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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172706
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20231129BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20231129BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20231129BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20231129BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G16Y40/20
G16Y20/20
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084690
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521373700
【氏名又は名称】株式会社Create-C
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 卓也
(72)【発明者】
【氏名】吉本 雅利
(72)【発明者】
【氏名】井上 誠
(72)【発明者】
【氏名】古川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】城山 晃一
(72)【発明者】
【氏名】仲条 仁
(72)【発明者】
【氏名】ティティポンタラグン ノンタチャイ
(72)【発明者】
【氏名】藤井 琢哉
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC04
5H181DD07
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】車両の運転中に発生した危険事象を運転者に容易に認識させる。
【解決手段】車両において周期的に撮影された画像、当該画像が撮影された日時を示す日時情報、及び、当該画像が撮影された位置を示す位置情報、前記車両の状態を示す走行情報を格納する記憶部と、前記画像、前記走行情報に基づいて、前記画像ごとに、前記車両の危険な運転を示す危険事象の有無を検出し、前記危険事象を含む画像に対応する前記位置情報に基づいて、前記危険事象を含む画像が撮影された位置を示す地図を含む画像を生成し、前記日時情報に基づいて、前記危険事象を含む画像を含む動画像を生成する制御部と、を備える情報処理装置とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両において周期的に撮影された画像、当該画像が撮影された日時を示す日時情報、及び、当該画像が撮影された位置を示す位置情報、前記車両の状態を示す走行情報を格納する記憶部と、
前記画像、前記走行情報に基づいて、前記画像ごとに、前記車両の危険な運転を示す危険事象の有無を検出し、前記危険事象を含む画像に対応する前記位置情報に基づいて、前記危険事象を含む画像が撮影された位置を示す地図を含む画像を生成し、前記日時情報に基づいて、前記危険事象を含む画像を含む動画像を生成する制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記車両が走行する道路の制限速度を示す制限速度情報を格納し、
前記走行情報は、前記車両の速度を示す速度情報を含み、
前記危険事象は、前記車両が走行する位置において、前記速度が前記制限速度を超過することを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記走行情報は、前記車両の速度を示す速度情報を含み、
前記危険事象は、前記車両と当該車両の前を走行する車両との間の車間距離が前記速度情報に基づく基準値未満であることを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記危険事象は、前記車両の走行位置が不適切であることを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記車両を運転する運転者を識別する運転者識別情報を含み、
前記制御部は、前記運転者識別情報に基づいて、前記運転者ごとに前記危険事象の検出数を算出する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記日時情報に基づいて、所定期間ごとに前記危険事象の検出数を算出する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記位置情報に基づいて、所定領域ごとに前記危険事象の検出数を算出する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、1運転者当たりの前記危険事象の検出数の平均値、分散を算出し、前記平均値、分散に基づいて、前記運転者ごとに安全運転の度合いを示す指数を算出する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記指数は、前記危険事象ごとに重みづけをされて、算出される、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
車両において周期的に撮影された画像、当該画像が撮影された日時を示す日時情報、及び、当該画像が撮影された位置を示す位置情報、前記車両の状態を示す走行情報を格納する記憶部と、制御部とを備える情報処理装置において、
