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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172520
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】タービン静翼及びガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20231129BHJP
   F01D 11/02 20060101ALI20231129BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
F01D9/02 102
F01D11/02
F02C7/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084383
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松尾 咲生
(72)【発明者】
【氏名】宮久 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 俊介
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202GA08
3G202GB01
3G202JJ02
3G202JJ08
3G202JJ21
3G202JJ33
3G202KK05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】構造の複雑化を抑制しながら、タービン静翼の効果的かつ効率的な冷却が可能なタービン静翼及びガスタービンを提供する。
【解決手段】タービン静翼は、翼本体の内部において翼高さ方向に沿って延在する冷却通路と、前記翼本体に接続される外側シュラウドと、前記翼本体に接続される内側シュラウドと、前記翼高さ方向に沿って延在する内部流路形成部と、を備え、前記内部流路形成部は、前記外側シュラウドを挟んで前記翼本体とは反対側の外側空間、及び、前記内側シュラウドを挟んで前記翼本体とは反対側の内側空間に連通する内部流路を形成し、前記内部流路形成部は、第1部分と、前記翼高さ方向において前記第1部分よりも前記外側端寄りに位置する第2部分と、を有し、前記翼高さ方向に直交する第1断面内にて前記第1部分の外縁に囲まれる面積よりも、前記翼高さ方向に直交する第2断面内にて前記第2部分の外縁に囲まれる面積のほうが大きい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼高さ方向における外側端及び内側端を有する翼本体と、
前記翼本体の内部において前記翼高さ方向に沿って延在する冷却通路と、
前記翼高さ方向における前記翼本体の前記外側端側にて前記翼本体に接続される外側シュラウドと、
前記翼高さ方向における前記翼本体の前記内側端側にて前記翼本体に接続される内側シュラウドと、
前記冷却通路の内部を前記翼高さ方向に沿って延在する内部流路形成部と、
を備え、
前記内部流路形成部は、前記外側シュラウドを挟んで前記翼本体とは反対側の外側空間、及び、前記内側シュラウドを挟んで前記翼本体とは反対側の内側空間にそれぞれ連通する内部流路を形成し、
前記内部流路形成部は、
第1部分と、
前記翼高さ方向において前記第1部分よりも前記外側端寄りに位置する第2部分と、を有し、
前記翼高さ方向に直交する第1断面内にて前記第1部分の外縁に囲まれる面積よりも、前記翼高さ方向に直交する第2断面内にて前記第2部分の外縁に囲まれる面積のほうが大きい
タービン静翼。
【請求項2】
前記第2断面内における前記冷却通路の有効断面積は、前記第1断面内における前記冷却通路の有効断面積よりも小さい
請求項1に記載のタービン静翼。
【請求項3】
前記翼本体の内部において前記翼高さ方向に沿って延在する複数の冷却通路を備え、
前記内部流路形成部は、前記複数の冷却通路のうち、前記翼本体のコード方向にて最も前縁側に位置する前縁側通路の内部を延在する
請求項1又は2に記載のタービン静翼。
【請求項4】
前記翼高さ方向における前記内側端の平均位置を翼高さ方向位置0%とし、前記翼高さ方向における前記外側端の平均位置を翼高さ方向位置100%としたとき、前記第1部分は、前記翼高さ方向において、翼高さ方向位置50%の位置を含む範囲内に延在する
請求項1又は2に記載のタービン静翼。
【請求項5】
前記翼高さ方向における前記内側端の平均位置を0%とし、前記翼高さ方向における前記外側端の平均位置を100%としたとき、前記第2部分は、前記翼高さ方向位置が75%以上100%以下の位置範囲内に少なくとも部分的に設けられる
請求項1又は2に記載のタービン静翼。
【請求項6】
前記第1部分は、前記内部流路形成部のうち翼高さ方向位置が0%以上50%以下の部分を含む
請求項5に記載のタービン静翼。
【請求項7】
前記内部流路形成部は、
