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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172686
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】脚部継手および排水配管構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20231129BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20231129BHJP
   F16L 43/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
F16L55/00 G
E03C1/12 E
F16L43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084659
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】八木 博史
(72)【発明者】
【氏名】足立 宏平
(72)【発明者】
【氏名】植杉 拓也
【テーマコード(参考)】
2D061
3H019
3H025
【Fターム(参考)】
2D061AA10
2D061AB02
2D061AB03
2D061AB04
2D061AB07
2D061AC01
2D061AC05
2D061AC10
2D061AD03
3H019EA11
3H019EA20
3H025BA01
3H025BA25
3H025BB02
(57)【要約】
【課題】立て管から脚部継手に落下した排水により形成された水膜を、少ない部品点数で構成され、十分な強度を備えた水膜切断突起により切断する。
【解決手段】脚部継手100は、立て管1304と接続される立て管接続部110と、横主管1200と接続される横管接続部120と、立て管接続部110の管軸方向と横管接続部120の管軸方向とが直交するように方向転換するベンド部130とを備える本体部に立て管接続部110の管芯から横管接続部120の方向を見た正面視で、略三角形の形状を備える1つの突起物から形成された水膜切断突起140を備える。脚部継手100は、立て管または集合管と立て管接続部110との間に設けられる立て管受口304をさらに含み、この立て管受口304は、立て管1304の管芯を、横管接続部120に接近または離隔させて偏芯させることができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立て管または集合管と接続される立て管接続部と、横主管と接続される横管接続部と、前記立て管接続部の管軸方向と前記横管接続部の管軸方向とが直交するように方向転換して前記立て管接続部および前記横管接続部を連結するベンド部とを備える本体部を含む樹脂製の脚部継手であって、
前記本体部に水膜切断用の水膜切断突起を備えることを特徴とする脚部継手。
【請求項2】
前記水膜切断突起は、前記立て管接続部の管壁であって前記横管接続部側の管壁と、前記横管接続部の管壁であって前記立て管接続部側の管壁との交差位置または前記交差位置の近傍に設けられることを特徴とする請求項1に記載の脚部継手。
【請求項3】
前記水膜切断突起は、1つの突起物から形成されることを特徴とする請求項1に記載の脚部継手。
【請求項4】
前記水膜切断突起は、前記立て管接続部の管芯から前記横管接続部の方向を見た正面視で、略三角形の形状を備える1つの突起物から形成されることを特徴とする請求項1に記載の脚部継手。
【請求項5】
前記脚部継手は、前記立て管または前記集合管と前記立て管接続部との間に設けられる立て管受口をさらに含み、
前記立て管受口は、前記立て管または前記集合管の管芯を、前記横管接続部に接近または離隔させて偏芯させることを特徴とする請求項1に記載の脚部継手。
【請求項6】
前記立て管受口は、前記立て管または前記集合管の内径が前記立て管接続部の内径よりも小さい場合に、前記立て管または前記集合管の管芯を、前記横管接続部に接近させて偏芯させることを特徴とする請求項5に記載の脚部継手。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれかに記載の脚部継手を、床スラブの下に施工したことを特徴とする、排水配管構造。
【請求項8】
前記立て管または前記集合管の内径が前記立て管接続部の内径よりも小さい場合に、前記立て管または前記集合管の管芯が前記横管接続部に接近させて偏芯されて施工されることを特徴とする請求項7に記載の排水配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数層を有する建物の排水設備において、各層を貫いて配管された立て管または集合管の下流側の端部と、下層の床スラブの下にて横方向に配管された横主管の上流側の端部とを接続する樹脂製の脚部継手に関し、特に、立て管または集合管から脚部継手に落下した排水により形成された水膜を、少ない部品点数で構成され、かつ、十分な強度を備えた水膜切断突起により切断することのできる脚部継手および排水配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高層マンション等の複数層を有する建物の排水設備では、各層を貫いて配管された排水立て管系統に各層の排水を合わせて流下させ、最下層の床スラブの下にて横方向に配管された排水横主管で屋外へ導く。そこで、排水立て管系統の下端部を排水横主管の上流側の端部に接続するために、縦方向から横方向へと円弧状に曲がった脚部継手が用いられている。このような脚部継手では、立て管から脚部継手に落下した排水により水膜が形成されると(立て管からの排水時に脚部継手内に空気層を確保できないと脚部継手内が排水によって満たされてしまい)、排水が脚部継手から高速で排出されると立て管内が負圧になり易く、排水が脚部継手から低速で排出されると立て管内が正圧になり易く、立て管内の予期しない負圧化や正圧化が発生してしまう。立て管内の負圧が大きいことにより排水トラップに溜まっている水が立て管側に吸引されてしまったり、立て管内の正圧が大きいことにより排水トラップに溜まっている水が室内側に噴出してしまったりして、封水破壊を引き起こすという問題点がある。
