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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172603
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】分析装置及び分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 11/14 20060101AFI20231129BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G01N11/14 C
G01N35/00 A
G01N11/14 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084526
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌造
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058AA09
2G058GA20
(57)【要約】
【課題】リアルタイムで試料の粘弾性を測定することができるようにすることである。
【解決手段】実施形態の分析装置は、測定装置と、演算部と、を持つ。測定装置は、試料を流通させる流路内の測定領域に配置された測定素子、前記測定素子を回転させる回転駆動部、及び前記測定素子の所定位置における回転数を検出する検出部を備える。演算部は、前記測定素子の回転数に基づいて、前記試料の粘弾性を算出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を流通させる流路内の測定領域に配置された測定素子、前記測定素子を回転させる回転駆動部、及び前記測定素子の所定位置における回転数を検出する検出部を備える測定装置と、
前記測定素子の回転数に基づいて、前記試料の粘弾性または粘性のうち少なくともいずれか一方に関する指標を算出する演算部と、を備える、
分析装置。
【請求項2】
前記測定素子は磁性体または磁石を含む回転体であり、
前記流路の周囲に配置され、前記測定素子を回転させる磁力発生器を更に備える、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記磁力発生器は、前記測定領域の端部または前記測定領域の周囲のうちいずれかに配置される請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記測定素子が貫通して、前記測定素子が回転する際の回転中心となる回転軸が前記測定領域に設けられている、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項5】
前記測定素子を前記試料の流通方向に反する方向に付勢する付勢部材、を更に備える、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項6】
前記測定領域における前記試料が流出する流出口が形成された位置に、前記流出口に近い側の方が遠い側よりも高くなる傾斜が付されている、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項7】
前記測定素子に接続された回転軸、を更に備え、
前記回転駆動部は、前記回転軸を回転させることにより、前記回転軸の回転に伴って前記測定素子を回転させる、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項8】
前記回転駆動部は、前記回転軸を回転させる駆動源及び前記駆動源の駆動力を伝達する伝達機構、または前記回転軸に設けられた磁性体及び前記磁性体に磁力をおよぼす磁力発生器、のうち少なくともいずれか1つを含む、
請求項7に記載の分析装置。
【請求項9】
前記回転駆動部は、前記試料の流通に伴い、前記測定素子を回転させる、
請求項7に記載の分析装置。
【請求項10】
前記測定素子は、前記試料内を浮遊しながら回転する
請求項1に記載の分析装置。
【請求項11】
前記測定素子は磁性体または磁石を含む回転体であり、
前記流路の端部または周囲に配置され、前記測定素子を回転させる磁力発生器を更に備える、
請求項10に記載の分析装置。
【請求項12】
前記流路は、取外し可能な取付流路に形成されている、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項13】
被検体から取り出した前記試料を前記測定領域に流入させ、
前記測定領域より排出された前記試料を前記被検体に還元する、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項14】
試料を流通させる流路内の測定領域に配置された測定素子を前記測定領域で回転させ、
回転させた前記測定素子の回転数を検出し、
検出した前記測定素子の回転数に基づいて、前記試料の粘弾性または粘性のうち少なくともいずれか一方に関する指標を評価する、
