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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172571
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ロボットアームの制御装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20231129BHJP
   B25J 15/00 20060101ALI20231129BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B25J15/00 C
B65G47/90 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084477
(22)【出願日】2022-05-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開場所:FOOMA JAPAN 2021(国際食品工業展)(愛知スカイエキスポ(愛知県国際展示場):愛知県常滑市セントレア5丁目10番1号) 公開日:2021年6月1日~6月4日
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】長江 健太
(72)【発明者】
【氏名】柴田 優弥
【テーマコード(参考)】
3C707
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS02
3C707BS15
3C707DS05
3C707FS01
3C707FT11
3C707LV14
3F072AA06
3F072AA12
3F072GD01
3F072GF01
3F072GG04
3F072KC07
3F072KD03
(57)【要約】
【課題】ワークの取り出しに関連する処理を単純化することができるロボットアームの制御装置を提供する。
【解決手段】ロボットアーム20は、2個のワーク50を把持可能である。動作制御部32は、投入数設定部31により設定された投入数である設定投入数が2個の場合、パレット40から2個のワーク50を取り出し、それら取り出したワーク50を容器60に投入する第1動作制御を実行し、設定投入数が1個の場合且つ仮置き台80に仮置きされたワーク50の数である仮置き数が0である場合、パレット40から2個のワーク50を取り出し、それら取り出したワーク50のうち1個を仮置き台に仮置きするとともに、それら取り出したワーク50のうち1個を容器60に投入する第2動作制御を実行し、設定投入数がN-M個の場合且つ仮置き数が1個である場合、仮置き台80から1個のワーク50を取り出し、その取り出したワーク50を容器60に投入する第3動作制御を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットに収容されたワークを取り出して投入場所に投入する作業を行うロボットアームを制御するロボットアームの制御装置であって、
前記ロボットアームは2以上の整数であるN個のワークを把持することができるようになっており、
前記投入場所は最大でN個の前記ワークを投入することができるようになっており、
前記投入場所とは別に少なくともN-1個の前記ワークを仮置きすることができる仮置き場所が設けられており、
前記パレットに収容される前記ワークの最大数はNの整数倍の数となっており、
外部から与えられる投入数指令に基づいて前記投入場所に投入する前記ワークの数である投入数を設定する投入数設定部と、
前記ワークを前記パレットから取り出すとともに、その取り出した前記ワークを前記投入場所に投入するように前記ロボットアームの動作を制御する動作制御部と、
を備え、
前記動作制御部は、
1以上且つN-1以下の整数をMとすると、
前記投入数設定部により設定された前記投入数がN個の場合、前記パレットからN個の前記ワークを取り出し、それら取り出した前記ワークを前記投入場所に投入する第1動作制御を実行し、
前記投入数設定部により設定された前記投入数がN-M個の場合且つ前記仮置き場所に仮置きされた前記ワークの数である仮置き数がN-M個より少ない数である場合、前記パレットからN個の前記ワークを取り出し、それら取り出した前記ワークのうちM個の前記ワークを前記仮置き場所に仮置きするとともに、それら取り出した前記ワークのうちN-M個の前記ワークを前記投入場所に投入する第2動作制御を実行し、
前記投入数設定部により設定された前記投入数がN-M個の場合且つ前記仮置き数がN-M個以上の数である場合、前記仮置き場所からN-M個の前記ワークを取り出し、それら取り出した前記ワークを前記投入場所に投入する第3動作制御を実行するロボットアームの制御装置。
【請求項2】
前記動作制御部は、前記第2動作制御において、M個の前記ワークを前記仮置き場所に仮置きした後、N-M個の前記ワークを前記投入場所に投入するようになっている請求項1に記載のロボットアームの制御装置。
【請求項3】
前記動作制御部は、前記第2動作制御において、N-M個の前記ワークを前記投入場所に投入した後、M個の前記ワークを前記仮置き場所に仮置きするようになっている請求項1に記載のロボットアームの制御装置。
【請求項4】
前記仮置き場所は、複数設けられており、
複数の前記仮置き場所のそれぞれは、前記パレットから前記投入場所へと至る経路上の位置であり且つ互いに異なる位置に設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載のロボットアームの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアームの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、生産現場において、ロボットアームがパレットに収容されたワークを把持して取り出し、その取り出したワークを所定の投入場所に投入するといったピックアンドプレース作業が行うものがある。この場合、作業時間を短縮するという観点から、毎回1個ずつのワークをパレットから取り出して作業を行うのではなく、1度に複数個のワークをパレットから取り出して作業を行うようにすることが望ましい。
【0003】
