(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172649
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/08 20210101AFI20231129BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20231129BHJP
H04N 23/51 20230101ALI20231129BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20231129BHJP
G03B 17/55 20210101ALI20231129BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20231129BHJP
【FI】
G03B17/08
H04N5/225 430
H04N5/225 200
G03B17/02
G03B17/55
G03B30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084603
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】大野 和幸
【テーマコード(参考)】
2H100
2H101
2H104
5C122
【Fターム(参考)】
2H100EE05
2H101CC01
2H101CC91
2H104CC00
5C122EA02
5C122GE01
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】撮像不良を抑止する撮像装置の提供。
【解決手段】撮像装置1は、外面100及び内面101の間を開口部104が貫通するケーシング10と、開口部104を透光可能に覆蓋し、外部空間3の外気に晒される透光部材20と、内部空間102に収容され、透光部材20を通して外部空間3を光学撮像するカメラユニット30とを、備える。カメラユニット30は、外部空間3に対して撮像処理をする撮像回路部33と、撮像回路部33が露出する露出空間313を内部空間102とは隔てて画成し、露出空間313の上部を内部空間102と連通させるアッパ連通口部316と共に、露出空間313の下部を内部空間102と連通させるロア連通口部318を形成し、アッパ連通口部316における内部空間102との連通面積がロア連通口部318における内部空間102との連通面積よりも絞られるカメラハウジング31とを、有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空間(3)の外気に晒される外面(100)に対して内面(101)が内部空間(102)を閉塞し、それら外面及び内面の間を開口部(104)が貫通するケーシング(10)と、
前記開口部を透光可能に覆蓋し、前記外部空間の外気に晒される透光部材(20)と、
前記内部空間に収容され、前記透光部材を通して前記外部空間を光学撮像するカメラユニット(30,2030)とを、備える撮像装置であって、
前記カメラユニットは、
前記外部空間に対して撮像処理をする撮像回路部(33)と、
前記撮像回路部が露出する露出空間(313)を前記内部空間とは隔てて画成し、前記露出空間の上部を前記内部空間と連通させるアッパ連通口部(316,2316)と共に、前記露出空間の下部を前記内部空間と連通させるロア連通口部(318,2318)を形成し、前記アッパ連通口部における前記内部空間との連通面積が前記ロア連通口部における前記内部空間との連通面積よりも絞られるカメラハウジング(31,2031)とを、有する撮像装置。
【請求項2】
前記ケーシングは、前記撮像回路部の固定される前記カメラハウジングを保持し、
前記カメラユニットにおいて前記撮像回路部から前記カメラハウジングを経由した前記ケーシングへの熱伝導経路(R1)に、前記撮像回路部から前記露出空間の空気への熱伝導よりも熱伝導率の低い低伝熱部(315)が、設けられる請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記カメラユニットは、
前記内部空間のうち一部に充填されたポッティング材により形成され、前記撮像回路部の固定される前記カメラハウジングを前記ケーシングに保持させるポッティング部(35)を、さらに有し、
前記カメラユニットにおいて前記撮像回路部から前記カメラハウジング及び前記ポッティング部を経由した前記ケーシングへの前記熱伝導経路上において、前記低伝熱部が前記ポッティング部により構成される請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記露出空間の空間容積(V2)は、前記内部空間のうち前記カメラユニット外における空間容積(V1)よりも小さい請求項1~3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記カメラユニットは、
