(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172494
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】気化促進装置および気化促進方法
(51)【国際特許分類】
F17C 7/04 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
F17C7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084340
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】516053475
【氏名又は名称】有限会社日本OMC
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】百武 省彦
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA06
3E172AB05
3E172BA01
3E172BB13
3E172BB17
3E172BC06
3E172BD05
3E172BD10
3E172CA15
3E172DA90
3E172EB02
3E172GA08
3E172GA22
3E172KA03
(57)【要約】
【課題】加熱する熱源を必要とせず、簡単な構成で、液化ガスの気化を促進することが可能な気化促進装置および気化促進方法を提供する。
【解決手段】気化促進装置10は、バーベキューグリルとも称される燃焼装置であるガスバーベキュー機器Gに接続されたボンベBに充填された液化ガスの気化を促進するものである。気化促進装置10は、ボンベBを浸漬し、液化ガスの沸点より高い温度の水道水Wを自然状態で貯留する容器14を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンベに充填された液化ガスの沸点より高い温度の液体が自然状態で貯留され、前記ボンベが前記液体に浸漬される容器を備えた気化促進装置。
【請求項2】
前記液体は、水である請求項1記載の気化促進装置。
【請求項3】
前記ボンベに接続され、燃焼装置に前記ボンベからのガスを供給するための接続ホースを備え、
前記容器は、前記接続ホースを前記ボンベに接続するプラグの位置まで水没させる液体を貯留した請求項1記載の気化促進装置。
【請求項4】
前記ボンベを液体に水没させるための水没手段を備えた請求項1から3のいずれかの項に記載の気化促進装置。
【請求項5】
前記水没手段は、前記ボンベの底部に取り付けられた錘により形成された請求項4記載の気化促進装置。
【請求項6】
前記錘は、前記ボンベの底面に対応する曲面を有する錘本体と、前記錘本体に設けられ、前記ボンベの底面に吸着する磁石とを備えた請求項5記載の気化促進装置。
【請求項7】
前記水没手段は、前記錘と、紐状体とを備え、
前記錘は、前記ボンベの底面に対応する曲面を有する錘本体と、前記錘本体より外側に突出した突起部とを備え、
前記紐状体は、前記突起部と、前記ボンベの首部とに巻き付けられるものである請求項5記載の気化促進装置。
【請求項8】
前記容器に浸漬される複数本の前記ボンベに、接続ホースを介して接続するための複数の連結口と、前記ボンベからガスが供給される燃焼装置に保持させるための保持具とを備えた請求項1記載の気化促進装置。
【請求項9】
液化ガスの沸点より高い温度の液体を自然状態で貯留する容器に、前記液化ガスが充填されたボンベを浸漬する気化促進方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガスが充填されたボンベから気化したガスを取り出すことを促進する気化促進装置および気化促進方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャンプや避難所で、携帯コンロやランタンを使用するときには、携帯用のボンベが使用される。ボンベには液化ガスが充填されているが、周囲が低温などの環境で、連続的に燃焼を続けたり、大出力のガス機器(コンロ等)を出力全開で連続的に燃焼を続けたりすると、液化ガスが気体となるときの気化熱によりボンベの温度が低下する。そのため、徐々に液化ガスの気化が阻害され、液化ガス全量が燃焼する前に気化が止まり、液化ガスがボンベに残っているにも関らず燃焼が止まってしまうことがある。
【0003】
