(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172584
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】売上改善情報提供システム及び売上改善情報提供方法並びに売上改善情報生成装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0202 20230101AFI20231129BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20231129BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G06Q30/02 310
G07G1/00 331Z
G07G1/12 361E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084493
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】八反田 俊輔
【テーマコード(参考)】
3E142
5L049
【Fターム(参考)】
3E142CA12
3E142EA22
3E142EA23
3E142FA31
3E142GA02
3E142GA03
3E142GA35
3E142JA01
5L049BB02
5L049BB72
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡易な構成により、商品の売上を改善させる売上改善情報提供システム及び売上改善情報提供方法並びに売上改善情報生成装置を提供する。
【解決手段】売上改善情報提供システム1は、映像データを解析して得られた各商品に対する顧客CSの到来及び手持に関する行動データと、各商品の精算データとを基に売上改善情報を更新し、これに基づいた値札PT及び商品近傍広告PPをプリンタ9により印刷させる。これにより売上改善情報提供システム1では、顧客CSによる各商品に対する注目の状況や興味の有無等を客観的に把握でき、各商品の販売価格の増減やPOPの追加等を適切に行うことができ、その結果として売上の増加に繋げることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品が陳列されている商品陳列位置を撮像した映像を取得する映像取得部と、
前記商品の販売実績に関する情報である販売情報を取得する販売情報取得部と、
前記商品及び前記商品陳列位置を対応付けた商品位置情報と前記映像とを基に、前記商品に関する顧客の行動である顧客行動を解析する映像解析部と、
前記販売情報及び前記顧客行動を基に、前記商品の売上を改善するための情報である売上改善情報を生成する売上改善情報生成部と、
前記売上改善情報を提供する売上改善情報提供部と
を具えることを特徴とする売上改善情報提供システム。
【請求項2】
前記映像解析部は、前記商品に関する前記顧客行動として、当該商品の近傍に到来したか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の売上改善情報提供システム。
【請求項3】
前記映像解析部は、前記商品が陳列されている前記商品陳列位置から所定の近傍距離以内に前記顧客が所定の滞留時間以上滞留した場合に、当該顧客が当該商品の近傍に到来したと判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の売上改善情報提供システム。
【請求項4】
前記映像解析部は、前記顧客が前記商品の近傍に到来した場合、さらに当該顧客が当該商品を手に取ったか否かを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の売上改善情報提供システム。
【請求項5】
前記売上改善情報生成部は、当該顧客が当該商品の近傍に到来し、且つ当該商品を手に取ったものの、当該商品を購入しなかった場合、当該商品について以前よりも減額された価格を前記売上改善情報として生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の売上改善情報提供システム。
【請求項6】
前記売上改善情報生成部は、当該顧客が当該商品の近傍に到来し、且つ当該商品を手に取らなかった場合、当該商品の広告を、前記売上改善情報として生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の売上改善情報提供システム。
【請求項7】
前記売上改善情報生成部は、当該商品が陳列されている前記商品陳列位置の近傍に設置すべき商品近傍広告を、前記広告として生成する
ことを特徴とする請求項6に記載の売上改善情報提供システム。
【請求項8】
前記売上改善情報生成部は、当該顧客が当該商品の近傍に到来し、且つ当該商品を手に取らず、さらに前記商品近傍広告が既に設置されている場合、当該商品近傍広告に代えて、当該商品について従前よりも減額された価格を、前記売上改善情報として生成する
ことを特徴とする請求項7に記載の売上改善情報提供システム。
【請求項9】
前記売上改善情報生成部は、前記顧客が前記商品の近傍に到来しなかった場合、前記商品陳列位置の近傍に設置すべき前記広告である商品近傍広告を、前記売上改善情報として生成する
ことを特徴とする請求項6に記載の売上改善情報提供システム。
【請求項10】
前記売上改善情報は、前記商品の新たな価格及び前記商品の広告のうち少なくとも一方に関する情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の売上改善情報提供システム。
【請求項11】
前記広告は、前記商品が陳列されている前記商品陳列位置の近傍に設置すべき商品近傍広告である
ことを特徴とする請求項10に記載の売上改善情報提供システム。
【請求項12】
商品が陳列されている商品陳列位置を撮像した映像を取得する映像取得ステップと、
前記商品の販売実績に関する情報である販売情報を取得する販売情報取得ステップと、
前記商品及び前記商品陳列位置を対応付けた商品位置情報と前記映像とを基に、前記商品に関する顧客の行動である顧客行動を解析する映像解析ステップと、
前記販売情報及び前記顧客行動を基に、前記商品の売上を改善するための情報である売上改善情報を生成する売上改善情報生成ステップと、
前記売上改善情報を提供する売上改善情報提供ステップと
を有することを特徴とする売上改善情報提供方法。
【請求項13】
商品が陳列されている商品陳列位置を撮像した映像を取得する映像取得部と、
前記商品の販売実績に関する情報である販売情報を取得する販売情報取得部と、
前記商品及び前記商品陳列位置を対応付けた商品位置情報と前記映像とを基に、前記商品に関する顧客の行動である顧客行動を解析する映像解析部と、
前記販売情報及び前記顧客行動を基に、前記商品の売上を改善するための情報である売上改善情報を生成する売上改善情報生成部と