分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、分析装置及び分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の血液を分析して血液の粘弾性を測定する測定装置がある。従来の測定装置では、リアルタイムでの測定ができず、試料を測定装置に設置してから、粘弾性を測定した結果が得られるまでに時間がかかる。さらに、使用された試料は、廃棄され、結果として消費される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-152663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、リアルタイムで試料の粘弾性を測定することができるようにすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の分析装置は、測定装置と、演算部と、を持つ。測定装置は、試料を流通させる流路内の測定領域に配置された測定素子、前記測定素子を回転させる回転駆動部、及び前記測定素子の所定位置における回転数を検出する検出部を備える。演算部は、前記測定素子の回転数に基づいて、前記試料の粘弾性または粘性のうち少なくともいずれか一方に関する指標を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の分析装置100の構成の一例を示す図。
図2】測定装置120の概要を示す説明図。
図3】第1の実施形態の測定器1の一例を示す図。
図4】第1の実施形態の測定素子13の一例を示す平面図。
図5】第1の変形例の測定器1の一例を示す図。
図6】第2の変形例の測定器1の一例を示す図。
図7】第3の変形例の測定器1の一例を示す図。
図8】第2の実施形態の測定器1の一例を示す図。
図9】第2の実施形態の測定素子23の一例を示す平面図。
図10】第2の実施形態の測定器1の第1の具体的態様の一例を示す図。
図11】第2の実施形態の測定器1の第2の具体的態様の一例を示す図。
図12】測定素子23を試料Lの流通により回転させる測定器1の一例を示す図。
図13】第3の実施形態の測定器1の一例を示す図。
図14】第4の変形例の測定素子33の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、実施形態の分析装置及び分析方法について説明する。
【0008】
[第1の実施形態]
図1は、実施形態の分析装置100の構成の一例を示す図である。分析装置100は、例えば、操作部110と、測定装置120と、オンライン部130と、表示部140と、印刷部150と、処理回路160と、メモリ170と、を備える。分析装置100は、測定装置120の検出結果に基づいて人体の血液(以下、試料)の粘弾性を算出する。
【0009】
操作部110は、例えば、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力インターフェースを備える。なお、本明細書において入力インターフェースはマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0010】
操作部110では、様々な操作が行われる。操作部110で行われる操作としては、例えば、分析条件の設定、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報の入力、被検体の被検試料毎の測定項目の選択、各項目のキャリブレーション操作、被検試料分析操作などが挙げられる。
【0011】
測定装置120は、人体の試料の粘弾性を算出するためのデータ(以下、算出要素データ)を検出する。図2は、測定装置120の概要を示す説明図である。測定装置120は、例えば、測定器1と、廃棄瓶2と、チューブ3と、を備える。チューブ3は、例えば、図示しない注射器を介して被検体Mの血管と流通可能とされ、血管内の試料Lの一部がチューブ3内に供給される。チューブ3に供給された試料Lは、測定器1に運搬される。
【0012】
測定器1は、運搬された試料Lの算出要素データを検出し、試料Lの一部を被検体Mに還元し、他の一部を廃棄瓶2に排出して廃棄物とする。測定器1は、試料Lの全部を廃棄瓶2に排出してもよいし、試料Lの全部を被検体Mに還元してもよい。廃棄瓶2に排出された試料Lは、所定の処理が施された後に配置記される。測定器1の具体的な構成については、後に複数の例を挙げて更に説明する。
【0013】
被検体Mから測定器1に試料Lを供給する側のチューブ3には、第1抗凝固剤収容体4及び第2抗凝固剤収容体5が接続されている。第1抗凝固剤収容体4には、低濃度の抗凝固剤が収容され、第2抗凝固剤収容体5には、高濃度の抗凝固剤が収容されている。チューブ3で運搬される試料Lに所定量の抗凝固剤を添加することで、流路の詰まりを防止してもよい。抗凝固剤を添加する場合は、分析装置100は、添加した抗凝固剤の量をユーザに報告してよい。
【0014】