そこで、従来、ロボットアームのハンドとして、ワークを把持することができる複数の把持部を備えたハンドを用いて、1度に複数のワークを把持して取り出すといった構成が考えられている。例えば、1度に2個のワークを把持して取り出す構成によれば、毎回1個ずつのワークを把持して取り出す構成に比べ、作業時間を概ね半減させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-125989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多品種少量生産に対応する場合、投入場所に投入するワークの数である投入数は、一定ではなく変動することになる。例えば、ロボットアームが1度に2個のワークを取り出すことが可能であるとともに、投入数が0~2個で変動する、といった生産システムが構築されることが想定される。このような生産システムでは、投入数に対応するようにパレットから取り出すワークの数である取得数を変化させることが一般的である。つまり、投入数が1個である場合には取得数も1個とし、投入数が2個である場合には取得数も2個とする、といった具合である。
【0006】
上記構成のように、取得数を可変にすると、ロボットアームを制御する制御装置においてワークを取得する際のパターン計算が複雑化するおそれがある。例えば、ワークの取得状況によっては、投入数が2個であるにもかかわらず、パレット内にワークが1個しか残っていないことが考えられ、その場合には取得不可となる。この場合、パレットごと廃棄するのか、次のパレットに交換するのか、といった判断が必要となることから、パレットの処理についても複雑化する問題が発生する。このようなことから、従来技術によれば、多品種少量生産への対応を考えると、作業時間を短縮することができないばかりか、逆に作業時間の長期化を招くおそれがあった。
【0007】
このような問題を解消するため、次のような対応が考えられる。すなわち、パレットは、複数段に段積みされていることがある。このような場合を想定すると、投入数が2個であるにもかかわらず、所定のパレット内にワークが1個しか残っていなかった場合、段積みされた別のパレットに収容されたワークを同時に取得することが考えられる。しかしながら、段の異なるパレット内のワークを同時取得するためには、段違いのワークに対応したストロークの可変延長など、ハンドの機構が複雑化するという別の問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワークの取り出しに関連する処理を単純化することができるロボットアームの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のロボットアームの制御装置は、パレットに収容されたワークを取り出して投入場所に投入する作業を行うロボットアームを制御するものであって、投入数設定部および動作制御部を備える。前記ロボットアームは、2以上の整数であるN個のワークを把持することができるようになっている。前記投入場所は、最大でN個の前記ワークを投入することができるようになっている。この場合、前記投入場所とは別に、少なくともN-1個の前記ワークを仮置きすることができる仮置き場所が設けられている。前記パレットに収容される前記ワークの最大数は、Nの整数倍の数となっている。
【0009】
前記投入数設定部は、外部から与えられる投入数指令に基づいて前記投入場所に投入する前記ワークの数である投入数を設定する。前記動作制御部は、前記ワークを前記パレットから取り出すとともに、その取り出した前記ワークを前記投入場所に投入するように前記ロボットアームの動作を制御する。前記動作制御部は、前記投入数設定部により設定された前記投入数および前記仮置き場所に仮置きされた前記ワークの数である仮置き数に応じて、第1動作制御、第2動作制御および第3動作制御のいずれかを実行する。ただし、この場合、1以上且つN-1以下の整数をMとする。
【0010】
すなわち、前記動作制御部は、前記投入数設定部により設定された前記投入数がN個の場合、前記パレットからN個の前記ワークを取り出し、それら取り出した前記ワークを前記投入場所に投入する第1動作制御を実行する。また、前記動作制御部は、前記投入数設定部により設定された前記投入数がN-M個の場合且つ前記仮置き場所に仮置きされた前記ワークの数である仮置き数がN-M個より少ない数である場合、前記パレットからN個の前記ワークを取り出し、それら取り出した前記ワークのうちM個の前記ワークを前記仮置き場所に仮置きするとともに、それら取り出した前記ワークのうちN-M個の前記ワークを前記投入場所に投入する第2動作制御を実行する。さらに、前記動作制御部は、前記投入数設定部により設定された前記投入数がN-M個の場合且つ前記仮置き数がN-M個以上の数である場合、前記仮置き場所からN-M個の前記ワークを取り出し、それら取り出した前記ワークを前記投入場所に投入する第3動作制御を実行する。
【0011】
このようにすれば、投入数がN個の場合およびN-M個の場合のいずれであっても、つまり、投入数がどのような個数であっても、1回の作業でパレットから取り出すワークの数はN個となり、固定化される。このように、上記構成および制御によれば、1回の作業でパレットからN個のワークを取り出すようになっていることから、毎回パレットから1個ずつのワークを取り出す場合に比べ、作業時間を短縮することができる。また、この場合、毎回N個のワークを取り出すように取り出しのパターンが固定化されることから、ワークの取り出しに関連する処理を単純化することが可能となる。
【0012】
上記構成および制御では、投入数がN個の場合、つまり取り出したワークの数と投入数とが一致する場合、従来技術と同様に、取り出したワークがそのまま投入場所に投入される。ただし、上記構成および制御では、投入数がN個より少ない数である場合、つまり投入数がN-M個の場合、取り出したワークの数と投入数とが一致しないため、従来技術と同様に取り出したワークをそのまま投入場所に投入することはできない。そこで、上記構成および制御では、投入数がN-M個の場合、取り出したワークのうちM個のワークを仮置き場所に仮置きすることで投入数を所望する数に調整するようになっている。
【0013】
上述したようにして仮置き場所に仮置きされたワークは、次のようにして活用される。すなわち、上記構成および制御では、投入数がN-M個の場合且つ仮置き場所に仮置きされたワークの数である仮置き数がN-M個以上の数である場合、パレットではなく、仮置き場所からN-M個のワークが取り出され、それら取り出されたワークが投入場所に投入される。