前記透光部材を通して前記外部空間から受光した光像を前記撮像回路部に結像させる受光レンズ系(32)を、さらに有し、
前記受光レンズ系の入射部(321b)と出射部(321a)とは、それぞれ前記内部空間と前記露出空間とに露出する請求項1~3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記ロア連通口部(318)は、前記露出空間及び前記内部空間の間を連通する単一のロア連通孔(319)から、構成され、
前記アッパ連通口部(316)は、前記露出空間及び前記内部空間の間を連通し、前記連通面積としての開口面積が前記ロア連通孔よりも小さい単一のアッパ連通孔(317)から、構成される請求項1~3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記アッパ連通口部(2316)は、前記露出空間及び前記内部空間の間を連通する少なくとも一つのアッパ連通孔(2317)から、構成され、
前記ロア連通口部(2318)は、前記露出空間及び前記内部空間の間を連通し、前記アッパ連通孔よりも多く且つ前記連通面積としての総開口面積が前記アッパ連通孔よりも小さくなるロア連通孔(2319)から、構成される請求項1~3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外部空間を光学撮像する撮像装置に、関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される撮像装置では、ケーシングにおいて外面及び内面の間を貫通する開口部を透光可能に覆蓋する透光部材を通して、ケーシング内部の閉空間に収容されたカメラ等の光学ユニットにより、外部空間が撮像される。この撮像装置では、光学ユニットの画角範囲に対応して防曇シートの設けられた第一領域よりも、当該画角範囲外の第二領域において透光部材が薄く形成されることで、結露による曇りに起因した不良が抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示される撮像装置では、熱伝導率の同じ透光部材において第一領域よりも薄い第二領域が先に結露するに過ぎない。そのため、第二領域側での結露性能には限界、換言すれば第一領域側での防曇性能には限界が、生じてしまう。結露による曇りに起因した撮像不良を根本的に抑止するには、結露の発生自体を抑制する必要がある。
【0005】
本開示の課題は、撮像不良を抑止する撮像装置を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示の一態様は、
外部空間(3)の外気に晒される外面(100)に対して内面(101)が内部空間(102)を閉塞し、それら外面及び内面の間を開口部(104)が貫通するケーシング(10)と、
開口部を透光可能に覆蓋し、外部空間の外気に晒される透光部材(20)と、
内部空間に収容され、透光部材を通して外部空間を光学撮像するカメラユニット(30,2030)とを、備える撮像装置であって、
カメラユニットは、
外部空間に対して撮像処理をする撮像回路部(33)と、
撮像回路部が露出する露出空間(313)を内部空間とは隔てて画成し、露出空間の上部を内部空間と連通させるアッパ連通口部(316,2316)と共に、露出空間の下部を内部空間と連通させるロア連通口部(318,2318)を形成し、アッパ連通口部における内部空間との連通面積がロア連通口部における内部空間との連通面積よりも絞られるカメラハウジング(31,2031)とを、有する。
【0008】
こうした本開示の一態様によるカメラユニットでは、ケーシングの外部空間に対して撮像処理をする撮像回路部が露出するように、露出空間はカメラハウジングによってケーシングの内部空間とは隔てて画成される。そこで第一態様のカメラハウジングは、露出空間の上部を内部空間と連通させるアッパ連通口部を、露出空間の下部を内部空間と連通させるロア連通口部よりも、内部空間との連通面積を絞って形成される。これによれば、アッパ連通口部及びロア連通口部の間に圧力差が生じることで、撮像回路部の熱によって温められた露出空間の空気は、アッパ連通口部から内部空間へ向かって流動し易くなる。故にケーシングの内部空間では、外気によって冷えた透光部材との界面付近に、温められた空気が流動して冷却されたとしても、当該冷却空気がさらにロア連通口部へと向かう自然対流によって、結露を招くような冷却空気の層状には滞留し難くなる。