さらに、チューブ3の途中に抗凝固剤と試料Lを混合するための混合用の領域を設けてもよい。抗凝固剤が異なる2つの試料Lの粘弾性測定を行うことで、抗凝固剤が試料Lの粘弾性に与える影響を測定してもよい。これにより患者試料が所定の粘弾性(凝固能)になる抗凝固剤の量を取得することが可能となる。
【0015】
オンライン部130は、処理回路160により算出された試料Lの粘弾性などの情報を外部の情報システムなどに出力する。表示部140は、処理回路160により算出された試料Lの粘弾性などの情報を表示する。印刷部150は、処理回路160により算出された試料Lの粘弾性などの情報を印刷する。
【0016】
処理回路160は、例えば、システム制御機能161と、測定制御機能162と、演算機能163と、を備える。処理回路160は、例えば、ハードウェアプロセッサがメモリ(記憶回路)170に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0017】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA))などの回路(circuitry)を意味する。メモリ170にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。上記のプログラムは、予めメモリ170に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の非一時的記憶媒体に格納されており、非一時的記憶媒体が分析装置100のドライブ装置(不図示)に装着されることで非一時的記憶媒体からメモリ170にインストールされてもよい。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。
【0018】
システム制御機能161は、操作部110により出力される操作者のコマンド信号、分析条件、被検体情報、被検体の試料L毎の測定項目などの情報を取得する。システム制御機能161は、取得した情報に基づいて、測定制御機能162を介した測定装置120の制御やキャリブレーションテーブルの作成、分析データの算出と出力に関する制御などシステム全体を制御する。
【0019】
測定制御機能162は、システム制御機能161の指示に従い、測定装置120における各部材を制御する。測定制御機能162における制御は、以下に説明する複数の測定装置120ごとに異なる。このため、測定制御機能における制御は、個別の測定装置120の説明に合わせて説明する。
【0020】
演算機能163は、測定装置120により検出された各情報を取得する。演算機能163は、取得した各情報に基づいて、被検体の試料Lの粘弾性を算出する。演算機能163は、算出した粘弾性の情報をオンライン部130、表示部140、及び印刷部150にそれぞれ出力する。
【0021】
分析装置100は、測定装置120により算出要素データを検出する前に、演算機能163において、粘弾性が既知である標準試料を用いて検量線を作成する。演算機能163が検量線を作成した後、測定装置120は、被検体から採取した試料Lの算出要素データを検出し、演算機能163により試料Lの粘弾性を算出する。演算機能163は、さらに、算出した粘弾性を評価する。なお、演算機能163は、により算出する値としては、粘弾性の値そのものに替えて、粘弾性と相関を有する他の指標、例えば、動的弾性率などでもよい。演算機能163は、演算部の一例である。
【0022】
検量線の作成により発生した廃棄物(標準試料)は、算出要素データの検出時に廃棄される試料Lと同様に、廃棄瓶2に排出されて廃棄物となる。廃棄瓶2の排出された廃棄物が所定量を超えた場合、システム制御機能161は、その旨を示す廃棄物超過情報を作成し、オンライン部130、表示部140、または印刷部150により廃棄物超過情報をユーザに報告する。
【0023】
なお、測定器1やチューブ3内に残存する標準試料が患者に影響しない場合、測定に用いた試料Lは患者に還元してもよい。また、患者から取得した試料Lに抗凝固剤を添加し、試料Lの抗凝固剤に対する影響を測定してもよい。抗凝固剤としては、例えば、ヘパリンが挙げられるが、抗凝固剤は、他のものでもよい。抗凝固剤を含む試料に対して、抗凝固剤の中和剤、例えば、ヘパリナーゼを添加してもよい。抗凝固剤の中和剤は、他のものでもよい。
【0024】
続いて、第1の実施形態の測定装置120における測定器1について説明する。図3は、第1の実施形態の測定器1の一例を示す図である。第1の実施形態の測定器1は、例えば、取付流路11と、回転軸12と、測定素子13と、磁力発生器14と、回転数センサ15と、を備える。
【0025】
取付流路11は、測定器1に対して、取付及び取外しが可能とされている。取付流路11は、上下方向に延在する。取付流路11の内部には、試料Lが流通する流路が形成されている。流路の一部は、測定素子13の回転数を検出する測定領域となっている。測定領域は、鉛直方向に沿った成分を有して形成されている。このため、測定素子13などの物体は、取付流路11内を上下動可能とされている。
【0026】