【0014】
また、この場合、パレットに収容されるワークの最大数がNの整数倍の数であるとともに、1回の作業毎にN個のワークが取り出されるため、投入数がどのような個数であっても、所定回数の作業を実行することでパレット内のワークの残留数を必ずゼロにすることができる。そのため、上記構成および制御によれば、パレット内に投入数よりも少ない数のワークしか残っていないという状態が発生しないことから、パレットの処理について複雑化することがない。このように、上記構成および制御によれば、パレットに収容されたワークを取り出して投入場所に投入する作業、つまりピックアンドプレース作業の作業時間を短縮しつつ、ワークの取り出しに関連する処理を単純化することができるという優れた効果が得られる。
【0015】
上記構成において、投入場所は、後工程などが考慮されたうえで予め定められた場所に設定されることが一般的であり、また、各ワークの投入領域が例えば格子状に仕切られている場合もある。そのため、投入場所にワークを投入する際、投入するワーク以外の余分なワークをハンドが把持した状態になっていると、その余分なワークが投入場所に既に配置されているワーク、投入場所の仕切りなどに接触する可能性があり、その結果、ワークの位置がずれたり、ワークにダメージが与えられたりするがおそれがある。そこで、請求項2に記載のロボットアームの制御装置において、前記動作制御部は、前記第2動作制御において、M個の前記ワークを前記仮置き場所に仮置きした後、N-M個の前記ワークを前記投入場所に投入するようになっている。
【0016】
このようにすれば、投入場所にワークを投入する際、パレットから取り出したN個のワークのうち余分なM個のワークは既に仮置き場に仮置きされており、投入数であるN-M個のワークだけをハンドが把持した状態となっている。そのため、上記制御によれば、投入場所にワークを投入する際、余分なワークが投入場所に既に配置されているワーク、投入場所の仕切りなどに接触してワークの位置がずれたり、ワークにダメージが与えられたりするといったリスクを低減することができる。
【0017】
なお、仮置き場所は、投入場所に比べ、その配置を比較的自由に変更することが可能であるとともに、各ワークの投入領域についても仕切りを設けることなく比較的広い領域とすることができる。そのため、上記制御によれば、M個のワークを仮置きする際、仮置きするワーク以外のワークもハンドが把持した状態になっているものの、仮置き場所の配置を工夫したり、各ワークの投入領域をワークの大きさに対して十分に広い領域にしたりすることによって、そのワークが既に仮置きされたワークなどに接触する可能性を十分に低く抑えることができる。
【0018】
請求項3に記載のロボットアームの制御装置において、前記動作制御部は、前記第2動作制御において、N-M個の前記ワークを前記投入場所に投入した後、M個の前記ワークを前記仮置き場所に仮置きするようになっている。つまり、この場合、仮置き場所にワークを仮置きするという動作に先立って、ワークを投入場所に投入するという本来行うべき動作が行われることになる。このようにすれば、パレットに収容されたワークを取り出して投入場所に投入する作業に要する作業時間を長期化させることなく、言い換えると生産性の効率を良好に維持しつつ、仮置きによる投入数の調整を実施することができる。
【0019】
請求項4に記載のロボットアームの制御装置において、前記仮置き場所は、複数設けられている。この場合、複数の前記仮置き場所のそれぞれは、前記パレットから前記投入場所へと至る経路上の位置であり且つ互いに異なる位置に設けられている。このような構成によれば、第2動作制御が実行される際、複数の仮置き場所のうち、パレットから仮置き場所を経由して投入場所へと至る経路が最短となるような仮置き場所を利用するといったことが可能となり、その結果、仮置き動作を含めた作業時間を極力短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る生産システムの構成を模式的に示す図
図2】第1実施形態に係るロボットアームの具体的な構成の一例を示す図
図3】第1実施形態に係るコントローラにより実行されるピックアンドプレース作業に関連する処理の内容を模式的に示す図
図4】第1実施形態に係る第1動作制御が実行される際の具体的な動作の一例をを説明するための図
図5】第1実施形態に係る第2動作制御が実行される際の具体的な動作の一例をを説明するための図
図6】第1実施形態に係る第3動作制御が実行される際の具体的な動作の一例をを説明するための図
図7】第2実施形態に係る第1動作制御が実行される際の具体的な動作の一例をを説明するための図
図8】第2実施形態に係る第2動作制御が実行される際の具体的な動作の一例をを説明するための図
図9】第2実施形態に係る第3動作制御が実行される際の具体的な動作の一例をを説明するための図その1
図10】第2実施形態に係る第3動作制御が実行される際の具体的な動作の一例をを説明するための図その2
図11】第2実施形態に係るコントローラにより実行されるピックアンドプレース作業に関連する処理の内容を模式的に示す図
図12】第2実施形態に係る仮置き台を複数設けるようにした変形例を説明するための図
図13】第2実施形態に係る仮置き台の形状を変更した変形例を説明するための図
図14】第2実施形態に係る仮置き台に配置可能なワークの数を変更した変形例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1図6を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の生産システム10は、ロボットアーム20、コントローラ30などから構成されている。生産システム10には、パレット40に収容されたワーク50をロボットアーム20により取り出して容器60に整列状態で投入する工程、つまりパレット40から容器60への移し変え工程が含まれる。容器60は、ワーク50の投入場所の一例である。なお、図1などでは、一部のワークにだけ符号を付し、他のワークの符号は省略している。
【0023】
図2に示すように、ロボットアーム20は、例えば4軸のアームを有する水平多関節型ロボットとして構成されている。ロボットアーム20のアーム先端にはハンド70が取り付けられている。ハンド70は、ワーク50を把持することができる2つの把持部71、72を備えている。把持部71、72は、ワーク50を吸着して保持するための吸着機構を備えている。このように、本実施形態では、ロボットアーム20は、2個のワーク50を把持することができるようになっている。
