒートシール完了直後の実際の様子を撮影した写真である。
図7(a)は、敢えて、フィルムフィード部24に対して貼りつき防止制御を行わせないようにした状況である。トレーTがヒーター部2に貼りついてしまっている状況を見て取ることができる。
図7(b)は、フィルムフィード部24に対して貼りつき防止制御を行わせる場合であって、フィルムフィード部24がトレーTに衝突した瞬間(直後)である。フィルムフィード部24が衝突しない右側からトレーTが剥がれ落ちている様子を見て取ることができる。衝突する瞬間、トレーTの左側はフィルムフィード部24に接している一方で、トレーTの右側は完全にルースであることから、右側から先に剥がれ落ちるのである。
【0024】
本発明の実施形態に係る包装装置100において、トレー突き上げ部23を最上段位置から僅かに下降させた位置で待機させている理由は、繊細な商品が対象となる場合のある被包装物に不要な衝撃を与えないためのものであるが、必須のものではなく、多少乱暴に扱われても問題のない商品であれば、一時停止させなくともよい。
【0025】
本発明の実施形態に係る包装装置100は、小サイズのトレーに対してのみ、フィルムフィード部24に剥がし動作をさせるようにしているが、大サイズのトレーに対しても剥がし動作をさせるように構成してもよい。また、商品ごとに剥がし動作の有無を異ならせるように、プログラム設定するようにしても良い。さらには、被包装物の重量を計測し、重量が所定の閾値より小さい場合に、剥がし動作をさせるようにしてもよい。
【0026】
このように、本発明の実施形態に係る包装装置100は、フィルムフィード部24が特別な動きをするように、ソフトウェア処理により駆動制御して、トレーTを剥がすようにしているが、剥離部は、物理的な構造によって実現されてもよい。
図8は、その一例の構造及び動作を理解するための説明図である。
【0027】
図8(a)から(b)への動きは、フィルムフィード部24が右方へ移動してフィルムを取りに行く様子を表している。
図8(c)において、フィルムフィード部24が左方へ復帰して、トレー突き上げ部23により上昇させられたトレーTの縁部がフィルムを挟む形でヒーター部2に密着させられてヒートシール処理が行われる。
図8(a)ないし(c)から、また、左上の写真から理解されるように、この物理的な構造としての剥離部は、トレーの縁部と重ならない縁部周内に位置し、かつ、トレー及びフィルムを前記ヒーター部から離間させる付勢手段である。付勢手段は、自重により付勢されている。具体的に、剥離部は、フィルムとヒーター部2との間に位置し、かつ出没可能であって、フィルムフィード部24がフィルムを把持して張架するまでは没し、フィルムフィード部がフィルムを張架され、ヒートシールが完了して、トレー突き上げ部23が下降すると、自身の重みにより突出し、トレーTをヒーター部2から剥がすようにされている。
この他、付勢手段は、バネにより付勢されるものであってもよい。図示は省略するが、トレーの縁部と重ならない縁部周内に適当な数の、例えば、2つのピン部材をバネにより弾性力を付して出没可能な構造とし、当該ピン部材の弾性力がトレー保持部からの押し上げ力より弱くなるように調整されたものとする。さらには、アクチェエータを設けて、出没を制御できるように構成してもよい。このように構成すれば、商品ごとに剥がし動作の有無を異ならせたり、被包装物の重量を計測し、重量が所定の閾値より小さい場合に、剥がし動作をさせるようにしたりすることが可能となる。
【0028】
(トレー突き上げ部と排出部の関係)
図9及び
図10を用いて、トレー突き上げ部23と排出部21の関係について説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る包装装置100のトレー突き上げ部23と排出部21を示す斜視図であり、
図10は、本発明の実施形態に係る包装装置100のトレー突き上げ部23と排出部21を示す上面図である。本発明の実施形態に係る包装装置100は大小2つのサイズの異なるトレーTに対応できるように構成されているところ、
