(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172605
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】電子申請装置、電子申請システムおよび電子申請プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20120101AFI20231129BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084532
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪井 友美
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】 各種の申請手続きを簡単に実施できる電子申請装置、電子申請システムおよび電子申請プログラムを提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、電子申請装置は、音声入力部と通信部とプロセッサとを有する。音声入力部は、音声を入力する。通信部は、申請者本人が入力すべき入力情報を含む申請データを処理する申請処理サーバと通信する。プロセッサは、音声入力部により入力する申請者本人が発した入力情報としての音声に対する音声認識によって取得する文字データを含む申請データと音声入力部により入力した音声の音声データとに電子署名を付与し、電子署名を付与した申請データと音声データとを通信部により申請処理サーバへ送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を入力する音声入力部と、
申請者本人が入力すべき入力情報を含む申請データを処理する申請処理サーバと通信する通信部と、
前記音声入力部により入力する申請者本人が発した入力情報としての音声に対する音声認識によって取得する文字データを含む申請データと前記音声入力部により入力した音声の音声データとに電子署名を付与し、前記電子署名を付与した申請データと音声データとを前記通信部により前記申請処理サーバへ送信するプロセッサと、
を有する電子申請装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記音声入力部により入力するユーザが発した合言葉としての音声に対する音声認識によって取得する文字データが前記申請者本人により登録された合言葉と一致した後に前記音声入力部により入力する音声を前記申請者本人が発した入力情報として受け付ける、
請求項1に記載の電子申請装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記音声入力部により入力する前記合言葉としての音声に対する音声認識によって取得する文字データが前記申請者本人により登録された合言葉と一致する場合に前記合言葉としての音声から抽出した声紋情報を前記申請者本人の声紋情報として記憶装置に登録し、
前記音声入力部により入力するユーザが発した入力情報としての音声から抽出する声紋情報と前記記憶装置に登録した前記申請者本人の声紋情報とが同一人物のものである場合、前記入力情報としての音声に対する音声認識によって取得する文字データを含む申請データと前記音声入力部により入力した音声を示す音声データとに電子署名を付与し、前記電子署名を付与した申請データと音声データとを前記通信部により前記申請処理サーバへ送信する、
請求項2に記載の電子申請装置。
【請求項4】
さらに、音声案内を出力する音声出力部を有し、
前記プロセッサは、
前記音声入力部により入力する音声に対する音声認識によって取得した文字データを音に変換した音声を前記音声出力部により出力し、
前記音声出力部により出力した音声で出力した文字データが入力情報として確定された場合に前記文字データを含む申請データに電子署名を付与し、前記電子署名を付与した申請データと音声データとを前記通信部により前記申請処理サーバへ送信する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子申請装置。
【請求項5】
電子申請装置と申請処理サーバとを有する電子申請システムであって、
前記電子申請装置は、
音声を入力する音声入力部と、
前記申請処理サーバと通信する第1の通信部と、
前記音声入力部により入力する申請者本人が発した入力情報としての音声を含む音声データに電子署名を付与し、前記電子署名を付与した音声データを前記第1の通信部により前記申請処理サーバへ送信する第1のプロセッサと、を有し、
前記申請処理サーバは、
前記電子申請装置と通信する第2の通信部と、
前記電子申請装置から受信する前記電子署名が付与された音声データを保存するメモリと、
前記電子申請装置から受信する前記音声データに対する音声認識によって取得する文字データを含む申請データに基づく申請を申請書受付装置へ提出する第2のプロセッサと、を有する、
電子申請システム。
【請求項6】
前記電子申請装置の前記第1のプロセッサは、前記音声入力部により入力するユーザが発した合言葉としての音声を含む音声データを前記申請処理サーバへ送信し、
前記申請処理サーバの前記第2のプロセッサは、前記電子申請装置から受信する前記ユーザが発した合言葉としての音声を含む音声データに対する音声認識によって取得する文字データが前記申請者本人によって登録されている合言葉と一致した場合、前記電子申請装置における前記音声入力部により入力する音声を前記申請者本人が発する入力情報として音声として受け付ける、
請求項5に記載の電子申請システム。
【請求項7】
前記申請処理サーバの前記第2のプロセッサは、
前記電子申請装置から受信する前記合言葉としての音声を含む音声データに対する音声認識によって取得する文字データが前記申請者本人により登録された合言葉と一致する場合、前記合言葉としての音声から抽出する声紋情報を前記申請者本人の声紋情報として記憶装置に登録し、
前記電子申請装置から受信するユーザが発した入力情報としての音声から抽出する声紋情報と前記記憶装置に登録した前記申請者本人の声紋情報とが同一人物のものである場合、前記入力情報としての音声に対する音声認識によって取得する文字データを含む申請データに基づく申請を申請書受付装置へ提出する、
請求項6に記載の電子申請システム。
【請求項8】
前記電子申請装置は、さらに、音声案内を出力する音声出力部を有し、
前記申請処理サーバの前記第2のプロセッサは、前記電子申請装置から受信する前記音声データに対する音声認識によって取得する文字データを音声で出力させるための音声認識結果の音声データを前記電子申請装置へ送信し、
前記電子申請装置の前記第1のプロセッサは、前記申請処理サーバから受信する前記音声認識結果の音声データに基づく音声案内を前記音声出力部により出力した後、前記音声出力部により出力した前記音声認識結果が入力情報として確定された場合に前記音声認識結果の確定を前記申請処理サーバへ送信し、
前記申請処理サーバの前記第2のプロセッサは、前記電子申請装置から前記音声認識結果の確定を受信した場合に前記音声認識結果としての文字データを含む申請データに基づく申請を申請書受付装置へ提出する、
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の電子申請システム。
【請求項9】
音声を入力する音声入力部と通信部とプロセッサとを有する情報処理装置に、
前記音声入力部により申請者本人が発する音声を入力し、
前記音声入力部により入力した音声に対する音声認識を実行し、