【0003】
このような問題点を解決するために、脚部継手内において排水によって満たされない空間(空気層)を確保することのできる脚部継手として、たとえば特開2021-162095号公報(特許文献1)に開示された脚部継手がある。この特許文献1に開示された脚部継手は、縦管(立て管と同義:以下において同じ)が連結される第1接続部と、横管が連結される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する曲管部と、前記第1接続部が第1受口とされた継手本体の前記第1受口と前記縦管の間に配置されるアダプタと、を有する。アダプタは、水流方向(上下方向)に短い略中空円筒形状を備え、その内周面から内方に向かって突出する一対のリブを備え、前記一対のリブは、互いに周方向に間隔をあけて配置され、下方に向かうにしたがって前記一対のリブの外方側の周方向における間隔が拡大または縮小するとともに、前記縦管の内周面に対して突出するよう形成された水膜切断手段(水膜切断部)を備える(特許文献1の請求項1、7および図5~7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-162095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された脚部継手におけるアダプタは、アダプタ本体と、弾性リングと、固定部材とを備えており、このアダプタ本体に水膜切断用の突起を設けたために、突起は厚肉の脚部継手とは別体の水流方向(上下方向)に短い略中空円筒形状に設けられたものに過ぎず、十分な強度を備えない可能性があり、流下物によって破損する可能性があるという問題点がある。さらに、特許文献1に開示された脚部継手におけるアダプタは、3部材から構成されるために部品点数が多く、組立工程が多くなるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、立て管または集合管から脚部継手に落下した排水により形成された水膜を、少ない部品点数で、かつ、十分な強度を備えた水膜切断突起により切断することのできる脚部継手および排水配管構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る脚部継手は以下の技術的手段を講じている。
本発明のある局面に係る脚部継手は、立て管または集合管と接続される立て管接続部と、横主管と接続される横管接続部と、前記立て管接続部の管軸方向と前記横管接続部の管軸方向とが直交するように方向転換して前記立て管接続部および前記横管接続部を連結するベンド部とを備える本体部を含む樹脂製の脚部継手であって、前記本体部に水膜切断用の水膜切断突起を備えることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記水膜切断突起は、前記立て管接続部の管壁であって前記横管接続部側の管壁と、前記横管接続部の管壁であって前記立て管接続部側の管壁との交差位置または前記交差位置の近傍に設けられるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記水膜切断突起は、1つの突起物から形成されるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記水膜切断突起は、前記立て管接続部の管芯から前記横管接続部の方向を見た正面視で、略三角形の形状を備える1つの突起物から形成されるように構成することができる。
【0009】
さらに好ましくは、前記脚部継手は、前記立て管または前記集合管と前記立て管接続部との間に設けられる立て管受口をさらに含み、前記立て管受口は、前記立て管または前記集合管の管芯を、前記横管接続部に接近または離隔させて偏芯させるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記立て管受口は、前記立て管または前記集合管の内径が前記立て管接続部の内径よりも小さい場合に、前記立て管または前記集合管の管芯を、前記横管接続部に接近させて偏芯させるように構成することができる。
本発明のさらに別の局面に係る排水配管構造は、上述したいずれかの脚部継手を床スラブの下に施工したことを特徴とする。
【0010】
好ましくは、この局面に係る排水配管構造においては、前記立て管または前記集合管の内径が前記立て管接続部の内径よりも小さい場合に、前記立て管または前記集合管の管芯が前記横管接続部に接近させて偏芯されて施工されるように構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、立て管または集合管から脚部継手に落下した排水により形成された水膜を、少ない部品点数で、かつ、十分な強度を備えた水膜切断突起により切断することのできる脚部継手および排水配管構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る脚部継手が2階床スラブと1階天井スラブとの間の狭い空間に施工された排水配管構造を示す側面図である。
