(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172687
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】脚部継手および排水配管構造
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20231129BHJP
F16L 43/00 20060101ALI20231129BHJP
F16L 1/00 20060101ALI20231129BHJP
F16L 5/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
E03C1/12 E
F16L43/00
F16L1/00 D
F16L5/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084660
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】八木 博史
(72)【発明者】
【氏名】三浦 琢夢
【テーマコード(参考)】
2D061
3H019
【Fターム(参考)】
2D061AA10
2D061AB02
2D061AB03
2D061AB04
2D061AB07
2D061AC01
2D061AC05
2D061AC10
2D061AD03
3H019EA11
3H019EA20
(57)【要約】
【課題】少ない部品点数で、かつ、施工現場における施工時間を短くすることのできる最下層用の脚部継手を提供する。
【解決手段】脚部継手100は、最下層の床スラブSの上面よりも上方にて立て管1100に接続される立て管接続部材320を上端に備えた略円筒形状の接続部材310が接続される立て管接続部110と、横主管1200と接続される横管接続部120と、立て管接続部110の管軸方向と横管接続部120の管軸方向とが直交するように方向転換して立て管接続部110および横管接続部120を連結する曲管状のベンド部130とを備える本体部101を含む。脚部継手100は、この本体部101に加えて、上述した立て管接続部材320と、上述した接続部材310とをさらに含み、これらは接着接合部で一体化され、接続部材310が最下層の床スラブSに埋設される部分を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数層を有する建物の排水設備において、各層を貫いて配管された立て管の下流側の端部と、最下層の床スラブの下にて横方向に配管された横主管の上流側の端部とを接続する、前記横主管側よりも前記立て管側の管路が長い樹脂製の最下層用の脚部継手であって、前記脚部継手は複数の部材から構成されるとともに前記複数の部材は接着接合部で一体化され、
前記脚部継手は、
前記床スラブの上面よりも上方にて前記立て管に接続される立て管接続部材を上端に備えた略円筒形状の接続部材が接続される立て管接続部と、前記横主管と接続される横管接続部と、前記立て管接続部の管軸方向と前記横管接続部の管軸方向とが直交するように方向転換して前記立て管接続部および前記横管接続部を連結する曲管状のベンド部とを備える本体部と、
前記立て管接続部材と、
前記接続部材と、を含み、
前記接続部材が、前記最下層の床スラブに埋設される部分を備えることを特徴とする脚部継手。
【請求項2】
前記立て管接続部および前記立て管接続部材の少なくともいずれかが、前記接続部材に加えて前記最下層の床スラブに埋設される部分を備えることを特徴とする、請求項1に記載の脚部継手。
【請求項3】
前記床スラブの厚みが100mm以上の場合において、前記立て管接続部材の上端面と前記床スラブの下面との距離が150mm以上になることを特徴とする、請求項1に記載の脚部継手。
【請求項4】
前記立て管接続部と前記接続部材とは、前記床スラブの上面よりも下方にて、略円環形状の立て管受口を介して接続されることを特徴とする、請求項1に記載の脚部継手。
【請求項5】
前記立て管受口は、前記略円環形状の内周側の下端に突起を備えることを特徴とする、請求項4に記載の脚部継手。
【請求項6】
前記立て管受口は、前記立て管の管芯を、前記横管接続部に接近または離隔させて偏芯させることを特徴とする、請求項4に記載の脚部継手。
【請求項7】
前記立て管接続部よりも上方に位置する部材は、透明樹脂で形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の脚部継手。
【請求項8】
前記立て管接続部材と前記接続部材とは、接続部材として一体で形成されている、または、別体で形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の脚部継手。
【請求項9】
前記本体部における前記立て管接続部の外周面、前記接続部材の外周面および前記立て管接続部材の外周面の少なくとも1箇所には、その周方向の少なくとも一部に、前記脚部継手を前記床スラブの下面から吊り下げて支持する吊り下げ支持部材、または、前記脚部継手を前記床スラブの上面から持ち上げて支持する持ち上げ支持部材が当接して設けられる上部突起部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の脚部継手。
【請求項10】
前記本体部における前記横管接続部の外周面に、その周方向における下半分の少なくとも一部に、前記脚部継手を床スラブの下面から吊り下げて支持する吊り下げ支持部材、または、前記脚部継手を下方から持ち上げて支持する下方支持部材が当接して設けられる下部突起部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の脚部継手。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれかに記載の脚部継手を、前記最下層の床スラブの下に施工するとともに、前記最下層の床スラブの上方において鉛直方向にのみ配管が接続されたことを特徴とする、排水配管構造。
【請求項12】
請求項9に記載の脚部継手が施工された排水配管構造であって、前記吊り下げ支持部材が前記上部突起部に当接して設けられて前記床スラブの下面から前記脚部継手が吊り下げられて支持される、または、前記持ち上げ支持部材が前記上部突起部に当接して設けられて前記床スラブの上面から前記脚部継手が持ち上げられて支持されることを特徴とする、排水配管構造。
【請求項13】
前記脚部継手に装着される外層部材の有無、前記外層部材の種類、および、前記脚部継手に接続される立て管の種類によらないで、同じ吊り下げ支持部材、同じ持ち上げ支持部材が用いられることを特徴とする、請求項12に記載の排水配管構造。
【請求項14】
請求項10に記載の脚部継手が施工された排水配管構造であって、前記吊り下げ支持部材が前記下部突起部に当接して設けられて前記床スラブの下面から前記脚部継手が吊り下げられて支持される、または、前記下方支持部材が前記下部突起部に当接して設けられて前記脚部継手が下方から持ち上げられて支持されることを特徴とする、排水配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数層を有する建物の排水設備において、各層を貫いて配管された立て管の下流側の端部と、最下層の床スラブの下にて横方向に配管された横主管の上流側の端部とを接続する樹脂製の脚部継手に関し、特に、床スラブの上方において鉛直方向にのみ配管が接続された床スラブの下に施工される、部品点数が少なく施工作業の短縮化を実現することのできる脚部継手および排水配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高層マンション等の複数層を有する建物の排水設備では、各層を貫いて配管された排水立て管系統に各層の排水を合わせて流下させ、最下層の床スラブの下にて横方向に配管された排水横主管で屋外へ導く。そこで、排水立て管系統の下端部を排水横主管の上流側の端部に接続するために、縦方向から横方向へと円弧状に曲がった脚部継手が用いられている。