【0009】
以上の如き本開示の一態様によれば、透光部材における結露の発生自体を抑制し得るので、当該結露に起因する撮像不良を抑止することが可能である。しかも本開示の一態様によると、自然対流によって冷却空気がロア連通口部から露出空間へと流入することで、当該露出空間に露出する撮像回路部を冷却し得るので、撮像回路部の発熱に起因する撮像不良も抑止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第一実施形態の撮像装置を示す断面図である。
【
図2】第一実施形態の撮像装置における空間容積関係を説明するための模式図である。
【
図3】第一実施形態の撮像装置における熱伝導を説明するための模式図である。
【
図4】第一実施形態のアッパ連通口部を示す平面図である。
【
図5】第一実施形態のロア連通口部を示す平面図である。
【
図6】第一実施形態の撮像装置に発生する自然対流を説明するための模式図である。
【
図7】第二実施形態の撮像装置を示す断面図である。
【
図8】第二実施形態のアッパ連通口部を示す平面図である。
【
図9】第二実施形態のロア連通口部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、複数の実施形態を図面に基づき説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことで、重複する説明を省略する場合がある。また、各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。さらに、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
【0012】
(第一実施形態)
図1に示すように、本開示の第一実施形態による撮像装置1は、車両において外部空間3を光学撮像する。撮像装置1は、車両として手動運転、自動運転、及び遠隔運転のうち少なくとも一種類の運転が可能な、例えば自動車等に搭載される。尚、以下の説明では断り書きがない限り、前、後、上、下、左、及び右が示す各方向は、水平面上の車両を基準として定義される。また、水平方向及び鉛直方向は、水平面上の車両における、当該水平面に対しての平行方向及び垂直方向をそれぞれ示す。
【0013】
撮像装置1は、例えば前方部、左右の側方部、後方部、及び上方のルーフ等のうち、車両における少なくとも一箇所に配置される。撮像装置1は、外部空間3のうち車両での配置箇所に応じた撮像領域から受光する、物標の光像に対して撮像処理を遂行する。車両に適用される撮像装置1において代表的な撮像対象となる物標は、例えば歩行者、サイクリスト、人間以外の動物、及び他車両等の移動物体のうち、少なくとも一種類であってもよい。車両に適用される撮像装置1において代表的な撮像対象となる物標は、例えばガードレール、道路標識、道路脇の構造物、及び道路上の落下物等の静止物体のうち、少なくとも一種類であってもよい。
【0014】
撮像装置1は、ケーシング10、透光部材20、及びカメラユニット30を備えている。撮像装置1においては、三軸としてのX軸、Y軸、及びZ軸により三次元直交座標系が、定義されている。撮像装置1において、特にY軸方向は、車両の鉛直方向に沿って規定されている。それと共に撮像装置1において、共にY軸方向に直交且つ互いに直交するX軸方向及びZ軸方向は、車両の水平方向に沿って規定されている。
【0015】
ケーシング10は、例えばアルミニウム等といった複数の金属基材を主体に、全体として中空状に形成されている。ケーシング10の外面100は、露出する外部空間3の外気に晒される。ケーシング10の内面101は、内部に囲んだ閉空間として内部空間102を、外部空間3に対して閉塞している。ケーシング10のX軸方向一端においてY軸方向及びZ軸方向に広がる縦壁103には、外面100及び内面101間を貫通する光学開口部104が、設けられている。ケーシング10においてY軸方向及びZ軸方向に広がるX軸方向他端の縦壁105には、外面100及び内面101間を貫通する外部接続開口部106が、設けられている。
【0016】
透光部材20は、例えば合成樹脂又はガラス等といった透光性の基材を主体に、全体として平板状に形成されている。透光部材20は、ケーシング10において光学開口部104を囲む縦壁103に対し、例えば接着剤及びシール材等のうち少なくとも一方を介して、嵌合装着されている。透光部材20は、外部空間3から内部空間102へ透光可能に、光学開口部104を覆蓋している。透光部材20においては、入射面200が外部空間3の外気に晒されると共に、出射面201がケーシング10の内面101と協働して内部空間102を密閉している。
【0017】
