(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172609
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】電力変換装置および電力変換システム
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20231129BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H02M3/28 W
H02M3/155 W
H02M3/28 H
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084537
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹上 栄治
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA04
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB23
5H730BB82
5H730BB85
5H730BB88
5H730DD04
5H730DD13
5H730EE02
5H730EE08
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FF19
(57)【要約】
【課題】検出精度を高めることができる電力変換装置を得る。
【解決手段】本発明の一実施の形態に係る電力変換装置は、入力電力端子と、出力電力端子と、入力電力端子を介して供給された電力を変換可能であり、変換された電力を出力電力端子を介して出力可能であり、出力電圧または出力電流に応じた第1の検出信号を生成可能なセンサを有する電力変換回路と、第1の検出信号に応じた第2の検出信号を生成可能な信号生成回路と、制御回路とを備える。上記信号生成回路は、第1の検出信号に対して補正処理を行うことが可能な補正部と、補正処理が行われた第1の検出信号に応じた輝度で発光可能な発光素子と、発光素子が発した光を受光し、受光量に応じた受光信号を生成可能な受光素子とを有するフォトカプラと、受光信号に応じた第2の検出信号を出力可能な出力部とを有する。補正部は、フォトカプラの電流伝達率に応じた補正処理を行うことが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電力端子と、
出力電力端子と、
前記入力電力端子を介して供給された電力を変換可能であり、変換された電力を前記出力電力端子を介して出力可能であり、出力電圧または出力電流に応じた第1の検出信号を生成可能なセンサを有する電力変換回路と、
前記第1の検出信号に応じた第2の検出信号を生成可能な信号生成回路と、
前記電力変換回路の動作を制御可能な制御回路と
を備え、
前記信号生成回路は、
前記第1の検出信号に対して補正処理を行うことが可能な補正部と、
前記補正処理が行われた前記第1の検出信号に応じた輝度で発光可能な発光素子と、前記発光素子が発した光を受光し、受光量に応じた受光信号を生成可能な受光素子とを有するフォトカプラと、
前記受光信号に応じた前記第2の検出信号を出力可能な出力部と
を有し、
前記補正部は、前記フォトカプラの電流伝達率に応じた前記補正処理を行うことが可能である
電力変換装置。
【請求項2】
前記信号生成回路は、
前記第1の検出信号をAD変換することにより第1のデジタル値を生成可能な第1のAD変換回路と、
デジタルアイソレータと、
前記第2の検出信号をAD変換することにより第2のデジタル値を生成可能な第2のAD変換回路と、
前記デジタルアイソレータを介して供給された前記第1のデジタル値と、前記第2のデジタル値とに基づいて、前記電流伝達率を推定可能であり、推定された前記電流伝達率に応じたパラメータを生成可能な処理回路と
を有し、
前記補正部は、前記パラメータに基づいて、前記電流伝達率に応じた前記補正処理を行うことが可能である
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記処理回路は、前記デジタルアイソレータを介して供給された前記第1のデジタル値と、前記第2のデジタル値とに基づいて、前記第2の検出信号を補正可能である
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記信号生成回路の前記第2の検出信号を出力する端子に導かれた信号端子をさらに備え、
前記制御回路は、前記信号端子の電圧および前記第2の検出信号の電圧に基づいて、前記電力変換回路の動作を制御可能である
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
複数の電力変換装置を備え、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは、
入力電力端子と、
出力電力端子と、
前記入力電力端子を介して供給された電力を変換可能であり、変換された電力を前記出力電力端子を介して出力可能であり、出力電圧または出力電流に応じた第1の検出信号を生成可能なセンサを有する電力変換回路と、
前記第1の検出信号に応じた第2の検出信号を生成可能な信号生成回路と、
前記信号生成回路の前記第2の検出信号を出力する端子に導かれた信号端子と、
前記信号端子の電圧および前記第2の検出信号の電圧に基づいて、前記電力変換回路の動作を制御可能な制御回路と、
を備え、
前記複数の電力変換装置のそれぞれの前記バランス端子は互いに接続され、
前記信号生成回路は、
前記第1の検出信号に対して補正処理を行うことが可能な補正部と、
前記補正処理が行われた前記第1の検出信号に応じた輝度で発光可能な発光素子と、前記発光素子が発した光を受光し、受光量に応じた受光信号を生成可能な受光素子とを有するフォトカプラと、
前記受光信号に応じた前記第2の検出信号を出力可能な出力部と
を有し、
前記補正部は、前記フォトカプラの電流伝達率に応じた前記補正処理を行うことが可能である
電力変換システム。
【請求項6】
前記複数の電力変換装置のそれぞれの前記出力電力端子は、電力端子と、基準電力端子とを含み、
前記複数の電力変換装置は、
第1の電力ノードに接続された前記電力端子と、第2の電力ノードに接続された前記基準電力端子とを有する第1の電力変換装置と、
前記第1の電力ノードに接続された前記電力端子と、前記第2の電力ノードに接続された前記基準電力端子とを有する第2の電力変換装置と
を含む
請求項5に記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記複数の電力変換装置のそれぞれの前記出力電力端子は、電力端子と、基準電力端子とを含み、
前記複数の電力変換装置は、
第1の電力ノードに接続された前記電力端子と、第2の電力ノードに接続された前記基準電力端子とを有する第1の電力変換装置と、
前記第2の電力ノードに接続された前記電力端子と、第3の電力ノードに接続された前記基準電力端子とを有する第3の電力変換装置と
を含む
請求項5または請求項6に記載の電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を変換する電力変換装置および電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置では、しばしば、出力電圧や出力電流が検出される。例えば、特許文献1には、並列接続された複数の電力変換装置を有し、複数の電力変換装置のそれぞれにおける出力電流が互いにほぼ等しくなるように制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出力電圧や出力電流は、高い精度で検出されることが望まれており、検出精度のさらなる向上が期待されている。
【0005】
検出精度を高めることができる電力変換装置および電力変換システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態に係る電力変換装置は、入力電力端子と、出力電力端子と、電力変換回路と、信号生成回路と、制御回路とを備えている。電力変換回路は、入力電力端子を介して供給された電力を変換可能であり、変換された電力を出力電力端子を介して出力可能なものである。この電力変換回路は、出力電圧または出力電流に応じた第1の検出信号を生成可能なセンサを有する。信号生成回路は、第1の検出信号に応じた第2の検出信号を生成可能なものである。制御回路は、電力変換回路の動作を制御可能なものである。信号生成回路は、補正部と、フォトカプラと、出力部とを有する。補正部は、第1の検出信号に対して補正処理を行うことが可能なものである。フォトカプラは、補正処理が行われた第1の検出信号に応じた輝度で発光可能な発光素子と、発光素子が発した光を受光し、受光量に応じた受光信号を生成可能な受光素子とを有するものである。出力部は、受光信号に応じた第2の検出信号を出力可能なものである。補正部は、フォトカプラの電流伝達率に応じた補正処理を行うことが可能である。
【0007】
本発明の一実施の形態に係る電力変換システムは、複数の電力変換装置を備えている。複数の電力変換装置のそれぞれは、入力電力端子と、出力電力端子と、電力変換回路と、信号生成回路と、バランス端子と、制御回路とを備えている。電力変換回路は、入力電力端子を介して供給された電力を変換可能であり、変換された電力を出力電力端子を介して出力可能なものである。この電力変換回路は、出力電圧または出力電流に応じた第1の検出信号を生成可能なセンサを有する。信号生成回路は、第1の検出信号に応じた第2の検出信号を生成可能なものである。バランス端子は、信号生成回路の第2の検出信号を出力する端子に導かれたものである。制御回路は、バランス端子の電圧および第2の検出信号の電圧に基づいて、電力変換回路の動作を制御可能なものである。複数の電力変換装置のそれぞれのバランス端子は互いに接続される。信号生成回路は、補正部と、フォトカプラと、出力部とを有する。補正部は、第1の検出信号に対して補正処理を行うことが可能なものである。フォトカプラは、補正処理が行われた第1の検出信号に応じた輝度で発光可能な発光素子と、発光素子が発した光を受光し、受光量に応じた受光信号を生成可能な受光素子とを有するものである。出力部は、受光信号に応じた第2の検出信号を出力可能なものである。補正部は、フォトカプラの電流伝達率に応じた補正処理を行うことが可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施の形態に係る電力変換装置および電力変換システムによれば、検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る電力変換システムの一構成例を表すブロック図である。
