(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172476
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ストレス状態推定システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20231129BHJP
A61B 5/352 20210101ALI20231129BHJP
A61B 5/332 20210101ALI20231129BHJP
A61B 5/333 20210101ALI20231129BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20231129BHJP
A61B 5/08 20060101ALN20231129BHJP
【FI】
A61B5/16 110
A61B5/16 130
A61B5/352 100
A61B5/332
A61B5/333
A61B5/0245 A
A61B5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084310
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】521526580
【氏名又は名称】株式会社ココロミル
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】林 大貴
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
4C127
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA19
4C017AB04
4C017AC16
4C017BC11
4C017BC21
4C038PP03
4C038PP05
4C038PQ06
4C038PS00
4C038SS09
4C038ST01
4C038SV00
4C038SX04
4C127AA02
4C127BB03
4C127BB05
4C127GG05
4C127GG16
4C127KK03
4C127KK05
(57)【要約】
【課題】使用者のストレスの度合いについて、高精度に推定することができるストレス状態推定システムを提供する。
【解決手段】使用者3の生体データを取得する生体センサ部11と、生体センサ部11から、生体データを受信して伝送する送受信部30と、送受信部30により伝送された生体データを保存するデータ保存部22と、データ保存部22に保存された生体データの変動に基づく変動分析を行い、使用者のストレスの大きさを推定するストレス推定部23と、を備えることを特徴とするストレス状態推定システム1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の生体データを取得する生体センサ部と、
前記生体センサ部から、前記生体データを受信して伝送する送受信部と、
前記送受信部により伝送された前記生体データを保存するデータ保存部と、
前記データ保存部に保存された前記生体データの変動に基づく変動分析を行うことによって、前記使用者のストレスの大きさを判定するストレス推定部と、
を備えることを特徴とするストレス状態推定システム。
【請求項2】
請求項1に記載のストレス状態推定システムにおいて、
前記生体センサ部は、前記使用者の胸骨上に装着され、前記使用者の心拍データを取得する心電計であることを特徴とするストレス状態推定システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のストレス状態推定システムにおいて、
前記ストレス推定部によって推定された結果を前記使用者に対し提示又は推定されたストレスの度合いに応じたアドバイスのうち、少なくともいずれか一方を提示する提示部を、更に備えることを特徴とするストレス状態推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の心拍を計測することで、使用者のストレスの度合いを高精度に推定することができるストレス状態推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者に生体センサを装着し、脈拍や血圧等の生体情報を常時計測し、インターネット等のネットワークを介して、その計測データを受信し、使用者の健康状態を把握する体調管理用サーバ群と、その体調管理用サーバ群と接続され、使用者の健康状態を表示する端末からなるシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような健康管理システムでは、生体センサにより計測した値が、予め設定した正常範囲を超えているのか超えていないのかで、使用者の健康状態に問題があるかどうかを判断しているだけであり、使用者のストレスの度合いを高精度に推定できないという課題があった。