前記音声認識によって取得する文字データを含む申請データと前記音声入力部により入力した前記音声の音声データとに電子署名を付与し、
前記電子署名を付与した申請データと音声データとを前記通信部により申請データを処理する申請処理サーバへ送信する、
ことを実行させる電子申請プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子申請装置、電子申請システムおよび電子申請プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の申請手続きをオンラインで実施できるようにする電子申請システムが提案されている。従来の電子申請システムは、マイナンバーカードのような公的な個人認証媒体などを用いて申請者本人が操作するユーザ端末で各種の申請や届出などをオンラインで提出するシステムである。従来の電子申請システムは、例えば、ユーザ認証が成功したユーザ端末の表示部に申請や届出などの申請書面に記入が必要となる各種の事項を表示し、表示部に表示された各種の入力事項をユーザ端末の操作装置を用いて申請者自身に入力させる。
【0003】
しかしながら、従来の電子申請システムは、申請者自身がユーザ端末を操作することによって電子申請を行うのが難しい人物がいる。例えば、高齢者や障害者には、表示装置に表示される表示画面を視認したり操作装置を用いて必要な入力事項を入力するための操作を行ったりすることが困難な人物も存在する。このような人物は、各種の申請内容における必要事項の入力を申請者本人が行うことを原則とする電子申請システムでは電子申請を利用できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、各種の申請手続きを簡単に実施できる電子申請装置、電子申請システムおよび電子申請プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、電子申請装置は、音声入力部と通信部とプロセッサとを有する。音声入力部は、音声を入力する。通信部は、申請者本人が入力すべき入力情報を含む申請データを処理する申請処理サーバと通信する。プロセッサは、音声入力部により入力する申請者本人が発した入力情報としての音声に対する音声認識によって取得する文字データを含む申請データと音声入力部により入力した音声の音声データとに電子署名を付与し、電子署名を付与した申請データと音声データとを通信部により申請処理サーバへ送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電子申請システム全体の構成例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電子申請システムにおける電子申請装置としてのユーザ端末の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る電子申請システムにおける申請処理サーバの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る電子申請システムにおける第1の申請処理の動作例を説明するためのシーケンスである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る電子申請システムにおける第1の申請処理の動作例を説明するためのシーケンスである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る電子申請システムにおける第2の申請処理の動作例を説明するためのシーケンスである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る電子申請システムにおける第2の申請処理の動作例を説明するためのシーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、実施形態に係る電子申請システム1の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る電子申請システム1全体の構成例を模式的に示す図である。
図1に示す構成例において、電子申請システム1は、個人認証カード12、ユーザ端末13、および、申請処理サーバ14を有する。
【0009】
個人認証カード12は、個人認証用の記録媒体である。個人認証カード12は、署名用電子証明書などの電子証明書を備える。個人認証カード12は、電子証明書を利用したり個人を認証したりするための情報としてパスワードあるいは生体情報などの認証情報も記憶される。また、個人認証カード12は、個人の認証情報、氏名、生年月日、住所などの個人情報がカードデータとして記憶される。個人認証カード12は、例えば、マイナンバーカードなどの公的機関が個人ごとに発行するICカードである。以下に説明する実施形態において、個人認証カード12は、公的な機関が個々の個人に対して発行するICカードであるものとする。
【0010】
ユーザ端末13は、電子申請を行う申請者(ユーザ)本人又はユーザの補助者が操作する情報処理装置(電子申請装置)である。ユーザ端末13は、申請処理サーバ14と通信可能な情報処理装置である。ユーザ端末13は、音声の入出力機能を有し、申請書受付装置15に提出する申請書に入力すべき情報(申請内容)の一部又は全部をユーザ本人の音声で入力する。また、ユーザ端末13は、申請者(ユーザ)本人又はユーザに対しての音声案内を行う機能も備える。
【0011】
ユーザ端末13は、例えば、スマートフォン、タブレットPC、パソコンなどの情報処理装置である。本実施形態において、ユーザ端末13は、個人認証カード12と通信するカードリーダライタおよびインターネットなどのネットワークを介して申請処理サーバ14と通信する通信インターフェースなどを備える。また、ユーザ端末13は、個人認証カード12に相当する個人認証用のアプリケーションプログラム(以下、個人認証アプリと称する)がインストールされた情報処理装置であっても良い。
【0012】
本実施形態に係る電子申請システム1において、ユーザ端末13は、電子申請を行うための申請用のアプリケーションプログラム(申請アプリ)を実行することにより電子申請を行う処理(第1の申請処理)を実行する。また、ユーザ端末13は、申請処理サーバ14が提供する電子申請用のサイトにアクセスして電子申請を行う処理(第2の申請処理)を実行するものであっても良い。
【0013】
申請処理サーバ14は、ユーザ端末13および申請書受付装置15と通信する。申請処理サーバ14は、ユーザ端末13において申請書であるユーザ自身が入力する音声に基づいて入力項目の一部又は全部が入力された申請書のデータ(申請データ)を申請書受付装置15に提出する申請の処理を行う。
【0014】
本実施形態に係る電子申請システム1において、申請処理サーバ14は、ユーザ端末13が申請アプリを用いてユーザの音声などから作成した申請データを取得し、ユーザ端末13から取得した申請データを申請書受付装置15に提出する処理(第1の申請処理)を行う。また、申請処理サーバ14は、ユーザ端末13がインターネットを介してアクセス可能な電子申請用のサイトを提供し、電子申請用のサイトにおいてユーザ端末13で申請者本人が入力する音声を取得することにより申請データを作成して申請書受付装置15に提出する処理(第2の申請処理)を実行するようにしても良い。
【0015】
申請書受付装置15は、ユーザ本人が入力した情報を含む各種の入力項目にデータが入力された申請書の電子申請(申請データ)を受け付ける装置である。申請書受付装置15は、各種の申請をオンラインで受け付ける官公庁などの機関に設けられる。本実施形態において、申請書受付装置15は、ユーザ本人が入力(記載)すべき入力項目を含む種々の入力項目からなる所定フォーマットの申請書の電子データ(申請データ)を受け付けるサーバ装置である。
