(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172645
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】変速制御装置
(51)【国際特許分類】
F16H 61/02 20060101AFI20231129BHJP
B60W 30/18 20120101ALI20231129BHJP
【FI】
F16H61/02
B60W30/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084598
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前原 和郁
【テーマコード(参考)】
3D241
3J552
【Fターム(参考)】
3D241BA51
3D241BB43
3D241CB02
3D241CC11
3D241CD12
3D241CD28
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DA26Z
3D241DB02Z
3D241DB20Z
3J552SB13
3J552TB01
3J552VA68W
3J552VB01W
3J552VD02W
3J552VE08W
(57)【要約】
【課題】ドライバが意図したように変速動作を行うことができる変速制御装置を得る。
【解決手段】本発明の一実施の形態に係る変速制御装置は、自動変速機を有する車両に設けられ、車両が、停止せずに通行可能な料金所を通過したことを検出する検出部と、料金所を通過する際の車両の変速モードが、ドライバにより変速動作が可能な第1の変速モードである場合において、車両が料金所を通過した後に、車両の速度およびアクセル開度のうちの少なくとも一方についての所定の条件を満たした場合に、車両の変速モードを第1の変速モードから、自動変速機により変速動作が可能な第2の変速モードに切り換える変速モード制御部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動変速機を有する車両に設けられ、前記車両が、停止せずに通行可能な料金所を通過したことを検出する検出部と、
前記料金所を通過する際の前記車両の変速モードが、ドライバにより変速動作が可能な第1の変速モードである場合において、前記車両が前記料金所を通過した後に、前記車両の速度およびアクセル開度のうちの少なくとも一方についての所定の条件を満たした場合に、前記車両の変速モードを前記第1の変速モードから、前記自動変速機により変速動作が可能な第2の変速モードに切り換える変速モード制御部と
を備えた変速制御装置。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記車両の速度が所定速度以上であることを含む
請求項1に記載の変速制御装置。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記車両の速度が所定速度以上である期間の長さが所定時間以上であることを含む
請求項2に記載の変速制御装置。
【請求項4】
前記所定の条件は、前記車両が前記料金所を通過した後に、前記アクセル開度が第1のしきい値以上になった期間があることを含む
請求項1に記載の変速制御装置。
【請求項5】
前記所定の条件は、前記アクセル開度が第1のしきい値以上になった後に、第2のしきい値以下になったことを含む
請求項4に記載の変速制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の変速制御を行う変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機を備えた車両では、様々な条件により変速比が制御される。例えば、特許文献1には、車両がETC(Electronic Toll Collection)システムにおける料金所を通過する際に、通常よりも低速側の変速比を選択する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動変速機を備えた車両では、料金所を通過する場合において、ドライバが意図したように変速動作を行うことができることが望まれる。
【0005】
ドライバが意図したように変速動作を行うことができる変速制御装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態に係る変速制御装置は、検出部と、変速モード制御部とを備えている。検出部は、自動変速機を有する車両に設けられ、車両が、停止せずに通行可能な料金所を通過したことを検出するものである。変速モード制御部は、料金所を通過する際の車両の変速モードが、ドライバにより変速動作が可能な第1の変速モードである場合において、車両が料金所を通過した後に、車両の速度およびアクセル開度のうちの少なくとも一方についての所定の条件を満たした場合に、車両の変速モードを第1の変速モードから、自動変速機により変速動作が可能な第2の変速モードに切り換えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施の形態に係る変速制御装置によれば、ドライバが意図したように変速動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る変速制御装置を備えた車両の一構成例を表すブロック図である。
