(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172672
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】電動移動体空調装置
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20231129BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231129BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20231129BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20231129BHJP
【FI】
B60L3/00 S
H02J7/00 P
H02J7/00 X
B60L1/00 L
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084637
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 幹太
(72)【発明者】
【氏名】森 恵一
(72)【発明者】
【氏名】福田 耕次
(72)【発明者】
【氏名】脇 匡史
(72)【発明者】
【氏名】高沢 修
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正亮
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 渉
(72)【発明者】
【氏名】清水 宣伯
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA04
5G503EA05
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC18
5H125CD02
5H125EE27
(57)【要約】
【課題】電動移動体空調装置において、バッテリ残量を考慮しつつ、環境負荷と健康面の両方を考慮して空調運転を行うことができるようにする。
【解決手段】電動移動体空調装置は、設定温度に応じて電動移動体の室内空調を行い、電動移動体の移動に伴うバッテリ状態の変化に対する設定温度の影響を管理する管理部を備え、管理部は、設定温度の変更に対して電動移動体の航行中における環境負荷情報と電動移動体の航行中における乗員状態情報を併せて報知する報知手段を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定温度に応じて電動移動体の室内空調を行う電動移動体空調装置であって、
前記電動移動体の移動に伴うバッテリ状態の変化に対する前記設定温度の影響を管理する管理部を備え、
前記管理部は、
前記設定温度の変更に対して前記電動移動体の航行中における環境負荷情報と前記電動移動体の航行中における乗員状態情報を併せて報知する報知手段を備えることを特徴とする電動移動体空調装置。
【請求項2】
前記環境負荷情報は、CO2排出に関する情報であることを特徴とする請求項1記載の電動移動体空調装置。
【請求項3】
前記乗員状態情報は、乗員の健康維持に関する情報であることを特徴とする請求項1記載の電動移動体空調装置。
【請求項4】
前記報知手段は、
前記設定温度の変更に対して前記電動移動体の航続可能情報の変化を併せて報知することを特徴とする請求項1記載の電動移動体空調装置。
【請求項5】
前記航続可能情報は、バッテリ残量又は航続可能距離によって報知されることを特徴とする請求項4記載の電動移動体空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動移動体空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動車両(EV:Electric Vehicle)などの電動移動体は、制御装置(VCU:Vehicle Control Unit)によって、モータ、インバータ、バッテリ、空調装置など、相互に影響し合う各コンポーネントの動作が制御されている。VCUによって制御されるコンポーネントの中で、電動移動体の動作源となるバッテリの管理は特に重要になる。
【0003】