【0016】
次に、実施形態に係る電子申請システム1におけるユーザ端末13の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る電子申請システム1におけるユーザ端末13の構成例を示すブロック図である。
ユーザ端末13は、オペレーティングシステム(OS)上で種々のアプリケーションプログラムが実行される電子装置である。ユーザ端末13は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話機、あるいは、ネットワーク通信機能を有するテレビなどの情報家電である。
【0017】
図2に示す構成例において、ユーザ端末13は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、データメモリ34、通信部35、カードリーダライタ(RW)36、音声入力部37、音声出力部38、表示部39、および、操作部40などを有する。
【0018】
プロセッサ31は、プログラムを実行することにより各種の処理を実行する。プロセッサ31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ31は、システムバスを介してユーザ端末13内の各部と接続され、各部との間でデータを送受信する。プロセッサ31は、ROM32およびRAM33と協働してユーザ端末13における制御およびデータ処理などの動作を実行する。例えば、プロセッサ31は、ROM32あるいはデータメモリ34に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより種々の処理機能を実現する。ただし、後述するプロセッサ31が実行する各種の機能のうち一部又は全部は、ハードウエア回路により実現されるようにしても良い。
【0019】
ROM(Read Only Memory)32は、ユーザ端末13の基本的な動作を実現するためのプログラムおよび制御データなどを記憶する不揮発性のメモリである。例えば、ROM32は、オペレーティングシステム(OS)などの基本動作を司るプログラムを記憶する。また、ROM32は、ユーザ端末13が具備する機能を実現するためのアプリケーションプログラムなどを記憶しても良い。ROM32は、書き換え可能な不揮発性のメモリで構成しても良い。例えば、書き換え可能なROM32としては、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable ROM)又はフラッシュROMなどで実現される。
【0020】
RAM(Random Access Memory)33は、データを一時的に記憶する揮発性のメモリである。RAM33は、プロセッサ31がプログラムを実行する場合にワーキングメモリとして機能する。
【0021】
データメモリ34は、各種のデータを記憶する記憶部である。データメモリ34は、データの書き換えが可能な不揮発性のメモリで構成される。例えば、データメモリ34は、フラッシュROM、SSD(Solid State Drive)などの半導体素子メモリ、あるいは、HDD(Hard Disc Drive)などの記憶装置が用いられる。データメモリ34は、アプリケーションプログラム、動作設定値、個人情報などを記憶する。また、データメモリ34は、OSプログラムを記憶するようにしても良い。
【0022】
通信部35は、外部装置と通信するための通信インターフェースである。通信部35は、無線で通信を行うものであって良いし、有線で通信を行うものであっても良い。電子申請システム1において、通信部35は、インターネットを介して申請処理サーバ14と通信するものであれば良い。
【0023】
カードリーダライタ36は、個人認証カード12と通信する。カードリーダライタ36は、個人認証カード12としてのICカードに対して、電源供給、クロック供給、リセット制御、データの送受信を行う。カードリーダライタ36は、ICカード(個人認証カード)12を活性化(起動)させた後、プロセッサ31による制御に基づいて種々のコマンドを送信したり送信したコマンドに対する応答を受信したりする。なお、カードリーダライタ36は、ユーザ端末13に対する外部機器であっても良い。カードリーダライタ36が外部機器である場合、ユーザ端末13は、のカードリーダライタに接続するためのインターフェースを備える構成とすれば良い。
【0024】
カードリーダライタ36は、個人認証カード12が備える通信方式に対応する構成を備える。例えば、個人認証カード12が非接触型のICカードとして実現される場合、カードリーダライタ36は、非接触型のICカードの通信方式に準拠する通信プロトコルで、非接触(無線)で個人認証カード12と通信する。また、個人認証カード12が接触型のICカードとして実現される場合、カードリーダライタ36は、ICカードのコンタクト部(インターフェース)と物理的かつ電気的に接触するコンタクト部を有し、コンタクト部を介してデータの送受信を行う。
【0025】
音声入力部37は、音声を入力するデバイスである。音声入力部37は、マイクなどにより構成される。音声入力部37は、申請者であるユーザ本人又はユーザの補助者が発する音声を入力する。
音声出力部38は、音声を出力するデバイスである。音声出力部38は、例えば、スピーカなどにより構成される。音声出力部38は、音声入力案内などを音声で出力する。例えば、音声出力部38は、申請書における入力項目に申請者本人が入力すべき情報の案内を音声で出力する。
【0026】
表示部39は、表示画面に情報を表示する。表示部39は、液晶パネル等の表示デバイスである。操作部40は、操作指示を入力するための操作デバイスである。例えば、表示部39と操作部40とは、タッチパネル付き表示装置(以下、タッチスクリーンと称する)で構成しても良い。また、操作部40は、ボタンスイッチで構成する操作キー、静電容量の変化に基づいて操作者の手指が触れたことを検出するタッチセンサなどを含むものであっても良い。
【0027】
次に、実施形態に係る電子申請システム1における申請処理サーバ14の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る電子申請システム1における申請処理サーバ14の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、申請処理サーバ14は、プロセッサ41、ROM42、RAM43、データメモリ44、通信部45、および、通信部46を有する。
【0028】
プロセッサ41は、プログラムを実行することにより各種の処理を実行する。プロセッサ41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ41は、システムバスを介して申請処理サーバ14内の各部と接続され、各部との間でデータを送受信する。プロセッサ41は、ROM42およびRAM43と協働して申請処理サーバ14における制御およびデータ処理などの動作を実行する。
【0029】
ROM(Read Only Memory)42は、申請処理サーバ14の基本的な動作を実現するためのプログラムおよび制御データなどを記憶する不揮発性のメモリである。
RAM(Random Access Memory)43は、データを一時的に記憶する揮発性のメモリである。RAM43は、プロセッサ41がプログラムを実行する場合にワーキングメモリとして機能する。