を具えることを特徴とする売上改善情報生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は売上改善情報提供システム及び売上改善情報提供方法並びに売上改善情報生成装置に関し、例えば小売店における商品の販売等を管理するシステムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客に商品を販売する小売店等においては、情報表示機能や通信機能を有する電子値札を商品の陳列棚等に設け、各商品の提示価格を容易に変更し得る電子値札を有するシステムを導入している場合がある。さらに、このようなシステムを前提として、例えば無線通信機能を有するICカードを顧客に持たせ、該ICカードと電子値札との間で通信を行うことにより、顧客に応じた価格等を表示して当該商品の販売を促進する連携システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-83368号公報(
図8等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる構成の連携システムでは、商品陳列棚において商品毎に電子値札を設けるために構成が複雑化し、また各顧客にICカードを持たせるため煩雑な作業を強いることになり、さらには相応のコストを要する、という問題があった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、簡易な構成により、商品の売上を改善させ得る売上改善情報提供システム及び売上改善情報提供方法並びに売上改善情報生成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の売上改善情報提供システムにおいては、商品が陳列されている商品陳列位置を撮像した映像を取得する映像取得部と、商品の販売実績に関する情報である販売情報を取得する販売情報取得部と、商品及び商品陳列位置を対応付けた商品位置情報と映像とを基に、商品に関する顧客の行動である顧客行動を解析する映像解析部と、販売情報及び顧客行動を基に、商品の売上を改善するための情報である売上改善情報を生成する売上改善情報生成部と、売上改善情報を提供する売上改善情報提供部とを設けるようにした。
【0007】
また本発明の売上改善情報提供方法においては、商品が陳列されている商品陳列位置を撮像した映像を取得する映像取得ステップと、商品の販売実績に関する情報である販売情報を取得する販売情報取得ステップと、商品及び商品陳列位置を対応付けた商品位置情報と映像とを基に、商品に関する顧客の行動である顧客行動を解析する映像解析ステップと、販売情報及び顧客行動を基に、商品の売上を改善するための情報である売上改善情報を生成する売上改善情報生成ステップと、売上改善情報を提供する売上改善情報提供ステップとを有するようにした。
【0008】
さらに本発明の売上改善情報生成装置においては、商品が陳列されている商品陳列位置を撮像した映像を取得する映像取得部と、商品の販売実績に関する情報である販売情報を取得する販売情報取得部と、商品及び商品陳列位置を対応付けた商品位置情報と映像とを基に、商品に関する顧客の行動である顧客行動を解析する映像解析部と、販売情報及び顧客行動を基に、商品の売上を改善するための情報である売上改善情報を生成する売上改善情報生成部とを設けるようにした。
【0009】
本発明は、映像を解析することにより、顧客が商品に対して取った顧客行動を良好に把握できる。このため本発明は、電子値札やICカード等を使用することなく、当該顧客の行動に応じて、各商品の価格や広告等の変更に必要な売上改善情報を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成により、商品の売上を改善させ得る売上改善情報提供システム及び売上改善情報提供方法並びに売上改善情報生成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】売上改善情報提供システムの各構成要素及び配置を示す模式図である。
【
図2】売上改善情報提供システムの全体構成を示す略線的ブロック図である。
【
図4】POSサーバの構成を示す略線的ブロック図である。
【
図5】監視カメラの構成を示す略線的ブロック図である。
【
図6】解析サーバの構成を示す略線的ブロック図である。
【
図7】プリンタの構成を示す略線的ブロック図である。
【
図8】精算データ生成処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】販売集計データ更新処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】映像データ生成処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】映像データ解析処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】売上改善情報生成更新処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】売上改善措置テーブルを示す略線図である。
【
図14】売上改善情報出力処理手順を示すフローチャートである。
【
図15】印刷内容テーブルの構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0013】
[1.売上改善情報提供システムの構成]
図1に模式図を示すと共に
図2にブロック図を示すように、本実施の形態による売上改善情報提供システム1は、小売店の売り場2及びバックヤード3に分かれて複数の機器がそれぞれ設置されると共に、各機器が適宜接続された構成となっている。
【0014】
売り場2は、小売店内において、販売中の商品が陳列されており、店員(図示せず)や顧客CSが自由に移動できる領域である。この売り場2には、POS(Point Of Sales)レジ4、商品陳列棚5及び監視カメラ6が設置されている。因みに、実際の売り場2には複数のPOSレジ4、複数の商品陳列棚5及び複数の監視カメラ6がそれぞれ設置されている。ただし作図の都合上、
図1及び
図2ではそれぞれ1個ずつを示している。
【0015】
一方、バックヤード3は、小売店内において、顧客CSの立ち入りを禁じた領域であり、小売店の業務に関する種々の機器や設備が設けられ、また一部の商品における販売前の在庫等が格納されている。このバックヤード3には、POSサーバ7、解析サーバ8及びプリンタ9が設けられている。
【0016】
POSレジ4は、売り場2の一角に設けられる精算所に設置されており、購入を希望する商品を持った顧客CSがこの精算所に到来し、当該商品の精算手続を行う際に、主にレジ係員(図示せず)により使用される。このPOSレジ4は、
図3にブロック図を示すように、制御部11、記憶部12、通信部13、表示部14、操作部15、読取部16、貨幣処理部17及び印刷部18等を有している。因みにPOSレジ4には、クレジットカードを読み取るカードリーダー(図示せず)や、スマートフォンの画面に表示される決済処理用の2次元コード等を読み取るためのスキャナー(図示せず)等も接続されている。
【0017】
制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有している。この制御部11は、RAMをワークエリアとして使用しながら、記憶部12等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。また制御部11は、その内部に設けられた計時部11Cにより、現在時刻を取得し得るようになっている。