このような現象を予防するために、特許文献1-3に記載された技術が知られている。
特許文献1の液化ガスから水を媒体としてガスと気化熱と得る方法とその装置には、液化ガスを容器内の水中に導入した後、水中にて放出気化させて気化熱により水を冷却させながら同時に気化ガスを得ることが記載されている。
【0004】
特許文献2の携帯コンロ用装備具には、液化ガスを封入したカートリッジの上端にバーナーを有する携帯コンロにおいて、バーナーの五徳上に、横風を防ぐことのできる円筒状の風防板を配設し、風防板には着脱可能に垂設されたヒート板を取付け、ヒート板を介してバーナー側の熱をカートリッジに伝えることが記載されている。
【0005】
特許文献3の低温液体ボンベ気化用温水ジャケットには、温水源からの温水が循環する長方形部材により液体ボンベの外周面を覆うことにより、作業環境が良好で、設備コストが安価であり、使用位置に応じて配置した液体ボンベより十分な気化ガスが得られることが記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、液体ボンベを温水槽に浸漬し、この温水槽の温水をヒーターで加熱することが従来の低温液体ボンベの気化に関する技術として記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭59-9397号公報
【特許文献2】実開平5-66405号公報
【特許文献3】特開平8-338594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の液化ガスから水を媒体としてガスと気化熱と得る方法とその装置では、水槽に高圧ボンベからのガスを放出して気化熱を付与すると共に、ガス中に含まれる不純物を除去するものである。従って、特許文献1に記載の装置は、水槽の気密性が必要であり、装置が大掛かりとなるため、キャンプや避難所で使用されるような簡易な使用には適さない。
【0009】
また、特許文献2に記載の装備具では、カートリッジを連結した携帯コンロに装着するだけであるため、簡単に使用できる。しかし、バーナー側の熱をカートリッジに伝えるため、加熱し過ぎると、暴発のおそれがあり、危険である。
【0010】
また、特許文献3では、ボンベに巻かれた温水ジャケットや、ボンベが浸漬された温水槽に温水を循環させているため、循環させる温水を加熱するヒーターが必要であり、熱源が別途必要である。そのため、特許文献3に記載の装置では、キャンプや避難所のように熱源が簡単に得られないような場所では適さない。
【0011】
そこで本発明は、加熱する熱源を必要とせず、簡単な構成で、液化ガスの気化を促進することが可能な気化促進装置および気化促進方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の気化促進装置は、ボンベに充填された液化ガスの沸点より高い温度の液体が自然状態で貯留され、前記ボンベが前記液体に浸漬される容器を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の気化促進方法は、液化ガスの沸点より高い温度の液体を自然状態で貯留する容器に、前記液化ガスが充填されたボンベを浸漬することを特徴とするものである。
【0014】
本発明によれば、連続した燃焼によりボンベ内の液化ガスは気化熱を容器に貯留された液体から得て、ボンベ周囲の液体の温度が低下するが、温度低下したボンベの周囲の液体は対流により沈み込み、水温の高い液体がボンベの周囲を囲うため、液体が容器に自然状態で貯留されていても、液体は連続的に気化熱をボンベに与え続けることができる。
【0015】
ここで、自然状態とは、容器に貯留された液体が、装置により、加熱されたり、冷却されたり、撹拌されたり、圧力を掛けられたりすることがない放置された状態であり、意図的に熱的、且つ機械的な影響を与えない状態を指す。従って、容器に貯留された状態で、自然環境により液体が温かくなったり冷たくなったりするような影響は許容される。
【0016】
前記液体は、水とすることができる。液体を水とすれば、調達が容易であり、取り扱いが容易である。
【0017】
前記ボンベに接続され、燃焼装置に前記ボンベからのガスを供給するための接続ホースを備え、前記容器は、前記接続ホースを前記ボンベに接続するプラグの位置まで水没させる液体を貯留したものとすることができる。