取付流路11における下端部には、試料Lが流入する流入口が形成され、上端部には、試料Lが流出する流出口が形成されている。取付流路11の流入口及び流出口には、それぞれチューブ3が取り付けられており、被検体Mに接続されたチューブ3を介して、試料Lが取付流路11に循環供給される。チューブ3から循環供給される試料Lは、測定器1内において、取付流路11に形成された流路のみを通過する。
【0027】
回転軸12は、棒状(円筒状)をなしている。回転軸12は、取付流路11に形成された測定領域において、鉛直方向に延在して取付流路11に固定されている。回転軸12は、測定素子13が回転する際の回転中心となる。
【0028】
測定素子13は、例えば、磁性体または磁石を含む円盤状の回転体である。図4は、測定素子13の一例を示す平面図である。測定素子13は、例えば、外枠部13Aと,回転翼13Bと、中心部13Cと、を備える。外枠部13Aは、リング状をなし、測定素子13のもっとも外側に配置されている。
【0029】
回転翼13Bは、外枠部13Aの内側に配置されている。測定素子13は、例えば4枚の回転翼13Bを備える。測定素子13は、3枚以下の回転翼を備えてもよいし、5枚以上の回転翼を備えてもよい。4枚の回転翼13Bは、回転方向に沿って略均等の幅をもって配置されている。
【0030】
回転翼13Bは、例えば、磁性体または磁石により構成されている。測定素子13は、回転翼13Bが磁力を受けることにより回転する。回転翼13Bは、鉛直方向及び水平方向に対して傾斜を有しているこのため、測定素子13が試料L内で回転することにより、測定素子13は、上昇する方向または下降する方向に力を受ける。
【0031】
中心部13Cは、回転翼13Bの更に内側に配置されている。中心部の13Cの中央部には、回転軸12が貫通する貫通穴が形成されている。回転軸12が中心部13Cの貫通穴を貫通することにより。測定素子13の移動方向が、回転軸12に沿った上下方向に規制される。
【0032】
磁力発生器14は、取付流路11の端部、例えば下端部に設けられている。磁力発生器14は、電流が供給されることにより、測定素子13を回転させる磁力を発生するいわゆる電磁石である。磁力発生器14には、図示しない電源からの電流が供給される。分析装置100における測定制御機能162は、電源から磁力発生器14に電流を供給したり供給を停止したりする信号を送信する。磁力発生器14は、測定制御機能162の制御に応じて電流が供給されたり電流の供給が停止されたりして、磁力を発生させたり消滅させたりする。例えば、磁力発生器14がモータのステータの役割を果たし、測定素子13がロータの役割を果たす。
【0033】
回転数センサ15は、取付流路11における上下方向の所定の高さ位置に配置されている。回転数センサ15は、所定の高さ位置で回転する測定素子13の回転数を検出する。回転数センサ15は、回転数センサ15は、検出部の一例である。検出した回転数に基づいて回転数データを生成し、生成した回転数データを処理回路160に送信する。所定の高さ位置は、所定位置の一例である。所定位置は、流路に沿った位置であればよく、流路が水平方向を向いている場合には水平方向の位置でよい。
【0034】
次に、第1の例の測定器1を用いて、試料Lの粘弾性を算出する手順について説明する。分析装置100は、試料Lの粘弾性の算出に先立ち、粘弾性が既知の標準試料を用いた場合に測定素子13が標準試料内で回転する回転数を算出して検量線を作成する。検量線を作成するにあたり、測定制御機能162は、まず、取付流路11に対して標準試料を循環供給する。
【0035】
続いて、測定制御機能162は、磁力発生器14に磁力を発生させることにより、測定素子13を回転させる。測定素子13は、回転することにより、回転軸12に沿って上昇する。測定制御機能162は、測定素子13が所定の高さまで上昇するように、磁力発生器14を制御する。測定制御機能162は、測定素子13が所定の高さより低い位置にあるときには、測定素子13の回転数が大きくなるように、測定素子13が所定の高さより高い位置にあるときには測定素子13の回転数が小さくなるように磁力発生器14を制御する。
【0036】
測定制御機能162は、測定素子13の高さ位置が所定の高い位置となったときに、回転数センサ15により測定素子13の回転数を検出する。回転数センサ15は、測定素子13の回転数に基づく回転数データを処理回路160に送信する。分析装置100では、演算機能163において、測定素子13の回転数と既知の標準試料の粘弾性を対応付けて検量線を作成する。
【0037】
続いて、取付流路11にチューブ3を接続して、取付流路11に試料Lを流通可能な状態とする。その後、測定制御機能162は、取付流路11内が試料Lで満たされた状態とし、資料の分析を開始する。この状態から、測定制御機能162は磁力発生器14における電源に対して磁石に向けて電力を供給させて、磁力発生器14に磁力を発生させ、測定素子13を回転させ所定の高さ位置まで移動させる。
【0038】
回転数センサ15は、高さ位置が所定の高さ位置に到達した測定素子13の回転数を検出し、回転数データを生成して処理回路160に送信する。分析装置100では、演算機能163において、送信された回転数データを取得し、測定素子13の回転数を算出する。