【0018】
記憶部12は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)のような不揮発性の記憶媒体であり、商品に関する情報が格納された商品情報テーブルや、顧客ごとの精算手続に関する情報を格納した精算リスト等、種々の情報を記憶する。このうち商品情報テーブル(図示せず)には、例えば商品名や製造メーカー名、価格、及び当該商品に一意に割り当てられた商品コード等、小売店において販売されている商品に関する種々の情報が相互に対応付けられるように格納されている。また精算リスト(図示せず)には、精算手続ごとに、販売された商品名、数量及び金額等が格納される。
【0019】
通信部13は、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3(IEEE802.3u/ab/an/ae)等の規格に準拠した有線LAN(Local Area Network)のインタフェースである。この通信部13は、所定のプロトコルに従い、POSサーバ7との間で種々の情報を送受信する。
【0020】
表示部14は、例えば液晶パネルのような表示デバイスであり、制御部11の制御に基づき種々の情報を表示する。操作部15は、例えば液晶パネルの表面に設けられたタッチセンサや複数の物理的な操作キー等でなり、レジ係員等の操作入力を受け付け、制御部11に通知する。
【0021】
読取部16は、バーコードスキャナ等とも呼ばれており、所定の読取光を発光する発光素子や反射光を受光する受光素子等が組み込まれている。この読取部16は、商品の外装等に設けられたバーコードに近づけられると、読取光を照射すると共に反射光を受光することにより、該バーコードを読み取って商品コードを生成し、この商品コードを制御部11に供給する。
【0022】
貨幣処理部17は、硬貨及び紙幣(以下、両者をまとめて貨幣と呼ぶ)それぞれについて、入金された貨幣の金種や真偽の鑑別、該貨幣の金種別の収納、さらには該貨幣の出金等を行う。印刷部18は、制御部11の制御に基づき、所定のレシート用紙に印刷処理を行って排出することにより、レシートを発行する。
【0023】
このPOSレジ4は、商品を持った顧客CSが到来すると、レジ係員の操作により、精算処理を開始する。このときPOSレジ4は、レジ係員に把持された読取部16により商品のバーコードを読取り、読み取った商品コードと対応する商品名や価格等を記憶部12の商品情報テーブルから読み出し、各商品の商品名、数量及び金額等を順次計上していく。
【0024】
その後、POSレジ4は、全ての商品を計上し終えると、会計処理に移って合計金額を算出し、現金(すなわち貨幣)による支払やクレジットカード等を利用した決済処理等を行い、当該顧客CSとの間における精算の手続を終了する。このときPOSレジ4は、各商品の商品名、数量及び金額等、並びに現在時刻の情報を含む精算データを生成し、これをPOSサーバ7へ送信する。この精算データは、各商品の販売実績を表す情報となる。
【0025】
POSサーバ7は、バックヤード3に設置されており、POSレジ4及び解析サーバ8と接続されている。このPOSサーバ7は、
図4にブロック図を示すように、制御部21、記憶部22及び通信部23等を有している。制御部21は、POSレジ4の制御部11(
図3)と同様、図示しないCPU、RAM及びROM等を有しており、該ROMや記憶部22等から読み出した各種プログラムを該CPUにおいて実行することにより、様々な処理を行う。
【0026】
記憶部22は、POSレジ4の記憶部12(
図3)と同様、SSDやHDD等のような不揮発性の記憶媒体である。この記憶部22には、例えば商品の在庫管理等を行う商品管理テーブル(図示せず)を格納する領域や、POSレジ4から送信された精算データの内容を記憶する領域等が設けられている。通信部23は、POSレジ4の通信部13(
図3)と同様、例えばIEEE802.3等の規格に準拠した有線LANのインタフェースであり、所定のプロトコルに従い、POSレジ4及び解析サーバ8との間で種々の情報を送受信する。
【0027】
このPOSサーバ7は、POSレジ4から受信した各精算データを中継して解析サーバ8へ供給すると共に、所定の集計単位(例えば1日や1週間等)ごとに所定の集計処理等を行うことにより、商品ごとの販売集計データを生成する(詳しくは後述する)。
【0028】
監視カメラ6は、
図5にブロック図を示すように、制御部31、記憶部32、通信部33及び撮像部34等を有している。制御部31は、POSレジ4の制御部11(
図3)と同様、図示しないCPU、RAM及びROM等を有しており、該ROMや記憶部32等から読み出した各種プログラムを該CPUにおいて実行することにより、様々な処理を行う。また制御部31は、制御部11と同様に、その内部に設けられた計時部31Cにより、現在時刻を取得し得るようになっている。
【0029】
記憶部32は、POSレジ4の記憶部12(
図3)と同様、SSD等のような不揮発性の記憶媒体であり、撮像処理に必要な種々の設定情報や、撮像された映像等、種々の情報を記憶する。通信部33は、POSレジ4の通信部13(
図3)と同様、例えばIEEE802.3等の規格に準拠した有線LANのインタフェースであり、所定のプロトコルに従い、解析サーバ8との間で種々の情報を送受信する。
【0030】
撮像部34は、例えば光を集光するレンズやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子等(何れも図示せず)を有しており、所定の撮像周期(例えば30[Hz]や60[Hz]等)ごとに所定の撮像範囲を撮像して映像データを生成する。因みに監視カメラ6は、売り場2における比較的高い位置に取り付けられており、商品陳列棚5やその周囲を適切な大きさで撮像し得るよう、その取付位置やレンズの光学特性等が適切に選定されている。
【0031】
この監視カメラ6は、所定の撮像周期毎に商品陳列棚5及びその周囲を撮像して映像データを生成し、この映像データを解析サーバ8へ供給する(詳しくは後述する)。
【0032】
解析サーバ8は、
図6にブロック図を示すように、制御部41、記憶部42及び通信部43等を有している。制御部41は、POSレジ4の制御部11(
図3)と同様、図示しないCPU、RAM及びROM等を有しており、該ROMや記憶部42等から読み出した各種プログラムを該CPUにおいて実行することにより、様々な処理を行う。
【0033】
制御部41は、POSレジ4の制御部11(
図3)と同様、図示しないCPU、RAM及びROM等を有しており、該ROMや記憶部42等から読み出した各種プログラムを該CPUにおいて実行することにより、様々な処理を行う。
【0034】
また制御部41は、記憶部42等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、その内部に映像解析部51及び売上改善情報生成部52といった複数の機能ブロックを形成する。このうち映像解析部51は、監視カメラ6から供給される映像データを基に、主に顧客の行動に関する解析処理を行う部分であり、その内部に到来判定部53及び手持判定部54といった複数の機能ブロックが形成される。また売上改善情報生成部52は、小売店の売上を改善するための情報である売上改善情報を生成する部分であり、その内部に価格情報生成部55及び広告情報生成部56といった複数の機能ブロックが形成される。なお、売上改善情報の詳細については後述する。