前記外側端と前記内側端との間を前記翼高さ方向に沿って延びる管状部材と、
前記管状部材の前記翼高さ方向における一部を周囲から覆うカバー部材と、
を含み、
前記第2部分は前記カバー部材を含む
請求項1又は2に記載のタービン静翼。
【請求項8】
前記翼高さ方向において前記内側シュラウドを挟んで前記翼本体と反対側に設けられ、前記内側シュラウドとともに前記内側空間を形成するシールリング保持環を備え、
前記内部流路形成部は、前記外側空間からのシール流体を、前記内部流路を介して前記内側空間に導くように構成された
請求項1又は2に記載のタービン静翼。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のタービン静翼を含むタービンと、
前記タービン静翼が設けられる燃焼ガス流路を流れる燃焼ガスを生成するための燃焼器と、
を備えることを特徴とするガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タービン静翼及びガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
翼本体の内部に設けられた冷却通路を有するタービン翼を効率的に冷却することが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、基部及び端部を有する翼本体と、翼本体の内部において翼高さ方向に延びる冷却通路のうち翼本体の基部側部分に設けられた構造体と、を備えるタービン翼が開示されている。冷却通路の流路面積が比較的大きい基部側に構造体を設けることで、基部側にて冷却流体の流速を高めて熱伝達率を高めることで、タービン翼を効率的に冷却するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-91911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるタービン翼は、タービン翼の効率的な冷却のため、翼本体の内部に形成される冷却通路に新たに構造体が設けられるため、比較的複雑な構造を有する。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、構造の複雑化を抑制しながら、タービン静翼の効果的かつ効率的な冷却が可能なタービン静翼及びガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態に係るタービン静翼は、
翼高さ方向における外側端及び内側端を有する翼本体と、
前記翼本体の内部において前記翼高さ方向に沿って延在する冷却通路と、
前記翼高さ方向における前記翼本体の前記外側端側にて前記翼本体に接続される外側シュラウドと、
前記翼高さ方向における前記翼本体の前記内側端側にて前記翼本体に接続される内側シュラウドと、
前記冷却通路の内部を前記翼高さ方向に沿って延在する内部流路形成部と、
を備え、
前記内部流路形成部は、前記外側シュラウドを挟んで前記翼本体とは反対側の外側空間、及び、前記内側シュラウドを挟んで前記翼本体とは反対側の内側空間にそれぞれ連通する内部流路を形成し、
前記内部流路形成部は、第1部分と、前記翼高さ方向において前記第1部分よりも前記外側端寄りに位置する第2部分と、を有し、
前記翼高さ方向に直交する第1断面内にて前記第1部分の外縁に囲まれる面積よりも、前記翼高さ方向に直交する第2断面内にて前記第2部分の外縁に囲まれる面積のほうが大きい。
【0008】
また、本発明の少なくとも一実施形態に係るガスタービンは、
上述のタービン静翼を含むタービンと、
前記タービン静翼が設けられる燃焼ガス流路を流れる燃焼ガスを生成するための燃焼器と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、構造の複雑化を抑制しながら、タービン静翼の効果的かつ効率的な冷却が可能なタービン静翼及びガスタービンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るガスタービンの概略構成図である。
図2】一実施形態に係る静翼を含むタービンの部分的な概略図である。
図3図2に示す静翼の翼高さ方向に沿った概略的な部分断面図である
図4A図3のA-A断面を示す図である。
図4B図3のB-B断面を示す図である。
図4C図3のC-C断面を示す図である。
図5】一実施形態に係る静翼の前縁側かつ径方向外側の部分を示す概略図である。
図6】一実施形態に係る静翼の前縁側かつ径方向外側の部分を示す概略図である。
図7】一実施形態に係る静翼の前縁側かつ径方向外側の部分を示す概略図である。
図8】一実施形態に係る静翼の前縁側かつ径方向外側の部分を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
(ガスタービンの構成)
