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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172541
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】表示方法および表示システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20231129BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H04N5/74 Z
G08B21/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084432
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西岡 大毅
(72)【発明者】
【氏名】米野 邦夫
【テーマコード(参考)】
5C058
5C086
【Fターム(参考)】
5C058BA05
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA26
5C086AA22
5C086AA60
5C086BA30
5C086CA11
5C086CA30
5C086DA40
5C086FA01
5C086FA15
5C086FA17
5C086FA18
5C086GA06
(57)【要約】
【課題】移動する人に対して適切な向きで画像を表示する。
【解決手段】表示方法は、センサーを用いて、表示装置の表示位置に向かう人の移動方向に応じた出力を取得することと、当該移動方向に応じた出力に基づいて、注意喚起に用いるコンテンツの向きを決定することと、表示装置を用いて、表示位置に当該コンテンツを当該向きで表示することと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセンサーを用いて、表示装置がコンテンツに基づく画像を表示する表示位置に向かう人の移動方向に応じた出力を取得することと、
前記移動方向に応じた出力に基づいて、注意喚起に用いる前記画像の向きを決定することと、
前記表示装置を用いて、前記表示位置に前記画像を前記向きで表示することと、を含む、
表示方法。
【請求項2】
前記画像の向きを決定することは、
前記移動方向に応じた出力に基づいて、前記画像を決定することを含む、
請求項1に記載の表示方法。
【請求項3】
前記移動方向に応じた出力を取得することは、前記表示位置に向かう人の移動速度に応じた出力を取得することを含み、
前記移動速度に基づいて、前記画像を表示するタイミングを決定すること、をさらに含み、
前記画像を前記向きで表示することは、前記表示装置を用いて、前記画像を前記タイミングで表示することを含む、
請求項1または2に記載の表示方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサーは、
第1位置を人が通過したことを検出したことを示す第1信号を出力する第1センサーと、
前記第1位置とは異なる第2位置を人が通過したことを検出したことを示す第2信号を出力する第2センサーと、を含み、
前記表示位置は、前記第1位置と前記第2位置との間に配置され、
前記向きを決定することは、
前記第1センサーの前記第1信号を取得した場合、前記向きを第1向きとすることと、
前記第2センサーの前記第2信号を取得した場合、前記向きを前記第1向きとは異なる第2向きとすることと、を含む、
請求項1に記載の表示方法。
【請求項5】
前記移動方向に応じた出力を取得することは、前記表示位置に向かう人の移動速度に応じた出力を取得することを含み、
前記移動速度に基づいて、前記画像を表示するタイミングを決定すること、をさらに含み、
前記少なくとも1つのセンサーは、
前記第1位置および前記第2位置とは異なる第3位置を人が通過したことを検出したことを示す第3信号を出力する第3センサーと、を含み、
前記第1位置は、前記第3位置と前記表示位置との間に位置し、
前記移動速度に応じた出力を取得することは、前記第3信号を取得した場合、前記第1信号を取得した時刻と、前記第3信号を取得した時刻と、の時間差に基づいて前記移動速度を決定することを含み、
前記画像を表示することは、前記表示装置を用いて、前記画像を前記タイミングで表示することを含む、
請求項4に記載の表示方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサーは、
前記第1位置、前記第2位置および前記第3位置とは異なる第4位置を人が通過したことを検出したことを示す第4信号を出力する第4センサーと、を含み、
前記第2位置は、前記第4位置と前記表示位置との間に位置し、
前記移動速度に応じた出力を取得することは、
前記第4信号を取得した場合、前記第2信号を取得した時刻と、前記第4信号を取得した時刻と、の時間差に基づいて前記移動速度を決定することと、を含む
請求項5に記載の表示方法。
【請求項7】
表示装置と、
前記表示装置がコンテンツに基づく画像を表示する表示位置に向かう人の移動方向に応じた出力を行う少なくとも1つのセンサーと、
前記移動方向に応じた出力に基づいて、前記表示装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記移動方向に応じた出力を前記少なくとも1つのセンサーから取得することと、
前記移動方向に基づいて、注意喚起に用いる画像の向きを決定することと、
前記表示装置を用いて、前記表示位置に前記画像を前記向きで表示することと、を実行する、
表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示方法および表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の動きを検出するセンサーの出力に基づいてプロジェクターの駆動を制御することがある。例えば、特許文献1には、距離計測装置と待機場所指示装置と投射装置とを備える注意喚起システムが記載される。
【0003】