図9及び10は大サイズのトレーTに対応させる場合を示している。
図9及び10において、大きく描かれた矢印はトレーTの移動方向を表しており、
図9において、小さく描かれた矢印はトレー突き上げ部23の昇降動の動作を表している。
【0029】
被包装物を載せたトレーTを載置部1に載せると、トレーTが機内に搬入される。機内の搬入口にはトレーTの通過を検知するセンサ(不図示)が設けられており、トレー搬入時に搬入移送部11が起動してから最初のセンサを遮るまでの時間でトレーサイズを検知するように構成されている。すなわち、大サイズのトレーTであれば早くセンサ位置に到達するという機序を利用している。次いで、機内においてトレー突き上げ部23を上昇させることによって、トレーTを上方に突き上げて、フィルムの熱溶着処理をしてシール包装した後、トレー突き上げ部23が降下し、トレーTが元の高さ位置に置かれる。その後、排出部21が、搬入方向と直交する搬出方向に位置する第1排出台3に向けてトレーTを排出する。本発明の実施形態において、排出部21は、8つの駆動ローラーにより構成されており、その何れもが、トレー突き上げ部23の内側に配設されている。8つの駆動ローラーは、トレーTを、支持しつつ、第1排出台3に向けて送り出すようにされている。
【0030】
トレー突き上げ部23には、重量物を突き上げるに際しての工夫もされている。トレー突き上げ部23は、単なる矩形状でなく、支持部を備えている。排出部21の8つの駆動ローラー間の間隔のうち6箇所は等間隔であるが、右ないし左から数えて4つ目と5つ目の駆動ローラーの間隔は他の箇所よりも大きな幅とされていて、当該大きな幅の部分、すなわち、排出部21の間を通過する支持部材(不図示)がトレー突き上げ部23に設けられており、トレー上昇時には、支持部材(不図示)が排出部21の間を上下に通り抜けることになる。この支持部材(不図示)が、トレーの中央部を支持することで、トレーの縁部を支える作用と協働するようになっている。これは、重量物が載置された際のトレーTの撓みを生じさせないようにするためである。支持部材の形状は、枠の両端を結ぶようにしてもよいし、途中で分断されるようにしてもよい。
【0031】
排出部21の8つの駆動ローラーとは別に6つのローラーが設けられており、これらについてもトレー突き上げ部23の内側に配設されている。6つのローラーは、大サイズのトレーTを支持するものの、駆動力は有しておらず、自由回転のできるローラーとして支持部22として機能することになる。8つの駆動ローラーからなる排出部21に対して数の異なる6つのローラーで同じ推進力を与えるには、自由回転の方が複雑な制御が必要でなく有利であるが、支持部22に相当するローラーにも駆動力を与えるようにしてもよく、そのような構成とした際には、大サイズのトレーTの処理時には6つのローラーも駆動し、小サイズのトレーTの処理時には6つのローラーは駆動させないといった駆動制御の切り替えを行うとよい。
【0032】
第1排出台3には、10本の駆動ローラーが配設されており、搬入方向とは逆向きの操作者が位置する第2排出台4に向けて、トレーTを移送させる。第2排出台4には傾斜がつけられており、トレーTはその自重で移動するため、第2排出台4のローラーは駆動力を持たない単なるコロである。
【0033】
これらのトレーTの一連の移動態様から理解されるように、本発明の実施形態に係る包装装置100においては、操作者がトレーTを載置部1に載せると直ちにトレーTが機内に搬入され、ヒートシール処理がされたトレーTが、載置部1の隣に位置する第2排出台4に速やかに排出されてくることになる。載置部1からトレーTが機内に搬入されれば、載置部1には、すぐさま次の包装対象となるトレーTを置くことが可能となる。すなわち、一の包装処理が完全に終了するのを待ってから次の被包装物を載置台に置くような必要がない。また、第2排出台4は載置部1の隣に位置しているため、包装が完了したトレーTを取り上げることも円滑に行える。包装前のトレーTのセットと包装完了後のトレーTの取り上げという作業の双方を一人の操作者によって円滑に行うことができ、包装処理の作業効率が大幅に向上したものとなる。