まず、幾つかの実施形態に係るタービン静翼が適用されるガスタービンについて説明する。図1は、一実施形態に係るタービン翼が適用されるガスタービンの概略構成図である。図1に示すように、ガスタービン1は、圧縮空気を生成するための圧縮機2と、圧縮空気及び燃料を用いて燃焼ガスを発生させるための燃焼器4と、燃焼ガスによって回転駆動されるように構成されたタービン6と、を備える。発電用のガスタービン1の場合、タービン6には不図示の発電機が連結される。
【0013】
圧縮機2は、圧縮機車室10側に固定された複数の静翼16と、静翼16に対して交互に配列されるようにロータ8に植設された複数の動翼18と、を含む。圧縮機2には、空気取入口12から取り込まれた空気が送られるようになっており、この空気は、複数の静翼16及び複数の動翼18を通過して圧縮されることで高温高圧の圧縮空気となる。
【0014】
燃焼器4には、燃料と、圧縮機2で生成された圧縮空気とが供給されるようになっており、該燃焼器4において燃料と圧縮空気が混合され、燃焼され、タービン6の作動流体である燃焼ガスが生成される。燃焼器4は、図1に示すように、燃焼器車室20内にロータを中心として周方向に沿って複数配置されていてもよい。
【0015】
タービン6は、タービン車室22内に形成される燃焼ガス流路28を有し、該燃焼ガス流路28に設けられる複数の静翼24及び動翼26を含む。静翼24はタービン車室22側に固定されており、ロータ8の周方向に沿って配列される複数の静翼24が静翼列を構成している。また、動翼26はロータ8に植設されており、ロータ8の周方向に沿って配列される複数の動翼26が動翼列を構成している。静翼列と動翼列とは、ロータ8の軸方向において交互に配列されている。
【0016】
タービン6では、燃焼ガス流路28に流れ込んだ燃焼器4からの燃焼ガスが複数の静翼24及び複数の動翼26を通過することでロータ8が回転駆動され、これにより、ロータ8に連結された発電機が駆動されて電力が生成されるようになっている。タービン6を駆動した後の燃焼ガスは、排気室30を介して外部へ排出される。
【0017】
(タービン静翼の構成)
以下、幾つかの実施形態に係るタービン6の静翼24(タービン静翼)について説明する。図2は、一実施形態に係る静翼24を含むタービン6の部分的な概略図であり、図3は、図2に示す静翼24の翼高さ方向に沿った概略的な部分断面図である。図4A図4Cは、図3のA-A断面、B-B断面及びC-C断面をそれぞれ示す図である。なお、図中における「径方向」「軸方向」及び「周方向」は、それぞれ、タービン6(又はタービンロータ)の径方向、軸方向及び周方向を示す。
【0018】
図2図4Cに示すように、一実施形態に係る静翼24は、翼本体40と、翼本体40の翼高さ方向における両端部に接続される外側シュラウド62及び内側シュラウド64と、を備える。ここで、静翼24の翼高さ方向(すなわち翼本体40の翼高さ方向)は、静翼24が設置されるタービンロータの径方向に相当する。静翼24がタービン6に設置された状態において、外側シュラウド62は翼本体40に対して径方向外側に位置し、内側シュラウド64は翼本体40に対して径方向内側に位置する。
【0019】
翼本体40は、翼高さ方向における両端である外側端42及び内側端44を有する。外側端42は、翼本体40の径方向外側の端部であり、内側端44は、翼本体40の径方向内側の端部である。翼本体40は、外側端42から内側端44にかけて翼高さ方向に沿って延びる前縁46及び後縁48を有する。翼本体40の翼面は、外側端42と内側端44との間において、翼高さ方向に沿って延在する圧力面(腹面)50及び負圧面(背面)52を含む(図4A図4C参照)。圧力面50と負圧面52とは前縁46及び後縁48にて接続される。
【0020】
外側シュラウド62は、翼高さ方向における翼本体40の外側端42側にて翼本体40に接続される。外側シュラウド62は、タービン車室22(図1参照)に支持され、静翼24は外側シュラウド62を介してタービン車室22に支持される。外側シュラウド62を挟んで翼本体40とは反対側には外側空間63が形成される。外側空間63は、外側シュラウド62によって少なくとも部分的に画定される。
【0021】
内側シュラウド64は、翼高さ方向における翼本体40の内側端44側にて翼本体40に接続される。翼高さ方向において内側シュラウド64を挟んで翼本体40と反対側には、シールリング68を保持するためのシールリング保持環66が設けられる。なお、シールリング68は、ロータ8と静翼24との間を介した流体の漏れを抑制するために設けられる。内側シュラウド64を挟んで翼本体40とは反対側には内側空間65が形成される。内側空間65は、内側シュラウド64及びシールリング保持環66によって少なくとも部分的に画定される。
【0022】
翼本体40の内部には、翼高さ方向に沿って延在する冷却通路54が設けられる。冷却通路54は、静翼24を冷却するための冷却流体F1(例えば空気)が流れるように構成される。
【0023】