カメラユニット30は、ケーシング10の内部空間102から外部空間3へと跨って配置されている。カメラユニット30は、カメラハウジング31、受光レンズ系32、撮像回路部33、コネクタ部34、及びポッティング部35を有している。
【0018】
カメラハウジング31は、例えば合成樹脂又は金属等といった遮光性の複数基材を主体に、ケーシング10よりも体格の小型な中空状に形成されている。カメラハウジング31は、内部空間102に収容された状態で、後述の如くコネクタ部34及びポッティング部35を介してケーシング10により保持されている。カメラハウジング31において透光部材20側となるX軸方向一端には、外面及び内面間を貫通する受光開口部310が、設けられている。カメラハウジング31の軸方向他端においてY軸方向及びZ軸方向に広がるX軸方向他端には、外面及び内面間を貫通する内部接続開口部311が、設けられている。
【0019】
受光レンズ系32は、鏡筒320及び複数の光学部品321を組み合わせて構成されている。鏡筒320は、例えば合成樹脂又は金属等といった遮光性の基材を主体に、ケーシング10よりも体格の小型な円筒状に形成されている。鏡筒320は、カメラハウジング31において受光開口部310を囲む周壁312に対し、例えば接着剤等を介して装着されている。鏡筒320は、外部空間3における物標から透光部材20及び内部空間102を通じて入射する光像をカメラハウジング31内へと導光可能に、受光開口部310を覆蓋している。
【0020】
各光学部品321は、例えば合成樹脂又はガラス等といった透光性の基材を主体に、それぞれ要求仕様の光学形状に形成されている。特に少なくとも一つの光学部品321は、要求仕様のレンズ形状に形成された、レンズ部品である。各光学部品321は、鏡筒320の筒壁に対し、例えば接着剤等を介して嵌合装着されている。各光学部品321は、X軸方向に沿って同軸上に配置された姿勢で、鏡筒320に固定されている。各光学部品321は、外部空間3における物標から透光部材20及び内部空間102を通して受光した光像をカメラハウジング31内において結像可能に、X軸方向に沿った光軸を与えている。
【0021】
こうした受光レンズ系32において透光部材20側となるX軸方向一端の光学部品321は、光像の入射する同レンズ系32の入射部321bを、構成している。また一方、受光レンズ系32においてカメラハウジング31側となるX軸方向他端の別な光学部品321は、光像を出射する同レンズ系32の出射部321aを、構成している。
【0022】
撮像回路部33は、撮像基板330及び複数の回路部品331を組み合わせて構成されている。撮像基板330は、例えばガラスエポキシ基板等のリジッド基板を主体に、全体として平板状に形成されている。撮像基板330は、カメラハウジング31内において開口部310,311間となるX軸方向中間部に配置され、Y軸方向及びZ軸方向に広がる姿勢で同ハウジング31に螺着されている。撮像基板330は、カメラハウジング31内をX軸方向の受光開口部310側と内部接続開口部311側とに仕切る姿勢で、カメラハウジング31に固定されている。
【0023】
各回路部品331は、撮像基板330において受光開口部310側の実装面と内部接続開口部311側の実装面とに分散して、実装されている。撮像基板330において受光開口部310側の実装面に実装される回路部品331の一つは、例えばCCD又はCMOS等の撮像素子331aである。撮像素子331aは、カメラハウジング31内において受光レンズ系32の光軸上に位置合わせされている。撮像素子331aは、外部空間3における物標から透光部材20及び内部空間102を通じて受光レンズ系32により結像される光像を、光学的に撮像する。
【0024】
こうした撮像回路部33は、透光部材20を通した外部空間3に対しての撮像処理として、撮像素子331aによる光像の撮像を制御する。そこで撮像回路部33は、外部空間3に対する撮像処理として、撮像素子331aにより撮像された光像を表す撮像データを、生成する。さらに撮像回路部33は、外部空間3に対する撮像処理としての、撮像信号に基づく画像処理により、同空間3の物標を認識した認識データを生成してもよい。
【0025】
コネクタ部34は、撮像回路部33を撮像データ又は認識データの外部出力先へ接続するための電気コネクタを主体として、構成されている。コネクタ部34は、カメラハウジング31において内部接続開口部311を囲む縦壁に対し、例えば接着剤及びシール材等のうち少なくとも一方を介して、嵌合装着されている。コネクタ部34は、ケーシング10において外部接続開口部106を囲む縦壁105に対し、例えば接着剤及びシール材等のうち少なくとも一方を介して、嵌合装着されている。カメラハウジング31は、こうしたコネクタ部34を介してケーシング10に保持されている。