電動移動体におけるバッテリの管理は、バッテリからの電力で動作する空調装置の運転を考慮する必要がある。従来技術として、表示されるバッテリ残量がゼロになった段階で、空調装置を駆動することができる予備充電量をバッテリに残すようにすることが提案されている。これによると、表示されるバッテリ残量がゼロになった場合であっても、予備充電量の確保によって車両の空調運転を行うことができる(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現状のバッテリ残量で、空調運転を行いながら移動体を目的地や充電基地等に移動させる場合に、空調運転により消費した電力から算出されるCO2排出量などの環境負荷を考慮する必要がある。しかしながら、環境負荷を気にして空調運転を抑えてしまうと、快適性を損なうだけでなく熱中症を発症するといった健康面の問題が生じることになる。このため、バッテリ残量を考慮しつつ、環境負荷と健康面の両方を考慮して空調運転を行うことが求められている。
【0006】
本発明は、このような事情に対処することを課題としている。すなわち、電動移動体空調装置において、バッテリ残量を考慮しつつ、環境負荷と健康面の両方を考慮して空調運転を行うことができるようにすること、が本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明による電動移動体空調装置は、以下の構成を具備するものである。
設定温度に応じて電動移動体の室内空調を行う電動移動体空調装置であって、前記電動移動体の移動に伴うバッテリ状態の変化に対する前記設定温度の影響を管理する管理部を備え、前記管理部は、前記設定温度の変更に対して前記電動移動体の航行中における環境負荷情報と前記電動移動体の航行中における乗員状態情報を併せて報知する報知手段を備えることを特徴とする電動移動体空調装置。
【発明の効果】
【0008】
このような特徴を有する本発明によると、電動移動体空調装置において、バッテリ残量を考慮しつつ、環境負荷と健康面の両方を考慮して空調運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る電動移動体空調装置の構成例を示した説明図。
【
図4】予測手段が備える移動消費電力算出テーブル(同図(a))と空調消費電力算出テーブル(同図(b))を示す説明図。
【
図5】予測手段が備えるバッテリ残量予測テーブルを示す説明図。
【
図6】環境負荷情報算出手段としての環境負荷情報算出テーブルを示す説明図。
【
図7】乗員状態情報算出手段としての乗員状態情報算出テーブルを示した説明図。
【
図8】報知手段(報知部)の報知形態の一例を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0011】
なお、以下の説明で、電動移動体として電動車両を例にして説明しているが、電動車両は、道路上を走る自動車のみならず、工場などの構内を走る産業車両やレールの上を走る鉄道車両などを含み、電動移動体は、電動車両に限らず、船舶、航空機、潜水機など、人や荷物を載せて電動で移動する全ての機体を含むものとする。
【0012】
図1に示すように、電動移動体空調装置1は、電動移動体(一例として電動車両EV)に搭載され、設定温度に応じて室内空調を行う。電動移動体(一例として電動車両EV、以下EV)は、電動移動体空調装置1によって室内温度を設定温度にする空調制御を行いながら、EVを移動先まで移動させる。電動移動体空調装置1は、EVの移動と空調運転に伴うバッテリ状態の変化に対する設定温度の影響を管理する管理部10を備えている。
【0013】
管理部10は、EV内でネットワークを構築する通信回線(例えば、CAN:Controller Area Network)Lを介して情報の送受信を行っている。これにより、管理部10には、制御部(VCU)20によって制御される図示省略した各コンポーネントの動作情報が通信回線Lを介して入力され、管理部10からの出力信号が通信回線Lを介して図示省略した各コンポーネントに送信される。
【0014】
通信回線Lには、バッテリ管理部30が接続されている。バッテリ管理部30は、EVの動作源であるバッテリの状態(蓄電状態)を管理しており、バッテリ残量を含むバッテリの状態に関する情報(以下、バッテリ管理情報)を、通信回線Lを介して管理部10に送信する。
【0015】