データメモリ44は、各種のデータを記憶する記憶部である。データメモリ44は、データの書き換えが可能な不揮発性のメモリで構成される。例えば、データメモリ44は、OSプログラム、アプリケーションプログラム、動作設定情報などを記憶する。
【0030】
通信部45は、ユーザ端末13と通信するためのインターフェースである。
図1に示す電子申請システム1において、通信部45は、インターネットを介してユーザ端末13と通信するネットワークインターフェースである。通信部45は、ユーザ端末13と申請処理サーバ14との間において音声データを含むデータの通信が可能なインターフェースである。
【0031】
通信部46は、申請書受付装置15と通信するためのインターフェースである。通信部46は、申請書受付装置15としてのサーバ装置などとの通信を行うものであれば良い。通信部46は、申請書受付装置15とネットワークを介して通信するものであっても良いし、ローカルに申請書受付装置15と通信するものであっても良い。本実施形態に係る電子申請システム1において、通信部46は、申請書受付装置15との通信がセキュアに行えるものであれば良い。
なお、通信部45および通信部46は、1つの通信インターフェースで実現する構成としても良い。
【0032】
次に、本実施形態に係る電子申請システム1における申請手続きの処理について説明する。
以下に説明する電子申請システム1では、前提条件として、ユーザ端末13は、個人認証カード12で認証される情報処理装置(端末装置)、又は、個人認証カード12と同等の機能を備える個人認証アプリケーションプログラム(個人認証アプリ)がインストールされた情報処理装置であるものとする。
【0033】
本実施形態において、電子申請システム1は、電子申請用のアプリケーションプログラムである申請アプリをインストールしたユーザ端末13を用いて電子申請を実施する第1の申請処理と、申請処理サーバ14が提供する電子申請用のサイト(WEBページ)上にアクセスしたユーザ端末13を用いて電子申請を実施する第2の申請処理とについて説明するものとする。
【0034】
まず、本実施形態に係る電子申請システム1においてユーザ端末13が申請アプリを用いて電子申請を行う第1の申請処理について説明する。
図4および
図5は、実施形態に係る電子申請システム1における第1の申請処理の動作例を説明するためのシーケンスである。
第1の申請処理において、ユーザ端末13には、電子申請を行うための申請アプリがインストールされているものとする。まず、ユーザ端末13のプロセッサ31は、申請アプリを起動する(ST11)。例えば、プロセッサ31は、操作部40への操作に応じて申請アプリを起動するようにしても良いし、音声入力部37が入力する音声を認識することによって申請アプリの起動指示を受け付けるようにしても良い。
【0035】
また、プロセッサ31は、申請アプリが複数種類の申請内容に対応するものである場合、選択可能な複数種類の申請内容からユーザが指定する申請内容を設定する。例えば、プロセッサ31は、ユーザが申請内容を発声すると、音声入力部37が入力する音声を認識することにより申請内容を特定する。
【0036】
プロセッサ31は、申請アプリによる申請内容を設定すると、個人認証カード12による個人認証を実行する(ST12)。例えば、プロセッサ31は、カードリーダライタ36により個人認証カード12に接続し、個人認証カード12に登録されている認証情報(例えば、パスワード)に基づく個人認証によってユーザ(申請者)が個人認証カード12の所持者本人であることを認証する。また、プロセッサ31は、予め当該ユーザ端末13にインストールされている個人認証アプリによってユーザ(申請者)が個人認証カード12の所持者本人であることを認証するようにしても良い。
【0037】
図4および
図5に示す処理例において、ユーザ端末13のプロセッサ31は、カードリーダライタ36に接続する個人認証カード12に個人認証を実行させるものとする。プロセッサ31は、申請内容を設定すると、カードリーダライタ36に接続する個人認証カード12で個人認証を実行する旨を案内する。プロセッサ31は、ユーザから取得する認証情報による個人認証をカードリーダライタ36に接続する個人認証カードに要求する(ST12)。
【0038】
例えば、プロセッサ31は、音声出力部38により出力する音声で個人認証カード12の提示を案内し、ユーザ(申請者)又は補助者が提示する個人認証カード12とカードリーダライタ36により接続する。プロセッサ31は、カードリーダライタ36により個人認証カード12と接続すると、音声出力部38を用いて個人認証カード12における個人認証用の認証情報の入力を案内する。ユーザは、案内に応じて個人認証カード12における個人認証用の認証情報を入力する。ここで、プロセッサ31は、音声入力部37で入力するユーザが発声する音声を認識することにより認証情報を取得するようにして良い。プロセッサ31は、ユーザから取得した認証情報による個人認証を個人認証カード12に要求する。
【0039】
ユーザ端末13のカードリーダライタ36に接続する個人認証カード12は、事前に登録されている認証情報に基づいてユーザ端末13からの要求に応じた個人認証を実行する(ST13)。個人認証が成功すると、個人認証カード12は、認証が成功したユーザに関するデータを含むカードデータを出力する(ST14)。例えば、ユーザ端末13は、個人認証カード12での個人認証が成功した後、申請内容に応じて個人認証カード12から取得すべきデータを個人認証カード12に要求する。個人認証カード12は、個人認証が成功した後、ユーザ端末13からの要求に応じてカードデータを出力する。
【0040】
さらに、ユーザ端末13のプロセッサ31は、ユーザ(申請者)本人が事前に設定する合言葉による本人確認(認証)を実行する(ST15)。プロセッサ31は、ユーザに対して合言葉の発声を促し、事前にユーザ自身が登録した合言葉とユーザが実際に発声する言葉の内容とが一致するか否かにより本人確認を行う。
【0041】
合言葉とする言葉(文字)の情報は、当該ユーザの声紋情報に対応づけて事前に登録される。合言葉は、ユーザ自身が音声で回答可能な事前に設定した情報であれば良い。例えば、合言葉は、パスワードであっても良いし、秘密の質問への回答の言葉であっても良い。また、合言葉は、ユーザごとに複数種類が設定されるようにしても良い。
【0042】
第1の申請処理では、合言葉による本人確認をユーザ端末13にインストールした申請アプリが実行するものとするため、ユーザが事前に設定する合言葉は、個人認証カード12又はユーザ端末13のデータメモリ34などにセキュアに保存されるものとする。プロセッサ31は、ユーザが事前に登録した合言葉を個人認証カード12又はデータメモリ34から取得する。
【0043】
プロセッサ31は、ユーザ(申請者)に対して、合言葉を音声で回答することを要求し、ユーザが発する発声を音声入力部37により入力する。プロセッサ31は、音声入力部37により入力した音声から声紋情報を抽出するとともに、音声入力部37が取得した音声に対する音声認識によってユーザが発した言葉の内容を取得する。プロセッサ31は、音声入力部37により入力した音声の声紋がユーザ自身により事前に登録された声紋と一致し、かつ、ユーザが発声した言葉とユーザにより事前に登録された合言葉とが一致するか否かにより本人確認を行う。
【0044】
なお、プロセッサ31は、合言葉による認証が成功した場合、音声入力部37により取得した認証が成功した合言葉を含む音声から声紋情報を抽出し、抽出した声紋情報を当該ユーザ本人の声紋情報として登録したり、登録済みの声紋情報を更新したりするようにしても良い。