【0003】
このような脚部継手を用いた排水配管構造であって、コストの上昇を抑えつつ最下階スラブのスラブ厚に応じて配管の納まりを向上させるとともに、施工管理を容易にする排水配管構造が、特開2019-073969号公報(特許文献1)に開示されている。この特許文献1に開示された排水配管構造は、最下階スラブに設けられる排水配管構造であって、最下階スラブの上側に配置される横枝管と接続可能な枝管接続部と、当該枝管接続部よりも下側に形成された、下方に延びる円筒状の下側接続部と、を有する集合継手と、最下階スラブの下側に配置される横主管と接続される曲管状の脚部継手と、少なくとも一部が最下階スラブに埋設されて上記下側接続部と上記脚部継手とを接続する、外形がストレート形状の接続縦管と、上記下側接続部を挿入可能な上側受口部と、上記接続縦管の上端部を挿入可能な下側受口部と、を有する接続継手と、を備え、上記接続縦管の上端部が挿入された上記下側受口部が上記最下階スラブに埋設されているとともに、少なくとも一部が最下階スラブの上面以上に突出した上記上側受口部に、上記下側接続部が挿入されていることを特徴とする。
【0004】
この排水配管構造によると、集合継手の下側接続部と脚部継手とを、直接接続するのではなく、接続縦管を介して接続することから、最下階スラブのスラブ厚が薄い場合には短い接続縦管を用意し、最下階スラブのスラブ厚が厚い場合には長い接続縦管を用意することで、最下階スラブのスラブ厚に応じた排水配管構造を実現することができる。すなわち、この排水配管構造によれば、最下階スラブのスラブ厚が変わっても特殊品の集合継手を製造する必要がないので、製造コストの上昇を抑えつつ最下階スラブのスラブ厚に応じて配管の納まりを向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された最下階を対象として集合継手の下側接続部と脚部継手とを接続継手および接続縦管を介して接続するが、そもそも最下階の床スラブの上方において横枝管と接続しない場合には立て管と脚部継手を接続する(床スラブの上方において鉛直方向にのみ配管が存在する)ことになるが、特許文献1に開示された排水配管構造は床スラブの上方に集合継手を配置する構成を必須としているために、集合継手の横枝管接続部が不要となるために横枝管接続部に蓋をする必要があるという問題点がある。また、集合継手を採用すると部品点数が多くなるという問題点もある。さらに、特許文献1に開示された排水配管構造は、集合継手、接続縦管、接続継手および脚部継手を施工現場に搬入して、(1)接続縦管を最適な長さに切断して、(2)切断した接続縦管を脚部継手と接着接合して、(3)脚部継手と接着接合した接続縦管の逆端を接続継手と接着接合して、(4)脚部継手を横主管と接着接合して、(5)接続縦管と接着接合した接続継手の逆端を集合継手と接着接合して、排水配管構造の施工が完了する。すなわち、施工現場で、接続縦管を切断しなければならないことに加えて、4箇所も接着接合しなければならないために、施工時間が長くなるという問題点がある。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、少ない部品点数で、かつ、施工現場における施工時間を短くすることのできる最下階用の脚部継手および排水配管構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る脚部継手は以下の技術的手段を講じている。
本発明のある局面に係る脚部継手は、複数層を有する建物の排水設備において、各層を貫いて配管された立て管の下流側の端部と、最下層の床スラブの下にて横方向に配管された横主管の上流側の端部とを接続する、前記横主管側よりも前記立て管側の管路が長い樹脂製の最下層用の脚部継手であって、前記脚部継手は複数の部材から構成されるとともに前記複数の部材は接着接合部で一体化され、前記脚部継手は、前記床スラブの上面よりも上方にて前記立て管に接続される立て管接続部材を上端に備えた略円筒形状の接続部材が接続される立て管接続部と、前記横主管と接続される横管接続部と、前記立て管接続部の管軸方向と前記横管接続部の管軸方向とが直交するように方向転換して前記立て管接続部および前記横管接続部を連結する曲管状のベンド部とを備える本体部と、前記立て管接続部材と、前記接続部材と、を含み、前記接続部材が、前記最下層の床スラブに埋設される部分を備えることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記立て管接続部および前記立て管接続部材の少なくともいずれかが、前記接続部材に加えて前記最下層の床スラブに埋設される部分を備えるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記床スラブの厚みが100mm以上の場合において、前記立て管接続部材の上端面と前記床スラブの下面との距離が150mm以上になるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記立て管接続部と前記接続部材とは、前記床スラブの上面よりも下方にて、略円環形状の立て管受口を介して接続されるように構成することができる。
【0010】
さらに好ましくは、前記立て管受口は、前記略円環形状の内周側の下端に突起を備えるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記立て管受口は、前記立て管の管芯を、前記横管接続部に接近または離隔させて偏芯させるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記立て管接続部よりも上方に位置する部材は、透明樹脂で形成されているように構成することができる。
さらに好ましくは、前記立て管接続部材と前記接続部材とは、接続部材として一体で形成されている、または、別体で形成されているように構成することができる。
【0011】
さらに好ましくは、前記本体部における前記立て管接続部の外周面、前記接続部材の外周面および前記立て管接続部材の外周面の少なくとも1箇所には、その周方向の少なくとも一部に、前記脚部継手を前記床スラブの下面から吊り下げて支持する吊り下げ支持部材、または、前記脚部継手を前記床スラブの上面から持ち上げて支持する持ち上げ支持部材が当接して設けられる上部突起部を備えるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記本体部における前記横管接続部の外周面に、その周方向における下半分の少なくとも一部に、前記脚部継手を床スラブの下面から吊り下げて支持する吊り下げ支持部材、または、前記脚部継手を下方から持ち上げて支持する下方支持部材が当接して設けられる下部突起部を備えるように構成することができる。
【0012】
本発明のさらに別の局面に係る排水配管構造は、上述したいずれかの脚部継手を、前記最下層の床スラブの下に施工するとともに、前記最下層の床スラブの上方において鉛直方向にのみ配管が接続されたことを特徴とする。
好ましくは、この局面に係る排水配管構造においては、前記吊り下げ支持部材が前記上部突起部に当接して設けられて前記床スラブの下面から前記脚部継手が吊り下げられて支持される、または、前記持ち上げ支持部材が前記上部突起部に当接して設けられて前記床スラブの上面から前記脚部継手が持ち上げられて支持されるように構成することができる。
【0013】
さらに好ましくは、この局面に係る排水配管構造においては、前記脚部継手に装着される外層部材の有無、前記外層部材の種類、および、前記脚部継手に接続される立て管の種類によらないで、同じ吊り下げ支持部材、同じ持ち上げ支持部材が用いられるように構成することができる。