【
図2】
図1に示した電力変換装置の一接続例を表す説明図である。
【
図3】
図1に示した電力変換装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図4】
図3に示した絶縁型電力変換回路の一構成例を表す回路図である。
【
図5】
図3に示した補正部および出力部の一構成例を表す回路図である。
【
図6】
図3に示した他の補正部および他の出力部の一構成例を表す回路図である。
【
図7】
図5に示した信号生成回路の一特性例を表す波形図である。
【
図8】比較例に係る信号生成回路の一特性例を表す波形図である。
【
図9】変形例に係る電力変換システムの一構成例を表すブロック図である。
【
図10】
図9に示した電力変換装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図11】
図10に示した非絶縁型電力変換回路の一構成例を表す回路図である。
【
図12】他の変形例に係る電力変換システムの一構成例を表すブロック図である。
【
図13】
図12に示した電力変換装置の一接続例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、本発明の一実施の形態に係る電力変換システム(電力変換システム1)の一構成例を表すものである。この電力変換システム1は、直流電源PDCから供給された直流電力を変換し、変換された直流電力を負荷LDに供給するように構成される。
【0012】
電力変換システム1は、電力端子T11,T12と、複数の電力変換装置10(この例では4つの電力変換装置10A,10B,10C,10D)と、電力端子T21,T22とを有している。
【0013】
電力端子T11,T12は、電力変換システム1に対する電力の入力端子であり、電力端子T11は直流電源PDCの一端に接続され、電力端子T12は直流電源PDCの他端に接続される。直流電源PDCは、例えば直流電力を生成する電源回路であってもよいし、バッテリであってもよい。
【0014】
4つの電力変換装置10のそれぞれは、絶縁型のDC/DC変換回路であり、入力電力端子Vip,Vinと、出力電力端子Vop,Vonと、バランス端子Vbi,Vbvと、基準端子GNDbを有する。
【0015】
入力電力端子Vip,Vinは、電力変換装置10に対する電力の入力端子である。電力変換装置10A~10Dの入力電力端子Vipは、互いに接続されるとともに、電力端子T11に接続される。電力変換装置10A~10Dの入力電力端子Vinは、互いに接続されるとともに、電力端子T12に接続される。
【0016】
出力電力端子Vop,Vonは、電力変換装置10により変換された電力の出力端子である。電力変換装置10A,10Bの出力電力端子Vopは、互いに接続されるとともに、電力端子T21に接続される。電力変換装置10A,10Bの出力電力端子Vonは互いに接続されるとともに、電力変換装置10C,10Dの出力電力端子Vopに接続される。電力変換装置10C,10Dの出力電力端子Vopは互いに接続されるとともに、電力変換装置10A,10Bの出力電力端子Vonに接続される。電力変換装置10C,10Dの出力電力端子Vonは、互いに接続されるとともに、電力端子T22に接続される。
【0017】
バランス端子Vbiは、4つの電力変換装置10のそれぞれにおける出力電流(後述する出力電流Iout)を互いにほぼ等しくするための信号を入出力する端子である。電力変換装置10A~10Dのバランス端子Vbiは互いに接続される。
【0018】
バランス端子Vbvは、4つの電力変換装置10のそれぞれにおける出力電圧(後述する出力電圧Vout)を互いにほぼ等しくするための信号を入出力する端子である。電力変換装置10A~10Dのバランス端子Vbvは互いに接続される。
【0019】
基準端子GNDbは、4つの電力変換装置10における、後述する3次側回路の基準電圧を入出力する端子である。電力変換装置10A~10Dの基準端子GNDbは互いに接続される。
【0020】
電力端子T21,T22は、電力変換システム1により変換された電力の出力端子であり、電力端子T21は負荷LDの一端に接続され、電力端子T22は負荷LDの他端に接続される。
【0021】
図2は、4つの電力変換装置10における出力電力端子Vop,Vonの接続を表すものである。電力変換装置10A,10Bの出力電力端子Vopは、電力端子T21に導かれた電力ノードN1に接続され、電力変換装置10A,10Bの出力電力端子Vonは、電力ノードN2に接続される。電力変換装置10C,10Dの出力電力端子Vopは、電力ノードN2に接続され、電力変換装置10C,10Dの出力電力端子Vonは、電力端子T22に導かれた電力ノードN3に接続される。すなわち、電力変換システム1では、電力変換装置10A,10Bは並列接続され、電力変換装置10C,10Dは並列接続される。そして、電力変換装置10A,10Bと、電力変換装置10C,10Dとは、直列接続されるようになっている。
【0022】
(電力変換装置10)
図3は、電力変換装置10の一構成例を表すものである。電力変換装置10は、絶縁型電力変換回路11と、補正回路12A,12Bと、フォトカプラ13A,13Bと、補正回路14A,14Bと、抵抗素子15A,15Bと、アンプ16A,16Bと、MCU(Micro Controller Unit)30と、デジタルアイソレータ17と、MCU20と、絶縁型駆動回路18とを有している。
【0023】
絶縁型電力変換回路11は、入力電力端子Vip,Vinを介して供給された直流電力を変換し、変換された直流電力を出力電力端子Vop,Vonを介して出力するように構成される。
【0024】
図4は、絶縁型電力変換回路11の一構成例を表すものである。絶縁型電力変換回路11は、キャパシタC1と、トランジスタSW1,SW2と、トランスTRと、整流回路43と、電流センサ44と、平滑回路45と、電圧センサ46とを有している。キャパシタC1およびトランジスタSW1,SW2は、1次側回路を構成する。整流回路43、電流センサ44、平滑回路45、および電圧センサ46は、2次側回路を構成する。
【0025】
キャパシタC1の一端は入力電力端子Vipに導かれた電圧線L11に接続され、他端は入力電力端子Vinに導かれた基準電圧線L12に接続される。トランジスタSW1,SW2は、この例では、N型の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)である。トランジスタSW1のゲートにはゲート信号SGが供給され、ドレインはトランスTRの1次巻線41(後述)に接続され、ソースは基準電圧線L12に接続される。トランジスタSW2のゲートにはゲート信号SGが供給され、ドレインはトランスTRの1次巻線41(後述)に接続され、ソースは基準電圧線L12に接続される。
【0026】
トランスTRは、1次側回路と2次側回路とを直流的に絶縁するとともに交流的に接続するように構成される。トランスTRは、1次巻線41と、2次巻線42とを有する。1次巻線41の一端は電圧線L11に接続され、他端はトランジスタSW1,SW2のドレインに接続される。2次巻線42の一端は出力電力端子Vopに導かれた電圧線L21に接続され、他端は出力電力端子Vonに導かれた基準電圧線L22に接続される。
【0027】
整流回路43は、トランスTRの2次巻線42から出力された交流電圧を整流するように構成される。整流回路43は、ダイオードD1,D2を有している。ダイオードD1は電圧線L21上に設けられ、アノードは2次巻線42の一端に接続され、カソードはダイオードD2のカソードに接続されるとともに平滑回路45に接続される。ダイオードD2のアノードは基準電圧線L22に接続され、カソードは電圧線L21におけるダイオードD1のカソードに接続される。
【0028】
電流センサ44は、電力変換装置10の出力電流Ioutを検出するように構成される。電流センサ44は基準電圧線L22上に設けられ、一端は2次巻線42の他端およびダイオードD2のアノードに接続され、他端は平滑回路45に接続される。電流センサ44は、基準電圧線L22において、平滑回路45から整流回路43に向かって流れる電流を、出力電流Ioutとして検出する。出力電流Ioutの極性は、電流が平滑回路45から整流回路43に向かう場合に、正の電流である。そして、電流センサ44は、この出力電流Ioutに応じた電圧を有する検出信号SIを生成するようになっている。電流センサ44は、例えば、基準電圧線L22に設けられた抵抗素子と、この抵抗素子の両端間の電圧差を増幅する増幅回路とを用いて構成することができる。この場合には、電流センサ44は、抵抗素子の両端の電圧差を増幅することにより検出信号SIを生成することができる。なお、この例では、電流センサ44を基準電圧線L22に設けたが、これに限定されるものではなく、電圧線L21に設けてもよい。
【0029】
平滑回路45は、整流回路43により整流された電圧を平滑化するように構成される。平滑回路45は、インダクタL1と、キャパシタC2とを有している。インダクタL1は電圧線L21上に設けられ、一端はダイオードD1,D2のカソードに接続され、他端はキャパシタC2に接続される。キャパシタC2の一端は電圧線L21におけるインダクタL1の他端に接続され、他端は基準電圧線L22における電流センサ44の他端に接続される。
【0030】
電圧センサ46は、電力変換装置10の出力電圧Voutを検出するように構成される。電圧センサ46の一端は電圧線L21におけるインダクタL1の他端に接続され、他端は基準電圧線L22における電流センサ44の他端に接続される。電圧センサ46は、基準電圧線L22の電圧を基準とした電圧線L21の電圧を、出力電圧Voutとして検出する。そして、電圧センサ46は、この電圧の電圧値に応じた電圧値を有する検出信号SVを生成するようになっている。電圧センサ46は、例えば、複数の抵抗素子が直列接続された抵抗網を用いて構成することができる。この場合には、電圧センサ46は、出力電圧Voutを複数の抵抗素子により分圧することにより検出信号SVを生成することができる。
【0031】
図1に示したように、4つの電力変換装置10A~10Dには、直流電源PDCから供給された直流電力が供給される。よって、電力変換装置10A~10Dの1次側回路の動作電圧は、互いに等しい。
【0032】
一方、
図2に示したように、電力変換装置10A,10Bと、電力変換装置10C,10Dは、直列接続される。よって、電力変換装置10A,10Bの2次側回路の電力端子T22を基準とした動作電圧は、電力変換装置10C,10Dの2次側回路の電力端子T22を基準とした動作電圧よりも高い。
【0033】
図3において、補正回路12A,12BおよびMCU20は、
