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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172664
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】車両の開閉体取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20231129BHJP
   B62D 25/04 20060101ALI20231129BHJP
   E05F 1/14 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B60J5/04 K
B62D25/04 A
E05F1/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084624
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏伸
(72)【発明者】
【氏名】門田 豪郎
(72)【発明者】
【氏名】大井 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】有吉 良祐
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203BB54
3D203DA33
(57)【要約】
【課題】開閉体の使い勝手を向上することができる車両の開閉体取り付け構造を提供する。
【解決手段】車両の開閉体取り付け構造は、開口の縁部と隣接するとともに車体に取り付けられるベース部材30と、ベース部材30と隣り合うとともに開閉体に支持される支持部材40とを備えている。また、開閉体取り付け構造は、ベース部材30と支持部材40との間に設けられ、開閉体の開閉方向Aにおいて開閉体を付勢する第1付勢部材70を備えている。第1付勢部材70は、全閉位置ACと全開位置AOとの間の反転位置ATを境に開閉体を付勢する向きが反転するように構成されている。また、第1付勢部材70は、開閉体が反転位置ATよりも全閉位置AC側にあるときには、開閉体を全閉位置ACに向けて付勢する一方、開閉体が反転位置ATよりも全開位置AO側にあるときには、開閉体を全開位置AOに向けて付勢するように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内外を連通する開口を有する車体と、
前記開口を開閉するように構成された開閉体と、
前記開口の縁部と隣接するとともに前記車体に取り付けられるベース部材と、
前記ベース部材と隣り合うとともに前記開閉体に支持される支持部材と、
前記開閉体により前記開口が開閉されるように前記ベース部材と前記支持部材とを連結するヒンジと、
前記ベース部材と前記支持部材との間に設けられ、前記開閉体の開閉方向において前記開閉体を付勢する付勢部材と、を備え、
前記付勢部材は、前記開閉体の開度が最小となる全閉位置と前記開閉体の開度が最大となる全開位置との間の反転位置を境に前記開閉体を付勢する向きが反転するように構成されており、前記開閉体が前記反転位置よりも前記全閉位置側にあるときには、前記開閉体を前記全閉位置に向けて付勢する一方、前記開閉体が前記反転位置よりも前記全開位置側にあるときには、前記開閉体を前記全開位置に向けて付勢するように構成されている、
車両の開閉体取り付け構造。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記開閉体が前記反転位置にあるときに、最も伸びている状態となる引張巻きばねである、
請求項1に記載の車両の開閉体取り付け構造。
【請求項3】
前記開口は、前記車体の側面に設けられた乗降口であり、
前記開閉体は、前記乗降口を開閉するように構成されたサイドドアであり、
前記支持部材は、前記車両の上下方向に延在するとともに前記全閉位置における前記開閉体の前端に設けられている、
請求項1に記載の車両の開閉体取り付け構造。
【請求項4】
前記ヒンジと前記支持部材とを締結する締結部材を備え、
前記付勢部材を第1付勢部材としたとき、
前記ベース部材と前記支持部材との間には、前記支持部材を下方に向けて付勢する第2付勢部材が設けられている、
請求項3に記載の車両の開閉体取り付け構造。
【請求項5】
前記付勢部材が複数設けられている、
請求項1に記載の車両の開閉体取り付け構造。
【請求項6】
前記反転位置は、前記開閉体の開閉方向において前記全開位置寄りに設定されている、
請求項1に記載の車両の開閉体取り付け構造。
【請求項7】
前記開閉体は、外装パネルと、前記外装パネルの内面に取り付けられるパイプフレームと、を有しており、
