(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172665
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ロック装置
(51)【国際特許分類】
E05B 79/22 20140101AFI20231129BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20231129BHJP
E05B 79/06 20140101ALI20231129BHJP
E05B 79/20 20140101ALI20231129BHJP
E05B 83/00 20140101ALI20231129BHJP
【FI】
E05B79/22 A
B60J5/00 M
E05B79/06 Z
E05B79/20
E05B83/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084627
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】宮地 由季乃
(72)【発明者】
【氏名】吉田 洋平
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250JJ49
2E250KK01
2E250LL01
2E250MM03
2E250PP04
2E250PP05
2E250PP11
2E250QQ09
(57)【要約】
【課題】使い勝手のよいロック装置を提供する。
【解決手段】ロック装置23は、車体にヒンジを介して取り付けられるとともに車体に形成された開口部を開閉するドアを閉じた状態でロックする。ロック装置23は、車体に設けられるとともに開口部に突出する突出部24と、突出部24に掛止されるロック位置と突出部24に掛止されない非ロック位置との間で変位可能に構成されたロック部材42と、車外側からの第1操作力の付与によってロック部材42をロック位置から非ロック位置に変位させる押圧部材36と、車内側からの第2操作力の付与によってロック部材42をロック位置から非ロック位置に変位させるハンドル53及びワイヤ52と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体にヒンジを介して取り付けられるとともに前記車体に形成された開口部を開閉する開閉体を閉じた状態でロックするロック装置であって、
前記車体に設けられ、前記開口部に突出する突出部と、
前記開閉体における前記突出部と対応する位置に設けられ、前記開閉体を閉じた状態で前記突出部に掛止されるロック位置と前記突出部に掛止されない非ロック位置との間で変位可能に構成されたロック部材と、
前記開閉体を閉じた状態で車外側からの第1操作力の付与によって前記ロック部材を前記ロック位置から前記非ロック位置に変位させる第1操作部と、
前記開閉体を閉じた状態で車内側からの第2操作力の付与によって前記ロック部材を前記ロック位置から前記非ロック位置に変位させる第2操作部と、
を備えることを特徴とするロック装置。
【請求項2】
前記第2操作部は、一端部が前記ロック部材に接続されるワイヤと、前記ワイヤの他端部に接続されるハンドルとを備え、
前記ハンドルを前記ロック部材側とは反対側に引っ張ることによって前記第2操作部に前記第2操作力が付与されることを特徴とする請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記ハンドルは、前記ハンドルを引っ張る際に把持する円弧状に延びる把持部を有していることを特徴とする請求項2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記第1操作部は、押すことによって前記第1操作力が付与される押圧部材であることを特徴とする請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項5】