【0024】
ロボットアーム20は、パレット40に収容されたワーク50を取り出して容器60に投入するピックアンドプレース作業を行う。具体的には、ロボットアーム20は、アームを旋回させて先端をパレット40の上方に位置させた後、そのアーム先端に取り付けられたハンド70を下降させ、ハンド70でワーク50を把持して引き上げる。ロボットアーム20は、アームを旋回させて先端を容器60の上方に位置させた後、ハンド70を下降させ、そのハンド70からワーク50を離して容器60内の所定の投入位置に配置する。
【0025】
本実施形態では、ワーク50は、例えばお菓子などであり、容器60は、例えば複数種類のお菓子を詰め合わせるための菓子箱である。図1に示すように、容器60は、その内部が格子状に仕切られており、最大で、ハンド70が把持することができるワーク50の数と同じ数である2個のワーク50を投入することができるようになっている。容器60に投入するワーク50の数である投入数は、0~2個で可変となっている。この場合、投入場所である容器60とは別に、少なくとも、ハンド70が把持することができるワーク50の数から「1」を減算した数である1個のワーク50を仮置きすることができる仮置き台80が設けられている。仮置き台80は、仮置き場所の一例である。
【0026】
パレット40は、平面視において矩形状をなす容器である。パレット40には、16個のワーク50が4行4列に整列した状態で収容されている。つまり、パレット40に収容されるワーク50の最大数は、ハンド70が把持することができるワーク50の数である「2」の整数倍の数である「16」となっている。
【0027】
コントローラ30は、ロボットアームの制御装置として機能するものであり、図示しないCPU、ROMおよびRAMなどで構成されたコンピュータからなる制御手段においてコンピュータプログラムを実行することで、ロボットアーム20を制御している。具体的には、コントローラ30は、インバータ回路などから構成された駆動部を備えており、ロボットアーム20の各軸を駆動するモータに対応して設けられているエンコーダで検知したモータの回転位置に基づいて例えばフィードバック制御によりそれぞれのモータを駆動する。コントローラ30は、予め設定された動作プログラムを実行することにより、ロボットアーム20の各軸が予め定められた所定の動作を自動的に実行するようにロボットアーム20を制御する。
【0028】
コントローラ30は、投入数設定部31および動作制御部32などの機能ブロックを備えている。これら各機能ブロックは、コントローラ30が備えるCPUがROMなどに格納されているコンピュータプログラムを実行してコンピュータプログラムに対応する処理を実行することにより実現されている、つまりソフトウェアにより実現されている。なお、各機能ブロックのうち少なくとも一部をハードウェアにより実現する構成としてもよい。
【0029】
投入数設定部31は、外部から与えられる投入数指令に基づいて容器60に投入するワーク50の数である投入数を設定する。ユーザは、所望する投入数を指令するための投入数指令をコントローラ30に与えることにより、投入数を1~2個の間の任意の数に設定することができる。動作制御部32は、ワーク50をパレット40から取り出すとともに、その取り出したワーク50を容器60に投入するようにロボットアーム20の動作を制御する。
【0030】
動作制御部32は、投入数設定部31により設定された投入数である設定投入数および仮置き台80に仮置きされたワーク50の数である仮置き数に応じて、第1動作制御、第2動作制御および第3動作制御のいずれかを実行する。すなわち、動作制御部32は、設定投入数が2個の場合、パレット40から2個のワーク50を取り出し、それら取り出したワーク50を容器60に投入する第1動作制御を実行する。
【0031】
また、動作制御部32は、設定投入数が1個の場合且つ仮置き数が1個より少ない数である場合、つまり仮置き数が0個である場合、パレット40から2個のワーク50を取り出し、それら取り出した2個のワーク50のうち1個のワーク50を仮置き台80に仮置きするとともに、それら取り出した2個のワーク50のうち1個のワーク50を容器60に投入する第2動作制御を実行する。
【0032】
さらに、動作制御部32は、設定投入数が1個の場合且つ仮置き数が1個以上の数である場合、仮置き台80から1個のワーク50を取り出し、その取り出した1個のワーク50を容器60に投入する第3動作制御を実行する。なお、この場合、動作制御部32は、第2動作制御において、1個のワーク50を仮置き台80に仮置きした後、1個のワーク50を容器60に投入するようになっている。
【0033】
コントローラ30は、図3に示すような内容の処理を繰り返し実行するようになっており、これにより、上記した第1動作制御、第2動作制御および第3動作制御が実現されている。まず、ステップS101では、パレット40にワーク50があるか否かが判断される。ここで、パレット40にワーク50が無い場合、ステップS101で「NO」となり、本処理が終了となる。一方、パレット40にワーク50がある場合、ステップS101で「YES」となり、ステップS102に進む。
【0034】
ステップS102では、設定投入数が1個であるか否かが判断される。ここで、設定投入数が2個である場合、ステップS102で「NO」となり、ステップS103に進む。ステップS103では、パレット40から2個のワーク50が取得される。ステップS103の実行後はステップS104に進み、ステップS103で取得された2個のワーク50が容器60に投入される。これらステップS103およびS104が、第1動作制御に相当する。ステップS104の実行後、本処理が終了となる。
【0035】
一方、設定投入数が1個である場合、ステップS102で「YES」となり、ステップS105に進む。ステップS105では、仮置き数が0個であるか否かが判断される。ここで、仮置き数が1個である場合、ステップS105で「NO」となり、ステップS106に進む。ステップS106では、仮置き台80から1個のワーク50が取得される。ステップS106の実行後はステップS107に進み、ステップS106で取得された1個のワーク50が容器60に投入される。これらステップS106およびS107が、第3動作制御に相当する。ステップS107の実行後、本処理が終了となる。