前記支持部材は、前記パイプフレームに取り付けられている、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の車両の開閉体取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の開閉体取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のドア取り付け構造が記載されている。特許文献1に記載のドア取り付け構造は、車体の側部に形成された開口を開閉するためのドアを同ドアの車両前後方向の前端に設けられるヒンジを介して車体に取り付ける構造である。
【0003】
上記開口内には、車両構造体としてのフレームに支持されたブラケットが設けられている。ブラケットは、上下に延在している。ブラケットには、上下一対のヒンジの基端が取り付けられている。
【0004】
ドアの前端には、上下に延在する端板が取り付けられている。端板には、一対のヒンジの先端が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-71394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のドア取り付け構造においては、ドアが開いている状態において風などの外力が作用すると、使用者の意に反してドアが閉じられることがある。また、ドアを閉じる際には、使用者がドアを全閉位置まで押す必要がある。そのため、使い勝手のよいドア取り付け構造が求められている。
【0007】
なお、こうした課題は、ドア取り付け構造に限定されず、車両の内外を連通する開口を開閉する開閉体の取り付け構造においても同様にして生じるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための車両の開閉体取り付け構造の各態様を記載する。
[態様1]車両の内外を連通する開口を有する車体と、前記開口を開閉するように構成された開閉体と、前記開口の縁部と隣接するとともに前記車体に取り付けられるベース部材と、前記ベース部材と隣り合うとともに前記開閉体に支持される支持部材と、前記開閉体により前記開口が開閉されるように前記ベース部材と前記支持部材とを連結するヒンジと、前記ベース部材と前記支持部材との間に設けられ、前記開閉体の開閉方向において前記開閉体を付勢する付勢部材と、を備え、前記付勢部材は、前記開閉体の開度が最小となる全閉位置と前記開閉体の開度が最大となる全開位置との間の反転位置を境に前記開閉体を付勢する向きが反転するように構成されており、前記開閉体が前記反転位置よりも前記全閉位置側にあるときには、前記開閉体を前記全閉位置に向けて付勢する一方、前記開閉体が前記反転位置よりも前記全開位置側にあるときには、前記開閉体を前記全開位置に向けて付勢するように構成されている、車両の開閉体取り付け構造。
【0009】
上記態様によれば、使用者は、開閉体が反転位置よりも全閉位置側にある状態において開閉体から手を離すと、付勢部材により付勢されることで、開閉体が全閉位置まで移動するとともに全閉位置において保持されるようになる。また、開閉体が反転位置よりも全開位置側にある状態において開閉体から手を離すと、付勢部材により付勢されることで、開閉体が全開位置まで移動するとともに全開位置において保持されるようになる。したがって、開閉体の使い勝手を向上することができる。
【0010】
[態様2]前記付勢部材は、前記開閉体が前記反転位置にあるときに、最も伸びている状態となる引張巻きばねである、[態様1]に記載の車両の開閉体取り付け構造。
上記態様によれば、開閉体が反転位置よりも全閉位置側にあるときには、伸長している引張巻きばねが復元する力によって開閉体が全閉位置に向けて付勢されるようになる。一方、開閉体が反転位置よりも全開位置側にあるときには、伸長している引張巻きばねが復元する力によって開閉体が全開位置に向けて付勢されるようになる。したがって、付勢部材を容易に実現することができる。
【0011】
[態様3]前記開口は、前記車体の側面に設けられた乗降口であり、前記開閉体は、前記乗降口を開閉するように構成されたサイドドアであり、前記支持部材は、前記車両の上下方向に延在するとともに前記全閉位置における前記開閉体の前端に設けられている、[態様1]または[態様2]に記載の車両の開閉体取り付け構造。
【0012】
上記態様によれば、車両の乗降口を開閉するサイドドアを全開位置において保持することができる。
[態様4]前記ヒンジと前記支持部材とを締結する締結部材を備え、前記付勢部材を第1付勢部材としたとき、前記ベース部材と前記支持部材との間には、前記支持部材を下方に向けて付勢する第2付勢部材が設けられている、[態様3]に記載の車両の開閉体取り付け構造。
【0013】
一般に、ヒンジと支持部材とが締結部材を介して締結される構成にあっては、支持部材とヒンジとの間には、上下方向における取付の自由度が設定されている。ただし、こうした取付の自由度によってヒンジに対する支持部材の取付位置が上下方向においてばらつくおそれがある。
【0014】