幾つかの実施形態では、例えば図2図4に示すように、翼本体40の内部に、複数(図2図4Cにおいては2本)の冷却通路54(54A,54B)が設けられていてもよい。図2図4Cに示すように、複数の冷却通路54(54A,54B)のうち互いに隣り合う一対の冷却通路54(冷却通路54Aと冷却通路54B)は、翼高さ方向に沿って延びるリブ56によって仕切られていてもよい。
【0024】
図2図4Cに示すように、複数の冷却通路54(54A,54B)は、該複数の冷却通路54の翼高さ方向における端部に位置する折り返し部53を介して互いに接続されてサーペンタイン流路(蛇行流路)を形成していてもよい。この場合、折り返し部53において、冷却流体の流れの方向が翼高さ方向において逆向きに折り返すリターン流路が形成される。
【0025】
図2図4Cに示すように、複数の冷却通路54(54A,54B)は、翼本体40のコード方向(前縁46と後縁48とを結ぶ方向)に沿って配列されていてもよい。図示する実施形態では、複数の冷却通路54A,54Bは、コード方向にて前縁46から後縁48に向かってこの順に並んでいる。複数の冷却通路54のうち、コード方向にて最も前縁46側に位置する冷却通路54(図示する実施形態では冷却通路54A)は最前縁通路である。
【0026】
冷却流体F1は、外側空間63から冷却通路54に導入されるようになっていてもよい。なお、外側空間63へは、図示しない経路を介して冷却流体が供給されるようになっていてもよい。図示する実施形態では、外側空間63からの冷却流体F1が、外側シュラウド62に設けられる通路58を介して冷却通路54Aに導入され、冷却通路54Aを翼高さ方向に沿って流れ、折り返し部53を介して冷却通路54Bに流入する。冷却通路54Bを流れる冷却流体F1は、翼本体40の後縁部に設けられた冷却孔60を介して燃焼ガス流路28に放出されるようになっていてもよい。
【0027】
図2図4Cに示すように、静翼24は、冷却通路54の内部を翼高さ方向に沿って延在する内部流路形成部70を備える。図示する実施形態では、内部流路形成部70は、冷却通路54Aの内部を延在するように設けられている。また、図示する実施形態では、内部流路形成部70は、翼高さ方向に沿って延在するように設けられている。
【0028】
内部流路形成部70は、外側空間63及び内側空間65にそれぞれ連通する内部流路69を形成している。図示する実施形態では、内部流路形成部70は、該内部流路形成部70の両端部に開口する入口開口70a及び出口開口70bを有し、内部流路69は入口開口70aと出口開口70bとの間を延びている。内部流路69は、入口開口70aを介して外側空間63と連通するとともに、出口開口70bを介して内側空間65と連通している。これにより、外側空間63からの流体F2が、内部流路69を介して内側空間65に導かれるようになっている。この流体F2は、燃焼ガス流路28から内側空間65への流体(燃焼ガス等)の侵入を抑制するためのシール流体であってもよい。なお、冷却流体F1と流体F2は同一の流体源から供給されるものであってもよい。図示するように、内部流路形成部70は、翼本体40を貫通するように設けられていてもよい。
【0029】
上述の内部流路形成部70は、第1部分72と、翼高さ方向において第1部分72よりも外側端42寄りに位置する第2部分74と、を有する。そして、翼高さ方向に直交する断面(第1断面、例えばB-B断面(図4B参照))内にて第1部分72の外縁71に囲まれる面積よりも、翼高さ方向に直交する断面(第2断面、例えばA-A断面(図4A参照))内にて第2部分74の外縁71に囲まれる面積の方が大きい。
【0030】
すなわち、内部流路形成部70は、第1部分72に比べ、翼高さ方向にて外側端42寄り(径方向外側)に位置するとともに、外縁71に囲まれる面積が局所的に大きい第2部分74を有する。例えば、第2断面内にて第2部分74の外縁71に囲まれる面積は、第1断面内にて第1部分72の外縁71に囲まれる面積の2倍以上であってもよい。
【0031】
なお、第1断面は、翼高さ方向にて第1部分が存在する範囲内の断面であり、第2断面は、翼高さ方向にて第2部分が存在する範囲内の断面である。第2断面は、第1断面よりも径方向外側に位置する。
【0032】
上述の実施形態では、内部流路形成部70によって形成される内部流路69を介して、外側空間63から内側空間65に向けて流体F2(シール流体)を流すことができる。すなわち、内部流路形成部70は、シールチューブの機能を果たすことができる。また、上述の実施形態では、翼高さ方向に直交する断面(第2断面)内において第2部分74の外縁71に囲まれる面積が、翼高さ方向に直交する断面(第1断面)内において第1部分72の外縁71に囲まれる面積よりも大きいので、冷却通路54Aを流れる冷却流体F1の流路面積(冷却通路54Aの有効断面積)は、翼高さ方向における外側端42側(径方向外側)にて比較的大きく、内側端44側(径方向内側)にて比較的小さい傾向となる。よって、冷却負荷が比較的高い外側端42側にて冷却流体F1の流速を増大させることができ、これにより外側端42側にて冷却流体F1と静翼24との間の熱伝達率を高めることができるとともに、冷却負荷が比較的低い内側端44側にて冷却流体F1の流速の増加を抑制し、冷却流体F1の圧力損失を低減して冷却流体F1の供給圧(供給量)を低減することができる。よって、静翼24を効果的かつ効率的に冷却することができる。