【0035】
記憶部42は、POSレジ4の記憶部12(
図3)と同様、例えばSSDやHDD等のような不揮発性の記憶媒体である。この記憶部42は、解析処理に必要な種々の情報や各種プログラム等を記憶すると共に、配置情報記憶領域61、商品情報記憶領域62、映像記憶領域63、行動情報記憶領域64及び売上改善情報記憶領域65等が設けられている。
【0036】
このうち配置情報記憶領域61には、売り場2(
図1)における各商品陳列棚5の配置に関する情報や、各商品陳列棚5における各商品の配置に関する情報等が格納されている。商品情報記憶領域62には、POSサーバ7から供給される精算データや商品ごとの販売集計データ等、各商品の販売実績に関する情報が格納される。
【0037】
映像記憶領域63には、監視カメラ6から供給される映像データのうち、新しいものから所定期間の部分(例えば7日分)が記憶される。行動情報記憶領域64は、映像解析部51において解析された顧客の行動に関する情報である行動情報が格納される。売上改善情報記憶領域65は、売上改善情報生成部52において生成された売上改善情報が格納される。
【0038】
通信部43は、POSレジ4の通信部13(
図3)と同様、例えばIEEE802.3等の規格に準拠した有線LANのインタフェースであり、所定のプロトコルに従い、POSサーバ7、監視カメラ6及びプリンタ9との間で種々の情報を送受信する。
【0039】
この解析サーバ8は、監視カメラ6から供給される映像データを基に、顧客CSの行動を解析して行動データを生成する。また解析サーバ8は、POSサーバ7から供給される精算データと生成した行動データとを基に売上改善情報を生成し、この売上改善情報に基づいた印刷データを生成してプリンタ9に送信する(詳しくは後述する)。
【0040】
プリンタ9は、
図7にブロック図を示すように、制御部71、記憶部72、通信部73及び印刷部74等を有している。制御部71は、POSレジ4の制御部11(
図3)と同様、図示しないCPU、RAM及びROM等を有しており、該ROMや記憶部72等から読み出した各種プログラムを該CPUにおいて実行することにより、様々な処理を行う。
【0041】
記憶部72は、POSレジ4の記憶部12(
図3)と同様、SSD等のような不揮発性の記憶媒体であり、印刷プログラムや種々の設定情報等、印刷処理に必要な種々の情報を記憶する。通信部73は、POSレジ4の通信部13(
図3)と同様、例えばIEEE802.3等の規格に準拠した有線LANのインタフェースであり、所定のプロトコルに従い、解析サーバ8との間で種々の情報を送受信する。
【0042】
印刷部74は、例えば用紙を収納する用紙カセットや該用紙を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送機構、或いは各色のトナーを使用してトナー画像を形成する画像形成部や該トナー画像を用紙に定着させる定着部等を有している。
【0043】
このプリンタ9は、解析サーバ8から供給される印刷データに基づいた印刷処理を行うことにより、商品陳列棚5(
図1)における各商品の陳列箇所に取り付ける値札PTや、商品近傍広告PP等を印刷する。この商品近傍広告PPは、POP(Point Of Purchase advertising)等とも呼ばれており、主に売り場2内における各商品の近傍等に設置される宣伝や広告であり、顧客の目を引いて当該商品に意識を向けさせるためのものである。
【0044】
[2.各データに関する処理]
次に、売上改善情報提供システム1において、精算データを生成する処理、販売集計データを更新する処理、映像データを生成する処理、該映像データを解析する処理、売上改善情報を生成及び更新する処理、並びに売上改善情報を出力する処理について、それぞれ説明する。
【0045】
[2-1.精算データ生成処理]
まず、精算データを生成する処理について説明する。POSレジ4は、商品を持った顧客CSが到来すると、レジ係員の操作により精算処理の開始が指示される。これに応じてPOSレジ4の制御部11(
図3)は、
図8に示す精算データ生成処理手順RT1を開始し、最初のステップSP11に移る。
【0046】
ステップSP11において制御部11は、精算リストを初期化し、次のステップSP12に移る。この精算リストは、1回の精算処理において顧客CSが購入する各商品の商品名、数量及び金額等をそれぞれ格納するための格納場所であり、精算処理が行われる度に新たに生成される。
【0047】
ステップSP12において制御部11は、レジ係員に把持された読取部16(
図3)により商品のバーコードを読取らせ、当該バーコードを復号化することにより商品コードを取得し、次のステップSP13に移る。ステップSP13において制御部11は、商品コードと対応する商品名や価格等を記憶部12(
図3)の商品情報テーブルから読み出して精算リストに格納し、該精算リストの少なくとも一部を表示部14に表示して、次のステップSP14に移る。
【0048】
ステップSP14において制御部11は、顧客CSが持ち込んだ商品を全て精算リストに登録し終えたか否か、具体的にはレジ係員により登録作業を完了する操作が行われたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは顧客CSにより持ち込まれた商品のうち、精算リストに未登録のものが残っていることを表している。このとき制御部11は、ステップSP12に戻り、商品ごとに一連の処理を繰り返す。
【0049】
一方、ステップSP14において肯定結果が得られると、このことは顧客CSにより持ち込まれた全ての商品を精算リストに登録し終えたため、代金の支払に関する手続を行う必要があることを表している。このとき制御部11は、次のステップSP15に移る。ステップSP15において制御部11は、精算リストに登録された全商品の金額を加算することにより合計金額を算出し、この合計金額を表示部14(
図3)に表示させ、次のステップSP16に移る。これにより制御部11は、顧客CSに対し、合計金額の支払いを促すことになる。
【0050】
ステップSP16において制御部11は、貨幣処理部17(
図3)により、顧客CSから支払われた現金(貨幣)に関する処理を行い、次のステップSP17に移る。具体的に制御部11は、顧客CSからレジ係員が受け取った貨幣を貨幣処理部17に入金させ、また該貨幣処理部17により出金された釣銭をレジ係員により顧客CSに引き渡させる。因みに制御部11は、現金の支払に代えて、クレジットカードや各種電子マネーの2次元コードを使用した決済等を受け付けることもできる。
【0051】
ステップSP17において制御部11は、精算リストの内容をデータ化した精算データを生成し、計時部11Cから現在時刻を取得して、該現在時刻を表す情報を該精算データに埋め込み、次のステップSP18に移る。ステップSP18において制御部11は、通信部13(
図3)により精算データをPOSサーバ7へ送信した後、次のステップSP19に移って精算データ生成処理手順RT1を終了する。
【0052】
因みに制御部11は、商品を持った顧客CSが到来する度に、レジ係員の操作に基づき精算データ生成処理手順RT1を実行する。
