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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172598
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】電動圧縮機及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20231129BHJP
   F04B 39/14 20060101ALI20231129BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20231129BHJP
【FI】
F04B39/00 106Z
F04B39/14
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084519
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100166833
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 直子
(72)【発明者】
【氏名】小林 幹生
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 和也
【テーマコード(参考)】
3H003
5H770
【Fターム(参考)】
3H003AA01
3H003AC03
3H003BE00
3H003CD01
3H003CF01
3H003CF04
5H770BA05
5H770DA03
5H770DA41
5H770QA01
5H770QA08
5H770QA22
5H770QA28
5H770QA31
(57)【要約】
【課題】 電動圧縮機において、電動モータを駆動する回路の放熱性能および耐震性能を確保しつつ、製造工程の複雑化を回避し、また部品点数の増加を抑えることで生産性の向上に加えるとともに、小型化も実現可能な電動圧縮機及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 電動圧縮機1は、モータ3が内蔵される筐体2と、回路基板8と、回路基板8の所定の領域に設けられるフィルタ回路部7と、備え、フィルタ回路部7を筐体2の内部に収めるように回路基板8が筐体2に組み付けられ、フィルタ回路部7は、回路基板8に実装されるフィルタ回路部品70と、射出成形によってフィルタ回路部品70を一体的に該回路基板8に固定する絶縁樹脂部73を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構及び該圧縮機構を駆動するモータが内蔵される筐体と、
回路基板と、
前記回路基板の所定の領域に設けられるフィルタ回路部を備え、
前記フィルタ回路部を前記筐体の内部に収めるように前記回路基板が前記筐体に組み付けられている電動圧縮機であって、
前記フィルタ回路部は、前記回路基板に実装される複数のフィルタ回路部品と、射出成形によって該フィルタ回路部品及び該回路基板を一体化する絶縁樹脂部を有する、
ことを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記絶縁樹脂部は、熱可塑性樹脂材により構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記筐体は回路収容部を有し、
前記フィルタ回路部は前記絶縁樹脂部が該回路収容部に対向するように該回路収容部に収められ、
前記絶縁樹脂部と前記回路収容部の間に放熱性を有するシートが配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記回路基板を前記筐体に固定するボルトが貫通するスリーブ部品を有し、
前記スリーブ部品は前記絶縁樹脂部によって前記フィルタ回路部品と一体化される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記回路基板の他の領域に、インバータ回路部及びモータ制御回路部が構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項6】
前記回路基板は、前記筐体に着脱可能に組付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項7】
前記インバータ回路部は、前記回路基板と電気的に接続する複数の半導体素子と、射出成形により該複数の半導体素子を一体化する他の絶縁樹脂部を有し、
前記半導体素子の端子の一部は前記他の絶縁樹脂部に覆われ、該端子の他の部分が前記回路基板と接続される、
ことを特徴とする請求項5に記載の電動圧縮機。
【請求項8】
前記フィルタ回路部における前記回路基板からの遠位端が、前記絶縁樹脂部により覆われている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項9】
回路基板に複数のフィルタ回路部品を実装する工程と、
射出成形によって絶縁樹脂を前記複数のフィルタ回路部品と前記回路基板との双方に介在させて両者を一体化する工程と、
前記回路基板を、圧縮機構及び該圧縮機構を駆動するモータが内蔵される筐体に着脱可能に組み付ける工程を有する、
ことを特徴とする電動圧縮機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに給電するインバータ回路部とスイッチング電流の高周波成分を吸収するフィルタ回路部を、モータが収容される筐体内に取り付けて成る電動圧縮機及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用の空気調和装置に用いられる電動圧縮機として、モータが収容される筐体内にインバータ回路部、およびフィルタ回路部を取り付けたインバータ一体型の電動圧縮機が用いられている。
【0003】
インバータ一体型の電動圧縮機のフィルタ回路部においては、電子部品(フィルタ素子部品)の冷却構造や、耐震補強構造について様々な提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1に記載の電動圧縮機は、フィルタ素子を保持する樹脂製のホルダに金属板を設け、当該金属板とハウジングとの間に、絶縁性の金属板用ポッティング樹脂を介在させ、フィルタ素子に接続する抵抗から生じる熱を金属板及び金属板用ポッティング樹脂を介してハウジングに放熱させている。
【0005】
また、特許文献2に記載の電動圧縮機は、フィルタ回路部の電気部品を収容する支持部材を注型とし、当該支持部材内に熱硬化性の樹脂を充填することで、フィルタ回路基板と支持部材(電気部品)を一体化し、支持部材をボルトによってハウジングに固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-116787号公報
