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  • -車両検知装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172518
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】車両検知装置
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20231129BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G07B15/00 N
E04H6/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084381
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】390002668
【氏名又は名称】株式会社本田電子技研
(74)【代理人】
【識別番号】100083404
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】戸田 泰博
(72)【発明者】
【氏名】柳 立
(72)【発明者】
【氏名】邱 ケンイ
(72)【発明者】
【氏名】呉 文玉
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA18
3E127BA21
3E127BA32
3E127CA16
3E127CA21
3E127CA24
3E127CA41
3E127EA04
3E127EA18
3E127EA30
3E127FA18
3E127FA22
(57)【要約】
【課題】駐車区画内の車両を確実に検知する。
【解決手段】駐車場の各駐車区画ごとに割り当てられ上記駐車区画内を撮像する監視カメラ11およびその画像処理部12を含む画像認識部10と、上記駐車区画に出入りする移動体を検出するドップラーレーダー部20と、上記画像認識部10から出力される上記移動体の車両判別データと上記ドップラーレーダー部20から出力される上記移動体の移動データとから上記移動体が車両で上記駐車区画内に駐車したかの判定を行う信号処理部30とを備え、上記ドップラーレーダー部20で上記駐車区画に出入りする上記移動体の方向性を検知し、上記画像認識部10で上記移動体が車両かそれ以外の物体であるかを判定し、上記信号処理部は上記移動体が車両である場合に駐車判断を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の各駐車区画ごとに割り当てられ上記駐車区画内を撮像する監視カメラおよびその画像処理部を含む画像認識部と、上記駐車区画に出入りする移動体を検出するドップラーレーダー部と、上記画像認識部から出力される上記移動体の車両判別データと上記ドップラーレーダー部から出力される上記移動体の移動データとから上記移動体が車両で上記駐車区画内に駐車したかの判定を行う信号処理部とを備え、
上記ドップラーレーダー部で上記駐車区画に出入りする上記移動体の方向性を検知し、上記画像認識部で上記移動体が車両かそれ以外の物体であるかを判定し、上記信号処理部は上記移動体が車両である場合に駐車判断を行うことを特徴とする車両検知装置。
【請求項2】
上記信号処理部は、上記ドップラーレーダー部にて上記駐車区画内で上記移動体が検知されると、上記画像認識部により上記ドップラーレーダー部の検知中に上記監視カメラから画像データを取り込み画像処理を開始し、上記移動体が車両である場合に駐車判断することを特徴とする請求項1に記載の車両検知装置。
【請求項3】
上記移動体が車両である場合、上記駐車区画に近づいてくる車両をドップラーレーダー部で検知しなくなった時点で、上記駐車区画内に車両が停車したと判断し、所定時間経過後に検出(課金)を開始することを特徴とする請求項2に記載の車両検知装置。
【請求項4】
上記車両が上記駐車区画から遠退いていく方向に移動する場合、上記画像認識部で上記車両を検知しなくなった時点で、上記駐車区画内にいた上記車両が出庫したと判断することを特徴とする請求項3に記載の車両検知装置。
【請求項5】
上記車両が未精算のまま上記駐車区画から遠退いていく方向に移動する場合、上記画像認識部で上記駐車区画から遠退いていく上記車両を検知しなくなった時点で、上記車両は未精算で出庫したと判断し、上記移動体の判定に利用した画像を保存することを特徴とする請求項2に記載の車両検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両検知装置に関し、さらに詳しく言えば、駐車場における車両検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駐車場に適用される車両検知用のセンサーとして、フラップ(ロック板)式駐車場では主にループコイルセンサーが用いられ、フラップレス駐車場では多くの場合、超音波、赤外線、レーダー、画像センサー等が併用されている。