【
図2】
図1に示した変速制御装置の一動作例を表すフローチャートである。
【
図3】比較例に係る変速制御装置の一動作例を表すフローチャートである。
【
図4】変形例に係る変速制御装置の一動作例を表すフローチャートである。
【
図5】他の変形例に係る変速制御装置の一動作例を表すフローチャートである。
【
図6】他の変形例に係る変速制御装置を備えた車両の一構成例を表すブロック図である。
【
図7】他の変形例に係る変速制御装置を備えた車両の一構成例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る変速制御装置を備えた車両9の一構成例を表すものである。車両9は、自動変速機を有する車両であり、運転操作部10と、ナビゲーション部21と、走行制御部24と、走行機構部26と、ETC車載器31とを備えている。
【0011】
運転操作部10は、ドライバによる運転操作を受け付けるように構成される。運転操作部10は、ステアリングホイール11と、アクセルペダル12と、ブレーキペダル13と、変速レバー14と、パドル15とを有している。
【0012】
ステアリングホイール11は、ドライバによる操舵操作を受け付けるように構成される。アクセルペダル12は、ドライバによる加速操作を受け付けるように構成される。ブレーキペダル13は、ドライバによる制動操作を受け付けるように構成される。
【0013】
変速レバー14は、ドライバによる変速操作を受け付けるように構成される。ドライバは、変速レバー14を操作することにより、例えば、パーキングレンジ、ニュートラルレンジ、ドライブレンジ、リバースレンジなどの複数のレンジのうちの1つに切り換える。これにより、車両9の自動変速機27(後述)は、選択されたレンジに応じた変速動作を行うようになっている。
【0014】
パドル15は、ドライバによる変速操作を受け付けるように構成される。ドライバは、パドル15を操作することにより、車両9の自動変速機27(後述)における変速比を変更する。車両9の自動変速機27は、ドライバによるパドル操作に応じた変速比で変速動作を行うようになっている。
【0015】
ナビゲーション部21は、車両9が走行すべき目的地までのルート(予定走行ルート)を決定するとともに、運転者に情報を提供することにより、決定したルートに沿って車両9を誘導するように構成される。ナビゲーション部21は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部22と、ナビゲーション処理部23とを有している。GNSS受信部22は、GPS(Global Positioning System)などのGNSSを用いて、地上での車両9の位置を取得するように構成される。ナビゲーション処理部23は、道路地図についての情報を含む地図情報データベースを用いて、車両9の予定走行ルートを決定する。ナビゲーション処理部23は、例えば、地図情報データベースを記憶する記憶部を有し、記憶部に記憶された地図情報データベースを用いて予定走行ルートを決定してもよいし、例えば地図情報データベースが記憶されたネットワークサーバと通信を行う通信部を有し、このネットワークサーバから取得した情報に基づいて予定走行ルートを決定してもよい。ナビゲーション部21は、例えば、表示パネル、タッチパネル、各種ボタンなどのユーザインタフェースを有している。これにより、ナビゲーション部21は、例えば、ドライバがこのユーザインタフェースを操作することにより入力した目的地についての情報に基づいて目的地までの予定走行ルートを決定し、決定したルートについての情報を、このユーザインタフェースを用いて運転者に提供する。
【0016】
また、ナビゲーション部21は、車両9の前方にETCシステムの料金所があることを検出した場合に、その旨を走行制御部24に通知する機能を有する。また、ナビゲーション部21は、車両9がETCシステムの料金所を通過した際に、その旨を走行制御部24に通知する機能をも有している。
【0017】
走行制御部24は、運転操作部10が受け付けたドライバの運転操作に基づいて、走行機構部26の動作を制御することにより、車両9の走行を制御するように構成される。走行制御部24は、例えば、1または複数のECU(Electronic Control Unit)を用いて構成される。
【0018】