前記開閉体の車外側の面における前記押圧部材と隣り合う位置に設けられた取っ手を備えることを特徴とする請求項4に記載のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両における例えばドアなどの開閉体をロックするロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、一人乗りの電気自動車が示されている。こうした電気自動車では、左右の両側部が開口するとともに、当該開口にドアが設けられていないものがある。このため、上述のようなドアのない電気自動車には、後付けでドアが取り付けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような電気自動車では、後付けでドアを取り付けた場合、走行中などにドアが開かないようにする必要がある。したがって、こうしたドアをロックするためのロック装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するためのロック装置の各態様について記載する。
[態様1]車体にヒンジを介して取り付けられるとともに前記車体に形成された開口部を開閉する開閉体を閉じた状態でロックするロック装置であって、前記車体に設けられ、前記開口部に突出する突出部と、前記開閉体における前記突出部と対応する位置に設けられ、前記開閉体を閉じた状態で前記突出部に掛止されるロック位置と前記突出部に掛止されない非ロック位置との間で変位可能に構成されたロック部材と、前記開閉体を閉じた状態で車外側からの第1操作力の付与によって前記ロック部材を前記ロック位置から前記非ロック位置に変位させる第1操作部と、前記開閉体を閉じた状態で車内側からの第2操作力の付与によって前記ロック部材を前記ロック位置から前記非ロック位置に変位させる第2操作部と、を備えることを特徴とするロック装置。
【0006】
上記構成によれば、開口部を閉じた状態の開閉体のロック状態を、第1操作部への第1操作力の付与または第2操作部への第2操作力の付与により、車外側からでも車内側からでも容易に解除することができる。したがって、使い勝手のよいロック装置を提供できる。
【0007】
[態様2]前記第2操作部は、一端部が前記ロック部材に接続されるワイヤと、前記ワイヤの他端部に接続されるハンドルとを備え、前記ハンドルを前記ロック部材側とは反対側に引っ張ることによって前記第2操作部に前記第2操作力が付与されることを特徴とする[態様1]に記載のロック装置。
【0008】
上記構成によれば、開口部を閉じた状態の開閉体のロック状態を、車内側でハンドルをロック部材側とは反対側に引っ張るだけで容易に解除できる。さらに、車内側でハンドルをロック部材側とは反対側に引っ張ることによって開口部を閉じた状態の開閉体のロック状態を解除した状態でハンドルの引っ張り方向を車外側の方向に変更することで、開閉体を開けることができる。
【0009】
[態様3]前記ハンドルは、前記ハンドルを引っ張る際に把持する円弧状に延びる把持部を有していることを特徴とする[態様2]に記載のロック装置。
上記構成によれば、ハンドルが円弧状に延びる把持部を有しているため、ハンドルの操作方式が引っ張り操作であることを直感的に理解することができる。
【0010】
[態様4]前記第1操作部は、押すことによって前記第1操作力が付与される押圧部材であることを特徴とする[態様1]~[態様3]のうちいずれか一項に記載のロック装置。
【0011】
上記構成によれば、開口部を閉じた状態の開閉体のロック状態を、車外側から押圧部材を押すだけで容易に解除できる。
[態様5]前記開閉体の車外側の面における前記押圧部材と隣り合う位置に設けられた取っ手を備えることを特徴とする[態様4]に記載のロック装置。
【0012】
上記構成によれば、車外側から取っ手を持ちながら押圧部材を容易に押すことができる。このため、押圧部材を押しながら取っ手を車外側に引くことで、開口部を閉じた状態の開閉体のロック状態を解除しつつ開閉体を容易に開けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、使い勝手のよいロック装置を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】車両における右側部の要部を示す側面図である。
【
図6】車内側から見たときのロック装置の斜視図である。
【
図8】ロック部材がロック位置にあるときのロック装置を示す模式図である。
【
図9】ロック部材が非ロック位置にあるときのロック装置を示す模式図である。
【
図10】ドアを閉じるときのロック装置の一動作を示す模式図である。