さらに好ましくは、この局面に係る排水配管構造においては、前記吊り下げ支持部材が前記下部突起部に当接して設けられて前記床スラブの下面から前記脚部継手が吊り下げられて支持される、または、前記下方支持部材が前記下部突起部に当接して設けられて前記脚部継手が下方から持ち上げられて支持されるように構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、少ない部品点数で、かつ、施工現場における施工時間を短くすることのできる脚部継手および排水配管構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る脚部継手が厚みが薄い最下階の床スラブに接近させて施工された排水配管構造を示す側面図(外形図および断面図)である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る脚部継手が厚みが厚い最下階の床スラブに接近させて施工された排水配管構造を示す側面図(外形図)である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る脚部継手が厚みが厚い最下階の床スラブに接近させて施工された排水配管構造を示す側面図(断面図)である。
【
図4】長さを限定しない接続部材を備える脚部継手において立て管および接続部材の管芯を脚部継手の立て管接続部の管芯に対して偏芯させた排水配管構造の側面図(外形図および断面図)、立て管受口の断面図および斜視図である。
【
図5】長さを限定しない接続部材を備える脚部継手において立て管および接続部材の管芯を脚部継手の立て管接続部の管芯に対して偏芯させないで排水配管構造の側面図(外形図および断面図)、立て管受口の断面図および立て管受口を用いない場合の部分的な断面図である。
【
図6】立て管接続部材と接続部材とが(A)別体で形成されている排水配管構造の部分的な断面図、(B)接続部材として一体で形成されている排水配管構造の部分的な断面図である。
【
図7】脚部継手を持ち上げ支持部材により床スラブから持ち上げ支持した状態を示す図である。
【
図8】上部突起部および下部突起部を備えた脚部継手の(A)偏芯あり正面外形図、(B)偏芯あり側面外形図、(C)偏芯なし側面外形図である。
【
図9】上部突起部を全周に備えた脚部継手の側面外形図である。
【
図10】脚部継手の本体部の二面図(正面外形図および側面10B断面図)である。
【
図12】水膜切断突起による水膜切断状態を説明するための図である。
【
図13】
図1~
図4において立て管の管芯を横管接続部に接近させて偏芯させる理由を説明するための図である。
【
図14】外層部材を含む脚部継手の本体部の側面図であって(A)脚部継手の外形図に外層部材の断面図を加えた図、(B)脚部継手の断面図に外層部材の断面図を加えた図である。
【
図15】
図14に示す脚部継手に支持部材を取り付けた側面図であって(A)脚部継手の外形図に支持部材の外形図を加えた図、(B)脚部継手の外形図に外層部材の断面図を加えて(ここまで
図14(A))支持部材の一部を透視した図である。
【
図16】
図15(B)に下方支持部材の断面図を加えた図である。
【
図17】脚部継手を、立て管接続部材の上部突起部を用いて持ち上げ支持部材により持ち上げ支持するとともに、本体部の上部突起部を用いて吊り下げ支持部材により吊り下げ支持した状態を示す側面図である。
【
図18】
図17において脚部継手が断面図で示される外層部材を備える場合の側面図である。
【
図19】脚部継手を、立て管接続部材の上部突起部を用いて持ち上げ支持部材により持ち上げ支持するととも本体部の下部突起部を用いて吊り下げ支持部材により吊り下げ支持した状態を示す側面図である。
【
図20】脚部継手を、本体部の上部突起部を用いて吊り下げ支持部材により吊り下げ支持するととも本体部の下部突起部を用いて吊り下げ支持部材により吊り下げ支持した状態を示す側面図である。
【
図21】脚部継手を、本体部の上部突起部を用いて吊り下げ支持部材により吊り下げ支持するととも本体部の下部突起部を用いて下方支持部材により床スラブから下方支持した状態を示す図である。
【
図22】本発明の実施の形態に係る脚部継手が厚みが薄い最下階の床スラブに接近させて施工された排水配管構造を示す側面図(外形図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下において、本発明の実施の形態に係る脚部継手100について、
図1~
図21を参照して詳しく説明する。なお、本発明の実施の形態に係る排水配管構造は、これらの
図1(B)、
図3~
図6および
図8~
図16に示す本実施の形態に係る脚部継手100を、
図1(A)、
図2、
図7および
図17~
図21に示すように、建物の最下層の床スラブSの下に施工したものであって、その最下層の床スラブSの上方において鉛直方向にのみ配管が接続され、
図1、
図2に示すように、床スラブSの位置に熱膨張材TEが存在するように施工される。また、排水配管が挿通される床スラブSの貫通孔と排水配管との空隙はモルタルMが充填される。
【0017】
なお、以下の説明において、外周面と外表面と外側、外層側と外周側と外側、内層側と内周側と内側、熱膨張材と熱膨張性耐火材、とは、明確に区別して記載していない場合がある。また、断面図においてハッチングの種類により異なる部材を明確に区別していない場合がある。さらに、以下の説明において参照する図については、本発明の容易な理解のために、内部ではなく外形で表現すべき部分を内部を透視するように表現している場合があったり、外形ではなく断面で表現すべき部分を外形で表現している場合があったり、断面ではなく外形で表現すべき部分を断面で表現している場合があったり、断面であってもハッチングを付していない場合があったり、断面でないのにハッチングを付している場合があったり、詳細な構造を省略した場合があったり、詳細な構造を省略または変更したために同じ部材であっても図面間で一致しない場合があったりする。また、破断線を記載していない場合もある。また、以下において、床スラブSはその前に最下層の記載がなくても、最下層の床スラブSを意味する。
【0018】
<脚部継手100および支持構造の概略>
図1~
図21を参照して、本実施の形態に係る脚部継手100およびその脚部継手100の支持構造の概略について以下において説明する。
これらの図に示すように、この脚部継手100は、複数層を有する建物の排水設備において、各層を貫いて配管された立て管1100の下流側の端部と、最下層の床スラブS(厚みt(S))の下にて横方向に配管された横主管1200の上流側の端部とを接続する樹脂製の脚部継手である。
【0019】
この脚部継手100は、床スラブSの上面よりも上方にて立て管1100に接続される立て管接続部材320を上端に備えた略円筒形状の接続部材310が接続される立て管接続部110と、横主管1200と接続される横管接続部120と、立て管接続部110の管軸方向と横管接続部120の管軸方向とが直交するように方向転換して立て管接続部110および横管接続部120を連結する曲管状のベンド部130とを備える本体部101を備える。脚部継手100は、この本体部101に加えて、上述した立て管接続部材320と、上述した接続部材310とをさらに含む。このように脚部継手100は、これらの複数の部材から構成されるとともに(上述した本体部101、立て管接続部材320、接続部材310に加えて後述する立て管受口300を含む場合があり、さらに立て管接続部材320が接続部材の一部として構成された接続部材311である場合がある)、これらの複数の部材は接着接合部において接着剤等で接合されて一体化されている。また、脚部継手100は、後述する外層部材(制振材160、振動絶縁体(吸音材150)、遮音材152等)をさらに備える場合がある。そして、特徴的な構造として、接続部材310が最下層の床スラブSに埋設される部分を備える。
【0020】