【0053】
[2-2.販売集計データ更新処理手順]
次に、販売集計データの更新について説明する。POSサーバ7の制御部21(
図4)は、POSレジ4から精算データを受信すると、
図9に示す販売集計データ更新処理手順RT2を開始し、最初のステップSP21に移る。
【0054】
ステップSP21において制御部21は、POSレジ4から送信された精算データを解析し、該精算データに含まれている商品名やその数量をそれぞれ認識して、次のステップSP22に移る。ステップSP22において制御部21は、解析した精算データを基に、商品ごとの販売集計データを更新し、次のステップSP23に移る。
【0055】
ステップSP23において制御部21は、受信した精算データ及び更新した販売集計データを記憶部22(
図4)に記憶させ、次のステップSP24に移る。ステップSP24において制御部21は、精算データを解析サーバ8へ送信した後、次のステップSP25に移って販売集計データ更新処理手順RT2を終了する。また制御部21は、例えば1日の営業が終了した後等のタイミングで、当該1日分の販売集計データを解析サーバ8に送信する。
【0056】
[2-3.映像データ生成処理]
次に、映像データを生成する処理について説明する。監視カメラ6の制御部31(
図5)は、電源が投入されると、所定の初期化処理等を実行した後、待機状態となる。その後、制御部31は、計時部31Cにより営業開始時刻(例えば午前10時等)になったことを検出すると、
図10に示す映像データ生成処理手順RT3を開始し、最初のステップSP31に移る。
【0057】
ステップSP31において制御部31は、撮像部34(
図5)により、所定の撮像周期(例えば1/30秒や1/60秒等)ごとに、商品陳列棚5及びその周囲を含む撮像範囲を撮像して1枚の静止画像データを生成し、次のステップSP32に移る。ステップSP32において制御部31は、計時部31Cから現在時刻を取得し、この現在時刻を静止画像データと対応付け、これらを記憶部32に一時的に記憶させた後、次のステップSP33に移る。
【0058】
ステップSP33において制御部31は、所定数の静止画像データが生成される度に、該静止画像データに対し所定の符号化処理や圧縮処理等を行うことにより映像データを生成し、次のステップSP34に移る。
【0059】
ステップSP34において制御部31は、所定時間(例えば5分間等)の映像データが生成される度に、該映像データを解析サーバ8へ供給し、次のステップSP35に移る。これに応じて解析サーバ8の制御部41は、受信した映像データを記憶部42の映像記憶領域63(
図6)に格納する。ステップSP35において制御部31は、映像データ生成処理手順RT3を終了する。
【0060】
因みに監視カメラ6は、計時部31Cにより営業終了時刻(例えば午後8時等)になるまで、この映像データ生成処理手順RT3を繰り返し実行する。
【0061】
[2-4.映像データ解析処理]
次に、映像データを解析する処理について説明する。解析サーバ8の制御部41(
図6)は、POSサーバ7から精算データを受信すると、
図11に示す映像データ解析処理手順RT4を開始し、最初のステップSP41に移る。
【0062】
ステップSP41において制御部41は、映像解析部51により、映像データの解析処理を行い、次のステップSP42に移る。ここで記憶部42の配置情報記憶領域61(
図6)には、配置情報として、監視カメラ6の撮像範囲における各座標と、売り場2(
図1)における床や壁(図示せず)の位置を表す情報、或いは商品陳列棚5の位置や該商品陳列棚5に陳列された各商品の位置(以下これを商品陳列位置とも呼ぶ)とを対応付けた商品位置情報等が予め記憶されている。映像解析部51は、この配置情報を利用しながら、映像データから主に人(すなわち顧客CS)の領域を抽出すると共に、当該人の頭、体、手及び足等をそれぞれ判別する。
【0063】
ステップSP42において制御部41は、映像解析部51により、顧客CSが商品の近傍に到来したか否かを判定する。具体的に映像解析部51の到来判定部53(
図6)は、映像データから判別された人(すなわち顧客CS)と、商品陳列位置との間隔が所定の近傍距離(例えば0.5[m])以内にいる状態を所定の滞留時間(例えば3[s])以上継続したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは顧客CSが少なくとも商品陳列棚5の近傍において滞留していたため、さらに何れかの商品を手に取った可能性や、当該商品を購入した可能性があることを表している。このとき制御部41は、次のステップSP43に移る。
【0064】
ステップSP43において制御部41は、映像解析部51の到来判定部53により、商品陳列棚5に陳列されている各商品について、顧客CSが近傍に到来したことを表す到来データを生成し、次のステップSP44に移る。
【0065】
ステップSP44において制御部41は、映像解析部51により、顧客CSが商品陳列棚5から各商品を取ったか否かを判定する。具体的に映像解析部51の手持判定部54(
図6)は、映像データから判別された人(すなわち顧客CS)が、商品陳列棚5に陳列されている商品を手に取ったか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは当該顧客CSが当該商品に興味を持っていることを表している。このとき制御部41は、次のステップSP45に移る。
【0066】
ステップSP45において制御部41は、映像解析部51の手持判定部54により、顧客CSが手に取った商品について、手に取られた(持たれた)ことを表す手持データを生成し、次のステップSP46に移る。
【0067】
一方、制御部41は、ステップSP42において否定結果が得られた場合、すなわち顧客CSが商品陳列棚5の近傍に到来していなかった場合、ステップSP46に移る。また制御部41は、ステップSP44において否定結果が得られた場合、すなわち顧客CSが商品を手に取っていなかった場合にも、ステップSP46に移る。
【0068】
ステップSP46において制御部41は、映像解析部51により、映像データに含まれている時刻情報と、到来データ及び手持データ(それぞれ生成した場合のみ)とを対応付けて行動情報を生成し、次のステップSP47に移る。ステップSP47において制御部41は、生成した行動情報を記憶部42の行動情報記憶領域64(
図6)に記憶させた後、その次のステップSP48に移って映像データ解析処理手順RT4を終了する。なお以下では、説明の都合により、顧客CSが商品の近傍に到来する行動及び当該商品を手に取る行動を、まとめて顧客行動とも呼ぶ。
【0069】
[2-5.売上改善情報生成更新処理]
次に、売上改善情報を生成及び更新する処理について説明する。解析サーバ8の制御部41は、POSサーバ7から精算データを受信すると、
図12に示す売上改善情報生成更新処理手順RT5を開始し、最初のステップSP51に移る。因みに制御部41は、準備処理として、受信した精算データを商品情報記憶領域62(
図6)に記憶させる。また制御部41は、各商品の商品名を格納するための商品リスト(図示せず)を用意し、且つ該商品リストにおいて全ての商品について、判定処理を行っていないことを表す「未処理」に設定している。
【0070】