【0034】
図11及び
図12を用いて、小サイズのトレーTを処理する際のトレー突き上げ部23と排出部21の関係について説明する。
図11は、本発明の実施形態に係る包装装置100のトレー突き上げ部23と排出部21を示す斜視図であり、
図12は、本発明の実施形態に係る包装装置100のトレー突き上げ部23と排出部21を示す上面図である。ただし、いずれの図も、小サイズのトレーTを包装処理する際の態様を示したものである。
図11及び
図12において、大きく描かれた矢印はトレーTの移動方向を表しており、
図11において、小さく描かれた矢印はトレー突き上げ部23の昇降動の動作を表している。
【0035】
被包装物を載せたトレーTを載置部1に載せると、トレーTが機内に搬入される。先述した機内の搬入口に設けられたセンサ(不図示)によって、小サイズのトレーTであることを確認し、次いで、機内においてトレー突き上げ部23を上昇させることによって、トレーTを上方に突き上げて、フィルムの熱溶着処理をしてシール包装した後、トレー突き上げ部23を最上段位置から僅かに下降させた位置で待機させて貼りつき防止制御を行わせ、トレーTを受け止めたトレー突き上げ部23を降下させて、トレーTが元の高さ位置に置かれる。その後、排出部21が、搬入方向と直交する搬出方向に位置する第1排出台3に向けてトレーTを排出する。本発明の実施形態において、排出部21は、8つの駆動ローラーにより構成されており、その何れもが、トレー突き上げ部23の内側に配設されている。一方で、トレー突き上げ部23は、単なる矩形状でなく、排出部21の8つの駆動ローラーを4つずつに分ける真ん中を通る中桟を有している。8つの駆動ローラーは、トレーTを、支持しつつ、第1排出台3に向けて送り出すようにされている。
【0036】
図11ないし11から確認できるように、8つの駆動ローラーはトレー突き上げ部23の内側に配設されているものの、6つのローラーはトレー突き上げ部23の外側に位置しており、トレー突き上げ部23の一部は、8つの駆動ローラーと6つのローラーの間を上下動するように構成されている。
図9と
図11とでは、トレー突き上げ部23のサイズが異なるものとなっているからである。言うまでもなく、サイズの異なる大小2つのサイズのトレーTに対応するための構成である。具体的に、トレー突き上げ部23は、これを駆動するための移動機構(不図示)に連結可能(取り外し可能)とされている。
【0037】
第1排出台3には、10本の駆動ローラーが配設されており、搬入方向とは逆向きの操作者が位置する第2排出台4に向けて、トレーTを移送させる。第2排出台4には傾斜がつけられており、トレーTはその自重で移動するため、第2排出台4のローラーは駆動力を持たない単なるコロである。
【0038】
一の包装処理が完全に終了するのを待ってから次の被包装物を載置台に置くような必要がないことや、包装が完了したトレーTを取り上げることも円滑に行えることは、大サイズのトレーTについてした説明と同様であるが、このことに加えて、本発明の実施形態の包装装置100は、サイズの異なるトレーTに簡便に対応することが可能という利点がある。すなわち、サイズの異なるトレーTごとに包装装置を用意しておく必要はなく、また、サイズ交換に際して、大掛かりな機構上の設定変更をしなければならないということもなく、トレー突き上げ部23の交換とコンソール5での設定操作だけで対応することができるものであって、非常に使い勝手が良く、全体の処理効率にも寄与するものである。
【0039】
(トレーサイズに応じた発熱部の制御)