したがって、上述の実施形態によれば、内部流路形成部70を利用することで構造の複雑化を抑制しながら、静翼24を効果的かつ効率的に冷却することができる。
【0033】
なお、タービンの静翼24は、径方向外側の部分の温度が高くなりやすく、この部分に加わる応力が大きくなる場合がある。この場合、上述したように、静翼24の径方向外側の部分(外側端42の近傍の部分)の冷却負荷が高くなる。
【0034】
幾つかの実施形態では、上述の第2断面内における冷却通路54(内部流路形成部70が設けられる冷却通路;図示する例では冷却通路54A)の有効断面積は、上述の第1断面内における冷却通路54の有効断面積よりも小さい。ここで、冷却通路54(54A)の有効断面積は、冷却通路54(54A)を流れる冷却流体F1の流路面積であり、翼高さ方向に直交する断面(第1断面又は第2断面等)内における、冷却通路54(54A)の内壁面55(図4A図4C参照)に囲まれる面積Saと内部流路形成部の外縁71に囲まれる面積Sbとの差(Sa-Sb)である。
【0035】
すなわち、内部流路形成部70が設けられる冷却通路54(54A)において、有効断面積が局所的に大きい領域が存在し、この領域は、翼高さ方向において、内部流路形成部70の第2部分74が位置する範囲(即ち、比較的径方向外側に位置する領域)である。
【0036】
上述の実施形態によれば、外側端42側(径方向外側)に位置する第2断面内における冷却通路54の有効断面積が、内側端44側(径方向内側)に位置する第1断面内における冷却通路54の有効断面積よりも小さい。よって、冷却負荷が比較的高い外側端42側にて冷却流体F1の流速を増大させることができ、これにより外側端42側にて冷却流体F1と静翼24との間の熱伝達率を高めることができるとともに、冷却負荷が比較的低い内側端44側にて冷却流体F1の流速の増加を抑制し、冷却流体F1の圧力損失を低減して冷却流体F1の供給圧(供給量)を低減することができる。よって、上述したように、構造の複雑化を抑制しながら、静翼24を効果的かつ効率的に冷却することができる。
【0037】
幾つかの実施形態では、例えば図2図4Cに示すように、内部流路形成部70は、複数の冷却通路54のうち、コード方向にて最も前縁46側に位置する前縁側通路(冷却通路54A)の内部を延在する。
【0038】
タービン6の静翼24では、タービン6の運転中に、前縁46近傍の位置において温度が高くなる傾向がある。この点、上述の実施形態によれば、内部流路形成部70は、翼本体40の内部に設けられる複数の冷却通路54のうち最も前縁側に位置する前縁側通路(冷却通路54A)の内部を延在するように設けられる。よって、静翼24をより効果的に冷却することができる。
【0039】
ここで、翼高さ方向における内側端44の平均位置Pinを翼高さ方向位置0%とし、翼高さ方向における外側端42の平均位置Poutを翼高さ方向位置100%と定義する(図3参照)。翼高さ方向における内側端44の平均位置Pinは、内側端44のうち最も径方向内側の位置Pin_1と最も径方向外側の位置Pin_2との算術平均(Pin_1+Pin_2)/2である。翼高さ方向における外側端42の平均位置Poutは、外側端42のうち最も径方向内側の位置Pout_1と最も径方向外側の位置Pout_2との算術平均(Pout_1+Pout_2)/2である。
【0040】
幾つかの実施形態では、内部流路形成部70の第1部分72は、翼高さ方向において、翼高さ方向位置50%の位置を含む範囲内に延在する。
【0041】
上述の実施形態によれば、内部流路形成部70の第1部分72が、翼高さ方向において翼高さ方向位置50%の位置を含む範囲内に延在するので、第2部分74は翼高さ方向位置が50%よりも大きい外側端42寄りの位置に位置する。よって、冷却負荷が比較的高い外側端42側にて冷却流体F1の流速を効果的に増大させることができ、これにより外側端42側にて冷却流体F1と静翼24との間の熱伝達率を効果的に高めることができるとともに、冷却負荷が比較的低い内側端44側の領域(翼高さ方向位置50%の位置を含む領域)にて冷却流体F1の流速の増加を抑制し、冷却流体F1の圧力損失を低減して冷却流体F1の供給圧(供給量)を低減することができる。
【0042】
幾つかの実施形態では、内部流路形成部70の第2部分74は、翼高さ方向位置が75%以上100%以下の位置範囲内に少なくとも部分的に設けられる。なお、図3に示す例示的な実施形態では、第2部分74は、翼高さ方向位置が75%以上100%以下の位置範囲内に部分的に設けられている。