図4に示した整流回路43、電流センサ44、平滑回路45、および電圧センサ46とともに、2次側回路を構成する。補正回路14A,14B、抵抗素子15A,15B、アンプ16A,16B、およびMCU30は、3次側回路を構成する。
【0034】
図1に示したように、4つの電力変換装置10の基準端子GNDbは互いに接続されている。よって、4つの電力変換装置10の3次側回路の基準電圧は、同じ電圧であるので、4つの電力変換装置10の3次側回路の動作電圧は、互いに等しい。
【0035】
MCU20は、
図3に示したように、補正演算回路21A,21Bと、誤差アンプ22A,22Bと、スイッチング制御回路23とを有する。MCU30は、補正演算回路31A,31Bと、調節演算回路32A,32Bと、指令値生成回路33と、加算回路34A,34Bとを有する。MCU20,30は、供給されたアナログ信号をデジタル値に変換するAD変換回路を有し、変換されたデジタル値に基づいて処理を行う。
【0036】
補正回路12A、およびMCU20の補正演算回路21Aは、補正部101Aを構成する。
【0037】
補正回路12Aは、電流センサ44から供給された検出信号SIを補正するように構成される。補正回路12Aは、補正演算回路21Aから供給された補正信号SCIに基づいて、検出信号SIに対して、フォトカプラ13Aの特性に応じた補正を行う。そして、補正回路12Aは、補正された検出信号SIに基づいてフォトカプラ13Aの発光素子を駆動するようになっている。
【0038】
補正演算回路21Aは、補正演算回路31Aとの間で、デジタルアイソレータ17を介してデータのやり取りを行うことにより、フォトカプラ13Aの特性を把握し、フォトカプラ13Aの特性に応じた補正信号SCIを生成するように構成される。そして、補正演算回路21Aは、生成した補正信号SCIを補正回路12Aに供給するようになっている。
【0039】
フォトカプラ13Aは、電気的に絶縁しつつ、信号を送受信するように構成される。フォトカプラ13Aの発光素子は、補正回路12Aに接続され、受光素子は補正回路14Aに接続される。発光素子は、補正回路12Aから供給された信号に応じた輝度で発光する。受光素子は、発光素子が発した光を受光し、受光量に応じた受光信号を補正回路14Aに供給するようになっている。
【0040】
補正回路14A、およびMCU30の補正演算回路31Aは、出力部102Aを構成する。
【0041】
補正回路14Aは、フォトカプラ13Aから供給された受光信号に応じた検出信号SI2を生成するとともに、補正演算回路31Aから供給された補正信号SCI2に基づいて、この検出信号SI2を補正するように構成される。補正回路14Aは、フォトカプラ13Aの特性に応じた補正を行うようになっている。
【0042】
補正演算回路31Aは、補正演算回路21Aとの間で、デジタルアイソレータ17を介してデータのやり取りを行うことにより、フォトカプラ13Aの特性を推定し、フォトカプラ13Aの特性に応じた補正信号SCI2を生成するように構成される。そして、補正演算回路31Aは、生成した補正信号SCI2を補正回路14Aに供給するようになっている。
【0043】
この構成により、電力変換装置10では、電流センサ44から供給された検出信号SIに基づいて、フォトカプラ13Aの特性の影響を低減しつつ、この検出信号SIに応じた検出信号SI2を生成することができる。すなわち、フォトカプラ13Aは、例えば、温度などの環境条件に応じて、電流伝達率(CTR:Current Transfer Ratio)が変化し得る。この電流伝達率は、フォトカプラ13Aの発光素子に流れる発光電流と、受光素子に流れる受光電流の比である。また、この電流伝達率は、経時変化により、例えば低下し得る。このように、フォトカプラ13Aの電流伝達率は変化するので、仮に検出信号SIが同じである場合でも、検出信号SI2は変化し得る。電力変換装置10では、フォトカプラ13Aの特性に応じた補正を行うことにより、検出信号SI2を生成する。これにより、電力変換装置10では、検出信号SI2に対するフォトカプラ13Aの特性の影響を抑えることができるようになっている。
【0044】
補正回路12B、およびMCU20の補正演算回路21Bは、補正部101Bを構成する。
【0045】
補正回路12Bは、補正回路12Aと同様に、電圧センサ46から供給された検出信号SVを補正するように構成される。補正回路12Bは、補正演算回路21Bから供給された補正信号SCVに基づいて、検出信号SVに対して、フォトカプラ13Bの特性に応じた補正を行う。そして、補正回路12Bは、補正された検出信号SVに基づいてフォトカプラ13Bの発光素子を駆動するようになっている。
【0046】
補正演算回路21Bは、補正演算回路21Aと同様に、補正演算回路31Bとの間で、デジタルアイソレータ17を介してデータのやり取りを行うことにより、フォトカプラ13Bの特性を把握し、フォトカプラ13Bの特性に応じた補正信号SCVを生成するように構成される。そして、補正演算回路21Bは、生成した補正信号SCVを補正回路12Bに供給するようになっている。
【0047】
フォトカプラ13Bは、フォトカプラ13Aと同様に、電気的に絶縁しつつ、信号を送受信するように構成される。フォトカプラ13Bの発光素子は、補正回路12Bに接続され、受光素子は補正回路14Bに接続される。
【0048】
補正回路14B、およびMCU30の補正演算回路31Bは、出力部102Bを構成する。
【0049】
補正回路14Bは、補正回路14Aと同様に、フォトカプラ13Bから供給された受光信号に応じた検出信号SV2を生成するとともに、補正演算回路31Bから供給された補正信号SCV2に基づいて、この検出信号SV2を補正するように構成される。補正回路14Bは、フォトカプラ13Bの特性に応じた補正を行うようになっている。
【0050】
補正演算回路31Bは、補正演算回路31Aと同様に、補正演算回路21Bとの間で、デジタルアイソレータ17を介してデータのやり取りを行うことにより、フォトカプラ13Bの特性を推定し、フォトカプラ13Bの特性に応じた補正信号SCV2を生成するように構成される。そして、補正演算回路31Bは、生成した補正信号SCV2を補正回路14Bに供給するようになっている。
【0051】
この構成により、電力変換装置10では、検出信号SIの場合と同様に、電圧センサ46から供給された検出信号SVに基づいて、フォトカプラ13Bの特性の影響を低減しつつ、この検出信号SVに応じた検出信号SV2を生成することができるようになっている。
【0052】
抵抗素子15Aの一端は、補正回路14Aの出力端子およびアンプ16Aの負入力端子に接続され、他端はアンプ16Aの正入力端子およびバランス端子Vbiに接続される。
図1に示したように、4つの電力変換装置10のバランス端子Vbiは互いに接続される。これにより、バランス端子Vbiにおける電圧は、4つの電力変換装置10の検出信号SI2の平均電圧になる。
【0053】
アンプ16Aの正入力端子は、抵抗素子15Aの他端およびバランス端子Vbiに接続され、負入力端子は、抵抗素子15Aの一端および補正回路14Aの出力端子に接続される。アンプ16Aは、抵抗素子15Aの両端間の電圧差を増幅することにより差分信号Sdfiを生成するようになっている。
【0054】
抵抗素子15Bの一端は、補正回路14Bの出力端子およびアンプ16Bの負入力端子に接続され、他端はアンプ16Bの正入力端子およびバランス端子Vbvに接続される。
図1に示したように、4つの電力変換装置10のバランス端子Vbvは互いに接続される。これにより、バランス端子Vbvにおける電圧は、4つの電力変換装置10の検出信号SV2の平均電圧になる。
【0055】
アンプ16Bの正入力端子は、抵抗素子15Bの他端およびバランス端子Vbvに接続され、負入力端子は、抵抗素子15Bの一端および補正回路14Bの出力端子に接続される。アンプ16Bは、抵抗素子15Bの両端間の電圧差を増幅することにより差分信号Sdfvを生成するようになっている。
【0056】
調節演算回路32Aは、差分信号Sdfiのデジタル値に基づいて、所定の調整演算処理を行うことにより、差分信号Sdfiに応じて変化する差分値Cdfiを生成するように構成される。調節演算回路32Bは、差分信号Sdfvのデジタル値に基づいて、所定の調整演算処理を行うことにより、差分信号Sdfvに応じて変化する差分値Cdfvを生成するように構成される。
【0057】
指令値生成回路33は、電力変換装置10の出力電圧Voutの電圧指令値CMV、および出力電流Ioutの電流指令値CMIを生成するように構成される。
【0058】
加算回路34Aは、差分値Cdfiおよび電圧指令値CMVを加算することにより、電圧指令値CMV2を生成するように構成される。加算回路34Bは、差分値Cdfvおよび電流指令値CMIを加算することにより、電流指令値CMI2を生成するように構成される。
【0059】
デジタルアイソレータ17は、MCU20からのデジタル信号をMCU30に供給するとともに、MCU30からのデジタル信号をMCU20に供給するように構成される。デジタルアイソレータ17は、MCU20とMCU30とを電気的に絶縁しつつ、デジタル信号のやり取りを行うようになっている。
【0060】
誤差アンプ22Aの正入力端子には、MCU30からデジタルアイソレータ17を介して供給された電圧指令値CMV2が供給され、負入力端子には、電圧センサ46から供給された検出信号SVのデジタル値が供給される。検出信号SVのデジタル値は、電力変換装置10の出力電圧Voutのデジタル値に対応する。誤差アンプ22Aは、電圧指令値CMV2と、検出信号SVのデジタル値との差分を増幅することにより、誤差値Cervを生成するようになっている。
【0061】
誤差アンプ22Bの正入力端子には、MCU30からデジタルアイソレータ17を介して供給された電流指令値CMI2が供給され、負入力端子には、電流センサ44から供給された検出信号SIが示すデジタル値が供給される。検出信号SIのデジタル値は、電力変換装置10の出力電流Ioutのデジタル値に対応する。誤差アンプ22Bは、電流指令値CMI2と、検出信号SIのデジタル値との差分を増幅することにより、誤差値Ceriを生成するようになっている。
【0062】
スイッチング制御回路23は、誤差値Cervおよび誤差値Ceriに基づいてゲート信号SG1を生成し、このゲート信号SG1を用いて、絶縁型電力変換回路11の動作を制御するように構成される。
【0063】
絶縁型駆動回路18は、ゲート信号SG1に基づいてゲート信号SGを生成し、このゲート信号SGを用いて、絶縁型電力変換回路11のトランジスタSW1,SW2(
図4)を駆動するように構成される。ゲート信号SG1を生成するMCU20は2次側回路であり、ゲート信号SGが供給されるトランジスタSW1,SW2は1次側回路である。よって、絶縁型駆動回路18は、ゲート信号SG1に基づいて、MCU20とトランジスタSW1,SW2とを電気的に絶縁しつつ、トランジスタSW1,SW2を駆動するようになっている。