前記制御部が、前記画像、前記走行情報に基づいて、前記画像ごとに、前記車両の危険な運転を示す危険事象の有無を検出し、前記危険事象を含む画像に対応する前記位置情報
に基づいて、前記危険事象を含む画像が撮影された位置を示す地図を含む画像を生成し、前記日時情報に基づいて、前記危険事象を含む画像を含む動画像を生成する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大型車などの車両に設置したカメラで、車両の運転中に撮影された画像を用いて、運転行動に対する安全管理が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-234414号公報
【特許文献2】特開2017-191368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転行動に対する安全管理のために、車両の運転中に撮影された画像から、危険事象等を抽出することが求められる。危険事象には、制限速度超過、走行位置の異常、車間距離不足などがある。しかし、運転中に撮影される画像の量は膨大であり、膨大な画像から、危険事象等を抽出することは難しい。また、抽出した危険事象を運転者に指摘した際に、当該運転者に危険事象が発生したときの状況を思い出させることは難しい。
【0005】
開示の実施形態は、車両の運転中に発生した危険事象を運転者に容易に認識させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、第1の態様は、
車両において周期的に撮影された画像、当該画像が撮影された日時を示す日時情報、及び、当該画像が撮影された位置を示す位置情報、前記車両の状態を示す走行情報を格納する記憶部と、
前記画像、前記走行情報に基づいて、前記画像ごとに、前記車両の危険な運転を示す危険事象の有無を検出し、前記危険事象を含む画像に対応する前記位置情報に基づいて、前記危険事象を含む画像が撮影された位置を示す地図を含む画像を生成し、前記日時情報に基づいて、前記危険事象を含む画像を含む動画像を生成する制御部と、
を備える情報処理装置とする。
【0007】
開示の態様は、プログラムが情報処理装置によって実行されることによって実現されてもよい。即ち、開示の構成は、上記した態様における各手段が実行する処理を、情報処理装置に対して実行させるためのプログラム、或いは当該プログラムを記録した情報処理装置が読み取り可能な記録媒体として特定することができる。また、開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を情報処理装置が実行する方法をもって特定されてもよい。開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を行う情報処理装置を含むシステムとして特定されてもよい。なお、情報処理装置は、例えば、コンピュータである。コンピュータは、パソコンやサーバと呼ばれることもある。
【発明の効果】
【0008】
開示の実施形態は、車両の運転中に発生した危険事象を運転者に容易に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態のシステムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態のサーバ装置100の構成例を示す図である。
図3図3は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図4図4は、サーバ装置100の動作フローの例を示す図である。
図5図5は、生成される動画像の例を示す図である。
図6図6は、地図上に危険事象が検出された位置をプロットした画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、発明の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0011】
〔実施形態〕
〈構成例〉
図1は、本実施形態のシステムの構成例を示す図である。本実施形態のシステムは、サーバ装置100、携帯端末200を含む。サーバ装置100と、携帯端末200とは、インターネットなどのネットワークを介して、通信可能に接続される。携帯端末200は、車両10に設置され、車両10の運転中に、車両10の前方を撮影するカメラを備える。携帯端末200で撮影された画像は、サーバ装置100に送信される。サーバ装置100は、携帯端末200から撮影された画像を受信し、危険事象を含む画像を検出する。サーバ装置100は、危険事象を含む画像を含む動画像を生成する。ここでは、車両10及び携帯端末200を各1つとしているが、車両10及び携帯端末200の数は、1つに限定されるものではなく、複数存在し得る。
【0012】
図2は、本実施形態のサーバ装置100の構成例を示す図である。サーバ装置100は、制御部102、記憶部104、入力部106、出力部108、通信IF110を含む。サーバ装置100は、情報処理装置の一例である。
【0013】
制御部102は、記憶部104に格納される画像と当該画像に対応付けられる車両10の走行情報とを取得する。制御部102は、画像と走行情報に基づいて、車両の走行状態を求める。また、制御部102は、画像、走行情報、走行状態に基づいて、当該画像に危険事象が含まれるか否かを判定する。制御部102は、危険事象を含むと判定した画像に対応付けて、危険事象の情報を、記憶部104に格納する。制御部102は、危険事象を含む画像及び、当該画像の前後に撮影された画像を用いて、危険事象を含む動画像を生成する。動画像は、複数のフレームの静止画像(画像)の集合体である。また、制御部102は、記憶部104に格納される危険事象の情報等に基づいて、車両10の走行に関する危険事象の集計を行う。危険事象の集計は、例えば、期間毎、時間帯毎、地域毎、運転者毎、天気毎などによって行われる。