【0043】
上述の実施形態によれば、内部流路形成部70の第2部分74は、翼高さ方向位置が75%以上100%以下の位置範囲内に少なくとも部分的に設けられるので、冷却負荷が比較的高い外側端42側にて冷却流体F1の流速を効果的に増大させることができ、これにより外側端42側にて冷却流体F1と静翼24との間の熱伝達率を効果的に高めることができるとともに、冷却負荷が比較的低い内側端44側にて冷却流体F1の流速の増加を抑制し、冷却流体F1の圧力損失を低減して冷却流体F1の供給圧(供給量)を低減することができる。
【0044】
幾つかの実施形態では、例えば図3に示すように、第1部分72は、内部流路形成部70のうち翼高さ方向位置が0%以上50%以下の部分を含む。
【0045】
上述の実施形態によれば、第1部分72が、内部流路形成部70のうち翼高さ方向位置が0%以上50%以下の部分を含む。すなわち、内部流路形成部70のうち内側端44側の大部分が第1部分72であるので、冷却通路54の内側端44側の大部分において、冷却流体F1の流速の増加が抑制されるため、冷却流体F1の圧力損失を低減して冷却流体の供給圧(供給量)を効果的に低減することができる。
【0046】
図5図8は、それぞれ、一実施形態に係る静翼24の前縁側かつ径方向外側の部分を示す概略図である。なお、図5図8において、外側シュラウド62の図示を省略している。
【0047】
図5及び図6に示す例示的な実施形態では、内部流路形成部70は、外側端42と内側端44(図3参照)との間を翼高さ方向に沿って延びる管状部材80を含む。第1部分72及び第2部分74は、1つの管状部材80によって形成される。
【0048】
図7及び図8に示す例示的な実施形態では、内部流路形成部70は、外側端42と内側端44(図3参照)との間を翼高さ方向に沿って延びる管状部材82と、該管状部材82の翼高さ方向における一部を周囲から覆うカバー部材84と、を含む。第1部分72は管状部材82によって形成される。第2部分74は管状部材82及びカバー部材84によって形成される。すなわち第2部分74はカバー部材84を含む。なお、第2部分74の外縁71(図4A参照)は、カバー部材84によって形成される。
【0049】
図5図8に示す例示的な実施形態によれば、管状部材80によって、又は、管状部材82及びカバー部材84によって、第1部分72及び第2部分74を含む内部流路形成部70を形成することができる。よって、上述の内部流路形成部70を含む静翼24を簡素な構成で実現することができる。
【0050】
幾つかの実施形態では、例えば図6及び図8に示すように、第1部分72と第2部分74の間に、第1部分72と第2部分74とを接続する接続部76が設けられていてもよい。図6及び図7に示すように、接続部76は、外縁71のサイズ(又は翼高さ方向に直交する断面内にて外縁71に囲まれる面積;図4A図4C参照)が、第1部分72から第2部分74に近づくにつれて徐々に増大する部分であってもよい。この場合、冷却通路54(54A)の有効断面積が徐々に変化するので、冷却通路54(54A)における内部流路形成部70に沿った冷却流体F1の流れが円滑になり、より効率的に静翼24を冷却することができる。
【0051】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0052】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るタービン静翼(24)は、
翼高さ方向における外側端(42)及び内側端(44)を有する翼本体(40)と、
前記翼本体の内部において前記翼高さ方向に沿って延在する冷却通路(54)と、
前記翼高さ方向における前記翼本体の前記外側端側にて前記翼本体に接続される外側シュラウド(62)と、
前記翼高さ方向における前記翼本体の前記内側端側にて前記翼本体に接続される内側シュラウド(64)と、
前記冷却通路の内部を前記翼高さ方向に沿って延在する内部流路形成部(70)と、
を備え、
前記内部流路形成部は、前記外側シュラウドを挟んで前記翼本体とは反対側の外側空間(63)、及び、前記内側シュラウドを挟んで前記翼本体とは反対側の内側空間(65)にそれぞれ連通する内部流路(69)を形成し、
前記内部流路形成部は、第1部分(72)と、前記翼高さ方向において前記第1部分よりも前記外側端寄りに位置する第2部分(74)と、を有し、
前記翼高さ方向に直交する第1断面内にて前記第1部分の外縁(71)に囲まれる面積よりも、前記翼高さ方向に直交する第2断面内にて前記第2部分の外縁(71)に囲まれる面積のほうが大きい。
【0053】