【0026】
コネクタ部34は、撮像回路部33に対し、例えばFPC等を介して電気的に接続されている。コネクタ部34は、撮像データ又は認識データの外部出力先と通信可能に接続される、例えばワイヤハーネス又はLANケーブル等の電気コネクタと機械的に結合可能且つ電気的に接続可能に、外部空間3へ露出している。
【0027】
ポッティング部35は、例えば合成樹脂等のポッティング材により形成されている。ポッティング部35を構成するポッティング材は、ケーシング10の内部空間102のうち、X軸方向において透光部材20から離間した一部に、充填されている。ポッティング部35は、コネクタ部34の一部が埋設された状態で、ケーシング10及びカメラハウジング31の間に介装されている。カメラハウジング31は、こうしたポッティング部35を介すことによっても、ケーシング10に保持されている。
【0028】
(詳細構造)
次に、第一実施形態の詳細構造を説明する。
【0029】
図1に示すように、カメラハウジング31内においてX軸方向の撮像回路部33と受光レンズ系32との間には、露出空間313がケーシング10の内部空間102とは隔てて画成されている。露出空間313は、カメラハウジング31における周壁312の内面により、X軸方向の光軸まわりにて外周側から囲まれている。露出空間313には、撮像基板330における受光開口部310側の実装面及び撮像素子331aを含む、撮像回路部33の一部が露出している。露出空間313にはさらに、受光レンズ系32におけるカメラハウジング31側の出射部321aも、露出している。
【0030】
ケーシング10の内部空間102には、受光レンズ系32におけるカメラハウジング31側の入射部321bが、露出している。こうした内部空間102のうち、
図2に右上がりの斜め破線ハッチングで示すようにカメラユニット30のカメラハウジング31外においてポッティング部35の充填箇所を除いた実質空間部分の容積となる空間容積V1は、同図に左上がりの斜め破線ハッチングで示す露出空間313の空間容積V2よりも大きい。換言すれば、露出空間313の空間容積V2は、内部空間102の空間容積V1よりも、例えば1/10以下等に小さく設定されている。
【0031】
図3に示すようにカメラユニット30において発熱する撮像回路部33(特に図示の如き撮像素子331a及びその伝熱先の撮像基板330)からは、カメラハウジング31及びポッティング部35を経由したケーシング10への熱伝導経路R1が、構築される。また一方、
図3に示すようにカメラユニット30の撮像回路部33(特に図示の如き撮像素子331a)からは、露出空間313の空気への熱伝導経路R2も構築される。そこでカメラユニット30には、熱伝導経路R2における撮像回路部33から露出空間313の空気への熱伝導よりも熱伝導率の低い低伝熱部315が、熱伝導経路R1上に設けられている。特に本実施形態では、空気よりも熱伝導率の低いポッティング材により形成されたポッティング部35が、熱伝導経路R1上の低伝熱部315を構成している。
【0032】
図1,4に示すようにカメラハウジング31の周壁312のうち、鉛直方向に沿うY軸方向の上側部分312aには、露出空間313の上部をケーシング10の内部空間102に連通させるアッパ連通口部316が、形成されている。特に本実施形態のアッパ連通口部316は、周壁312の上側部分312aをY軸方向に貫通して露出空間313及び内部空間102の間を円筒孔状に連通する、単一のアッパ連通孔317から構成されている。
【0033】
図1,5に示すようにカメラハウジング31の周壁312のうち、鉛直方向に沿うY軸方向の下側部分312bには、露出空間313の下部をケーシング10の内部空間102に連通させるロア連通口部318が、形成されている。特に本実施形態のロア連通口部318は、周壁312の下側部分312bをY軸方向に貫通して露出空間313及び内部空間102の間を円筒孔状に連通する、単一のロア連通孔319から構成されている。
【0034】
図4,5に示すようにアッパ連通孔317の開口径(即ち、内径)φuは、ロア連通孔319の開口径φlよりも小さく設定されている。これにより、アッパ連通口部316における内部空間102との連通面積として、単一アッパ連通孔317でのY軸まわりの開口面積は、ロア連通口部318における内部空間102との連通面積として、単一ロア連通孔319でのY軸まわりの開口面積よりも、例えば3/4以下等に、小さく絞られている。
【0035】
(作用効果)
以上説明した第一実施形態の作用効果を、以下に説明する。
【0036】