【特許文献2】特開2019-143606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、特許文献1に記載の構成では、部品点数が多くなり、製造工程が複雑(煩雑)になるうえ、部品コストも高騰する。また、特許文献2に記載の構成では、電子部品は注型により樹脂モールドされるが、熱硬化性樹脂の硬化には時間がかかり、大量生産には適していない。このように、従来の電動圧縮機においてはいずれも、生産性の向上には限界があった。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、電動圧縮機において、電動モータを駆動する回路の放熱性能および耐震性能を確保しつつ、製造工程の複雑化を回避し、また部品点数の増加を抑えることで生産性の向上に加えるとともに、小型化も実現可能な電動圧縮機及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、圧縮機構及び該圧縮機構を駆動するモータが内蔵される筐体と、回路基板と、前記回路基板の所定の領域に設けられるフィルタ回路部を備え、前記フィルタ回路部を前記筐体の内部に収めるように前記回路基板が前記筐体に組み付けられている電動圧縮機であって、前記フィルタ回路部は、前記回路基板に実装される複数のフィルタ回路部品と、射出成形によって該フィルタ回路部品及び該回路基板を一体化する絶縁樹脂部を有する、ことを特徴とする電動圧縮機にかかるものである。
【0010】
また、本発明は、回路基板に複数のフィルタ回路部品を実装する工程と、射出成形によって絶縁樹脂を前記複数のフィルタ回路部品と前記回路基板との双方に介在させて両者を一体化する工程と、前記回路基板を、圧縮機構及び該圧縮機構を駆動するモータが内蔵される筐体に着脱可能に組み付ける工程を有する、ことを特徴とする電動圧縮機の製造方法にかかるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電動圧縮機によれば、電動圧縮機において、電動モータを駆動する回路の放熱性能および耐震性能を確保しつつ、製造工程の複雑化を回避し、また部品点数の増加を抑えることで生産性の向上に加えるとともに、小型化も実現可能な電動圧縮機及びその製造方法を提供できる、という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る電動圧縮機の概要を示す縦断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る電動圧縮機の回路ブロック図である。
図3】本実施形態の電気回路部の概略を示す断面図である。
図4】本実施形態のインバータ回路部を説明する図であり、(A)外観斜視図、(B)(A)のA-A線断面概要図、(C)パワー半導体素子の断面概要図である。
図5】本実施形態のインバータ回路部の製造方法を説明する外観斜視図である。
図6】本実施形態のインバータ回路部の製造方法を説明する断面概要図である。
図7】本実施形態のフィルタ回路部の製造方法を示す図であり、(A)、(B)平面図、(C)~(F)外観斜視図である。
図8】本実施形態の電気回路部の組み立て方法を説明する外観斜視図である。
図9】本実施形態の電動圧縮機の組み立て方法を説明する外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図1~9を参照して説明する。図1図9は本発明を実施する形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一構成を表わす。また、各図において一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。また、各図において一部の構成について形状や寸法を適宜誇張して表現する。
【0014】
<電動圧縮機の全体構成>
図1を参照して、本実施形態の電動圧縮機1の全体構成について説明する。同図は、本実施形態に係る電動圧縮機1の概要を示す縦断面図であり、説明の便宜上、主要な構成のみを模式的に示している。
【0015】
本実施形態の電動圧縮機1は、所謂インバータ一体型の電動圧縮機であり、図示しない車両の車室内を空調する車両用空気調和装置の冷媒回路の一部を構成するものである。電動圧縮機1は、筐体2と、筐体2に内蔵されるモータ3と、このモータ3の回転軸4により駆動される圧縮機構5と、電気回路部9などを有する。電気回路部9はインバータとしての機能を有し、具体的には、回路基板(プリント基板)8と、モータ3を駆動するインバータ回路部6と、スイッチング電流の高周波成分を吸収するためのフィルタ回路部7と、モータ制御回路部16などを有する。
【0016】
筐体2は、例えば、ハウジング21と、回路収容部22と、回路収容部22を覆う蓋部材25を有する。ハウジング21にはモータ3、回転軸4および圧縮機構5が収容され、回路収容部22には、電気回路部9(インバータ回路部6、フィルタ回路部7及びモータ制御回路部16)が収容される。回路収容部22は、第一空間221と第二空間222を有する。第一空間221はモータ3の回転軸4の軸方向における一端側において隔壁23を介してハウジング21と隣接する空間であり、インバータ回路部6が収容される。第二空間222は、ハウジング21よりも、モータ3のステータ径方向外側に突出する空間であり、フィルタ回路部7が収容される。後に詳述するが、本実施形態では一つの回路基板8にインバータ回路部6とフィルタ回路部7が構成され、インバータ回路部6とフィルタ回路部7を筐体2の内部(回路収容部22)に収めるように、回路基板8が筐体2に着脱可能に組み付けられている。回路収容部22は隔壁23の対向面が開口24となり、蓋部材25により開閉可能に閉塞される。尚、本実施形態における各図では回路収容部22を上にした状態で電動圧縮機1を示しているが、車両用空気調和装置として実際には回路収容部22が一側となるように横方向で配置される。本実施形態では説明の便宜上、電動圧縮機1における方向の定義として、回路収容部22側を上方、モータ3側を下方とし、各構成のモータ3の軸方向における長さを「高さ」とする。
【0017】
モータ3は、三相同期モータ(ブラシレスDCモータ)から構成されており、圧縮機構5は例えばスクロール式の圧縮機構である。圧縮機構5はモータ3の回転軸4により駆動され、冷媒を圧縮して冷媒回路内に吐出する。そして、ハウジング21には、これも冷媒回路の一部を構成するエバポレータ(吸熱器とも称される)から吸入された低温のガス冷媒が流通される。そのため、ハウジング21内は冷却され、それに伴い回路収容部22の下部(底部)22Bの一部を構成する隔壁23も低温のガス冷媒により冷却される。
【0018】
隔壁23(第一空間221側の回路収容部22の底部22B)の上面には、放熱材(例えば、放熱グリース)101を介在させてインバータ回路部6のベースプレート56が密着する。第二空間222側の回路収容部22の底部22Bの上面には、放熱材(例えば、絶縁シート)102を介在させてフィルタ回路部7の絶縁樹脂部73が密着する。
【0019】
回路基板8は、ボルト85により筐体2(回路収容部22の底部22B)に固定される。
【0020】