このように、脚部継手100は、本体部101と立て管接続部材320と接続部材310(さらに立て管受口300と)が、施工現場ではなく製造現場において、接着接合部で接合されて一体化されているために、施工現場では、脚部継手100の立て管接続部材320または(立て管接続部材と接続部材とが接続部材として一体化された)接続部材311の立て管接続部材相当部分に立て管1100を接続して、脚部継手100の本体部101の横管接続部120に横主管1200を接続するという2箇所の接続のみで排水管構造の施工を完了させることができる。また、接続部材310が最下層の床スラブSに埋設される部分を備えるために、脚部継手100を床スラブSの下面に接近させて施工することができ、納まり寸法L(1)を小さくすることができる。たとえば、横主管1200の呼び径が150Aの場合に、
図22に示すように、接続部材310(のみ)が最下層の床スラブSに埋設される部分を備える場合には、納まり寸法L(1)は323mmとなる場合が、本実施の形態に係る脚部継手100を用いた施工例において最も納まりが良い場合である。
【0021】
また、立て管接続部110および立て管接続部材320の少なくともいずれかが、接続部材310に加えて最下層の床スラブSに埋設される部分を備える。
たとえば、接続部材310のみが最下層の床スラブSに埋設される部分を備える排水配管構造の一例を
図17、
図18、
図22に、接続部材310および本体部101の立て管接続部110が最下層の床スラブSに埋設される部分を備える排水配管構造の一例を
図7、
図19に、接続部材310および立て管接続部材320が最下層の床スラブSに埋設される部分を備える排水配管構造の一例を
図20、
図21に、接続部材310、本体部101の立て管接続部110および立て管接続部材320が最下層の床スラブSに埋設される部分を備える排水配管構造の一例を
図1(A)、
図2に、それぞれ示す。
【0022】
このように少なくとも接続部材310が最下層の床スラブSに埋設される部分を備えるために、脚部継手100を床スラブSの下面に接近させて施工することができる。
図1(A)および
図2に示すように、最下層の床スラブSの厚みt(S)が100mm以上の場合において、立て管接続部材320の上端面と最下層の床スラブSの下面との距離L(B)が150mm以上になる。なお、横主管1200の呼び径は150Aである。また、脚部継手100の本体部101の横管接続部120の管芯と最下層の床スラブSの下面との距離L(2)は89mm以上である。このように、脚部継手100を床スラブSの下面に接近させて施工することができる。
【0023】
ここで、最下層の床スラブSの上面よりも上方にて立て管1100が立て管接続部材320に接続されるためにt(S)<L(B)である。また、施工現場において、このように最下層の床スラブSの上面よりも上方にて、立て管1100が(脚部継手100を構成する一部材である)立て管接続部材320に接続されるため(床スラブS内で接続しないため)、立て管1100と脚部継手100とが確実に接続された否かを確認することが容易になり、漏水等の不具合を抑制することができる。
【0024】
本体部101の立て管接続部110と接続部材310とは、最下層の床スラブSの上面よりも下方にて、略円環形状の立て管受口300を介して接続される。なお、この立て管受口300は、脚部継手100の任意構成であって立て管受口を用いることなく(
図5(D)に示すように)本体部101の立て管接続部110と接続部材310(より詳しくは接続部材312および接続部材314とは管径が異なる接続部材316)とを接着接合するようにしても構わない。
【0025】
この立て管受口は、略円環形状の内周側の下端に(
図4(C)、
図4(D)および
図5(C)等に示すように)突起300Tを備える(ここでは90度間隔で4箇所)。このため、この突起300Tに接続部材310の下端が当接するまで挿入するだけで接続部材310の上下方向を位置決めできる。
この立て管受口300には、立て管1100の管芯を、横管接続部120に接近または離隔させて偏芯させる(
図1~
図4に示す)立て管受口304と偏芯させない(
図5に示す)立て管受口302とがある。なお、
図1~
図6に示すように、立て管1100の管芯と、接続部材310の管芯および立て管接続部材320の管芯とは一致しているものとする。
【0026】
また、立て管受口304は、呼び径100Aの立て管1104に対応し、この場合、接続部材は接続部材314であって立て管接続部材は立て管接続部材324であり、立て管受口302は、呼び径125Aの立て管1102に対応し、この場合、接続部材は接続部材312であって立て管接続部材は立て管接続部材322である。なお、立て管1104と立て管1102とを区別しないで説明する場合には立て管1100と、立て管受口304と立て管受口302とを区別しないで説明する場合には立て管受口300と、接続部材314と接続部材312とを区別しないで説明する場合には接続部材310と、立て管接続部材324と立て管接続部材322とを区別しないで説明する場合には立て管接続部材320と、それぞれ記載する。
【0027】
脚部継手100において、本体部101の立て管接続部110よりも上方に位置する部材は、透明樹脂で形成されている。現場での配管接続時に目視確認できるために施工が容易になる。
立て管接続部材320と接続部材310とは、
図6(B)に示すように接続部材311として一体で形成されている、または、
図6(A)に示すように別体で形成されている。なお、立て管1100との接続のために、立て管接続部材320の上方空間部320Gまたは接続部材311の立て管接続部材相当部分の上方空間部311Gにゴム輪を装着して、立て管1100をゴム輪接続することも好ましい。
【0028】
本体部101における立て管接続部110の外周面、接続部材310の外周面および立て管接続部材320の外周面の少なくとも1箇所には、その周方向の少なくとも一部に上部突起部112を備える。ここで、
図8においては、本体部101における立て管接続部110の外周面および立て管接続部材320の外周面に、上部突起部112を備える。なお、立て管接続部110の上部突起部112を本体部101の上部突起部112と記載する場合がある。さらに、本体部101の外周面、接続部材310の外周面および立て管接続部材320の外周面の少なくとも1箇所に設けられる上部突起部112は、
図8に示す最外径長さLL以外の特徴は同じであるために、本体部101における立て管接続部110の外周面に設けられる上部突起部112を代表させて、
図10、
図14~
図16を参照して詳しく後述する。上部突起部112には、
図17、
図18、
図20、
図21に示すように脚部継手100を床スラブSの下面から吊り下げて支持する吊り下げ支持部材170D、または、
図7、
図17、
図18、
図19に示すように脚部継手100を床スラブSの上面から持ち上げて支持する持ち上げ支持部材170Uが当接して設けられる。なお、後述する理由(支持部材170のバンド部172が外層部材から露出している上部突起部112に当接させるために外層部材の有無およびその種類等によらず同じ(種類の)支持部材を使用可能)により、吊り下げ支持部材170Dと持ち上げ支持部材170Uとを区別しないで説明する場合には、支持部材170と記載する。
【0029】
本体部101における横管接続部120の外周面に、その周方向における下半分の少なくとも一部には、下部突起部122を備える。下部突起部122には、
図19、
図20に示すように脚部継手100を床スラブSの下面から吊り下げて支持する吊り下げ支持部材180D、または、
図21に示すように脚部継手100を下方(ここでは最下層の床スラブSの下方のコンクリート基礎C)から持ち上げて支持する下方支持部材180USが当接して設けられる。なお、後述する理由(水平面どうしの当接による支持安定化)により、吊り下げ支持部材180Dと下方支持部材180USとを区別しないで説明する場合には、支持部材180と記載する。