【0036】
一方、仮置き数が0個である場合、ステップS105で「YES」となり、ステップS108に進む。ステップS108では、パレット40から2個のワーク50が取得される。ステップS108の実行後はステップS109に進み、ステップS108で取得された2個のワーク50のうち1個のワーク50が仮置き台80に投入されて仮置きされる。ステップS109の実行後はステップS110に進み、ステップS108で取得された2個のワーク50のうち1個のワーク50が容器60に投入される。これらステップS108~S110が、第2動作制御に相当する。ステップS110の実行後、本処理が終了となる。
【0037】
次に、上記構成のロボットアーム20により行われるピックアンドプレース作業に関する具体的な動作の一例について図4図6を参照して説明する。なお、図4図6では、ロボットアーム20の図示は省略し、そのアーム先端に取り付けられたハンド70だけを示している。
【0038】
[1]第1動作制御が実行される際の動作
図4(a)に示すように、ロボットアーム20は、設定投入数が2個の場合、ハンド70によりパレット40から2個のワーク50を取り出す。その後、図4(b)に示すように、ロボットアーム20は、それら取り出した2個のワーク50を容器60に投入する。
[2]第2動作制御が実行される際の動作
【0039】
図5(a)に示すように、ロボットアーム20は、設定投入数が1個の場合且つ仮置き数が0個である場合、ハンド70によりパレット40から2個のワーク50を取り出す。その後、図5(b)に示すように、ロボットアーム20は、それら取り出した2個のワーク50のうち1個のワーク50を仮置き台80に仮置きする。続いて、図5(c)に示すように、ロボットアーム20は、それら取り出した2個のワーク50のうち1個のワーク50を容器60に投入する。
[3]第3動作制御が実行される際の動作
【0040】
図6(a)に示すように、ロボットアーム20は、設定投入数が1個の場合且つ仮置き数が1個である場合、ハンド70により仮置き台80から1個のワーク50を取り出す。その後、図6(b)に示すように、ロボットアーム20は、その取り出した1個のワーク50を容器60に投入する。
【0041】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
ロボットアーム20は、2個のワーク50を把持することができるハンド70を備えており、容器60は、最大で、ハンド70が把持することができるワーク50の数と同じ数である2個のワークを投入することができるようになっている。この場合、容器60とは別に、少なくとも、ハンド70が把持することができるワーク50の数から「1」を減算した数である1個のワーク50を仮置きすることができる仮置き台80が設けられている。
【0042】
上記構成において、動作制御部32は、投入数設定部31により設定された投入数である設定投入数および仮置き台80に仮置きされたワーク50の数である仮置き数に応じて、第1動作制御、第2動作制御および第3動作制御のいずれかを実行する。すなわち、動作制御部32は、設定投入数が2個の場合、パレット40から2個のワーク50を取り出し、それら取り出したワーク50を容器60に投入する第1動作制御を実行する。
【0043】
また、動作制御部32は、設定投入数が1個の場合且つ仮置き数が1個より少ない数である場合、パレット40から2個のワーク50を取り出し、それら取り出したワーク50のうち1個のワーク50を仮置き台80に仮置きするとともに、それら取り出したワーク50のうち1個のワーク50を容器60に投入する第2動作制御を実行する。さらに、動作制御部32は、設定投入数が1個の場合且つ仮置き数が1個以上の数である場合、仮置き台80から1個のワーク50を取り出し、それら取り出したワーク50を容器60に投入する第3動作制御を実行する。
【0044】
このようにすれば、投入数が2個の場合および1個の場合のいずれであっても、つまり、投入数がどのような個数であっても、1回の作業でパレット40から取り出すワーク50の数は2個となり、固定化される。このように、上記構成および制御によれば、1回の作業でパレット40から2個のワークを取り出すようになっていることから、毎回パレットから1個ずつのワークを取り出す場合に比べ、作業時間を概ね1/2に短縮することができる。また、この場合、毎回2個のワーク50を取り出すように取り出しのパターンが固定化されることから、ワーク50の取り出しに関連するコントローラ30での処理を単純化することが可能となる。
【0045】
上記構成および制御では、投入数が2個の場合、つまり取り出したワーク50の数と投入数とが一致する場合、従来技術と同様に、取り出したワーク50がそのまま容器60に投入される。ただし、上記構成および制御では、投入数が2個より少ない数である場合、つまり投入数が1個の場合、取り出したワーク50の数と投入数とが一致しないため、従来技術と同様に取り出したワーク50をそのまま容器60に投入することはできない。そこで、上記構成および制御では、投入数が1個の場合、取り出したワーク50のうち1個のワーク50を仮置台80に仮置きすることで投入数を所望する数に調整するようになっている。
【0046】
上述したようにして仮置き台80に仮置きされたワーク50は、次のようにして活用される。すなわち、上記構成および制御では、投入数が1個の場合且つ仮置き台80に仮置きされたワーク50の数である仮置き数が1個以上の数である場合、パレット40ではなく、仮置き台80から1個のワーク50が取り出され、それら取り出されたワーク50が容器60に投入される。
【0047】
また、この場合、パレット40に収容されるワーク50の最大数が、ハンド70が把持することができるワーク50の数である「2」の整数倍の数である「16」であるとともに、1回の作業毎に2個のワークが取り出されるため、投入数がどのような個数であっても、所定回数の作業を実行することでパレット40内のワーク50の残留数を必ずゼロにすることができる。そのため、上記構成および制御によれば、パレット40内に投入数よりも少ない数のワーク50しか残っていないという状態が発生しないことから、パレット40の処理について複雑化することがない。このように、本実施形態によれば、パレット40に収容されたワーク50を取り出して容器60に投入する作業、つまりピックアンドプレース作業の作業時間を短縮しつつ、ワーク50の取り出しに関連する処理を単純化することができるという優れた効果が得られる。