走行制御部24は、変速モード制御部25を有している。変速モード制御部25は、車両9の自動変速機27(後述)の変速モードを設定するように構成される。変速モード制御部25が設定可能な複数の変速モードは、例えば、変速モードMDと、変速モードMMとを含む。変速モードMDは、ドライバが変速レバー14をドライブレンジに切り換えた場合に設定される変速モードであり、例えば、車両9の速度やエンジンの回転速度に応じて、変速比を自動的に切り換えるモードである。変速モードMMは、ドライバがパドル15を操作した場合に一時的に設定される変速モードであり、ドライバによるパドル操作に応じて変速比を切り換えるモードである。変速モード制御部25は、ナビゲーション部21からの通知に基づいて、変速モードを制御することができるようになっている。ナビゲーション部21および変速モード制御部25は、変速制御装置1を構成する。
【0019】
走行機構部26は、例えばエンジン、変速機構、操舵機構、制動機構、車輪などを備え、走行制御部24からの指示に基づいて動作するように構成される。車両9は、この走行機構部26が動作することにより、運転操作部10が受け付けたドライバの運転操作に応じて走行するようになっている。
【0020】
走行機構部26は、自動変速機27を有している。自動変速機27は、変速モード制御部25により設定された変速モードに基づいて変速動作を行うように構成される。
【0021】
ETC車載器31は、ETCシステムと通信を行うことにより、課金処理を行うように構成される。ETC車載器31は、通信部32と、ETC処理部33とを有している。通信部32は、ETCシステムと通信を行うように構成される。ETC処理部33は、通信部32の通信結果に基づいて、課金処理を行うように構成される。
【0022】
車両9では、例えば、変速レバー14がドライブレンジに設定されている場合には、変速モード制御部25は、変速モードを変速モードMDに設定する。これにより、自動変速機27は、車両9の速度やエンジンの回転速度に応じて、変速比を自動的に切り換えるように変速動作を行う。この場合において、例えば、ドライバがパドル15を操作した場合には、変速モード制御部25は、変速モードを、変速モードMDから変速モードMMに切り換える。これにより、自動変速機27は、ドライバによるパドル操作に応じた変速比で変速動作を行う。そして、変速モード制御部25は、ドライバがパドル15を操作したタイミングから所定の長さの時間が経過した後に、変速モードを変速モードMMから変速モードMDに戻す。これにより、自動変速機27は、車両9の速度やエンジンの回転速度に応じて、変速比を自動的に切り換えるように変速動作を行う。このように、ドライバがパドル15を操作すると、変速モードは、一時的に変速モードMMになり、自動変速機27は、ドライバによるパドル操作に応じた変速比で変速動作を行うので、車両9は、ドライバが意図したように例えば加速し、あるいは減速することができる。この変速モードMMは、テンポラリマニュアルモードとも呼ばれる。
【0023】
例えば、車両9が、ETCシステムにおける料金所に向かう場合には、ドライバは、パドル15を操作することにより変速比を下げる場合があり得る。このパドル操作により、変速モード制御部25は、変速モードを、変速モードMDから変速モードMMに切り換える。これにより、エンジンブレーキが動作し、車両9の速度を効果的に下げることができる。その後、例えば、ナビゲーション部21が、車両9が料金所を通過したことを検出した後に、変速モード制御部25は、車両9の速度が、所定の速度に到達するまで、変速モードを変速モードMMに維持する。これにより、ドライバは、アクセルペダル12を操作するとともに、パドル15を操作することにより変速比を上げることができる。その結果、車両9は、ドライバが意図したように加速することができるようになっている。
【0024】
ここで、ナビゲーション部21は、本開示における「検出部」の一具体例に対応する。車両9は、本開示における「車両」の一具体例に対応する。自動変速機27は、本開示における「自動変速機」の一具体例に対応する。変速モード制御部25は、本開示における「変速モード制御部」の一具体例に対応する。変速モードMMは、本開示における「第1の変速モード」の一具体例に対応する。変速モードMDは、本開示における「第2の変速モード」の一具体例に対応する。
【0025】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の変速制御装置1の動作および作用について説明する。
【0026】
(全体動作概要)
まず、
