(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172644
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20231129BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084597
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】山中 香苗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 優貴
(72)【発明者】
【氏名】迫 健太郎
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA09
2E185CB09
(57)【要約】
【課題】少ない電力でユーザの頭部を冷却するマスクを提供する。
【解決手段】マスク10は、ユーザWの顔面W3を部分的に覆うフェイスカバー部12a、およびユーザWの首W7を周回して覆うネックカバー部12bを含む本体12と、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1からネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2に向かって流れる空気を冷却する冷却ユニット30とを有する。冷却ユニット30は、液体を貯えるタンク32と、タンク32内の液体に浸漬されて液体を吸収する吸水部、およびフェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1からネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2に向かって流れる空気を、吸水部を介して吸収した液体の気化熱によって冷却する蒸発部を含む気化フィルタ34、36とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも口および鼻を含むユーザの顔面を部分的に覆うフェイスカバー部、およびユーザの首を周回して覆うネックカバー部を含む本体と、
前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間から前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間に向かって流れる空気を冷却する冷却ユニットと、を有し、
前記冷却ユニットが、
液体を貯えるタンクと、
前記タンク内の液体に浸漬されて液体を吸収する吸水部、および前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間から前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間に向かって流れる空気を、前記吸水部を介して吸収した液体の気化熱によって冷却する蒸発部を含む気化フィルタと、を備える、マスク。
【請求項2】
前記フェイスカバー部に設けられ、空気を吸引して前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間に空気を吹き出すファンを、さらに有する、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記ネックカバー部の前側部分に、前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間に空気を取り込むための空気取り込み口が形成されている、請求項1に記載のマスク。
【請求項4】
前記タンクが、ユーザが前記マスクを装着した状態のときにユーザの顎下に配置されるように、前記本体に設けられている、請求項1に記載のマスク。
【請求項5】
前記気化フィルタが、第1および第2の気化フィルタを含み、
前記タンクが、前記第1の気化フィルタの前記吸水部が挿入される右側挿入口と前記第2の気化フィルタの前記吸水部が挿入される左側挿入口とを備え、
前記第1の気化フィルタの前記蒸発部が、前記タンクの右側挿入口からユーザの右耳に向かって延在するように前記本体に設けられ、
前記第2の気化フィルタの前記蒸発部が、前記タンクの左側挿入口からユーザの左耳に向かって延在するように前記本体に設けられている、請求項4に記載のマスク。
【請求項6】
前記第1および第2の気化フィルタが、着脱可能に前記本体に設けられている、請求項5に記載のマスク。
【請求項7】
前記本体に設けられ、前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間と前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間との連通を維持する筒状部材を、さらに有する、請求項1に記載のマスク。
【請求項8】
前記筒状部材が、前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間から前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間に向かって流れる空気の流れ方向について、前記気化フィルタの下流側に配置されている、請求項7に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ファンを備えるマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの口および鼻を覆うマスクであって、マスクとユーザの顔との間に空気を供給するものが開示されている。このマスクは、空気を吸引し、マスクとユーザの顔面との間の空間に吸引した空気を送風するファンを有する。また、マスクは、ファンからの送風を冷却するペルチェ素子を有する。このようなマスクによれば、マスクを装着したユーザの頭部を冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたマスクの場合、ファンを駆動する電力に加えて、ペルチェ素子を駆動する電力が必要になる。
【0005】