【0048】
上記構成において、容器60は、後工程などが考慮されたうえで予め定められた場所に配置されることが一般的である。また、この場合、容器60は、各ワーク50の投入領域が格子状に仕切られている。そのため、容器60にワーク50を投入する際、投入するワーク50以外の余分なワーク50をハンド70が把持した状態になっていると、その余分なワーク50が容器60内に既に配置されているワーク、容器60の仕切りなどに接触する可能性があり、その結果、ワーク50の位置がずれたり、ワーク50にダメージが与えられたりするがおそれがある。そこで、この場合、動作制御部32は、第2動作制御において、1個のワーク50を仮置き台80に仮置きした後、1個のワーク50を容器60に投入するようになっている。
【0049】
このようにすれば、容器60にワーク50を投入する際、パレット40から取り出した1個のワーク50のうち余分な1個のワーク50は既に仮置き台80に仮置きされており、投入数である1個のワーク50だけをハンド70が把持した状態となっている。そのため、上記制御によれば、容器60にワーク50を投入する際、余分なワーク50が容器60内に既に配置されているワーク50、容器60の仕切りなどに接触してワーク50の位置がずれたり、ワーク50にダメージが与えられたりするといったリスクを低減することができる。
【0050】
なお、仮置き台80は、容器60に比べ、その配置を比較的自由に変更することが可能であるとともに、各ワーク50の投入領域についても仕切りを設けることなく比較的広い領域とすることができる。そのため、上記制御によれば、1個のワーク50を仮置きする際、仮置きするワーク50以外のワーク50もハンド70が把持した状態になっているものの、仮置き台80の配置を工夫したり、各ワーク50の投入領域をワーク50の大きさに対して十分に広い領域にしたりすることによって、そのワーク50が既に仮置きされたワーク50などに接触する可能性を十分に低く抑えることができる。
【0051】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について図7図14を参照して説明する。
ロボットアーム20は、2個のワーク50を把持することができるものに限らずともよく、3個以上のワーク50を把持することができるものなど、2以上の整数であるN個のワーク50を把持することができるものであればよい。
【0052】
そこで、本実施形態では、ロボットアーム20が把持することができるワーク50の数をN個として一般化した場合における各部の構成および制御の内容について説明する。図7図10に示すように、ロボットアーム20のアーム先端に取り付けられたハンド70は、ワーク50を把持することができる把持部71、72などと同様の構成の把持部をN個を備えている。
【0053】
この場合、容器60は、最大でN個のワーク50を投入することができるようになっている。容器60に投入するワーク50の数である投入数は、0~N個で可変となっている。仮置き台80は、少なくともN-1個のワーク50を仮置きすることができる。この場合、仮置き台80は、N-1個のワーク50を一列に並べられるような形状となっている。この場合、パレット40には、Nの整数倍の数のワーク50が行列状に整列した状態で収容されている。つまり、この場合、パレット40に収容されるワーク50の最大数は、Nの整数倍の数となっている。
【0054】
動作制御部32は、設定投入数がN個の場合、パレット40からN個のワーク50を取り出し、それら取り出したワーク50を容器60に投入する第1動作制御を実行する。また、動作制御部32は、設定投入数がN-M個の場合且つ仮置き数がN-M個より少ない数である場合、パレット40からN個のワーク50を取り出し、それら取り出したN個のワーク50のうちM個のワーク50を仮置き台80に仮置きするとともに、それら取り出したN個のワーク50のうちN-M個のワーク50を容器60に投入する第2動作制御を実行する。ただし、Mは、1以上且つN-1以下の整数である。
【0055】
さらに、動作制御部32は、設定投入数がN-M個の場合且つ仮置き数がN-M個以上の数である場合、仮置き台80からN-M個のワーク50を取り出し、それら取り出したN-M個のワーク50を容器60に投入する第3動作制御を実行する。なお、この場合、動作制御部32は、第2動作制御において、M個のワーク50を仮置き台80に仮置きした後、N-M個のワーク50を容器60に投入するようになっている。
【0056】
コントローラ30は、図11に示すような内容の処理を繰り返し実行するようになっており、これにより、上記した第1動作制御、第2動作制御および第3動作制御が実現されている。まず、ステップS201では、パレット40にワーク50があるか否かが判断される。ここで、パレット40にワーク50が無い場合、ステップS201で「NO」となり、本処理が終了となる。一方、パレット40にワーク50がある場合、ステップS201で「YES」となり、ステップS202に進む。
【0057】
ステップS202では、設定投入数がN-1個以下であるか否かが判断される。ここで、設定投入数がN個である場合、ステップS202で「NO」となり、ステップS203に進む。ステップS203では、パレット40からN個のワーク50が取得される。ステップS203の実行後はステップS204に進み、ステップS203で取得されたN個のワーク50が容器60に投入される。これらステップS203およびS204が、第1動作制御に相当する。ステップS204の実行後、本処理が終了となる。
【0058】
一方、設定投入数がN-1個以下である場合、ステップS202で「YES」となり、ステップS205に進む。ステップS205では、仮置き数がN-M個より少ない数であるか否かが判断される。ここで、仮置き数がN-M個以上の数である場合、ステップS205で「NO」となり、ステップS206に進む。ステップS206では、仮置き台80からN-M個のワーク50が取得される。ステップS206の実行後はステップS207に進み、ステップS206で取得されたN-M個のワーク50が容器60に投入される。これらステップS206およびS207が、第3動作制御に相当する。ステップS207の実行後、本処理が終了となる。
【0059】