容器に貯留された液体に、接続ホースをボンベに接続するプラグの位置まで水没させることで、連結部分から気泡が発生することにより、ボンベと接続ホースのプラグとが連結不良あると判別することができる。
【0018】
前記ボンベを液体に水没させるための水没手段を備えたものとすることができる。水没手段がボンベを液体に水没させることにより、ボンベ全体に液体を接触させることができる。
【0019】
前記水没手段は、前記ボンベの底部に取り付けられた錘により形成されたものとすることができる。錘をボンベの底部に取り付けることで、ボンベを水没させることができる。
【0020】
前記錘は、前記ボンベの底面に対応する曲面を有する錘本体と、前記錘本体に設けられ、前記ボンベの底面に吸着する磁石とを備えたものとすることができる。
そうすることで、底面が引っ込んだ円弧面であっても空気を含ませることなく、錘本体を嵌らせ、磁石によりボンベの底面に吸着させることができ、ボンベを水没させることができる。
【0021】
前記水没手段は、前記錘と、紐状体とを備え、前記錘は、前記ボンベの底面に対応する曲面を有する錘本体と、前記錘本体より外側に突出した突起部とを備え、前記紐状体は、前記突起部と、前記ボンベの首部とに巻き付けられるものとすることができる。
錘をボンベの底部に装着した後に、突起部とボンベの首部との間で紐状体を巻き付けることで、ボンベを持ち上げたときに、ボンベから錘が脱落しないようにすることができる。
【0022】
前記容器に浸漬される複数本の前記ボンベに、接続ホースを介して接続するための複数の連結口と、前記ボンベからガスが供給される燃焼装置に保持させるための保持具とを備えたものとすることができる。ボンベに充填された液化ガスの気化を促進させることで、複数本のボンベからガスを長時間、安定的に供給することができるので、大火力で連続的に燃焼する燃焼装置であっても長時間の燃焼が可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、液体が容器に自然状態で貯留されているだけなので、加熱する熱源を必要とせず、簡単な構成で、液化ガスの気化を促進することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態に係る気化促進装置を示す図であり、ガスバーベキュー機器に接続されたボンベに充填された液化ガスの気化を促進させる気化促進装置を説明するための図である。
【
図2】
図1に示す気化促進装置の錘を説明するための図であり、(A)はボンベに錘を装着する前の状態の図、(B)はボンベに錘が装着された状態の図、(C)は(A)に示す錘を頭部から見た図である。
【
図3】気化促進装置の錘の第1変形例を説明するための図であり、(A)は錘の平面図、(B)は錘の正面図、(C)は錘の使用状態を説明するための図である。
【
図4】水没手段の変形例を説明するための図であり、保護かごをボンベに装着した状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る気化促進装置について、図面に基づいて説明する。
図1に示す気化促進装置10は、バーベキューグリルとも称される燃焼装置であるガスバーベキュー機器Gに接続されたボンベBに充填された液化ガスの気化を促進するものである。
気化促進装置10は、1本の接続ホース11と、連結アダプタ12と、4本の接続ホース131~134と、容器14と、錘15とを備えている。
【0026】
接続ホース11は、ガスバーベキュー機器Gに一方のプラグ11pが接続され、他方のプラグ11qが連結アダプタ12に接続されている。
連結アダプタ12は、ガスバーベキュー機器Gへのガス圧を調整する調整器121と、調整器121に接続され、4本の接続ホース131~134からのガスを集約する連結器122とを備えている。
【0027】
調整器121には、ガスバーベキュー機器Gに設けられた吊り下げ具G1に引っ掛けるためのフック121a(保持具)が形成されている。なお、このフック121aは、使用者がガスバーベキュー機器Gにより調理するときに、接続ホース11,131~134が邪魔にならないように位置させるものであれば、他の手段を用いるようにしてもよい。
例えば、容器14に蓋を設け、この蓋に連結アダプタ12を保持させるようにしてもよい。
【0028】
連結器122には、4本の接続ホース131~134の一方のプラグ131p~134pが接続される連結口122aが形成されている。
4本の接続ホース131~134の他方の端部には、ボンベBと接続する他方のプラグ131q~134qが形成されている。