そこで、本開示は、マスクを装着するユーザの頭部を少ない電力で冷却することができるマスクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
少なくとも口および鼻を含むユーザの顔面を部分的に覆うフェイスカバー部、およびユーザの首を周回して覆うネックカバー部を含む本体と、
前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間から前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間に向かって流れる空気を冷却する冷却ユニットと、を有し、
前記冷却ユニットが、
液体を貯えるタンクと、
前記タンク内の液体に浸漬されて液体を吸収する吸水部、および前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間から前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間に向かって流れる空気を、前記吸水部を介して吸収した液体の気化熱によって冷却する蒸発部を含む気化フィルタと、を備える、マスクが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、マスクを装着するユーザの頭部を少ない電力で冷却することができるマスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ユーザに装着された状態の本開示の実施の形態1に係るマスクの側面図
【
図2】ユーザに装着された状態のマスクの正面断面図
【
図5】気化フィルタを保持する一例のホルダを示す斜視図
【
図6】ユーザに装着された状態の本開示の実施の形態2に係るマスクの側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一態様のマスクは、少なくとも口および鼻を含むユーザの顔面を部分的に覆うフェイスカバー部、およびユーザの首を周回して覆うネックカバー部を含む本体と、前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間から前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間に向かって流れる空気を冷却する冷却ユニットと、を有し、前記冷却ユニットが、液体を貯えるタンクと、前記タンク内の液体に浸漬されて液体を吸収する吸水部、および前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間から前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間に向かって流れる空気を、前記吸水部を介して吸収した液体の気化熱によって冷却する蒸発部を含む気化フィルタと、を備える。
【0010】
このような一態様によれば、マスクを装着するユーザの頭部を少ない電力で冷却することができるマスクを提供することができる。
【0011】
例えば、前記マスクが、前記フェイスカバー部に設けられ、空気を吸引して前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間に空気を吹き出すファンを、さらに有してもよい。
【0012】
例えば、前記ネックカバー部の前側部分に、前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間に空気を取り込むための空気取り込み口が形成されてもよい。
【0013】
例えば、前記タンクが、ユーザが前記マスクを装着した状態のときにユーザの顎下に配置されるように、前記本体に設けられてもよい。
【0014】
例えば、前記気化フィルタが、第1および第2の気化フィルタを含み、前記タンクが、前記第1の気化フィルタの前記吸水部が挿入される右側挿入口と前記第2の気化フィルタの前記吸水部が挿入される左側挿入口とを備え、前記第1の気化フィルタの前記蒸発部が、前記タンクの右側挿入口からユーザの右耳に向かって延在するように前記本体に設けられ、前記第2の気化フィルタの前記蒸発部が、前記タンクの左側挿入口からユーザの左耳に向かって延在するように前記本体に設けられてもよい。
【0015】
例えば、前記第1および第2の気化フィルタが、着脱可能に前記本体に設けられてもよい。
【0016】
例えば、前記マスクが、前記本体に設けられ、前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間と前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間との連通を維持する筒状部材を、さらに有してもよい。
【0017】
例えば、前記筒状部材が、前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間から前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間に向かって流れる空気の流れ方向について、前記気化フィルタの下流側に配置されてもよい。
【0018】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、ユーザに装着された状態の本開示の実施の形態1に係るマスクの側面図である。また、
図2は、ユーザに装着された状態のマスクの正面断面図である。そして、
図3は、展開した状態のマスクの背面図である。なお、図中において、白抜き矢印は、空気の流れを示している。
【0020】
図1~
図3に示すように、本実施の形態1に係るマスク10は、少なくとも口W1および鼻W2を含むユーザWの顔面W3を部分的に覆うフェイスカバー部12aと、ユーザWの首W7を周回して覆うネックカバー部12bとを含む本体12を有する。
【0021】
本実施の形態の場合、マスク10の本体12は、例えば布やウレタンフォームなどの変形可能な材料から作成され、マスク10の前面(すなわち外気に接する外側面)を構成するアウターシート14と、メッシュシートから作成され、アウターシート14に貼り合わせられ、マスク10の後面(すなわちユーザWに接する内側面)を構成するライニング16とを含んでいる。