【0003】
フラップ式駐車場に適用されるループコイルセンサーは、車両の駐車区画(車室)ごとに埋設するため、その工事費が嵩むばかりでなく、故障した場合には修理や交換するために掘り起こす必要があることから、近年ではフラップレス駐車場が増加傾向にある。
【0004】
フラップレス駐車場用の車両検知方式として、特許文献1には、車両ナンバー認識による車両検知方式が提案されている。この車両検知方式では、監視カメラで駐車区画内に駐車している車両の車両ナンバー画像を定期的に読み取り、前回の読み取り画像と同じであれば同一車両が駐車していると判断する。
【0005】
また、別の車両検知方式として、特許文献2には、レーダーと超音波併用による車両検知方式が提案されている。この車両検知方式では、駐車区画に進入した車両をFMCWレーダーセンサーで検知した後、超音波センサーを起動し、両方のセンサーで車両を検知する。FMCWレーダーセンサーは、距離分解能により近距離の検知には不向きのため、超音波センサーを併用することで近距離の検知にも対応するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-133814号公報
【特許文献2】特開2016-142661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
問題点として、特許文献1の車両ナンバー認識による車両検知方式は、夜間に車両がヘッドライトを点灯させて進入した場合や悪天候時等の場合には、監視カメラでの車両ナンバープレートの読み取りが難しい場合があり、また、車両が車両区画に停止した際に車両ナンバープレートが監視カメラの画角内に入らないこともあり得るため、駐車中であるか否かの判断ができなくなる場合がある。
【0008】
また、特許文献2のレーダーと超音波併用による車両検知方式は、物体からの反射波により監視エリア内の物体検知を行うため、物体が何であるかは正確に判別できないので、車両以外の物体(例えば、人や犬、手押し車等)をも検知してしまう可能性がある。
【0009】
したがって、本発明の課題は、駐車区画内の車両を確実に検知し得る車両検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の車両検知装置は、駐車場の各駐車区画ごとに割り当てられ上記駐車区画内を撮像する監視カメラおよびその画像処理部を含む画像認識部と、上記駐車区画に出入りする移動体を検出するドップラーレーダー部と、上記画像認識部から出力される上記移動体の車両判別データと上記ドップラーレーダー部から出力される上記移動体の移動データとから上記移動体が車両で上記駐車区画内に駐車したかの判定を行う信号処理部とを備え、
上記ドップラーレーダー部で上記駐車区画に出入りする上記移動体の方向性を検知し、上記画像認識部で上記移動体が車両かそれ以外の物体であるかを判定し、上記信号処理部は上記移動体が車両である場合に駐車判断を行うことを特徴としている。
【0011】
本発明において、上記信号処理部は、上記ドップラーレーダー部にて上記駐車区画内で上記移動体が検知されると、上記画像認識部により上記ドップラーレーダー部の検知中に上記監視カメラから画像データを取り込み画像処理を開始し、上記移動体が車両である場合に駐車判断することを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記移動体が車両である場合、上記駐車区画に近づいてくる車両をドップラーレーダー部で検知しなくなった時点で、上記駐車区画内に車両が停車したと判断し、所定時間経過後に検出(課金)を開始することを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記車両が上記駐車区画から遠退いていく方向に移動する場合、上記画像認識部で上記車両を検知しなくなった時点で、上記駐車区画内にいた上記車両が出庫したと判断することを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記車両が未精算のまま上記駐車区画から遠退いていく方向に移動する場合、上記画像認識部で上記駐車区画から遠退いていく上記車両を検知しなくなった時点で、上記車両は未精算で出庫したと判断し、上記移動体の判定に利用した画像を保存することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像認識部により、レーダーセンサーや超音波センサーでは難しかった物体が何であるかの判別を行い、ドップラーレーダー部の方向性検知と組み合わせることで、駐車区画内の車両のみを確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による車両検知装置を示すシステムブロック図。
図2】(a)~(d)本発明の基本的な動作を説明するための模式図。
図3】本発明の動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