特許文献1に記載のシステムでは、距離計測装置がエレベーター利用者とエレベータードアとの間の距離を計測し、待機場所指示装置が距離計測装置の計測距離に基づいてエレベーター利用者にエレベーター乗り場における待機場所を指示し、投射装置が待機場所指示装置による指示に基づいてエレベーター乗り場の床面に待機場所を示す画像を投射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-222408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムでは、画像の表示位置に近づく人の移動方向が考慮されないため、当該人に対して適切な内容の画像を表示することができない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る表示方法は、少なくとも1つのセンサーを用いて、表示装置がコンテンツに基づく画像を表示する表示位置に向かう人の移動方向に応じた出力を取得することと、前記移動方向に応じた出力に基づいて、注意喚起に用いる前記画像の向きを決定することと、前記表示装置を用いて、前記表示位置に前記画像を前記向きで表示することと、を含む。
【0007】
本開示の一態様に係る表示システムは、表示装置と、前記表示装置がコンテンツに基づく画像を表示する表示位置に向かう人の移動方向に応じた出力を行う少なくとも1つのセンサーと、前記移動方向に応じた出力に基づいて、前記表示装置の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記移動方向に応じた出力を前記少なくとも1つのセンサーから取得することと、前記移動方向に基づいて、注意喚起に用いる画像の向きを決定することと、前記表示装置を用いて、前記表示位置に前記画像を前記向きで表示することと、を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る表示システムの概略図である。
図2】第1実施形態に係る表示システムのブロック図である。
図3】第1実施形態に係る表示方法のフローチャートである。
図4】第1実施形態に係る表示方法におけるセンサー出力の取得処理のフローチャートである。
図5】第1実施形態に係る表示方法におけるコンテンツの決定処理のフローチャートである。
図6】表示に用いるコンテンツを説明するための図である。
図7】第1実施形態に係る表示方法におけるコンテンツの表示処理のフローチャートである。
図8】第1実施形態に係る表示方法による表示タイミングの一例を説明するための図である。
図9】第2実施形態に係る表示システムの概略図である。
図10】第2実施形態に係る表示方法のフローチャートである。
図11】第2実施形態に係る表示方法におけるコンテンツの表示処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示している部分もある。また、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0010】
1.第1実施形態
1-1.表示システムの概要
図1は、第1実施形態に係る表示システム1の概略図である。表示システム1は、表示装置10を用いて表示位置PDに画像Gを表示するシステムである。より具体的には、表示システム1は、人H_1が第1位置P1から表示位置PDに向かう場合、人H_1に対して見やすい向きで画像Gを表示し、一方、人H_2が第2位置P2から表示位置PDに向かう場合、人H_2に対して見やすい向きで画像Gを表示する。なお、以下では、人H_1および人H_2のそれぞれを人Hという場合がある。
【0011】
第1位置P1、第2位置P2および表示位置PDのそれぞれは、人Hの通行方向での位置である。表示位置PDは、第1位置P1と第2位置P2との間の位置である。表示位置PDは、例えば、画像Gの中心である
【0012】
図1に示す例では、表示システム1が、通路ALを通行する人Hに対して画像Gにより注意喚起を行う。ここで、通路ALの長さ方向は、人Hの通行方向である。人H_1の移動方向DR1と人H_2の移動方向DR2は、互いに異なり、図示では、互いに反対方向である。
【0013】
床面FFには、通路ALの長さ方向での途中にスロープSLおよび階段STが設けられる。表示位置PDは、スロープSLと階段STとの間の位置で床面FFに設定され、通路ALの長さ方向でスロープSLに隣り合う。第1位置P1は、階段STと表示位置PDとの間の位置である。このように表示位置PDおよび第1位置P1のそれぞれは、スロープSLに対して、図1中の左方に位置する。これに対し、第2位置P2は、スロープSLに対して、図1中の右方に位置する。このため、スロープSLは、表示位置PDと第2位置P2との間に位置する。
【0014】
なお、通路ALの幅または形状等の態様は、図1に示す例に限定されず、任意である。また、表示位置PDは、図1に示す例に限定されず、例えば、スロープSLから離れた位置であってもよいし、通路ALに設けられるスクリーン上の位置、通路ALの左右の壁面上または天井の面上の位置でもよい。
【0015】
表示システム1は、表示装置10とセンサー20と制御装置30とを備える。以下、図1に基づいて、これらを簡単に説明する。
【0016】
表示装置10は、制御装置30による制御のもとで、表示位置PDに画像Gを表示するプロジェクターである。なお、表示装置10の詳細な構成については、後に図2に基づいて説明する。
【0017】
センサー20は、第1位置P1または第2位置P2から表示位置PDに向かう人Hの移動方向に応じて出力するセンサーである。図1に示す例では、センサー20は、第1位置P1の人Hの通過を検出する第1センサー21と、第2位置P2の人Hの通過を検出する第2センサー22と、を備える。
【0018】
第1センサー21および第2センサー22のそれぞれは、光電センサー等のセンサーであり、通路ALの左右の1対の壁のうちの一方の壁に取り付けられる。図示しないが、第1センサー21および第2センサー22のそれぞれは、LED(light-emitting diode)またはレーザーダイオード等の発光素子と、フォトトランジスターまたはフォトダイオード等の受光素子と、を有する。なお、発光素子の発光は、可視光であってもよいし、赤外光であってもよい。また、第1センサー21および第2センサー22のそれぞれは、発光素子および受光素子のほか、増幅感度調整または出力極性設定等のための回路を有してもよい。
【0019】
図1に示す例では、当該1対の壁のうちの他方の壁には、第1センサー21に対向するように反射体MR1が設けられるとともに、第2センサー22に対向するように反射体MR2が設けられる。反射体MR1、MR2のそれぞれは、コーナーキューブアレイ等の光反射性を有する構造体である。反射体MR1は、第1センサー21の発光素子からの光を第1センサー21の受光素子に向けて反射する。同様に、反射体MR2は、第2センサー22の発光素子からの光を第2センサー22の受光素子に向けて反射する。
【0020】