一方、仮置き数がN-M個より少ない数である場合、ステップS205で「YES」となり、ステップS208に進む。ステップS208では、パレット40からN個のワーク50が取得される。ステップS208の実行後はステップS209に進み、ステップS208で取得されたN個のワーク50のうちM個のワーク50が仮置き台80に投入されて仮置きされる。ステップS209の実行後はステップS210に進み、ステップS208で取得されたN個のワーク50のうちN-M個のワーク50が容器60に投入される。これらステップS208~S210が、第2動作制御に相当する。ステップS210の実行後、本処理が終了となる。
【0060】
次に、上記構成のロボットアーム20により行われるピックアンドプレース作業に関する具体的な動作の一例について図7図10を参照して説明する。なお、図7図10では、ロボットアーム20の図示は省略し、そのアーム先端に取り付けられたハンド70だけを示している。
【0061】
[1]第1動作制御が実行される際の動作
図7(a)に示すように、ロボットアーム20は、設定投入数がN個の場合、ハンド70によりパレット40からN個のワーク50を取り出す。その後、図7(b)に示すように、ロボットアーム20は、それら取り出したN個のワーク50を容器60に投入する。
【0062】
[2]第2動作制御が実行される際の動作
図8(a)に示すように、ロボットアーム20は、設定投入数がN-M個の場合且つ仮置き数がN-M個より少ない数である場合、ハンド70によりパレット40からN個のワーク50を取り出す。この場合、この時点における仮置き数をLとすると、下記(1)式の関係が成り立つ。なお、Lは0または正の整数となる。
N-M>L …(1)
【0063】
その後、図8(b)に示すように、ロボットアーム20は、それら取り出したN個のワーク50のうちM個のワーク50を仮置き台80に仮置きする。続いて、図8(c)に示すように、ロボットアーム20は、それら取り出したN個のワーク50のうちN-M個のワーク50を容器60に投入する。
【0064】
[3]第3動作制御が実行される際の動作
図9(a)に示すように、ロボットアーム20は、設定投入数がN-M個の場合且つ仮置き数LがN-M個である場合、ハンド70により仮置き台80からN-M個のワーク50を取り出す。この場合、この時点における仮置き数をLとすると、下記(2)式の関係が成り立つ。
N-M=L …(2)
【0065】
その後、図9(b)に示すように、ロボットアーム20は、それら取り出したN-M個のワーク50を容器60に投入する。これにより、仮置き台80に仮置きされたワーク50の数である仮置き数は0となる。
【0066】
また、図10(a)に示すように、ロボットアーム20は、設定投入数がN-M個の場合且つ仮置き数LがN-M個より多い数である場合、ハンド70により仮置き台80からN-M個のワーク50を取り出す。この場合、この時点における仮置き数をLとすると、下記(3)式の関係が成り立つ。
N-M<L …(3)
【0067】
その後、図10(b)に示すように、ロボットアーム20は、それら取り出したN-M個のワーク50を容器60に投入する。これにより、仮置き台80に仮置きされたワーク50の数である仮置き数は「L-(N-M)」となる。
【0068】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
ロボットアーム20は、N個のワーク50を把持することができるハンド70を備えており、容器60は、最大でN個のワークを投入することができるようになっている。この場合、容器60とは別に、少なくともN-1個のワーク50を仮置きすることができる仮置き台80が設けられている。
【0069】
上記構成において、動作制御部32は、投入数設定部31により設定された投入数である設定投入数および仮置き台80に仮置きされたワーク50の数である仮置き数に応じて、第1動作制御、第2動作制御および第3動作制御のいずれかを実行する。すなわち、動作制御部32は、設定投入数がN個の場合、パレット40からN個のワーク50を取り出し、それら取り出したワーク50を容器60に投入する第1動作制御を実行する。
【0070】
また、動作制御部32は、設定投入数がN-M個の場合且つ仮置き数がN-M個より少ない数である場合、パレット40からN個のワーク50を取り出し、それら取り出したワーク50のうちM個のワーク50を仮置き台80に仮置きするとともに、それら取り出したワーク50のうちN-M個のワーク50を容器60に投入する第2動作制御を実行する。さらに、動作制御部32は、設定投入数がN-M個の場合且つ仮置き数がN-M個以上の数である場合、仮置き台80からN-M個のワーク50を取り出し、それら取り出したワーク50を容器60に投入する第3動作制御を実行する。
【0071】
このようにすれば、投入数がN個の場合およびN-M個の場合のいずれであっても、つまり、投入数がどのような個数であっても、1回の作業でパレット40から取り出すワーク50の数はN個となり、固定化される。このように、上記構成および制御によれば、1回の作業でパレット40からN個のワークを取り出すようになっていることから、毎回パレットから1個ずつのワークを取り出す場合に比べ、作業時間を概ね1/Nに短縮することができる。また、この場合、毎回N個のワーク50を取り出すように取り出しのパターンが固定化されることから、ワーク50の取り出しに関連するコントローラ30での処理を単純化することが可能となる。
【0072】
上記構成および制御では、投入数がN個の場合、つまり取り出したワーク50の数と投入数とが一致する場合、従来技術と同様に、取り出したワーク50がそのまま容器60に投入される。ただし、上記構成および制御では、投入数がN個より少ない数である場合、つまり投入数がN-M個の場合、取り出したワーク50の数と投入数とが一致しないため、従来技術と同様に取り出したワーク50をそのまま容器60に投入することはできない。そこで、上記構成および制御では、投入数がN-M個の場合、取り出したワーク50のうちM個のワーク50を仮置台80に仮置きすることで投入数を所望する数に調整するようになっている。
【0073】
上述したようにして仮置き台80に仮置きされたワーク50は、次のようにして活用される。すなわち、上記構成および制御では、投入数がN-M個の場合且つ仮置き台80に仮置きされたワーク50の数である仮置き数がN-M個以上の数である場合、パレット40ではなく、仮置き台80からN-M個のワーク50が取り出され、それら取り出されたワーク50が容器60に投入される。
【0074】