図2】立て管接続部材として(短い)延長管を用いて(立て管受口を用いないで)脚部継手を延長管(立て管)に接続した排水配管構造の側面図(外形図および断面図)である。
図3】立て管接続部材として(長い)延長管を用いて(立て管受口を用いないで)脚部継手を延長管(立て管)に接続した排水配管構造の側面図(外形図および断面図)である。
図4】立て管接続部材として立て管受口を用いて脚部継手を最下階専用集合管の下部管(立て管)に接続した排水配管構造の側面図(外形図および断面図)である。
図5】立て管接続部材として立て管受口を用いて偏芯させることなく立て管を脚部継手に接続した排水配管構造の二面図(上面外形図、側面5B断面図)および立て管受口断面図である。
図6図5に示す排水配管構造における、立て管受口を含む脚部継手の二面図(上面外形図、側面外形図)および側面6C断面図である。
図7】立て管接続部材として立て管受口を用いて偏芯させて立て管を脚部継手に接続した排水配管構造の二面図(上面外形図、側面7B断面図)および立て管受口断面図である。
図8図7に示す排水配管構造における、立て管受口を含む脚部継手の二面図(上面外形図、側面外形図)および側面8C断面図である。
図9】立て管受口を含まない脚部継手の二面図(正面外形図および側面9B断面図)である。
図10】上部突起部を全周に備えた脚部継手の側面外形図である。
図11】水膜切断突起を説明するための図である。
図12】水膜切断突起による水膜切断状態を説明するための図である。
図13図7および図8において立て管の管芯を横管接続部に接近させて偏芯させる理由を説明するための図である。
図14】外層部材を含む脚部継手についての側面図であって(A)脚部継手の外形図に外層部材の断面図を加えた図、(B)脚部継手の断面図に外層部材の断面図を加えた図である。
図15図14に示す脚部継手に上方支持部材を取り付けた側面図であって(A)脚部継手の外形図に上方支持部材の外形図を加えた図、(B)脚部継手の外形図に外層部材の断面図を加えて(ここまで図14(A)と同じ)上方支持部材の一部を透視した図である。
図16図15(B)に下方支持部材の断面図を加えた図である。
図17】脚部継手を上方支持部材および下方支持部材により床スラブから吊り下げ支持した状態を示す図である。
図18】脚部継手を上方支持部材により床スラブから吊り下げ支持し、下方支持部材により床スラブから下方支持した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、本発明の実施の形態に係る脚部継手100について、図1図18を参照して詳しく説明する。なお、本発明の実施の形態に係る排水配管構造は、これらの図2図16に示す本実施の形態に係る脚部継手100を、図1図17および図18に示すように、建物の下層の床スラブS(ここでは2階床スラブS2)の下に施工したものであって、好ましくは、他の階よりも高い天井高さが必要なN階(Nは自然数であってたとえばN=1)がある建物において、(N+1)階の床スラブS(2階床スラブS2)の下に施工したものであって、図1に示すように、床スラブS(2階床スラブS2)の位置に熱膨張材TEが存在するように施工される。また、排水配管が挿通されるスラブSの貫通孔と排水配管との空隙はモルタルMが充填される。
【0014】
なお、以下の説明において、外周面と外表面と外側、外層側と外周側と外側、内層側と内周側と内側、熱膨張材と熱膨張性耐火材、とは、明確に区別して記載していない場合がある。また、断面図においてハッチングの種類により異なる部材を明確に区別していない場合がある。さらに、以下の説明において参照する図については、本発明の容易な理解のために、内部ではなく外形で表現すべき部分を内部を透視するように表現している場合があったり、外形ではなく断面で表現すべき部分を外形で表現している場合があったり、断面ではなく外形で表現すべき部分を断面で表現している場合があったり、断面であってもハッチングを付していない場合があったり、断面でないのにハッチングを付している場合があったり、詳細な構造を省略した場合があったり、詳細な構造を省略または変更したために同じ部材であっても図面間で一致しない場合があったりする。また、破断線を記載していない場合もある。
【0015】
<脚部継手が好適に施工される建物の特徴>
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る脚部継手100が好適に施工される建物の特徴について説明する。施工例の一例ではあるが、図1に示すように1階に天井までの高さが高いロビーが設けられるホテルやマンション等においては2階床スラブS2の下において脚部継手100が横主管1200と接続される際に、1階の空間1FSにおける1階床面FLから1階天井までの高さH(1)を十分に確保するために、2階床スラブS2(厚みt(S2))にできるだけ接近させて脚部継手100を支持させる。この場合においても、1階天井スラブS1(厚みt(S1))の上面と脚部継手100(より詳しくは後述する脚部継手100の横管接続部120の最下端)とは規定寸法L(2)の間隔を設ける必要がある。また、脚部継手100の納まり寸法L(1)は、2階床スラブS2の上面から脚部継手100(脚部継手100の横管接続部120の最下端)までの距離により規定される。一例ではあるが、2階床スラブ厚t(S2)が75mm~120mm、横主管の呼び径が150Aの場合に、納まり寸法L(1)は347mmとなる場合が、本実施の形態に係る脚部継手100を用いた施工例において最も納まりが良い場合である。これにより、床面FLから天井までの高さH(1)が高いロビーを1階に設けることができる。