【0014】
記憶部104は、車両10に設置された携帯端末200のカメラで撮影された画像と車両10の走行状態を示す走行情報と画像が撮影された日時を示す日時情報とを対応付けて格納する。記憶部104に格納される画像は、車両10に設置された携帯端末200のカメラによって撮影された画像である。画像に対応付けられる走行情報には、例えば、車両10の速度、車両10の位置を示す位置情報などが含まれる。走行情報は、車両10の制御システム等から取得されてもよい。また、記憶部104は、各種の危険事象を推定する学習済みの推定モデルを格納する。
【0015】
入力部106は、利用者等による情報の入力を受け付ける入力手段である。入力部106は、キーボード、ポインティングデバイス等の入力装置である。
【0016】
出力部108は、利用者等に対する情報の表示等の出力を行う出力手段である。出力部108は、例えば、ディスプレイ等の表示装置である。
【0017】
通信IF(インタフェース)110は、通信ネットワーク等を介して他の情報処理装置などと通信をするインタフェースである。通信部110は、他の情報処理装置である携帯端末200などから、画像及び走行情報を受信する。
【0018】
携帯端末200は、車両10の走行中、車両10に設置される。携帯端末200は、少なくともカメラを備える。携帯端末200のカメラは、例えば、車両10のフロントガラス中央上方に設置され、車両10の走行方向(前方向)に向けられる。携帯端末200のカメラは、車両10の走行中、周期的に(所定の時間間隔毎(例えば、1秒毎、10秒毎、30秒毎、1分毎、5分毎)に)、車両10の走行方向を撮影する。車両10の走行中には、車両10が移動している場合だけでなく、車両10が一時的に停車する場合も含まれる。携帯端末200は、撮影した画像を、車両10の走行情報、撮影日時を示す日時情報とともに、サーバ装置100に送信する。車両10の走行情報は、例えば、車両10の速度、車両10の位置情報などである。車両10の速度は、例えば、携帯端末200の加速度検出機能、位置検出機能により算出され得る。車両10の位置情報は、例えば、携帯端末200の位置検出機能により算出され得る。車両10の走行情報は、車両10を識別する車両識別情報、車両10の運転者を識別する運転者識別情報を含んでもよい。また、携帯端末200は、車両10の車載装置等から車両10の速度、車両10の位置情報を取得してもよい。携帯端末200は、撮影した画像を、撮影されるたびに、サーバ装置100に送信しても、所定所間毎に、複数の画像をまとめて、サーバ装置100に送信してもよい。また、携帯端末200は、車両10の運転が終了したのちに、複数の画像をまとめて、サーバ装置100に送信してもよい。
【0019】
図3は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。図3に示す情報処理装置90は、一般的なコンピュータの構成を有している。サーバ装置100、携帯端末200は、図3に示すような情報処理装置90を用いることによって、実現される。図3の情報処理装置90は、プロセッサ91、メモリ92、記憶部93、入力部94、出力部95、通信制御部96を有する。これらは、互いにバスによって接続される。メモリ92及び記憶部93は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。情報処理装置のハードウェア構成は、図3に示される例に限らず、適宜構成要素の省略、置換、追加が行われてもよい。
【0020】
情報処理装置90は、プロセッサ91が記録媒体に記憶されたプログラムをメモリ92の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、所定の目的に合致した機能を実現することができる。
【0021】
プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)である。
【0022】
メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。メモリ92は、主記憶装置とも呼ばれる。
【0023】
記憶部93は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスク
ドライブ(HDD、Hard Disk Drive)である。また、記憶部93は、リムーバブルメデ
ィア、即ち可搬記録媒体を含むことができる。リムーバブルメディアは、例えば、USB
(Universal Serial Bus)メモリ、あるいは、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)のようなディスク記録媒体である。記憶部93は、補助記憶装置とも呼ばれる。
【0024】
記憶部93は、情報処理装置90で使用される、各種のプログラム、各種のデータ及び各種のテーブルを読み書き自在に記録媒体に格納する。記憶部93には、オペレーティングシステム(Operating System :OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。記憶部93に格納される情報は、メモリ92に格納されてもよい。また、メモリ92に格納される情報は、記憶部93に格納されてもよい。
【0025】