また、ユーザの登録情報としてユーザ本人の声紋情報が既に登録されている場合、プロセッサ31は、合言葉の一致だけでなく、音声入力部37により取得したユーザが発した合言葉を含む音声から抽出した声紋情報と事前に登録されている声紋情報とにより生体認証を行うようにして良い。この場合、プロセッサ31は、合言葉が一致し、かつ、声紋情報が一致した場合に、合言葉による認証が成功したものとするようにしても良い。
【0045】
プロセッサ31は、合言葉による本人確認(認証)が成功すると、通信部35により申請処理サーバ14にアクセスし、申請内容に応じた申請書などを示す申請書データを要求する申請リクエストを送信する(ST16)。申請書データは、申請内容に対応する申請書に入力すべき項目(入力項目)を示す。申請内容に応じた申請書データが示す入力項目は、個人認証カード12から取得可能な個人情報などのカードデータだけでなく、ユーザ本人が実際に入力すべき情報が含まれるものとする。
【0046】
申請処理サーバ14は、通信部45によりユーザ端末13からの申請リクエストを受信する。申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ端末13からの申請リクエストを受信すると、当該申請リクエストで求められる申請内容に応じた申請書を特定し、特定した申請書に対応する申請書データを作成する。プロセッサ41は、申請リクエストで要求された申請書データを作成すると、通信部45により当該申請リクエストの発信元であるユーザ端末13へ申請書データを送信する(ST17)。
【0047】
ユーザ端末13のプロセッサ31は、通信部35により申請処理サーバ14からの申請書データを受信する。ユーザ端末13のプロセッサ31は、申請書データを受信すると、入力項目のうち個人認証カード12から取得するデータを取得する(ST18)。例えば、プロセッサ31は、入力項目のうち、住所、氏名、年齢などの個人情報を個人認証カード12からのカードデータとして取得する。
【0048】
また、プロセッサ31は、申請処理サーバ14から取得した申請書データにおける入力項目から申請者(ユーザ)本人が入力するべき入力項目を抽出する。プロセッサ31は、ユーザ本人が入力すべき各入力項目について音声での入力を促す音声入力案内を出力する(ST19)。例えば、プロセッサ31は、ユーザ本人が入力すべき入力項目が複数ある場合、順番に各入力項目を音声で入力させるための音声入力案内を音声出力部38から音声で出力する。また、プロセッサ31は、音声入力案内を表示部39により表示するようにしても良い。表示部39に表示する案内は、ユーザ本人が確認するだけでなく、補助者が確認して申請者に伝えることもできる。
【0049】
プロセッサ31は、音声入力案内を出力するとともに、ユーザ本人が発する音声を含む音声データを取得する(ST20)。プロセッサ31は、音声入力部37によって集音する音声をデータに変換した音声データを取得する。プロセッサ31は、人物が発した音声を含む音声データを取得すると、所得した音声データに含まれる人物の音声から声紋情報を抽出し、抽出した声紋情報とユーザ(個人認証カード12で認証された人物)の登録情報の声紋情報とにより生体認証(声紋認証)を実行する(ST21)。
【0050】
生体認証によって音声を発した人物がユーザ本人であることが確認された場合(声紋認証が成功した場合)、ユーザ端末13のプロセッサ31は、取得した音声データに含まれる人物(ユーザ)が発した音声を文字データに変換することにより音声認識を実行する(ST22)。プロセッサ31は、音声認識によってユーザが発した音声の文字データ(音声認識結果)が得られると、音声データから得られた音声認識結果をさらに音声データに変換して音声出力部38により音声で出力する(ST23)。
【0051】
プロセッサ31は、音声出力部38により音声認識結果を音声で出力すると、音声で出力した音声認識結果が正しいか否かのユーザによる確認結果を受け付ける。ユーザ又は補助者は、音声で出力された音声認識結果が正しいか否かの確認結果を音声または操作部への指示によって入力する。例えば、ユーザ又は補助者は、音声で出力された音声認識結果が正しい場合には入力内容の確定を音声で指示し、音声認識結果が正しくない場合には再度の入力を音声で指示する。この場合、プロセッサ31は、ユーザ又は補助者が発した音声を認識することにより音声認識結果に対する確認結果を取得する。
【0052】
プロセッサ31は、音声認識結果が正しくないことが指示された場合(ST24、NO)、ST19へ戻り、再度の音声による入力を促すための案内を出力し、上述の処理を再度実行する。
また、プロセッサ31は、音声認識結果が正しいことが指示された場合又は入力内容の確定が指示された場合、ユーザ本人による入力が必要な次の入力項目が存在するか否かを判断する。プロセッサ31は、ユーザ本人による入力が必要な次の入力項目が存在する場合(ST24、NO)、ST19へ戻り、次の入力項目の音声による入力を促す案内を出力し、上述の処理を再度実行する。
【0053】
プロセッサ31は、ユーザによる入力が必要な次の入力項目が存在しない場合、申請処理サーバ14から取得した申請データに基づく申請書に対する各入力項目への入力が完了したものと判断する(ST24、NO)。入力が完了した場合(ST24、NO)、プロセッサ31は、各入力項目に入力するデータを含む申請データを作成する。プロセッサ31は、作成した申請データと各入力項目へのユーザ本人による入力として取得した音声データとに個人認証カード12を用いた電子署名を付与する(ST25)。プロセッサ31は、電子署名を付与すると、電子署名を付与した申請データと音声データとを通信部35により申請処理サーバ14へ送信する(ST26)。
【0054】
申請処理サーバ14は、ユーザ端末13から電子署名が付与された申請データと音声データとを通信部45により受信する。申請処理サーバ14のプロセッサ41は、電子署名が付与された申請データと音声データとを受信すると、ユーザ端末13から受信した電子署名が付与された音声データをデータメモリ44などの記憶装置に保存する(ST28)。この電子署名付きの音声データは、申請者本人が発した音声を含む音声データが改ざんされていないことを保証できるため、各入力項目に対して申請者本人が音声で入力したことを確認できるデータとして保存される。
【0055】
また、申請処理サーバ14のプロセッサ41は、電子署名が付与された申請データと音声データとを受信すると、通信部46により申請書受付装置15と通信する。プロセッサ41は、申請書受付装置15との通信が確立すると、ユーザ端末13から電子署名付きで受信した申請データを申請書受付装置15へ提出する(ST27)。
【0056】
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、申請データの提出および音声データの保存が完了すると、電子申請が完了したことを申請データの送信元であるユーザ端末13へ通知する(ST29)。
【0057】
ユーザ端末13は、申請データを送信した後、通信部35により申請完了を申請処理サーバ14から受信する。ユーザ端末13のプロセッサ31は、申請処理サーバ14から申請完了を受信すると、申請完了をユーザに報知し(ST30)、申請処理を終了する。例えば、プロセッサ31は、音声出力部38により申請完了を音声で案内するとともに、申請完了を表示部39に表示する。
【0058】
以上のように、第1の申請処理によれば、実施形態に係る電子申請装置としてのユーザ端末は、申請者本人が発する入力情報としての音声を音声入力部により入力し、音声入力部により入力する音声に対する音声認識によって取得する文字データを含む申請データと音声入力部により入力した音声の音声データとに電子署名を付与し、前記電子署名を付与した申請データと音声データとを申請処理サーバへ送信する。