【0016】
<脚部継手100および支持構造の概略>
図1図18を参照して、本実施の形態に係る脚部継手100の構造の概略および支持構造の概略について説明する。
まず、図1図4においては、図1に示す施工図からスラブ等を削除した排水配管構造を図2に示し、図2は、立て管接続部材として(短い)延長管を用いて(立て管受口を用いないで)脚部継手100を延長管(立て管)200に接続した排水配管構造を示し、図3は、立て管接続部材として(長い)延長管を用いて(立て管受口を用いないで)脚部継手100を延長管(立て管)200に接続した排水配管構造を示し、図4は立て管接続部材として立て管受口300を用いて脚部継手100を最下階専用集合管の下部管(立て管)1300に接続した排水配管構造を示している。なお、本実施の形態に係る脚部継手100は最下階専用ではない(最下階に限定されない)集合管に接続されても構わない。なお、立て管200と延長管200と、および、立て管1300と下部管1300とは、それぞれ区別しないで記載する場合がある。
【0017】
これらの図に示すように、この脚部継手100は、複数層を有する建物の排水設備において、各層を貫いて配管された立て管200または集合管(一例として図示しているのは図4の最下階専用集合管を構成する下部管1300)の下流側の端部と、下層の床スラブの下にて横方向に配管された横主管1200の上流側の端部とを接続する樹脂製の脚部継手である。
この脚部継手100は、立て管200または集合管の下部管1300と接続される立て管接続部110と、横主管1200と接続される横管接続部120と、立て管接続部110の管軸方向と横管接続部120の管軸方向とが直交するように方向転換して立て管接続部110および横管接続部120を連結するベンド部130とを備える本体部を含み、この本体部が床スラブから吊り下げ支持等される。この本体部に加えて、脚部継手100は、後述する立て管受口300、外層部材(制振材160、振動絶縁体(吸音材150)、遮音材152等)をさらに備える場合がある。
【0018】
そして、特徴的な構造として、本体部における立て管接続部110の外周面に、その周方向の少なくとも一部に、脚部継手100を床スラブから吊り下げるための(図15等に示す)上方支持部材170が当接して設けられる上部突起部112を備える。
この上部突起部112は、横管接続部120の管芯よりも上方に位置する。このため、床スラブから脚部継手100を、床スラブ(2階床スラブS2)下面に埋設されているアンカーボルト(スリーブ)ABと短い寸切りボルト(全ねじボルト)B等とにより吊り下げ支持できる点で好ましい。すなわち、後述する図17に示す、下部突起部122を用いて下方支持部材180による吊り下げ支持構造よりも、上部突起部112を用いて上方支持部材170による吊り下げ支持構造の方が、脚部継手100を吊り下げ支持する寸切りボルトBが短くて良く、安定性が優れる。
【0019】
詳しくは後述するが、この脚部継手100は、少なくとも遮音性を実現させるための(脚部継手100の外周面に巻着等される)外層部材(より詳しくは図14等に示す吸音材150)をさらに含み、この上部突起部112(の最外径)は、外層部材の外周面(吸音材150の最外径)よりも出っ張っている。また、限定されるものではないが、この上部突起部112は、周方向の一部(ここでは90度間隔で4箇所)に存在し、外層部材(ここでは吸音材150)は、上部突起部112の位置において開口部を備える。
【0020】
すなわち、上部突起部112は図9(A)に示す幅Wおよび高さHの大きさを備え、外層部材(ここでは吸音材150またはこの吸音材150に加えて遮音材152)は、上部突起部112が存在する90度間隔で4箇所の位置において幅Wよりも少し大きな幅で高さHよりも少し大きな高さの開口部を備え、外層部材と上部突起部112とは重ならないで上部突起部112が、上方支持部材170により支持される位置において最も外周側の位置に存在することになる(外層部材の厚み<上部突起部112の長さL)。なお、上方支持部材170は、たとえば図15に示すバンド部172と締結部材174とで構成され、このバンド部172の高さが30mm程度であるために、上部突起部112の高さHは12mm~20mm程度が好ましい。
【0021】
このため、(1)脚部継手100に外層部材(制振材160、振動絶縁体(吸音材150)、遮音材152等)が装着されたり装着されなかったり、(2)この外層部材の種類が異なったり、(3)脚部継手に接続される立て管または集合管の種類が異なったりすることにより上方支持部材170により支持される位置における脚部継手100の外径(ここでは立て管接続部110の外径)が異なったり、しても、上部突起部112に上方支持部材170が当接して設けられるために、同じ上方支持部材170を用いることができる。ここで、同じ上方支持部材170を用いることができるとは、(複数の支持箇所を1つの上方支持部材170を用いて支持するという意味ではなく)同じ種類の上方支持部材170を用いることができる、上方支持部材170の仕様を共通化することができる、という意味である。なお、上述した(3)の場合には、上部突起部112の最外径長さLLを一致させる必要がある。この点については以下において繰り返して説明しない。