この点、上記態様によれば、ヒンジと支持部材とが締結部材によって仮締めされている状態において、第2付勢部材によって支持部材が下方に向かって付勢されるようになる。これにより、ヒンジに対する支持部材の取付位置が上下方向においてばらつくことが抑制される。したがって、車体に対するサイドドアの上下方向における位置決めを容易に行うことができる。
【0015】
[態様5]前記付勢部材が複数設けられている、[態様1]から[態様4]のいずれか一つに記載の車両の開閉体取り付け構造。
上記態様によれば、付勢部材からベース部材及び支持部材に対して作用する応力を分散させることができる。したがって、ベース部材及び支持部材に対して応力集中が発生することを抑制できる。
【0016】
[態様6]前記反転位置は、前記開閉体の開閉方向において前記全開位置寄りに設定されている、[態様1]から[態様5]のいずれか一つに記載の車両の開閉体取り付け構造。
【0017】
反転位置が開閉体の開閉方向において全閉位置寄りに設定されていると、使用者が全閉位置寄りの開度で開閉体から手を離すと、使用者の意に反して開閉体が全開位置に向けて移動し始めるといった不都合が生じる。こうした不都合は、反転位置が全閉位置に近いほど生じやすい。
【0018】
この点、上記態様によれば、上述した不都合の発生を抑制できる。
[態様7]前記開閉体は、外装パネルと、前記外装パネルの内面に取り付けられるパイプフレームと、を有しており、前記支持部材は、前記パイプフレームに取り付けられている、[態様1]から[態様6]のいずれか一つに記載の車両の開閉体取り付け構造。
【0019】
上記態様によれば、開閉体の構成を簡素化するとともに開閉体を軽量化することができる。これにより、小さな付勢力の付勢部材を採用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、開閉体の使い勝手を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、一実施形態に係る車両の開閉体取り付け構造を備える車両の斜視図である。
図2図2は、図1の車両のサイドドアを中心とした側面図である。
図3図3は、図1のサイドドアに連結されたヒンジを中心とした斜視図である。
図4図4は、図3のベース部材を示す斜視図である。
図5図5は、図3の支持部材を示す分解斜視図である。
図6図6は、図3の下側のヒンジを中心とした側面図である。
図7図7は、図3の7-7線に沿った断面図であって、第1付勢部材の作用を示す断面図である。
図8図8は、図3の8-8線に沿った断面図であって、第2付勢部材の作用を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1図8を参照して、車両の開閉体取り付け構造を具体化した一実施形態について説明する。
なお、以降において、車両の前後方向を前後方向Lとし、車幅方向を車幅方向Wとし、車両が水平面上に位置しているときの車両の上下方向を上下方向Zとして説明する。
【0023】
また、前後方向Lにおける前側及び後側を、それぞれ単に「前側」及び「後側」とし、上下方向Zにおける上側及び下側を、それぞれ単に「上側」及び「下側」として説明する。
【0024】
図1及び図2に示すように、車体10の側面11には、車両の内外を連通する開口12が設けられている。本実施形態では、開口12は、車体10の側面11に設けられた乗降口である。開口12の前側には、車体10の側面を構成する外側カバー16が隣接して設けられている。開口12の前縁部分は、外側カバー16の後縁部分によって構成されている。
【0025】
車体10には、開口12を開閉するように構成された開閉体13が設けられている。本実施形態の開閉体13は、サイドドアである。
次に、開閉体13の取り付け構造について詳細に説明する。
【0026】
図2に示すように、車幅方向Wにおいて外側カバー16の内側には、上下方向Zに延在するとともに車体10を構成するフレーム17が設けられている。
<ベース部材30>
図2に示すように、車幅方向Wにおいて外側カバー16の内側には、ベース部材30が設けられている。ベース部材30は、開口12の前側の縁部12aと隣接するとともにフレーム17に取り付けられている。
【0027】
図3及び図4に示すように、ベース部材30は、側壁31、上壁32、及び下壁33を有している。
側壁31は、車幅方向Wにおいてフレーム17の外側に位置するとともに上下方向Zに延在している。
【0028】
上壁32は、側壁31の上端31aにおいて屈曲して車幅方向Wの内側に向かって延在している。上壁32には、フレーム17を収容する凹部32aが設けられている。
下壁33は、側壁31の下端31bにおいて屈曲して車幅方向Wの内側に向かって延在している。下壁33には、フレーム17を収容する凹部33aが設けられている。
【0029】
凹部32a,33aの縁部がフレーム17の外周面に溶接されることで、ベース部材30がフレーム17に固定されている。