以上のようなセンサー20では、第1位置P1に物体が存在しない場合、第1センサー21の発光素子からの光は、反射体MR1で反射することにより第1センサー21の受光素子で受光される。一方、第1位置P1に物体が存在する場合、第1センサー21の発光素子からの光は、当該物体により遮蔽されるので、第1センサー21の受光素子で受光されない。このような第1センサー21は、例えば、第1位置P1に物体が存在しない場合、ハイレベルの信号を出力し、第1位置P1に物体が存在する場合、ローレベルの信号を出力する。第1位置P1に物体が存在する場合に出力されるローレベルの信号は第1信号に相当する。同様に、第2センサー22は、例えば、第2位置P2に物体が存在しない場合、ハイレベルの信号を出力し、第2位置P2に物体が存在する場合、ローレベルの信号を出力する。第2位置P2に物体が存在する場合に出力されるローレベルの信号は第2信号に相当する。
【0021】
このようなセンサー20では、人H_1が第1位置P1から表示位置PDを経由して第2位置P2へ移動した場合、人H_1が第1位置P1を通過したタイミングで第1センサー21の出力が変化した後、人H_1が第2位置P2を通過したタイミングで第2センサー22の出力が変化する。これに対し、人H_2が第2位置P2から表示位置PDを経由して第1位置P1へ移動した場合、人H_2が第2位置P2を通過したタイミングで第2センサー22の出力が変化した後、人H_2が第1位置P1を通過したタイミングで第1センサー21の出力が変化する。
【0022】
したがって、第1位置P1と第2位置P2との間の領域内に誰もいない状態から当該領域内に人Hが進入する場合、第1センサー21および第2センサー22のうちの一方のセンサーの出力変化が他方のセンサーの出力変化よりも先に生じるので、当該一方のセンサーの出力変化を検出することにより、人Hの移動方向を判別することができる。このように、第1センサー21および第2センサー22に基づいて、人Hの移動方向を判別することができる。
【0023】
なお、反射体MR1、MR2のそれぞれは、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。この場合、例えば、当該他方の壁が反射体MR1、MR2として機能する。ただし、反射体MR1、MR2としてコーナーキューブアレイ等の光反射性を有する構造体を用いると、センサー20の検出精度を高めやすいという利点がある。
【0024】
制御装置30は、センサー20の出力に基づいて表示装置10の動作を制御する装置である。ここで、制御装置30は、センサー20を用いて、表示位置PDに向かう人Hの移動方向DR1または移動方向DR2に応じた出力を取得する。また、制御装置30は、移動方向DR1または移動方向DR2に応じた出力に基づいて、注意喚起に用いるコンテンツの向きを決定する。本実施形態では、制御装置30は、移動方向DR1または移動方向DR2に応じた出力に基づいて、当該向きのほか、当該コンテンツを決定する。さらに、制御装置30は、表示装置10を用いて、表示位置PDに当該コンテンツを画像Gとして当該向きで表示する。なお、制御装置30の詳細な構成については、後に図2に基づいて説明する。
【0025】
以上の概略の表示システム1では、注意喚起に用いる画像Gのコンテンツおよびその表示の向きのそれぞれが、表示位置PDへ向かう人Hの移動方向DR1またはDR2に応じて決定される。このため、人Hに対して適切な向きおよび内容で画像Gを表示することができる。
【0026】
1-2.表示システムの構成
図2は、第1実施形態に係る表示システム1のブロック図である。図2では、表示システム1の電気的な構成のほか、通路ALを鉛直上方からみた図が併せて図示される。前述のように、表示システム1は、表示装置10とセンサー20と制御装置30とを備える。以下、図2に基づいて、表示装置10および制御装置30について詳述する。
【0027】
表示装置10は、図2に示すように、投射装置11と記憶装置12と再生装置13とを備える。
【0028】
投射装置11は、画像Gを表示位置PDに投射する機構である。図示しないが、投射装置11は、例えば、画像処理回路と光源と光変調装置と投射光学系とを有する。
【0029】
投射装置11の画像処理回路は、再生装置13からのコンテンツ情報D1内の画像情報を用いて、光変調装置を駆動するための画像信号を生成する回路である。具体的には、当該画像処理回路は、フレームメモリーを有し、コンテンツ情報D1内の画像情報を当該フレームメモリーに展開して、解像度変換処理、リサイズ処理、歪み補正処理等の各種処理を適宜実行することにより、画像信号を生成する。
【0030】
投射装置11の光源は、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED(Light Emitting Diode)またはレーザー光源等を含む。当該光源は、例えば、白色の光を出射するか、または、赤色、緑色および青色の光をそれぞれ出射する。当該光源が白色の光を出射する場合、当該光源から出射される光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布のばらつきが低減され、その後、図示しない色分離光学系によって赤色、緑色および青色の光に分離されて投射装置11の光変調装置に入射する。
【0031】
投射装置11の光変調装置は、前述の赤色、緑色および青色に対応して設けられる3個の光変調素子を含む。当該3個の光変調素子のそれぞれは、例えば、透過型の液晶パネル、反射型の液晶パネルまたはDMD(デジタルミラーデバイス)等を含む。当該3個の光変調素子は、投射装置11の画像処理回路からの画像信号に基づいて、当該赤色、緑色および青色の光をそれぞれ変調して各色の画像光を生成する。当該各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって合成され、フルカラーの画像光となる。
【0032】
投射装置11の投射光学系は、前述のフルカラーの画像光を投射面上に結像させて投射させる。当該投射光学系は、例えば、投射レンズを含む光学系である。なお、当該投射光学系は、投射レンズのほか、例えば、ズームレンズまたはフォーカスレンズ等を含んでもよい。
【0033】
記憶装置12は、コンテンツ情報D1およびプレイリスト情報D2を記憶する装置である。記憶装置12は、例えば、ハードディスクドライブまたは半導体メモリーで構成される。なお、記憶装置12に記憶される情報の一部または全部は、あらかじめ記憶されてもよいし、無線または有線により記憶装置12に接続される外部装置から取得されてもよい。また、記憶装置12は、可搬型のメモリーカードまたは記憶ディスクでもよい。