【0030】
この下部突起部122は、2本以上(
図8(B)等で図示しているのは4本)のリブ形状を備える。また、下部突起部122は、立て管接続部110の管芯よりも横管接続部120側に位置する。さらに、この下部突起部122は、建物の各層の床または天井を形成するスラブに平行な(
図8(A)の拡大図に示す)水平面122Lを備える。この水平面122Lと支持部材180(ここではアングル材)の(
図16の拡大図に示す)水平面180Lとが当接し合い、支持部材180により脚部継手100を安定的に支持することができる。
【0031】
なお、持ち上げ支持部材170Uは床スラブSの上面に設けられたボルトベースBBから立設させた寸切りボルト(全ねじボルト)BにナットNで持ち上げ支持部材170Uを固定し、吊り下げ支持部材170Dは床スラブ下面に埋設されているアンカーボルト(スリーブ)ABを用いて短い寸切りボルトBにナットNで吊り下げ支持部材170Dを固定して支持する点で異なるが、持ち上げ支持部材170Uおよび吊り下げ支持部材170Dは、以下の点で一致するために、区別する必要がない場合には単に支持部材170と記載する。
【0032】
ここで、この支持部材170のバンド部172(たとえば半円環状のバンドの組み合わせ)を(後述するように外層部材から露出している)上部突起部112に当接させて、支持部材170の締結部材174(たとえば半円環状のバンドの組み合わせをボルトとナットとで螺合させて一体化させる部材)により、脚部継手100に支持部材170が取り付けられる。また、支持部材170は、半円環状のバンドの組み合わせが一体化された状態で、寸切りボルトBを挿通させる円形の寸切りボルト穴部を備える。
【0033】
また、下方支持部材180USは床スラブSのさらに下方のコンクリート基礎Cから下方支持し、吊り下げ支持部材180Dは床スラブ下面に埋設されているアンカーボルトABを用いて長い寸切りボルトBにナットNで吊り下げ支持部材180Dを固定して支持する点で異なるが、下方支持部材180USおよび吊り下げ支持部材180Dは、下部突起部122の水平面122Lに水平面180Lが当接させて安定的な支持を実現させる点で一致するために、区別する必要がない場合には単に支持部材180と記載する。
【0034】
なお、詳しくは後述するが、この脚部継手100は、少なくとも遮音性を実現させるための外層部材(より詳しくは
図14等に示す吸音材150)をさらに含み、この上部突起部112(の最外径)は、外層部材の外周面(吸音材150の最外径)よりも出っ張っている。また、限定されるものではないが、上部突起部112は、周方向の一部(ここでは90度間隔で4箇所)に存在し、外層部材(ここでは吸音材150)は、上部突起部112の位置において開口部を備える。
【0035】
すなわち、上部突起部112は
図8および
図10(A)に示す幅Wおよび高さHの大きさを備え、外層部材(ここでは吸音材150またはこの吸音材150に加えて遮音材152)は、上部突起部112が存在する90度間隔で4箇所において幅Wよりも少し大きな幅で高さHよりも少し大きな高さの開口部を備え、外層部材と上部突起部112とは重ならないで上部突起部112が、支持部材170により支持される位置において最も外周側の位置に存在することになる(外層部材の厚み<上部突起部112の長さL)。なお、支持部材170は、たとえば
図7に示すバンド部172と締結部材174とで構成され、このバンド部172の高さが30mm程度であるために、上部突起部112の高さHは12mm~20mm程度が好ましい。
【0036】
このため、(1)脚部継手100に外層部材(制振材160、振動絶縁体(吸音材150)、遮音材152等)が装着されたり装着されなかったり、(2)この外層部材の種類が異なったり、(3)脚部継手に接続される立て管または集合管の種類が異なったりすることにより支持部材170により支持される位置における脚部継手100の外径が異なったり、しても、上部突起部112に支持部材170が当接して設けられるために、同じ支持部材170を用いることができる。ここで、同じ上方支持部材170を用いることができるとは、(複数の支持箇所を1つの上方支持部材170を用いて支持するという意味ではなく)同じ種類の上方支持部材170を用いることができる、上方支持部材170の仕様を共通化することができる、という意味である。
【0037】
なお、上述した(3)の場合には、上部突起部112の最外径長さLLを一致させる必要がある。この(3)については、
図8におけるLL(1)=LL(2)=LL(3)とすることを意味するものである。ただし、本実施の形態においては、この(3)を満足していない施工図(
図17~
図21)が含まれる。この点については以下において繰り返して説明しない。
また、外層部材は開口部を備えるために、その開口部を上部突起部112の位置に合わせることより、確実にかつ容易に位置決めすることができる。
【0038】
このような上部突起部112を備える脚部継手100を用いた排水配管構造においては、脚部継手100を床スラブSの下面から吊り下げる支持するための吊り下げ支持部材170Dが上部突起部112に当接して脚部継手100が安定的に支持される構成、脚部継手100を床スラブSの上面から持ち上げて支持するための持ち上げ支持部材170Uが上部突起部112に当接して脚部継手100が安定的に支持される構成とすることができる。
この場合において、脚部継手100に装着される外層部材の有無、外層部材の種類、および、脚部継手100に接続される立て管1100の種類によらないで、同じ(種類の)支持部材170を用いることができる。
【0039】
このような下部突起部122を備える脚部継手100を用いた排水配管構造においては、脚部継手100を床スラブSの下面から吊り下げる支持するための吊り下げ支持部材180Dが下部突起部122に当接して脚部継手100が安定的に支持される構成、脚部継手100が下方(たとえば最下層の床スラブSの下方のコンクリート基礎C)から支持するための下方支持部材180USが下部突起部122に当接して脚部継手100が安定的に支持される構成とすることができる。
【0040】
この上部突起部112は、横管接続部120の管芯よりも上方に位置する。このため、床スラブから脚部継手100を、床スラブ(2階床スラブS2)下面に埋設されているアンカーボルトABと短い寸切りボルトB等とにより吊り下げ支持できる点で好ましい。すなわち、
図20に示す、下部突起部122を用いて吊り下げ支持部材180Dによる吊り下げ支持構造よりも、上部突起部112を用いて吊り下げ支持部材170Dによる吊り下げ支持構造の方が、寸切りボルトBが短くて良く、安定性が優れる。
【0041】
また、脚部継手100は、少なくとも遮音性および制振性を実現させるための外層部材をさらに含む。ここでは、制振材160および振動絶縁体(吸音材150)を必須的に備えるものとして、遮音材152を任意的に備えるものとする。ここで、一例として、これらの素材は、制振材160としてブチルゴム、吸音材150としてポリエチレンテレフタレートフェルト(PET製の不織布)、遮音材152として軟質塩化ビニルが挙げられる。そして、この脚部継手100においては、ベンド部130の曲面部(立て管を流下した排水流が当たる位置)に制振材160が存在して、下部突起部122の位置には、制振性を実現させるための外層部材としての制振材160が存在せず、遮音性を実現させるための外層部材としての吸音材150または吸音材150に加えて遮音材152が存在する。すなわち、下部突起部122は、制振材160とは重ならないが少なくとも吸音材150とは重なるために、下部突起部122は吸音材150を介して支持部材180(ここではアングル材)に当接するために防振効果を奏することができる。
【0042】
また、脚部継手100は、その本体部101に水膜切断用の(