【0039】
演算機能163は、算出した測定素子13の回転数を、先に作成した検量線に参照する。演算機能163は、その結果に基づいて、試料Lの粘弾性を算出する。測定制御機能162は、演算機能163により算出された試料Lの粘弾性を、オンライン部130、表示部140、または印刷部150によりユーザに報告してよい。
【0040】
測定制御機能162は、例えば、試料Lの粘弾性に予め規定の範囲を設定しておいてもよい。この場合、測定制御機能162は、演算機能163により算出された粘弾性が予め規定した範囲から外れる場合に、その旨をオンライン部130、表示部140、または印刷部150によりユーザに報告してよい。
【0041】
あるいは、測定制御機能162は、演算機能163により算出される試料Lの粘弾性を用いて試料Lの粘弾性の変化量を算出し、粘弾性の変化量から所定の時間内に粘弾性の値が範囲外になるかを判断してよい。この場合、測定制御機能162は、粘弾性の変化量から所定の時間内に粘弾性の値が範囲外になると判断した場合、その旨をオンライン部130、表示部140、または印刷部150によりユーザに報告してよい。ここでの粘弾性の範囲及び判断に利用する時間は、予め分析装置100により記憶されていてもよいし、ユーザが設定してもよい。
【0042】
第1の実施形態の分析装置100において測定器1は、測定領域内を試料Lで満たした後、測定領域を落下する測定素子13の落下速度を算出し、算出した測定素子13の落下速度に基づいて、試料Lの粘弾性を算出する。このため、試料Lを測定器1に流入させた状態で試料Lの粘弾性を算出できるので、リアルタイムで試料Lの粘弾性を測定することができる。
【0043】
また、被検体Mから供給された試料Lは、チューブ3及び取付流路11の流路内のみを移動する。このため、使用済の試料Lを被検体Mに還元することができるとともに、測定器1を汚染させないようにすることができる。
【0044】
[第1の変形例]
次に、第1の実施形態の変形例1つを、第1の変形例として説明する。第1の変形例は、第1の実施形態と比較して測定器1の構成が主に異なる。図5は、第1の変形例の測定器1の一例を示す図である。図5において、上図は、測定器1を平面視した図を示し、下図は、測定器1を側面視した図を示す。
【0045】
第1の変形例の測定器1は、第1の実施形態の測定器1と同様の取付流路11、回転軸12、測定素子13、回転数センサ15と、第1の変形例と形状や配置位置などが異なる磁力発生器14と、を備える、第1の変形例の磁力発生器14は、平面視して略C形をなしており、取付流路11の側方を、一部を除いて覆っている。取付流路11を覆う磁力発生器14における切り欠かれた一部に回転数センサ15が配置されている。
【0046】
磁力発生器14は、第1の実施形態と同様、測定素子13を回転させる磁力を発生するいわゆる電磁石である。磁力発生器14は、例えば、取付流路11の下端部から、回転数センサ15が設けられた所定の高さ位置まで延在している。その他の点は、第1の実施形態と同様の構成を有する。
【0047】
第1の変形例の分析装置100は、第1の実施形態の分析装置100と同様の作用効果を奏する。さらに、第1の変形例の分析装置100は、取付流路11の周囲に磁力発生器14が設けられている。このため、磁力発生器14を測定素子13から近い位置に配置することができる。したがって、測定素子13を安定して回転させることができる。
【0048】
[第2の変形例]
次に、第2の変形例について説明する。第2の変形例の分析装置100は、第1の実施形態と比較して、測定器1の構成が主に異なる。図6は、第2の変形例の測定器1の一例を示す図である。
【0049】
第2の変形例の測定器1は、例えば、第2の実施形態の測定器1と同様の取付流路11、回転軸12、測定素子13、磁力発生器14、回転数センサ15を備える。第2の変形例の測定器1は、さらに、スプリング16を備える。スプリング16は、取付流路11の上面と測定素子13にそれぞれ接続されており、測定素子13を上方に引張する引っ張りスプリングである。
【0050】
スプリング16は、測定素子13を試料Lの流通方向に反する方向、第2の変形例では測定素子13を流路の上流側から下流側に付勢する。スプリング16は、付勢部材の一例である。第2の変形例の測定器1では、試料Lの粘弾性を算出する際には、測定素子13を第2の実施形態の測定器1とは逆方向に回転させ、測定素子13を下降させる。また、磁力発生器14は、例えば、取付流路11の上端部から、回転数センサ15が設けられた所定の高さ位置まで延在している。その他の点は、第2の実施形態と同様の構成を有する。
【0051】
第2の変形例の分析装置100は、第1の実施形態の分析装置100と同様の作用効果を奏する。さらに、第2の変形例の分析装置100は、測定素子13を流路に下降させて試料Lの粘弾性を算出する。取付流路11における流路は、上下方向を向いており、スプリング16は、試料Lが流れる方向と反対方向に測定素子13を付勢する。このため、例えば、流路が上下方向以外の方向、例えば左右方向や斜め方向に向いている場合でも、試料Lの粘弾性を算出することができる。