図2は、電動圧縮機1のモータ駆動制御用の電気回路の概略を示す回路図である。電気回路部9は、回路基板(図2では不図示)と、インバータ回路部6とフィルタ回路部7を含む。インバータ回路部6は、スイッチング素子(例えば、IGBT)61と還流ダイオード62からなるパワー半導体素子63を複数(ここでは一例として3組合計6個)含む。また、フィルタ回路部7は、フィルタ回路部品70を有する。フィルタ回路部品70はこの例では、インバータ回路部6への供給電力を平滑化する平滑コンデンサ71とノイズフィルタ72を構成するコイルおよびコンデンサを含む。
【0021】
電気回路部9には、電源12からの電力が、高電力用コネクタ13を介して給電され、ノイズフィルタ72、平滑コンデンサ71を介してインバータ回路部6に供給される。
【0022】
また、車両の空調制御装置18から、低電圧の電力が制御信号用コネクタ19を介してモータ制御回路部16へ供給される。モータ制御回路部16は、マイクロコンピュータ等の回路部品を回路基板8に接続(実装)して外部からの指令に基づいてインバータ回路部6の各パワー半導体素子63をスイッチング制御する。またモータ制御回路部16は、モータ3の駆動状態を外部に送信する機能を有している。
【0023】
インバータ回路部6では電源12からの直流が疑似三相交流に変換されて電気回路部9から出力される。この出力がモータ側接続端子11を介してモータ3の各巻線3aに給電されることによりモータ3が回転駆動され、圧縮機構5による圧縮が行われる。
【0024】
<電気回路部(インバータ)>
図3は、図1における電気回路部9を抜き出して示す概要図である。電気回路部9は、インバータ回路部6およびフィルタ回路部7を構成する各電子部品が回路基板(プリント基板)8に実装され、または電気的に接続されて構成される。本実施形態では、一つの回路基板8にインバータ回路部6とフィルタ回路部7が設けられる。具体的に、回路基板8の第一の面Sf1にモータ制御回路部16を構成する電子部品が直接装着(実装)されて電気的に接続される。そして回路基板8の第二の面Sf2の第一の領域81にインバータ回路部6が設けられ、同じ第二の面Sf2の第二の領域82にフィルタ回路部7が設けられる。インバータ回路部6は、これを構成するパワー半導体素子63が、回路基板8とは別体のベースプレート56に載置され、パワー半導体素子63の端子63Cが回路基板8と電気的に接続する。フィルタ回路部7は、これを構成するノイズフィルタ72および平滑コンデンサ71が回路基板8に直接装着(実装)されて回路基板8と電気的に接続する。
【0025】
<インバータ回路部>
図4を参照してインバータ回路部6の構成について説明する。図4はインバータ回路部6を説明する図であり、同図(A)が外観斜視図、同図(B)が同図(A)のA-A線断面における断面概要図、同図(C)がパワー半導体素子63の断面概要図である。
【0026】
図4(A)~同図(C)に示すように、インバータ回路部6は、三相インバータ回路の各相のアームを構成する6個のパワー半導体素子63と、これらを一体的に載置するベースプレート56と、パワー半導体素子63の少なくとも一部を覆うとともにパワー半導体素子63とベースプレート56とを一体化する絶縁樹脂部67を有する。
【0027】
同図(C)に示すように、各パワー半導体素子63は、それぞれ、スイッチング素子(例えば、IGBT)61と還流ダイオード62(図2参照)を接続した半導体チップ63Sを、放熱板64の一方の面側に載置して一つの樹脂パッケージ63Pに収容したモールド型パワー半導体素子である。樹脂パッケージ63Pはその外形が略直方体形状であり、以下の説明では、ベースプレート56に載置した場合にこれに平行(水平)となる2面をパワー半導体素子63の上面US、下面DSと称し、残りの4つの面を側面SSと称する。
【0028】
パワー半導体素子63の3本の端子63Cは樹脂パッケージ63Pの側面SSから放熱板64と水平方向に外部に導出され、断面視において略L字状に上方に曲折される。樹脂パッケージ63Pの下面DSには放熱板64の他方の面が露出する。なお、本実施形態では従来既知のパワー半導体素子63を採用しており、樹脂パッケージ63Pには、その上面USから下面DSまで貫通する固定用孔部63Hが設けられている。固定用孔部63Hは、従来、パワー半導体素子63を回路基板その他の基板にねじ止めする場合に、ねじの挿通孔として利用されていた孔部であり、放熱板64も固定用孔部63Hに対応して円形に繰り抜かれている。
【0029】
ベースプレート56は、例えば略矩形状の高放熱性の金属(例えば、アルミニウム)の平板であり、一方の面(載置面)Sf3に6個のパワー半導体素子63が、3個ずつ2列で載置される。各列のパワー半導体素子63の各端子63Cはベースプレート56の概ね中央部で相互に隣接する。そして各列ごとにパワー半導体素子63が絶縁樹脂部67によって一体化(モールド)されるとともに、ベースプレート56とも一体化される。より詳細に、絶縁樹脂部67は例えば射出成形が可能な樹脂材であり、ここでは一例として熱可塑性樹脂材である。本実施形態では、熱可塑性樹脂材の射出成形(ホットメルト)により、3個のパワー半導体素子63を一組としてこれらの少なくとも一部を覆うように一体化してパワー半導体素子群631、632を形成するとともにこれらをベースプレート56に固定する。あるいは、ベースプレート56をパワー半導体素子群631,632(パワー半導体素子63)に固定する。この場合の「固定」(樹脂材による固定)とは、軟化(または液体化)した樹脂が硬化する際にパワー半導体素子63とベースプレート56の双方に当接(介在)して両者を一体化することをいう。つまり、パワー半導体素子63は、少なくとも4つの側面SSがまとめて絶縁樹脂部67を構成する樹脂で取り囲まれ、当該樹脂がベースプレート56まで連続している。本実施形態では、パワー半導体素子群631,632のそれぞれを構成する3個のパワー半導体素子63は、互いに少なくとも4つの側面SSがまとめて絶縁樹脂部67を構成する樹脂で取り囲まれ、当該樹脂がベースプレート56まで連続しているが、複数のパワー半導体素子63は一体化されていなくてもよい。すなわち、少なくとも1個のパワー半導体素子63がベースプレート56と一体化する構成であればよい。
【0030】
さらに、図4(B)に示すように、パワー半導体素子群631、632とベースプレート56の間には、樹脂絶縁シート69(例えば、シリコーン樹脂シート)を介在させている。各パワー半導体素子63の樹脂パッケージ63Pの下面DSに露出する放熱板64は樹脂絶縁シート69と当接し、これを介して、平坦性の良好なベースプレート56と密着する。また、各パワー半導体素子63の端子63Cは、樹脂パッケージ63Pからの導出部を含む一部が絶縁樹脂部67に覆われるが、先端部を含む他の部分は絶縁樹脂部67から露出する。
【0031】
