(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172551
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】2価鉄イオン生成体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C02F 3/00 20230101AFI20231129BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20231129BHJP
B01J 2/28 20060101ALI20231129BHJP
B01J 20/10 20060101ALI20231129BHJP
B01J 20/14 20060101ALI20231129BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
C02F3/00 D
B01J2/00 A
B01J2/28
B01J20/10 D
B01J20/14
B01J20/20 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084450
(22)【出願日】2022-05-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】593035696
【氏名又は名称】杉本 幹生
(71)【出願人】
【識別番号】303056140
【氏名又は名称】杉本 至健
(71)【出願人】
【識別番号】522204843
【氏名又は名称】杉本 健斗
(71)【出願人】
【識別番号】303056151
【氏名又は名称】杉本 慧子
(74)【代理人】
【識別番号】593035696
【氏名又は名称】杉本 幹生
(72)【発明者】
【氏名】杉本 幹生
【テーマコード(参考)】
4D027
4G004
4G066
【Fターム(参考)】
4D027CA00
4G004AA00
4G004NA01
4G066AA04B
4G066AA22B
4G066AA70B
4G066AC07A
4G066BA09
4G066CA43
4G066DA03
(57)【要約】
【課題】 2価鉄イオンの生成量を大幅に増大させ、かつ、製造された2価鉄イオン生成体を保管し、水中に置くまでは乾燥的吸湿機能を維持し、水中に置いた後は従来の同種で上市資材よりも2価鉄イオンを生成溶出+水中にケイ素成分の供給源となる2価鉄イオン生成体の製造方法及び2価鉄イオン生成体を提供すること。
【解決手段】 粉状または粒状の未酸化鉄材と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーを加え混合して密接させ固着し多数の小塊を成型する第1工程と、前記した多数の小塊の水分・湿気を素早く乾燥的に除去する吸湿材粉粒を加え混合した後、加圧して成型し造粒,造塊する第2工程とから成る2価鉄イオン生成体の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉状又は粒状の未酸化鉄材と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーを加え混合して密接させ固め多数の小塊を成型する第1工程と、前記多数の小塊に水分・湿気を素早く乾燥的に除去する吸湿材粉粒を加え混合した後に加圧して成型し造粒,造塊にする第2工程とから成ることを特徴とする2価鉄イオン生成体を成型する方法。
【請求項2】
粉状又は粒状の未酸化鉄と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーを加えて混合し密接させ固め多数の小塊を成型する第1工程と、前記多数の小塊に水分・湿気を素早く乾燥的に除去する除湿粉粒材と湿気的水分を加え、これに少量のセメント系接着剤を添加し混合してから加圧成型して造粒,造塊する第2工程とから成ることを特徴とする2価鉄イオン生成体を成型する方法。
【請求項3】
粉状又は粒状の未酸化鉄と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーを加えて混合し密接に固め多数の小塊を成型する第1工程の後、前記多数の小塊に水分・湿気を素早く乾燥的に除去する除湿材粉粒材を加え、さらに少量のセメント系接着剤と湿気的水分を与え混合の後、放置固化する第2工程から成ることを特徴とする2価鉄イオン生成体を成型する方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の2価鉄イオン生成体の製造方法において、