【0005】
また、このような健康管理システムでは、腕時計型の生体センサデバイスを用いているため、心拍ではなく手首の血管の拍動(脈拍)を計測していることになり、特に、使用者が不整脈を持っている場合には、脈拍が不正確になってしまい、心拍を正確に計測することができないという課題もあった。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みなされたもので、使用者のストレスの度合いについて、高精度に推定することができるストレス状態推定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
【0008】
なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0009】
[適用例1]
適用例1に記載の発明は、
使用者(3)の生体データを取得する生体センサ部(11)と、
前記生体センサ部(11)から、前記生体データを受信して伝送する送受信部(30)と、
前記送受信部(30)により伝送された前記生体データを保存するデータ保存部(22)と、
前記データ保存部(22)に保存された前記生体データのデータ変動に基づく変動分析を行うことによって、前記使用者(3)のストレスの度合いを判定するストレス推定部(23)と、
を備えることを要旨とするストレス状態推定システム(1)である。
【0010】
このようなストレス状態推定システム(1)では、使用者(3)の生体データを取得し、取得した生体データのデータ変動に基づく変動分析を行い、使用者(3)のストレスの度合いを推定する。
【0011】
これにより、従来のシステムのように、予め設定した正常範囲を超えているかどうかで判定するのではなく、生体データの細かな変動を分析して、使用者(3)のストレスの度合いを推定するので、使用者(3)のストレスの度合いをより高精度に推定することができる。
【0012】
[適用例2]
適用例2に記載のストレス状態推定システム(1)は、
適用例1に記載のストレス状態推定システム(1)において、
前記生体センサ部(11)は、前記使用者(3)の胸骨上に装着する心電計であり、前記使用者(3)の心拍データを取得することを要旨とする。
【0013】
このようなストレス状態推定システム(1)では、生体センサ部(11)として、小型軽量の心電計を使用者(3)の胸骨上に装着する。
【0014】
これにより、使用者(3)のストレスの度合いを推定するための重要なデータである心拍データを、心臓から離れた手首や指先で計測する場合に比べ、心臓の近くで計測できる。
【0015】
これにより、使用者(3)が不整脈等を有している場合においても、それに影響されることなく心拍データを正確に測定することができ、使用者(3)のストレスの度合いを、より高精度に推定することができる。
【0016】
[適用例3]
適用例3に記載のストレス状態推定システム(1)は、
適用例1又は適用例2に記載のストレス状態推定システム(1)において、
前記ストレス推定部(23)によって推定された結果を前記使用者(3)又はストレスの度合いに応じたアドバイスのうち、少なくともいずれか一方を出力する提示部(13)を、更に備えることを要旨とする。
【0017】
このようなストレス状態推定システム(1)では、ストレスの度合いの推定結果又は推定されたストレスの度合いに応じたアドバイスのうち、少なくともいずれか一方を使用者(3)に提示する。
【0018】
これにより、使用者(3)は、どのような状況で自分にストレスがかかっているのか、例えば、睡眠中にどれくらいリラックスできているのか、といったことを客観的に理解することができるとともに、ストレスを解消するためにどのようにすべきかを理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態におけるストレス状態推定システムの概略の構成を示すブロック図である。
【
図2】ストレス推定部において実行されるストレスの度合いの推定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】ストレス度合い推定結果及びアドバイスの一例を示す概略図である。
【
図4】心電計を使用者の胸骨上に装着した状態を示す概略図である。
【
図5】第2実施形態におけるストレス状態推定システムの概略の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を取りうる。
【0021】
[第1実施形態]
図1に基づき、ストレス状態推定システム1の構成について説明する。
図1は、ストレス状態推定システム1の概略の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、ストレス状態推定システム1は、計測・提示部10及びサーバ部20を備えている。