【0059】
これにより、実施形態に係る電子申請装置は、文字データを直接的に入力することが難しい申請者であっても申請者自身が発する音声から申請に必要な文字データを取得でき、さらに、申請データだけでなく申請に用いた音声に対しても電子署名を付与して申請処理サーバへ送信することができる。この結果、申請に用いた音声を電子署名付きで保存することができ、改ざんされていないことが確認できる音声から申請に用いた音声が申請者本人であることを確認するなどの分析を行うことができる。
【0060】
また、上述した第1の申請処理によれば、実施形態に係る電子申請装置としてのユーザ端末は、ユーザが合言葉として発する音声を音声入力部により入力し、音声入力部により入力するユーザが発した合言葉としての音声に対する音声認識によって取得する文字データと申請者本人により登録された合言葉との照合によって音声入力部に音声を入力したユーザが申請者本人であることを確認する。
【0061】
これにより、実施形態に係る電子申請装置は、事前に取り決めた合言葉(パスワード、秘密の質問への回答などの合言葉等)をユーザが音声で回答することによりユーザが申請者本人であることを確認でき、ログイン用のパスワードを知った第3者によるなりすましなどを防止できる。
【0062】
さらに、上述した第1の申請処理によれば、実施形態に係る電子申請装置としてのユーザ端末は、音声入力部により入力した音声に対する合言葉による認証によって当該音声を入力したユーザが申請者本人であることが確認できた場合に当該音声から抽出する声紋情報を申請者本人の声紋情報として登録する。
【0063】
これにより、実施形態に係る電子申請装置は、事前に取り決めた合言葉を用いてなりすましを防止するだけでなく、申請者本人の声紋情報の登録を実施することができる。この結果、申請者による声紋情報の事前登録の手続きを省略したり、あるいは、登録済みの申請者の声紋情報を現在の声の声紋情報によって更新したりすることができる。
【0064】
次に、本実施形態に係る電子申請システム1において申請処理サーバ14が提供する電子申請用のサイトにおいてユーザ端末13を操作するユーザからの電子申請を受け付ける第2の申請処理について説明する。
図6および
図7は、実施形態に係る電子申請システム1における第2の申請処理の動作例を説明するためのシーケンスである。
第2の申請処理において、ユーザ端末13は、ユーザによる操作に応じて申請処理サーバ14がインターネット上にWEBページとして開設する電子申請用のサイト(申請サイト)にアクセスする。ユーザ端末13のプロセッサ31は、通信部35により申請サイトにアクセスすると、ユーザが指定するログイン情報などによる申請サイトへのログインを実行する(ST50)。
【0065】
例えば、申請処理サーバ14は、申請サイトにおいてユーザによる登録処理に応じてユーザの利用者情報を登録しておくものとする。申請処理サーバ14が開設する申請サイトの利用者情報には、ユーザ認証情報とユーザ自身が予め設定する合言葉とが含まれるものとする。ユーザ認証情報としては、申請サイトにログインするためのパスワードなどの認証情報を登録する。また、ユーザ認証情報としては、ユーザ本人の声紋情報を事前に登録しておくようにしても良い。合言葉は、第1の申請処理で説明したようなもので良い。合言葉としては、例えば、ユーザが事前に選択する複数の秘密の質問に対する回答として、音声での回答が可能な複数の合言葉が登録される。
【0066】
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ認証情報に基づくユーザ認証によってユーザによるログインを受け付ける。例えば、申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ端末13から取得する認証情報と登録済みのユーザ認証情報とを照合することによりユーザ認証を実行する。
【0067】
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ認証(ログイン)が成功すると、ログインしたユーザに対する合言葉の要求をユーザ端末へ送信する(ST51)。例えば、プロセッサ41は、ログインが成功したユーザの利用者情報で設定される複数の合言葉から任意の1つの合言葉を選択し、選択した合言葉に対応する質問をユーザ端末13へ送信する。
【0068】
ユーザ端末13のプロセッサ31は、申請サイトにログインした後、申請処理サーバ14からの合言葉を要求するための質問を取得する。プロセッサ31は、申請処理サーバ14からの質問を音声出力部38により音声で出力し、ユーザが発する音声を音声入力部37により取得する。ここで、プロセッサ31は、申請処理サーバ14からの合言葉を要求する質問を表示部39に表示するようにしても良い。
【0069】
プロセッサ31は、申請処理サーバ14からの質問を出力した後に音声入力部37により入力するユーザが発した音声を取得すると、ユーザが発した音声を含む音声データを申請処理サーバ14へ送信する(ST52)。なお、プロセッサ31は、音声入力部37により入力するユーザが発した音声を含む音声データからユーザが発した言葉を音声認識し、その音声認識結果を申請処理サーバ14へ送信するようにしても良い。
【0070】
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、通信部46によりユーザ端末13からのユーザが発する音声を含む音声データを取得する。申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ端末13から音声データを取得すると、取得した音声データに対する合言葉による認証(本人確認)を実行する(ST53)。
【0071】
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ端末13から取得した音声データを文字データに変換する音声認識を実行することによりユーザ端末13から取得した音声データに含まれる言葉を認識する。プロセッサ41は、音声認識により得られた言葉とユーザ端末13に要求した合言葉とが一致するか否かにより本人確認を実行する。
【0072】
ここで、申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ端末13からの音声に対する合言葉による認証(本人確認)が成功した場合、ユーザ端末13から取得する音声データに含まれるユーザが発した音声から抽出する声紋情報を当該ユーザの声紋情報としてデータメモリ44などの記憶部に登録する(ST54)。ここで、既に当該ユーザの声紋情報が登録されている場合、プロセッサ41は、ユーザ端末13からの音声データより抽出した声紋情報を用いて登録済みの声紋情報を更新するようにしても良い。
【0073】
なお、事前に利用者情報としてユーザの声紋情報が登録されている場合、プロセッサ41は、ユーザ端末13からの音声データより抽出した声紋情報と登録情報として登録されているユーザの声紋情報とを照合することによりユーザ認証(声紋認証による本人確認)を実行しても良い。また、申請処理サーバ14としては、ST53の処理を省略することにより、事前に利用者情報としてユーザの声紋情報を変更しないようにしても良い。
【0074】