【
図11】ドアを閉じるときのロック装置の一動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、ロック装置の一実施形態を図面に従って説明する。以下の記載に関しては、車両の前進方向を前方とするとともに後進方向を後方として説明する。上下方向は車両の上下方向を意味するとともに、車幅方向は車両の左右方向を意味するものとする。車内側及び車外側は、車幅方向における車内側及び車外側を意味するものとする。
【0016】
<車両11>
図1に示すように、例えば一人乗りの電気自動車などの車両11は、車体12と、車体12を支持する4つのタイヤ13とを備えている。車体12における左右の両側部には、ユーザが乗り降りするための開口部14がそれぞれ形成されている。各開口部14には、開口部14を開閉するための開閉体の一例としてのドア15が配置されている。本実施形態における車体12の左右の両側部にそれぞれ取り付けられるドア15は、左右対称で互いに同一の構成である。このため、本実施形態では、右側のドア15のみを説明するとともに、左側のドア15の説明は省略する。
【0017】
<ドア15及びドア15付近の構成>
図2に示すように、ドア15は、開口部14の周縁部に沿って延びる略矩形環状のメインフレーム16と、メインフレーム16に例えばホックなどによって取り付けられるとともに開口部14を覆うシート17とを備えている。メインフレーム16の上下方向の中央部には、前後方向に延びる補強用のサブフレーム18が設けられている。
【0018】
メインフレーム16及びサブフレーム18は、例えばアルミニウムなどの比較的軽量の金属製のパイプによって構成される。シート17は、例えば幌などの防水性を有した布によって構成される。ドア15のシート17における上部には、例えば透明な樹脂フィルムによって塞がれた窓19が設けられている。
【0019】
メインフレーム16における前部の下部には、略上下方向に延びる取付部20が設けられている。取付部20は、一対のヒンジ21を介して車体12のドア支持部22に取り付けられている。一対のヒンジ21は、取付部20の長手方向に間隔を置いて並んで配置されている。したがって、ドア15は、一対のヒンジ21を回転中心として回転することで、開口部14を開閉する。なお、車両11には、ドア15を閉じた状態でロックするロック装置23が設けられている。
【0020】
<ロック装置23>
図3~
図6に示すように、ロック装置23は、突出部24と、ロックユニット25と、取っ手26とを備えている。
【0021】
<突出部24>
図3及び
図6に示すように、突出部24は、車体12の開口部14における後端部の上端部に対して後方から前方に向かって突出するように、車体12の内側面に支持部材27を介して設けられている。突出部24は、一例として、U字棒状をなすドアロックストライカーによって構成されている。
【0022】
突出部24は、前後方向に直線状に延びる上側直線部28と、上側直線部28の下側に位置して上側直線部28と平行に延びる直線状の下側直線部29と、上側直線部28及び下側直線部29の前端部(先端部)同士を連結するU字状の湾曲部30とを有している。上側直線部28及び下側直線部29の後端部(基端部)は、支持部材27に固定されている。支持部材27は、例えばボルトなどによって車体12の内側面に固定されている。
【0023】
<ロックユニット25>
図3~
図6に示すように、ロックユニット25は、ドア15のメインフレーム16における後端部の上端部に対して板状の取付金具31を介して取り付けられている。ロックユニット25は、ドア15によって開口部14を閉じた際にドア15における突出部24と対応する位置に設けられている。取付金具31は、ドア15のメインフレーム16に対して例えば溶接によって接合されている。ロックユニット25は、取付金具31に対して一対のボルト32と一対のナット33とによって固定されている。
【0024】
図6~
図8に示すように、ロックユニット25は、上下方向に延びる矩形状のベース板34と、ベース板34の車外側の面に接合された矩形状のガイド板35とを備えている。ベース板34及びガイド板35は、上下の両端部においてボルト32とナット33とによって取付金具31と共締めすることによって取付金具31に固定されている。ガイド板35における上下方向の中央部は、当該中央部を車外側に突出するように屈曲している。