また、図4(B)および、図1に示すように、ベースプレート56の周辺部分の複数個所(この例では4か所)には、インバータ回路部6を筐体2に固定するためのボルトを挿通可能なボルト挿通孔57が設けられるとともに、それぞれのボルト挿通孔57に内部空間が連通するスリーブ部品65が立設される。スリーブ部品65もまた、絶縁樹脂部67によりパワー半導体素子63およびベースプレート56と一体化される。スリーブ部品65は金属(例えばアルミニウム)製の円筒部材であり、その表面に凹凸加工が施されて絶縁樹脂部67との密着性が高いものが採用されると望ましい。また、インバータ回路部6におけるスリーブ部品65の高さ(軸方向長さ)は同等であり、ベースプレート56の周辺部分に互いに離間して(この場合は概ね四隅に)配置される。スリーブ部品65はその軸方向がモータ3の回転軸4の方向と平行するように配置され、スリーブ部品65の高さH1は、パワー半導体素子群631、632(またはパワー半導体素子63の樹脂パッケージ63P)の高さH2より高い。
【0032】
本実施形態ではこのように、例えば、熱可塑性樹脂の射出成形によって複数のパワー半導体素子63とベースプレート56およびスリーブ部品65を一体的に互いに固定して一纏まりの電子部品(パワー半導体モジュール)であるインバータ回路部6を構成する。そして図3に示すように、当該インバータ回路部6のスリーブ部品65の上方端部(開口)塞ぐように回路基板8に当接させた状態で、回路基板8に電気的に接続する。これによりベースプレート56は回路基板8から最も離間して対向し、半導体素子63の上面US(絶縁樹脂部の上面)は回路基板8と非接触(離間し)且つ近接して対向するように配置される。回路基板8には、パワー半導体素子63の端子63Cに対応する位置に端子挿通孔83が設けられおり、端子63Cは絶縁樹脂部67から露出した先端部分が端子挿通孔83を介して回路基板8の第一の面Sf1側に導出され、回路基板8に設けられた配線(不図示)に適宜、はんだ付けなどによって電気的に接続される。
【0033】
このように本実施形態によれば、絶縁樹脂部67によるモールド(この例では熱可塑性樹脂材による射出成形)によって複数のパワー半導体素子63をベースプレート56に一体的に固定できる。ベースプレート56が平坦性の良好な金属平板である。そしてベースプレート56は、放熱材(例えば放熱グリース)101を介して、冷却面となる筐体2の隔壁23上に配置される(図1参照)。射出成形は、例えば熱硬化性樹脂の注型に比べて成形の精度が高く、表面の平坦性(平滑性)も良好である。
【0034】
つまり、ベースプレート56に密着する絶縁樹脂部67を、熱可塑性樹脂材の射出成形によって形成することで、パワー半導体素子63の放熱板64とベースプレート56、および冷却面となる隔壁23の間の平坦性(平滑性)が良好となり、また、冷却面(隔壁23)に対する平行レベルの精度を高めることができる。これにより、熱硬化性樹脂の場合と比較して、放熱性能を高めることができる。
【0035】
ただし、射出成形のみによって電気自動車の高電圧化に伴って要求される高い絶縁性能を満足するよう、絶縁樹脂部67の形状(平坦性)を調整、管理するのは煩雑である。このため、本実施形態では、パワー半導体素子63とベースプレート56の間に樹脂絶縁シート69(例えば、シリコーン樹脂シート)を配置し、射出成形によりパワー半導体素子63をベースプレート56に固定する。これにより、射出成形の形状(平坦性)の精度を特に厳密に管理することなく(量産に適した一般的なレベルの精度の管理で)パワー半導体素子63の放熱板64、樹脂絶縁シート69およびベースプレート56との密着性を高めることができる。放熱板64は、樹脂絶縁シート69を介して、全面が概ね均等にベースプレート56と良好に密着する。これにより絶縁性能を高めることができる。また、ねじ止めの場合と比較して、接触面積(放熱面積)を増加させることができるので、より、放熱性を高めることができ、また装置間の放熱性能(ばらつき)を安定させることができる。
【0036】
また、この例では、樹脂絶縁シート69はパワー半導体素子群631、632の下面形状に沿う矩形状のシート(図5(A)参照))であり、この樹脂絶縁シート69によって固定用孔部63Hの下方の開口は完全に塞がれている。更に、固定用孔部63Hの内部には絶縁樹脂部67(を構成する樹脂材)が埋め込まれる。つまり、固定用孔部63Hの下方の開口とベースプレート56の間には樹脂絶縁シート69が介在する、または絶縁樹脂部67が介在することにより完全に塞がれ、絶縁されている。これによりこれらの間の沿面放電を抑制(回避)することができ、絶縁性能を高めることができる。
【0037】
また、従来、パワー半導体素子(スイッチング素子)を設置プレートに固定する手段として採用されていた、固定用孔部63Hを利用したねじの締結構造が不要となる。
【0038】
従来では、固定用孔部63Hに挿通されるねじの存在により、パワー半導体素子(スイッチング素子)の放熱板と、ねじが締結される設置プレート(または筐体)との間において所定の絶縁性能の確保(沿面距離の確保)が必要であり、部品点数が増加したり、装置の小型化が進まない問題があった。具体的には、スイッチング素子とねじの間に樹脂被覆材を挿入する必要があり、また、ねじ孔や、ねじ溝を形成する領域(例えば、筐体の放熱面に凹陥形成された座繰り部など)が必要であった。加えて、近年の電気自動車の高電圧化に伴い、従来のねじ締結構造では、ねじとスイッチング素子の近接により所望の絶縁性能が確保できない問題も生じていた。更には、スイッチング素子と樹脂被覆材付きのねじの間や座繰り部などには隙間が生じるため、熱抵抗が増加しやすく、放熱性の向上にも限界があった。
【0039】
本実施形態では、ねじの締結構造が不要となるので、上述したように、絶縁性能を高めることができ、また、ねじの締結構造に係る部品点数の削減が可能となる。また、ねじ締結構造に起因する不要な隙間が生じず、熱抵抗が抑えられ、放熱性を向上させることができる。
【0040】
さらに、ベースプレート56は、ボルトが挿通可能なボルト挿通孔57が設けられるが、ねじ溝は形成されない。つまりベースプレート56においてねじ溝を形成し得る板厚を確保する必要がなく、インバータ回路部6の小型化(薄型化)、ひいては電動圧縮機1の小型化に寄与する。また、ねじの締結構造に係る部品点数の削減、およびそれによる電動圧縮機1の低コスト化が図れる。
【0041】
また、樹脂の射出成形により、絶縁が必要な個所に対する絶縁樹脂部67の使用料の最適化が可能となり、これによっても電動圧縮機1の装置の軽量化・低コストが可能となる。
【0042】
<インバータ回路部の製造方法>
図5および図6を参照して、インバータ回路部6の製造方法の一例を説明する。図5(A)~同図(D)は、インバータ回路部6の製造方法の一例を示す外観斜視図であり、図6(A)~同図(C)は、パワー半導体素子63部分を抜き出して示す断面概略図である。
【0043】
まず図5(A)に示すように、ベースプレート56の載置面Sf3の所定の領域に樹脂絶縁シート69を配置し、その上に複数(ここでは6個)のパワー半導体素子63を3個を一組として二列で載置する(図5(B))。そして例えば熱可塑性樹脂材の射出成形により、3個のパワー半導体素子63とベースプレート56を一体化する絶縁樹脂部67を形成する。各列の3個のパワー半導体素子63(パワー半導体素子群631,632)はそれぞれ、4つの側面SSがまとめて絶縁樹脂部67を構成する樹脂で取り囲まれ、当該樹脂がベースプレート56まで連続し、これにより3個のパワー半導体素子63は、パワー半導体素子群631,632としてベースプレート56に固定される。パワー半導体素子63の端子63Cは先端を含む一部が絶縁樹脂部67から露出する(図5(C))。また、絶縁樹脂部67によってスリーブ部品65もパワー半導体素子63およびベースプレート56と一体化される。パワー半導体素子63は、固定用孔部63Hの内部にも絶縁樹脂部67が埋め込まれる(図6(A)参照)。