【0034】
コンテンツ情報D1は、画像Gのコンテンツに関する画像情報である。コンテンツ情報D1には、画像Gに用いる複数種のコンテンツに関する画像情報が含まれる。当該複数種のコンテンツのそれぞれに関する画像情報は、例えば、人Hに対する注意喚起を促す表示に関する画像情報である。ここで、画像情報は、静止画情報であってもよいし、動画情報であってもよい。また、画像情報には、注意喚起のための音声情報等の情報が付加されてもよい。コンテンツ情報D1には、人Hに対する注意喚起を促す画像を示す情報のほか、画像Gが表示されないように見せるための黒色画像を示す画像情報が含まれてもよい。コンテンツ情報D1の具体例については、後に図6に基づいて説明する。
【0035】
プレイリスト情報D2は、コンテンツ情報D1に含まれる画像情報のうちの1または複数の再生対象、再生順および再生時間長等を記述したプレイリストに関する情報である。プレイリスト情報D2には、再生対象、再生順および再生時間長のうちの1つ以上の異なる複数のプレイリストに関する情報が含まれる。なお、プレイリスト情報D2は、必要に応じて用いられ、省略されてもよい。この場合、制御装置30は、コンテンツ情報D1内の情報の再生対象、再生順および再生時間長等を決定する処理を実行し、その決定結果に基づいて再生装置13の駆動を制御すればよい。ただし、プレイリスト情報D2を用いることにより、制御装置30による再生装置13の駆動制御が簡単化されるという利点がある。
【0036】
再生装置13は、制御装置30による制御のもと、記憶装置12に記憶される情報を読み込んで投射装置11に送信する装置である。具体的には、再生装置13は、制御装置30による制御のもと、プレイリスト情報D2に基づいて、コンテンツ情報D1内の情報を投射装置11に適宜に送信する。再生装置13は、例えば、メモリーカードリーダー、パーソナルコンピューターまたはDVD(Digital Versatile Disk)プレイヤー等の装置である。なお、再生装置13は、投射装置11と一体で構成されてもよいし、制御装置30の一部として構成されてもよい。再生装置13が制御装置30の一部として構成される場合、前述の記憶装置12も制御装置30の一部として構成されてもよい。
【0037】
制御装置30は、図2に示すように、通信装置31と記憶装置32と処理装置33とを備える。これらは、共通のバスを介して、互いに通信可能に接続される。
【0038】
通信装置31は、表示装置10およびセンサー20のそれぞれと有線または無線により通信可能な装置である。具体的には、通信装置31は、表示装置10と通信するためのインターフェイス回路と、センサー20と通信するためのインターフェイス回路と、を有する。例えば、通信装置31は、有線LAN(Local Area Network)、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High Definition Multimedia Interface)等の有線通信装置、LPWA(Low Power Wide Area)、Wi-Fiを含む無線LAN、Bluetooth等の無線通信装置を含む。「HDMI」、「Wi-Fi」および「Bluetooth」のそれぞれは、登録商標である。
【0039】
記憶装置32は、処理装置33により実行されるプログラムPGと、処理装置33により処理される各種情報と、を記憶する装置である。記憶装置32は、例えば、ハードディスクドライブまたは半導体メモリーで構成される。なお、記憶装置32に記憶される情報の一部または全部は、あらかじめ記憶されてもよいし、前述の通信装置31を介して外部装置から取得されてもよい。
【0040】
処理装置33は、制御装置30の各部の動作を制御する機能、および各種データを処理する機能を有する処理装置である。処理装置33は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の1または複数のプロセッサーを含む。なお、処理装置33の一部または全部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで実現してもよい。
【0041】
処理装置33は、プログラムPGを実行することにより、取得部33a、決定部33bおよび表示制御部33cとして機能する。
【0042】
取得部33aは、センサー20を用いて、第1位置P1または第2位置P2を通過して表示位置PDに向かう人Hの移動方向DR1または移動方向DR2に応じた出力を取得する。
【0043】
ここで、取得部33aは、人Hが第1位置P1を通過した場合、第1センサー21の出力を取得した第1時刻t1を記憶装置32に記憶させる。記憶装置32に記憶された第1時刻t1は、取得部33aが第2センサー22の出力を取得した場合、または、第1センサー21の出力の取得後に所定時間にわたる無効時間を経過した場合に、記憶装置32から廃棄される。同様に、取得部33aは、人Hが第2位置P2を通過した場合、第2センサー22の出力を取得した第2時刻t2を記憶装置32に記憶させる。記憶装置32に記憶された第2時刻t2は、取得部33aが第1センサー21の出力を取得した場合、または、第2センサー22の出力の取得後に所定時間にわたる無効時間を経過した場合に、記憶装置32から廃棄される。
【0044】
したがって、当該無効時間の期間内において、記憶装置32に第1時刻t1が記憶されている場合、人H_1が第1位置P1から表示位置PDへ向かって移動方向DR1に移動していると判定することができる。また、当該無効時間の期間内において、記憶装置32に第2時刻t2が記憶されている場合、人H_2が第2位置P2から表示位置PDへ向かって移動方向DR2に移動していると判定することができる。
【0045】
第1位置P1と表示位置PDとの間の距離d1は、特に限定されないが、例えば、1m以上5m以下であることが好ましい。距離d1が短すぎると、人H_1の移動速度によっては、人H_1に対して適切なタイミングで画像Gを表示できない場合がある。一方、距離d1が長すぎると、画像Gを無駄に表示する期間が長くなったり、複数の人Hが第1位置P1と第2位置P2との間の領域内に存在する可能性が高まるので、適切な画像Gを表示するための構成が複雑化したりする。
【0046】
同様に、第2位置P2と表示位置PDとの間の距離d2は、特に限定されないが、例えば、1m以上5m以下であることが好ましい。距離d2が短すぎると、人H_2の移動速度によっては、人H_2に対して適切なタイミングで画像Gを表示できない場合がある。一方、距離d2が長すぎると、画像Gを無駄に表示する期間が長くなったり、複数の人Hが第1位置P1と第2位置P2との間の領域内に存在する可能性が高まるので、適切な画像Gを表示するための構成が複雑化したりする。なお、距離d1および距離d2は、互いに等しくても異なってもよい。