【0064】
この構成により、電力変換装置10では、電圧センサ46(
図4)により検出された出力電圧Voutが、電圧指令値CMV2が示す電圧に等しくなるように、負帰還制御が行われるとともに、電流センサ44により検出された出力電流Ioutが、電流指令値CMI2が示す電流に等しくなるように、負帰還制御が行われる。この負帰還制御は、P(Proportional)制御であってもよいし、PI(Proportional and Integral)制御であってもよい。
【0065】
また、電力変換システム1では、電力変換装置10A~10Dにおける出力電流Ioutのバランスを維持することができる。例えば、電力変換装置10Aの出力電流Ioutが、電力変換装置10B~10Dの出力電流Ioutよりも多い場合には、電力変換装置10Aでは、検出信号SI2の電圧が、バランス端子Vbiにおける電圧よりも高いので、差分信号Sdfiは小さくなり、差分値Cdfiは小さくなり、電圧指令値CMV2は小さくなる。これにより、電力変換装置10Aの出力電圧Voutが低くなるように制御されるので、電力変換装置10Aの出力電流Ioutが小さくなる。一方、電力変換装置10Aの出力電流Ioutが、電力変換装置10B~10Dの出力電流Ioutよりも少ない場合には、電力変換装置10Aでは、検出信号SI2の電圧が、バランス端子Vbiにおける電圧よりも低いので、差分信号Sdfiは大きくなり、差分値Cdfiは大きくなり、電圧指令値CMV2は大きくなる。これにより、電力変換装置10Aの出力電圧Voutが高くなるように制御されるので、電力変換装置10Aの出力電流Ioutが大きくなる。電力変換装置10B~10Dについても同様である。このようにして、電力変換システム1では、電力変換装置10A~10Dにおける出力電流Ioutは、互いにほぼ等しくなるように制御される。
【0066】
また、電力変換システム1では、電力変換装置10A~10Dにおける出力電圧Voutのバランスを維持することができる。例えば、電力変換装置10Aの出力電圧Voutが、電力変換装置10B~10Dの出力電圧Voutよりも高い場合には、電力変換装置10Aでは、検出信号SV2の電圧が、バランス端子Vbvにおける電圧よりも高いので、差分信号Sdfvは小さくなり、差分値Cdfvは小さくなり、電流指令値CMI2は小さくなる。これにより、電力変換装置10Aの出力電流Ioutが小さくなるように制御されるので、電力変換装置10Aの出力電圧Voutが低くなる。一方、電力変換装置10Aの出力電圧Voutが、電力変換装置10B~10Dの出力電圧Voutよりも低い場合には、電力変換装置10Aでは、検出信号SV2の電圧が、バランス端子Vbvにおける電圧よりも低いので、差分信号Sdfvは大きくなり、差分値Cdfvは大きくなり、電流指令値CMI2は大きくなる。これにより、電力変換装置10Aの出力電流Ioutが大きくなるように制御されるので、電力変換装置10Aの出力電圧Voutが高くなる。電力変換装置10B~10Dについても同様である。このようにして、電力変換システム1では、電力変換装置10A~10Dにおける出力電圧Voutは、互いにほぼ等しくなるように制御される。
【0067】
図5は、補正部101Aおよび出力部102Aのより具体的な一構成例を表すものである。補正部101A、フォトカプラ13A、および出力部102Aは、信号生成回路100Aを構成する。信号生成回路100Aは、電流センサ44から供給された、2次側回路における検出信号SIに基づいて、フォトカプラ13Aの特性の影響を低減しつつ、この検出信号SIに応じた、3次側回路における検出信号SI2を生成する。
【0068】
(補正部101A)
補正部101Aの補正演算回路21Aは、AD変換回路121Aと、CTR補正回路122Aと、DA変換回路123Aと、送信回路124Aと、受信回路125Aとを有している。
【0069】
AD変換回路121Aは、電流センサ44から供給された検出信号SIに基づいて、所定のサンプリング周波数でAD変換を行うことにより、検出信号SIのデジタル値である検出値CIを生成するように構成される。
【0070】
CTR補正回路122Aは、受信回路125Aから供給された、フォトカプラ13Aの電流伝達率の推定値を示すパラメータPARAを用いて、検出値CIに基づいて補正値CCIを生成するように構成される。CTR補正回路122Aは、例えば、パラメータPARAに基づいて、検出値CIが入力され補正値CCIが出力される補正関数を生成し、この補正関数を用いて、検出値CIに基づいて補正値CCIを生成してもよい。また、CTR補正回路122Aは、例えば、パラメータPARAに基づいて、検出値CIが入力され補正値CCIが出力されるルックアップテーブルを生成し、このルックアップテーブルを用いて、検出値CIに基づいて補正値CCIを生成してもよい。補正値CCIは、例えば検出値CIに比例し、検出値CIに応じて変化する。CTR補正回路122Aは、例えば、電流伝達率の推定値が小さい場合には、補正値CCIを大きくし、電流伝達率の推定値が大きい場合には、補正値CCIを小さくするようになっている。
【0071】
DA変換回路123Aは、CTR補正回路122Aが生成した補正値CCIに基づいて、所定のサンプリング周波数でDA変換を行うことにより、補正信号SCIを生成するように構成される。そして、DA変換回路123Aは、生成した補正信号SCIを補正回路12Aに供給するようになっている。
【0072】
送信回路124Aは、AD変換回路121Aが生成した検出値CIを、デジタルアイソレータ17を介して補正演算回路31Aに送信するように構成される。
【0073】
受信回路125Aは、補正演算回路31Aからデジタルアイソレータ17を介して送信されたパラメータPARAを受信し、受信したパラメータPARAをCTR補正回路122Aに供給するように構成される。
【0074】
補正部101Aの補正回路12Aは、抵抗素子R1,R2と、演算増幅器OPA1と、抵抗素子R3~R5とを有している。抵抗素子R1の一端には検出信号SIが供給され、他端は抵抗素子R2および演算増幅器OPA1の正入力端子に接続される。抵抗素子R2の一端には補正信号SCIが供給され、他端は抵抗素子R1の他端および演算増幅器OPA1の正入力端子に接続される。演算増幅器OPA1の正入力端子は抵抗素子R1,R2の他端に接続され、負入力端子は抵抗素子R3,R5に接続され、出力端子はフォトカプラ13Aの発光素子(例えば発光ダイオード)のアノードに接続される。抵抗素子R3の一端は演算増幅器OPA1の負入力端子および抵抗素子R5に接続され、他端は電源電圧VGND2の基準電源ノードに接続される。この基準電源ノードは、2次側回路の基準電源のノードである。抵抗素子R4の一端はフォトカプラ13Aの発光素子のカソードおよび抵抗素子R5に接続され、他端は電源電圧VGND2の基準電源ノードに接続される。抵抗素子R5の一端は演算増幅器OPA1の負入力端子および抵抗素子R3の一端に接続され、他端はフォトカプラ13Aの発光素子のカソードおよび抵抗素子R4の一端に接続される。
【0075】
補正回路12Aでは、検出信号SIおよび補正信号SCIが、抵抗素子R1,R2により合成されることにより検出信号SIが補正され、補正された検出信号SIが演算増幅器OPA1の正入力端子に供給される。そして、補正回路12Aは、演算増幅器OPA1の正入力端子における電圧に応じた電流を、フォトカプラ13Aの発光素子に流す。
【0076】
例えば、フォトカプラ13Aの電流伝達率が小さい場合には、フォトカプラ13Aの受光素子における受光電流が小さくなり得るので、補正演算回路21Aは、補正信号SCIを大きくすることにより、演算増幅器OPA1の正入力端子における電圧を高くする。これにより、フォトカプラ13Aの受光素子における受光電流が小さくならないようにすることができる。また、フォトカプラ13Aの電流電圧率が大きい場合には、フォトカプラ13Aの受光素子における受光電流が大きくなり得るので、補正演算回路21Aは、補正信号SCIを小さくすることにより、演算増幅器OPA1の正入力端子における電圧を低くする。これにより、フォトカプラ13Aの受光素子における受光電流が大きくならないようにすることができる。このようにして、補正部101Aは、フォトカプラ13Aの受光素子における受光電流が、フォトカプラ13Aの電流伝達率の影響を受けにくくなるように、検出信号SIを補正するようになっている。
【0077】
(出力部102A)
出力部102Aの補正回路14Aは、抵抗素子R6~R9と、演算増幅器OPA2とを有している。補正回路14Aは、フォトカプラ13Aの受光素子(例えばフォトトランジスタ)のコレクタを、電源電圧VDD3の電源ノードに接続する。抵抗素子R6の一端はフォトカプラ13Aの受光素子のエミッタおよび抵抗素子R7に接続され、他端は電源電圧VGND3の基準電源ノードに接続される。この基準電源ノードは、3次側回路の基準電源のノードであり、基準端子GNDb(
図1)に接続される。抵抗素子R7の一端はフォトカプラ13Aの受光素子のエミッタおよび抵抗素子R6の一端に接続され、他端は抵抗素子R8,R9および演算増幅器OPA2の正入力端子に接続される。抵抗素子R8の一端は抵抗素子R7の他端、抵抗素子R9、および演算増幅器OPA2の正入力端子に接続され、他端は電源電圧VGND3の基準電源ノードに接続される。抵抗素子R9の一端には補正信号SCI2が供給され、他端は抵抗素子R7の他端、抵抗素子R8の一端、および演算増幅器OPA2の正入力端子に接続される。演算増幅器OPA2の正入力端子は、抵抗素子R7,R9の他端および抵抗素子R8の一端に接続され、負入力端子は演算増幅器OPA2の出力端子に接続され、出力端子は演算増幅器OPA2の負入力端子に接続される。演算増幅器OPA2は、いわゆるボルテージフォロワ回路を構成し、検出信号SI2を生成する。補正回路14Aは、この検出信号SI2を抵抗素子15Aに供給する。
【0078】
出力部102Aの補正演算回路31Aは、AD変換回路131Aと、受信回路132Aと、出力補正回路133Aと、DA変換回路134Aと、CTR推定回路135Aと、送信回路136Aとを有している。出力補正回路133AおよびCTR推定回路135Aは、処理回路139Aを構成する。
【0079】
AD変換回路131Aは、検出信号SI2に基づいて、所定のサンプリング周波数でAD変換を行うことにより、検出信号SI2のデジタル値である検出値CI2を生成するように構成される。
【0080】
受信回路132Aは、補正演算回路21Aからデジタルアイソレータ17を介して送信された検出値CIを受信し、受信した検出値CIを出力補正回路133Aに供給するように構成される。
【0081】