前記水溶性バインダーとして、水溶性のデンプン糊が用いられていることを特徴とする2価鉄イオン生成体を成型する方法。
【請求項5】
粉状又は粒状の未酸化鉄と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーを加えて混合し密接に固めて成型され、これに乾燥目的の吸湿材粉粒を加えて前記水溶性バインダーに含まれる水分・湿気を除去され、鉄粉粒と炭素粉粒の密着を加圧成型で強固に加圧し造塊,造粒されていることを特徴とする2価鉄イオン生成体。
【請求項6】
粉状又は粒状の未酸化鉄と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーと共に混合して密接に固め成型された多数の小塊に乾燥目的の吸湿粉粒と少量のセメント系接着剤と湿気的水分を添加し混合加圧成型して造塊,造粒されていることを特徴とする2価鉄イオン生成体。
【請求項7】
粉状又は粒状の未酸化鉄と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーと共に混合し密接に固めて成型された多数の小塊に乾燥目的の吸湿粉粒を加えて混合し、さらに少量のセメント系接着剤と湿気的水分を添加し混合して放置し固化させることを特徴とする2価鉄イオン生成体。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項に記載の2価鉄イオン生成体において、
前記水溶性バインダーとして、水溶性のデンプン糊が用いられていることを特徴とする2価鉄イオン生成体。
【請求項9】
請求項9記載の2価鉄イオン生成体を成型する方法及び2価鉄イオン生成体は、請求項1~3のいずれか1項に記載の2価鉄イオン生成体の製造方法及び請求項5~7のいずれか1項に記載の2価鉄イオン生成体において、
前記吸湿粉粒材は、シリカゲル粉粒,多孔質の珪藻土粉粒,ケイ素成分が多量に含まれるくん炭化物(素材:竹類,籾殻,茅・黍類,その他草木,椰子殻等々)のいずれかを用いることを特徴とする2価鉄イオン生成体の製造方法及び2価鉄イオン生成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に没する状態にすることにより水中に2価鉄イオンを生成させる2価鉄イオン生成体の製造方法及び2価鉄イオン生成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2価鉄イオン生成体として、特許文献1に記載の特許がある。
この特許は、水中に没する状態にすることにより水中に鉄イオンを発生させる鉄イオン溶出体であって、粉状又は粒状の鉄と粉状又は粒状の炭を水溶性バインダーと共に混合して固めて多数の小塊を成形し、前記多数の小塊の一部同士を非水溶性バインダーで固めて成形され、前記水中に没した状態で、前記非水溶性バインダーで固められていない前記小塊の部分が水と接する形状であり、前記水溶性バインダーは、PVA、デンプン糊、にかわ、コーン、デキストリン、芋、米のいずれかの粉であり、 前記非水溶性バインダーは、粘土、セメントのいずれかの粉であり、 前記水中に没した状態で、 前記非水溶性バインダーで固められていない前記小塊の部分の前記水溶性バインダーが、水と接触して水によって溶けるにつれて前記炭と前記鉄が次々に接触して鉄イオンを溶出可能であることを特徴とする鉄イオン溶出体である。
【特許文献1】特許第5258171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の鉄イオン溶出体は、上述のように、鉄粉粒と炭素粉粒を調合し密着固体を製造の際に加えるバインダーは水に溶けるデンプン粉を加水し溶かした状態で使うが、製造工程で使用する水分の乾燥除去に時間がかかり、空気と水分が鉄粉粒および炭素粉粒に介在(黒鉛微粉や多孔質な活性炭等々の炭素材には吸湿性がある)する時間が長くなって鉄粉粒の酸化は増し金属鉄の性状を喪失してしまう。
特に、金属鉄が微小になるほど短時間に酸化で発熱反応を起こし鉄粉粒が酸化鉄になって金属鉄としての性状を喪失するから2価鉄イオンの溶出量が性状を失った分だけ減少する致命的欠点が生じるという問題点があった。
さらに、保管時においても湿度を伴う空気と触れあい酸化は進行するという問題点があった。
【0004】