第一実施形態によるカメラユニット30では、ケーシング10の外部空間3に対して撮像処理をする撮像回路部33が露出するように、露出空間313はカメラハウジング31によってケーシング10の内部空間102とは隔てて画成される。そこで第一実施形態のカメラハウジング31では、露出空間313の上部を内部空間102と連通させるアッパ連通口部316が、露出空間313の下部を内部空間102と連通させるロア連通口部318よりも、内部空間102との連通面積を絞って形成される。これによれば、ロア連通口部318とそれよりも絞られたアッパ連通口部316との間に圧力差が生じることで、撮像回路部33の熱によって温められた露出空間313の空気は、アッパ連通口部316から内部空間102へ向かって流動し易くなる。故に内部空間102では、
図6の如く外気によって冷えた透光部材20の内面201との界面付近に、温められた空気Awが同図の如く流動して冷却されたとしても、当該冷却空気がさらにロア連通口部318へと向かう自然対流Cnによって、結露を招くような冷却空気の層状には滞留し難くなる。
【0037】
以上の如き第一実施形態によれば、透光部材20における結露の発生自体を抑制し得るので、当該結露に起因する撮像不良を抑止することが可能である。しかも第一実施形態によると、自然対流Cnによって冷却空気がロア連通口部318から露出空間313へと流入することで、当該露出空間313に露出する撮像回路部33を冷却し得るので、撮像回路部33の発熱に起因する撮像不良も抑止することが可能である。
【0038】
第一実施形態において撮像回路部33の固定されるカメラハウジング31は、ケーシング10により保持される。そこで第一実施形態のカメラユニット30によると、撮像回路部33からカメラハウジング31を経由したケーシング10への熱伝導経路R1に、撮像回路部33から露出空間313の空気への熱伝導よりも熱伝導率の低い低伝熱部315が、設けられる。これにより撮像回路部33の熱は、ケーシング10には逃げ難くなる一方、露出空間313の空気には伝導され易くなることで、自然対流Cnが発生し易くなる。故に、透光部材20における結露の発生自体を抑制する効果も、撮像回路部33を冷却する効果も、適確に発揮され得るので、撮像不良の抑止に対する信頼性を確保することが可能となる。
【0039】
第一実施形態のカメラユニット30では、ケーシング10の内部空間102のうち一部に充填されたポッティング材により、撮像回路部33の固定されるカメラハウジング31をケーシング10に保持させるポッティング部35が、形成される。そこで第一実施形態のカメラユニット30によると、撮像回路部33からカメラハウジング31及びポッティング部35を経由したケーシング10への熱伝導経路R1上において、撮像回路部33から露出空間313の空気への熱伝導よりも熱伝導率の低い低伝熱部315が、ポッティング部35により構成される。これにより撮像回路部33の熱は、ケーシング10には確実に逃げ難くなる一方、露出空間313の空気には伝導され易くなることで、自然対流Cnの発生が促進され得る。故に、透光部材20における結露の発生自体を抑制する効果も、撮像回路部33を冷却する効果も、高められ得るので、撮像不良の抑止に対する信頼性を担保することが可能となる。
【0040】
第一実施形態による露出空間313では、ケーシング10の内部空間102のうちカメラユニット30外における空間容積V1よりも、空間容積V2が小さいことで、撮像回路部33の熱による空気の上昇速度が高められ得るので、自然対流Cnが発生し易くなる。故に、透光部材20における結露の発生自体を抑制する効果も、撮像回路部33を冷却する効果も、適確に発揮され得るので、撮像不良の抑止に対する信頼性を確保することが可能となる。
【0041】
第一実施形態のカメラユニット30では、透光部材20を通して外部空間3から受光される光像が、受光レンズ系32によって撮像回路部33に結像される。そこで第一実施形態のカメラユニット30によると、ケーシング10の内部空間102とカメラハウジング31の露出空間313とには、受光レンズ系32の入射部321bと出射部321aとが露出する。これによれば、外部空間3の冷えた外気から透光部材20を通じた熱伝導によって受光レンズ系32が結露する事態をも、自然対流Cnによって抑制することができる。故に、透光部材20の結露及び撮像回路部33の発熱に起因する撮像不良のみならず、受光レンズ系32の結露に起因する撮像不良までを抑止することが、可能となる。
【0042】