また、通信回線Lには、報知部40が接続されている。報知部40は、管理部10から出力される情報を画像や音声などでEVの乗員に報知する機能を有している。報知部40の具体的な構成例は、表示装置やスピーカ装置などであり、より具体的には、ナビゲーション機能を一体化させたオーディオシステムなどで構成することができる。
【0016】
管理部10には、センサ部11の検出情報が入力される。センサ部11は、EV内の各種センサ群で構成される。センサ部11における具体的なセンサを例示すると、EV周辺の外気温度を検出する外気温センサ、EVの車室内温度を検出する室温センサ、後述する空調部13の吹出温度センサ、EVの移動状態を検出する車速センサやトルクセンサなど、バッテリ状態を検出するための電流センサなど、EVの位置情報を検出するための測位センサ(GPS(Global Positioning System)を含むGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機など)などである。
【0017】
管理部10は、空調を含むEVの熱マネジメントの管理を行っており、熱媒体回路部12や空調部13の制御を行い且つこれらの動作情報を取得している。熱媒体回路部12は、バッテリやその他の温調対象物の温調を行う熱媒体回路(例えば、水回路)を動作させるためのポンプや流路切り替え弁や水加熱ヒータなどを含み、空調部13は、EV室内に空調風を送風するHVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)ユニットの構成要素である送風機やダンパや空気加熱ヒータ及び、冷媒回路の圧縮機や膨張弁などを含む。
【0018】
管理部10は、操作入力部41にて入力された情報に基づいて、熱媒体回路部12や空調部13を制御することで、EVの室内を設定温度に空調する。操作入力部41は、報知部40の表示画面をタッチ入力式にしたり、報知部40に音声入力機能を持たせたりすることで、報知部40に一体化させることができる。
【0019】
そして、管理部10は、EVの移動と空調運転に伴うバッテリ状態の変化に対する空調の設定温度の影響を予測する予測手段10Aと、この予測手段10Aが予測した航続可能情報等を報知部40に出力する報知手段10Bを備えている。
【0020】
また、管理部10は、予測手段10Aが予測した情報に基づいて、CO2排出に関する情報などの環境負荷情報を算出する環境負荷情報算出手段10A1、乗員の健康維持に関する情報などの乗員状態情報を算出する乗員状態情報算出手段10A2を備えており、これらの情報が報知手段10Bによって報知部40に出力される。
【0021】
予測手段10Aは、
図2に示すように、操作入力部41にて入力される設定情報と、センサ部11や熱媒体回路部12や空調部13、更には通信回線Lに接続された各コンポーネントから入力される検出情報に基づいて、予測情報を出力する。ここでの設定情報は、空調設定温度や移動先(目的地)までの距離などの移動先情報などであり、検出情報は、外気温度、室内温度、移動体速度やトルクなどの移動体動作情報、バッテリ残量などのバッテリ管理情報などである。
【0022】
予測手段10Aが出力する予測情報は、移動先までの移動時間、移動先までの移動による消費電力(移動消費電力)、移動先まで設定温度で空調を行った際の空調による消費電力(空調消費電力)、総消費電力、移動先でのバッテリ残量(移動先バッテリ残量)、移動先での航続可能距離(移動先航続可能距離)などである。
【0023】
図3は、予測手段10Aの処理フローを示している。処理が開始されると、予測手段10Aには、操作入力部41からの情報入力で、空調の設定温度が入力され(ステップS01)、更に移動先情報として、例えば、移動先までの距離が入力される(ステップS02)。ここで入力される移動先情報は、例えば、通信回線Lにナビゲーションシステムが接続されている場合には、ナビゲーションシステムにおける目的地の設定入力によって情報を得ることができる。
【0024】
このような入力に際して、予測手段10Aは、検出情報に基づく予測を行うための予測条件が設定されている(ステップS03)。予測条件とは、予測する上での前提となる条件であり、その一つとしては、検出された外気温度が予測時点まで一定であること、或いは、移動速度などの移動条件が現時点から予測時点まで変わらず継続されること、空調の運転条件(例えば、高、中、低)がいずれかに設定されること、などである。
【0025】