ステップSP51において制御部41は、売上改善情報生成部52により、精算データに含まれている各商品、すなわち実際に販売された各商品の商品名をそれぞれ抽出し、これらを商品リストに格納して、次のステップSP52に移る。ステップSP52において制御部41は、売上改善情報生成部52により、行動データに含まれている各商品の商品名をそれぞれ抽出し、これらを商品リストに追加格納して、次のステップSP53に移る。ただし売上改善情報生成部52は、既に商品リストに登録されている商品名は、追加格納をしない。
【0071】
ステップSP53において制御部41は、売上改善情報生成部52により、処理状況リストにおいて未処理となっている商品を1つ選択し、次のステップSP54に移る。
【0072】
ステップSP54において制御部41は、売上改善情報生成部52により、精算データを基に、当該商品が販売されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは当該商品に人気があると推測されるため、販売価格を現在よりも高めた場合に、十分な数量を販売でき十分な利益を得られる可能性があることを表している。このとき制御部41の売上改善情報生成部52は、次のステップSP55に移り、価格情報生成部55(
図6)により、当該商品の販売価格を所定の差額分だけ増額した価格情報を生成し、その次のステップSP61に移る。
【0073】
一方、ステップSP54において否定結果が得られると、このことは当該商品が購入に至らなかったため、当該商品の販売数量を増加させるための対策を講じる必要があることを表している。このとき売上改善情報生成部52は、次のステップSP56に移る。
【0074】
ステップSP56において制御部41は、売上改善情報生成部52により、行動データを基に、当該商品の近傍に顧客CSが到来したか否かを判定する。具体的に売上改善情報生成部52は、精算データに埋め込まれている時刻から過去所定時間(例えば30分間)以内の時刻が埋め込まれた行動データを対象として、顧客CSによる到来の有無を判定する。ここで否定結果が得られると、このことは顧客CSが当該商品に気付いていない可能性があることを表している。このとき売上改善情報生成部52は、次のステップSP60に移る。
【0075】
一方、ステップSP56において肯定結果が得られると、このことは顧客CSが少なくとも当該商品の近傍に到来し、且つある程度滞留していることを表している。このとき売上改善情報生成部52は、さらに詳細な状況に応じた処理を行うべく、次のステップSP57に移る。
【0076】
ステップSP57において制御部41は、売上改善情報生成部52により、当該商品が手に取られたか否かを判定する。具体的に売上改善情報生成部52は、ステップSP56と同様に、精算データに埋め込まれている時刻から過去所定時間(例えば30分間)以内の時刻が埋め込まれた行動データを対象として、顧客CSによる手持の有無を判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは顧客CSが当該商品に興味を有しており、実際に当該商品を手に取ってみたものの、何らかの魅力が不足していたために購入に至らなかったことを表している。このとき売上改善情報生成部52は、次のステップSP60に移る。
【0077】
一方、ステップSP57において否定結果が得られると、このことは顧客CSが当該商品の近傍にまで到来しているものの、当該商品に着目しなかったと考えられることを表している。このとき制御部41の売上改善情報生成部52は、次のステップSP58に移り、当該商品の近傍にPOPが設置されているか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは顧客CSが当該商品を見たものの、何らかの魅力が不足していたために手に取られなかったことを表している。このとき制御部41の売上改善情報生成部52は、次のステップSP59に移る。
【0078】
ステップSP59において制御部41は、売上改善情報生成部52の価格情報生成部55(
図6)により、当該商品の販売価格を所定の差額分だけ減額した価格情報を生成して当該商品の魅力を高めて、次のステップSP62に移る。
【0079】
一方、ステップSP58において否定結果が得られると、このことは顧客CSが当該商品に気付いていない可能性があることを表している。このとき制御部41の売上改善情報生成部52は、次のステップSP60に移る。
【0080】
ステップSP60において制御部41は、売上改善情報生成部52の広告情報生成部56(
図6)により、顧客CSの注意を当該商品に向けるような商品近傍広告PP(いわゆるPOP)を追加するための広告情報を生成し、次のステップSP61に移る。
【0081】
ステップSP61において制御部41は、売上改善情報生成部52により、生成された価格情報及び広告情報を基に売上改善情報を更新し、これを記憶部42の売上改善情報記憶領域65(
図6)に記憶させて、次のステップSP62に移る。ステップSP62において制御部41は、売上改善情報生成部52により、商品リストにおいて当該商品を処理済に設定し、次のステップSP63に移る。
【0082】
ステップSP63において制御部41は、商品リストにおいて未処理の商品が残っているか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、制御部41は、再びステップSP53に戻り、残りの商品についても一連の処理を繰り返すことにより、売上改善情報を順次更新していく。
【0083】
一方、ステップSP63において否定結果が得られると、このことは全ての商品に関して一連の処理を完了し、売上改善情報を更新し終えたことを表している。このとき制御部41は、次のステップSP64に移り、売上改善情報生成更新処理手順RT5を終了する。その後、解析サーバ8の制御部41は、POSサーバ7から精算データを受信する度に売上改善情報生成更新処理手順RT5を実行し、そのたびに売上改善情報を更新する。
【0084】
ここで、売上改善情報生成更新処理手順RT5における販売の有無、到来の有無及び手持の有無、並びにPOPの有無に応じた売上改善の措置について整理すると、
図13の売上改善措置テーブルT1のように表すことができる。
【0085】
[2-6.売上改善情報出力処理]
次に、売上改善情報を出力する処理について説明する。解析サーバ8の制御部41は、所定の印刷実行時刻、例えば小売店の営業終了時刻よりもやや遅い時刻になると、
図14に示す売上改善情報出力処理手順RT7を開始し、最初のステップSP71に移る。ステップSP71において制御部41は、記憶部42の売上改善情報記憶領域65(
図6)から最新の売上改善情報を読み出し、次のステップSP72に移る。
【0086】
ステップSP72において制御部41は、読み出した売上改善情報を基に印刷データを生成し、次のステップSP73に移る。このとき生成される印刷データは、例えば
図15に示す印刷内容テーブルT2のような内容となっている。ステップSP73において制御部41は、生成した印刷データをプリンタ9(
図1)へ送信した後、次のステップSP74に移る。
【0087】
これに応じてプリンタ9の制御部71(
図7)は、受信した印刷データに基づいた印刷処理を行うことにより、各商品の値札PTや商品近傍広告PP(