図1に示すように、本発明の車両検知装置1は、基本的な構成として、監視カメラ11およびその画像処理部12を含む画像認識部10と、ドップラーレーダー部20と、信号処理部30とを備えている。
【0019】
図2を併せて参照して、この実施形態において、画像認識部10,ドップラーレーダー部20および信号処理部30は、例えばコインパーキングに設けられている車両1台分の駐車区画(車室とも言う)Sの脇に立設されているポール2に配置される。
【0020】
画像認識部10の監視カメラ11およびドップラーレーダー部20の発信部と受信部(ともに図示しない)は、駐車区画Sの入出庫方向に向けられている。ドップラーレーダー部20には、通常のドップラー方式の他に、例えばFSKドップラー方式やFMCW方式が適用されてもよい。
【0021】
信号処理部30は、ドップラーレーダー部20の受信部から出力される移動体からの反射波に基づいて移動体が近づいているか、遠退いているかを判別する。また、信号処理部30は、画像処理部12からの車両判別データ(移動体が車両であることを示すデータ)に基づいて、移動体が車両で駐車したかを判定する。
【0022】
好ましい態様として、この車両検知装置1は、夜間もしくは地下駐車場等の暗所用として駐車区画Sを照らす照明手段としてのLED照明13を備える。LED照明に代えて、赤外線ライトが用いられてもよい。
【0023】
ここで、図2(a)~(d)を参照して、この車両検知装置1の入庫から出庫までの基本的な動作を説明する。なお、監視カメラ11は常時駐車区画Sを撮像しており、また、ドップラーレーダー部20も常時その発信部からドップラー信号を駐車区画Sに向けて送信しているものとする。
【0024】
まず、図2(a)に示すように、移動体(この場合、車両V)が駐車区画S内に進入し、ドップラーレーダー部20にて移動体が近づいてくることが検知されると、画像処理部12で画像処理が開始され、その車両判別データが信号処理部30に送られ、移動体が車両である場合に駐車判断が行われる。
【0025】
次に、図2(b)に示すように、移動体が駐車区画S内に収まって停止すると、ドップラーレーダー部20から出力されるドップラー信号周波数が0Hzとなるため、信号処理部30は、移動体が停止したと判断するとともに、画像認識の結果、移動体が車両Vであると判別された場合には、所定時間経過後に精算機40に入庫開始の信号を送る。精算機40側では、これを受けて当該駐車区画Sは在車(満車)であることを認識し、図示しないディスプレイ等に表示する。
【0026】
次に、図2(c)に示すように、車両Vが当該駐車区画Sから出庫しようとして後退すると、ドップラーレーダー部20から車両Vが遠退いていくドップラー信号が信号処理部30に送信される。
【0027】
このときにも、画像処理部12で画像処理が開始され、その車両判別データが信号処理部30に送られる。これは、例えば人が駐車中の車両Vの脇をすり抜けて行く場合にも、ドップラーレーダー部20から移動体が遠退いていくドップラー信号が出力されるからである。なお、画像認識の結果、遠退いて行く物体が車両Vではなく例えば人であると判別された場合には、駐車継続として精算機40には出庫信号を出さない。
【0028】
そして、図2(d)に示すように、当該駐車区画Sから車両Vの出庫が完了すると、ドップラーレーダー部20からのドップラー信号周波数が0Hzとなることから、信号処理部30は精算機40に出庫完了を伝える。なお、駐車料金が支払われていない未精算時には、駐車車両の画像を図示しない記憶部に記憶する。
【0029】
次に、図3のフローチャートに沿って、この車両検知装置1の具体的な動作について説明する。
【0030】
まず、最初のステップ100で、ドップラーレーダー部20で移動体(この場合、車両Vとする)を検知したかどうかの判定が行われ、その結果がYESで車両Vが検知されると、次のステップ101で、車両Vの移動方向が駐車区画Sに対して近づく方向かどうかの判定が行われる。
【0031】
ステップ101での判定がYESで車両Vが駐車区画Sに近づいている場合には、ステップ102で、現在検出中(すでに車両Vが駐車区画S内に所定時間停車して課金されている状態)であるかどうかの判定が行われる。
【0032】
空いている駐車区画Sに車両Vが進入する場合には、現在検出中(課金中)ではないから、ステップ102での判定はNOで次段のステップ103に進み、一度車両判定を受けたかどうかが判定される。この場合、まだ車両判定を受けていないため、ステップ104で画像認識部10により車両判定が行われる。
【0033】
その結果がYESで車両と判定されると、次のステップ105で、停車(駐車)状態が所定時間経過したかどうかが判定され、所定時間経過していればステップ106で検出中(課金状態)になる。先のステップ104の車両判定で、近づいたのが車両以外の例えば人と判定された場合には最初のステップ100に戻る。
【0034】