【0022】
また、外層部材は開口部を備えるために、その開口部を上部突起部112の位置に合わせることより、確実にかつ容易に位置決めすることができる。
このような上部突起部112を備える脚部継手100を用いた排水配管構造においては、上部突起部112に脚部継手100を床スラブから吊り下げるための上方支持部材170が当接して脚部継手100が支持される構成とすることができる。この場合において、脚部継手100に装着される外層部材の有無、外層部材の種類、および、立て管接続部110に接続される立て管または集合管の種類によらないで、同じ(種類の)上方支持部材170を用いることができる。
【0023】
このような上部突起部112に加えて、この脚部継手100は、本体部における横管接続部120の外周面に、その周方向における下半分の少なくとも一部に、脚部継手100を下方から支持するための(図16図18等に示す)下方支持部材180、または、脚部継手100を床スラブから吊り下げるための(図16図17等に示す)下方支持部材180が当接して設けられる下部突起部122を備える。
【0024】
この下部突起部122は、2本以上(図示しているのは4本)のリブ形状を備える。また、下部突起部122は、立て管接続部110の管芯よりも横管接続部120側に位置する。さらに、この下部突起部122は、建物の各層の床または天井を形成するスラブに平行な(図9(A)の拡大図に示す)水平面122Lを備える。この水平面122Lと下方支持部材180(ここではアングル材)の(図16の拡大図に示す)水平面180Lとが当接し合い、下方支持部材180により脚部継手100を安定的に支持することができる。
【0025】
また、脚部継手100は、少なくとも遮音性および制振性を実現させるための外層部材をさらに含む。ここでは、制振材160および振動絶縁体(吸音材150)を必須的に備えるものとして、遮音材152を任意的に備えるものとする。ここで、一例として、これらの素材は、制振材160としてブチルゴム、吸音材150としてポリエチレンテレフタレートフェルト(PET製の不織布)、遮音材152として軟質塩化ビニルが挙げられる。そして、この脚部継手100においては、ベンド部130の曲面部(立て管を流下した排水流が当たる位置)に制振材160が存在して、下部突起部122の位置には、制振性を実現させるための外層部材としての制振材160が存在せず、遮音性を実現させるための外層部材としての吸音材150または吸音材150に加えて遮音材152が存在する。すなわち、下部突起部122は、制振材160とは重ならないが少なくとも吸音材150とは重なるために、下部突起部122は吸音材150を介して下方支持部材180(ここではアングル材)に当接するために防振効果を奏することができる。
【0026】
また、脚部継手100は、その本体部に水膜切断用の(図11等に示す)水膜切断突起140を備える。この水膜切断突起140は、立て管接続部110の管壁であって横管接続部120側の管壁と、横管接続部120の管壁であって立て管接続部110側の管壁との交差位置または交差位置の近傍に設けられる。
立て管から脚部継手に落下した排水により形成された水膜を、この水膜切断突起140により切断することができるために、立て管から脚部継手100に落下した排水により形成された水膜が切断されて(立て管からの排水時に脚部継手100内に空気層を確保できて脚部継手100内が排水によって満たされることが回避されて)、排水が脚部継手100から高速で排出されても立て管内が負圧になり難く、排水が脚部継手100から低速で排出されても立て管内が正圧になり難く、立て管内の予期しない負圧化や正圧化が発生を抑制することができる。これにより、立て管内の負圧が大きいことにより排水トラップに溜まっている水が立て管側に吸引されてしまったり、立て管内の正圧が大きいことにより排水トラップに溜まっている水が室内側に噴出してしまったりする、封水破壊の発生を抑制することができる。
【0027】
この水膜切断突起140は、1つの突起物から形成され、立て管接続部110の管芯から横管接続部120の方向を見た(図11に示す領域A(1)の拡大図に示す)正面視で、略三角形の形状を備える1つの突起物から形成される。このように、水膜切断突起140は、脚部継手100における厚肉の本体部に設けられ(脚部継手の本体部とは別部材ではなく)脚部継手100の本体部と一体化されている。これにより、水膜切断突起140を脚部継手100の本体部とは別に準備する手間が省かれるとともに、水膜切断突起140は厚肉の本体部と一体化されているために十分な強度が確保できる。さらに、水膜切断突起140は、断面が略三角形となっており、簡易な1つの構造物であるにもかかわらず、効率的に水膜を切断できて、水膜切断突起140の下側に空気が通る空間を作ることができる。
また、この水膜切断突起140に確実に流下水を当てるために、以下の構成を脚部継手100は備える。
【0028】