【0025】
ベース板34の中央部及びガイド板35の中央部は、第1操作部の一例としての円柱状の押圧部材36によって車幅方向に貫通されている。押圧部材36は、ベース板34及びガイド板35のそれぞれの中央部の貫通孔37において車幅方向に摺動可能に支持されている。押圧部材36における車外側の端部には、押圧部材36における他の部位よりも外径を大きくした拡径部38が設けられている。
【0026】
ベース板34の車内側の面の後端における上下方向の中央部から下部にかけての位置には、車内側に突出する支持板39が設けられている。支持板39の車内側の端部における上下方向の中央部には、車内側から車外側に向かうほど幅狭となる略U字状の切欠凹部40が形成されている。切欠凹部40には、突出部24の下側直線部29が車内側から挿入可能になっている。支持板39の上端部には、車幅方向に延びる長孔41が貫通して形成されている。
【0027】
支持板39に対して前側で隣り合う位置には、L字板状のロック部材42が配置されている。ロック部材42は、上下方向に延びる鉛直部43と、鉛直部43の下端から車内側に向かって水平に延びる水平部44と、水平部44における車内側の端部から上方に突出する爪部45とを備えている。鉛直部43の下端部には、ねじりコイルばね46に挿通された状態の前後方向に延びる支持ピン47が回転可能に貫通している。
【0028】
支持ピン47の後端部は、支持板39を回転不能に貫通している。支持ピン47の前端には、支持ピン47からねじりコイルばね46が抜けないようにするための円板状の円板部48が設けられている。支持ピン47は、鉛直部43の下端部において回転可能にロック部材42を支持している。ロック部材42は、支持ピン47を回転中心として回転可能に構成されている。ねじりコイルばね46の後端部は、鉛直部43に固定されている。
【0029】
このため、ねじりコイルばね46は、ロック部材42の回転に伴って捩れるように弾性変形する。このときのねじりコイルばね46の弾性力を受けるべく、ねじりコイルばね46の前端部は、例えば、斜め下方に直線状に延ばされてベース板34の車内側の面に当接させられたり支持ピン47の円板部48に固定されたりする。押圧部材36における車内側の端部には、当該端部を前後方向に回転不能に貫通する摺動ピン49が設けられている。
【0030】
摺動ピン49は、ロック部材42の鉛直部43の上端部を回転可能に貫通している。鉛直部43の上端部は、支持板39と押圧部材36との間に位置している。摺動ピン49の後端部は、支持板39の長孔41を貫通している。摺動ピン49の後端部は、長孔41に対して摺動可能に挿入された状態で、支持板39よりも後側に突出している。
【0031】
ロック部材42の水平部44の上面は、突出部24の下側直線部29を支持する支持面50とされている。爪部45は、支持面50に対して車内側で隣り合うように配置されている。爪部45は、前後方向から見て三角形状をなしている。爪部45における車内側の面は、車内側に向かうほど高さが低くなるように傾斜した傾斜面51になっている。
【0032】
水平部44にはワイヤ52の一端部が接続されるとともに、ワイヤ52の他端部にはハンドル53が接続されている。すなわち、水平部44には、ワイヤ52を介してハンドル53がぶら下がっている。本実施形態では、一例として、ワイヤ52とハンドル53とによって第2操作部が構成されている。ワイヤ52の一端部となる上端部は、環状にした状態で水平部44に掛けられている。
【0033】
ハンドル53は、ハンドル53を引っ張る際に把持する把持部54と、ワイヤ52の他端部となる下端部が接続される接続部55とを備えている。把持部54は、円弧状に湾曲して延びる略矩形板状をなしている。すなわち、把持部54は、中央部よりも両端部の方が高くなるように湾曲している。接続部55は、円柱状をなすとともに、把持部54の上面中央部に立設されている。接続部55は、把持部54と一体に形成されている。ハンドル53は、略逆T字状または略錨形状をなしている。ワイヤ52の下端部は、接続部55の上面中央部に接続されている。
【0034】
