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  • 特開-燃焼装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172550
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/04 20220101AFI20231129BHJP
【FI】
F24H3/04 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084449
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】桑原 雄大
(72)【発明者】
【氏名】霜鳥 敏之
【テーマコード(参考)】
3L028
【Fターム(参考)】
3L028AA01
3L028AC01
(57)【要約】
【課題】商用電源以外の電源を使用する際に電源品質の相違に起因した風量のズレによる燃焼性能の悪化が生じる恐れがあった。
【解決手段】外枠をなす本体1と、本体1内に配置され、気化した燃油を燃焼させるバーナ部2と、本体1内に配置され、本体1の外部から取り入れた空気を、バーナ部2、またはバーナ部2の燃焼による燃焼ガスと熱交換させて本体1の外部、の少なくとも一方に供給するファン10、14と、ファン10、14を回転させ、位相制御されるACモータと、設定温度を設定する温度設定部17aと、室温を検知する室温検知手段18と、設定された設定温度と検知された室温との差に基づいてバーナ部2の火力を制御する制御部20と、を備え、制御部20は、入力電源の電源波形が所定の品質以下であることを判断したら、燃焼を禁止するため、燃焼状態を損ねた状態で運転を継続することが無い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠をなす本体と、
前記本体内に配置されており、気化した燃油を燃焼させるバーナ部と、
前記本体内に配置されており、
前記本体の外部から取り入れた空気を、前記バーナ部、または前記バーナ部の燃焼による燃焼ガスと熱交換させて前記本体の外部、の少なくとも一方に供給するファンと、
前記ファンを回転させ、位相制御されるACモータと、
設定温度を設定する温度設定部と、
室温を検知する室温検知手段と、
設定された前記設定温度と検知された室温との差に基づいて前記バーナ部の火力を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、入力電源の電源波形の品質を判断可能な判断部を有し、前記制御部は、前記判断部が、前記入力電源の前記電源波形が所定の品質以下であることを判断したら、燃焼を禁止することを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記入力電源の交流波形の品質を判断する際に、前記入力電源の電圧の変動幅が所定値未満の状態を継続する継続時間を計測し、前記判断部は、該継続時間が所定値よりも大きい場合に前記入力電源の交流波形が所定の品質以下であることを判断することを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記入力電源の電圧が所定のゼロクロス範囲内である時に前記制御部にゼロクロス信号を出力するゼロクロス検出回路と、
前記制御部は、前記ゼロクロス信号の継続時間を計時するゼロクロス計時部と、を備え、
前記判断部は、前記入力電源の交流波形の品質を判断する際に、前記ゼロクロス計時部の計時した前記ゼロクロス信号の前記継続時間が所定値以上の場合に前記入力電源の交流波形が所定の品質以下であることを判断することを特徴とする請求項2に記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油ファンヒータ等の燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、石油等の燃料の燃焼による排気ガスと室内空気とを熱交換して暖房を行う温風暖房機に関するものである。
【0003】
従来この種のものでは、ファンを用いて本体の外部から空気を燃焼部に給気すると共に燃焼部に燃料を供給して燃焼させ、本体の外部から取り入れた空気を燃焼ガスと熱交換させて本体の外部に放出させることで室内の暖房を行うものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-008179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、商用電源以外の電源を使用する際に電源品質の相違に起因した風量のズレによる燃焼性能の悪化が生じる恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1では、外枠をなす本体と、前記本体内に配置されており、気化した燃油を燃焼させるバーナ部と、前記本体内に配置されており、前記本体の外部から取り入れた空気を、前記バーナ部、または前記バーナ部の燃焼による燃焼ガスと熱交換させて前記本体の外部、の少なくとも一方に供給するファンと、前記ファンを回転させ、位相制御されるACモータと、設定温度を設定する温度設定部と、室温を検知する室温検知手段と、設定された前記設定温度と検知された室温との差に基づいて前記バーナ部の火力を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、入力電源の電源波形の品質を判断可能な判断部を有し、前記制御部は、前記判断部が、前記入力電源の前記電源波形が所定の品質以下であることを判断したら、燃焼を禁止することを特徴としている。