図1を参照して、車両9の動作を説明する。運転操作部10は、ドライバによる運転操作を受け付ける。ナビゲーション部21は、車両9が走行すべき目的地までのルート(予定走行ルート)を決定するとともに、運転者に情報を提供することにより、決定したルートに沿って車両9を誘導する。また、ナビゲーション部21は、車両9がETCシステムの料金所を通過した際に、その旨を走行制御部24に通知する。走行制御部24は、運転操作部10が受け付けたドライバの運転操作に基づいて、走行機構部26の動作を制御する。走行制御部24の変速モード制御部25は、車両9の自動変速機27の変速モードを設定する。走行機構部26は、走行制御部24からの指示に基づいて動作する。車両9は、この走行機構部26が動作することにより、運転操作部10が受け付けたドライバの運転操作に応じて走行する。
【0027】
(詳細動作)
以下に、変速制御装置1における変速制御動作について、詳細に説明する。
【0028】
図2は、変速制御装置1の一動作例を表すものである。この例では、車両9の変速レバー14は、ドライブレンジに設定されている。
【0029】
まず、変速モード制御部25は、ナビゲーション部21からの通知に基づいて、車両9の前方に、ETCシステムの料金所があるかどうかを確認する(ステップS101)。車両9の前方に料金所が無い場合(ステップS101において“N”)には、車両9の前方の料金所が検出されるまで、このステップS101を繰り返す。
【0030】
車両9の前方に料金所がある場合(ステップS101において“Y”)には、変速モード制御部25は、パドル15による変速比を下げる操作を受け付けたかどうかを確認する(ステップS102)。この操作を受け付けていない場合(ステップS102において“N”)には、この操作を受け付けるまで、このステップS102の処理を繰り返す。
【0031】
ステップS102において、パドル15による変速比を下げる操作を受け付けた場合(ステップS102において“Y”)には、変速モード制御部25は、変速モードを変速モードMMに切り換える(ステップS103)。これにより、自動変速機27は、ドライバによるパドル操作に応じた変速比で変速動作を行う。この例では、パドル15による変速比を下げる操作を受け付けているので、エンジンブレーキが動作し、車両9は減速する。そして、車両9は、料金所に近づいていく。
【0032】
次に、変速モード制御部25は、ステップS102において変速比を下げる操作を受け付けてから所定の長さの時間が経過したかどうかを確認する(ステップS104)。所定の長さの時間が経過した場合(ステップS104において“Y”)には、処理はステップS107に進む。
【0033】
ステップS104において、まだ所定の長さの時間が経過していない場合(ステップS104において“N”)には、変速モード制御部25は、ナビゲーション部21からの通知に基づいて、車両9が料金所を通過したかどうかを確認する(ステップS105)。まだ車両9が料金所を通過していない場合(ステップS105において“N”)には、ステップS103の処理に戻る。
【0034】
車両9が料金所を通過した場合(ステップS105において“Y”)には、変速モード制御部25は、車両9の速度が所定の速度以上になったかどうかを確認する(ステップS106)。すなわち、車両9が料金所を通過すると、ドライバは、アクセルペダル12を踏み込むことにより加速操作を行う。走行制御部24は、このドライバの加速操作に基づいて、車両9を加速させる。変速モード制御部25は、車両9の速度が所定の速度(例えば時速60km)以上になったかどうかを確認する。車両9の速度が所定の速度に満たない場合(ステップS106において“N”)には、所定の速度以上になるまで、このステップS106の処理を繰り返す。
【0035】
車両9の速度が所定の速度以上になった場合(ステップS106において“Y”)には、変速モード制御部25は、変速モードを変速モードMDに戻す(ステップS107)。これにより、自動変速機27は、車両9の速度やエンジンの回転速度に応じて、変速比を自動的に切り換えるように変速動作を行う。
【0036】
以上で、このフローは終了する。
【0037】
このように、変速制御装置1では、自動変速機27を有する車両9に設けられ、車両9が、停止せずに通行可能な料金所を通過したことを検出するナビゲーション部21と、料金所を通過する際の車両9の変速モードが、ドライバにより変速動作が可能な第1の変速モード(変速モードMM)である場合において、車両9が料金所を通過した後に、車両9の速度についての所定の条件を満たした場合に、車両9の変速モードを第1の変速モード(変速モードMM)から、自動変速機27により変速動作が可能な第2の変速モード(変速モードMD)に切り換える変速モード制御部25とを設けるようにした。これにより、変速制御装置1では、ドライバが意図したように変速動作を行うことができる。すなわち、例えば、