【0047】
決定部33bは、センサー20からの出力に基づいて、注意喚起に用いるコンテンツと、当該コンテンツを画像Gとして表示する向きと、を決定する。より具体的には、記憶装置32に第1時刻t1が記憶されている場合、決定部33bは、人H_1が移動方向DR1に移動していると判定し、人H_1に対して必要なコンテンツを決定するとともに、移動方向DR1からみて見やすいコンテンツの向きを決定する。一方、記憶装置32に第2時刻t2が記憶されている場合、決定部33bは、人H_2が移動方向DR2に移動していると判定し、人H_2に対して必要なコンテンツを決定するとともに、移動方向DR2からみて見やすいコンテンツの向きを決定する。
【0048】
表示制御部33cは、表示装置10を用いて、決定部33bで決定したコンテンツを画像Gとして、決定部33bで決定した向きで表示位置PDに表示する。具体的には、表示制御部33cは、決定部33bによる決定結果に基づいて、再生装置13に対してプレイリスト情報D2内のプレイリストを指定することにより、表示装置10に所望のコンテンツを画像Gとして所望の向きで表示させる。
【0049】
1-3.表示方法
図3は、第1実施形態に係る表示方法のフローチャートである。当該表示方法は、前述の表示システム1を用いて行われる。表示システム1では、まず、図3に示すように、ステップS10において、取得部33aが、表示装置10の表示位置PDに向かう人Hの移動方向に応じた出力を取得する。この取得の処理の詳細については、後に図4に基づいて説明する。
【0050】
次に、ステップS20において、決定部33bが、当該移動方向に応じた出力に基づいて、注意喚起に用いるコンテンツの向きを決定する。この決定の処理の詳細については、後に図5に基づいて説明する。
【0051】
次に、ステップS30において、表示制御部33cが、表示装置10を用いて、ステップS30で決定したコンテンツを画像Gとして、ステップS30で決定した向きで、表示位置PDに表示させる。この表示の処理の詳細については、後に図6に基づいて説明する。
【0052】
その後、ステップS40において、処理装置33は、終了指示の有無を判断する。処理装置33は、終了指示がない場合(S40:NO)、前述のステップS10に移行し、一方、終了指示がある場合(S40:YES)、処理を終了する。
【0053】
図4は、第1実施形態に係る表示方法におけるセンサー出力の取得処理のフローチャートである。前述の図3のステップS10では、図4に示すように、まず、ステップS11において、取得部33aが第1センサー21の出力を取得したか否かを判断する。この判断は、例えば、第1センサー21の出力が変化したか否かにより行われる。取得部33aが第1センサー21の出力を取得した場合(S11:YES)、ステップS12において、取得部33aがその取得した第1時刻t1を記憶装置32に記憶する。
【0054】
ステップS12の後、または、取得部33aが第1センサー21の出力を取得していない場合(S11:NO)、ステップS13において、取得部33aが第2センサー22の出力を取得したか否かを判断する。この判断は、例えば、第2センサー22の出力が変化したか否かにより行われる。取得部33aが第2センサー22の出力を取得した場合(S12:YES)、ステップS14において、取得部33aがその取得した第2時刻t2を記憶装置32に記憶する。
【0055】
ステップS14の後、または、取得部33aが第2センサー22の出力を取得していない場合(S12:NO)、処理装置33は、図3のステップS20に移行する。
【0056】
図5は、第1実施形態に係る表示方法におけるコンテンツの決定処理のフローチャートである。前述の図3のステップS20では、図5に示すように、まず、決定部33bが第1時刻t1の有無を判断する。この判断は、例えば、記憶装置32に第1時刻t1が記憶されているか否かにより行われる。第1時刻t1がある場合(S21:YES)、ステップS23において、決定部33bが画像GのコンテンツとしてコンテンツC1を決定する。コンテンツC1は、人H_1に対して注意喚起を行う表示であり、人H_1が見やすい向きに設定される。コンテンツC1の具体例については、後に図6に基づいて説明する。
【0057】
第1時刻t1がない場合(S21:NO)、ステップS22において、決定部33bが第2時刻t2の有無を判断する。この判断は、例えば、記憶装置32に第2時刻t2が記憶されているか否かにより行われる。第2時刻t2がある場合(S22:YES)、ステップS24において、決定部33bが画像GのコンテンツとしてコンテンツC2を決定する。コンテンツC2は、人H_2に対して注意喚起を行う表示であり、人H_2が見やすい向きに設定される。コンテンツC2の具体例については、後に図6に基づいて説明する。
【0058】
前述のステップS23、S24の後、または、第1時刻t1および第2時刻t2の両方がない場合(S22:NO)、処理装置33は、前述の図3のステップS30に移行する。
【0059】
図6は、表示に用いるコンテンツを説明するための図である。図6では、コンテンツ情報D1に含まれる画像情報の示すコンテンツC1、C2の具体例が示される。
【0060】
図6に示すように、コンテンツC1は、人H_1に対してスロープSLによる段差に注意するように促す表示である。図6に示す例では、コンテンツC1がコンテンツC1_a、C1_bを含む。コンテンツC1_aは、文字により、人H_1に対してスロープSLによる段差に注意するように促す表示である。コンテンツC1_bは、文字だけでなくピクトグラムにより、人H_1に対してスロープSLによる段差に注意するように促す表示である。前述の図3のステップS30でコンテンツC1を表示する場合、コンテンツC1の向きを移動方向DR1の進行方向手前に画像の下端、進行方向奥に画像の上端が配置される向きとし、コンテンツC1_a、コンテンツC1_bの順に、これらが表示される。これにより、移動方向DR1でスロープSLに近づく人H_1に対してコンテンツC1の文字が正面から読めるように表示される。
【0061】