オペレーティングシステムは、ソフトウェアとハードウェアとの仲介、メモリ空間の管理、ファイル管理、プロセスやタスクの管理等を行うソフトウェアである。オペレーティングシステムは、通信インタフェースを含む。通信インタフェースは、通信制御部96を介して接続される他の外部装置等とデータのやり取りを行うプログラムである。外部装置等には、例えば、他の情報処理装置、外部記憶装置等が含まれる。
【0026】
入力部94は、キーボード、ポインティングデバイス、ワイヤレスリモコン、タッチパネル等を含む。また、入力部94は、カメラのような映像や画像の入力装置や、マイクロフォンのような音声の入力装置を含むことができる。
【0027】
出力部95は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electroluminescence)パ
ネル、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、PDP(Plasma Display Panel)等の表示装置、プリンタ等の出力装置を含む。また、出力部95は、スピーカのような音声の出力装置を含むことができる。
【0028】
通信制御部96は、他の装置と接続し、情報処理装置90と他の装置との間の通信を制御する。通信制御部96は、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェースボード、無線通信のための無線通信回路、有線通信のための通信回路である。LANインタフェースボードや無線通信回路は、インターネット等のネットワークに接続される。
【0029】
情報処理装置90は、プロセッサが補助記憶部に記憶されたプログラムを主記憶部の作業領域に実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器等の制御を行う。これにより、情報処理装置は、所定の目的に合致した機能を実現することができる。主記憶部及び補助記憶部は、情報処理装置が読み取り可能な記録媒体である。
【0030】
〈動作例〉
図4は、サーバ装置100の動作フローの例を示す図である。車両10に搭載される携帯端末200は、あらかじめ、車両10の走行中に、携帯端末200のカメラで撮影された画像を、ネットワークを介して、サーバ装置100に送信している。サーバ装置100の制御部102は、通信IF110を介して、携帯端末200からの画像を受信している。サーバ装置100の制御部102は、受信した画像を、記憶部104に格納している。携帯端末200は、撮影した画像とともに、車両10の走行情報等を、サーバ装置100に送信している。サーバ装置100の制御部102は、携帯端末200から受信した走行情報等を画像と対応付けて記憶部104に格納している。
【0031】
S101では、サーバ装置100の制御部102は、記憶部104に格納される画像及び走行情報を取得する。画像は、車両10の走行時等に車両10の走行方向等を撮影したものである。走行情報は、例えば、車両10の速度を示す速度情報、車両10の位置を示す位置情報である。位置情報は、例えば、緯度、経度によって示される。また、走行情報には、車両10を識別する車両識別情報、車両19を運転する運転者を識別する運転者識
別情報などが含まれる。
【0032】
S102では、制御部102は、S101に取得した画像について、危険事象を含むか否かを検出する。制御部102は、危険事象を、取得した画像、及び、車両10の走行情報に基づいて、検出する。危険事象は、例えば、速度(スピード)オーバー、車間距離不足、走行位置不適などである。制御部102は、複数の危険事象を検出してもよい。
【0033】
危険事象として、速度オーバーを検出する場合について説明する。速度オーバーは、車両10の速度が、道路に指定される制限速度を超過している状態である。制御部102は、取得した画像に対応付けられる速度と、位置情報とを取得する。位置情報は、画像が撮影された日時において車両10が走行していた位置を示す情報である。制御部102は、位置情報に基づいて、車両10が走行していた道路の情報(道路の名称、制限速度を示す制限速度情報等)を取得する。制御部102は、例えば、サーバ装置100の記憶部104にあらかじめ格納されるデータベースや、既存のインターネット上の他の情報処理装置が有するデータベース等を使用して、位置情報に基づいて、車両10が走行していた道路の情報を取得することができる。当該データベースには、例えば、位置情報と道路の情報とが対応付けられて格納されている。制御部102は、取得した道路の情報から、車両10が走行している道路の制限速度の情報を取得する。制御部102は、取得した制限速度の情報と、車両10との速度とを比較して、車両10との速度が制限速度を超過している場合を、危険事象(速度オーバー)として検出する。車両10の速度が当該制限速度を10%超過している状態を、速度オーバーとしてもよい。
【0034】
危険事象として、車間距離不足を検出する場合について説明する。車間距離不足は、車両10の前を走行する車両との距離が安全車間距離未満である状態である。安全車間距離は、ブレーキをかけるまでの空走距離とブレーキをかけてから停車するまでの制動距離との和により算出される距離である。空走距離は、車両10の速度に比例する。制動距離は、車両10の速度の2乗に比例する。よって、安全車間距離は、車両10の速度の関数として表される。安全車間距離は、基準値の例である。制御部102は、車両から他の車両を撮影した画像と車間距離との関係を学習した学習済み車間距離推定モデルを用いて、取得した画像から、車両10の前を走行する車両との車間距離を算出する。また、制御部102は、取得した画像に対応付けられる速度を取得する。制御部102は、取得した車両10の速度を用いて、安全車間距離を算出する。制御部102は、算出した車間距離と、安全車間距離とを比較して、車間距離が安全車間距離未満である場合を、危険事象(車間距離不足)として検出する。