上下方向Zにおける側壁31の中央部分には、複数の貫通孔34が設けられている。
【0030】
貫通孔34は、前後方向L及び上下方向Zの双方において2つずつ並んで配置されている。
下壁33の前縁部には、下方に向かって突出する締結部35が設けられている。締結部35には、貫通孔36が設けられている。
【0031】
ベース部材30は、金属板製である。
<開閉体13>
図2に示すように、開閉体13は、外装パネル14と、外装パネル14の内面に取り付けられるパイプフレーム15とを有している。パイプフレーム15は、外装パネル14の外周縁14aに沿って延在している。
【0032】
外装パネル14は、合成樹脂製である。詳しくは、外装パネル14は、合成樹脂繊維の織物と、織物の裏面に設けられた合成樹脂製の膜とを有する基布により構成されている。
パイプフレーム15は、金属製である。
【0033】
<支持部材40>
図2に示すように、支持部材40は、開閉体13が開口12を閉塞する位置である全閉位置ACにおいて、ベース部材30の後方に設けられている。
【0034】
支持部材40は、ベース部材30と隣り合うとともに開閉体13に支持されている。
支持部材40は、上下方向Zに延在するとともに、全閉位置ACにおける開閉体13の前端13aに設けられている。詳しくは、支持部材40は、パイプフレーム15に取り付けられている。
【0035】
図3及び図5に示すように、支持部材40は、前壁41、外側壁42、及び内側壁43を有している。
前壁41は、パイプフレーム15の前側に位置するとともに上下方向Zに延在している。
【0036】
外側壁42は、車幅方向Wにおいて前壁41の外側に位置する縁である外側縁41aから屈曲して後方に向かって延在している。外側壁42は、車幅方向Wにおいてパイプフレーム15の外側に位置している。
【0037】
内側壁43は、車幅方向Wにおいて前壁41の内側に位置する縁である内側縁41bから屈曲して後方に向かって延在している。内側壁43は、車幅方向Wにおいてパイプフレーム15の内側に位置している。
【0038】
支持部材40の上下方向Zにおける中央部分には、切欠き44が設けられている。切欠き44は、前壁41と外側壁42とにわたって設けられている。
外側壁42の下端には、前壁41よりも下方に延在する延在部45が設けられている。延在部45には、貫通孔46が設けられている。
【0039】
貫通孔46は、貫通孔36よりも下方に位置している。
パイプフレーム15において支持部材40によって覆われている部分には、車幅方向Wに貫通する図示しない複数の貫通孔が設けられている。
【0040】
各貫通孔には、カラー47が挿通されている。
カラー47は、切欠き44の上方及び下方にそれぞれ2つずつ設けられている。
外側壁42の貫通孔、カラー47、及び内側壁43の貫通孔に対してボルト48が挿通されるとともに、ボルト48にナット49が螺合されることで、パイプフレーム15に対して支持部材40が締結されている。
【0041】
外側壁42には、取付部50が設けられている。取付部50は、上下方向Zにおいて切欠き44と重なる位置に設けられている。
取付部50は、一対の締結部51、一対の側壁部52、及び連結部53を有している。
【0042】
一方の締結部51は、外側壁42のうち切欠き44よりも上側の部分に、上から2番目のボルト48及びナット49によって締結されている。他方の締結部51は、外側壁42のうち切欠き44よりも下側の部分に、上から3番目のボルト48及びナット49によって締結されている。
【0043】
一方の側壁部52は、上側の締結部51の下端から車幅方向Wの外側に向かって突出している。他方の側壁部52は、下側の締結部51の上端から車幅方向Wの外側に向かって突出している。
【0044】
連結部53は、側壁部52の突端同士を連結するとともに切欠き44の一部を車幅方向Wの外側から覆っている。
連結部53には、2つの貫通孔54が上下方向Zにおいて互いに離間して設けられている。
【0045】
<ヒンジ60>
図3に示すように、ベース部材30と支持部材40との間には、ヒンジ60が設けられている。ヒンジ60は、開閉体13により開口12が開閉されるようにベース部材30と支持部材40とを連結している。本実施形態では、2つのヒンジ60が、切欠き44を上下に挟むようにして設けられている。ヒンジ60の一端は、締結部材61によって支持部材40の前壁41に締結されている。締結部材61は、ボルト及びナットである。ヒンジ60の他端は、締結部材62によってベース部材30の側壁31に締結されている。締結部材62は、ボルト及びナットである。
【0046】
<第1付勢部材70>
図3及び図7に示すように、ベース部材30と支持部材40との間には、第1付勢部材70が設けられている。
【0047】
第1付勢部材70は、上下方向Zにおいて互いに並んで2つ設けられている。
第1付勢部材70は、引張巻きばねである。
第1付勢部材70の一端は、貫通孔34に取り付けられている。第1付勢部材70の他端は、貫通孔54に取り付けられている。