コンテンツC2は、人H_2に対して階段STによる段差に注意するように促す表示である。図6に示す例では、コンテンツC2がコンテンツC2_a、C2_bを含む。コンテンツC2_aは、文字により、人H_2に対して階段STによる段差に注意するように促す表示である。コンテンツC2_bは、ピクトグラムにより、人H_2に対して階段STによる段差に注意するように促す表示である。前述の図3のステップS30でコンテンツC2を表示する場合、コンテンツC2の向きを移動方向DR2の進行方向手前に画像の下端、進行方向奥に画像の上端が配置される向きとし、コンテンツC2_a、コンテンツC2_bの順に、これらが表示される。これにより、移動方向DR2でスロープSLに近づく人H_2に対してコンテンツC2の文字が正面から読めるように表示される。
【0062】
なお、コンテンツC1、C2は、図6に示す例に限定されず、任意である。また、コンテンツC1、C2のそれぞれは、1種のコンテンツであってもよいし、3種以上のコンテンツを順次切り替える複数のコンテンツであってもよいし、動画であってもよい。
【0063】
図7は、第1実施形態に係る表示方法におけるコンテンツの表示処理のフローチャートである。前述の図3に示すステップS30では、図7に示すように、まず、ステップS31において、表示制御部33cが、前述の決定部33bで決定された向きのコンテンツを画像Gとして表示装置10に表示させる。この表示は、第1時刻t1または第2時刻t2から所定時間tdを経過したタイミングで開始される。所定時間tdは、前述の距離d1、d2に応じて適宜に決められる。
【0064】
次に、ステップS32において、表示制御部33cは、センサー20の出力に基づいて、人Hが第1位置P1と第2位置P2との間の領域への通過を完了したか否かを判断する。この判断は、前述の図3のステップS10で第1センサー21の出力を取得した場合、第2センサー22の出力が変化したか否かにより行われ、一方、前述の図3のステップS10で第2センサー22の出力を取得した場合、第1センサー21の出力が変化したか否かにより行われる。
【0065】
センサー20の出力がさらに取得されない場合(S32:NO)、ステップS33において、表示制御部33cは、所定時間Tthにわたる無効時間を経過したか否かを判断する。当該無効時間を経過していない場合(S33:NO)、表示制御部33cは、前述のステップS32に戻る。このため、当該無効時間を経過するか、または、センサー20の出力がさらに取得されるまでの期間では、ステップS31による画像Gの表示が中断されることはない。
【0066】
一方、当該無効時間を経過した場合(S33:YES)、または、センサー20の出力がさらに取得された場合(S32:YES)、処理装置33は、前述の図3のステップS40に移行する。このとき、記憶装置32に記憶される第1時刻t1または第2時刻t2が廃棄される。
【0067】
図8は、第1実施形態に係る表示方法による表示タイミングの一例を説明するための図である。図8中、横軸が時刻であり、縦軸が位置であり、人H_A、人H_Bおよび人H_Cのそれぞれの位置および時刻との関係が示される。ここで、人H_Aおよび人H_Bのそれぞれは、第1位置P1から表示位置PDを経由して第2位置P2に向かって移動する人Hである。ただし、人H_Aが第1位置P1を通過する第1時刻t1_Aは、人H_Bが第1位置P1を通過する第1時刻t1_Bよりも前である。第1時刻t1_Bは、第1時刻t1_Aから所定時間Tthを経過する前である。また、人H_Cは、第2位置P2から表示位置PDを経由して第1位置P1に向かって移動する人Hである。ただし、人H_Cが第2位置P2を通過する第2時刻t2_Cは、第1時刻t1_Aから所定時間Tthを経過した後である。なお、図8では、人H_Aに対応する要素の符号には、「_A」が付加され、人H_Cに対応する要素の符号には、「_C」が付加される。
【0068】
図8に示すように、人H_Aが第1位置P1を第1時刻t1_Aに通過すると、第1時刻t1_Aから所定時間tdの経過時に画像Gの表示が開始される。ここで、第1時刻t1_Aから、人H_Aが第2位置P2を通過する第2時刻t2_Aまでの期間中は、人H_Bが第1位置P1を通過しても、その通過に起因する画像Gの表示は行われず、人H_Aが第1位置P1を通過したことに起因する画像Gの表示が中断されることはない。また、仮に人H_Aが第1位置P1を通過後に、第2位置P2まで行かずに引き返した場合でも、所定時間Tthが経過すると、第1位置P1または第2位置P2への人Hの通過による画像Gの新たな表示が許可される。
【0069】
第1時刻t1_Aから所定時間Tthを経過した後、もしくは、人H_Aが第2位置P2を通過する第2時刻t2_Aの後は、第1位置P1または第2位置P2への人Hの通過による画像Gの新たな表示が許可される。図8に示す例では、人H_Aが第2位置P2を通過する第2時刻t2_Aの後、人H_Cが第2位置P2を第2時刻t2_Cに通過すると、第2時刻t2_Cから所定時間tdの経過時に画像Gの表示が開始される。ここで、第2時刻t2_Cから人H_Cが第1位置P1を通過する第1時刻t1_Cまでの期間中は、他の人Hが第2位置P2を通過しても、その通過に起因する画像Gの表示は行われず、人H_Cが第2位置P2を通過したことに起因する画像Gの表示が中断されることはない。
【0070】
以上のように、第1実施形態に係る表示方法は、ステップS10とステップS20とステップS30とを含む。ステップS10は、センサー20を用いて、表示装置10がコンテンツに基づく画像Gを表示する表示位置PDに向かう人Hの移動方向に応じた出力を取得する。ステップS20は、人Hの移動方向に応じた出力に基づいて、注意喚起に用いる画像Gの向きを決定する。ステップS30は、表示装置10を用いて、表示位置PDに画像Gを当該向きで表示する。
【0071】
以上の表示方法では、注意喚起に用いる画像Gの向きが表示位置PDへの人Hの移動方向DR1または移動方向DR2に基づいて決定されるので、人Hに対して適切な向きで画像Gを表示することができる。
【0072】
また、前述のように、ステップS20は、人Hの移動方向に応じた出力に基づいて、画像Gを決定することを含む。このため、人Hに対して適切な内容の画像Gを表示することができる。
【0073】
さらに、前述のように、センサー20は、第1位置P1を人Hが通過したことを検出したことを示す第1信号を出力する第1センサー21と、第1位置P1とは異なる第2位置P2を人Hが通過したことを検出したことを示す第2信号を出力する第2センサー22と、を含む。表示位置PDは、第1位置P1と第2位置P2との間に配置される。そして、ステップS20は、前述のステップS21からステップS24を含む。ステップS21、S22は、第1センサー21の第1信号を取得した場合、画像Gの向きを「第1向き」の一例として移動方向DR1の向きとする。ステップS23、S24は、第2センサー22の第2信号を取得した場合、画像Gの向きを「第1向きとは異なる第2向き」の一例として移動方向DR2の向きとする。