出力補正回路133Aは、受信回路132Aから供給された検出値CIに基づいて、検出値CI2の期待値を算出し、AD変換回路131Aから供給された検出値CI2が、この期待値と等しくなるように、補正値CCI2を生成するように構成される。すなわち、検出値CI2は、検出値CIに基づいて得られた期待値と等しいことが望まれる。しかしながら、検出値CI2は、補正部101Aが補正処理を行った場合でも、期待値からずれることがあり得る。よって、出力補正回路133Aは、検出値CI2が期待値と等しくなるように、補正値CCI2を生成するようになっている。
【0082】
DA変換回路134Aは、出力補正回路133Aが生成した補正値CCI2に基づいて、所定のサンプリング周波数でDA変換を行うことにより、補正信号SCI2を生成するように構成される。そして、DA変換回路134Aは、生成した補正信号SCI2を補正回路14Aに供給するようになっている。
【0083】
CTR推定回路135Aは、出力補正回路133Aが生成した補正値CCI2に基づいて、フォトカプラ13Aの電流伝達率を推定するように構成される。そして、CTR推定回路135Aは、電流伝達率の推定値を示すパラメータPARAを送信回路136Aに供給するようになっている。なお、この例では、CTR推定回路135Aは、補正値CCI2に基づいて電流伝達率を推定したが、これに限定されるものではない。CTR推定回路135Aは、例えば、出力補正回路133Aの内部での処理データに基づいて電流伝達率を推定してもよいし、検出値CIおよび検出値CI2に基づいて電流伝達率を推定してもよい。
【0084】
送信回路136Aは、CTR推定回路135Aが生成したパラメータPARAを、デジタルアイソレータ17を介して補正演算回路21Aに送信するように構成される。
【0085】
補正回路14Aでは、フォトカプラ13Aの受光素子の受光信号および補正信号SCI2が、抵抗素子R7~R9により合成される。出力補正回路133Aは、検出値CI2が検出値CI2の期待値と等しくなるように、補正値CCI2を生成するので、出力部102Aは、検出信号SIに応じた、期待された検出信号SI2になるように、検出信号SI2を補正するようになっている。
【0086】
図6は、補正部101Bおよび出力部102Bのより具体的な一構成例を表すものである。補正部101B、フォトカプラ13B、および出力部102Bは、信号生成回路100Bを構成する。信号生成回路100Bは、電圧センサ46から供給された、2次側回路における検出信号SVに基づいて、フォトカプラ13Bの特性の影響を低減しつつ、この検出信号SVに応じた、3次側回路における検出信号SV2を生成する。
【0087】
(補正部101B)
補正部101Bの補正演算回路21Bは、補正部101Aの補正演算回路21A(
図5)と同様に、AD変換回路121Bと、CTR補正回路122Bと、DA変換回路123Bと、送信回路124Bと、受信回路125Bとを有している。AD変換回路121Bは、電圧センサ46から供給された検出信号SVに基づいて、所定のサンプリング周波数でAD変換を行うことにより、検出信号SVのデジタル値である検出値CVを生成するように構成される。CTR補正回路122Bは、受信回路125Bから供給された、フォトカプラ13Bの電流伝達率の推定値を示すパラメータPARBを用いて、検出値CVに基づいて補正値CCVを生成するように構成される。DA変換回路123Bは、CTR補正回路122Bが生成した補正値CCVに基づいて、所定のサンプリング周波数でDA変換を行うことにより、補正信号SCVを生成するように構成される。送信回路124Bは、AD変換回路121Bが生成した検出値CVを、デジタルアイソレータ17を介して補正演算回路31Bに送信するように構成される。受信回路125Bは、補正演算回路31Bからデジタルアイソレータ17を介して送信されたパラメータPARBを受信し、受信したパラメータPARBをCTR補正回路122Bに供給するように構成される。
【0088】
補正部101Bの補正回路12Bは、補正部101Aの補正回路12A(
図5)と同様の回路構成を有する。抵抗素子R1の一端には検出信号SVが供給される。
【0089】
(出力部102B)
出力部102Bの補正回路14Bは、出力部102Aの補正回路14A(
図5)と同様である。抵抗素子R9の一端には補正信号SCV2が供給される。演算増幅器OPA2は検出信号SV2を生成する。
【0090】
出力部102Bの補正演算回路31Bは、出力部102Aの補正演算回路31A(
図5)と同様に、AD変換回路131Bと、受信回路132Bと、出力補正回路133Bと、DA変換回路134Bと、CTR推定回路135Bと、送信回路136Bとを有している。出力補正回路133BおよびCTR推定回路135Bは、処理回路139Bを構成する。AD変換回路131Bは、検出信号SV2に基づいて、所定のサンプリング周波数でAD変換を行うことにより、検出信号SV2のデジタル値である検出値CV2を生成するように構成される。受信回路132Bは、補正演算回路21Bからデジタルアイソレータ17を介して送信された検出値CVを受信し、受信した検出値CVを出力補正回路133Bに供給するように構成される。出力補正回路133Bは、受信回路132Bから供給された検出値CVに基づいて、検出値CV2の期待値を算出し、AD変換回路131Bから供給された検出値CV2が、この期待値と等しくなるように、補正値CCV2を生成するように構成される。DA変換回路134Bは、出力補正回路133Bが生成した補正値CCV2に基づいて、所定のサンプリング周波数でDA変換を行うことにより、補正信号SCV2を生成するように構成される。CTR推定回路135Bは、補正値CCV2に基づいて、フォトカプラ13Bの電流伝達率を推定するように構成される。そして、CTR推定回路135Bは、電流伝達率の推定値を示すパラメータPARBを送信回路136Bに供給するようになっている。送信回路136Bは、CTR推定回路135Bが生成したパラメータPARBを、デジタルアイソレータ17を介して補正演算回路21Bに送信するように構成される。
【0091】
ここで、入力電力端子Vip,Vinは、本開示における「入力電力端子」の一具体例に対応する。出力電力端子Vop,Vonは、本開示における「出力電力端子」の一具体例に対応する。電流センサ44または電圧センサ46は、本開示における「センサ」の一具体例に対応する。スイッチング制御回路23は、本開示における「制御回路」の一具体例に対応する。信号生成回路100Aまたは信号生成回路100Bは、本開示における「信号生成回路」の一具体例に対応する。検出信号SIまたは検出信号SVは、本開示における「第1の検出信号」の一具体例に対応する。検出信号SI2または検出信号SV2は、本開示における「第2の検出信号」の一具体例に対応する。補正部101Aまたは補正部101Bは、本開示における「補正部」の一具体例に対応する。フォトカプラ13Aまたはフォトカプラ13Bは、本開示における「フォトカプラ」の一具体例に対応する。出力部102Aまたは出力部102Bは、本開示における「出力部」の一具体例に対応する。AD変換回路121AまたはAD変換回路121Bは、本開示における「第1のAD変換回路」の一具体例に対応する。検出値CIまたは検出値CVは、本開示における「第1のデジタル値」の一具体例に対応する。デジタルアイソレータ17は、本開示における「デジタルアイソレータ」の一具体例に対応する。AD変換回路131AまたはAD変換回路131Bは、本開示における「第2のAD変換回路」の一具体例に対応する。検出値CI2または検出値CV2は、本開示における「第2のデジタル値」の一具体例に対応する。処理回路139Aまたは処理回路139Bは、本開示における「処理回路」の一具体例に対応する。パラメータPARAまたはパラメータPARBは、本開示における「パラメータ」の一具体例に対応する。バランス端子Vbi,Vbvは、本開示における「信号端子」の一具体例に対応する。
【0092】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の電力変換システム1の動作および作用について説明する。
【0093】
(全体動作概要)
まず、
図1,3を参照して、電力変換システム1の全体動作概要を説明する。4つの電力変換装置10のそれぞれにおいて、絶縁型電力変換回路11は、入力電力端子Vip,Vinを介して供給された直流電力を変換し、変換された直流電力を出力電力端子Vop,Vonを介して出力する。
【0094】
信号生成回路100A(補正部101A、フォトカプラ13A、および出力部102A)は、電流センサ44から供給された検出信号SIに基づいて、フォトカプラ13Aの特性の影響を低減しつつ、この検出信号SIに応じた検出信号SI2を生成する。そして、信号生成回路100Aは、生成した検出信号SI2を、抵抗素子15Aの一端に供給する。バランス端子Vbiにおける電圧は、4つの電力変換装置10の検出信号SI2の平均電圧になる。
【0095】
信号生成回路100B(補正部101B、フォトカプラ13B、および出力部102B)は、電圧センサ46から供給された検出信号SVに基づいて、フォトカプラ13Bの特性の影響を低減しつつ、この検出信号SVに応じた検出信号SV2を生成する。そして、信号生成回路100Bは、生成した検出信号SV2を、抵抗素子15Bの一端に供給する。バランス端子Vbvにおける電圧は、4つの電力変換装置10の検出信号SV2の平均電圧になる。
【0096】
アンプ16Aは、抵抗素子15Aの両端間の電圧差を増幅することにより差分信号Sdfiを生成する。アンプ16Bは、抵抗素子15Bの両端間の電圧差を増幅することにより差分信号Sdfvを生成する。調節演算回路32Aは、差分信号Sdfiのデジタル値に基づいて、差分信号Sdfiに応じて変化する差分値Cdfiを生成する。調節演算回路32Bは、差分信号Sdfvのデジタル値に基づいて、差分信号Sdfvに応じて変化する差分値Cdfvを生成する。指令値生成回路33は、電力変換装置10の出力電圧Voutの電圧指令値CMV、および出力電流Ioutの電流指令値CMIを生成する。加算回路34Aは、差分値Cdfiおよび電圧指令値CMVを加算することにより、電圧指令値CMV2を生成する。加算回路34Bは、差分値Cdfvおよび電流指令値CMIを加算することにより、電流指令値CMI2を生成する。誤差アンプ22Aは、電圧指令値CMV2と、検出信号SVのデジタル値との差分を増幅することにより、誤差値Cervを生成する。誤差アンプ22Bは、電流指令値CMI2と、検出信号SIのデジタル値との差分を増幅することにより、誤差値Ceriを生成する。スイッチング制御回路23は、誤差値Cervおよび誤差値Ceriに基づいてゲート信号SG1を生成し、このゲート信号SG1を用いて、絶縁型電力変換回路11の動作を制御する。絶縁型駆動回路18は、ゲート信号SG1に基づいてゲート信号SGを生成し、このゲート信号SGを用いて、絶縁型電力変換回路11のトランジスタSW1,SW2を駆動する。