第一実施形態のカメラユニット30におけるロア連通口部318は、ケーシング10の内部空間102及びカメラハウジング31の露出空間313の間を連通する単一のロア連通孔319から、構成される。そこで第一実施形態のカメラユニット30におけるアッパ連通口部316は、ロア連通孔319と同様に露出空間313及び内部空間102の間を連通するが、連通面積としての開口面積がロア連通孔319よりも小さい単一のアッパ連通孔317から、構成される。これにより内部空間102では、アッパ連通口部316及びロア連通口部318の間に圧力差を確かに生じさせて、自然対流Cnを発生させることができる。故に、透光部材20における結露の発生自体を抑制する効果も、撮像回路部33を冷却する効果も、適確に発揮され得るので、撮像不良の抑止に対する信頼性を確保することが可能となる。
【0043】
(第二実施形態)
図7~9に示すように第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0044】
第二実施形態のカメラユニット2030においてアッパ連通口部2316は、カメラハウジング2031の周壁2312における上側部分2312aをY軸方向に貫通して露出空間313及び内部空間102の間を円筒孔状に連通する、少なくとも一つ(
図7,8は単一の例)のアッパ連通孔2317から構成されている。また一方で第二実施形態のカメラユニット2030においてロア連通口部2318は、カメラハウジング2031の周壁2312における下側部分2312bをY軸方向に貫通して露出空間313及び内部空間102の間を円筒孔状に連通する複数のロア連通孔2319として、アッパ連通口部2316よりも多数(
図7,9は二つの例)のロア連通孔2319から構成されている。
【0045】
図8,9に示すように少なくとも一つのアッパ連通孔2317の開口径φuと、アッパ連通口部2316よりも多い複数のロア連通孔2319の開口径φlとは、いずれも実質同一径に設定されている。これにより、ロア連通口部2318における内部空間102との連通面積として、全ロア連通孔2319でのY軸まわりの総開口面積(即ち、開口面積の合計値)よりも、アッパ連通口部2316における内部空間102との連通面積として、全アッパ連通孔2317でのY軸まわりの総開口面積は、小さく絞られている。
【0046】
以上説明したように、第二実施形態のカメラユニット2030におけるアッパ連通口部2316は、ケーシング10の内部空間102及びカメラハウジング2031の露出空間313の間を連通する少なくとも一つのアッパ連通孔2317から、構成される。そこで第二実施形態のカメラユニット2030におけるロア連通口部2318は、アッパ連通孔2317と同様に露出空間313及び内部空間102の間を連通するが、アッパ連通孔2317よりも多く且つ連通面積としての総開口面積がアッパ連通孔2317よりも小さくなる複数のロア連通孔2319から、構成される。これにより内部空間102では、ロア連通口部2318とそれよりも絞られたアッパ連通口部2316との間に圧力差を確かに生じさせて、自然対流Cnを発生させることができる。故に、透光部材20における結露の発生自体を抑制する効果も、撮像回路部33を冷却する効果も、適確に発揮され得るので、撮像不良の抑止に対する信頼性を確保することが可能となる。
【0047】
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0048】
第一実施形態の変形例では、アッパ連通孔317の開口面積がロア連通孔319の開口面積よりも小さく絞られる限りにおいて、単一アッパ連通孔317の形状と単一ロア連通孔319の形状とが、円筒孔状以外に形成されていてもよい。第二実施形態の変形例では、アッパ連通孔2317の総開口面積がロア連通孔2319の総開口面積よりも小さく絞られる限りにおいて、少なくとも一つのアッパ連通孔2317の形状と、アッパ連通口部2316よりも多い複数のロア連通孔2319の形状とが、円筒孔状以外に形成されていてもよい。第二実施形態の変形例では、アッパ連通孔2317の総開口面積がロア連通孔2319の総開口面積よりも小さく絞られる限りにおいて、少なくとも一つのアッパ連通孔2317の開口径φuと、アッパ連通口部2316よりも多い数のロア連通孔2319の開口径φlとが、相異なっていてもよい。
【0049】
第一及び第二実施形態の変形例において低伝熱部315は、カメラユニット30,2030において撮像回路部33からカメラハウジング31,2031及びポッティング部35を経由したケーシング10への熱伝導経路R1上において、例えばカメラハウジング31,2031、又は撮像回路部33の螺着部分に介装される断熱部材等により構成されてもよい。第一及び第二実施形態の変形例において低伝熱部315は、カメラユニット30,2030において撮像回路部33からカメラハウジング31,2031及びコネクタ部34を経由したケーシング10への熱伝導経路上において、例えばコネクタ部34、又はシール部材等により構成されてもよい。