また、この場合、パレット40に収容されるワーク50の最大数がNの整数倍の数であるとともに、1回の作業毎にN個のワークが取り出されるため、投入数がどのような個数であっても、所定回数の作業を実行することでパレット40内のワーク50の残留数を必ずゼロにすることができる。そのため、上記構成および制御によれば、パレット40内に投入数よりも少ない数のワーク50しか残っていないという状態が発生しないことから、パレット40の処理について複雑化することがない。このように、本実施形態によれば、パレット40に収容されたワーク50を取り出して容器60に投入する作業、つまりピックアンドプレース作業の作業時間を短縮しつつ、ワークの取り出しに関連する処理を単純化することができるという優れた効果が得られる。
【0075】
上記構成において、容器60は、後工程などが考慮されたうえで予め定められた場所に配置されることが一般的である。また、この場合、容器60は、各ワーク50の投入領域が格子状に仕切られている。そのため、容器60にワーク50を投入する際、投入するワーク50以外の余分なワーク50をハンド70が把持した状態になっていると、その余分なワーク50が容器60内に既に配置されているワーク、容器60の仕切りなどに接触する可能性があり、その結果、ワーク50の位置がずれたり、ワーク50にダメージが与えられたりするがおそれがある。そこで、この場合、動作制御部32は、第2動作制御において、M個のワーク50を仮置き台80に仮置きした後、N-M個のワーク50を容器60に投入するようになっている。
【0076】
このようにすれば、容器60にワーク50を投入する際、パレット40から取り出したN個のワーク50のうち余分なM個のワーク50は既に仮置き台80に仮置きされており、投入数であるN-M個のワーク50だけをハンド70が把持した状態となっている。そのため、上記制御によれば、容器60にワーク50を投入する際、余分なワーク50が容器60内に既に配置されているワーク50、容器60の仕切りなどに接触してワーク50の位置がずれたり、ワーク50にダメージが与えられたりするといったリスクを低減することができる。
【0077】
なお、仮置き台80は、容器60に比べ、その配置を比較的自由に変更することが可能であるとともに、各ワーク50の投入領域についても仕切りを設けることなく比較的広い領域とすることができる。そのため、上記制御によれば、M個のワーク50を仮置きする際、仮置きするワーク50以外のワーク50もハンド70が把持した状態になっているものの、仮置き台80の配置を工夫したり、各ワーク50の投入領域をワーク50の大きさに対して十分に広い領域にしたりすることによって、そのワーク50が既に仮置きされたワーク50などに接触する可能性を十分に低く抑えることができる。
【0078】
<第2動作制御に関する変形例>
本実施形態では、動作制御部32は、第2動作制御において、M個のワーク50を仮置き台80に仮置きした後、N-M個のワーク50を容器60に投入するようになっていたが、これについて次のように変形することができる。すなわち、動作制御部32は、第2動作制御において、N-M個のワーク50を容器60に投入した後、M個のワーク50を仮置き台80に仮置きするようにしてもよい。このような変形は、具体的には、図11におけるステップS209およびS210の実行順を入れ替えることで実現できる。
【0079】
つまり、この場合、仮置き台80にワーク50を仮置きするという動作に先立って、ワーク50を容器60に投入するという本来行うべき動作が行われることになる。このようにすれば、パレット40に収容されたワーク50を取り出して容器60に投入する作業に要する作業時間を長期化させることなく、言い換えると生産性の効率を良好に維持しつつ、仮置きによる投入数の調整を実施することができる。
【0080】
<仮置き場所に関する変形例>
本実施形態では、仮置き場所の一例である仮置き台80は、1つだけ設けられていたが、これについて次のように変形することができる。すなわち、仮置き台80を複数設けるようにしてもよい。この場合、図12に示すように、複数の仮置き台80のそれぞれは、パレット40から容器60へと至る経路上の位置であり且つ互いに異なる位置に設けられることになる。
【0081】
このような構成によれば、第2動作制御が実行される際、複数の仮置き台80のうち、パレット40から仮置き台80を経由して容器60へと至る経路が最短となるような仮置き台80を利用するといったことが可能となる。具体的には、パレット40の図12における上側に収容されたワーク50を取り出した場合には上側の仮置き台80を利用するとともに、パレット40の図12における下側に収容されたワーク50を取り出した場合には下側の仮置き台80を利用することにより、パレット40から仮置き台80を経由して容器60へと至る経路を最短にすることができる。上記した変形例によれば、仮置き動作を含めた作業時間を極力短くすることができるという効果が得られる。
【0082】
また、本実施形態では、仮置き場所の一例である仮置き台80は、N-1個のワーク50を一列に並べられるような形状となっていたが、その形状は適宜変更可能である。例えば、仮置き台80は、図13に示すような変則的な形状であってもよい。また、仮置き台80は、少なくともN-1個のワーク50を仮置きすることができるものであればよく、例えば、図14に示すように、N個のワーク50を配置することができるような構成であってもよい。
【0083】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
【0084】
ハンド70の把持部71、72としては、ワーク50を吸着して保持するための吸着機構を備えたものに限らずともよく、例えばワーク50を掴んで保持するためのチャックを備えたものなど様々なタイプのものを用いることができる。
【0085】
本発明は、生産システム10に適用されるロボットアーム20のコントローラ30に限らず、パレットに収容されたワークを取り出して投入場所に投入する作業を行うロボットアームを制御するロボットアームの制御装置全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
10…生産システム、20…ロボットアーム、30…コントローラ、31…投入数設定部、32…動作制御部、40…パレット、50…ワーク、60…容器、70…ハンド、80…仮置き台。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14