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ端末13からの音声に対する合言葉による認証(本人確認)が成功すると、通信部46によりユーザ端末13へ申請の受付が可能である旨を送信する(ST55)。ここで、申請処理サーバ14のプロセッサ41は、受付が可能となった申請内容(申請書や届出など)を通知するようにしても良い。例えば、プロセッサ41は、受付可能な複数の申請内容を案内する音声データを送信したり、申請内容を選択する旨を案内する音声データを送信したりしても良い。
【0075】
ユーザ端末13のプロセッサ31は、ユーザが発した言葉を含む音声データを送信した後、本人確認の成功によって申請が受付可能となった旨の申請処理サーバ14からの通知を受信する。プロセッサ31は、申請が受付可能となった旨の通知を受けると、申請内容を指定する旨の案内を出力し、ユーザによる申請内容の指定を受け付ける。
【0076】
例えば、プロセッサ31は、受付可能(指定可能)となった申請内容の音声案内を音声出力部38により出力し、ユーザが音声で指定する申請内容を受け付ける。この場合、プロセッサ31は、ユーザが申請内容を指定する音声を音声入力部37により入力し、入力した音声を認識することによりユーザが指定する申請内容を特定する。
ユーザ端末13のプロセッサ31は、ユーザが指定する申請内容を特定すると、申請処理サーバ14に対してユーザが指定する申請内容での申請を要求する申請リクエストを送信する(ST56)。
【0077】
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ端末13からユーザが指定する申請要求を受け付けると、ユーザが指定した申請に必要なデータ(入力項目)を特定する。プロセッサ41は、申請に必要な入力項目を特定すると、まず、必要な入力項目のうちユーザ(申請者)本人が所持する個人認証カード12から取得するデータをユーザ端末13に要求するものとする。
【0078】
ユーザ端末13のプロセッサ31は、個人認証カード12のデータの要求を受信すると、カードリーダライタ36に接続する個人認証カード12に対して認証要求を送る(ST58)。例えば、プロセッサ31は、個人認証カード12をカードリーダライタ36に接続して認証情報を入力する旨の案内を行う。個人認証カード12に認証用のパスワードが設定されている場合、プロセッサ31は、ユーザに対して個人認証カード12に設定されている認証用のパスワードの入力を案内し、ユーザが入力するパスワードを認証要求とともに個人認証カード12へ送信する。
【0079】
ここで、ユーザ端末13のプロセッサ31は、個人認証カード12に設定されている認証用のパスワードの入力案内を音声出力部により出力し、音声入力部37により入力する音声に対する音声認識によってユーザが入力するパスワードを取得するようにして良い。プロセッサ31は、ユーザた提示する個人認証カード12をカードリーダライタ36に接続した後、ユーザが入力するパスワードなどの認証情報を認証要求とともに個人認証カード12へ送信する。
【0080】
ユーザ端末13に接続する個人認証カード12は、ユーザ端末13からの認証要求に応じて事前に登録されている認証情報とユーザ端末13でユーザが入力した認証情報とを照合することにより認証を実行する(ST59)。個人認証カード12は、ユーザ端末13からの認証情報による認証が成功した後、ユーザ端末13からの要求に応じて当該個人認証カード12に登録されているデータ(カードデータ)を送信する(ST60)。
【0081】
ユーザ端末13のプロセッサ31は、個人認証カード12における認証が成功した場合、申請処理サーバ14から要求されたデータを当該個人認証カード12に要求する。これにより、ユーザ端末13のプロセッサ31は、認証が成功した個人認証カード12から申請処理サーバ14から要求されたカードデータを取得する(ST61)。
【0082】
ユーザ端末13のプロセッサ31は、個人認証カード12からカードデータを取得すると、取得したカードデータに電子署名を付与し、電子署名を付与したカードデータを申請処理サーバ14へ送信する(ST62)。
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ端末13から電子署名付きのカードデータを取得すると、取得したカードデータを申請リクエストを受けた申請データにおける入力項目の情報として保持する。
【0083】
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ端末13から電子署名付きのカードデータを取得すると、申請リクエストを受けた申請データにおける入力項目から申請者本人が入力するべき情報の入力項目を順番に選出し、選出した入力項目を音声で入力する旨の音声入力案内をユーザ端末13へ送信する(ST63)。申請処理サーバ14のプロセッサ41は、音声入力案内を送信した後、ユーザ端末13から供給される音声データを待つ。
【0084】
例えば、申請処理サーバ14のプロセッサ41は、選出した入力項目の音声入力案内を音声で出力させるための音声データを生成し、生成した音声入力案内の音声データと音声入力案内に応じてユーザが発する音声を含む音声データの転送要求をユーザ端末13へ送信する。なお、プロセッサ41は、音声で出力される音声入力案内の音声データとともに音声入力案内を表示部39に表示させるための表示データをユーザ端末13へ送信するようにしても良い。
【0085】
ユーザ端末13のプロセッサ31は、申請処理サーバ14から音声入力案内の音声データを受信すると、受信した音声データに基づいて入力項目を申請者本人が音声で入力する旨の音声案内を音声出力部38から出力する(ST64)。
【0086】
また、ユーザ端末13のプロセッサ31は、入力項目の音声入力案内を出力すると、音声入力部37によるユーザが発する音声を含む音声の入力を受け付ける(ST65)。プロセッサ31は、音声入力部37により入力するユーザが発した音声を含む入力音声をデータに変換したデータ(音声データ)を取得する。プロセッサ31は、ユーザが発した音声を含む入力音声の音声データを取得すると、取得した音声データに対して電子署名を付与し、電子署名を付与した音声データを申請処理サーバ14へ送信する。
【0087】
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ端末13から取得する電子署名付きの音声データを保存する(ST67)。申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ端末13から取得した署名付きの音声データをユーザ又は申請内容に対応づけてデータメモリ44どの記憶装置に保存する。これにより、申請処理サーバ14は、申請を提出した後であっても、ユーザが発したとする音声を改ざんされていないことが確認できる音声データとして保管でき、電子申請の申請処理で取得した音声データを後で解析することなどが可能となる。
【0088】
また、申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ端末13から音声データを取得すると、ユーザ端末13から取得した音声データから声紋情報を抽出し、抽出した声紋情報とユーザ本人の声紋情報とを照合することにより声紋認証を実行する(ST68)。
【0089】
例えば、プロセッサ41は、ユーザ端末13から取得する音声データから抽出する声紋情報とST54で取得した合言葉の音声から抽出した声紋情報とを照合することにより声紋認証を実行する。また、プロセッサ41は、利用者情報としてユーザの声紋情報が事前に登録されている場合、ユーザ端末13から取得する音声データから抽出する声紋情報と事前に登録されているユーザの利用者情報に含まれる声紋情報とを照合することにより声紋認証を実行しても良い。