【0044】
このようにして製造されたインバータ回路部6を、回路基板8に接続する。すなわち、図5(D)に示すように、ベースプレート56の載置面Sf3を回路基板8の第二の面Sf2と対向させる。ここで、インバータ回路部6は、自身を回路基板8の所定の位置(第二の面Sf2の第二の領域82)に固定するための位置決め固定手段68を有する。位置決め固定手段68は、図5(C),図6(A)に示すように、絶縁樹脂部67と一体的に成形され、例えば絶縁樹脂部67の上面に設けた円錐台の台座部681から円柱状の係止部682を上方に向けて突出させた形状を有する。ベースプレート56の載置面Sf3から突出方向の先端部683までの高さH3は、スリーブ部品65の高さH1より高く設定される。この例では、位置決め固定手段68は、各パワー半導体素子群631,632毎に1本(合計2本)設けられる。また、回路基板8の所定の位置には、位置決め固定手段68の係止部682を挿通可能な位置決め孔88が設けられている(図5(D)、図6(A))。
【0045】
そして、図6(B)に示すように、位置決め固定手段68の係止部682を回路基板8の位置決め孔88に挿通し、スリーブ部品65の上方の端部を回路基板8の第二の面Sf2に当接させると、インバータ回路部6は、回路基板8の所定の位置に位置決めされる。つまり、図6(B)に示すように、位置決め固定手段68の先端部683が回路基板8の位置決め孔88から第一の面Sf1側に突出し、パワー半導体素子63の各端子63Cは回路基板8の端子挿通孔83に挿通されてその先端が第一の面Sf1側に突出する。
【0046】
本実施形態の例では、6個のパワー半導体素子63を用い、端子63Cの数は18本に及ぶが、2本の位置決め固定手段68によって18本の端子63Cと対応する端子挿通孔83との位置合わせ精度が向上し、組み立て作業の効率化が図れる。
【0047】
また、回路基板8は、後の工程で自身を筐体2(隔壁23)と固定するためのボルト85(図6(C)、図5(D)参照)を挿通可能なボルト挿通孔84を有している。このボルト85は、インバータ回路部6のスリーブ部品65にも挿通されて筐体2に締結されるものであり、位置決め固定手段68の先端部683を位置決め孔88に挿通することで、ボルト挿通孔84とスリーブ部品65も位置決めされ、連通可能となる。
【0048】
そして、図6(C)に示すように、回路基板8の第一の面Sf1から突出する位置決め固定手段68の先端部683を熱かしめして回路基板8に固定する。そしてこの状態で(スリーブ部品65の上方の端部を回路基板8の第二の面Sf2に当接させた状態で)回路基板8に設けられた配線(不図示)と、回路基板8の第一の面Sf1側に導出する各端子63C)とを例えば、はんだ付けによって電気的に接続する。このとき、スリーブ部品65を台座として、18本の端子63Cのはんだ付けが可能となるので、組み立て作業を効率的に行うことができる。また、適宜他の電気的接続も行い、インバータ回路部6が製造される。
【0049】
その後、インバータ回路部6が接続した回路基板8を、筐体2の回路収容部22に収容する。具体的には、図6(C),図1に示すように、回路収容部22の底部22B(隔壁23の上面)に放熱材101を配置し、該放熱材101を介してベースプレート56の下面が底部22B(隔壁23)に密着するように、インバータ回路部6を回路収容部22に収容する。放熱材101は例えば、放熱グリースである。そして、回路基板8の第一の面Sf1側から、ボルト85を、ボルト挿通孔84およびスリーブ部品65に挿通し、筐体2(隔壁23)に形成されているねじ溝26に締結し、固定する。このようにして回路基板8を含むインバータ回路部6が、筐体2に着脱可能に固定される。
【0050】
本実施形態では、回路基板8を含むインバータ回路部6が、ボルト85によって筐体2に着脱可能に固定されるため、例えば筐体2の一部を注型としてインバータ回路部の電子部品を直接筐体に固定(樹脂モールド)するような構成と比較して、インバータ回路部6を回路基板8から容易に離脱させることができ、電子部品が故障した場合などのメンテナンス性が向上する。
【0051】
また、本実施形態では、ベースプレート56の周辺に設けられるスリーブ部品65の上方端部に回路基板8の第二の面Sf2を当接させ、すなわちベースプレート56およびスリーブ部品65によって回路基板8を支持した状態で、パワー半導体素子63の端子63Cと回路基板8の配線を接続(はんだ付け)する。そして、インバータ回路部6の製造、特に、回路基板8と端子63Cのはんだ付けを予め(サブラインにて)完成させた後に、筐体2にインバータ回路部6を収容、接続する。回路基板8と端子63Cのはんだ付けに際しては、プレヒートが必要である。このとき、筐体2(回路収容部22)にインバータ回路部6と回路基板8を収容した後にはんだ付け工程を行うようにしたのでは、モータ3を含む電動圧縮機1の全体をプレヒートしなければならず、作業性が悪くなる。本実施形態では、ベースプレート56およびスリーブ部品65が回路基板8を支持する台座となるため、筐体2に収容する以前に、インバータ回路部6と回路基板8をはんだ付けすることができ、プレヒートは最小限の範囲でよいため、作業性が向上する。
【0052】
また、4本のスリーブ部品65で回路基板8を支持するため、また、ベースプレート56に対して回路基板8を水平に維持することができる。ベースプレート56は金属平板であり、回路収容部22(隔壁23)の上に載置される。すなわち、回路収容部22に回路基板8を収容した際、結果として、隔壁23に対して回路基板8が水平に維持される。従って、ボルト85によって回路基板8と筐体2を締結する際の組付け性が良好となり、作業効率が向上するとともに、電動圧縮機1間の組付け状態のばらつきも回避できる。
【0053】
また、本実施形態では、回路基板8とスリーブ部品65とは直接的に固定されず、インバータ回路部6(ベースプレート56)は、端子63Cのはんだ付けと位置決め固定手段68の熱かしめによって回路基板8と固定(接続)される。絶縁樹脂部67の上面と回路基板8の間は離間しており、インバータ回路部6は回路基板8から垂下した状態となるため、端子63Cのはんだ接続のみでインバータ回路部6を支持する場合、接続部分に負荷が係る。本実施形態では、位置決め固定手段68によってもインバータ回路部6を支持できるので、端子63Cの接続部分に係る負荷を軽減できる。
【0054】
また、位置決め固定手段68の先端部683の熱かしめは、回路基板8を押さえて行う必要がある。このため本実施形態では、端子63Cのはんだ接続より前に先端部683の熱かしめを行い、端子63Cの接続部分に係る負荷を軽減している。
【0055】