【0029】
容器14は、接続ホース131~134が接続されたボンベBの液化ガスの気化を促進させるための液体が貯留される。本実施の形態1では、液体は水であり、水道水Wである。水は、容器14に自然状態で貯留される。
容器14は、液体である水道水Wが貯留できれば、金属製でも樹脂製でも木製でもよい。また、容器14は、平面視が矩形状とする他に、円形とすることもできる。
【0030】
容器14の深さは、接続ホース131~134が接続され、ボンベBに錘15が装着された状態で、接続ホース131~134のプラグ131q~134qが浸漬する深さに形成されている。また、容器14の広さは、連結アダプタ12に接続される本数が収納可能な広さに形成されている。本実施の形態1では、4本が接続可能な連結アダプタ12に4本のボンベBが接続されているため、容器14は、4本分の収納空間を有している。
【0031】
図2(A)から同図(C)に示すように、錘15は、ボンベBの底部B1に装着され、ボンベBを水没させる水没手段として機能するものである。従って、錘15は、使用済のボンベBの浮力より大きい重さを有している。
錘15は、錘本体151と、磁石152とを備えている。
【0032】
錘本体151は、ボンベBの底面である引っ込んだ状態の円弧面に嵌まり、ボンベBの底面に対応する曲面を有する頭部151aと、ボンベBと同じ直径に形成された胴部151bを備えている。錘本体151は、鉄製の鋳物により形成されている。
磁石152は、円盤状に形成されている。磁石152は、錘本体151の頭部151aに形成された凹部に収納され、ボンベBの底部B1に吸着する。本実施の形態1では、4個の磁石152が錘本体151に設けられているが、ボンベBに吸着する磁力が確保できれば1個から3個でも、5個以上でもよい。
【0033】
例えば、4個の磁石152の代わりに吸着面の広い1個の磁石を錘本体に取り付けた場合には、磁石152の平面である吸着面とボンベBの底面との間に隙間が生じて、吸着度合いが低下したり、隙間に空気が入って浮力が生じたりするため、同じ磁力を得るのであれば、複数の磁石152に分割して、錘本体151に設けるのが望ましい。
【0034】
ボンベBは、液化イソブタンと液化プロパンとが混合されたLPG(Liquefied Petroleum Gas:液化石油ガス)が充填されたOD(OutDoor)ガス缶である。なお、本実施の形態1では、沸点-42.09℃のプロパンガスと、沸点-11.7℃のイソブタンガスの混合であるが、プロパンガスまたはイソブタンガスの単体ガスや、沸点-0.5℃のブタンガスの単体ガスまたは混合ガスとしてもよい。
【0035】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る気化促進装置の気化促進方法について、図面に基づいて説明する。
図1に示す気化促進装置10の各部材を接続して準備する。
まず、連結アダプタ12に、接続ホース11の他方のプラグ11qと、4本の接続ホース131~134の一方のプラグ131p~134pとを接続する。次に、接続ホース11の一方のプラグ11pをガスバーベキュー機器Gに接続する。次に、ボンベBに接続ホース131~134の他方のプラグ131q~134qを接続する。
【0036】
また、ボンベBに錘15を装着する。錘15は、頭部151aに磁石152が設けられ、頭部151aはボンベBの底面と同じ曲面に形成されているため、ボンベBと錘15の間に空気が侵入することを制限することができる。
なお、これらの順番は、適宜変更することが可能である。
【0037】
そして、水を入れた容器14にボンベBを漬ける。そうすることで、ボンベBが水没すると共に接続ホース131~134のプラグ131q~134qまで水没する。
水は、水道水Wを容器14に入れたものである。例えば、東京都都庁付近の給水口における水道水の温度は、東京都水道局平成30年度資料よれば、8月の平均水温は27.3℃で1月の平均水温は8.9℃である。また、福岡市の平均水温は、2020年の統計で、8月が約25.0℃、1月が約13.0℃である。更に、札幌市の平均水温は、2021年の統計で、8月が約16.0℃、1月が約5.0℃である。このような温度の水を容器14に貯留することができる。
【0038】
このとき、プラグ131q~134qがボンベBと接続不良の状態であるときには、ガスが漏れる。しかし、プラグ131q~134qはボンベBに接続された状態で、水没しているので、ガス漏れが発生しているときには気泡が容器14内の水に発生する。