このような予測条件が設定されると、予測手段10Aは、入力された移動先情報(例えば、移動先までの距離など)と設定された移動条件(例えば、移動体速度の継続など)によって、移動先までの移動時間を算出する(ステップS04)。移動時間が算出されると、現在時刻に移動時間を加えて到着時刻が予測される。この際、前述したようにナビゲーションシステムによって移動先情報が入力された場合には、ここでの処理は、ナビゲーションシステムが出力した移動時間や到着時刻をそのまま採用することができる。
【0026】
移動時間が算出されると、移動消費電力(E1)が算出され(ステップS05)、更に、空調消費電力(E2)が算出される(ステップS06)。移動消費電力(E1)は、一例として、
図4(a)に示すような移動消費電力算出テーブルを用いて算出することができ、空調消費電力(E2)は、一例として、
図4(b)に示すような空調消費電力算出テーブルを用いて算出することができる。
【0027】
移動消費電力算出テーブルは、個別のEV毎の特性を考慮して用意されるものであり、簡略化した例としては、
図4(a)に示すように、移動先までの距離(ML)と移動消費電力(E1)との関係を、移動速度(例えば、V1<V2<V3)毎にテーブル化したものである。ここでは単純化したモデルを示しているが、更に複雑且つ多様なパラメータを設定して、適切な機械学習処理を導入することで、精度の高い移動消費電力(E1)を予測することができる。
【0028】
空調消費電力算出テーブルは、移動消費電力算出テーブルと同様に、個別のEV毎の特性を考慮して用意されるものであり、簡略化した例としては、
図4(b)に示すように、移動時間(TM)と空調消費電力(E2)との関係を、外気温度(T0)に対する空調の設定温度(例えば、T0>T1>T2>T3の冷房運転)毎にテーブル化したものである。ここでは単純化したモデルを示しているが、更に複雑且つ多様なパラメータを設定して、適切な機械学習処理を導入することで、精度の高い空調消費電力(E2)を求めることができる。
【0029】
前述した処理で移動消費電力(E1)と空調消費電力(E2)を求めると、それらの総和(E=E1+E2)で、総消費電力(E)を予測することができる(ステップS07)。総消費電力(E)を求めるに際しては、移動消費電力(E1)と空調消費電力(E2)を合算することに加えて、バッテリを含む各コンポーネントの温調等に要する電力を加算することで、更に精度の高い総消費電力(E)を予測することができる。
【0030】
総消費電力(E)が求められると、予測手段10Aは、航続可能情報を予測する。ここでは、移動先でのバッテリ残量の予測(ステップS08)と移動先での航続可能距離の予測(ステップS09)の両方又は一方を行い、処理を終了する。
【0031】
移動先でのバッテリ残量の予測(ステップS08)は、例えば、
図5に示すような、個別のEV毎の特性を考慮して用意されたバッテリ残量予測テーブルを用いることができる。バッテリ残量予測テーブルは、バッテリ管理情報として検出された現在のバッテリ残量を基にして、予測した総消費電力(E)によって低下するバッテリ残量を予測する。
【0032】
この際、総消費電力(E)の予測値は、入力した空調設定温度(例えば、T1,T2;冷房運転でT1>T2)毎に求められるので、入力した空調設定温度(例えば、T1,T2)と一対一で移動先でのバッテリ残量(例えば、Lb1,Lb2)を求めることができる。
【0033】
図5に示した例では、冷房運転時の設定温度をT1(外気温度に近い温度)とした場合、総消費電力予測値E(T1)は比較的低くなり、予測されるバッテリ残量Lb1は比較的高くなる。これに対して、冷房運転時の設定温度をT2(外気温度よりかなり低い温度)とした場合、総消費電力予測値E(T2)は比較的高くなり、予測されるバッテリ残量Lb2は比較的低くなる。
【0034】
そして、移動先でのバッテリ残量を求めることができれば、そのバッテリ残量での航続可能距離は、個別のEV毎に用意されたバッテリ残量と航続可能距離との関係を求める算出テーブル等を用いて算出することができる。
【0035】
管理部10の環境負荷情報算出手段10A1は、予測手段10Aが予測した予測情報に基づいて環境負荷情報を求める。環境負荷情報算出手段10A1としては、例えば、
図6に示した環境負荷情報算出テーブルが用いられる。
図6に示した例では、環境負荷情報としてCO
2排出に関する情報(例えば、CO
2排出量)を用いている。ここでは、冷房運転時の設定温度をT1(外気温度に近い温度)とした場合、総消費電力予測値E(T1)が比較的低くなることで、予測されるCO