また、図6(C)に示すように、回路基板8は、ボルト85によって筐体2(隔壁23)に固定される。ボルト85は筐体2に設けたねじ溝26と締結され、回路基板8のボルト挿通孔84とスリーブ部品65はボルト85が挿通されるのみである。つまりベースプレート56にねじ溝は不要であり、ベースプレート56は、複数のパワー半導体素子63を支持し、またパワー半導体素子63との界面、および隔壁23との界面における平坦性が得られる最小限の板厚でよいため、例えばベースプレート56にねじ止めによりパワー半導体素子63を固定する構成と比較して、回路収容部22の高さ方向のサイズを縮小できる。
【0056】
また、筐体2の一部を注型として用い、インバータ回路部を直接、筐体2に樹脂モールドする構成と比較して、インバータ回路部6としてのレイアウトの自由度を高めることができ、筐体2の小型化およびそれによる電動圧縮機1の軽量化も可能となる。
【0057】
なお、絶縁樹脂部67は、複数(3個)のパワー半導体素子63を一体化しつつベースプレート56に固定するものであればよく、図6(C)に示すようにその上面側においてパワー半導体素子63の一部が露出していてもよいし、パワー半導体素子63は端子63Cの一部を除いて全体的に絶縁樹脂部67に覆われる構成であってもよい。
また、インバータ回路部6の絶縁樹脂部67は、熱硬化性樹脂であってもよい。
【0058】
<フィルタ回路部>
次に、再び図3を参照してフィルタ回路部7について説明する。フィルタ回路部7は、回路基板8の所定の領域(回路基板8の第二の面Sf2の第二の領域82)に実装されるフィルタ回路部品70と、射出成形によって当該フィルタ回路部品70と回路基板8を一体化する絶縁樹脂部73とを有する。フィルタ回路部7の絶縁樹脂部73は、熱可塑性樹脂材により構成される。
【0059】
フィルタ回路部品70は、平滑コンデンサ71およびノイズフィルタ72、および図3では不図示のコイルを含む。これらのフィルタ回路部品70は、モータ制御回路部16やインバータ回路部6を構成する各電子部品に比較して、大型、大重量、基板装着面からの高さが高いなど、機関振動や圧縮機自身の振動の影響を受けやすい。このため、フィルタ回路部品70を回路基板8の第二の領域82に集約して実装する。また、フィルタ回路部品70の耐震補強のために、これらを絶縁樹脂部73で一体的に覆い、回路基板8に固定する。この場合の「固定」(樹脂材による固定)も、インバータ回路部6の場合と同様である。すなわち、軟化した樹脂が硬化する際にフィルタ回路部品70のそれぞれと回路基板8の双方に当接(介在)して両者を一体化することをいう。つまり、フィルタ回路部品70は、集約して配置される平滑コンデンサ71、ノイズフィルタ72、およびコイルのフィルタ回路部品70としての少なくとも外周がまとめて絶縁樹脂部73を構成する樹脂で取り囲まれ、当該樹脂が回路基板8まで連続している。更に、フィルタ回路部7は、上下方向(モータ3の回転軸4の延在方向)において、回路基板8から最も遠い端部(遠位端)もフィルタ回路部品70が露出することなく、絶縁樹脂部73で覆われている。すなわち、フィルタ回路部7としての下面は絶縁樹脂部73の底部73Bである。
【0060】
絶縁樹脂部73は、例えば、射出成形が可能な樹脂材であり、ここでは一例として熱可塑性樹脂材である。本実施形態では、熱可塑性樹脂材の射出成形(ホットメルト)により、フィルタ回路部品70を一体的に覆う(モールドする)とともに、これを絶縁樹脂部73により回路基板8に固定(あるいは回路基板8をフィルタ回路部品70に固定)してフィルタ回路部7を構成する。フィルタ回路部品70はそれぞれ、回路基板8に設けられた配線(不図示)に適宜、電気的に接続される。これによりフィルタ回路部7が構成される。
【0061】
フィルタ回路部7は、図3および図1に示すように回路基板8を筐体2に固定するためのボルト85が貫通するスリーブ部品75を有する。スリーブ部品75もまた、絶縁樹脂部73の射出成形によりフィルタ回路部品70および回路基板8と一体化される。スリーブ部品75は金属(例えばアルミニウム)製の円筒部材であり、その表面に凹凸加工が施されて絶縁樹脂部73との密着性が高いもが採用されると望ましい。スリーブ部品75は、絶縁樹脂部73の上面と下面にて露出し、開口している。回路基板8のスリーブ部品75に対応する位置には、スリーブ部品75の内部空間と連通するボルト挿通孔86が設けられている。
【0062】
図1を参照して、フィルタ回路部7は、その底部(絶縁樹脂部73の底部73B)が回路収容部22に対向するように該回路収容部22に収められる(図1参照)。絶縁樹脂部73の底部73Bと回路収容部22の間には放熱材102(放熱性を有するシート)が配置される。放熱材102は例えば、シリコーン樹脂シートである。フィルタ回路部7は、回路基板8から最も遠い底部(遠位端)が、絶縁樹脂部73で覆われ、当該遠位端が放熱材102を介して筐体2(回路収容部22の底部22B)に密着して放熱面となっている。放熱面は、回路収容部22の内部との接触面積が大きく、密着性が高い方が良好な放熱特性が得られ、望ましい。本実施形態の絶縁樹脂部73は射出成形により形成されるので、例えば熱可塑性樹脂の注型による成形と比較して放熱面(絶縁樹脂部73の底部73B)の平坦性(平滑性)が、良好でありまた、底部73Bと、回路基板8や回路収容部22の底部22Bとの平行(水平)レベルの精度が高くなる。よって、放熱材102を介して回路収容部22の底部22Bとの密着性が高くなり、また接触の均一性も高まるのでより放熱性を高めることができる。
【0063】
また、筐体2(回路収容部22の底部22B)と絶縁樹脂部73の底部73Bとの間に生じる隙間のばらつきが抑えられるため、両者の間に配置する放熱材(放熱シート)の厚みを薄くすることが可能となる。つまり放熱材(放熱シート)の厚みを薄くしても、密着性が高まり、放熱性能を向上(または維持)できるとともに、装置の小型化が可能となる。放熱シートとして例えばシリコーン樹脂シートが採用する場合には、その厚みを薄くできるので、低コスト化も実現する。
【0064】
更に、図1に示すように絶縁樹脂部73の縁部には、ガイド部76が形成されている。ガイド部76は、電源側接続端子31が回路基板8に電気的に接続される際の位置ずれを規制しながら、電源側接続端子31とフィルタ回路部7間の絶縁距離を確保する。
【0065】
<フィルタ回路部の製造方法>
図7および引き続き図3を参照して、フィルタ回路部7の製造方法の一例を説明する。図7は、回路基板8を第二の面Sf2側から視た図であり、図7(A)、同図(B)が第二の面Sf2を下方から視た平面図、同図(C)、同図(D)が第二の面Sf2を下方から視た斜視図であり、同図(E)、同図(F)が同図(D)の矢視V方向の斜視図である。図7(A),同図(C)が絶縁樹脂部73を形成前の状態であり、図7(B),同図(D)~同図(F)が絶縁樹脂部73を形成した状態である。また、図7(E)はガイド部76付近を示す図であり、同図(F)は電源側接続端子31を取り付けた状態のガイド部76付近を示す図である。
【0066】