図11等に示す)水膜切断突起140を備える。この水膜切断突起140は、立て管接続部110の管壁であって横管接続部120側の管壁と、横管接続部120の管壁であって立て管接続部110側の管壁との交差位置または交差位置の近傍に設けられる。
立て管から脚部継手に落下した排水により形成された水膜を、この水膜切断突起140により切断することができるために、立て管から脚部継手100に落下した排水により形成された水膜が切断されて(立て管からの排水時に脚部継手100内に空気層を確保できて脚部継手100内が排水によって満たされることが回避されて)、排水が脚部継手100から高速で排出されても立て管内が負圧になり難く、排水が脚部継手100から低速で排出されても立て管内が正圧になり難く、立て管内の予期しない負圧化や正圧化が発生を抑制することができる。これにより、立て管内の負圧が大きいことにより排水トラップに溜まっている水が立て管側に吸引されてしまったり、立て管内の正圧が大きいことにより排水トラップに溜まっている水が室内側に噴出してしまったりする、封水破壊の発生を抑制することができる。
【0043】
この水膜切断突起140は、1つの突起物から形成され、立て管接続部110の管芯から横管接続部120の方向を見た(
図11に示す領域A(1)の拡大図に示す)正面視で、略三角形の形状を備える1つの突起物から形成される。このように、水膜切断突起140は、脚部継手100における厚肉の本体部に設けられ(脚部継手の本体部とは別部材ではなく)脚部継手100の本体部と一体化されている。これにより、水膜切断突起140を脚部継手100の本体部とは別に準備する手間が省かれるとともに、水膜切断突起140は厚肉の本体部と一体化されているために十分な強度が確保できる。さらに、水膜切断突起140は、断面が略三角形となっており、簡易な1つの構造物であるにもかかわらず、効率的に水膜を切断できて、水膜切断突起140の下側に空気が通る空間を作ることができる。
また、この水膜切断突起140に確実に流下水を当てるために、以下の構成を脚部継手100は備える。
【0044】
脚部継手100は、立て管または集合管と立て管接続部110との間に設けられる立て管受口300をさらに含む。この立て管受口300は、立て管または集合管の管芯を、横管接続部120に(
図13(A)に示すように)接近または(
図13(B)に示すように)離隔させて偏芯させることができる。ここで、この立て管受口300は、立て管の内径が立て管接続部110の内径よりも小さい場合に、立て管または集合管の管芯を、横管接続部120に接近させて偏芯させる。たとえば、立て管の呼び径が125Aに対応する立て管接続部110である場合において、呼び径が100Aの立て管を立て管接続部110に接続する場合には、(
図1~
図4に示す)立て管受口304を用いて、立て管の管芯を横管接続部120に(
図13(A)に示すように)接近させて偏芯させる。このため、脚部継手100に接続される立て管の管径が小さくなっても、同じ本体部101を用いて異なる立て管受口300さえ準備すれば水膜切断突起140に確実に流下水を当てることができる。
【0045】
ここで、たとえば特開2021-162095号公報に開示された脚部継手は、脚部継手の本体部に水膜切断突起を設けないで、アダプタ本体と弾性リングと固定部材とを備えるアダプタのアダプタ本体に水膜切断用の突起を設けており、4部材で構成される。一方、本実施の形態に係る脚部継手100は、水膜切断突起140をその本体部に設けた脚部継手100と立て管の口径別に準備される立て管受口300との2部材で構成される。このため、本実施の形態に係る脚部継手100は、(強度的に優れていることに加えて)部品点数が少なく、組立工程を削減できる。
【0046】
なお、水膜切断突起140に確実に流下水を当てる効果以外に、脚部継手100に接続される立て管の管径が小さくなった場合に、横管接続部120に(
図13(B)に示すように)離隔させるよりも(
図13(A)に示すように)接近させる方が好ましい理由は後述する。
このような水膜切断突起140を備える脚部継手100を用いた排水配管構造においては、立て管の内径が立て管接続部の内径よりも小さい場合に、立て管の管芯が横管接続部に接近させて偏芯されて施工することができて、脚部継手100に接続される立て管の管径が小さくなっても、同じ脚部継手100を用いて異なる立て管受口300さえ準備すれば水膜切断突起140に確実に流下水を当てる排水配管構造を実現することができる。
【0047】
<脚部継手100および支持構造の詳細>
本実施の形態に係る脚部継手100の構造およびその脚部継手100の支持構造について、以下においてさらに詳しく説明する。
図1~
図3に示すように、この脚部継手100は、(立て管接続部110と横管接続部120とベンド部130とを備える)本体部101と、立て管接続部材320と、接続部材310とを含む(立て管受口300をさらに含んだり、立て管接続部材が接続部材311として一体化されていたりしていても構わない)。
図1~
図3に両矢示点線で示す部分が脚部継手100の範囲である。このため、この脚部継手100は、垂直方向長さL(V)が水平方向長さL(H)よりも長い(L(V)>L(H))首長ベンドとも呼ばれることがある脚部継手である。なお、
図1~
図3に示すいずれの場合であっても、脚部継手100を構成するこれらの複数の部材(本体部101、立て管接続部材320、接続部材310に加えて立て管受口300を含む場合があり、立て管接続部材320が接続部材の一部として構成された接続部材311である場合がある)は、接着接合部で接着剤等で製造現場で接合されて一体化されて施工現場に搬入される。
【0048】
施工現場に搬入された脚部継手100は、施工現場において、脚部継手100を一体的に構成する立て管接続部材320(立て管接続部材と接続部材とが接続部材として一体化された接続部材311の立て管接続部材相当部分の場合もある)がゴム輪を用いて立て管1100に接続されて、脚部継手100の本体部101の横管接続部120に横主管1200が接続されて排水配管構造を構成する2箇所の接続作業が完了する。そして、支持部材170(吊り下げ支持部材170D、持ち上げ支持部材170U)および/または支持部材180(吊り下げ支持部材180D、下方支持部材180US)により、寸切りボルトBを介して床スラブSにより支持されるように、および/または、最下層の床スラブSの下方のコンクリート基礎C等により支持されるように、支持作業が行われる。
【0049】
このような接続作業および支持作業の結果、
図17、
図18、
図22に示すように接続部材310のみが最下層の床スラブSに埋設される部分を備える排水配管構造、
図7、
図19に示すように接続部材310および本体部101の立て管接続部110が最下層の床スラブSに埋設される部分を備える排水配管構造、
図20、
図21に示すように接続部材310および立て管接続部材320が最下層の床スラブSに埋設される部分を備える排水配管構造、
図1(A)、
図2に示すように接続部材310、本体部101の立て管接続部110および立て管接続部材320が最下層の床スラブSに埋設される部分を備える排水配管構造、を実現することができる。このように少なくとも接続部材310が最下層の床スラブSに埋設される部分を備えるために、脚部継手100を床スラブSの下面に接近させて施工することができる。
【0050】
なお、
図1(B)、
図3~
図5の断面図に、一例ではあるが管内径を示す。
本実施の形態に係る脚部継手100は、上述した特徴である、上部突起部112、下部突起部122、水膜切断突起140、および、外層部材(制振材160、振動絶縁体(吸音材150)、遮音材152)を備え、
図5(D)以外に示す脚部継手100は、脚部継手100に接続される立て管1100を偏芯可能な立て管受口300を備える。
【0051】
次に、この立て管受口300について説明する。脚部継手100に接続される立て管1102を偏芯させない場合に用いられる立て管受口302を
図5に、脚部継手100に接続される立て管1104を偏芯させる場合に用いられる立て管受口304を