従って、接続ホース131~134の接続不良を検出することができる。
【0039】
このようにして準備が完了すると、ボンベBからのガスを燃焼させて、ガスバーベキュー機器Gにて食品を焼いて調理することができる。
連結アダプタ12は複数のボンベBを接続できるものであるため、ガスバーベキュー機器Gに十分なガスを供給することができ、ガスバーベキュー機器Gにて十分な火力を得ることができる。
【0040】
連続した燃焼によりボンベB内の液化ガスは気化熱を容器14に貯留された水道水Wから得て、ボンベB周囲の水道水Wの温度が低下する。空気の熱伝導率は0.0241であるのに対して、水は10℃で0.587、20℃で0.602である。
従って、ボンベBの周囲を空気とするより、水道水WはすばやくボンベBに気化熱を与えることができる。また、温度低下したボンベBの周囲の水道水Wは対流により沈み込み、水温の高い水道水WがボンベBの周囲を囲うため、水道水Wが容器14に自然状態で貯留されていても、水道水Wは連続的に気化熱をボンベBに与え続けることができる。
【0041】
このように、気化促進装置10では、容器14に液化ガスの沸点より高い温度の水道水Wを自然状態で貯留しているだけなので、加熱する熱源を必要とせず、簡単な構成で、液化ガスの気化を促進することが可能である。
【0042】
また、水没手段として機能する錘15がボンベBを水道水W中に完全に水没させることによりボンベB全体に水道水Wを接触させることができるので、ボンベBの温度の低下を抑止することができる。
【0043】
なお、本実施の形態1では、容器14に貯留させる液体を、手軽に調達できる水道水Wとしているが、山でのキャンプであれば湖の水、小川の水、浜辺のキャンプであれば海水、避難所であれば井戸水、ペットボトルの水、自宅であれば水道水とすることができる。
【0044】
連続的に相当量の燃料を使用する食品加工、弁当工場や、
図1に示すガスバーベキュー機器Gなどでは、プロパンガスが充填されたバルク容器(鉄製)が設置されている。
固定設置型バルク容器と異なり、プロパンガスを充填して使用し使い切って使用場所から充填所へガス容器を移動して再充填し、また別の場所で使用する目的のために開発されているガス容器は日本ではプロパンガス内容量(重量)別に50kg、20kg、10kg、8kg、5kg、や2kgなど数種類が準備されている。
【0045】
このようなガス容器に充填され、規制が厳しいプロパンガスを使用しなくても、気化促進装置10では、ボンベB(ODガス缶)を複数接続して使用することができるので、寒冷期でも大出力の燃焼機器を規制が少なくかつ容易に購入することができ、安全に使用することができる。
【0046】
また、ボンベBをガスバーベキュー機器Gに直結する場合では、ボンベBを容器14に貯留された液体に浸漬することは困難である。しかし、
図1に示すように、ボンベBは、連結アダプタ12(調整器121,連結器122)を介して、接続ホース11,131~134によりガスバーベキュー機器Gに接続されている。そのため、容易にボンベBを容器14に貯留された液体に浸漬することが可能である。
【0047】
更に、ボンベBは包装やケースなどに覆われていない非被覆状態(裸の状態)であるため、効率よく液体と熱交換することができる。
【0048】
(水没手段の第1変形例)
次に、水没手段について第1変形例を図面に基づいて説明する。
図3(A)から同図(C)に示すように、水没手段は、錘20と、バンドRとを備えている。
図3(A)および同図(B)に示す錘20は、錘本体21と、突起部22と、磁石23とを備えている。
錘本体21は、
図2に示す錘15と同様に、鉄製の鋳物により形成されている。錘本体21は、頭部211と、胴部212と、鍔部213とを備えている。
【0049】
頭部211は、ボンベBの底面である引っ込んだ状態の円弧面に嵌まり、ボンベBの底面に対応する曲面を有する。胴部212は、ボンベBと同じ直径の円盤状に形成されている。鍔部213は、胴部212の周囲に胴部212からはみ出した、輪郭が矩形状の縁部である。
【0050】
突起部22は、鍔部213のそれぞれの角部213aに外側に突出するように形成さている。突起部22は、輪郭が円弧状に形成されている。磁石23は、
図2に示す錘15と同様に、頭部211の天面に4つ設けられている。