まず、図7(A),同図(C)に示すように、回路基板8の第二の面Sf2の第二の領域82に、フィルタ回路部品70を実装する。フィルタ回路部品70はここでは、平滑コンデンサ71、およびノイズフィルタ72を構成するコンデンサ721とコイル722,723を少なくとも含む。回路基板8の所定の位置には平滑コンデンサ71およびノイズフィルタ72のそれぞれの端子70Cが挿通可能な端子挿通孔80(図3参照)が設けられており、端子70Cは、端子挿通孔80を介して回路基板8の第一の面Sf1側に導出され。回路基板8の配線と適宜はんだ付けなどにより電気的に接続される。
【0067】
そしてフィルタ回路部品70の周辺部の所定位置にスリーブ部品75を配置する。スリーブ部品75は、その内部空間が回路基板8に設けられたボルト挿通孔86と連通する位置に配置する(図3)。そして、熱可塑性樹脂の射出成形(ホットメルト)により、フィルタ回路部品70(平滑コンデンサ71およびノイズフィルタ72)、スリーブ部品75および回路基板8を一体化する絶縁樹脂部73を形成する(図7(B),図7(D))。絶縁樹脂部73は、ケース状に形成されてフィルタ回路部品70がその内部に収容される。また、フィルタ回路部品70同士に隙間が生じている場合は、その隙間にも絶縁樹脂部73を構成する樹脂が埋め込まれ、フィルタ回路部品70同士が一体化される。また絶縁樹脂部73は回路基板8にも当接し、回路基板と絶縁樹脂部73によってフィルタ回路部品70は封止された状態となる。また同時にフィルタ回路部品70の周囲において、スリーブ部品75が絶縁樹脂部73に保持されてフィルタ回路部品70および回路基板8と一体的に固定される。また、図7(E),同図(F)に示すように、絶縁樹脂部73の周辺の一部を内側に窪ませたガイド部76が形成される。
【0068】
そして、フィルタ回路部7が設けられた回路基板8を、筐体2の回路収容部22に収容する。具体的には、図1に示すように、回路収容部22の底部22Bに放熱材102を配置し、該放熱材102を介して絶縁樹脂部73の底部73Bが底部22Bに密着するように、フィルタ回路部7を回路収容部22に収容する。そして、回路基板8の第一の面Sf1側から、ボルト85を、ボルト挿通孔86およびスリーブ部品75に挿通し、筐体2に設けたねじ溝26と締結し、固定する。このようにして回路基板8を含むフィルタ回路部7が、筐体2に着脱可能に固定される。また、高電力用コネクタ13に接続する電源側接続端子31はガイド部76に沿って、フィルタ回路部7と絶縁距離を確保しつつ、回路基板8の接続端子挿通孔87に挿入される。
【0069】
従来のように、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)の注型によってフィルタ回路部品70を回路基板に固定する場合、熱硬化に時間がかかり、生産性の向上には限界があった。本実施形態では、熱可塑性樹脂材の射出成形によってフィルタ回路部品70を一体的に覆い、回路基板8に固定する絶縁樹脂部73を形成する。これにより注型により樹脂成形する場合と比較して、短時間で成形が可能となり、生産性が向上する。
【0070】
また、絶縁樹脂部73と一体成形したスリーブ部品75にボルト85を挿通して筐体2に固定するので、絶縁樹脂部73の振動の抑制力が高まり、耐震性を高めることができる。また、スリーブ部品75を一体成形するので、放熱性が向上する。なお、耐震性に問題がなければ、スリーブ部品75を一体的に設けなくてもよい。つまり、ボルト85をスリーブ部品75に挿通して筐体2に締結するのではなく、回路基板8を直接、ボルト85で筐体2に締結するようにしてもよい。
【0071】
<電動圧縮機の製造方法>
図8および図9を参照して、電動圧縮機1の製造方法、特に、電動圧縮機1における電気回路部9の組み立て方法、および電気回路部9の筐体2への取り付け方法について説明する。図8は、電気回路部9の組み立て方法を示す斜視図であり、図9は電気回路部9の筐体2への取り付け方法を説明する斜視図である。インバータ回路部6およびフィルタ回路部7の詳細については上述の通りであり、以下では重複部分について一部説明を省略する。
【0072】
上述したように、本実施形態では、1枚の回路基板8にインバータ回路部6、モータ制御回路部16およびフィルタ回路部7が実装、或いは電気的に接続されて電気回路部(インバータモジュール)9が構成されている。
【0073】
まず、図8(A)に示すように回路基板8の第二の面Sf2の第二の領域82にフィルタ回路部品70を実装する。フィルタ回路部品70の各端子70Cは、回路基板8に設けられた端子挿通孔80を介して第一の面Sf1側に導出し、回路基板8に設けられた配線(不図示)とはんだ付けなどによって電気的に接続する。その後、絶縁樹脂部(熱可塑性樹脂材)73の射出成形によりフィルタ回路部品70を一体的に覆い、回路基板8と一体化する。フィルタ回路部品70は、絶縁樹脂部73と回路基板8によって封止される。同時に、絶縁樹脂部73によってスリーブ部品75もフィルタ回路部品70および回路基板8と一体化され、ガイド部76が形成される。また回路基板8の第一の面Sf1には、モータ制御回路部16など、所定の電子部品が実装される。
【0074】
その後、上述の方法により別途製造されたインバータ回路部6を、回路基板8の第二の面Sf2の第一の領域81に固定する。すなわち、ベースプレート56の載置面Sf3を回路基板8の第二の面Sf2と対向させ、2か所の位置決め固定手段68の先端部683を回路基板8の位置決め孔88に挿通しつつ、スリーブ部品65の端部を回路基板8の第二の面Sf2に当接させる。これにより、6個のパワー半導体素子63の18本の端子63Cは、対応する端子挿通孔83と精度良く位置合わせされ、回路基板8に設けられた端子挿通孔83を介して第一の面Sf1側に導出される。また、回路基板8に設けられたボルト挿通孔84と、インバータ回路部6のスリーブ部品65も精度良く位置合わせされる。その後、回路基板8の第一の面Sf1において位置決め固定手段68の先端部683を熱かしめし、回路基板8に固定する(図8(B))
【0075】
そして、端子挿通孔83を介して回路基板8の第一の面Sf1側に導出する各端子63Cと、回路基板8に設けられた配線(不図示)を、はんだ付けなどによって電気的に接続する。このとき、インバータ回路部6の4本のスリーブ部品65を台座として、回路基板8を支持できるので、18本の端子63Cのはんだ付けの組み立て作業を効率的に行うことができる。また、ベースプレート56に対して回路基板8を水平に維持することができ、ひいては隔壁23に対して回路基板8を水平に維持することができる。
【0076】
インバータ回路部6は、図2に示すように、車両の電源12から給電される直流電力を三相交流電力に変換してモータ3の巻線3aに給電するものである。そのため、各端子63Cの内、各相の上アーム側のスイッチング素子61と下アーム側のスイッチング素子61との接続点CPを引き出す端子63Cが、図8(B)に示す回路基板8に設けられたモータ側接続端子11に接続するように配線する。
【0077】
このようにして図8(B)、同図(C)に示すように、一つの回路基板8にモータ制御回路部16、インバータ回路部6およびフィルタ回路部7が実装および/または電気的に接続された電気回路部9が製造される。