【0052】
[第3の変形例]
次に、第3の変形例について説明する。第3の変形例の分析装置100は、第1の実施形態と比較して、測定器1の構成が主に異なる。以下、第1の実施形態との相違点を中心として、第3の変形例の分析装置について説明する。図7は、第3の変形例の測定器1の一例を示す図である。
【0053】
第3の変形例の測定器1は、第1の実施形態の測定器1と同様の取付流路11、回転軸12、測定素子13、磁力発生器14、及び回転数センサ15を備える。第3の変形例の測定器1は、さらに、傾斜板17を備える。傾斜板17は、取付流路11における測定領域の上端面に取り付けられ、測定領域の上端面を傾斜させる。傾斜板17が設けられることにより、測定領域における試料Lが流出する流出口が形成された位置測定領域の傾斜面には、流出口に近い側の方が遠い側よりも高くなる傾斜が付されている。その他の点は、第1の実施形態と同様の構成を有する。
【0054】
第3の変形例の分析装置100は、第1の実施形態の分析装置100と同様の作用効果を奏する。さらに、第3の変形例の分析装置100において、取付流路11における測定領域の上端面には傾斜板17が設けられ、測定領域の上端面には、流出口に近い側の方が遠い側よりも高くなる傾斜が付される。このため、測定領域内の試料Lを流出口に取り付けられたチューブ3に流入させやすくすることができる。
【0055】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の分析装置100は、第1の実施形態と比較して、測定器1の構成が主に異なる。図8は、第2の実施形態の測定器1の一例を示す図である。
【0056】
第2の実施形態の測定器1は、例えば、取付流路21と、回転軸22と、測定素子23と、回転駆動装置24と、回転数センサ25と、を備える。このうち、取付流路21及び回転数センサ25は、上記第1の実施形態の取付流路11及び回転数センサ15と同様の構成を有している。
【0057】
回転軸22は、回転駆動装置24の駆動力によって鉛直軸回りに回転する。回転軸22は、回転軸本体と、回転軸本体から水平方向に張り出す突出片を備えている。突出片は、回転軸本体が延在する上下方向に沿って延在し、回転軸本体の高さと略同一の高さを有している。
【0058】
図9は、第2の実施形態の測定素子23の一例を示す平面図である。測定素子23は、例えば、外枠部23Aと、回転翼23Bと、中心部23Cと、を備える。外枠部23A及び回転翼23Bの形状等は、第1の実施形態の外枠部13A及び回転翼13Bの外形等と共通する。第2の実施形態の回転翼23Bは、例えば、非磁性体により構成されている。
【0059】
中心部23Cの中央部には、回転軸22が貫通する貫通穴が形成されている。中心部23Cに形成された貫通穴は、回転軸に22における回転軸本体及び突出片の断面形状と略同一の断面形状をなしている。貫通穴に測定素子23が貫通することにより、回転軸22が測定素子23に接続される。第1の実施形態においては、回転軸12は回転せず、測定素子13は、回転軸12の周りを回転する。
【0060】
これに対して、第2の実施形態の回転軸22は、回転駆動装置24の駆動力により鉛直軸回りに回転し、回転軸22の回転力が突出片により測定素子23に伝達されて測定素子23も鉛直軸回りに回転する。また、測定素子23は、回転軸22に貫通するので、回転軸22に沿って鉛直方向に移動可能とされている。
【0061】
回転駆動装置24は、回転軸22に駆動力を付与し、回転軸22を回転させることにより、回転軸22の回転に伴って測定素子23を回転させる。回転駆動装置24は、回転駆動部の一例である。以下、回転駆動装置24を具体化した具体的態様について説明する。
【0062】
図10は、第2の実施形態の測定器1の第1の具体的態様の一例を示す図。第1の具体的態様では、回転駆動装置24は、駆動装置24Aを備える。駆動装置24Aは、例えば、モータ、減速機、ギアなどを備え、モータの出力軸が回転軸22に接続されている。駆動装置24Aは、モータを作動させることにより、モータの駆動力を回転軸22に伝達して回転軸22を回転させる。駆動装置24Aが備えるモータは駆動源の一例である。減速機やギアなどは伝達機構の一例である。
【0063】
図11は、第2の実施形態の測定器1の第2の具体的態様の一例を示す図。第2の具体的態様では、回転駆動装置24は、磁力発生装置24B及び磁性体24Cを備える。磁力発生装置24Bは、第1の実施形態の磁力発生器14と同様の構成を有する。磁性体24Cは、磁力発生装置24Bが発生した磁力により、回転軸22を回転させる。
【0064】
第2の実施形態の分析装置100においては、第1の実施形態と同様、まず、測定領域が標準試料により満たされる。続いて、測定制御機能162は、回転駆動装置24を作動させて測定素子23を所定高さまで上昇させる。回転数センサ25は、所定の高さ位置に到達したときの測定素子23の回転数を検出して回転数データを生成して処理回路160に送信する。演算機能163は、送信された回転数データに基づく測定素子23の回転数に基づいて、検量線を作成する。