【0050】
第一及び第二実施形態の変形例では、露出空間313の空間容積V2が、ケーシング10の内部空間102のうちカメラユニット30,2030外における空間容積V1以上に、設定されていてもよい。第一及び第二実施形態の変形例では、露出空間313に面して光像の入射を受ける受光窓の追加されたカメラハウジング31,2031から、受光レンズ系32が分離されることで、当該受光レンズ系32の出射部321aを露出空間313には露出させない構成が、採用されてもよい。
【0051】
(付言)
本明細書には、以下に列挙する複数の技術的思想と、それらの複数の組み合わせが開示されている。
【0052】
(技術的思想1)
外部空間(3)の外気に晒される外面(100)に対して内面(101)が内部空間(102)を閉塞し、それら外面及び内面の間を開口部(104)が貫通するケーシング(10)と、
開口部を透光可能に覆蓋し、外部空間の外気に晒される透光部材(20)と、
内部空間に収容され、透光部材を通して外部空間を光学撮像するカメラユニット(30,2030)とを、備える撮像装置であって、
カメラユニットは、
外部空間に対して撮像処理をする撮像回路部(33)と、
撮像回路部が露出する露出空間(313)を内部空間とは隔てて画成し、露出空間の上部を内部空間と連通させるアッパ連通口部(316,2316)と共に、露出空間の下部を内部空間と連通させるロア連通口部(318,2318)を形成し、アッパ連通口部における内部空間との連通面積がロア連通口部における内部空間との連通面積よりも絞られるカメラハウジング(31,2031)とを、有する撮像装置。
【0053】
(技術的思想2)
ケーシングは、撮像回路部の固定されるカメラハウジングを保持し、
カメラユニットにおいて撮像回路部からカメラハウジングを経由したケーシングへの熱伝導経路(R1)に、撮像回路部から露出空間の空気への熱伝導よりも熱伝導率の低い低伝熱部(315)が、設けられる技術的思想1に記載の撮像装置。
【0054】
(技術的思想3)
カメラユニットは、
内部空間のうち一部に充填されたポッティング材により形成され、撮像回路部の固定されるカメラハウジングをケーシングに保持させるポッティング部(35)を、さらに有し、
カメラユニットにおいて撮像回路部からカメラハウジング及びポッティング部を経由したケーシングへの熱伝導経路上において、低伝熱部がポッティング部により構成される技術的思想2に記載の撮像装置。
【0055】
(技術的思想4)
露出空間の空間容積(V2)は、内部空間のうちカメラユニット外における空間容積(V1)よりも小さい技術的思想1~3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0056】
(技術的思想5)
カメラユニットは、
透光部材を通して外部空間から受光した光像を撮像回路部に結像させる受光レンズ系(32)を、さらに有し、
受光レンズ系の入射部(321b)と出射部(321a)とは、それぞれ内部空間と露出空間とに露出する技術的思想1~4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0057】
(技術的思想6)
ロア連通口部(318)は、露出空間及び内部空間の間を連通する単一のロア連通孔(319)から、構成され、
アッパ連通口部(316)は、露出空間及び内部空間の間を連通し、連通面積としての開口面積がロア連通孔よりも小さい単一のアッパ連通孔(317)から、構成される技術的思想1~5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0058】
(技術的思想7)
アッパ連通口部(2316)は、露出空間及び内部空間の間を連通する少なくとも一つのアッパ連通孔(2317)から、構成され、
ロア連通口部(2318)は、露出空間及び内部空間の間を連通し、アッパ連通孔よりも多く且つ連通面積としての総開口面積がアッパ連通孔よりも小さくなるロア連通孔(2319)から、構成される技術的思想1~5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0059】
1:撮像装置、3:外部空間、10:ケーシング、20:透光部材、30,2030:カメラユニット、31,2031:カメラハウジング、32:受光レンズ系、33:撮像回路部、35:ポッティング部、100:外面、101:内面、102:内部空間、104:光学開口部、313:露出空間、315:低伝熱部、316,2316:アッパ連通口部、317,2317:アッパ連通孔、318,2318:ロア連通口部、319,2319:ロア連通孔、321a:出射部、321b:入射部、R1,R2:熱伝導経路、V1,V2:空間容積