図1~
図4に、それぞれ示す。ここでは、立て管1102の呼び径は125Aであり、立て管1104の呼び径は100Aであるとする。
【0052】
図5に示す偏芯なし状態に対して、
図1~
図4に示す偏芯あり状態とでは、構造が異なる立て管受口302と立て管受口304とを使い分けている。これらの立て管受口302および立て管受口304は、いずれも略中空円筒形状を備えるが、
図5(C)に示す立て管受口302は、
図4(C)に示す立て管受口304が備えるスぺ-ス304Sを備えない。立て管受口304は、このスぺ-ス304Sにより、立て管1104の管芯を、横管接続部120に接近または離隔させて偏芯させることができる(これらの
図1~
図4においては接近させている)。なお、
図4に示す状態において、立て管受口304を左右逆に脚部継手100の立て管接続部110に接合させると、立て管1104の管芯を、横管接続部120に離隔させて偏芯させることができる。
【0053】
次に、
図8および
図10を参照して、上部突起部112および下部突起部122について説明する。上部突起部112は、本体部101における立て管接続部110の外周面、接続部材310の外周面および立て管接続部材320の外周面の少なくとも1箇所には、その周方向の少なくとも一部に上部突起部112を備える。ここでは、
図8に示すように、上部突起部112は、本体部101における立て管接続部110の外周面および立て管接続部材320の外周面にそれぞれ設けられている。
図8に示す本体部101における立て管接続部110の外周面に設けられる上部突起部112と、立て管接続部材320の外周面に設けられる上部突起部112と(さらに図示しない接続部材310の外周面に設けられる上部突起部112と)は上部突起部112の最外径長さLLが異なる(ここでは、一例ではあるがLL(1)>LL(3)>LL(2))以外は同じであるために、以下においては上部突起部112を説明するにあたり、本体部101における立て管接続部110の外周面に設けられる上部突起部112を代表させて、
図10、
図14~
図16を参照して説明する。なお、
図8に示すLL(1)とLL(2)とLL(3)とを等しくすることにより、本体部101における立て管接続部110の外周面の上部突起部112に当接して設けられる支持部材170と、立て管接続部材320の外周面の上部突起部112に当接して設けられる支持部材170と(さらに図示しない接続部材310の外周面に設けられる上部突起部112に当接して設けられる支持部材170と)を、同じ(種類の)支持部材170を用いることができる点で好ましい。
【0054】
上部突起部112は、
図8(A)および
図10(A)に示す脚部継手100の正面外形図(
図10(B)に示す白抜き矢示方向から見た図)ならびに
図8(B)に示すように、幅Wおよび高さHの大きさを備えるとともに、この脚部継手100に設けられる外層部材よりも出っ張る長さLを備える。外層部材における上部突起部112の位置には(幅Wおよび高さHの大きさよりも少し大きな)開口部を備えるために、
図14(A)の拡大図に示すように、上部突起部112は支持部材170のバンド部172に必ず当接するように構成されている。すなわち、(1)脚部継手100に外層部材(制振材160、振動絶縁体(吸音材150)、遮音材152等)が装着されたり装着されなかったり、(2)この外層部材の種類が異なったり、(3)脚部継手に接続される立て管1100の種類が異なったりすることにより支持部材170により支持される位置における脚部継手100の外径(ここでは立て管接続部110の外径)が異なっても、上部突起部112に支持部材170が当接して設けられるために、同じ(種類の)支持部材170を用いることができる。
【0055】
一方、下部突起部122は、
図10(A)に示す脚部継手100の正面外形図に示すように、脚部継手100における本体部101を構成する円弧状のベンド部130から下方へ向けてリブ状に形成されている。そして、この
図10(A)に示すように、この下部突起部122は、建物の各層の床または天井を形成するスラブに平行な水平面122Lを備える。このように円弧状ではなく直線状の下部突起部122を備える脚部継手100は、アングル材等の支持部材180により安定的に支持することができる。
【0056】
なお、脚部継手100の本体部101における立て管接続部110の外周面に設けられる上部突起部112はその周方向の少なくとも一部に設けられるために、
図9に示す脚部継手103の本体部101(の立て管接続部110)が備える上部突起部113、および/または、
図9に示す脚部継手103の立て管接続部材323が備える上部突起部113のように全周に設けるようにしても構わない。
【0057】
次に、
図11~
図13を参照して、水膜切断突起140について説明する。
図11に脚部継手100の本体部101に設けられる水膜切断突起140の各方向から見た図を示す。より具体的には、
図11において、左上図には水膜切断突起140の正面図が、右上図には水膜切断突起140の背面図が、右下図には水膜切断突起140の下面図が、それぞれ図示されている。
【0058】
この水膜切断突起140は、正面図で図示される正面視で、略三角形の簡易な形状を備える1つの突起物から形成されるために、簡易な形状であることから強度が高く、略三角系であることから効率的に水膜を切断できて、水膜切断突起140の下側に空気が通る空間を作ることができる。
この水膜切断突起140が、存在しない場合の水膜の状態を
図12(A)に、存在する場合の水膜の状態を
図12(B)に、それぞれ示す。
【0059】
図12(A)に示すように、水膜切断突起140が存在しない場合には、立て管から脚部継手に落下した排水により水膜が形成されて空気の通り道が存在しない(空気層を確保できない)。このように立て管からの排水時に脚部継手内に空気層を確保できないと脚部継手内が排水によって満たされてしまい、排水が脚部継手から高速で排出されると立て管内が負圧になり易く、排水が脚部継手から低速で排出されると立て管内が正圧になり易く、立て管内の予期しない負圧化や正圧化が発生してしまう。立て管内の負圧が大きいことにより排水トラップに溜まっている水が立て管側に吸引されてしまったり、立て管内の正圧が大きいことにより排水トラップに溜まっている水が室内側に噴出してしまったりして、封水破壊を引き起こすという問題がある。
【0060】
一方、
図12(B)に示すように、水膜切断突起140が存在する場合には、立て管から脚部継手に流下した排水流が水膜切断突起140に当たって排水流が二手に分かれて空気の通り道を確保できるために、封水破壊を引き起こすことを抑制できる。
このように封水破壊等の問題を発生させないためには、排水流を水膜切断突起140に確実に当てる必要があるために、
図1~
図4に示すように、立て管受口304を用いて、立て管の管芯を横管接続部120に(
図13(A)に示すように)接近させて偏芯させている。ここで、水膜切断突起140に確実に流下水を当てる効果以外に、脚部継手100に接続される立て管の管径が小さくなった場合に、横管接続部120に(
図13(B)に示すように)離隔させるよりも(
図13(A)に示すように)接近させる方が好ましい理由について説明する。
【0061】
図13(B)に示すように、外側に偏芯させると、排水が脚部継手100の本体部101(ベンド部130)に当たるまでの距離WLが短くなってしまい、排水空間WSが狭くなる。この排水空間WSが狭いと、立て管内の空気の通り道が塞がりやすく、過大な正圧の発生につながりやすい。
一方、
図13(A)に示すように、内側に偏芯させると、排水が脚部継手100の本体部101(ベンド部130)に当たるまでの距離WLが長くなり、排水空間WSが広くなる。この排水空間WSが広いと、立て管内の空気の通り道が塞がりにくく、過大な正圧の発生につながりにくい。
【0062】
次に、
図14(一部は