【0065】
続いて、取付流路11にチューブ3が取り付けられ、被検体Mの試料Lが取付流路21に供給され、取付流路21の測定領域が試料Lにより満たされる。その間に、測定素子23は、取付流路11の最下端に戻される。続いて、測定制御機能162は、回転駆動装置24により回転軸22及び測定素子23を回転させる。
【0066】
回転数センサ25は、所定の高さ位置に到達した測定素子23の回転数を検出し、回転数データを生成して処理回路160に送信する。演算機能163は、送信された回転数データに基づく測定素子23の回転数を、先に作成した検量線に参照して試料の粘弾性を算出する。
【0067】
第2の実施形態の分析装置100は、第1の実施形態の分析装置100と同様の作用効果を奏する。さらに、第2の実施形態の分析装置100は、回転軸22を回転駆動装置24により回転させ、回転軸22の回転を機械的に測定素子23に伝達して測定素子23を回転させる。このため、測定素子23の回転速度を精度良く制御することができる。
【0068】
上記第2の実施形態では、回転軸22を回転駆動装置24により回転させて測定素子23を回転させるが、回転駆動装置24を用いることなく、例えば、試料Lの流通にともって測定素子23を回転させてもよい。図12は、測定素子23を試料Lの流通(流速)により回転させる測定器1の一例を示す図である。
【0069】
この例の測定器1は、例えば、取付流路21と、回転軸22と、測定素子23と、回転数センサ25と、を備える。取付流路21は、水平方向に延びる流路を備える。図12において、試料Lは、左から右に向けて流通する。流路における測定領域は、流れ方向略中央部が拡幅する太鼓形状をなしている。
【0070】
測定領域の流れ方向に垂直に切った断面の中央部には、回転軸22が配置されている。さらに、測定領域における流れ方向の中央の膨らんだ部分には、測定素子23が配置されている。測定素子23は、測定領域を流れる試料Lの流れによって回転軸22回りに回転する。測定素子23は、例えば非磁性体により形成されているが、磁性体により形成されていてもよい。
【0071】
回転軸22を支持する支持部材を介して取付流路21に固定されており支持部材には、回転数センサ25が取り付けられている。回転数センサ25は、測定素子23の回転数を検出する。回転数センサ25は、検出した回転数に基づいて回転数データを生成して処理回路160に送信する。
【0072】
この例の測定器1において、試料Lを測定領域に流入させる場合に、時間当たりの流入量は定められた値とする。流入量はあらかじめ定められた値でもよいし、ユーザが設定してもよい。また、標準試料を測定する時に複数の流入量で検量線を作成し、これにより試料Lを測定する際にも複数の流入量で粘弾性測定を実施してもよい。試料Lを流入させることで測定素子23を回転させる場合、測定素子23が回転方向と垂直方向に移動する領域を設ける必要はなく、取り付ける角度をどのようにしてもよい。
【0073】
この例の測定器1を備える分析装置100は、第1の実施形態の分析装置100と同様の作用効果を奏する。さらに、この例の分析装置100は、測定領域を流れる試料Lに基づいて測定素子23を回転させる。このため、測定素子23を回転させるための駆動装置などが不要となるので、装置の簡素化及び低コスト化を図ることができる。
【0074】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の分析装置100は、第1の実施形態と比較して、測定器1の構成が主に異なる。図13は、第3の実施形態の測定器1の一例を示す図である。
【0075】
第3の実施形態の測定器1は、例えば、取付流路31と、磁力発生器32と、測定素子33と、回転数センサ34と、を備える。取付流路31における上方位置に流入口と流出口が形成され、それぞれチューブ3が接続されている。流出口は、流入口よりも上方に配置されている。
【0076】
磁力発生器32は、取付流路31内における底面に設けられている。磁力発生器32は、上記第1の実施形態の磁力発生器14と同様の電磁石である。測定素子33は、第1の実施形態の測定素子13と同様の磁性体または磁石を含む円盤状の回転体である。測定素子33は、磁力発生器32により発せられる磁力により、取付流路31内を浮遊しながら回転して上昇する。磁力発生器32は、測定素子33が鉛直軸に沿って上昇するように磁力を発生させる。磁力発生器32は取付流路31内に設けられているが、取付流路31の外側に設けられていてもよい。
【0077】
回転数センサ34は、取付流路31における所定の高さ位置に配置される。回転数センサ34は、所定の高さ位置に到達した測定素子33の回転数を検出する。回転数センサ34は、検出した測定素子33の回転数に基づいて回転数データを生成し、生成した回転数データを処理回路160に送信する。
【0078】