図3に示したように、ステップS102において変速比を下げる操作を受け付けてから所定の長さの時間が経過した場合にのみ変速モードを変速モードMDに戻すように構成した場合には、変速制御装置は、例えば、車両9が料金所を通過した直後において、変速モードを変速モードMDに戻すことがあり得る。この場合には、自動変速機27は、車両9の速度やエンジンの回転速度に応じて、変速比を自動的に切り換えるので、車両9は、ドライバが意図するように加速できない可能性がある。一方、変速制御装置1では、車両9が料金所を通過した後に、車両9の速度についての所定の条件を満たした場合に、変速モード制御部25は、車両9の変速モードを変速モードMMから、自動変速機27により変速動作が可能な変速モードMDに切り換える。これにより、加速時は、変速モードを変速モードMMに維持することができるので、自動変速機27は、ドライバによるパドル操作に応じた変速比で変速動作を行うことができる。その結果、車両9は、ドライバが意図したように加速することができる。
【0038】
また、変速制御装置1では、所定の条件は、車両9の速度が所定速度以上であることを含むようにした。これにより、変速制御装置1では、車両9が十分に加速されるまで、変速モードを変速モードMMに維持することができるので、車両9が十分に加速されるまで、自動変速機27は、ドライバによるパドル操作に応じた変速比で変速動作を行うことができる。その結果、変速制御装置1では、ドライバが意図したように変速動作を行うことができるので、車両9は、ドライバが意図したように加速することができる。
【0039】
[効果]
以上のように本実施の形態では、自動変速機を有する車両に設けられ、車両が、停止せずに通行可能な料金所を通過したことを検出するナビゲーション部と、料金所を通過する際の車両の変速モードが、ドライバにより変速動作が可能な第1の変速モードである場合において、車両が料金所を通過した後に、車両の速度についての所定の条件を満たした場合に、車両の変速モードを第1の変速モードから、自動変速機により変速動作が可能な第2の変速モードに切り換える変速モード制御部とを設けるようにした。これにより、ドライバが意図したように変速動作を行うことができる。
【0040】
本実施の形態では、所定の条件は、車両の速度が所定速度以上であることを含むようにしたので、ドライバが意図したように変速動作を行うことができる。
【0041】
[変形例1]
上記実施の形態では、ステップS106において、車両9の速度が所定の速度以上になった場合(ステップS106において“Y”)に、変速モードを変速モードMDに戻したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、
図4に示すように、車両9の速度が所定の速度以上になった後、所定の時間が経過してから、変速モードを変速モードMDに戻してもよい。
【0042】
この例では、変速モード制御部25は、車両9の速度が所定の速度以上である期間は所定時間以上継続しているかどうかを確認する(ステップS116)。まだ所定時間以上継続していない場合(ステップS116において“N”)には、所定時間以上継続するまで、ステップS116の処理を繰り返す。そして、所定時間以上継続した場合(ステップS116において“Y”)に、変速モード制御部25は、変速モードを変速モードMDに戻す。
【0043】
この変速制御装置1では、所定の条件は、車両9の速度が所定速度以上である期間の長さが所定時間以上であることを含む。この場合には、車両9は十分に加速されているので、変速モード制御部25は、変速モードを変速モードMDに戻す。加速時は、変速モードは変速モードMMに維持される。よって、自動変速機27は、加速時において、ドライバによるパドル操作に応じた変速比で変速動作を行うことができる。その結果、変速制御装置1では、ドライバが意図したように変速動作を行うことができる。
【0044】
[変形例2]
上記実施の形態では、車両9が料金所を通過した後に、ステップS106において、車両9の速度についての条件を満たした場合に、変速モードを変速モードMDに戻したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、
図5に示すように、車両9が料金所を通過した後に、アクセル開度についての条件を満たした場合に、変速モードを変速モードMDに戻してもよい。
【0045】
この例では、変速モード制御部25は、車両9が料金所を通過した後に、車両9のアクセル開度がしきい値A以上になったかどうかを確認する(ステップS125)。すなわち、車両9が料金所を通過すると、ドライバは、アクセルペダル12を踏み込むことにより加速操作を行う。走行制御部24は、このドライバの加速操作に基づいて、エンジンのアクセル開度を大きくすることにより、車両9を加速させる。変速モード制御部25は、車両9のアクセル開度が、しきい値A(例えば50%)以上になったかどうかを確認する。アクセル開度がしきい値Aに満たない場合(ステップS125において“N”)には、しきい値A以上になるまで、このステップS125の処理を繰り返す。
【0046】