2排出量EI1は比較的低くなる。これに対して、冷房運転時の設定温度をT2(外気温度よりかなり低い温度)とした場合、総消費電力予測値E(T2)が比較的高くなることで、予測されるCO
2排出量EI2は比較的高くなる。
【0036】
管理部10の乗員状態情報算出手段10A2は、予測手段10Aが予測した予測情報に基づいて乗員状態情報を算出する。乗員状態情報算出手段10A2としては、例えば、
図7に示した乗員状態情報算出テーブルが用いられる。
図7に示した例では、外気温度が30℃以上の場合の熱中症危険度を乗員状態情報として示している。この際、冷房運転時の設定温度をT1(外気温度に近い温度)とした場合、熱中症危険度H1は比較的高くなる。これに対して、冷房運転時の設定温度をT2(外気温度よりかなり低い温度)とした場合、熱中症危険度H2は比較的低くなる。
【0037】
図7では、冷房運転時の熱中症危険度を乗員状態情報としているが、乗員状態情報は、これに限定されない。例えば、外気温度が低い時の暖房運転時に設定温度を低く抑えたことによる感冒発症危険度などの健康維持に関する情報や、冷暖房運転時の乗員の快適性を表す指標などを用いて乗員状態情報にすることができる。
【0038】
管理部10の報知手段10Bは、空調の設定温度の変更に対して前述した環境負荷情報と前述した乗員状態情報を併せて報知部40に出力する。
図8は、報知部40の報知例を示している。ここでは、報知部40として表示装置を用い、文字等の画像表示で乗員に情報を報知しているが、これに替えて、報知部40として発音装置(スピーカ)を用い、音声等で予測情報を報知するようにしてもよい。
【0039】
図8に示した例では、タッチ入力が可能な表示画面DP1に、操作入力部41より入力された移動先情報(目的地までの距離)D10、センサ部11から検出情報として取得した外気温度D11をそれぞれ表示し、併せて、現在と変更後の「室温」、「航続可能距離」、「CO
2排出量」、「熱中症危険度」がそれぞれ表示されている。
【0040】
ここで、現在の「室温」D12(図示「28℃」)は、センサ部11から検出情報として取得した室内温度であり、現在の「航続可能距離」D13は、現在の「室温」D1に空調温度を設定して目的地まで移動した後のバッテリ残量に基づいて算出された予測値(図示「150km」)、現在の「CO2排出量」D14は、現在の「室温」D1に空調温度を設定して目的地まで移動した場合の環境負荷情報としての予測値(図示「15」)、現在の「熱中症危険度」D15は、現在の「室温」D1に空調温度を設定して目的地まで移動した場合の乗員状態情報としての予測値である。
【0041】
これに対して変更後の「室温」D20は、タッチ入力で変更される空調設定温度(図示「20℃」)、変更後の「航続可能距離」D21は、空調設定温度を変更して目的地まで移動した後のバッテリ残量に基づいて算出された予測値(図示「120km」)、変更後の「CO2排出量」D22は、空調設定温度を変更して目的地まで移動した場合の環境負荷情報としての予測値(図示「28」)、変更後の「熱中症危険度」D23は、空調設定温度を変更して目的地まで移動した場合の乗員状態情報としての予測値である。
【0042】
このような報知部40の報知例(表示例)によると、乗員は、空調の設定温度を変更するに際して、変更に伴う航続可能情報(図示の例では「航続可能距離」)と環境負荷情報(図示の例では「CO2排出量」)と乗員状態情報(図示の例では「熱中症危険度」)を確認しながら、空調温度の設定を行うことができる。ここで、空調の設定温度を決めるに際して、環境負荷情報(図示の例では「CO2排出量」)と乗員状態情報(図示の例では「熱中症危険度」)はトレードオフの関係にあるが、乗員は両者を見比べて空調温度を設定することができるので、過剰に環境負荷を気にして健康を害してしまったり、環境負荷を蔑ろにして過剰に空調による快適性を求めてしまったりすることを排除することができる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1:電動移動体空調装置,
10:管理部,10A:予測手段,
10A1:環境負荷情報算出手段,10A2:乗員状態情報算出手段,
10B:報知手段,11:センサ部,12:熱媒体回路部,13:空調部,
20:制御部,30:バッテリ管理部,40:報知部,41:操作入力部,
L:通信回線,EV:電動車両,DP1:表示画面