【0097】
(詳細動作)
信号生成回路100A(補正部101A、フォトカプラ13A、および出力部102A)は、電流センサ44から供給された検出信号SIに基づいて、フォトカプラ13Aの特性の影響を低減しつつ、この検出信号SIに応じた検出信号SI2を生成する。以下に、この動作について、詳細に説明する。
【0098】
2次側回路では、
図5に示したように、AD変換回路121Aは、電流センサ44から供給された検出信号SIに基づいて、所定のサンプリング周波数でAD変換を行うことにより、検出信号SIのデジタル値である検出値CIを生成する。送信回路124Aは、この検出値CIを、デジタルアイソレータ17を介して3次側回路に送信する。受信回路125Aは、3次側回路から、デジタルアイソレータ17を介して送信されたパラメータPARAを受信する。CTR補正回路122Aは、受信回路125Aから供給された、フォトカプラ13Aの電流伝達率の推定値を示すパラメータPARAを用いて、検出値CIに基づいて補正値CCIを生成する。補正値CCIは、例えば検出値CIに比例し、検出値CIに応じて変化する。CTR補正回路122Aは、例えば、電流伝達率の推定値が小さい場合には、補正値CCIを大きくし、電流伝達率の推定値が大きい場合には、補正値CCIを小さくする。そして、DA変換回路123Aは、CTR補正回路122Aが生成した補正値CCIに基づいて、所定のサンプリング周波数でDA変換を行うことにより、補正信号SCIを生成する。
【0099】
補正回路12Aは、DA変換回路123Aが生成した補正信号SCIに基づいて、検出信号SIを補正し、補正された検出信号SIに基づいて、フォトカプラ13Aを駆動する。
【0100】
フォトカプラ13Aの発光素子は、補正回路12Aから供給された信号に応じた輝度で発光する。受光素子は、発光素子が発した光を受光し、受光量に応じた受光信号を補正回路14Aに供給する。
【0101】
3次側回路では、補正回路14Aは、フォトカプラ13Aから供給された受光信号に応じた検出信号SI2を生成するとともに、補正演算回路31Aから供給された補正信号SCI2に基づいて、この検出信号SI2を補正する。
【0102】
AD変換回路131Aは、補正回路14Aが生成した検出信号SI2に基づいて、所定のサンプリング周波数でAD変換を行うことにより、検出信号SI2のデジタル値である検出値CI2を生成する。受信回路132Aは、2次側回路からデジタルアイソレータ17を介して送信された検出値CIを受信する。出力補正回路133Aは、受信回路132Aから供給された検出値CIに基づいて、検出値CI2の期待値を算出し、AD変換回路131Aから供給された検出値CI2が、この期待値と等しくなるように、補正値CCI2を生成する。そして、DA変換回路134Aは、出力補正回路133Aが生成した補正値CCI2に基づいて、所定のサンプリング周波数でDA変換を行うことにより、補正信号SCI2を生成する。補正回路14Aは、この補正信号SCI2に基づいて、検出信号SI2を補正する。
【0103】
CTR推定回路135Aは、出力補正回路133Aが生成した補正値CCI2に基づいて、フォトカプラ13Aの電流伝達率を推定し、電流伝達率の推定値を示すパラメータPARAを生成する。送信回路124Aは、このパラメータPARAを、デジタルアイソレータ17を介して2次側回路に送信する。
【0104】
図7は、信号生成回路100Aの一動作例を表すものであり、(A)は検出信号SIの波形の一例を示し、(B)はフォトカプラ13Aの発光素子に流れる電流(発光電流If)の波形の一例を示し、(C)はフォトカプラ13Aの受光素子に流れる電流(受光電流Ic)の波形の一例を示し、(D)はフォトカプラ13Aの電流伝達率の一例を示し、(E)はCTR推定回路135Aにより推定された、フォトカプラ13Aの電流伝達率の推定値の一例を示し、(F)は検出信号SI2の波形の一例を示す。この図は、フォトカプラ13Aの電流伝達率が“100”である場合、“200”である場合、および“300”である場合における特性をそれぞれ示している。なお、フォトカプラ13Aの電流伝達率は、
図7(D)に示したように、フォトカプラ13Aの動作点によっても変化する。
【0105】
出力部102Aでは、補正演算回路31AのCTR推定回路135Aは、フォトカプラ13Aの電流伝達率を推定する(
図7(E))。
【0106】
補正部101Aでは、補正演算回路21Aは、フォトカプラ13Aの電流伝達率の推定値を用いて、この例では正弦波形状を有する検出信号SI(
図7(A))に基づいて補正信号SCIを生成する。補正回路12Aは、DA変換回路123Aが生成した補正信号SCIに基づいて、検出信号SIを補正し、補正された検出信号SIに基づいて、フォトカプラ13Aを駆動する。これにより、
図7(B)に示したように、フォトカプラ13Aの発光素子に流れる発光電流Ifは、電流伝達率に応じて異なる。具体的には、発光電流Ifは、電流伝達率が“100”である場合に大きな電流であり、電流伝達率が“300”である場合に小さな電流である。
【0107】
フォトカプラ13Aの発光素子は、補正回路12Aから供給された信号に応じた輝度で発光する。受光素子は、発光素子が発した光を受光し、受光量に応じた受光信号を補正回路14Aに供給する。
【0108】
図7(C)に示したように、フォトカプラ13Bの受光素子に流れる受光電流Icは、電流伝達率に依らずに、ほぼ同じである。すなわち、信号生成回路100Aでは、例えば、電流伝達率が“100”である場合に発光電流Ifを大きくし、電流伝達率が“300”である場合に発光電流Ifを小さくすることにより、受光電流Icにおける、電流伝達率の影響が小さくなるようにしている。
【0109】
そして、出力部102Aでは、補正回路14Aは、この受光電流Icに応じた検出信号SI2を生成するとともに、補正演算回路31Aから供給された補正信号SCI2に基づいて、この検出信号SI2を補正する。このようにして、出力部102Aは、検出信号SI2を生成する(
図7(F))。
【0110】
信号生成回路100Aでは、補正部101Aが、検出信号SIに対して補正処理を行い、補正された検出信号SIに基づいて、フォトカプラ13Aの発光素子を駆動するようにした。これにより、信号生成回路100Aでは、以下に示す比較例と比べて、検出信号SI2に対する、フォトカプラ13Aの電流増幅率の影響を抑えることができる。
【0111】
(比較例)
次に、比較例に係る信号生成回路100Rについて説明する。この信号生成回路100Rは、フォトカプラ13Aの前段において、検出信号SIに対する補正を行わないものである。
【0112】
図8は、信号生成回路100Rの一動作例を表すものであり、(A)はフォトカプラ13Aの発光素子に流れる電流(発光電流If)の波形の一例を示し、(B)はフォトカプラ13Aの受光素子に流れる電流(受光電流Ic)の波形の一例を示し、(C)はフォトカプラ13Aの電流伝達率の一例を示す。
【0113】
この信号生成回路100Rでは、フォトカプラ13Aの前段において、検出信号SIに対する補正を行わないので、フォトカプラ13Aの発光素子には、検出信号SIに応じた発光電流Ifが流れる(
図8(A))。発光電流Ifは、電流伝達率に依らずに、ほぼ同じである。
【0114】
一方、フォトカプラ13Aの受光素子の受光電流Icは、電流伝達率に応じて異なっている(
図8(B))。すなわち、受光電流Icは、電流伝達率が“100”である場合には小さく、電流伝達率が“300”である場合には大きい。
【0115】
例えば、電流伝達率が“300”である場合には、受光電流Icは大きいので、フォトカプラ13Aの後段において、補正信号SCI2は比較的小さい。すなわち、補正信号SCI2に比べて、フォトカプラ13Aの受光信号が支配的である。この場合には、検出信号SI2は、フォトカプラ13Aの受光信号に基づいて生成される。
【0116】
例えば、電流伝達率が“100”である場合には、受光電流Icは小さいので、フォトカプラ13Aの後段において、補正信号SCI2が支配的になり得る。この場合には、検出信号SI2は、補正信号SCI2に基づいて生成される。補正信号SCI2は、補正演算回路21Aおよび補正演算回路31Aが、デジタルアイソレータ17を介して通信することにより生成される。よって、この通信や演算処理により遅延が生じ得るので、検出信号SI2は、検出信号SIに比べて、タイミングが遅れた信号になり得る。
【0117】
このように、比較例に係る信号生成回路100Rでは、電流伝達率に応じて、検出信号SI2の特性が異なり得る。検出信号SI2は、電力変換装置10の出力電流Ioutに応じた信号であるので、信号生成回路100Rでは、電流伝達率に応じて、出力電流Ioutの検出精度が低下し得る。
【0118】
一方、実施の形態に係る信号生成回路100Aでは、補正部101Aが、検出信号SIに対して補正処理を行い、補正された検出信号SIに基づいて、フォトカプラ13Aの発光素子を駆動するようにした。これにより、
図7に示したように、フォトカプラ13Aの電流伝達率に依らず、受光電流Icが小さくならないように維持することができる。よって、例えば、フォトカプラ13Aの後段の補正回路14Aにおいて、フォトカプラ13Aの受光信号が、補正信号SCI2に比べて、十分に大きくなるようにすることができる。よって、検出信号SI2は、フォトカプラ13Aの電流伝達率に依らず、検出信号SIに応じた信号になり得る。その結果、信号生成回路100Aでは、出力電流Ioutの検出精度を高めることができる。
【0119】
以上では、信号生成回路100Aを例に挙げて説明したが、信号生成回路100Bについても同様である。これにより、信号生成回路100Bでは、出力電圧Voutの検出精度を高めることができる。
【0120】
このように、電力変換装置10では、入力電力端子Vip,Vinと、出力電力端子Vop,Vonと、入力電力端子Vip,Vinを介して供給された電力を変換し、変換された電力を出力電力端子Vop,Vonを介して出力し、出力電流に応じた検出信号SIを生成する電流センサ44を有する絶縁型電力変換回路11と、検出信号SIに応じた検出信号SI2を生成する信号生成回路100Aと、絶縁型電力変換回路11の動作を制御するスイッチング制御回路23とを設けるようにした。信号生成回路100Aは、検出信号SIに対して補正処理を行う補正部101Aと、補正処理が行われた検出信号SIに応じた輝度で発光する発光素子と、発光素子が発した光を受光し、受光量に応じた受光信号を生成する受光素子とを有するフォトカプラ13Aと、受光信号に応じた検出信号SI2を出力する出力部102Aとを有するようにした。補正部101Aは、フォトカプラ13Aの電流伝達率に応じた補正処理を行うようにした。これにより、電力変換装置10では、