本発明の解決しようとする課題は、製造時の2価鉄イオン生成体に残る湿気.水分を素早く乾燥的除去して鉄の酸化を限りなく抑え2価鉄イオンの生成量減少をなくし、かつ、製造された2価鉄イオン生成体を保管し、水中に置いた後は2価鉄イオンを生成溶出+水中にケイ素成分の供給源となる2価鉄イオン生成体の製造方法及び2価鉄イオン生成体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため請求項1記載の2価鉄イオン生成体の製造方法は、粉状又は粒状の未酸化鉄材と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーを加え混合して密接させ固め多数の小塊を成型する第1工程と、前記多数の小塊に水分・湿気を素早く乾燥的に除去する吸湿材粉粒を加え混合した後に加圧して成型し造粒,造塊にする第2工程とから成ることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の2価鉄イオン生成体の製造方法は、粉状又は粒状の未酸化鉄と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーを加えて混合し密接させ固め多数の小塊を成型する第1工程と、前記多数の小塊に水分・湿気を素早く乾燥的に除去する除湿粉粒材を加え、これに少量のセメント系接着剤と湿気的水分を添加し混合してから加圧成型して造粒,造塊する第2工程とから成ることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の2価鉄イオン生成体の製造方法は、粉状又は粒状の未酸化鉄と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーを加えて混合し密接に固め多数の小塊を成型する第1工程の後、前記多数の小塊に水分・湿気を素早く乾燥的に除去する除湿材粉粒材を加え、さらに少量のセメント系接着剤と湿気的水分を与え混合の後、放置固化する第2工程から成ることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の2価鉄イオン生成体は、請求項1~3のいずれか1項に記載の2価鉄イオン生成体の製造方法において、
前記水溶性バインダーとして、水溶性のデンプン糊が用いられていることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の2価鉄イオン生成体は、粉状又は粒状の未酸化鉄と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーを加えて混合し密接に固着し成型され、これに乾燥目的の吸湿材粉粒を加えて前記水溶性バインダーに含まれる水分・湿気を除去され、鉄粉粒と炭素粉粒の密着を加圧成型で強固に加圧し造塊,造粒されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の2価鉄イオン生成体は、粉状又は粒状の未酸化鉄と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーと共に混合して密接に固着し成型された多数の小塊に乾燥目的の吸湿粉粒と少量のセメント系接着剤を添加し混合加圧成型して造塊,造粒されていることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の2価鉄イオン生成体は、粉状又は粒状の未酸化鉄と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーと共に混合し密接に固着し成型された多数の小塊に乾燥目的の吸湿粉粒を加えて混合し、さらに少量のセメント系接着剤と水分を添加し混合して放置し固化させることを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の2価鉄イオン生成体は、請求項5~7のいずれか1項に記載の2価鉄イオン生成体において、
前記水溶性バインダーとして、水溶性のデンプン糊が用いられていることを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の2価鉄イオン生成体を成型する方法及び2価鉄イオン生成体は、請求項1~3のいずれか1項に記載の2価鉄イオン生成体の製造方法及び請求項5~7のいずれか1項に記載の2価鉄イオン生成体において、
前記吸湿粉粒材は、シリカゲル粉粒,多孔質の珪藻土粉粒,ケイ素成分が多量に含まれるくん炭化物(素材:竹類,籾殻,茅・黍類,その他草木,椰子殻等々)のいずれかを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、上述のように、多数の小塊の一部同士を水溶性バインダーで固着し成型した後、可能な限り金属鉄の性状を喪失させない為に前記水溶性バインダーに含まれる水分,湿気を素早く除去する吸湿材粉粒を加えた状態で鉄粉粒と炭素粉粒を加圧成型して造塊,造粒することで、2価鉄イオンの生成量を極力減らすことなく生成溶出させ、かつ、製造された2価鉄イオン生成体を保管し、水中に置くまでは乾燥的吸湿機能を維持し、水中に置いた後は2価鉄イオン生成+水中にケイ素成分の供給源とすることができるようになるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下にこの発明の実施例を説明する。