【0007】
また、本発明の請求項2では、前記判断部は、前記入力電源の交流波形の品質を判断する際に、前記入力電源の電圧の変動幅が所定値未満の状態を継続する継続時間を計測し、前記判断部は、該継続時間が所定値よりも大きい場合に前記入力電源の交流波形が所定の品質以下であることを判断することを特徴としている。
【0008】
また、本発明の請求項3では、前記入力電源の電圧が所定のゼロクロス範囲内である時に前記制御部にゼロクロス信号を出力するゼロクロス検出回路と、前記制御部は、前記ゼロクロス信号の継続時間を計時するゼロクロス計時部と、を備え、前記判断部は、前記入力電源の交流波形の品質を判断する際に、前記ゼロクロス計時部の計時した前記ゼロクロス信号の前記継続時間が所定値以上の場合に前記入力電源の交流波形が所定の品質以下であることを判断することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、燃焼性能の悪化が生じた状態で、燃焼が継続されないため、安全に運転可能な暖房装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る暖房装置を示す概略断面図である。
図2】暖房装置の制御構成を示す概略ブロック図である。
図3】商用電源波形とゼロクロス信号波形を示す図である。
図4】修正正弦波の電源波形とゼロクロス信号波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る暖房装置100を示す概略断面図である。
図1に示すように、暖房装置100は、外枠をなす本体1と、本体1内に配置されており、気化した燃油を燃焼させるバーナ部2とを備えている。バーナ部2は、燃油を気化させる気化器3と、気化器3の上部に配設され、気化した燃油を燃焼させる燃焼部としてのバーナヘッド4とを有している。
【0013】
気化器3は、有底筒状を呈している。気化器3の側壁部あるいは底部には、気化器3を加熱するヒータ5が例えば鋳込まれることによって配置されている。バーナヘッド4の周囲には、燃焼熱を気化器3へ回収する熱回収リング22が設けられている。
【0014】
また、暖房装置100は、燃料パイプ6を介して燃料タンク7内の燃油を気化器3に供給する電磁ポンプ8と、空気通路9を介して燃焼用空気を気化器3に供給する燃焼ファン10とを備えている。
【0015】
バーナヘッド4の側壁部には、多数の炎孔11が形成されている。バーナヘッド4の外周面の近傍には、点火手段としての点火プラグ12と、炎検知手段13とが配置されている。点火プラグ12は、炎孔11から噴出する気化した燃油と燃焼用空気とが混合した混合気に高圧放電によって点火する。炎検知手段13は、炎の有無および燃焼状態を検知して信号を出力するものであり、フレームロッドとも呼ばれている。
【0016】
また、本体1内には、本体1の外部から取り入れた空気をバーナ部2の燃焼による燃焼ガスと熱交換させて本体1の外部に放出させる対流ファン14が配置されている。対流ファン14の作動によって、本体1の背面に設けられた空気取入口15から取り入れた外部の空気が、加熱されることで温風となって、本体1の前面に設けられた温風吹出口16から室内へ吹き出される。
【0017】
図2は、暖房装置100の制御構成を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、暖房装置100は、操作部17、室温検知手段18、気化器温度検知手段19、および制御部20を備えている。操作部17は、ユーザの操作を受け付ける。操作部17は、温度設定部17a、運転スイッチ17b、エコスイッチ17c等の各種スイッチやボタンを有している。温度設定部17aは、ユーザの操作に基づいて設定温度を設定するものである。運転スイッチ17bは、暖房運転の開始および停止を指示するものである。エコスイッチ17cは、省エネ運転の開始および停止を指示するものである。また、室温検知手段18は、暖房装置100が置かれている室内の温度である室温を検知する。気化器温度検知手段19は、気化器3の温度を検知する。
【0018】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを備えており、暖房装置100の運転を統括制御する。制御部20による各種の制御は、記憶手段21に予め記憶されたプログラムをメモリに読み出してCPUが実行することで実現される。
【0019】
例えば、制御部20は、温度設定部17aにおいて設定された設定温度と、室温検知手段18によって検知された室温との差に基づいて、バーナ部2の火力を制御する。火力は、電磁ポンプ8による燃油の供給量、および燃焼ファン10の回転速度を変更することで調整されるようになっている。ここで、燃油の供給量に応じた適切な燃焼用空気の供給量が決まっており、記憶手段21には、火力のレベル毎に、電磁ポンプ8による燃油の供給量および燃焼ファン10の回転速度が記憶されている。