ベース板34の車内側の面の後端部における上端部には、U字状に湾曲して延びる板ばね56が設けられている。板ばね56は、ベース板34の車内側の面から上方に延びて湾曲して車内側に延びた後、ベース板34から車幅方向において離れるにつれて高さが徐々に低くなるように車内側の斜め下方に向かって直線状に延びている。板ばね56は、ドア15が閉じられた際に、先端部となる下端部が突出部24の上側直線部28に対して車外側から押し付けられて弾性変形する。
【0035】
図8及び
図9に示すように、ロック部材42は、ドア15(
図2参照)が閉じた状態において、ロック位置(
図8に示す位置)と非ロック位置(
図9に示す位置)との間で変位可能に構成されている。すなわち、ロック部材42は、ドア15が閉じた状態において、ロック位置と非ロック位置との間で支持ピン47を回転中心として回転可能に構成されている。
【0036】
ロック部材42は、ロック位置にある場合、爪部45が突出部24の下側直線部29に掛止される。このため、ロック部材42がロック位置にある場合、ドア15がロック状態となるため、ドア15を開けることができない。一方、ロック部材42は、非ロック位置にある場合、爪部45が突出部24の下側直線部29に掛止されない。このため、ロック部材42が非ロック位置にある場合、ドア15のロック状態が解除された状態となるため、ドア15を開けることができる。
【0037】
ロック部材42をロック位置から非ロック位置に回転させようとすると、ねじりコイルばね46が弾性変形するため、ロック部材42にはロック部材42をロック位置へ戻そうとするねじりコイルばね46の付勢力(弾性復元力)が付与される。したがって、ロック部材42をロック位置から非ロック位置に回転させるためには、ねじりコイルばね46の付勢力よりも大きい力が必要となる。
【0038】
車外側からのロックユニット25の操作によってロック部材42をロック位置から非ロック位置へ回転(変位)させる場合には、次のように操作する。この場合、まず、ドア15が閉じられてロック部材42がロック位置にある状態で車外において押圧部材36を車外側から車内側に向かって押すことによって押圧部材36に第1操作力を付与する。第1操作力は、ねじりコイルばね46の付勢力よりも大きい力である。
【0039】
すると、押圧部材36と共に摺動ピン49が車内側に移動される。このとき、摺動ピン49によってロック部材42の鉛直部43の上端部が車内側に第1操作力で押圧される。これにより、ロック部材42がねじりコイルばね46の付勢力に抗して支持ピン47を回転中心としてロック位置から非ロック位置へ回転(変位)される。
【0040】
一方、車内側からのロックユニット25の操作によってロック部材42をロック位置から非ロック位置へ回転(変位)させる場合には、次のように操作する。この場合、まず、ドア15が閉じられてロック部材42がロック位置にある状態で車内においてハンドル53をロック部材42側とは反対側となる下方に向かって引っ張ることによってハンドル53及びワイヤ52に第2操作力を付与する。第2操作力は、ねじりコイルばね46の付勢力よりも大きい力である。
【0041】
すると、ロック部材42の水平部44が下方に向かって第2操作力で引っ張られる。これにより、ロック部材42がねじりコイルばね46の付勢力に抗して支持ピン47を回転中心としてロック位置から非ロック位置へ回転(変位)される。このとき、ロック部材42によって摺動ピン49が車内側に引っ張られるので、摺動ピン49と共に押圧部材36が車内側に移動される。つまり、ロックユニット25は、押圧部材36を車外側から車内側に向かって押すことによって押圧部材36に第1操作力を付与した場合と同じ状態になる。
【0042】
<取っ手26>
図1に示すように、ドア15のシート17の車外側の面における車幅方向でロックユニット25の押圧部材36の拡径部38と対応する位置には、車外から押圧部材36を押圧操作する際の目印57が設けられている。目印57は、例えば、塗料を塗布したり防水性の布やフィルムなどを貼り付けたりすることによってシート17に設けられる。
【0043】
取っ手26は、ドア15のシート17の車外側の面における押圧部材36の目印57と前側で隣り合う位置に設けられている。すなわち、取っ手26は、ドア15のシート17の車外側の面における押圧部材36の拡径部38と前側で隣り合う位置に設けられている。
【0044】