図1)を用紙に印刷する。この値札PT及び商品近傍広告PPは、小売店の店員により、商品陳列棚5における各商品と対応する位置にそれぞれ配置される。
【0088】
ステップSP74において制御部41は、売上改善情報のうち各商品とその販売価格に関する情報をPOSサーバ7へ送信した後、次のステップSP75に移って売上改善情報出力処理手順RT7を終了する。
【0089】
これに応じてPOSサーバ7の制御部21は、受信した各商品及び販売価格に関する情報をPOSレジ4へ送信する。POSレジ4の制御部11(
図3)は、受信した各商品の販売価格を基に、記憶部12に記憶している商品情報テーブルの内容を更新する。これによりPOSレジ4では、翌営業日以降に、各商品について更新後の価格を基に精算処理を行うことができる。
【0090】
[3.効果等]
以上の構成において、本実施の形態による売上改善情報提供システム1は、監視カメラ6により撮像された映像データを解析サーバ8により解析し、各商品に対する顧客CSの行動を表す行動データを生成する。続いて売上改善情報提供システム1は、POSレジ4からPOSサーバ7を経由して供給される精算データとこの行動データとを基に、解析サーバ8において販売価格の増減又はPOPの追加を表す売上改善情報を更新する。さらに売上改善情報提供システム1は、小売店の営業終了時刻よりもやや遅い時刻に、売上改善情報に基づいた値札PT及び商品近傍広告PPをプリンタ9により印刷させる。
【0091】
これにより売上改善情報提供システム1では、顧客CSによる各商品に対する注目の状況や興味の有無等を客観的に把握することができ、これに応じて各商品の価格の増減やPOPの追加等を適切に行うことができる。特に売上改善情報提供システム1では、顧客CSが商品の近傍に到来したか否かと、当該商品が手に取られたか否かとを基に売上改善情報を更新するため、当該商品に対する顧客CSの注目や興味の度合いを良好に反映させた適切な対策を講じることができる。
【0092】
ところで、多くの小売店では、防犯等の目的により、売り場2に監視カメラ6が設置されている。また多くの小売店では、POSレジ4及びPOSサーバ7等によるPOSシステムが構成されている。そこで売上改善情報提供システム1では、これらと解析サーバ8とを組み合わせることにより、導入時に要するコストを抑えながら、売上の増加に寄与し得るような売上改善情報を生成することができる。
【0093】
他の観点から見ると、既存のPOSシステム等では、実際に販売された商品の数量については正確な情報が得られるものの、販売に至らなかった商品について、顧客CSが近傍に到来しているか否かや手に取ったか否か等に関しては、知ることができなかった。
【0094】
この点において売上改善情報提供システム1では、監視カメラ6により撮像された映像データを解析サーバ8により解析するため、売り場2における顧客CSの行動、具体的には各商品に関する近傍への到来の有無や手に取ったか否か等を詳細に把握することができる。これにより売上改善情報提供システム1では、販売に至らなかった商品に関し、顧客CSに着目させるためのPOPの追加や購買意欲を高めるための販売価格の減額など、該顧客CSの行動に応じた適切な措置をとることができる。
【0095】
また売上改善情報提供システム1では、監視カメラ6により撮像された映像データを利用するため、多数の顧客CSへのICカードの配布や商品陳列棚5への多数の電子値札の設置等を行う必要が無い。このため売上改善情報提供システム1では、特許文献1に開示されているような連携システムと比較して、導入コストを抑えることができ、また顧客CSに煩わしい操作をさせる必要も無い。
【0096】
以上の構成によれば、売上改善情報提供システム1は、映像データを解析して得られた各商品に対する顧客CSの到来及び手持に関する行動データと、各商品の精算データとを基に売上改善情報を更新し、これに基づいた値札PT及び商品近傍広告PPをプリンタ9により印刷させる。これにより売上改善情報提供システム1では、顧客CSによる各商品に対する注目の状況や興味の有無等を客観的に把握でき、各商品の販売価格の増減やPOPの追加等を適切に行うことができ、その結果として売上の増加に繋げることができる。
【0097】
[4.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、解析サーバ8において映像データを解析することにより、顧客行動に関して、商品の近傍への到来の有無及び該商品の手持の有無を判定する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば顧客行動に関して到来及び手持の何れか一方のみを判定しても良い。或いは、例えば顧客CSの視線を解析することにより商品又はPOP等の広告に視線が向けられたか否かを判定し、若しくは当該商品が当該顧客CSの買い物かごに投入されたか否かを判定する等、当該商品に対する顧客CSの様々な行動を顧客行動とし、これらに関する種々の判定処理を行っても良い。さらには、例えば顧客CSがスマートフォンのような携帯情報端末を保有しており、商品やその広告を見た上で当該携帯情報端末を操作していたか否か、すなわち当該顧客CSが当該商品に関する情報を収集していたか否かを判定しても良い。
【0098】
また上述した実施の形態においては、解析サーバ8において映像データを解析することにより、顧客CSの行動を解析して行動データを生成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば、顧客CSの身長や髪型、或いは服装等から、当該顧客CSの性別や年齢層等を解析した顧客特性データを生成し、これを行動データと共に利用して売上改善情報を更新しても良い。さらには、例えば家族連れ等の複数人の集団で移動している顧客CSの場合に、実際に商品を手に取った顧客CSの顧客特性データを利用しても良い。具体的には、例えば子供が当該商品を手に取った場合に、子供に向けたPOPを追加するよう売上改善情報を更新することが考えられる。
【0099】
さらに上述した実施の形態においては、映像データ解析処理手順RT4(
図11)において、顧客CSの到来を判定する際の基準となる近傍距離を0.5[m]とし、また滞留時間を3[s]とする場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、近傍距離及び滞留時間をそれぞれ他の種々の値としても良い。
【0100】
さらに上述した実施の形態においては、売上改善情報生成更新処理手順RT5(
図12)において、精算データ及び行動データの時刻を基に、商品を購入した顧客CSの行動(到来及び手持)を判定する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば売り場2に複数の監視カメラ6が設置されている場合に、各監視カメラ6から得られる複数の映像データを基に、顧客CSがPOSレジ4に到達するまでの該売り場2における行動を追跡し、精算データと照合しても良い。この場合、当該顧客CSが実際に購入した商品と、売り場2における行動とを完全に対応付けることができるため、より高い精度で販売促進情報を更新することが可能となる。またこの場合、例えば小売店が所定のポイントカードを発行しており、当該顧客CSの性別や年齢層等を把握している場合に、精算処理においてこのポイントカードを読み取り、知得した性別や年齢層等の情報と、当該顧客CSの行動とを対応付けた上で、各種処理を行っても良い。