上記(1)の構成では、内部流路形成部によって形成される内部流路を介して、外側空間から内側空間に向けてシール流体を流すことができる。すなわち、内部流路形成部は、シールチューブの機能を果たすことができる。また、上記(1)の構成では、翼高さ方向に直交する第2断面内において第2部分の外縁に囲まれる面積が、第1断面内において第1部分の外縁に囲まれる面積よりも大きいので、冷却通路を流れる冷却流体の流路面積(冷却通路の有効断面積)は、翼高さ方向における外側端側(径方向外側)にて比較的大きく、内側端側(径方向内側)にて比較的小さい傾向となる。よって、冷却負荷が比較的高い外側端側にて冷却流体の流速を増大させることができ、これにより外側端側にて冷却流体とタービン静翼との間の熱伝達率を高めることができるとともに、冷却負荷が比較的低い内側端側にて冷却流体の流速の増加を抑制し、冷却流体の圧力損失を低減して冷却流体の供給圧(供給量)を低減することができる。よって、タービン静翼を効果的かつ効率的に冷却することができる。
したがって、上記(1)の構成によれば、内部流路形成部を利用することで構造の複雑化を抑制しながら、タービン静翼を効果的かつ効率的に冷却することができる。
【0054】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第2断面内における前記冷却通路の有効断面積は、前記第1断面内における前記冷却通路の有効断面積よりも小さい。
【0055】
上記(2)の構成によれば、外側端側(径方向外側)に位置する第2断面内における冷却通路の有効断面積が、内側端側(径方向内側)に位置する第1断面内における冷却通路の有効断面積よりも小さい。よって、冷却負荷が比較的高い外側端側にて冷却流体の流速を増大させることができ、これにより外側端側にて冷却流体とタービン静翼との間の熱伝達率を高めることができるとともに、冷却負荷が比較的低い内側端側にて冷却流体の流速の増加を抑制し、冷却流体の圧力損失を低減して冷却流体の供給圧(供給量)を低減することができる。よって、上記(1)で述べたように、構造の複雑化を抑制しながら、タービン静翼を効果的かつ効率的に冷却することができる。
【0056】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記タービン静翼は、
前記翼本体の内部において前記翼高さ方向に沿って延在する複数の冷却通路を備え、
前記内部流路形成部は、前記複数の冷却通路のうち、前記翼本体のコード方向にて最も前縁(46)側に位置する前縁側通路(例えば上述の冷却通路54A)の内部を延在する。
【0057】
タービン静翼では、タービンの運転中に、前縁近傍の位置において温度が高くなる傾向がある。この点、上記(3)の構成によれば、内部流路形成部は、翼本体の内部に設けられる複数の冷却通路のうち最も前縁側に位置する前縁側通路の内部を延在するように設けられる。よって、タービン静翼をより効果的に冷却することができる。
【0058】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記翼高さ方向における前記内側端の平均位置を翼高さ方向位置0%とし、前記翼高さ方向における前記外側端の平均位置を翼高さ方向位置100%としたとき、前記第1部分は、前記翼高さ方向において、翼高さ方向位置50%の位置を含む範囲内に延在する。
【0059】
上記(4)の構成によれば、内部流路形成部の第1部分が、翼高さ方向において翼高さ方向位置50%の位置を含む範囲内に延在するので、第2部分は翼高さ方向位置が50%よりも大きい外側端寄りの位置に位置する。よって、冷却負荷が比較的高い外側端側にて冷却流体の流速を効果的に増大させることができ、これにより外側端側にて冷却流体とタービン静翼との間の熱伝達率を効果的に高めることができるとともに、冷却負荷が比較的低い内側端側の領域(翼高さ方向位置50%の位置を含む領域)にて冷却流体の流速の増加を抑制し、冷却流体の圧力損失を低減して冷却流体の供給圧(供給量)を低減することができる。よって、上記(1)で述べたように、構造の複雑化を抑制しながら、タービン静翼を効果的かつ効率的に冷却することができる。
【0060】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、
前記翼高さ方向における前記内側端の平均位置を0%とし、前記翼高さ方向における前記外側端の平均位置を100%としたとき、前記第2部分は、前記翼高さ方向位置が75%以上100%以下の位置範囲内に少なくとも部分的に設けられる。
【0061】
上記(5)の構成によれば、内部流路形成部の第2部分は、前記翼高さ方向位置が75%以上100%以下の位置範囲内に少なくとも部分的に設けられるので、冷却負荷が比較的高い外側端側にて冷却流体の流速を効果的に増大させることができ、これにより外側端側にて冷却流体とタービン静翼との間の熱伝達率を効果的に高めることができるとともに、冷却負荷が比較的低い内側端側にて冷却流体の流速の増加を抑制し、冷却流体の圧力損失を低減して冷却流体の供給圧(供給量)を低減することができる。よって、上記(1)で述べたように、構造の複雑化を抑制しながら、タービン静翼を効果的かつ効率的に冷却することができる。