脚部継手100は、立て管または集合管と立て管接続部110との間に設けられる立て管受口300をさらに含む。この立て管受口300は、立て管または集合管の管芯を、横管接続部120に(図13(A)に示すように)接近または(図13(B)に示すように)離隔させて偏芯させることができる。ここで、この立て管受口300は、立て管の内径が立て管接続部110の内径よりも小さい場合に、立て管または集合管の管芯を、横管接続部120に接近させて偏芯させる。たとえば、立て管の呼び径が125Aに対応する立て管接続部110である場合において、呼び径が100Aの立て管を立て管接続部110に接続する場合には、(図7および図8に示す)立て管受口304を用いて、立て管の管芯を横管接続部120に(図13(A)に示すように)接近させて偏芯させる。このため、脚部継手100に接続される立て管の管径が小さくなっても、同じ脚部継手100を用いて異なる立て管受口300さえ準備すれば水膜切断突起140に確実に流下水を当てることができる。
【0029】
ここで、たとえば特開2021-162095号公報に開示された脚部継手は、脚部継手の本体部に水膜切断突起を設けないで、アダプタ本体と弾性リングと固定部材とを備えるアダプタのアダプタ本体に水膜切断用の突起を設けており、4部材で構成される。一方、本実施の形態に係る脚部継手100は、水膜切断突起140をその本体部に設けた脚部継手100と立て管の口径別に準備される立て管受口300との2部材で構成される。このため、本実施の形態に係る脚部継手100は、(強度的に優れていることに加えて)部品点数が少なく、組立工程を削減できる。
【0030】
なお、水膜切断突起140に確実に流下水を当てる効果以外に、脚部継手100に接続される立て管の管径が小さくなった場合に、横管接続部120に(図13(B)に示すように)離隔させるよりも(図13(A)に示すように)接近させる方が好ましい理由は後述する。
このような水膜切断突起140を備える脚部継手100を用いた排水配管構造においては、立て管または集合管の内径が立て管接続部の内径よりも小さい場合に、立て管または集合管の管芯が横管接続部に接近させて偏芯されて施工することができて、脚部継手100に接続される立て管の管径が小さくなっても、同じ脚部継手100を用いて異なる立て管受口300さえ準備すれば水膜切断突起140に確実に流下水を当てる排水配管構造を実現することができる。
【0031】
<脚部継手100の詳細構造>
本実施の形態に係る脚部継手100の構造について、以下においてさらに詳しく説明する。
図1および図2に示すように、この脚部継手100は、2階床スラブS2に転がし配管された集合管に立て管200を介して接続される。集合管は集水室を備えた上部管1100と、立て管受口部材1102と、枝管受口部材1104とを備える。また、図3に示すように、図2で採用した立て管200よりも長い立て管200を介して集合管に接続することもできて、この場合において、図1に示す納まり寸法L(1)を図1と同じに設定すると、集合管を2階床スラブS2に浮かせ配管することができる。いずれにしても図1図3において図示した脚部継手100は立て管受口300を備えない。これに対して、図4に示す集合管は、最下階専用集合管であって、立て管受口部材1102および枝管受口部材1104を備えた上部管1100の下方に下部管1300が接続され、下部管1300と脚部継手100とが立て管受口300を介して接続されている。なお、上述したように、本発明に係る脚部継手が接続される集合管は、図4に示す最下階専用集合管に限定されるものではなく、(下部管に縮径部や旋回羽根を備えた)中間階の集合管であっても構わない。また、図2図4の断面図に、一例ではあるが管内径を示す。
【0032】
これらの図1図4に示す脚部継手100は、上述した特徴である、上部突起部112、下部突起部122、水膜切断突起140、および、外層部材(制振材160、振動絶縁体(吸音材150)、遮音材152)を備え、図4に示す脚部継手100は、脚部継手100に接続される立て管等を偏芯可能な立て管受口300を備える。
次に、この立て管受口について300について説明する。脚部継手100に接続される立て管1302を偏芯させない場合に用いられる立て管受口302を図5および図6に、脚部継手100に接続される立て管1304を偏芯させる場合に用いられる立て管受口304を図7および図8に、それぞれ示す。ここでは、立て管1302の呼び径は125Aであり、立て管1304の呼び径は100Aであるとする。
【0033】
図5および図6に示す偏芯なし状態に対して、図7および図8に示す偏芯あり状態とでは、構造が異なる立て管受口302と立て管受口304とを使い分けている。これらの立て管受口302および立て管受口304は、いずれも略中空円筒形状を備えるが、図5(C)に示す立て管受口302は、図7(C)に示す立て管受口304が備えるスぺ-ス304Sを備えない。立て管受口304は、このスぺ-ス304Sにより、立て管1304の管芯を、横管接続部120に接近または離隔させて偏芯させることができる(この図7においては接近させている)。なお、図7(A)に示す状態において、立て管受口304を左右逆に脚部継手100の立て管接続部110に接合させると、立て管1304の管芯を、横管接続部120に離隔させて偏芯させることができる。
【0034】
次に、図9を参照して、上部突起部112および下部突起部122について説明する。
上部突起部112は、図9(A)に示す脚部継手100の正面外形図(図9(B)に示す白抜き矢示方向から見た図)に示すように、幅Wおよび高さHの大きさを備えるとともに、この脚部継手100に設けられる外層部材よりも出っ張る長さLを備える。外層部材における上部突起部112の位置には(幅Wおよび高さHの大きさよりも少し大きな)開口部を備えるために、図14(A)の拡大図に示すように、上部突起部112は上方支持部材170のバンド部172に必ず当接するように構成されている。すなわち、(1)脚部継手100に外層部材(制振材160、振動絶縁体(吸音材150)、遮音材152等)が装着されたり装着されなかったり、(2)この外層部材の種類が異なったり、(3)脚部継手に接続される立て管または集合管の種類が異なったりすることにより上方支持部材170により支持される位置における脚部継手100の外径(ここでは立て管接続部110の外径)が異なっても、上部突起部112に上方支持部材170が当接して設けられるために、同じ(種類の)上方支持部材170を用いることができる。