【0048】
図7に示すように、第1付勢部材70は、開閉体13の開閉方向Aにおいて開閉体13を付勢している。
第1付勢部材70は、開閉体13の開度が最小となる全閉位置ACと開閉体13の開度が最大となる全開位置AOとの間の反転位置ATを境に開閉体13を付勢する向きが反転するように構成されている。
【0049】
第1付勢部材70は、開閉体13が反転位置ATよりも全閉位置AC側にあるときには、開閉体13を全閉位置ACに向けて付勢するように構成されている。一方、第1付勢部材70は、開閉体13が反転位置ATよりも全開位置AO側にあるときには、開閉体13を全開位置AOに向けて付勢するように構成されている。
【0050】
第1付勢部材70は、開閉体13が反転位置ATにあるときに、最も伸びている状態となっている。
反転位置ATは、開閉体13の開閉方向Aにおいて全開位置AO寄りに設定されている。
【0051】
<第2付勢部材80>
図3及び図6に示すように、ベース部材30と支持部材40との間には、支持部材40を下方に向けて付勢する第2付勢部材80が設けられている。
【0052】
第2付勢部材80は、引張巻きばねである。
第2付勢部材80の一端は、貫通孔36に取り付けられている。第2付勢部材80の他端は、貫通孔46に取り付けられている。第2付勢部材80は、支持部材40に近づくほど下方に位置するように傾斜している。
【0053】
第2付勢部材80は、下側のヒンジ60よりも下方において貫通孔36に向けて支持部材40を引っ張っている。ここで、図6に示すように、支持部材40が第2付勢部材80の他端によって引っ張られることで、支持部材40には、下側のヒンジ60と貫通孔46とを結ぶ軸線Cを中心とするとともに、下方に向かう回転力が作用する。したがって、第2付勢部材80は、支持部材40を下方に向けて付勢している。
【0054】
図8に示すように、第2付勢部材80は、第1付勢部材70と同様にして、開閉体13の開閉方向Aにおいて開閉体13を付勢している。第2付勢部材80は、反転位置ATを境に開閉体13を付勢する向きが反転するように構成されている。第2付勢部材80は、開閉体13が反転位置ATよりも全閉位置AC側にあるときには、開閉体13を全閉位置ACに向けて付勢するように構成されている。一方、第2付勢部材80は、開閉体13が反転位置ATよりも全開位置AO側にあるときには、開閉体13を全開位置AOに向けて付勢するように構成されている。
【0055】
第2付勢部材80は、開閉体13が反転位置ATにあるときに、最も伸びている状態となっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0056】
図7に示すように、使用者は、開閉体13が反転位置ATよりも全閉位置AC側にある状態において開閉体13から手を離すと、開閉体13が全閉位置ACまで移動するとともに全閉位置ACにおいて保持されるようになる。また、開閉体13が反転位置ATよりも全開位置AO側にある状態において開閉体13から手を離すと、開閉体13が全開位置AOまで移動するとともに全開位置AOにおいて保持されるようになる。
【0057】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)ベース部材30と支持部材40との間には、開閉体13の開閉方向Aにおいて開閉体13を付勢する第1付勢部材70が設けられている。第1付勢部材70は、開閉体13の開度が最小となる全閉位置ACと開閉体13の開度が最大となる全開位置AOとの間の反転位置ATを境に開閉体13を付勢する向きが反転するように構成されている。第1付勢部材70は、開閉体13が反転位置ATよりも全閉位置AC側にあるときには、開閉体13を全閉位置ACに向けて付勢するように構成されている。一方、第1付勢部材70は、開閉体13が反転位置ATよりも全開位置AO側にあるときには、開閉体13を全開位置AOに向けて付勢するように構成されている。
【0058】
こうした構成によれば、上記作用を奏することから、開閉体13の使い勝手を向上することができる。
(2)第1付勢部材70は、開閉体13が反転位置ATにあるときに、最も伸びている状態となる引張巻きばねである。
【0059】
こうした構成によれば、開閉体13が反転位置ATよりも全閉位置AC側にあるときには、伸長している引張巻きばねが復元する力によって開閉体13が全閉位置ACに向けて付勢されるようになる。一方、開閉体13が反転位置ATよりも全開位置AO側にあるときには、伸長している引張巻きばねが復元する力によって開閉体13が全開位置AOに向けて付勢されるようになる。したがって、第1付勢部材70を容易に実現することができる。
【0060】
(3)開口12は、車体10の側面11に設けられた乗降口である。開閉体13は、乗降口を開閉するように構成されたサイドドアである。支持部材40は、車両の上下方向Zに延在するとともに全閉位置ACにおける開閉体13の前端13aに設けられている。