図3(C)に示すバンドRは、突起部22と、ボンベBのマウンティングカップにより形成された首部B2とに巻き付け、ボンベBに錘20を装着し、固定する紐状体として機能するものである。バンドRは、ボンベBと錘20とに巻き付け、連結することができれば、他の紐状体としてもよい。この場合、紐状体は弾性を有するのが望ましい。第1変形例では、バンドRを、環状に形成された弾性を有する輪ゴムとしている。
【0051】
このように構成された
図3(A)および同図(B)に示す第1変形例に係る錘20は、
図2に示す錘15と同様に、頭部211にボンベBが載せられると、磁石23がボンベBの底部B1に吸着する。
また、
図3(C)に示すように、錘20の頭部211をボンベBの底部B1の凹みに入れ、装着した後に、突起部22とボンベBの首部B2との間でバンドRを巻き付けることで、ボンベBを持ち上げたときに、ボンベBから錘20が脱落しないようにすることができる。
バンドRは、対角の位置にある突起部22と首部B2との間に少なくとも2本巻き付けることが望ましい。
【0052】
このように、ボンベBと錘20とを一体とすることで、ボンベBに充填された液化ガスが少なくなっても、容器14(
図1参照)内で浮上することを防止することができる。
また、突起部22が鍔部213から突出しているため、突起部22を持ってボンベBを持ち上げたり、鍔部213が頭部211よりはみ出しているため、鍔部213を持ってボンベBを持ち上げたりすることにより、ボンベBの操作が容易である。
【0053】
なお、第1変形例に係る錘20では、磁石23とバンドRとで、ボンベBに固定しているが、いずれか一方としてもよい。
【0054】
(水没手段の第2変形例)
図4に示すボンベBは、水没手段の一例である、耐腐食性の高い金属による保護かご16により囲まれている。保護かご16の全体の重量は、使用済のボンベBの浮力より大きい重さである。
【0055】
保護かご16は、ボンベBの胴部を囲うかご本体161と、ボンベBの頭部を覆う蓋部162とにより形成されている。蓋部162は、かご本体161と丁番(図示せず)に開閉自在に取り付けられている。
【0056】
このように保護かご16が形成されていることで、ボンベBを容器14(
図1参照)に入れ、液体に浸漬すれば、接続ホース13のプラグ13qを水没させることができる。また、容器14を揺らしても、ボンベBが保護かご16に収納されているため、ボンベB同士が直接ぶつかることを防止することができる。
【0057】
なお、
図2に示す錘15と、
図3に示す錘20と、
図4に示す保護かご16とは、重量により
図1に示すボンベBを水没した状態にしているが、様々な水没手段とすることができる。
例えば、容器14に、ボンベBの連結部を貫通させる孔が形成された保持板を水中に配置して固定することで、4本のボンベBを水没した状態とすることができる。
【0058】
また、本実施の形態では、連結アダプタ12は調整器121に4本の接続ホース131~134を接続する連結器122により構成されているが、連結器122は1本の接続ホースを接続するものであっても、2本、3本や5本以上の接続ホースを接続するものであってもよい。接続ホースの接続本数は、燃焼装置の出力に応じて決定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、自家用では、携帯用としてキャンピングや花見などのレジャーに使えるだけでなく、家庭での日常および非日常の屋外用調理機器やガス式ランプへの燃料、災害時の非常用燃料(調理・暖房など)として使用されるボンベの気化促進に好適である。
また、本発明は、業務用では、グランピング施設における使い切り燃料、都市の街中バーベキュー施設における使い切り燃料、ホテルやケータリング会社などで使用するガス調理機器の燃料、市町村における災害時の非常燃料として使用されるボンベの気化促進に好適である。
【符号の説明】
【0060】
10 気化促進装置
11 接続ホース
11p,11q プラグ
12 連結アダプタ
121 調整器
121a フック
122 連結器
122a 連結口
13,131~134 接続ホース
131p~134p,131q~134q,13q プラグ
14 容器
15 錘
151 錘本体
151a 頭部
151b 胴部
152 磁石
16 保護かご
161 かご本体
162 蓋部
20 錘
21 錘本体
211 頭部
212 胴部
213 鍔部
213a 角部
22 突起部
23 磁石
B ボンベ
B1 底部
B2 首部
G ガスバーベキュー機器
G1 吊り下げ具
W 水道水
R バンド