【0022】
マスク10の本体12におけるフェイスカバー部12aは、
図3に示すように展開状態(非装着状態)のとき、概ね逆三角形形状であって、
図1に示すように装着時には、口W1および鼻W2を含むユーザWの顔面W3の下半分、すなわち眼W4より下側の顔面W3の部分を覆う。また、フェイスカバー部12aは、
図2に示すように、ユーザWの顔面W3との間に、空気が通過可能な空間R1を形成する。その空間R1を確保できる形状に、フェイスカバー部12aは形成されている。なお、空間R1を維持するために、フェイスカバー部12a内に樹脂材料から作製されたインナーカップ(図示せず)が内蔵されてもよい。
【0023】
また、フェイスカバー部12aの両端それぞれには、ユーザWの耳W5、W6にかけるゴム紐18A、18Bが設けられている。ゴム紐18AがユーザWの右耳W5にかかり、ゴム紐18BがユーザWの左耳W6にかかる。ゴム紐18A、18Bを耳W5、W6それぞれにかけることにより、フェイスカバー部12aは、ユーザWの口W1および鼻W2を覆った状態でユーザWの顔面W3に装着される。
【0024】
マスク10の本体12におけるネックカバー部12bは、
図3に示すように展開状態(非装着状態)のとき、概ね帯状であって、
図1および
図2に示すように装着時には、ユーザWの首W7を周回して覆う。また、ネックカバー部12bは、その延在方向の中央部分でフェイスカバー部12aに接続している。さらに、首W7に周回した状態を維持するために、ネックカバー部12bの両端それぞれには、互いに着脱可能に係合する面ファスナ20、22が取り付けられている。また、ネックカバー部12bは、ユーザWの首W7の首回りサイズに比べて大きい長さを備える。それにより、
図2に示すように、装着した状態(すなわち面ファスナ20、22が互いに係合した状態)のとき、ネックカバー部12bと首W7との間に、空気が通過可能な空間R2が形成される。
【0025】
さらに、マスク10は、複数のファンユニット24を有する。本実施の形態1の場合、複数のファンユニット24は、装着時にユーザWの顔面W3の両頬それぞれに対向する本体12のフェイスカバー部12aの部分に設けられている。ファンユニット24は、空気を吸引し、その吸引した空気をフェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1に吹き出すように構成されている。
【0026】
本実施の形態1の場合、ファンユニット24は、アウターシート14に設けられたファンケーシング26と、ファンケーシング26内に搭載されたファン28とを備える。ファンケーシング26は、アウターシート14を貫通し、アウターシート14の外側で開口して空気を吸引する吸引口26aと、アウターシート14とライニング16との間で開口して空気を吹き出す吹き出し口26bとを備える。
【0027】
ファンユニット24のファン28が回転すると、空気が吸引口26aを介してファンケーシング26内に吸い込まれる。ファンケーシング26内に吸い込まれた空気は、吹き出し口26bを介してアウターシート14とライニング16との間に吹き出される。そして、空気は、メッシュシートであるライニング16を通過し、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1に流入する。この流入した空気により、空間R1の湿度が低下し、ユーザWの顔面W3の蒸れが抑制される。
【0028】
なお、ファンユニット24は、フェイスカバー部12aに対して着脱可能に構成されてもよい。これにより、マスク10の本体を洗濯することができる。また、ファンユニット24が目立たないように、メッシュカバー(図示せず)がファンユニット24に覆い被さってもよい。さらに、ファンユニット24のファンケーシング26の吸引口26aに、空気を清浄化するクリーンフィルタ(図示せず)を設けてもよい。これにより、ユーザは、清浄化された空気を吸うことができる。
【0029】
図1に示すように、ファンユニット24によってフェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1に取り込まれた空気A1は、ネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2に流入する。空間R2に流入した空気により、空間R2の湿度が低下し、マスク10によるユーザWの首W7の蒸れが抑制される。空間R2に流入した空気は、最終的に、ネックカバー部12bの下端と首W7との間の隙間を介して、外部に流出する。
【0030】
なお、
図1では、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3の左側部分との間の空間R1からネックカバー部12bとユーザWの首7の左側部分との間の空間R2に流れる空気A1が示されている。図示していないが、同様に、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3の右側部分との間の空間R1からネックカバー部12bとユーザWの首7の右側部分との間の空間R2に向かって、空間R1に取り込まれた空気A1が流れる。
【0031】
また、マスク10は、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1からネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2に向かって流れる空気A1を冷却する冷却ユニット30を有する。
【0032】
【0033】
図4に示すように、冷却ユニット30は、常温で気化する水などの液体Fを貯えるタンク32と、液体を気化させる気化フィルタ34、36とを備える。冷却ユニット30は、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1からネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2に向かって流れる空気A1を、液体Fの気化熱によって冷却するように構成されている。
【0034】