【0074】
このように、第1センサー21および第2センサー22を用いることにより、第1センサー21および第2センサー22のうちのいずれかの出力を取得したことに基づいて、コンテンツの向きを適切に決定することができる。また、センサー20として撮像装置を用いる場合に比べて、センサー20の構成が簡単で済み、かつ、移動方向に応じた出力を得るための画像処理が不要であるため、移動方向に応じた出力の取得が迅速かつ正確であるとともに、制御装置30の構成も簡単に済むという利点がある。
【0075】
以上の表示方法は、前述のように、表示システム1を用いて行われる。表示システム1は、表示装置10と、表示装置10の表示位置PDに向かう人Hの移動方向に応じて出力するセンサー20と、当該移動方向に応じた出力に基づいて、表示装置10の動作を制御する制御装置30と、を備える。そして、制御装置30は、前述のステップS10とステップS20とステップS30とを実行する。
【0076】
2.第2実施形態
以下、第2実施形態について説明する。第1実施形態と共通する構成には、当該構成と同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、以下では、前述の第1実施形態と相違する事項を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0077】
図9は、第2実施形態に係る表示システム1Aの概略図である。表示システム1Aは、センサー20に代えてセンサー20Aを備えるとともに制御装置30に代えて制御装置30Aを備えること以外は、前述の第1実施形態の表示システム1と同様に構成される。
【0078】
センサー20Aは、第3センサー23および第4センサー24を追加したこと以外は、第1実施形態のセンサー20と同様に構成される。第3センサー23および第4センサー24のそれぞれは、第1センサー21または第2センサー22と同様、光電センサー等のセンサーであり、通路ALの左右の1対の壁のうちの一方の壁に取り付けられる。
【0079】
ここで、第3センサー23は、第1位置P1と階段STとの間の第3位置P3に配置される。第4センサー24は、第2位置P2よりも図9中の右方に位置する第4位置P4に配置される。したがって、第2位置P2は、スロープSLと第4位置P4との間の位置である。
【0080】
図9に示す例では、当該1対の壁のうちの他方の壁には、第3センサー23に対向するように反射体MR3が設けられるとともに、第4センサー24に対向するように反射体MR4が設けられる。反射体MR3、MR4のそれぞれは、コーナーキューブアレイ等の光反射性を有する構造体である。反射体MR3は、第3センサー23の発光素子からの光を第3センサー23の受光素子に向けて反射する。同様に、反射体MR4は、第4センサー24の発光素子からの光を第4センサー24の受光素子に向けて反射する。このような第3センサー23は、例えば、第3位置P3に物体が存在しない場合、ハイレベルの信号を出力し、第3位置P3に物体が存在する場合、ローレベルの信号を出力する。第3位置P3に物体が存在する場合に出力されるローレベルの信号は第3信号に相当する。同様に、第4センサー24は、例えば、第4位置P4に物体が存在しない場合、ハイレベルの信号を出力し、第4位置P4に物体が存在する場合、ローレベルの信号を出力する。第4位置P4に物体が存在する場合に出力されるローレベルの信号は第4信号に相当する。
【0081】
以上のようなセンサー20Aでは、人H_1が第3位置P3から第1位置P1へ移動した場合、第3センサー23が人H_1の通過を検出したタイミングと、第1センサー21が人H_1の通過を検出したタイミングと、の時間差に基づいて、表示位置PDに向かう人H_1の移動速度を求めることができる。同様に、人H_2が第4位置P4から第2位置P2へ移動した場合、第4センサー24が人H_2の通過を検出したタイミングと、第2センサー22が人H_2の通過を検出したタイミングと、の時間差に基づいて、表示位置PDに向かう人H_2の移動速度を求めることができる。
【0082】
制御装置30Aは、人Hの移動速度に基づいて、画像Gの表示タイミングを決定し、その決定したタイミングで画像Gを表示する機能を追加したこと以外は、第1実施形態の制御装置30と同様に構成される。
【0083】
制御装置30Aは、センサー20Aを用いて、表示位置PDに向かう人H_1または人H_2の移動速度に応じた出力を取得する。
【0084】
より具体的には、制御装置30Aは、人H_1の移動速度に応じた出力を取得する場合、第1センサー21および第3センサー23の出力を取得し、第1センサー21の出力を取得した第1時刻t1と第3センサー23の出力を取得した第3時刻t3との時間差ts1を算出する。そして、制御装置30Aは、第1時刻t1、第3時刻t3および時間差ts1のそれぞれの情報を記憶装置32に記憶させる。
【0085】
ここで、第1時刻t1は、人Hが第1位置P1を通過した時刻である。第3時刻t3は、人Hが第3位置P3を通過した時刻である。時間差ts1は、人H_1が第3位置P3から第1位置P1へ移動した時間長である。第1位置P1と第3位置P3との間の距離ds1が固定であることから、時間差ts1は、第3位置P3から第1位置P1への人Hの移動速度s1に応じて変化する。移動速度s1は、s1=ds1/(t1-t3)の関係を用いて、算出される。
【0086】
同様に、制御装置30Aは、人H_2の移動速度に応じた出力を取得する場合、第2センサー22および第4センサー24の出力を取得し、第2センサー22の出力を取得した第2時刻t2と第4センサー24の出力を取得した第4時刻t4との時間差ts2を算出する。そして、制御装置30Aは、第2時刻t2、第4時刻t4および時間差ts2のそれぞれの情報を記憶装置32に記憶させる。
【0087】
ここで、第2時刻t2は、人Hが第2位置P2を通過した時刻である。第4時刻t4は、人Hが第4位置P4を通過した時刻である。時間差ts2は、人H_2が第4位置P4から第2位置P2へ移動した時間長である。第2位置P2と第4位置P4との間の距離ds2が固定であることから、時間差ts2は、第4位置P4から第2位置P2への人Hの移動速度s2に応じて変化する。移動速度s2は、s2=ds2/(t2-t4)の関係を用いて、算出される。
【0088】