計測・提示部10は、生体センサ部11、第1送受信部12及び提示部13を備えている。
【0023】
生体センサ部11は、使用者3の生体データを計測する部分であり、本実施形態においては、心電計を用いて使用者3の心拍データを計測し、後述する第1送受信部12に計測した心拍データを伝送する。心電計の概略寸法は、約78.4mm(縦)×35.1mm(横)×14.7mm(高さ)で、質量は約35gである。
【0024】
第1送受信部12は、後述する第2送受信部21とで、送受信部30を構成し、データの送受信を行う。第1送受信部12は、生体センサ部11で計測された使用者3の心拍データを受信し、後述するサーバ部20に受信した心拍データを伝送し、後述する第2送受信部21から伝送されるストレス推定結果を受信する。
【0025】
提示部13は、第2送受信部21が受信したストレス推定結果を表示する表示装置であり、本実施形態においては、スマートフォン等の携帯端末40を用いる。
【0026】
なお、生体センサ部11と第1送受信部12の間でのデータ伝送は、ブルートゥース(登録商標)やWiFi等の近距離無線通信回線7を利用している。
【0027】
計測・提示部10は、同時に複数連接させることができ、複数の使用者3のストレス推定を同時に行うことができる。
【0028】
サーバ部20は、第2送受信部21、データ保存部22及びストレス推定部23を備えている。
【0029】
第2送受信部21は、第1送受信部12から伝送される心拍データを受信し、後述するストレス推定部23において分析するストレス推定結果を、第1送受信部12に伝送する。
【0030】
データ保存部22は、第2送受信部21で受信した心拍データを保存するための外部記憶装置であり、ハードディスク、ソリッドステートドライブなどを用いる。
【0031】
ストレス推定部23は、図示しないCPU、ROM、RAM及びI/Oを備えている。
ストレス推定部23では、データ保存部22に保存された使用者3の心拍データの変動分析(下記、S105における不整脈解析処理、S110における心拍データの周波数分析処理及びS115におけるストレスの度合い推定処理)により、使用者3のストレスの度合いを推定する。
【0032】
なお、第2送受信部21と第1送受信部12の間のデータ伝送は、インターネット回線5を介して行われる。
【0033】
サーバ部20は、複数連接させることができ、使用者3に応じて、心拍データの保存、ストレスの推定処理を別々のサーバ部20で行うこともできる。
【0034】
(ストレス推定部23におけるストレス推定処理)
図2に基づき、ストレス推定部23におけるストレスの度合いの推定処理について説明する。
図2は、ストレス推定部23において実行されるストレスの度合いの推定処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
図2に示すように、ストレス推定処理は、以下のステップで実行される。
S100において、心拍データの読み込みを行う。心拍データの読み込みでは、CPUが、データ保存部22から心拍データを読み込む。なお心拍データの読み込みにおいては、時間的に継続している単位で読み込み、後段の処理へ移行する。
【0036】
続くS105において、不整脈解析を行う。不整脈解析では、S100において読み込まれた心拍データを解析し、不整脈と判断された心拍及びそれに影響された心拍のR-R間隔を除外する。
不整脈の判断は、P波の規則性、PQ間隔が速いか遅いか、P波の形の変化、QRSとT波がP波に伴っているか、QRSの形の変化などを分析した上で判断する。
【0037】
続くS110において、心拍データの周波数分析を行う。心拍データの周波数分析では、S105において不整脈と判断された心拍を除外した心拍データの周波数分析を行う。具体的には、心拍データのR-R間隔の時系列波形に対し、低周波数成分(VLF)、中間周波数成分(LF)、高周波成分(HF)に分離し抽出する。
【0038】
ここで、HF成分は、副交感神経活動により影響を受ける成分、LF成分は、交感神経と副交感神経活動により影響を受ける成分、VLF成分は、交感神経活動、一部副交感神経活動により影響を受ける成分であり、LF/HF比は、自律神経のバランスを示す指標として用いられる。
なお、周波数成分解析手法としては、DFT(離散フーリエ変換)を用いる。
【0039】
続くS115において、ストレスの度合い推定を行う。ストレスの度合い推定では、S110において算出したHF成分、LF成分、LF/HF比の値から、ストレスの度合いを推定する。
【0040】
リラックス状態にあると、HF成分が大きくなるので、LF/HF比は小さくなり、反対にストレス状態にあると、LF成分が大きくなるのでLF/HF比は大きくなる。
【0041】