【0078】
その後、図9(A)に示すように、筐体2の回路収容部22に、インバータ回路部6、モータ制御回路部16およびフィルタ回路部7が接続した回路基板8を収容する。具体的には、回路収容部22の第一空間221の底部22B(隔壁23の上面)にここでは不図示の放熱材101(例えば、放熱グリース)を配置(塗布)し、該放熱材101を介してベースプレート56の下面が回路収容部22の底部22Bに密着するように、インバータ回路部6を回路収容部22に収容する(図1参照)。同時に回路収容部22の第二空間222の底部22Bに、図9(A)では不図示の放熱材(例えば、放熱シート)を配置し、該放熱シートを介して絶縁樹脂部73の底部73Bが回路収容部22の底部22Bに密着するように、フィルタ回路部7を回路収容部22に収容する(図1参照)。
【0079】
回路収容部22には、隔壁23を貫通してハウジング21内の巻線3aに接続される引出端子30と、電源ハーネス(不図示)を介して電源に接続される高電力用コネクタ13が設けられている。回路基板8を回路収容部22に収容し、回路基板8を貫通して第一の面Sf1側に突出した引出端子30と電気回路部9のモータ側接続端子11とを接続する。また、回路基板8に設けられた接続端子挿通孔87を介して第一の面Sf1側に導出される電源側接続端子31を、インバータ回路部6の各端子63Cのうち、電源(コレクタ)端子と接地(エミッタ)端子と接続する。
【0080】
回路基板8には、ボルト挿通孔84、86、89が設けられている。ボルト挿通孔84はインバータ回路部6のスリーブ部品65の内部空間と連通する孔であり、ボルト挿通孔86はフィルタ回路部7のスリーブ部品75の内部空間と連通する孔であり、ボルト挿通孔89はスリーブ部品65、75からずれた位置に設けられた孔である。回路基板8の第一の面Sf1からボルト85をボルト挿通孔84、インバータ回路部6のスリーブ部品65に挿通し、隔壁23に設けたねじ溝26に締結する(図6(C),図1参照)。また、回路基板8の第一の面Sf1からボルト85をボルト挿通孔86、フィルタ回路部7のスリーブ部品75に挿通し、回路収容部22の底部22Bに設けたねじ溝26に締結する(図1参照)。また、回路基板8の第一の面Sf1からボルト85をボルト挿通孔89に挿通し、回路収容部22の底部22Bに設けたねじ溝26に締結する。このようにして図9(B)に示すように、回路基板8を含む電気回路部9が、筐体2に着脱可能に固定される。
【0081】
そして、最後に蓋部材25を回路収容部22の開口24に着脱可能に取り付け、開閉可能に閉塞する。
【0082】
図1に示すように、インバータ回路部6は、ベースプレート56が放熱材101を介して隔壁23に当接するので、パワー半導体素子63は、放熱板14、ベースプレート56、放熱材101を介して隔壁23と熱交換関係となり、低温のガス冷媒により冷却されることになる。
【0083】
また、フィルタ回路部7は、絶縁樹脂部73が放熱材(放熱シート)102を介して隔壁23に当接するので、フィルタ回路部品70は、耐震性を維持しつつ、放熱材102を介して隔壁23と熱交換関係となり、低温のガス冷媒により冷却されることになる。
【0084】
本実施形態では、1枚の回路基板8にインバータ回路部6、フィルタ回路部7およびモータ制御回路部16を設けるとともに当該回路基板8をボルト85によって筐体2に着脱可能に固定するため、インバータ回路部6、フィルタ回路部7およびモータ制御回路部16の少なくとも一部を個別に筐体2に取り付ける構成と比較して、組み立てやメンテナンスの作業効率が向上する。特に、例えば筐体2の一部を注型としてインバータ回路部6やフィルタ回路部7を熱硬化性樹脂材などによって筐体2に取り付ける構成の場合、回路が故障した際の取り外しが大変困難となる。本実施形態によれば、ボルト85の締結を解除することで電気回路部9(回路基板8)を筐体2から容易に離脱できるので、メンテナンス性も良好となる。
【0085】
また、例えば、インバータ回路部6とフィルタ回路部7をそれぞれ別の(独立した)回路基板に接続する構成と比較して、部品点数の削減が可能となり、低コスト化が実現する。
【0086】
また、射出成形によりフィルタ回路部7に設けたガイド部76によって、各電源側接続端子31の位置ずれが規制されるため、ボルト85を締結する作業性も向上すると共に、各電源側接続端子31間の絶縁距離も確保される。また装置の小型化、低コスト化が実現する。
【0087】
また、ベースプレート56は金属平板であり、回路収容部22(隔壁23)の上に載置されるので、回路収容部22に回路基板8を収容した際、隔壁23に対して回路基板8が水平に維持される。また、スリーブ部品65、75を筐体2に当接させた状態で(スリーブ部品65、75を支持部材として)これらにボルト85を挿通して締結固定できる。したがって、回路基板8と筐体2を締結する際の組付け性が良好となり、作業効率が向上するとともに、電動圧縮機1間の組付け状態のばらつきも回避できる。
【0088】
また、予め電気回路部9を製造した後、筐体2にこれを取り付けることができる。回路基板8と端子63C、70C等のはんだ付けに際しては、プレヒートが必要である。つまり筐体2(回路収容部22)に電気回路部9を含む回路基板8を収容した後にはんだ付け工程を行うようにしたのでは、モータ3を含む電動圧縮機1の全体をプレヒートしなければならず、作業性が悪くなる。本実施形態では、筐体2に収容する以前に、インバータ回路部6、フィルタ回路部7およびモータ制御回路部16と回路基板8をはんだ付けすることができ、プレヒートは最小限の範囲でよいため、作業性が向上する。
【0089】
尚、本発明の電動圧縮機1は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、電動圧縮機の分野に利用できる。
【符号の説明】
【0091】
1 電動圧縮機
2 筐体
3 モータ
3a 巻線
4 回転軸
5 圧縮機構
6 インバータ回路部
7 フィルタ回路部
8 回路基板(プリント基板)
9 電気回路部
11 モータ側接続端子
12 電源
13 高電力用コネクタ
14 放熱板
16 モータ制御回路部
19 制御信号用コネクタ
21 ハウジング
22 回路収容部
22 筐体2(回路収容部
22B 下部(底部)
22B 底部
23 隔壁
30 引出端子
31 電源側接続端子
56 ベースプレート
57 ボルト挿通孔
61 スイッチング素子
62 還流ダイオード
63 パワー半導体素子
63C 端子
63C、70C 端子
63H 固定用孔部
63P 樹脂パッケージ
63S 半導体チップ
64 放熱板
65、75 スリーブ部品
67、73 絶縁樹脂部
68 位置決め固定手段
69 樹脂絶縁シート
70 フィルタ回路部品
71 平滑コンデンサ
72 ノイズフィルタ
73 絶縁樹脂部
73B 底部
76 ガイド部
80、83 端子挿通孔
81 第一の領域
82 第二の領域
84、86、89 ボルト挿通孔
85 ボルト
87 接続端子挿通孔
101,102 放熱材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9