【0090】
なお、ユーザ端末13から取得する音声データに対する声紋認証が失敗した場合、プロセッサ41は、ST63へ戻り、再びユーザ本人による音声入力を促すための音声入力案内をユーザ端末13に出力させ、上述の処理を再度実行するようにしても良い。
【0091】
ユーザ端末13から取得した音声データに対する声紋認証が成功した場合、プロセッサ41は、ユーザ端末13から取得した音声データを文字データに変換する音声認識を実行する(ST69)。プロセッサ41は、音声認識によって文字データ(音声認識結果)が得られると、音声認識で得た文字データを音声で出力するとともに、音声認識結果が否かの確認を要求する案内を音声で出力させるための音声データをユーザ端末13に送信する(ST70)。
【0092】
ユーザ端末13のプロセッサ31は、申請処理サーバ14から音声認識結果の音声データを受信すると、受信した音声データにより応じて申請処理サーバ14での音声認識結果を音声出力部38によって音声で出力する(ST71)。また、ユーザ端末13のプロセッサ31は、音声認識結果を音声で出力するとともに、音声で出力する音声認識結果が正しいか否かの確認結果を入力する旨をユーザに案内する。
【0093】
プロセッサ31は、音声で出力する音声認識結果の確認をユーザに案内すると、ユーザが指示する確認結果を受け付ける。プロセッサ31は、音声認識結果に対する確認結果がユーザによって指示されると、ユーザが指示した確認結果を示す情報を申請処理サーバ14へ送信する(ST72)。ユーザ端末13のプロセッサ31は、音声入力部37によりユーザが音声で指示する確認結果を受け付けても良いし、操作部40を用いて入力する確認結果を受け付けても良い。前者の場合、ユーザ又は補助者は、音声出力部38により音声で出力された音声認識結果が正しい場合には入力内容の確定を音声で指示し、音声認識結果が正しくない場合には再度の入力を音声で指示する。
【0094】
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、通信部45によりユーザ端末13におけるユーザによる音声認識結果に対する確認結果を受信する。プロセッサ41は、ユーザ端末13からの確認結果により音声認識結果が正しかったか否かを判定する。プロセッサ41は、ユーザ端末13において音声認識結果が正しくないと指示された場合(ST73、NO)、ST63へ戻り、再度の音声入力を促すための音声入力案内をユーザ端末13に出力させ、上述の処理を再度実行する。
【0095】
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザ端末13において音声認識結果が正しいと指示された場合、音声認識結果を入力項目に入力する入力情報として確定する。プロセッサ41は、入力情報を確定すると、ユーザ本人による入力が必要な次の入力項目が存在するか否かを判断する。プロセッサ31は、ユーザによる入力が必要な次の入力項目が存在する場合(ST73、NO)、ST63へ戻り、次の入力項目を音声で入力する旨の音声入力案内をユーザ端末13に出力させ、上述の処理を再度実行する。
【0096】
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、ユーザによる入力が必要な次の入力項目が存在しない場合、つまり、申請書に対する各入力項目への入力が完了した場合(ST73、NO)、入力が必要な各項目にデータが入力された申請書のデータを示す申請データを作成する。プロセッサ41は、申請データを作成すると、作成した申請データを通信部46により申請書受付装置15へ送信することにより申請データを提出する(ST74)。
【0097】
申請処理サーバ14のプロセッサ41は、申請データの提出が完了すると、申請完了をユーザ端末13へ通知する(ST75)。
ユーザ端末13は、通信部35により申請完了を申請処理サーバ14から受信する。ユーザ端末13のプロセッサ31は、申請完了を受信すると、申請完了をユーザに報知し(ST76)、申請処理を終了する。例えば、プロセッサ31は、音声出力部38により申請完了を音声で案内するとともに、申請完了を表示部39に表示する。
【0098】
以上のように、第2の申請処理によれば、実施形態に係る電子申請システムは、インターネットを介して通信する電子申請装置としてのユーザ端末と申請処理サーバとを有する。ユーザ端末は、音声入力部により入力する申請者本人が発した入力情報としての音声の音声データに電子署名を付与し、前記電子署名を付与した音声データを申請処理サーバへ送信する。申請処理サーバは、ユーザ端末から受信する前記電子署名が付与された音声データをメモリに保存し、ユーザ端末から受信する音声データに対する音声認識によって取得する文字データを含む申請データに基づく申請を申請書受付装置へ提出する。
【0099】
これにより、実施形態に係る電子申請システムは、文字データを直接的に入力することが難しい申請者であっても申請者自身が発する音声から申請に必要な文字データを取得でき、さらに、申請に用いる音声に対して電子署名を付与してユーザ端末から申請処理サーバへ送信することができる。この結果、申請に用いた音声を電子署名付きで保存することができ、改ざんされていないことが確認できる音声から申請に用いた音声が申請者本人であることを確認するなどの分析を行うことができる。
【0100】
また、上述した第2の申請処理によれば、実施形態に係る電子申請システムにおいて、申請処理サーバは、ユーザ端末の音声入力部により入力されるユーザが発した合言葉としての音声に対する音声認識によって取得する文字データと申請者本人により登録された合言葉との照合によって当該ユーザが申請者本人であることを確認する。
【0101】
これにより、実施形態に係る電子申請システムは、事前に取り決めた合言葉(パスワード、秘密の質問への回答などの合言葉等)をユーザが音声で回答することによりユーザが申請者本人であることを確認でき、ログイン用のパスワードを知った第3者によるなりすましなどを防止することができる。
【0102】
さらに、上述した第2の申請処理によれば、実施形態に係る電子申請システムにおいて、申請処理サーバは、ユーザが発した音声と申請者本人が登録した合言葉との照合によって当該音声を入力したユーザが申請者本人であることが確認できた場合に当該音声から抽出した声紋情報を申請者本人の声紋情報として登録する。
【0103】
これにより、実施形態に係る電子申請システムは、事前に取り決めた合言葉を用いてなりすましなどを防止するだけでなく、申請者本人の声紋情報の登録を実施することができる。この結果、申請者による声紋情報の事前登録の手続きを省略したり、あるいは、登録済みの申請者の声紋情報を現在の声の声紋情報によって更新したりすることができる。
【0104】
上述の実施形態で説明した機能は、ハードウエアを用いて構成するに留まらず、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現することもできる。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
1…電子申請システム、12…個人認証カード、13…ユーザ端末(電子申請装置)、14…申請処理サーバ、15…申請書受付装置、31…プロセッサ(第1のプロセッサ)、34…データメモリ(記憶装置)、35…通信部(第1の通信部)、36…カードリーダライタ、37…音声入力部、38…音声出力部、39…表示部、40…操作部、41…プロセッサ(第2のプロセッサ)、44…データメモリ(メモリ)、45…通信部(第2の通信部)、46…通信部。