また、制御装置30Aは、センサー20Aからの出力に基づいて、注意喚起に用いるコンテンツと、当該コンテンツを画像Gとして表示するタイミングと、を決定する。より具体的には、制御装置30Aは、センサー20Aからの出力に基づいて、時間差ts1または時間差ts2に応じたコンテンツおよびタイミングを決定する。
【0089】
さらに、制御装置30Aは、表示装置10を用いて、決定したコンテンツを画像Gとして、決定したタイミングで表示位置PDに表示する。
【0090】
図10は、第2実施形態に係る表示方法のフローチャートである。本実施形態の表示方法は、ステップS30に代えてステップS30Aを含むとともにステップS50を追加したこと以外は、前述の第1実施形態の表示方法と同様である。
【0091】
本実施形態では、ステップS20の後、ステップS50において、制御装置30Aが、画像Gの表示タイミングを決定する。この決定は、前述のように、時間差ts1または時間差ts2に基づいて行われる。
【0092】
その後、ステップS30Aにおいて、制御装置30Aが画像Gを表示装置10に表示させる。この表示は、ステップS50で決定した表示タイミングで行われる。ステップS30Aの後、制御装置30Aは、ステップS40に移行する。
【0093】
図11は、第2実施形態に係る表示方法におけるコンテンツの表示処理のフローチャートである。前述の図10に示すステップS30Aは、図11に示すように、ステップS34を追加したこと以外は、第1実施形態のステップS30と同様である。
【0094】
前述の図10に示すステップS30Aでは、まず、ステップS34において、制御装置30Aは、図10のステップS50で決定した表示タイミングに達したか否かを判断する。この判断は、当該表示タイミングに達するまで行われ、当該表示タイミングに達した場合(S34:YES)、制御装置30Aは、ステップS31に移行する。このため、ステップS50で決定した表示タイミングで、画像Gが表示される。
【0095】
以上の第2実施形態によっても、表示位置PDに向かう人Hに対して適切な向きで画像Gを表示することができる。本実施形態の表示方法は、前述のように、ステップS50をさらに含む。ステップS50は、表示位置PDに向かう人Hの移動速度に基づいて、画像Gを表示するタイミングを決定する。ここで、ステップS10は、当該移動速度に応じた出力を取得することを含んでおり、前述のステップS30Aは、表示装置10を用いて、決定した画像Gを、決定したタイミングで表示することを含む。このため、人Hに対して適切なタイミングで画像Gを表示することができる。
【0096】
本実施形態では、前述のように、センサー20Aは、第1センサー21および第2センサー22のほか、第3センサー23および第4センサー24を含む。第3センサー23は、第1位置P1および第2位置P2とは異なる第3位置P3を人Hが通過したことを検出したことを示す第3信号を出力する。第4センサー24は、第1位置P1、第2位置P2および第3位置P3とは異なる第4位置P4を人Hが通過したことを検出したことを示す第4信号を出力する。ここで、第1位置P1は、第3位置P3と表示位置PDとの間に位置する。第2位置P2は、第4位置P4と表示位置PDとの間に位置する。このように、各センサーの出力を取得した時間差を用いることにより、注意喚起に用いるコンテンツの表示タイミングを適切に決定することができる。また、センサー20Aとして撮像装置を用いる場合に比べて、センサー20Aの構成が簡単で済み、かつ、人Hの移動速度に応じた出力を得るための画像処理が不要であるため、当該移動速度に応じた出力の取得が迅速かつ正確であるとともに、制御装置30Aの構成も簡単に済むという利点がある。
【0097】
3.変形例
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
3-1.変形例1
前述の各形態では、センサー20またはセンサー20Aが第1センサー21および第2センサー22を有する構成が例示されるが、当該構成に限定されず、センサー20またはセンサー20Aは、表示位置PDに向かう人Hの移動方向に応じて出力するセンサーであればよく、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーまたはCMOS(Complementary MOS)イメージセンサー等の撮像素子を有する構成であってもよい。この場合、例えば、当該撮像素子が第1位置P1および第2位置P2を包含する領域を撮像し、当該撮像素子の撮像画像に対する画像処理により、表示位置PDに向かう人Hが検出され、その検出結果がセンサー20またはセンサー20Aから出力される。
【0098】
3-2.変形例2
前述の各形態では、表示装置が投射装置である構成が例示されるが、当該構成に限定されず、表示装置は、例えば、液晶表示パネル、有機EL(electro- luminescence)パネル等を表示面とする装置でもよい。
【符号の説明】
【0099】
1…表示システム、1A…表示システム、10…表示装置、11…投射装置、12…記憶装置、13…再生装置、20…センサー、20A…センサー、21…第1センサー、22…第2センサー、23…第3センサー、24…第4センサー、30…制御装置、30A…制御装置、31…通信装置、32…記憶装置、33…処理装置、33a…取得部、33b…決定部、33c…表示制御部、AL…通路、C1…コンテンツ、C1_a…コンテンツ、C1_b…コンテンツ、C2…コンテンツ、C2_a…コンテンツ、C2_b…コンテンツ、D1…コンテンツ情報、D2…プレイリスト情報、DR1…移動方向、DR2…移動方向、FF…床面、G…画像、H…人、H_1…人、H_2…人、H_A…人、H_B…人、H_C…人、MR1…反射体、MR2…反射体、MR3…反射体、MR4…反射体、P1…第1位置、P2…第2位置、P3…第3位置、P4…第4位置、PD…表示位置、PG…プログラム、S1…ステップ、S10…ステップ、S11…ステップ、S12…ステップ、S13…ステップ、S14…ステップ、S20…ステップ、S21…ステップ、S22…ステップ、S23…ステップ、S24…ステップ、S3…ステップ、S30…ステップ、S30A…ステップ、S31…ステップ、S32…ステップ、S33…ステップ、S34…ステップ、S40…ステップ、S50…ステップ、SL…スロープ、ST…階段、Tth…所定時間、d1…距離、d2…距離、ds1…距離、ds2…距離、t1…第1時刻、t1_A…第1時刻、t1_B…第1時刻、t1_C…第1時刻、t2…第2時刻、t2_C…第2時刻、t3…第3時刻、t4…第4時刻、td…所定時間。
図1
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