取っ手26は、略前後方向に延びる矩形板状をなすとともに、シート17と同様に例えば幌などの防水性を有した布によって構成される。取っ手26は、例えば長手方向の両端部をシート17に接合することによって設けられる。取っ手26のシート17への接合は、防水性が確保される方法で行われる。
【0045】
<ロック装置23の作用>
次に、車外からロック装置23によるドア15のロック状態を解除してドア15を開けるときの作用について説明する。
【0046】
図1及び
図8に示すように、車外からロック装置23によるドア15のロック状態を解除する場合には、次のような操作を行う。すなわち、まず、右手の親指以外の4本の指で取っ手26を握った状態でドア15のシート17の目印57を右手の親指で車内側に向かって押すことによってシート17越しに押圧部材36に第1操作力を付与する。すると、押圧部材36と共に摺動ピン49が車内側に移動されるので、摺動ピン49によってロック部材42の鉛直部43の上端部が車内側に第1操作力で押圧される。
【0047】
これにより、
図9に示すように、ロック部材42がねじりコイルばね46の付勢力に抗して支持ピン47を回転中心としてロック位置から非ロック位置へ回転(変位)された状態となる。すなわち、ロック装置23によるドア15のロック状態が解除された状態となる。このとき、弾性変形していた板ばね56の弾性復元力によってドア15が車外側に付勢されるので、取っ手26を車外側へ引っ張ることで、ドア15が円滑に開けられる。
【0048】
次に、車内からロック装置23によるドア15のロック状態を解除してドア15を開けるときの作用について説明する。
図1及び
図8に示すように、車内からロック装置23によるドア15のロック状態を解除する場合には、次のような操作を行う。すなわち、まず、車内の座席に座りながら右手でハンドル53の把持部54を把持する。続いて、ハンドル53を下方に向かって引っ張ることによってハンドル53及びワイヤ52に第2操作力を付与する。すると、ロック部材42の水平部44が下方に向かって第2操作力で引っ張られる。
【0049】
これにより、
図9に示すように、ロック部材42がねじりコイルばね46の付勢力に抗して支持ピン47を回転中心としてロック位置から非ロック位置へ回転(変位)された状態となる。すなわち、ロック装置23によるドア15のロック状態が解除された状態となる。このとき、弾性変形していた板ばね56の弾性復元力によってドア15が車外側に付勢される。このため、ハンドル53の把持部54を把持したままハンドル53を車外側へ引くことで、ドア15が円滑に開けられる。この場合、ハンドル53がドア15のドアハンドルとしても機能する。
【0050】
次に、ドア15を開いた状態から閉めた状態にしたときにロック装置23によってドア15がロック状態にされるときの作用について説明する。
ドア15を開いた状態から開口部14側に回転させて閉めようとすると、
図10に示すように、ロック部材42の爪部45の傾斜面51の下端部が突出部24の下側直線部29に当接する。引き続き、ドア15を開口部14側に回転させると、
図11に示すように、傾斜面51が下側直線部29に対して摺動するとともにロック部材42がねじりコイルばね46の付勢力に抗して非ロック位置側へ回動される。
【0051】
このとき、傾斜面51の上端部が下側直線部29と接触するとともに下側直線部29が支持板39の切欠凹部40に挿入される。引き続き、ドア15を開口部14側に回転させてドア15を完全に閉めた状態にすると、
図8に示すように、下側直線部29が爪部45を乗り越えるとともにロック部材42がねじりコイルばね46の付勢力によってロック位置へ回動される。
【0052】
これにより、下側直線部29がロック部材42の水平部44の支持面50に支持された状態になる。すなわち、ロック部材42の爪部45が突出部24の下側直線部29に掛止されてドア15がロック装置23によってロックされた状態となる。
【0053】
<実施形態の効果>
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)ロック装置23は、車外側からの第1操作力の付与によってロック部材42をロック位置から非ロック位置に変位させる押圧部材36を備える。ロック装置23は、車内側からの第2操作力の付与によってロック部材42をロック位置から非ロック位置に変位させるハンドル53及びワイヤ52を備える。
【0054】