第3の実施形態の分析装置100においては、第1の実施形態と同様、まず、測定領域が標準試料により満たされる。続いて、測定制御機能162は、磁力発生器32を作動させて測定素子33を所定高さまで上昇させる。このとき、測定素子33は、鉛直軸に沿って上昇するので、測定領域の側壁に衝突しないようにその軌道が調整されている。回転数センサ34は、所定の高さ位置に到達した測定素子33の回転数を検出して回転数データを生成して処理回路160に送信する。演算機能163は、送信された回転数データに基づく測定素子33の回転数に基づいて、検量線を作成する。
【0079】
続いて、取付流路31にチューブ3が取り付けられ、被検体Mの試料Lが取付流路31に供給され、取付流路31の測定領域が試料により満たされる。その間に、測定素子33は、取付流路31の最下端に戻される。続いて、測定制御機能162は、磁力発生器32により測定素子33を回転させながら上昇させる。
【0080】
回転数センサ34は、所定の高さ位置に到達した測定素子33の回転数を検出し、回転数データを生成して処理回路160に送信する。演算機能163は、送信された回転数データに基づく測定素子33の回転数を、先に作成した検量線に参照して試料の粘弾性を算出する。
【0081】
第3の実施形態の分析装置100は、第1の実施形態の分析装置100と同様の作用効果を奏する。さらに、回転軸第2の実施形態の分析装置100は、回転軸22を回転駆動装置24により回転させ、回転軸12などを設ける必要がないので、その分装置の簡素化及び低コスト化を図ることができる。
【0082】
[第4の変形例(第3の実施形態の変形例)]
次に、第3の実施形態の変形例としての第4の変形例について説明する。第4の変形例の分析装置100は、第3の実施形態と比較して、測定器1の構成が主に異なる。図14は、第4の変形例の測定器1の一例を示す図である。
【0083】
第4の実施形態の測定器1は、第3の実施形態における測定器1と比較して、第2磁力発生器35が設けられている点で主に異なる。第2磁力発生器35は、磁力発生器32と同様の電磁石である。第2磁力発生器35は、測定領域の周囲において、取付流路31の下端部から、回転数センサ34が設けられた所定の高さ位置まで延在している。第2磁力発生器35は、磁力発生器32と協働することにより、測定素子33を回転させる磁力を発生させる。その他の点については、上記第3の実施形態と同様の構成を有する。
【0084】
第4の変形例の分析装置100は、上記第3の実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、第4の変形例の分析装置100は、第2磁力発生器35を備え、磁力発生器32と協働して測定素子33を回転させる。このため、例えば測定素子33が上昇する際の軌道が鉛直軸からずれた場合に、第2磁力発生器35により、軌道を修正しやすくすることができる。
【0085】
上記第4の変形例では、磁力発生器32及び第2磁力発生器35が設けられているが、磁力発生器32が設けられておらず、第2磁力発生器35のみが設けられていてもよい。この場合、取付流路31を形成する筐体(ケース)の外周が完全に空いているような状態である場合には、例えば、マグネットポンプの構造に見られるように、取付流路31の外側の周囲において、モータにより回転させられる駆動マグネットを利用して、測定素子33を回転させるようにしてもよい。
【0086】
上記各実施形態では、分析装置100における演算機能163が粘弾性を算出するが、演算機能163は、粘弾性に代えて、粘性を算出してもよいし、粘性に関する指標、例えば、粘性自体のほか、粘性係数、粘性率、動粘度などを算出してもよい。演算機能163は、粘弾性及び粘性または粘弾性及び粘性に関する指標の一部または全部を算出してもよい。
【0087】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、試料を流通させる流路内の測定領域に配置された測定素子、前記測定素子を回転させる回転駆動部、及び前記測定素子の所定位置における回転数を検出する検出部を備える測定装置と、前記測定素子の回転数に基づいて、前記試料の粘弾性または粘性のうち少なくともいずれか一方に関する指標を算出する演算部と、を持つことにより、リアルタイムで試料の粘弾性を測定することができる。
【0088】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
1…測定器
2…廃棄瓶
3…チューブ
4…第1抗凝固剤収容体
5…第2抗凝固剤収容体
11,21,31…取付流路
12,22…回転軸
13,23,33…測定素子
13A,23A…外枠部
13B,23B…回転翼
13C,23C…中心部
14,32…磁力発生器
15,25,34…回転数センサ
16…スプリング
17…傾斜板
24…回転駆動装置
24A…駆動装置
24B…磁力発生装置
24C…磁性体
35…第2磁力発生器
100…分析装置
110…操作部
120…測定装置
130…オンライン部
131…取付流路
140…表示部
150…印刷部
160…処理回路
161…システム制御機能
162…測定制御機能
163…演算機能
170…メモリ
L…試料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14