トレー突き上げ部23のサイズとトレーTのサイズとの関連に対応させた発熱部の制御処理や関連する制御処理について説明する。先述したように、本発明の実施形態の包装装置100は、トレー突き上げ部23の交換とコンソール5での設定操作だけで、サイズの異なる大小2種類のトレーTに対応できるものである。例えば、大サイズのトレー突き上げ部23を装填するとともに、大サイズの設定をすると、フィルムフィードの量と発熱部の発熱領域も大サイズのトレーTに対応したものとなる。小サイズの場合も同様である。
【0040】
ところで、操作者の錯誤により、コンソール5で設定されたサイズと実際に装填されたトレー突き上げ部23のサイズが異なる状況や、設定サイズとトレー突き上げ部23のサイズは一致するものの、載置部1に置かれたトレーTのサイズが異なる状況が生じる場合がある。特に、コンソール5での設定は、「大」、「小」との別で行われるのでなく、利便性を考えて、コンソール5で商品コード等によって呼び出した商品に対応させて自動的にサイズ設定がされるように構成されることがある。こうした場合、たとえ、呼び出した商品に対応した大小サイズがコンソール画面に表示されるように構成されていても、それを見落とすことや敢えて見ないで操作を続けてしまうことがあり、サイズの勘違いということが却って生じてしまう虞がある。しかし、本発明の実施形態の包装装置100は、先述したように、トレー突き上げ部23の初動位置近傍に配置される3つの近接センサや、機内の搬入口に配置されるトレーTの通過を検知するセンサを備えているため、設定ミス等に適切に対処できるようになっている。
【0041】
トレー突き上げ部23を装填して、コンソール5で装填を完了した旨の操作を行うと、トレー突き上げ部23は初期動作として一定範囲での昇降動作を行い、3つの近接センサがトレー突き上げ部23を検知するかを確認する。3つとも検知が行われれば、大サイズであると判断し、2つの検知であれば小サイズであると判断する。ごく稀にではあるが生じる可能性のある装填し忘れについても判断できるように、1つのセンサはトレー突き上げ部23が装填されていなくても反応する移動機構を検知するように構成されている。呼び出した商品の対応トレーのサイズとトレー突き上げ部23のサイズが対応していない際には、コンソール5にて出力される画像や音声で警告したり、包装装置のその後の動作を停止させたりする等の適宜の制御を行う。また、設定誤りという観点に止まらず、設定された、ないし、検知されたサイズを認識できるように、コンソール5の表示画面に、「大」や「小」といった文字表示をさせたり、画面背景を変更したりするように構成してもよい。また、3つの近接センサでトレー突き上げ部23のサイズを判定することによって、サイズ設定により決定済みのフィルムフィードの量や発熱部の発熱領域が、近接センサで判定されたサイズと異なってしまう事態が生じた場合に、これらの量や領域を適切なものに修正することが可能となる。なお、フィルムフィードの量や発熱部の発熱領域を、そもそも設定しないようにして、トレー突き上げ部23のサイズが検知及び判定されてから、その都度、フィード量や発熱領域を制御するように構成してもよい。
【0042】
機内の搬入口に配置されるトレーTの通過を検知するセンサは、トレー搬入時に搬入移送部11が起動してから最初のセンサを遮るまでの時間でトレーサイズを検知することができるものであるが、この構成によって、例えば、設定された、ないし、検知されたトレー突き上げ部23が大サイズであるのに、トレーサイズが小であった場合に、包装装置の動作を停止させたり、搬入移送部11に適宜のリジェクト機構を設けてトレーを載置部1の初期位置に戻したりする制御を実行させることが可能となる。或いは、包装処理を実行せずに、トレーTを第1排出台3に移動させ、第2排出台4まで移動させるようしてもよく、このようにすれば、搬入移送部11にリジェクト機構を設ける必要もなくなる。
【0043】
図13は、本発明の実施形態に係る包装装置100の発熱部の端子パターンを説明する図である。先述したように、コンソール5でのサイズ設定により、或いは、トレー突き上げ部23のサイズの検知及び判定により、フィルムフィードの量と発熱部の発熱領域が決定され、発熱部については、大きな領域が発熱される態様と小さな領域が発熱される態様とに切り替え制御される。