覚醒時には、活動の神経である交感神経系活動が高まっていることが望ましく、LF/HF比が1以上となることが望ましいものの、LF/HF比が大きすぎるのは、自律神経のバランスが崩れており、過緊張状態といえる。
【0042】
睡眠時には、副交感神経の活動が高まっていることが望ましく、LF/HF比が1以下となることが望ましい。
このようにして、分離・抽出した心拍データの各周波数成分を基に、ストレスの度合いを推定し、ストレスの度合いに応じたアドバイスを立案する。
図3にストレスの度合い推定結果及びアドバイスをまとめたレポートの一例を示す。
【0043】
続くS120において、推定結果送信を行う。推定結果送信では、S115で推定された使用者3のストレスの度合い及びアドバイスを、第2送受信部21を介して、第1送受信部12に送信して処理を終了する。
【0044】
なお、S105において不整脈と判断された心拍データがある場合には、不整脈を有する旨及びその心拍データを、上記ストレスの度合い及びアドバイスとともに第1送受信部12に送信する。
【0045】
(心拍データを用いた自律神経解析によるストレスの度合い推定のメリット)
人間はストレス状態に陥ったときには、動悸や頭痛、睡眠障害などの多様な症状が発生するが、その症状は、ストレスの度合いによっても異なるし、また、ストレスを抱える人それぞれによっても異なる。
【0046】
そこで、ストレスの度合いを判定するために、ストレスによる症状の有無を回答してもらい、ストレスの度合いを判定する、いわゆるストレスチェック手法が、健康診断等で広く使用されている。
【0047】
しかし、このような自己申告によるストレスチェック手法では、回答時の気分や、回答時の雰囲気、環境に左右されてしまう。また、ストレスによって発現する症状は、人それぞれであり、このような症状の有無によるストレスチェック手法では、回答者が抱えるストレスを判定するには不十分である。
【0048】
また、ストレスを抱えていても、表面上何の症状も出ない場合も多く、症状を自覚することができず、気づかないうちに症状が進行し、突然死に繋がる場合も多い。
【0049】
ここで、人間のストレスの大きさ判定する手法として、自律神経機能を解析する手法がある。これは、ストレスによる動悸や頭痛、睡眠障害などの症状には、心臓の活動を調整している自律神経機能に問題が生じていることを利用したものである。
このような自律神経解析については、心拍データを用いて自律神経機能の変動を分析することにより、ストレスの状態を客観的に推測することができる。
【0050】
(ストレス状態推定システム1の使用方法)
次に、ストレス状態推定システム1を使用する場合について説明する。ストレス状態推定システム1の使用手順は、以下の(ア)~(カ)に示す通りである。
【0051】
(ア)携帯端末40において、第1送受信部12及び提示部13の機能を備えたアプリケーションを立ち上げる。
(イ)生体センサ部11の電源を入れる。
(ウ)
図4に示すように、生体センサ部11を使用者3の心臓に近い胸元(胸骨上)に装着する。
【0052】
(エ)生体センサ部11を胸元に装着したまま、使用者3は普段の生活をし、48時間を目安に装着し続け、その後、生体センサ部11を胸元から外し、電源を切る。
なお、生体センサ部11を胸元に装着いている時間は、48時間より短くても、長くても良い。長時間装着すれば、それだけストレスの度合い推定の精度が向上する。
【0053】
(オ)使用者3は、携帯端末40にストレス度合い推定結果が送られてきたことを確認したのち、結果を表示する。
(カ)使用者3は、ストレス度合いの推定結果を確認する。
【0054】
(心電計を使用者の胸元に装着するメリット)
心拍データを用いた自律神経解析を高精度に実施するためには、一定期間継続的に、かつ、高精度に心拍データを取得することが必須となる。
【0055】
一般的な健康診断においても心拍データを取得するものの、心拍データを取得する時間は数十秒であり、また、心拍データ取得中は、日常とは異なる環境下で行われており、ストレス判定には向いていない。また、ストレス判定自体が行われていない。
【0056】
また、腕時計型や指先に取り付ける方式の機器は、脈波を計測しており、厳密には心拍データとは異なる。心電図を正とした精度検証では、安静時であっても、20msec以上の誤差と、誤差が一定でないことが報告されている。
【0057】
また、腕時計型の脈波計測では、不整脈を正確に判定できないため、不整脈の影響を除外することが極めて難しいことが知られている。
そこで、本実施形態におけるストレス状態推定システム1では、生体センサ部として、小型軽量の心電計を使用者3の心臓に近い胸元(胸骨上)に装着する。
【0058】
これにより、正確な心拍データを長時間にわたって取得することが可能となり、心拍データの自律神経解析により、自覚しづらいストレスの度合いを、客観的に、かつ、高精度に推定することが可能となる。
【0059】
(ストレス状態推定システム1の特徴)