【0035】
一方、下部突起部122は、図9(A)に示す脚部継手100の正面外形図に示すように、脚部継手100における本体部を構成する円弧状のベンド部130から下方へ向けてリブ状に形成されている。そして、この図9(A)に示すように、この下部突起部122は、建物の各層の床または天井を形成するスラブに平行な水平面122Lを備える。このように円弧状ではなく直線状の下部突起部122を備える脚部継手100は、アングル材等の下方支持部材180により安定的に支持することができる。
なお、脚部継手100の本体部における立て管接続部110の外周面に設けられる上部突起部はその周方向の少なくとも一部に設けられるために、図10に示す脚部継手103が備える上部突起部113のように全周に設けるようにしても構わない。
【0036】
次に、図11図13を参照して、水膜切断突起140について説明する。図11に脚部継手100の本体部に設けられる水膜切断突起140の各方向から見た図を示す。より具体的には、図11において、左上図には水膜切断突起140の正面図が、右上図には水膜切断突起140の背面図が、右下図には水膜切断突起140の下面図が、それぞれ図示されている。また、図5(A)等には水膜切断突起140の上面図が、図示されている。
この水膜切断突起140は、正面図で図示される正面視で、略三角形の簡易な形状を備える1つの突起物から形成されるために、簡易な形状であることから強度が高く、略三角系であることから効率的に水膜を切断できて、水膜切断突起140の下側に空気が通る空間を作ることができる。
この水膜切断突起140が、存在しない場合の水膜の状態を図12(A)に、存在する場合の水膜の状態を図12(B)に、それぞれ示す。
【0037】
図12(A)に示すように、水膜切断突起140が存在しない場合には、立て管から脚部継手に落下した排水により水膜が形成されて空気の通り道が存在しない(空気層を確保できない)。このように立て管からの排水時に脚部継手内に空気層を確保できないと脚部継手内が排水によって満たされてしまい、排水が脚部継手から高速で排出されると立て管内が負圧になり易く、排水が脚部継手から低速で排出されると立て管内が正圧になり易く、立て管内の予期しない負圧化や正圧化が発生してしまう。立て管内の負圧が大きいことにより排水トラップに溜まっている水が立て管側に吸引されてしまったり、立て管内の正圧が大きいことにより排水トラップに溜まっている水が室内側に噴出してしまったりして、封水破壊を引き起こすという問題がある。
【0038】
一方、図12(B)に示すように、水膜切断突起140が存在する場合には、立て管から脚部継手に流下した排水流が水膜切断突起140に当たって排水流が二手に分かれて空気の通り道を確保できるために、封水破壊を引き起こすことを抑制できる。
このように封水破壊等の問題を発生させないためには、排水流を水膜切断突起140に確実に当てる必要があるために、図7および図8に示すように、立て管受口304を用いて、立て管の管芯を横管接続部120に(図13(A)に示すように)接近させて偏芯させている。ここで、水膜切断突起140に確実に流下水を当てる効果以外に、脚部継手100に接続される立て管の管径が小さくなった場合に、横管接続部120に(図13(B)に示すように)離隔させるよりも(図13(A)に示すように)接近させる方が好ましい理由について説明する。
【0039】
図13(B)に示すように、外側に偏芯させると、排水が脚部継手100の本体部(ベンド部130)に当たるまでの距離WLが短くなってしまい、排水空間WSが狭くなる。この排水空間WSが狭いと、立て管内の空気の通り道が塞がりやすく、過大な正圧の発生につながりやすい。
一方、図13(A)に示すように、内側に偏芯させると、排水が脚部継手100の本体部(ベンド部130)に当たるまでの距離WLが長くなり、排水空間WSが広くなる。この排水空間WSが広いと、立て管内の空気の通り道が塞がりにくく、過大な正圧の発生につながりにくい。
【0040】
次に、図14(一部は図9)を参照して、脚部継手100に外層部材(制振材160、振動絶縁体(吸音材150)、遮音材152)が設けられる場合の、上部突起部112と上方支持部材170のバンド部172との関係について説明する。図9(A)に示すように、上部突起部112は幅Wおよび高さHの大きさを備えるとともに、この脚部継手100に設けられる外層部材(この図14(A)の拡大図では吸音材150のみとする)よりも出っ張る長さLを備える。外層部材である吸音材150における上部突起部112の位置には(幅Wおよび高さHの大きさよりも少し大きな)開口部を備えるために、図14(A)の拡大図に示すように、上部突起部112は上方支持部材170のバンド部172に必ず当接する。このため、脚部継手100に装着される外層部材の有無、外層部材の種類、および、立て管接続部110に接続される立て管または集合管の種類によらないで、同じ(種類の)上方支持部材170を用いることができる。
【0041】