アクセル開度がしきい値A以上になった場合(ステップS125において“Y”)には、変速モード制御部25は、車両9のアクセル開度がしきい値B以下にまで低下したかどうかを確認する(ステップS126)。すなわち、ドライバは、車両9が十分に加速すると、アクセルペダル12の踏み込み量を減らす。走行制御部24は、このドライバの操作に基づいて、エンジンのアクセル開度を小さくする。変速モード制御部25は、車両9のアクセル開度が、しきい値B(例えば20%)以下になったかどうかを確認する。アクセル開度がしきい値Bより大きい場合(ステップS126において“Y”)には、しきい値B以下になるまで、このステップS126の処理を繰り返す。
【0047】
そして、ステップS126において、アクセル開度がしきい値B以下になった場合(ステップS126において“Y”)には、変速モード制御部25は、変速モードを変速モードMDに戻す(ステップS107)。
【0048】
この変速制御装置1では、所定の条件は、車両9が料金所を通過した後に、アクセル開度がしきい値A(例えば50%)以上になった期間があることを含む。この場合には、車両9はある程度の速度にまで加速されていることが推察される。特に、所定の条件が、アクセル開度がしきい値A(例えば50%)以上になった後に、しきい値B(例えば20%)以下になったことを含む場合には、車両9は十分に加速されていることが推察される。このような条件を満たす場合に、変速モード制御部25は、変速モードを変速モードMDに戻す。加速時は、変速モードは変速モードMMに維持される。よって、自動変速機27は、加速時において、ドライバによるパドル操作に応じた変速比で変速動作を行うことができる。その結果、変速制御装置1では、ドライバが意図したように変速動作を行うことができる。
【0049】
[変形例3]
上記実施の形態では、ナビゲーション部21が、車両9の前方のETCシステムの料金所を検出し、車両9が料金所を通過したことを検出したが、これに限定されるものではなく、他のユニットが、車両9の前方のETCシステムの料金所を検出し、車両9が料金所を通過したことを検出してもよい。以下に、いくつか例を挙げて詳細に説明する。
【0050】
図6は、本変形例に係る車両9Aの一構成例を表すものである。車両9Aは、ETC車載器31Aを備えている。ETC車載器31Aは、通信部32と、ETC処理部33とを有している。ETC車載器31Aは、例えば、車両9が料金所を通過した際に、その旨を走行制御部24に通知する。ETC車載器31Aおよび変速モード制御部25は、変速制御装置1Aを構成する。ここで、ETC車載器31Aは、本開示における「検出部」の一具体例に対応する。
【0051】
図7は、本変形例に係る他の車両9Bの一構成例を表すものである。車両9Bは、撮像部41Bと、認識処理部42Bとを備えている。撮像部41Bは、車両9Bの前方を撮像するように構成され、例えば、イメージセンサやレンズを含んで構成される。認識処理部42Bは、撮像部41Bにより生成された撮像画像に基づいて、車両9Bの前方の被写体を認識するように構成される。認識処理部42Bは、例えば、車両9の前方にETCシステムの料金所があることを検出した場合に、その旨を走行制御部24に通知する。また、認識処理部42Bは、車両9がETCシステムの料金所を通過した際に、その旨を走行制御部24に通知する。撮像部41B、認識処理部42B、および変速モード制御部25は、変速制御装置1Bを構成する。ここで、撮像部41Bおよび認識処理部42Bは、本開示における「検出部」の一具体例に対応する。
【0052】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0053】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0054】
例えば、上記実施の形態では、車両9の速度についての条件を満たした場合に、変速モードを変速モードMDに戻したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、車両9の速度についての条件、およびアクセル開度についての条件のうちの少なくとも一方を満たした場合に、変速モードを変速モードMDに戻してもよい。車両9の速度についての条件は、例えば、
図2に示したように、車両9の速度が所定の速度以上であることを含む。アクセル開度についての条件は、例えば、
図5に示したように、アクセル開度がしきい値A以上になった後に、しきい値B以下にまで低下したことを含む。
【符号の説明】
【0055】
1,1A,1B…変速制御装置、9,9A,9B…車両、10…運転操作部、11…ステアリングホイール、12…アクセルペダル、13…ブレーキペダル、14…変速レバー、15…パドル、21…ナビゲーション部、22…GNSS受信部、23…ナビゲーション処理部、24…走行制御部、25…変速モード制御部、26…走行機構部、27…自動変速機、31,31A…ETC車載器、32…通信部、33…ETC処理部、41B…撮像部、42B…認識処理部、A,B…しきい値、MD,MM…変速モード。