また、ステップ105での判定がNOで、停車状態が所定時間経過していない場合(課金状態になる前)にはステップ100に戻り、課金状態となる所定時間が経過するまでステップ101以降が実行されることになるが、この場合、ステップ103での判定結果はYES(前回のステップ104で車両判定を受けているため)で、ステップステップ107に移行し、停車状態が所定時間経過したかどうかが判定され、所定時間経過していればステップ108で検出中(課金状態)になる。
【0035】
ステップ107での判定がNOで、停車状態が所定時間経過していない場合(課金状態になる前)にはステップ100に戻り、停車状態が所定時間経過するまでステップ101~103および107が繰り返される。
【0036】
なお、一旦駐車区画Sに入った車両Vが、停車位置を直す(修正する)ため、例えば駐車区画S内でさらに前進すると、ステップ101,102,103を経てステップ107に至り、停車状態が所定時間経過したかどうかが判定され、所定時間経過していればステップ108で検出中(課金状態)になる。
【0037】
これに対して、一旦駐車区画Sに入った車両Vが、停車位置を直す(修正する)ため、例えば遠退く方向に移動すると、ステップ101でNO判定となりステップ110に移行する。そして、ステップ111で現在検出中(課金中)かどうかの判定が行われ、その結果がNOであれば、ステップ112で一度車両判定を受けたかどうかが判定される。
【0038】
この場合、先のステップ104ですでに車両判定を受けているため、ステップ112での判定はYESでステップ113に移行し、停車状態が所定時間経過したかどうかが判定され、所定時間経過していればステップ114で検出中(課金状態)になる。
【0039】
ステップ112での判定がNOの場合、また、ステップ113での判定がNOの場合には、ステップ100に戻り、ステップ101,110~113が繰り返される。
【0040】
次に、駐車区画Sに駐車している車両Vが後退して出庫する場合には、ステップ101でのNO判定、ステップ110でのYES判定、ステップ111でのYES判定を経てステップ115の車両判定に至る。このステップ115の車両判定では、駐車区画S内に車両がいるかどうかが判定され、駐車区画S内に車両がいる場合にはYES、駐車区画S内に車両がいない場合にはNOとなる。
【0041】
ステップ115での車両判定がNOで、車両Vが後退して駐車区画S内に車両Vがいない場合には次段のステップ116に移行し、出庫から所定時間が経過したかどうかの判定が行われる。その判定がYESで出庫から所定時間が経過していればステップ117で検出解除として課金状態が終わる。
【0042】
なお、ステップ115での車両判定がYESの場合(未だ駐車区画S内に車両Vがいる場合)には、ステップ100に戻り、ステップ100,ステップ101,110,111が繰り返し実行される。
【0043】
また、ステップ116の判定がNOであれば、検出解除時間になるまで、ステップ100,ステップ101,110,111,115が繰り返し実行される。
【0044】
上述たように本発明によると、ドップラーレーダー部20にて駐車区画(検知エリア)S内で移動体が検知されると、画像認識部10は、ドップラーレーダー部20の検知中(近づくもしくは遠退く)に、監視カメラ11から画像データを取り込み画像処理を開始し、移動体が車両かそれ以外かを判定する。信号処理部30は、移動体が車両である場合に駐車しているかどうかの駐車判断を行う。
【0045】
移動体が車両である場合、駐車区画Sに近づいてくる車両をドップラーレーダー部20で検知しなくなった時点で、駐車区画S内に車両が停車したと判断し、所定時間経過後に検出(課金)を開始する。
【0046】
また、駐車区画Sから遠退いていく車両については、画像認識部10で車両を検知しなくなった時点で、駐車区画S内にいた車両が出庫したと判断してもよい。移動体が車両以外の場合は、駐車区画S内に車両はいないと判断したのち、画像認識部10による車両判定を停止する。
【0047】
駐車区画Sから遠退いていく車両が未精算である場合については、ドップラーレーダー部20で駐車区画Sから遠退いていく移動体が検知されると、画像処理部12は、ドップラーレーダー部20の検知中(遠退く)に、監視カメラ11から画像データを取り込んで画像処理を開始し、移動体が車両かそれ以外かを判断する。その移動体が車両である場合、画像処理部12で駐車区画Sから遠退いていく移動体を検知しなくなった時点で、車両は未精算で出庫したと判断し、移動体の判定に利用した画像を保存する。
【0048】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。当業者であるならば上記実施形態に加えられる変更もしくは改良も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 車両検知装置
10 画像認識部
11 監視カメラ
12 画像処理部
13 LED照明
20 ドップラーレーダー部
30 画像処理部
40 精算機
図1
図2
図3