【実施例0016】
まず、この実施例1を説明する。
この実施例1は、請求項1および5に記載の発明に対応する。
【0017】
この実施例1の2価鉄イオン生成体の製造方法は、粉状又は粒状の未酸化鉄材と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーを加え混合して密接させ固着し多数の小塊を成型する第1工程と、前記多数の小塊に水分・湿気を素早く乾燥的に除去する吸湿材粉粒を加え混合した後に加圧して成型し造粒,造塊にする第2工程とから成る。
【0018】
さらに詳述すると、前記水溶性バインダーとして、水溶性のデンプン糊を使用するのが最良だが、鉄/炭素とが密接する水溶性で接着剤ならば化学糊系でも使用可である。
ここで云うバインダーとは加熱すれば炭化する接合物質を示す
【0019】
また、吸湿材は、乾燥剤として汎用のシリカゲル粉粒や・イオン交換に使われているゼオライト・中性に加熱処理し調湿剤に用いられる珪藻土の粉粒や・その他ケイ素成分を主とし40%以上占め含有するくん炭処理物(籾殻炭,竹炭,茅類等々の多孔質炭化物)の粉粒が用いられ、いずれもケイ素Si成分を多量に含有する材を採用。
【0020】
即ち、食物連鎖の底辺を支える植物プランクトンの珪藻類や藻類は構成成分のケイ素(Si)塩類と栄養塩類の吸収が必要不可欠。
だから、前もって生態系の動物,植物,プランクトンなどはこれ等塩類を取り込む為に動物のヘモグロビンと同種同類の役目をする2価鉄Fe++を水溶性鉄化合物や錯結合2価鉄(キレート鉄)で摂取しておく必要がある。
【0021】
なお、動物,植物など生き物は摂取した2価鉄が酸素や養分の運搬配送の役割をすると共に、代謝老廃物を運搬排出する役割を果たしているから絶対不可欠である。
又、ケイ素Siを主成分とするシリカゲルやゼオライトや中性処理した珪藻土等々或は、ケイ素Siを40%以上含有する多孔質なくん炭処理した炭化物を粒塊に加工したものに発生させた直後の2価鉄イオン水を染み込ませるかor錯結合した2価鉄イオン水液を染み込ませて水圏水域に散布又は設置し供給する。水圏水域に2価鉄イオンとケイ素成分(珪酸塩類)を補給することで水中の食物連鎖を底辺で支える植物プランクトンを活性し増繁殖する。
食物連鎖の活発化は総合的に水環境を健全にする。
水産資源の増繁殖から食料生産に成果を具現する。
【0022】
また、水圏水域中に散布又は設置した《ケイ素成分をもつ2価鉄イオン生成体》から発生する無垢な2価鉄イオンは水底に堆積する有機腐植物が創り出す様々な有機酸の中にキレート機能があれば無垢な2価鉄イオンと反応してキレート鉄を合成,有機酸の中でも還元性有機酸のアスコルビン酸やポリフェノール類やクエン酸,その他等々と無垢な2価鉄イオンが反応すれば鉄の光触媒を合成し、ヘドロその他堆積有機物が分解されて肥料,養分に還元されれば、水中の生き物の動物,植物,微生物,プランクトン等々に補給されて活性増繁殖に作用効果を現す。
【0023】
次に、この実施例1の作用・効果を説明する。
この実施例1では、上述のように、多数の鉄粉.粒と炭素粉.粒が水溶性バインダーで密着接合させた多数の小塊に前記水溶性バインダーに含まれ余分な水分.湿気を素早く除去する吸湿材粉粒を加え混合した状態で加圧成型して余った水溶性バインダーと加圧で密接成型した造塊,造粒することで、2価鉄イオンの生成量を極力減らすことなく生成溶出させ、かつ、製造された2価鉄イオン生成体を保管し、水中に没するまでは乾燥的吸湿機能を維持し、水中に置いたのちは2価鉄を生成溶出+水中にケイ素成分の供給源とすることが出来るようになる効果が得られる。
【0024】
次に、他の実施例について説明する。この他の実施例の説明にあたっては、前記実施例1と同様の構成部分については説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
この実施例2は、実施例1に記載の製造方法により得られた2価鉄イオン生成体が、水中に没した状態にしても多数の2価鉄イオン生成体どおしが分離崩壊しないよう更に少量のセメント系接着剤と湿気的水分を与え混合してのち加圧成型して造粒,造塊している点が前記実施例1とは異なる。
ここで、接着剤とは加熱しても炭化しない接合物質を示す。
なお、接着剤は固形化でき環境に適応性があるセメント接合剤のような天然系がよいが化学系でもよい。