図13に示される3つの円は、金属板(発熱体)を通電制御するための端子であり、共通端子A、大サイズ用端子B、小サイズ用端子Cとなっている。大サイズ用端子Bと小サイズ用端子Cとに選択的に通電を行うようにして、大きな発熱領域と小さな発熱領域の切り替えが可能とされている。
【0044】
発熱部は、支持基板に溝を掘り、その溝に沿うように、
図13に示される形状の金属板(発熱体)が埋め込まれ、その上から耐熱性のガラスシートが貼り付けられるようにして、金属板が直接フィルムに接触しないように構成されている。すなわち、包装装置100の構成としては、金属板の下にガラスシートが配置されることになる。ガラスシートは基板から簡単に外せるように構成されており、また、金属板(発熱体)も支持基板から簡単に外されるようになっており、メンテナンスに容易に対応できるようになっている。例えば、1万回のヒートシール処理で、ガラスシート交換を行い、10万回のヒートシール処理で、金属板(発熱体)の交換や或いは基板ごとの交換を実行するといった対応が可能である。コンソール5内の制御基板の記憶装置に、ヒートシール処理の実行回数を記憶させておき、適宜アラート処理をさせるようにすると便利である。
【0045】
図14は、本発明の実施形態に係る包装装置100の発熱部の別の端子パターンを説明する図である。
図14に示される3つの円は、金属板(発熱体)を通電制御するための端子であり、共通端子A、大サイズ用端子B、小サイズ用端子Cとなっている。大サイズ用端子Bと小サイズ用端子Cとに選択的に通電を行うようにして、大きな発熱領域と小さな発熱領域の切り替えが可能とされている。
図13の態様と比べると、共通端子A、大サイズ用端子Bが近接され、共通端子Aと小サイズ用端子Cが離間した位置とされている点で異なる。小サイズのトレーTのヒートシール処理をする際に、小サイズ用端子Cの近傍から共通端子Aまでの部分はヒートシールに必要のない箇所であり、無駄な発熱をさせてしまうことになるが、二つの端子が基板の角部に配置されることになるため、接続線の取り回し等では有利になることがある。このように、
図13及び14の端子パターンは、装置全体に求められる配置上の制約等に応じて、より適したものを選択することが可能である。
【0046】
(別の実施形態)
第一の実施形態において、排出部21は駆動ローラーで構成されていたが、ベルトコンベアで構成してもよい。また、排出部21はトレー突き上げ部23の内側に設けられていたが、例えば、プッシャー装置をトレー突き上げ部23の外側近傍に配置する態様を採ることも可能である。装置全体のサイズとしては若干大きくなるものの、トレーTを支持する部材は自身が駆動力を持たない単なるコロで構成すれば足りることになるため、トレーTの支持部を多数に分割させることができる。その際、プッシャー装置は搬送機の奥行方向の任意の位置に配置できるので、全てのサイズのトレーTの中央に位置するようにさせれば、推進力に偏りが生じることがなくなる。このようにして、より多くのサイズのトレーTに対応させることが可能となる。
また、トレー突き上げ部23については、逆の発想で、機内に搬入されたトレーTに対してフィルムをより近接させた高さ位置に張架させ、ヒーター部2が下降してフィルムを押し下げてトレーTに当接させつつ、溶着するように構成することも可能である。トレーTの押し上げとフィルムの押し下げを併用してもよい。これらの態様であっても、トレーTのヒーター部2への貼りつきは、同様に発生する可能性がある、すなわち、下降したヒーター部2が上昇移動に転じた際にトレーTが上に持っていかれる可能性があるため、フィルムフィード部24をトレーTに衝突させる貼りつき防止制御を実行することが有効である。
また、第一の実施形態において、発熱体は支持基板に溝を掘り、金属板を埋め込んだものであったが、基板自体に導電パターンを設けて通電により発熱がされ熱溶着が可能な構造とすることが可能である。この場合であっても、基板の上に耐熱性のガラスシートを貼り付けて、発熱体が直接フィルムに接触しないようにして保護する構成とし、ヒート処理の回数に応じて、ガラスシートや基板自体の交換を容易な構造とすることが望ましい。