タンク32は、例えば、透明な樹脂材料から作製された容器であって、空気の冷却に必要な液体Fを収容する。本実施の形態1の場合、タンク32は、可撓性のチューブであって、両端それぞれに気化フィルタ34、36が挿入される挿入口32a、32bを備える。また、タンク32は、その内部に液体Fを注入するための注入口32cを備える。なお、注入口32cは、着脱可能なキャップ38によって塞がれている。
【0035】
また、本実施の形態1の場合、タンク32は、
図1および
図2に示すように、ユーザWがマスク10を装着した状態のときに顎W8の下に配置されるように、本体12に設けられている。また、一方の挿入口32aがユーザの右側に向かって開口しつつ、他方の挿入口32bがユーザの左側に向かって開口するように、タンク32は本体12に設けられている。具体的には、
図3に示すように、タンク32は、フェイスカバー部12aとネックカバー部12bとの間の接続部近傍に設けられている。
【0036】
気化フィルタ34、36は、液体Fを吸収可能な、また吸収した液体Fが気化可能な材料から作製されている。また、気化フィルタ34、36は、吸収した液体Fが毛細管現象によって内部を移動可能な材料から作製されている。例えば、気化フィルタ34、36は、スポンジなどの多孔質な材料から作製されている。なお、本実施の形態1の場合、気化フィルタ34、36は、実質的に同一である。
【0037】
図4に示すように、本実施の形態1の場合、気化フィルタ34、36それぞれは、帯状であって、タンク32内に挿入口32a、32bを介して挿入される吸水部34a、36aと、タンク32の外部で延在する蒸発部34b、36bとを含んでいる。
【0038】
気化フィルタ34、36それぞれの吸水部34a、36aは、タンク32内の液体Fに浸漬されて液体Fを吸収する。吸収された液体Fは、毛細管現象によって吸水部34a、36aから蒸発部34b、36bに移動する。
【0039】
気化フィルタ34、36それぞれの蒸発部34b、36bは、タンク32の外部で延在する。それにより、蒸発部34b、36bに到達した液体Fは気化する。液体Fは、蒸発部34b、36b周囲の空気から熱を奪い、その熱によって気化する。その結果、蒸発部34b、36b周囲の空気が冷却される。
【0040】
気化フィルタ34、36それぞれの蒸発部34b、36bは、
図1および
図2に示すように、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1からネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2に向かって流れる空気A1の流路上または流路近傍に配置されている。そのため、蒸発部34b、36b内の液体Fは、空気A1から熱を奪って気化する。その結果、空気A1が冷却される。
【0041】
具体的には、本実施の形態1の場合、気化フィルタ34の蒸発部34bは、
図1および
図2に示すように、ユーザWの顎W8の下に配置されたタンク32の右側の挿入口32aから右耳W5に向かって延在するように、本体12に設けられている。また、気化フィルタ36の蒸発部36bは、タンク32の左側の挿入口32bから左耳W6に向かって延在するように、本体12に設けられている。本実施の形態1の場合、
図3に示すように、フェイスカバー部12aとネックカバー部12bとの間の接続部に沿って、気化フィルタ34、36が延在している。
【0042】
なお、本実施の形態1の場合、気化フィルタ34、36は、着脱可能に本体12に設けられている。
【0043】
図5は、気化フィルタを保持する一例のホルダを示す斜視図である。
【0044】
図5に示すように、本実施の形態1の場合、マスク10は、気化フィルタ34、36を着脱可能に保持するホルダ40を有する。ホルダ40は、変形可能な材料、例えばシリコンゴム材料から作製されたフレーム42、44から構成されている。フレーム42は、本体12に固定されている。フレーム44は、着脱可能にフレーム42に固定される。気化フィルタ34、36それぞれの蒸発部34b、36bは、フレーム42、44の間に挟持され、本体12に固定される。これにより、気化フィルタ34、36を交換することができる。
【0045】
なお、気化フィルタ34、36を着脱可能に本体12に設ける構成は、ホルダ40に限らず、他の構成であってもよい。また、タンク32も同様に、着脱可能に本体12に設けてもよい。
【0046】
以上、本実施の形態1によれば、マスクを装着するユーザの頭部を少ない電力で冷却することができるマスクを提供することができる。
【0047】
具体的には、ファン28を駆動する電力のみで、ユーザWの頭部を冷却することができる。すなわち、冷却ユニット30が、液体Fの気化熱を利用して、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1からネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2に向かって流れる空気A1を冷却する。その冷却された空気A1により、ユーザWの首筋、すなわち頸動脈を冷却することができ、その結果、ユーザWの頭部が冷却される。
【0048】
(実施の形態2)
本実施の形態2は、上述の実施の形態1の改良形態であって、特にヘルメットを装着した状態でバイクや自転車などの乗り物に搭乗するユーザに適した形態である。したがって、上述の実施の形態1と異なる点を中心に、本実施の形態2について説明する。なお、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0049】
図6は、ユーザに装着された状態の本開示の実施の形態2に係るマスクの側面図である。また、
図7は、展開した状態のマスクの背面図である。
【0050】
図6には、ユーザWが、本実施の形態2に係るマスク110を装着した状態で、キャップ型のヘルメットHを装着している状態が示されている。この場合、ヘルメットHの装着ベルトH1が、ユーザWの顎W8の下に掛けられる。その結果、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1からネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2に向かって空気A1が流れにくくなる。