図7に示したように、フォトカプラ13Aの電流伝達率に依らず、受光電流Icが小さくならないように維持することができるので、出力電流Ioutの検出精度を高めることができる。
【0121】
電力変換装置10では、信号生成回路100Aは、検出信号SIをAD変換することにより検出値CIを生成するAD変換回路121Aと、デジタルアイソレータ17と、検出信号SI2をAD変換することにより検出値CI2を生成するAD変換回路131Aと、デジタルアイソレータ17を介して供給された検出値CIと、検出値CI2とに基づいて、電流伝達率を推定し、推定された電流伝達率に応じたパラメータPARAを生成する処理回路139Aとを有するようにした。補正部101Aは、パラメータPARAに基づいて、電流伝達率に応じた補正処理を行うようにした。これにより、信号生成回路100Aでは、推定された電流伝達率を用いて、検出信号SIに対して補正処理を行うことができる。よって、例えば、温度や、経時変化により、電流伝達率が変化した場合でも、補正部101Aは、その変化に応じて、検出信号SIに対して補正処理を効果的に行うことができる。これにより、電力変換装置10では、出力電流Ioutの検出精度を高めることができる。
【0122】
電力変換装置10では、信号生成回路100Aの検出信号SI2を出力する端子に導かれたバランス端子Vbiをさらに備えるようにした。そして、スイッチング制御回路23は、バランス端子Vbiの電圧および検出信号SI2の電圧に基づいて、絶縁型電力変換回路11の動作を制御するようにした。これにより、例えば、複数の電力変換装置10を設けた場合に、複数の電力変換装置10における出力電流Ioutを、互いにほぼ等しくすることができる。
【0123】
この複数の電力変換装置10は、例えば、電力端子T21に導かれた電力ノードN1に接続された出力電力端子Vopと、電力ノードN2に接続された出力電力端子Vonとを有する電力変換装置10Aと、電力ノードN1に接続された出力電力端子Vopと、電力ノードN2に接続された出力電力端子Vonとを有する電力変換装置10Bとを有するようにした。すなわち、電力変換装置10A,10Bを互いに並列に接続した。この場合において、電力変換装置10Aにおける出力電流Ioutと、電力変換装置10Bにおける出力電流Ioutとを、互いにほぼ等しくすることができる。
【0124】
電力変換装置10では、絶縁型電力変換回路11は、出力電圧に応じた検出信号SVを生成する電圧センサ46を有するようにした。そして、電力変換装置10では、検出信号SVに応じた検出信号SV2を生成する信号生成回路100Bを設けるようにした。信号生成回路100Bは、検出信号SVに対して補正処理を行う補正部101Bと、補正処理が行われた検出信号SVに応じた輝度で発光する発光素子と、発光素子が発した光を受光し、受光量に応じた受光信号を生成する受光素子とを有するフォトカプラ13Bと、受光信号に応じた検出信号SV2を出力する出力部102Bとを有するようにした。補正部101Bは、フォトカプラ13Bの電流伝達率に応じた補正処理を行うようにした。これにより、電力変換装置10では、フォトカプラ13Bの電流伝達率に依らず、受光電流Icが小さくならないように維持することができるので、出力電圧Voutの検出精度を高めることができる。
【0125】
電力変換装置10では、信号生成回路100Bは、検出信号SVをAD変換することにより検出値CVを生成するAD変換回路121Bと、デジタルアイソレータ17と、検出信号SV2をAD変換することにより検出値CV2を生成するAD変換回路131Aと、デジタルアイソレータ17を介して供給された検出値CVと、検出値CV2とに基づいて、電流伝達率を推定し、推定された電流伝達率に応じたパラメータPARBを生成する処理回路139Bとを有するようにした。補正部101Bは、パラメータPARBに基づいて、電流伝達率に応じた補正処理を行うようにした。これにより、信号生成回路100Bでは、推定された電流伝達率を用いて、検出信号SVに対して補正処理を行うことができる。よって、例えば、温度や、経時変化により、電流伝達率が変化した場合でも、補正部101Bは、その変化に応じて、検出信号SVに対して補正処理を効果的に行うことができる。これにより、電力変換装置10では、出力電圧Voutの検出精度を高めることができる。
【0126】
電力変換装置10では、信号生成回路100Bの検出信号SV2を出力する端子に導かれたバランス端子Vbvをさらに備えるようにした。そして、スイッチング制御回路23は、バランス端子Vbvの電圧および検出信号SV2の電圧に基づいて、絶縁型電力変換回路11の動作を制御するようにした。これにより、例えば、複数の電力変換装置10を設けた場合に、複数の電力変換装置10における出力電圧Voutを、互いにほぼ等しくすることができる。
【0127】
この複数の電力変換装置10は、例えば、電力端子T21に導かれた電力ノードN1に接続された出力電力端子Vopと、電力ノードN2に接続された出力電力端子Vonとを有する電力変換装置10Aと、電力ノードN2に接続された出力電力端子Vopと、電力端子T22に導かれた電力ノードN2に接続された出力電力端子Vonとを有する電力変換装置10Cとを有するようにした。すなわち、電力変換装置10A,10Cを互いに直列に接続した。この場合において、電力変換装置10Aにおける出力電圧Voutと、電力変換装置10Cにおける出力電圧Voutとを、互いにほぼ等しくすることができる。
【0128】
[効果]
以上のように本実施の形態では、入力電力端子と、出力電力端子と、入力電力端子を介して供給された電力を変換し、変換された電力を出力電力端子を介して出力し、出力電流に応じた検出信号SIを生成する電流センサを有する絶縁型電力変換回路と、検出信号SIに応じた検出信号SI2を生成する信号生成回路と、絶縁型電力変換回路の動作を制御するスイッチング制御回路とを設けるようにした。信号生成回路は、検出信号SIに対して補正処理を行う補正部と、補正処理が行われた検出信号SIに応じた輝度で発光する発光素子と、発光素子が発した光を受光し、受光量に応じた受光信号を生成する受光素子とを有するフォトカプラと、受光信号に応じた検出信号SI2を出力する出力部とを有するようにした。補正部は、フォトカプラの電流伝達率に応じた補正処理を行うようにした。これにより、出力電流の検出精度を高めることができる。
【0129】
本実施の形態では、信号生成回路は、検出信号SIをAD変換することにより検出値CIを生成するAD変換回路121Aと、デジタルアイソレータと、検出信号SI2をAD変換することにより検出値CI2を生成するAD変換回路131Aと、デジタルアイソレータを介して供給された検出値CIと、検出値CI2とに基づいて、電流伝達率を推定し、推定された電流伝達率に応じたパラメータを生成する処理回路とを有するようにした。補正部は、パラメータに基づいて、電流伝達率に応じた補正処理を行うようにした。これにより、出力電流の検出精度を高めることができる。
【0130】
本実施の形態では、絶縁型電力変換回路は、出力電圧に応じた検出信号SVを生成する電圧センサを有するようにした。検出信号SVに応じた検出信号SV2を生成する信号生成回路を設けるようにした。信号生成回路は、検出信号SVに対して補正処理を行う補正部と、補正処理が行われた検出信号SVに応じた輝度で発光する発光素子と、発光素子が発した光を受光し、受光量に応じた受光信号を生成する受光素子とを有するフォトカプラと、受光信号に応じた検出信号SV2を出力する出力部とを有するようにした。補正部は、フォトカプラの電流伝達率に応じた補正処理を行うようにした。出力電圧の検出精度を高めることができる。
【0131】
本実施の形態では、信号生成回路は、検出信号SVをAD変換することにより検出値CVを生成するAD変換回路121Bと、デジタルアイソレータと、検出信号SV2をAD変換することにより検出値CV2を生成するAD変換回路131Aと、デジタルアイソレータを介して供給された検出値CVと、検出値CV2とに基づいて、電流伝達率を推定し、推定された電流伝達率に応じたパラメータを生成する処理回路とを有するようにした。補正部は、パラメータに基づいて、電流伝達率に応じた補正処理を行うようにした。これにより、出力電圧の検出精度を高めることができる。
【0132】
[変形例1]
上記実施の形態では、電力変換装置10は絶縁型電力変換回路11を有するようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、電力変換装置は非絶縁型電力変換回路を有していてもよい。以下に、本変形例に係る電力変換システム2について、詳細に説明する。
【0133】
図9は、電力変換システム2の一構成例を表すものである。電力変換システム2は、複数の電力変換装置50(この例では4つの電力変換装置50A,50B,50C,50D)と、複数の電力変換装置60(この例では4つの電力変換装置60A,60B,60C,60D)とを有している。4つの電力変換装置50と、4つの電力変換装置60は、互いに対応して設けられる。
【0134】
4つの電力変換装置50のそれぞれは、絶縁型のDC/DC変換回路であり、入力電力端子Vip,Vinと、出力電力端子Vop,Vonとを有する。電力変換装置50A~50Dの入力電力端子Vipは、互いに接続されるとともに、電力端子T11に接続される。電力変換装置50A~50Dの入力電力端子Vinは、互いに接続されるとともに、電力端子T12に接続される。電力変換装置50の出力電力端子Vopは、対応する電力変換装置60の入力電力端子Vipに接続され、電力変換装置50の出力電力端子Vonは、対応する電力変換装置60の入力電力端子Vinに接続される。電力変換装置50は、絶縁型の回路であるので、例えば
図4に示した絶縁型電力変換回路のように、1次側回路と、トランスと、2次側回路とを有する。
【0135】
4つの電力変換装置60のそれぞれは、非絶縁型のDC/DC変換回路であり、入力電力端子Vip,Vinと、出力電力端子Vop,Vonと、バランス端子Vbi,Vbvと、基準端子GNDbを有する。
【0136】
電力変換装置60の入力電力端子Vipは、対応する電力変換装置50の出力電力端子Vopに接続され、電力変換装置60の入力電力端子Vinは、対応する電力変換装置50の出力電力端子Vonに接続される。
【0137】
電力変換装置60の出力電力端子Vop,Vonの接続は、上記実施の形態に係る電力変換システム1(
図1)と同様である。具体的には、電力変換装置60A,60Bの出力電力端子Vopは、互いに接続されるとともに、電力端子T21に接続される。電力変換装置60A,60Bの出力電力端子Vonは互いに接続されるとともに、電力変換装置60C,60Dの出力電力端子Vopに接続される。電力変換装置60C,60Dの出力電力端子Vopは互いに接続されるとともに、電力変換装置60A,60Bの出力電力端子Vonに接続される。電力変換装置60C,60Dの出力電力端子Vonは、互いに接続されるとともに、電力端子T22に接続される。電力変換システム2では、上記実施の形態に係る電力変換システム1(