図10)を参照して、脚部継手100に外層部材(制振材160、振動絶縁体(吸音材150)、遮音材152)が設けられる場合の、上部突起部112と支持部材170のバンド部172との関係について説明する。
図10(A)に示すように、上部突起部112は幅Wおよび高さHの大きさを備えるとともに、この脚部継手100に設けられる外層部材(この
図14(A)の拡大図では吸音材150のみとする)よりも出っ張る長さLを備える。外層部材である吸音材150における上部突起部112の位置には(幅Wおよび高さHの大きさよりも少し大きな)開口部を備えるために、
図14(A)の拡大図に示すように、上部突起部112は支持部材170のバンド部172に必ず当接する。このため、脚部継手100に装着される外層部材の有無、外層部材の種類、および、立て管接続部110に接続される立て管または集合管の種類によらないで、同じ(種類の)支持部材170を用いることができる。
【0063】
次に、
図15を参照して、脚部継手100に支持部材170が取り付けられた状態について説明する。上述した
図14(A)の拡大図に示すように、脚部継手100が外層部材(ここでは吸音材150)を備える場合において、上部突起部112は外層部材の開口部から出っ張ってその先端が外層部材よりも出っ張って露出している。この状態で、上部突起部112の先端に支持部材170のバンド部172(たとえば半円環状のバンドの組み合わせ)が当接して、支持部材170の締結部材174(たとえば半円環状のバンドの組み合わせをボルトとナットとで螺合させて一体化させる部材)により、脚部継手100の本体部101の立て管接続部110に支持部材170が取り付けられる。この場合において、この支持部材170は、脚部継手100に装着される外層部材の有無、外層部材の種類、および、立て管接続部110に接続される立て管または集合管の種類によらないで、同じ(種類の)部材を用いることができて好ましい。なお、この支持部材170は、半円環状のバンドの組み合わせが一体化された状態で、寸切りボルトBを挿通させる円形の寸切りボルト穴部を備える。
【0064】
次に、
図16を参照して、脚部継手100に支持部材180が取り付けられた(当接された)状態について説明する。
図16に示すように、この脚部継手100においては、ベンド部130の曲面部(立て管を流下した排水流が当たる位置)に制振材160が存在して、支持部材180が取り付けられる下部突起部122の位置には、制振性を実現させるための外層部材としての制振材160が存在せず、遮音性を実現させるための外層部材としての吸音材150または吸音材150に加えて遮音材152(
図16の拡大図においては吸音材150に加えて遮音材152)が存在する。下部突起部122は、水平面122Lを備えるために、
図16に示すように、この水平面122Lにアングル材等の支持部材180の水平面180Lを当接させて安定的に支持することができる。なお、この支持部材180は、脚部継手100の本体部101のベンド部を安定的に支持した上で、次に説明する支持構造により、(吊り下げ支持部材180Dとして)最下層の床スラブSから吊り下げ支持されたり、(下方支持部材180USとして)最下層の床スラブSの下方のコンクリート基礎C等から支持されたりする。
【0065】
次に、
図7および
図17~
図21を参照して、脚部継手100の支持構造について説明する。なお、
図7は、上部突起部112および下部突起部122ならびに外層部材を備えない脚部継手100を、立て管接続部材320の位置で持ち上げ支持部材170Uにより床スラブSから持ち上げ支持した状態を示し、
図17は、脚部継手100を、立て管接続部材320の上部突起部112を用いて持ち上げ支持部材170Uにより持ち上げ支持するとともに、本体部101の上部突起部112を用いて吊り下げ支持部材170Dにより吊り下げ支持した状態を示し、
図18は、
図17において脚部継手100が断面図で示される外層部材を備える場合を示し、
図19は、脚部継手100を、立て管接続部材320の上部突起部112を用いて持ち上げ支持部材170Uにより持ち上げ支持するととも、本体部101の下部突起部122を用いて吊り下げ支持部材180Dにより吊り下げ支持した状態を示し、
図20は、脚部継手100を、本体部101の上部突起部112を用いて吊り下げ支持部材170Dにより吊り下げ支持するととも、本体部101の下部突起部122を用いて吊り下げ支持部材170Dにより吊り下げ支持した状態を示し、
図21は、脚部継手100を、本体部101の上部突起部112を用いて吊り下げ支持部材170Dにより吊り下げ支持するととも、本体部101の下部突起部122を用いて下方支持部材180USにより最下層の床スラブSの下方のコンクリート基礎C等から下方支持した状態を示す。
【0066】
持ち上げ支持部材170Uによる床スラブSからの持ち上げ支持は、脚部継手100の立て管接続部材320の上部突起部112にバンド部172の内周面が当接するように取り付けられた支持部材170の寸切りボルト穴部に寸切りボルトBが挿通されてナットNで螺合されて、床スラブSから持ち上げ支持される。
吊り下げ支持部材170Dによる床スラブSからの吊り下げ支持は、脚部継手100の本体部101の立て管接続部110の上部突起部112にバンド部172の内周面が当接するように取り付けられた支持部材170の寸切りボルト穴部に(吊り下げ支持部材180Dによる吊り下げ支持のための寸切りボルトBよりも短い)寸切りボルトBが挿通されてナットNで螺合されて、床スラブSから吊り下げ支持される。
【0067】
吊り下げ支持部材180Dによる床スラブSからの吊り下げ支持は、脚部継手100の本体部101の横管接続部120の下部突起部122の水平面122Lにアングル材等の支持部材180の水平面180Lが当接され、水平面122Lに設けられたボルト穴に寸切りボルトBが挿通されてナットNで螺合されて、床スラブSから吊り下げ支持される。
下方支持部材180USによる最下層の床スラブSの下方のコンクリート基礎C等からの持ち上げ支持は、脚部継手100の本体部101の横管接続部120の下部突起部122の水平面122Lにアングル材等の支持部材180の水平面180Lが当接され、垂直面の端部がコンクリート基礎C等に当接されて、コンクリート基礎C等から持ち上げ支持される。
【0068】
ここで、上部突起部112に当接して設けられる支持部材170、および/または、下部突起部122に当接して設けられる支持部材180は、防振性を備えた防振ゴム等を備えることが好ましい。
また、
図17、
図18、
図20および
図21に示すように、脚部継手100の本体部101の立て管接続部110が床スラブSに埋設されない場合には、スラブSの上での持ち上げ支持部材170Uによる床スラブSからの持ち上げ支持から、スラブSの下での吊り下げ支持部材170Dによる床スラブSからの吊り下げ支持へ、急遽変更できる点で好ましい。
【0069】
以上のようにして、本実施の形態に係る脚部継手100および脚部継手100を建物の床スラブSに施工した排水配管構造によると、少ない部品点数で、かつ、施工現場における施工時間を短くすることができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、建築物の床スラブSを貫通して設けられる脚部継手に好ましく、少ない部品点数で、かつ、施工現場における施工時間を短くすることができる点で特に好ましい。
【符号の説明】
【0071】
100 脚部継手
101 本体部
110 立て管接続部
112 上部突起部
120 横管接続部
122 下部突起部
130 ベンド部
140 水膜切断突起
150 吸音材(振動絶縁体)
152 遮音材
160 制振材
170D 吊り下げ支持部材
170U 持ち上げ支持部材
180D 吊り下げ支持部材
180US 下方支持部材
300 立て管受口
310 接続部材
320 立て管接続部材
1100 立て管
1200 横主管