【0047】
<実施形態の総括>
[技術分野]
本発明は被包装物を載せたトレーにフィルムを被せ、該フィルムを前記トレーの縁部に熱溶着する包装装置に関する。
[背景技術]
従来の包装装置として、被包装物を載置台に置いて機体内に押し込み、ヒートシール後に載置台が搬出機構により自動的に機体外に押し出されるように構成することによって、利便性を向上させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2003-261102号公報
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
特許文献1に記載の包装装置は、発熱ローラーを回転させてヒートシールを行うことから一処理に時間がかかるという難点があった。発熱ローラーを排して、溶着箇所全体を発熱部に当接させて一度に処理することも考えられるが、溶着箇所に被包装物がそのまま貼りついてしまう可能性があり、却って、包装処理に支障を来すことになる。
[課題を解決するための手段]
(1)以上説明したように、本実施形態の一態様は、フィルムを張架させヒーターでトレー縁部にフィルムを溶着する包装装置100であって、トレー(トレーT)の縁部にフィルムを溶着するヒーター部(ヒーター部2)と、トレーを保持するトレー保持部(トレー突き上げ部23)と、前記ヒーター部(ヒーター部2)への貼りつき防止を行う剥離部を備えたことを特徴とする包装装置100である。
【0048】
上記構成によれば、トレーのヒーター部への貼りつきを防止して適切な包装処理を行うことが可能となる。
【0049】
(2)本実施形態の一態様は、(1)に記載の包装装置100において、フィルムを張架させるフィルムフィード部(フィルムフィード部24)を備え、前記剥離部は、トレーの縁部と重ならない縁部周内に位置し、かつ、トレー(トレーT)及びフィルムを前記ヒーター部(ヒーター部2)から離間させる付勢手段であることを特徴とする。
【0050】
上記構成によれば、簡易な物理構造を追加することによって、トレーのヒーター部への貼りつきを防止して適切な包装処理を行うことが可能となる。
【0051】
(3)本実施形態の一態様は、(1)に記載の包装装置100において、フィルムを張架させるフィルムフィード部(フィルムフィード部24)と、制御部を備え、前記剥離部は、前記フィルムフィード部(フィルムフィード部24)であって、前記制御部が、前記フィルムフィード部(フィルムフィード部24)をフィルムを把持して張架完了した停止位置から再稼働させてトレーに当接させることを特徴とする。
【0052】
上記構成によれば、何らの物理的構造の追加を必要とせずに、ソフトウェア処理によって、トレーのヒーター部への貼りつきを防止して適切な包装処理を行うことが可能となる。
【0053】
(4)本実施形態の一態様は、(3)に記載の包装装置100において、前記トレー保持部(トレー突き上げ部23)は、トレーを押し上げてヒーター部(ヒーター部2)に当接させるものであり、前記制御部は、前記トレー保持部(トレー突き上げ部23)を所定の位置まで下降させた位置で停止させた後に、前記フィルムフィード部(フィルムフィード部24)を再稼働させて前記トレー(トレーT)に当接させ得ることを特徴とする。
【0054】
上記構成によれば、被包装物に不要な衝撃を与えることなく、トレーのヒーター部への貼りつきを防止して適切な包装処理を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
100 包装装置
1 載置部
11 搬入移送部
111 無端ベルト
112 爪
2 ヒーター部
21 排出部
22 支持部
23 トレー突き上げ部(トレー保持部)
24 フィルムフィード部
3 第1排出台
4 第2排出台
5 コンソール
T トレー
R ロールフィルム