このように、本実施形態におけるストレス状態推定システム1では、使用者3の心拍データから、自律神経解析をすることで、使用者3のストレスの度合いを客観的かつ高精度に推定することができる。
【0060】
また、小型軽量化された心電計を用いることで、心電計を使用者3の心臓に近い胸元に装着しても、使用者3の日常生活や、睡眠中に邪魔に感じることもなく、長時間、継続的に使用者3の心拍データを計測することができる。
【0061】
さらに、使用者3の心臓に近い胸元に装着することで、心拍データを高精度に計測することができる。
【0062】
また、心拍データを長時間継続的に計測できることから、日常生活において、どのような事柄、行動、環境において、ストレスを受けているのか明確となり、ストレスを改善し、健康的な生活を送るためには、日常生活において、どのような行動、環境に問題があるのか、明確なアドバイスをすることが可能となる。
【0063】
特に、活動時のみならず、睡眠時のストレス状態も推定することが可能となり、分析された心拍データから、睡眠時無呼吸症候群の疑いも推定することが可能となる。
また、自律神経解析により、睡眠時におけるリラックス状態も推定することができ、使用者の睡眠状態の客観的な分析が可能となる。
【0064】
これにより、多数の従業員を抱える企業においては、従業員が自覚していないようなストレスの度合いについて、従業員の行動に対応させて明確化することができ、従業員の健康状態を改善させることができる。
【0065】
特に、昨今の急速なテレワークの広がりによって、仕事の進め方が変化し、テレワーク前にはなかった仕事上のストレスを実感している人の割合が増加している状況下で、従業員のストレス状況の把握が困難になっている。
【0066】
そこで、このようなストレス状態推定システム1を用いることで、従業者がどのような場面でストレスを感じているのかを明確化することができ、システム上でストレスチェックを完結することができる。
【0067】
さらに、従業員の業務適正を測ることも可能となり、ストレスを感じない適切な業務場所への移籍を行うことにより、従業員の離職やメンタル不調を未然に防止し、全ての従業員のパフォーマンスを向上させ、ひいては会社の業績を向上させることができる。
【0068】
[第2実施形態]
次に、
図5に基づき第2実施形態について説明する。
図5は、第2実施形態におけるストレス状態推定システム1の概略の構成を示すブロック図である。なお、第2実施形態におけるストレス状態推定システム1は、第1実施形態におけるストレス状態推定システム1と類似の構造であるため、同じ構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
第2実施形態においては、
図5に示すように、一つの携帯端末40が送受信部30、データ保存部22、ストレス推定部23及び提示部13を備えており、各構成要素においては、第1実施形態と同様の処理を行う。
これにより、データ保存、ストレス推定処理のために、別途サーバ部20を準備する必要もなく、個人で簡易にストレスの度合いをチェックすることができる。
【0070】
[その他の実施形態]
(1)上記実施形態では、心拍データを取得するために、心電計を使用者3の心臓に近い胸元に設置しているが、腕時計型や指先に取り付けるタイプの計測器を用いて、脈波を計測し、脈波データをもとに、自律神経解析を実施してもよい。
【0071】
(2)上記実施形態では、自律神経解析を実施するために、心電計を用いて使用者3の心拍データを計測しているが、その他、体温、酸素飽和濃度、血圧、発汗量等、様々な生体データを取得し、自律神経解析に利用してもよい。
【0072】
これにより、心拍データだけで自律神経解析を行う場合に比べ、心拍データを補足する形で、その他の生体データを用いることが可能となり、ストレスの度合いを、より高精度に推定することができる。
【0073】
(3)上記実施形態では、心電計を独立した機器として使用しているが、心電計、送受信部30、データ保存部22、ストレス推定部23及び提示部13を全て備えた腕時計型携帯端末としてもよい。
【0074】
(4)上記実施形態では、心拍データとして48時間分のデータを計測しているが、計測時間は、48時間に限られず、48時間より短くても、長くてもよい。
【0075】
(5)上記実施形態では、ストレス推定結果及びストレスの度合いに応じたアドバイスを提示部13に表示させているが、プリンタなどに出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…ストレス状態推定システム、3…使用者、5…インターネット回線、7…近距離無線通信回線、10…計測・提示部、11…生体センサ部、12…第1送受信部、13…提示部、20…サーバ部、21…第2送受信部、22…データ保存部、23…ストレス推定部、30…送受信部、40…携帯端末