【0051】
その対処として、本実施の形態2に係るマスク110は、
図5および
図6に示すように、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1とネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2との連通を維持する筒状部材150、152を有する。
【0052】
筒状部材150、152は、本体12に設けられ、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1とネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2とを連通する内部流路150a、152aを備える。また、筒状部材150、152は、高い剛性を備える、すなわちヘルメットHの装着ベルトH1によって変形しない剛性を備える材料、例えば樹脂材料から作製されている。
【0053】
また、本実施の形態2の場合、筒状部材150、152は、冷却ユニット30の気化フィルタ34、36それぞれに対して、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1からネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2に向かって流れる空気A1の流れ方向の下流側に配置されている。
【0054】
このような筒状部材150、152によれば、ユーザWがヘルメットHを装着していても、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1とネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2との連通が維持される。その結果、冷却ユニット30によって冷却された空気A1が、筒状部材150、152の内部流路150a、152aを介して、確実にネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2に流入することができる。
【0055】
また、本実施の形態2の場合、本体12のネックカバー部12bの前側部分、すなわちユーザWの首W7の前面に対向する部分には、ネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2に空気を取り込むための空気取り込み口12cが形成されている。これにより、マスク110によるユーザWの首W7の蒸れがさらに抑制される。
【0056】
なお、ユーザWが、バイクや自転車などに搭乗している場合、走行風が、空気取り込み口12cを介して、ネックカバー部12bとユーザWの首W7との間の空間R2に流入する。これにより、フェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1内の空気が空間R2に誘引される。また、それにより、外部からフェイスカバー部12aとユーザWの顔面W3との間の空間R1内に向かう空気の流れも発生する。その結果、ファンユニット24のファン28の回転数を低くしても、またはファン28を停止させても、空間R1から空間R2に向かう空気A1の流れが発生し続ける。その結果、さらに少ない電力、すなわち電力を消費することなく、ユーザWの頭部を冷却することができる。
【0057】
以上のような本実施の形態2においても、上述の実施の形態1と同様に、マスクを装着するユーザの頭部を少ない電力で冷却することができるマスクを提供することができる。
【0058】
以上、上述の実施の形態1および2を挙げて本開示を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されない。
【0059】
例えば、実施の形態2と同様に、実施の形態1のマスク10の本体12のネックカバー部12bに、空気取り込み口を設けてもよい。ユーザがバイクなどに搭乗して走行風が空気取り込み口に流入する場合には、ファンユニット24を省略することが可能である。
【0060】
また、上述の実施の形態1の場合、
図2に示すように、冷却ユニット30のタンク32は、ユーザWの顎W8の下に配置されている。また、気化フィルタ34がタンク32から右耳W5に向かって延在し、気化フィルタ36がタンク32から左耳W6に向かって延在している。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、冷却ユニットのタンクが右耳の下方に配置され、気化フィルタがタンクからユーザのフェイスラインに沿って左耳に向かうように延在してもよい。
【0061】
すなわち、本開示の実施の形態に係るマスクは、広義には、少なくとも口および鼻を含むユーザの顔面を部分的に覆うフェイスカバー部、およびユーザの首を周回して覆うネックカバー部を含む本体と、前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間から前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間に向かって流れる空気を冷却する冷却ユニットと、を有し、前記冷却ユニットが、液体を貯えるタンクと、前記タンク内の液体に浸漬されて液体を吸収する吸水部、および前記フェイスカバー部とユーザの顔面との間の空間から前記ネックカバー部とユーザの首との間の空間に向かって流れる空気を、前記吸水部を介して吸収した液体の気化熱によって冷却する蒸発部を含む気化フィルタと、を備える。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示は、ユーザの顔面の一部および首を覆うマスクであれば適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 マスク
12 本体
12a フェイスカバー部
12b ネックカバー部
30 冷却ユニット
32 タンク
34 気化フィルタ
36 気化フィルタ
R1 空間
R2 空間
W ユーザ
W3 顔面
W7 首