上記構成によれば、開口部14を閉じた状態のドア15のロック状態を、押圧部材36への第1操作力の付与またはハンドル53及びワイヤ52への第2操作力の付与により、車外側からでも車内側からでも容易に解除することができる。したがって、使い勝手のよいロック装置23を提供できる。また、ワイヤ52をできるだけ短くすることで、ロック装置23の小型化に寄与できる。
【0055】
(2)ロック装置23は、ハンドル53をロック部材42側とは反対側に引っ張ることによって第2操作力が付与される。
上記構成によれば、開口部14を閉じた状態のドア15のロック状態を、車内側でハンドル53をロック部材42側とは反対側に引っ張るだけで容易に解除できる。さらに、車内側でハンドル53をロック部材42側とは反対側に引っ張ることによって開口部14を閉じた状態のドア15のロック状態を解除した状態でハンドル53の引っ張り方向を車外側の方向に変更することで、ドア15を円滑に開けることができる。このため、ハンドル53をドア15のドアハンドルとしても機能させることができる。
【0056】
(3)ロック装置23において、ハンドル53は、ハンドル53を引っ張る際に把持する円弧状に延びる把持部54を有している。
上記構成によれば、ハンドル53が円弧状に延びる把持部54を有しているため、ハンドル53の操作方式が引っ張り操作であることを直感的に理解することができる。
【0057】
(4)ロック装置23は、押圧部材36を押すことによって第1操作力が付与される。
上記構成によれば、開口部14を閉じた状態のドア15のロック状態を、車外側から押圧部材36を押すだけで容易に解除できる。
【0058】
(5)ロック装置23は、ドア15の車外側の面における押圧部材36と隣り合う位置に設けられた取っ手26を備える。
上記構成によれば、車外側から取っ手26を持ちながら押圧部材36を容易に押すことができる。このため、押圧部材36を押しながら取っ手26を車外側に引くことで、開口部14を閉じた状態のドア15のロック状態を解除しつつドア15を容易に開けることができる。
【0059】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0060】
・取っ手26は、省略してもよい。
・取っ手26の形状及び材質は適宜変更してもよい。
・押圧部材36の代わりに、第1操作部としてレバーを用いてもよい。この場合、レバーを動かすことで第1操作力が付与される。
【0061】
・ハンドル53の把持部54は、必ずしも円弧状に延びている必要はない。すなわち、把持部54は、直線状に延びていてもよい。また、把持部54の形状は、例えば球形状やL字形状であってもよい。
【0062】
・ハンドル53及びワイヤ52の代わりに、第2操作部としてレバーを用いてもよい。この場合、レバーを動かすことで第2操作力が付与される。
・ロック装置23は、車体12において乗り降りするための開口部14以外の開口部を開閉する開閉体に設けてもよい。この場合、開口部は、換気用のものであってもよいし、荷物を出し入れするためのものであってもよい。さらにこの場合、開閉体は、可撓性を有するものであってもよいし、剛性を有するものであってもよい。
【0063】
・ドア15の代わりに、開閉体として剛性を有したドアを用いてもよい。
・突出部24は、上側直線部28及び湾曲部30を省略してもよい。この場合、ロックユニット25の板ばね56も省略できる。
【符号の説明】
【0064】
11…車両
12…車体
13…タイヤ
14…開口部
15…開閉体の一例としてのドア
16…メインフレーム
17…シート
18…サブフレーム
19…窓
20…取付部
21…ヒンジ
22…ドア支持部
23…ロック装置
24…突出部
25…ロックユニット
26…取っ手
27…支持部材
28…上側直線部
29…下側直線部
30…湾曲部
31…取付金具
32…ボルト
33…ナット
34…ベース板
35…ガイド板
36…第1操作部の一例としての押圧部材
37…貫通孔
38…拡径部
39…支持板
40…切欠凹部
41…長孔
42…ロック部材
43…鉛直部
44…水平部
45…爪部
46…ねじりコイルばね
47…支持ピン
48…円板部
49…摺動ピン
50…支持面
51…傾斜面
52…第2操作部を構成するワイヤ
53…第2操作部を構成するハンドル
54…把持部
55…接続部
56…板ばね
57…目印