【0020】
燃焼ファン10と対流ファン14とは電源の交流波形を入力して回転するACモータで回転し、制御部20は、位相制御を行うことで燃焼ファン10と対流ファン14とを回転数制御している。制御部20は、入力電源の電圧が所定のゼロクロス範囲内である時に制御部20にゼロクロス信号を出力するゼロクロス検出回路23と、前記ゼロクロス信号の継続時間を計時するゼロクロス計時部24と、を有する。
【0021】
図3は、暖房装置100が商用電源で動作する際の電源波形とゼロクロス波形を示す図である。制御部20は、燃焼ファン10と対流ファン14とを位相制御する際に、目標回転数と現在の回転数との差や燃焼レベルに応じて位相制御値を算出する。制御部20は、ゼロクロス信号の立ち上がりを元に位相制御値に応じた所定時間後にモータへの通電を開始し、電源電圧が0Vになるまで通電を継続する。これにより燃焼ファン10と対流ファン14とを回転数制御することが可能となっている。
【0022】
図4は、暖房装置100が修正正弦波で動作する際の電源波形とゼロクロス波形を示す図である。制御部20は、燃焼ファン10と対流ファン14とを位相制御する際に、目標回転数と現在の回転数との差や燃焼レベルに応じて位相制御値を算出する。制御部20は、ゼロクロス信号の立ち上がりを元に位相制御値に応じた所定時間後にモータへの通電を開始し、電源電圧が0Vになるまで通電を継続する。
【0023】
しかしながら、電源波形が修正正弦波の場合には、通電開始信号が電源波形の0Vのタイミングで出力された際に即時通電が停止されるため、回転数が低下したり、停止するなど所望の回転数が得られない場合がある。また、通電開始信号が電源波形の0Vでないタイミングで出力された場合であっても、商用電源で動作する際の電圧と比較して異なる電圧が入力される場合があり、回転数が上昇したり低下するなど所望の回転数が得られない場合がある。さらに、燃焼ファン10と対流ファン14との所望の回転数が得られない場合には、空燃比のズレが生じ、不完全燃焼や失火が生じる恐れがある。
【0024】
次に、本実施形態の入力電源の交流波形の品質を判断する方法について、説明する。
暖房装置100に用いる電源が、商用電源の場合、正弦波が入力され、入力電源の電圧が所定のゼロクロス範囲内である時に制御部20にゼロクロス信号を出力するゼロクロス検出回路23を有する。この、ゼロクロス検出回路23から出力されるゼロクロス信号の継続時間を計時するゼロクロス計時部24が計時する信号のHi側の継続時間は、所定時間より短くなる。次に、暖房装置100に用いる電源が、修正正弦波の電源の場合、修正正弦波が入力され、入力電源の電圧が所定のゼロクロス範囲内である時に制御部20にゼロクロス信号を出力するゼロクロス検出回路23を有する。この、ゼロクロス検出回路23から出力されるゼロクロス信号の継続時間を計時するゼロクロス計時部24が計時する信号のHi側の継続時間は、所定時間より長くなる。
【0025】
この、ゼロクロス計時部24が計時するゼロクロス信号のHi側の継続時間は、電源波形の種類によって差が生じている。これを利用して、制御部20に備えた判断部26は、ゼロクロス計時部24のゼロクロス信号の継続時間が所定時間より短い場合、図3に示す商用電源の電源波形と推定する。制御部20は、判断部26が暖房装置100に用いる電源が商用電源の電源波形と推定すると暖房装置100の動作を継続する。一方、判断部26は、ゼロクロス計時部24のゼロクロス信号の継続時間が所定時間より長い場合、例えば図4に示すような修正正弦波の電源波形と推定する。制御部20は、判断部26が暖房装置100に用いる電源が修正正弦波の電源波形と推定すると暖房装置100の動作を停止する。また、この際、例えば、制御部20は、表示や音声等によってユーザに動作不可状態を報知する。
【0026】
これにより、制御部20は、暖房装置100に用いる電源が、燃焼ファン10と対流ファン14との所望の回転数が得られない、修正正弦波の電源と推定された際には、動作を停止するため、空燃比のズレが生じ、不完全燃焼や失火が生じる恐れが無い。
【0027】
また、制御部20は、交流波形の品質を判断するのに、位相制御するACモータを備える場合に一般的に実装されているゼロクロス回路を用いるので、低コストに品質判断を行うことができる。
【0028】
また、前記した実施形態では、暖房装置100はゼロクロス検出回路23とゼロクロス計時部24を用いて、商用電源と修正正弦波の電源とを推定する方法について説明した。これによらず、暖房装置100は電源の電圧を検出する電源電圧検出手段と、電源電圧の値の変動幅が所定値未満の状態が継続される時間を計時する計時手段を有するものでも良い。この、計時手段が計時する継続時間に応じて位相制御されるモータが所望の回転数が得られない場合に、暖房装置100の動作を停止しても良い。
【符号の説明】
【0029】
1 本体
2 バーナ部
10 燃焼ファン
14 対流ファン
17a 温度設定部
18 室温検知手段
20 制御部
26 判断部
図1
図2
図3
図4