【0061】
こうした構成によれば、車両の乗降口を開閉するサイドドアを全開位置AOにおいて保持することができる。
(4)締結部材61は、ヒンジ60と支持部材40とを締結している。ベース部材30と支持部材40との間には、支持部材40を下方に向けて付勢する第2付勢部材80が設けられている。
【0062】
一般に、ヒンジ60と支持部材40とが締結部材61を介して締結される構成にあっては、支持部材40とヒンジ60との間には、上下方向Zにおける取付の自由度が設定されている。ただし、こうした取付の自由度によってヒンジ60に対する支持部材40の取付位置が上下方向Zにおいてばらつくおそれがある。
【0063】
この点、上記構成によれば、ヒンジ60と支持部材40とが締結部材61によって仮締めされている状態において、第2付勢部材80によって支持部材40が下方に向かって付勢されるようになる。これにより、ヒンジ60に対する支持部材40の取付位置が上下方向Zにおいてばらつくことが抑制される。したがって、車体10に対するサイドドアの上下方向Zにおける位置決めを容易に行うことができる。
【0064】
(5)第1付勢部材70が複数設けられている。
こうした構成によれば、第1付勢部材70からベース部材30及び支持部材40に対して作用する応力を分散させることができる。したがって、ベース部材30及び支持部材40に対して応力集中が発生することを抑制できる。
【0065】
(6)反転位置ATは、開閉体13の開閉方向Aにおいて全閉位置ACよりも全開位置AO寄りに設定されている。
反転位置ATが開閉体13の開閉方向Aにおいて全閉位置AC寄りに設定されていると、使用者が全閉位置AC寄りの開度で開閉体13から手を離すと、使用者の意に反して開閉体13が全開位置AOに向けて移動し始めるといった不都合が生じる。こうした不都合は、反転位置ATが全閉位置ACに近いほど生じやすい。
【0066】
この点、上記構成によれば、上述した不都合の発生を抑制できる。
(7)開閉体13は、外装パネル14と、外装パネル14の内面に取り付けられるパイプフレーム15とを有している。支持部材40は、パイプフレーム15に取り付けられている。
【0067】
こうした構成によれば、開閉体13の構成を簡素化するとともに開閉体13を軽量化することができる。これにより、小さな付勢力の第1付勢部材70を採用することができる。
【0068】
<変形例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0069】
・外装パネル14は、合成樹脂製に限定されず、金属板製であってもよい。この場合、開閉体13は、パイプフレーム15を備えるものであってもよいし、他の形状のフレームを備えるものであってもよい。
【0070】
・本実施形態では、開閉体13の開閉方向Aにおいて全開位置AO寄りに反転位置ATを設定するようにしたが、開閉方向Aにおいて全閉位置ACと全開位置AOとの中央位置に反転位置ATを設定するなど反転位置ATを適宜変更してもよい。
【0071】
・第1付勢部材70の数は、2つに限定されず、単数でもよいし、3つ以上であってもよい。
・第2付勢部材80は、ベース部材30及び支持部材40の下端同士の間に設けられるものに限定されず、開閉体13を下方に向けて付勢するものであれば、第2付勢部材80の配置を適宜変更してもよい。
【0072】
・第2付勢部材80を省略することもできる。
・開閉体13は、サイドドアに限定されず、荷室開口を開閉するバックドアや、ルーフ開口を開閉する開閉体として具体化することもできる。
【0073】
・第1付勢部材70は、引張巻きばねに限定されず、板ばねなど他の付勢部材であってもよい。
・本実施形態では、反転位置ATにおいて第1付勢部材70が最も伸びた状態となるようにしたが、これに限らない。反転位置ATにおいて開閉体13の付勢の向きが反転するのであれば、反転位置ATにおいて第1付勢部材70が最も伸びた状態でなくてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…車体
11…側面
12…開口(乗降口)
12a…縁部
13…開閉体(サイドドア)
13a…前端
14…外装パネル
14a…外周縁
15…パイプフレーム
16…外側カバー
17…フレーム
30…ベース部材
31…側壁
31a…上端
31b…下端
32…上壁
32a…凹部
33…下壁
33a…凹部
34…貫通孔
35…締結部
36…貫通孔
40…支持部材
41…前壁
41a…外側縁
41b…内側縁
42…外側壁
43…内側壁
44…切欠き
45…延在部
46…貫通孔
47…カラー
48…ボルト
49…ナット
50…取付部
51…締結部
52…側壁部
53…連結部
54…貫通孔
60…ヒンジ
61…締結部材
62…締結部材
70…第1付勢部材(引張巻きばね)
80…第2付勢部材(引張巻きばね)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8