次に、図15を参照して、脚部継手100に上方支持部材170が取り付けられた状態について説明する。上述した図14(A)の拡大図に示すように、脚部継手100が外層部材(ここでは吸音材150)を備える場合において、上部突起部112は外層部材の開口部から出っ張ってその先端が外層部材よりも出っ張って露出している。この状態で、上部突起部112の先端に上方支持部材170のバンド部172(たとえば半円環状のバンドの組み合わせ)が当接して、上方支持部材170の締結部材174(たとえば半円環状のバンドの組み合わせをボルトとナットとで螺合させて一体化させる部材)により、脚部継手100の本体部の立て管接続部110に上方支持部材170が取り付けられる。この場合において、この上方支持部材170は、脚部継手100に装着される外層部材の有無、外層部材の種類、および、立て管接続部110に接続される立て管または集合管の種類によらないで、同じ(種類の)部材を用いることができて好ましい。なお、この上方支持部材170は、半円環状のバンドの組み合わせが一体化された状態で、寸切りボルトBを挿通させる円形の寸切りボルト穴部を備える。
【0042】
次に、図16を参照して、脚部継手100に下方支持部材180が取り付けられた(当接された)状態について説明する。図16に示すように、この脚部継手100においては、ベンド部130の曲面部(立て管を流下した排水流が当たる位置)に制振材160が存在して、下方支持部材180が取り付けられる下部突起部122の位置には、制振性を実現させるための外層部材としての制振材160が存在せず、遮音性を実現させるための外層部材としての吸音材150または吸音材150に加えて遮音材152(図16の拡大図においては吸音材150に加えて遮音材152)が存在する。下部突起部122は、水平面122Lを備えるために、図16に示すように、この水平面122Lにアングル材等の下方支持部材180の水平面180Lを当接させて安定的に支持することができる。なお、この下方支持部材180は、脚部継手100の本体部のベンド部を安定的に支持した上で、次に説明する支持構造により、床スラブ(ここでは2階床スラブS2)から吊り下げ支持されたり、下方(ここでは1階天井スラブS1)から支持されたりする。
【0043】
<脚部継手100の支持構造>
次に、図17および図18を参照して、脚部継手100の支持構造について説明する。なお、図17に示す支持構造と図18に示す支持構造とでは、上方支持部材170による床スラブからの吊り下げ支持は同じで、下方支持部材180による支持構造が、図17に示す支持構造においては床スラブ(2階床スラブS2)からの吊り下げ支持で、図18に示す支持構造においては下方(1階天井スラブS1)からの(持ち上げ)支持である点が異なる。
【0044】
図17に示すように、脚部継手100の本体部における立て管接続部110の上部突起部112に、バンド部172の内周面が当接するように取り付けられた上方支持部材170は、寸切りボルト穴部に(下方支持部材180による吊り下げ支持のための寸切りボルトBよりも短い)寸切りボルトBが挿通されてナットNで螺合されて、2階床スラブS2から吊り下げ支持される。また、脚部継手100の本体部における横管接続部120の下部突起部122の水平面122Lに水平面180Lが当接した下方支持部材180は、下方支持部材180に設けられた寸切りボルト穴部に(上方支持部材170による吊り下げ支持のための寸切りボルトBよりも長い)寸切りボルトBが挿通されてナットNで螺合されて、2階床スラブS2から吊り下げ支持される。
【0045】
図18を参照して、図17に示す支持構造との相違点について説明する。脚部継手100の本体部における横管接続部120の下部突起部122の水平面122Lに、水平面180Lが当接した下方支持部材180は、下方支持部材180の下方端が下方(ここでは1階天井スラブS1)から持ち上げるように支持される。
ここで、上部突起部112に当接して設けられる上方支持部材170、および/または、下部突起部122に当接して設けられる下方支持部材180は、防振性を備えた防振ゴム等を備えることが好ましい。
【0046】
以上のようにして、本実施の形態に係る脚部継手100および脚部継手100を建物の床スラブに施工した排水配管構造によると、床スラブから脚部継手を吊り下げ支持する支持部材を、脚部継手に装着される外層部材の有無、外層部材の種類、および、接続される立て管または集合管の種類によらないで、同じ(種類の)支持部材を用いることができる。
【0047】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、建築物の床スラブを貫通して配管された立て管または集合管の下流側の端部と、下層の床スラブの下にて横方向に配管された横主管の上流側の端部とを接続する樹脂製の脚部継手に好ましく、立て管または集合管から脚部継手に落下した排水により形成された水膜を、少ない部品点数で、かつ、十分な強度を備えた水膜切断突起により切断することができる点で特に好ましい。
【符号の説明】
【0049】
100 脚部継手
110 立て管接続部
112 上部突起部
120 横管接続部
122 下部突起部
130 ベンド部
140 水膜切断突起
150 吸音材(振動絶縁体)
152 遮音材
160 制振材
170 上方支持部材
180 下方支持部材
200 立て管(延長管)
300 立て管受口
1100 上部管
1200 横主管
1300 下部管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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