【0062】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記第1部分は、前記内部流路形成部のうち翼高さ方向位置が0%以上50%以下の部分を含む。
【0063】
上記(6)の構成によれば、第1部分が、内部流路形成部のうち翼高さ方向位置が0%以上50%以下の部分を含む。すなわち、内部流路形成部のうち内側端側の大部分が第1部分であるので、冷却通路の内側端側の大部分において、冷却流体の流速の増加が抑制されるため、冷却流体の圧力損失を低減して冷却流体の供給圧(供給量)を効果的に低減することができる。よって、上記(1)で述べたように、構造の複雑化を抑制しながら、タービン静翼を効果的かつ効率的に冷却することができる。
【0064】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、
前記内部流路形成部は、
前記外側端と前記内側端との間を前記翼高さ方向に沿って延びる管状部材(82)と、
前記管状部材の前記翼高さ方向における一部を周囲から覆うカバー部材(84)と、
を含み、
前記第2部分は前記カバー部材を含む。
【0065】
上記(7)の構成によれば、管状部材及びカバー部材によって、第1部分及び第2部分を含む内部流路形成部を形成することができる。よって、簡素な構成で上記(1)の構成を実現することができる。
【0066】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の構成において、
前記タービン静翼は、
前記翼高さ方向において前記内側シュラウドを挟んで前記翼本体と反対側に設けられ、前記内側シュラウドとともに前記内側空間を形成するシールリング保持環(80)を備え、
前記内部流路形成部は、前記外側空間からのシール流体を、前記内部流路を介して前記内側空間に導くように構成される。
【0067】
上記(8)の構成によれば、内部流路形成部によって形成される内部流路を介して、外側空間からのシール流体を内側空間に導くことができる。すなわち、内部流路形成部は、シールチューブとして機能する。よって、上記(8)の構成によれば、内部流路形成部を有するタービン静翼を効果的かつ効率的に冷却することができる。
【0068】
(9)本発明の少なくとも一実施形態に係るガスタービン(1)は、
上記(1)乃至(8)の何れか一項に記載のタービン静翼(24)を含むタービン(6)と、
前記タービン静翼が設けられる燃焼ガス流路(28)を流れる燃焼ガスを生成するための燃焼器(4)と、
を備える。
【0069】
上記(9)の構成では、内部流路形成部によって形成される内部流路を介して、外側空間から内側空間に向けてシール流体を流すことができる。すなわち、内部流路形成部は、シールチューブの機能を果たすことができる。また、上記(9)の構成では、翼高さ方向に直交する第2断面内において第2部分の外縁に囲まれる面積が、第1断面内において第1部分の外縁に囲まれる面積よりも大きいので、冷却通路を流れる冷却流体の流路面積(冷却通路の有効断面積)は、翼高さ方向における外側端側(径方向外側)にて比較的大きく、内側端側(径方向内側)にて比較的小さい傾向となる。よって、冷却負荷が比較的高い外側端側にて冷却流体の流速を増大させることができ、これにより外側端側にて冷却流体とタービン静翼との間の熱伝達率を高めることができるとともに、冷却負荷が比較的低い内側端側にて冷却流体の流速の増加を抑制し、冷却流体の圧力損失を低減して冷却流体の供給圧(供給量)を低減することができる。よって、タービン静翼を効果的かつ効率的に冷却することができる。
したがって、上記(9)の構成によれば、内部流路形成部を利用することで構造の複雑化を抑制しながら、タービン静翼を効果的かつ効率的に冷却することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0071】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0072】
1 ガスタービン
2 圧縮機
4 燃焼器
6 タービン
8 ロータ
10 圧縮機車室
12 空気取入口
16 静翼
18 動翼
20 燃焼器車室
22 タービン車室
24 静翼
26 動翼
28 燃焼ガス流路
30 排気室
40 翼本体
42 外側端
44 内側端
46 前縁
48 後縁
50 圧力面
52 負圧面
53 折り返し部
54,54A,54B 冷却通路
55 内壁面
56 リブ
58 通路
60 冷却孔
62 外側シュラウド
63 外側空間
64 内側シュラウド
65 内側空間
66 シールリング保持環
68 シールリング
69 内部流路
70 内部流路形成部
70a 入口開口
70b 出口開口
71 外縁
72 第1部分
74 第2部分
76 接続部
80 管状部材
82 管状部材
84 カバー部材
F1 冷却流体
F2 流体(シール流体)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8