図2)と同様に、電力変換装置60A,60Bは並列接続され、電力変換装置60C,60Dは並列される。そして、電力変換装置60A,60Bと、電力変換装置60C,60Dとは、直列接続される。
【0138】
電力変換装置60A~60Dのバランス端子Vbiは互いに接続される。電力変換装置60A~60Dのバランス端子Vbvは互いに接続される。電力変換装置60A~60Dの基準端子GNDbは互いに接続される。
【0139】
図10は、電力変換装置60の一構成例を表すものである。電力変換装置60は、非絶縁型電力変換回路61と、駆動回路68とを有している。
【0140】
図11は、非絶縁型電力変換回路61の一構成例を表すものである。非絶縁型電力変換回路61は、キャパシタC3と、トランジスタSW3と、整流回路73と、電流センサ74と、平滑回路75と、電圧センサ76とを有している。
【0141】
キャパシタC3の一端は入力電力端子Vipおよび出力電力端子Vopに導かれた電圧線L31に接続され、他端は入力電力端子Vinおよび出力電力端子Vonに導かれた基準電圧線L32に接続される。トランジスタSW3は、この例では、N型の電界効果トランジスタである。トランジスタSW3は、電圧線L31上に設けられ、トランジスタSW3のゲートにはゲート信号SGが供給され、ドレインはキャパシタC3の一端に接続され、ソースは整流回路73に接続される。整流回路73は、ダイオードD3を有している。ダイオードD3のアノードは基準電圧線L32に接続され、カソードは電圧線L31におけるトランジスタSW3のソースに接続される。電流センサ74は、電力変換装置60の出力電流Ioutを検出するように構成される。電流センサ74は基準電圧線L32上に設けられ、一端はダイオードD3のアノードおよびキャパシタC3の他端に接続され、他端は平滑回路75に接続される。平滑回路75は、インダクタL2と、キャパシタC4とを有している。インダクタL2は電圧線L31上に設けられ、一端はダイオードD1のカソードおよびトランジスタSW3のソースに接続され、他端はキャパシタC4に接続される。キャパシタC4の一端は電圧線L31におけるインダクタL2の他端に接続され、他端は基準電圧線L32における電流センサ74の他端に接続される。電圧センサ76は、電力変換装置60の出力電圧Voutを検出するように構成される。電圧センサ76の一端は電圧線L31におけるインダクタL2の他端に接続され、他端は基準電圧線L32における電流センサ74の他端に接続される。
【0142】
図9に示したように、4つの電力変換装置50A~50Dには、直流電源PDCから供給された直流電力が供給される。よって、電力変換装置50A~50Dの1次側回路の動作電圧は、互いに等しい。
【0143】
図10において、非絶縁型電力変換回路61、補正回路12A,12B、およびMCU20、および駆動回路68は、2次側回路を構成する。補正回路14A,14B、抵抗素子15A,15B、アンプ16A,16B、およびMCU30は、3次側回路を構成する。
【0144】
上記電力変換システム1(
図2)と同様に、電力変換装置60A,60Bと、電力変換装置60C,60Dは、直列接続される。よって、電力変換装置60A,60Bにおける2次側回路の電力端子T22を基準とした動作電圧は、電力変換装置60C,60Dにおける2次側回路の電力端子T22を基準とした動作電圧よりも高い。
【0145】
図9に示したように、4つの電力変換装置60の基準端子GNDbは互いに接続されている。よって、4つの電力変換装置60における3次側回路の基準電圧は、同じ電圧であるので、4つの電力変換装置60における3次側回路の動作電圧は、互いに等しい。
【0146】
駆動回路68(
図10)は、ゲート信号SG1に基づいてゲート信号SGを生成し、このゲート信号SGを用いて、非絶縁型電力変換回路61のトランジスタSW3(
図11)を駆動するように構成される。ゲート信号SG1を生成するMCU20、および、ゲート信号SGが供給されるトランジスタSW3は、ともに2次側回路である。よって、駆動回路68は、ゲート信号SG1に基づいて、MCU20とトランジスタSW3とを電気的に絶縁せずに、トランジスタSW3を駆動するようになっている。
【0147】
この構成により、電力変換装置60では、上記実施の形態に係る電力変換装置10と同様に、電圧センサ76により検出された出力電圧Voutが、電圧指令値CMV2が示す電圧に等しくなるように、負帰還制御が行われるとともに、電流センサ74により検出された出力電流Ioutが、電流指令値CMI2が示す電流に等しくなるように、負帰還制御が行われる。
【0148】
また、電力変換システム2では、上記実施の形態に係る電力変換システム1と同様に、電力変換装置60A~60Dにおける出力電流Ioutのバランスを維持することができ、電力変換装置60A~60Dにおける出力電圧Voutのバランスを維持することができる。
【0149】
[変形例2]
上記実施の形態では、フォトカプラ13Aの電流伝達率の推定値をパラメータPARAとして用いたが、これに限定されるものではなく、フォトカプラ13Aの電流伝達率の推定値に応じた様々なパラメータをパラメータPARAとして用いることができる。具体的には、例えば、CTR補正回路122Aが、検出値CIが入力され補正値CCIが出力される補正関数を用いて補正値CCIを生成する場合には、この補正関数を示すパラメータをパラメータPARAとして用いてもよい。また、例えば、CTR補正回路122Aが、検出値CIが入力され補正値CCIが出力されるルックアップテーブルを用いて補正値CCIを生成する場合には、このルックアップテーブルを示すパラメータをパラメータPARAとして用いてもよい。同様に、フォトカプラ13Bの電流伝達率の推定値をパラメータPARBとして用いたが、これに限定されるものではなく、フォトカプラ13Bの電流伝達率の推定値に応じた様々なパラメータをパラメータPARBとして用いることができる。
【0150】
[変形例3]
上記実施の形態では、電力変換システム1において、
図1,2に示したように、電力変換装置10A,10Bを並列接続し、電力変換装置10C,10Dを並列接続し、電力変換装置10A,10Bと、電力変換装置10C,10Dとを直列接続したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、
図12,13に示す電力変換システム1Aのように、電力変換装置10A,10Cを直列接続し、電力変換装置10B,10Dを直列接続し、電力変換装置10A,10Cと、電力変換装置10B,10Dとを並列接続してもよい。なお、この例では、
図1,2に示した電力変換システム1に対して本変形例を適用したが、
図9に示した電力変換システム2に対して本変形例を適用してもよい。
【0151】
[その他の変形例]
また、これらの変形例を組み合わせてもよい。
【0152】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0153】
例えば、上記実施の形態等では、本技術を、例えば
図4,11に示した回路構成を有する電力変換回路を有する電力変換装置に適用したが、これに限定されるものではなく、本技術を適用可能な様々な回路構成を有する電力変換装置に適用することができる。
【0154】
例えば、上記実施の形態では、信号生成回路100A,100Bの両方を設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、信号生成回路100A,100Bのうちの一方のみを設けてもよい。
【0155】
例えば、上記実施の形態等では、
図1,2に示したように、4つの電力変換装置10を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、1以上の電力変換装置10を設けることができる。複数の電力変換装置10を設けた場合には、その複数の電力変換装置10を直列接続してもよいし、並列接続してもよい。また、
図2に示したように、並列接続された複数の電力変換装置10からなる装置を、直列接続してもよい。同様に、この例では、
図9に示したように、4つの電力変換装置60を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、1以上の電力変換装置60を設けることができる。
【符号の説明】
【0156】
1,1A,2…電力変換システム、11…絶縁型電力変換回路、12A,12B…補正回路、13A,13B…フォトカプラ、14A,14B…補正回路、15A,15B…抵抗素子、16A,16B…アンプ、17…デジタルアイソレータ、18…絶縁型駆動回路、20…MCU、21A,21B…補正演算回路、22A,22B…誤差アンプ、23…スイッチング制御回路、30…MCU、31A,31B…補正演算回路、32A,32B…調節演算回路、33…指令値生成回路、34A,34B…加算回路、41…1次巻線、42…2次巻線、43,73…整流回路、44,74…電流センサ、45,75…平滑回路、46,76…電圧センサ、50,50A~50D…電力変換装置、61…非絶縁型電力変換回路、68…駆動回路、10,10A~10D,60,60A~60D…電力変換装置、100A,100B…信号生成回路、101A,101B…補正部、102A,102B…出力部、121A,121B…AD変換回路、122A,122B…CTR補正回路、123A,123B…DA変換回路、124A,124B…送信回路、125A,125B…受信回路、131A,131B…AD変換回路、132A,132B…受信回路、133A,133B…出力補正回路、134A,134B…DA変換回路、135A,135B…CTR推定回路、136A,136B…送信回路、139A,139B…処理回路、Cdfi,Cdfv…差分値、Ceri,Cerv…誤差値、CCI,CCI2,CCV,CCV2…補正値、CI,CI2,CV,CV2…検出値、CMI,CMI2…電流指令値、CMV,CMV2…電圧指令値、C1~C4…キャパシタ、D1~D3…ダイオード、GNDb…基準端子、Iout…出力電流、L1…インダクタ、L11,L21,L31…電圧線、L12,L22,L32…基準電圧線、N1~N3…電力ノード、OPA1,OPA2…演算増幅器、PARA,PARB…パラメータ、R1~R9…抵抗素子、SCI,SCI2,SCV,SCV2…補正信号、Sdfi,Sdfv…差分信号、SG,SG1…ゲート信号、SI,SI2,SV,SV2…検出信号、SW1~SW3…トランジスタ、T11,T12,T21,T22…電力端子、TR…トランス、Vbi,Vbv…バランス端子、Vip,Vin…入力電力端子、Vop,Von…出力電力端子、Vout…出力電圧。