【0101】
さらに上述した実施の形態においては、売上改善情報生成更新処理手順RT5(
図12)において、商品の販売価格である価格情報と、POPの追加を表す広告情報とを売上改善情報に含める場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば価格情報及び広告情報のうち何れか一方のみを売上改善情報に含めても良い。或いは、例えば商品陳列棚5における各商品の配置に関する情報や、新聞等に折り込んで配達される広告(いわゆるチラシ)や各種ウェブサイトに表示する広告等、様々な媒体の広告に掲載する商品に関する情報等、小売店での商品の販売に関する種々の情報を売上改善情報に含めても良い。
【0102】
さらに上述した実施の形態においては、売上改善情報生成更新処理手順RT5(
図12)のステップSP59において、商品の販売価格を減額した価格情報を生成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば当該商品を購入すると所定のサービス券を進呈する等、種々の施策を設定しても良く、さらにはこれらを適宜組み合わせても良い。要は、顧客CSにとって当該商品の魅力を増加させ、購入される可能性を高めることができれば良い。
【0103】
さらに上述した実施の形態においては、売上改善情報生成更新処理手順RT5(
図12)に従い、販売の有無、到来の有無、手持の有無及びPOPの有無に応じた分岐処理を順次行い、売上改善の措置を決定する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば売上改善措置テーブルT1(
図13)を参照することにより、販売の有無、到来の有無、手持の有無及びPOPの有無に応じた売上改善措置を選択するようにしても良い。
【0104】
さらに上述した実施の形態においては、精算データがPOSレジ4からPOSサーバ7を介して解析サーバ8へ送信される度に、解析サーバ8が売上改善情報生成更新処理手順RT5(
図12)を実行する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば小売店における営業終了時刻の後に、解析サーバ8が1日分の精算データを基に売上改善情報生成更新処理手順RT5をまとめて実行しても良い。この場合、例えばPOSサーバ7により集計された各商品の販売数を利用しながら、各顧客CSが各商品の近傍に到来した回数及び手に持たれた回数を計数し、予め定めた所定の基準値との大小関係を基に、販売価格の増減やPOPの追加等を決定しても良い。
【0105】
さらに上述した実施の形態においては、解析サーバ8において売上改善情報出力処理手順RT7(
図14)を実行することにより、プリンタ9により各商品の値札PTや商品近傍広告PP(
図1)を印刷させる場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば売上改善情報を解析サーバ8からノート型やタブレット型等のコンピュータ装置(図示せず)へ送信し、その表示画面に該売上改善情報の内容を表示させても良い。この場合、当該表示画面を見た小売店の従業員が、手作業により、各商品の値札PTや商品近傍広告PPを作成又は更新すれば良い。
【0106】
さらに上述した実施の形態においては、POSレジ4をレジ係員が操作する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばいわゆるセルフレジ等の場合に、顧客CSがPOSレジ4を操作しても良い。
【0107】
さらに上述した実施の形態においては、監視用の監視カメラ6により撮像された映像データを基に顧客CSの行動データを生成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば監視用の監視カメラ6とは別に、売上改善情報を生成するための専用カメラを設け、これにより撮像された映像データを基に顧客CSの行動データを生成しても良い。これにより、顧客CSの行動を容易に解析し得る撮像範囲となるよう、該専用カメラを適切な位置に設置することが可能となる。
【0108】
さらに上述した実施の形態においては、解析サーバ8の制御部41(
図6)において、所定のプログラムを実行することにより、映像解析部51等の各機能ブロックをソフトウェアにより構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば映像解析部51等の各機能ブロックの一部又は全部をハードウェアにより構成しても良い。
【0109】
さらに上述した実施の形態においては、POSサーバ7及び解析サーバ8を互いに独立した構成とし、且つ該解析サーバ8において映像データ解析処理手順RT4(
図11)及び売上改善情報生成更新処理手順RT5(
図12)を何れも実行する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばPOSサーバ7を省略すると共に、解析サーバ8に該POSサーバ7と同等の機能を実行させるようにしても良い。或いは、例えば解析サーバ8において映像データ解析処理手順RT4のみを実行し、該解析サーバ8とは別に設けられた売上改善情報生成サーバ(図示せず)により、売上改善情報生成更新処理手順RT5を実行しても良い。すなわち売上改善情報提供システム1では、上述した各処理手順を実行し得る範囲において、ハードウェアの構成を種々の形態とすることができる。
【0110】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0111】
さらに上述した実施の形態においては、映像取得部としての映像記憶領域63と、販売情報取得部としての商品情報記憶領域62と、映像解析部としての映像解析部51と、売上改善情報生成部としての売上改善情報生成部52と、売上改善情報提供部としてのプリンタ9とによって、売上改善情報提供システムとしての売上改善情報提供システム1を構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる映像取得部と、販売情報取得部と、映像解析部と、売上改善情報生成部と、売上改善情報提供部とによって売上改善情報提供システムを構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、例えば小売店において各商品に対する顧客の行動を基に、当該商品の販売価格や広告を決定する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0113】
1……売上改善情報提供システム、4……POSレジ、6……監視カメラ、7……POSサーバ、8……解析サーバ、9……プリンタ、41……制御部、42……記憶部、43……通信部、51……映像解析部、52……売上改善情報生成部、53……到来判定部、54……手持判定部、55……価格情報生成部、56……広告情報生成部、61……配置情報記憶領域、62……商品情報記憶領域、63……映像記憶領域、64……行動情報記憶領域、65……売上改善情報記憶領域、CS……顧客、PP……商品近傍広告、PT……値札、T1……売上改善措置テーブル、T2……印刷内容テーブル。