【0035】
学習済み車間距離推定モデルは、車両から他の車両を撮影した画像と、当該2つの車両の車間距離との組を教師データとして、教師あり機械学習等により生成された学習済み推定モデルである。ここで使用される機械学習の手法に限定はない。数多くの教師データが使用されることで、より精度の高い学習済み推定モデルが生成される。後述の他の学習済み推定モデルについても同様である。
【0036】
危険事象として、走行位置不適を検出する場合について説明する。走行位置不適は、車両10が道路の車線内の中央付近で走行せずにセンターライン(車線境界線)をはみ出して走行している状態(走行位置が不適切である状態)である。制御部102は、走行中に車両から撮影した画像とセンターラインはみ出しの有無との関係を学習した学習済み走行位置不適推定モデルを用いて、取得した画像から、車両10の走行位置がセンターラインからはみ出しているか否かを検出する。制御部102は、車両10の走行位置がセンターラインからはみ出している場合を、危険事象(走行位置不適)として検出する。
【0037】
学習済み走行位置不適推定モデルは、走行中に車両から撮影した画像とセンターライン
はみ出しの有無の組を教師データとして、教師あり機械学習等により生成された学習済み推定モデルである。
【0038】
危険事象として、黄色センターライン(黄色車線境界線)はみ出しを検出する場合について説明する。黄色センターラインはみ出しは、車両10が黄色センターラインをはみ出して走行している状態である。法令上、黄色センターラインをはみ出して走行することは禁止されている。制御部102は、走行中に車両から撮影した画像と黄色センターラインはみ出しの有無との関係を学習した学習済み黄色センターラインはみ出し推定モデルを用いて、取得した画像から、車両10の走行位置が黄色センターラインからはみ出しているか否かを検出する。制御部102は、車両10の走行位置が黄色センターラインからはみ出している場合を、危険事象(黄色センターラインはみ出し)として検出する。
【0039】
学習済み黄色センターラインはみ出し推定モデルは、走行中に車両から撮影した画像と黄色センターラインはみ出しの有無の組を教師データとして、教師あり機械学習等により生成された学習済み推定モデルである。
【0040】
また、危険事象の他の例として、例えば、一時停止箇所での不十分な減速、急カーブでの対向車接近、歩行者接近などが挙げられる。一時停止箇所での不十分な減速は、一時停止標識がある位置での車両10の速度が所定速度(10km/h)以上である場合である。急カーブでの対向車接近は、急カーブなどで車両10と対向車との距離が所定距離以下になった場合である。歩行者接近は、車両10と歩行者との距離が2m以下である場合である。これらの危険事象であるか否かの検出は、例えば、上記と同様にように学習済み推定モデルを用いることにより可能である。危険事象は、ここに記載したものに限定されるものではない。
【0041】
S103では、制御部102は、S102で危険事象を検出したか否かを判定する。危険事象を検出した場合(S103:YES)、処理がS104に進む。危険事象を検出していない場合(S103;NO)、処理がS106に進む。
【0042】
S104では、制御部102は、検出したそれぞれの危険事象を示す情報を、S101で取得した画像と対応付けて、記憶部104に格納する。
【0043】
S105では、制御部102は、検出した危険事象を含む画像を含む動画像を生成する。制御部102は、記憶部104から、S101で取得した画像の前後に撮影された画像を取得する。制御部102は、例えば、S101で取得した画像が撮影した時刻の1分前以降に撮影された画像から1分後以前に撮影された画像までを取得する。ここでは、1分前から1分後までとしているが、1分前から1分後までに限定されるものではなく、10分前から10分後までなどであってもよい。制御部102は、取得した画像を撮影時刻順に並べて、1つの動画像を生成する。動画像は、複数のフレームの静止画像(画像)の集合体である。当該動画像の各画像には、撮影日時、車両10の速度、車両10と前を走行する車両との車間距離、位置情報、運転者の識別情報などの文字情報が含まれてもよい。制御部102は、生成した動画像を記憶部104に格納する。当該動画像を車両10の運転者や当該運転者の管理者などが見ることで、危険事象が検出された際の状況を後から把握することができる。また、危険事象が検出された画像だけでなく、危険事象が検出される前の時刻から検出された後の時刻までの動画像とすることで、危険事象が検出された際の状況を把握しやすくなる。
【0044】
図5は、生成される動画像の例を示す図である。図5の例では、携帯端末200によって車両10で撮影された画像に、道路及び前方を走行する車両が示されている。また、画像には、撮影日時(2022年5月10日15時30分)、運転者名(AAA)、車両10の速度(5
8km/h)、当該道路の制限速度(60km/h)、前方の車両との間の車間距離(20m)、安全車間距離(30m)の文字情報が重ねられている。当該画像には、撮影位置などの他の文字情
報が重ねられてもよい。生成される動画像により、車両10の運転者や管理者等は、危険事象検出時の状況や走行状態を容易に把握することができる。
【0045】
S106では、制御部102は、記憶部104に格納される危険事象の検出の対象となるすべての画像について、危険事象の検出を行ったか否かを判定する。すべての画像について危険事象の検出を行った場合(S106;YES)、処理がS107に進む。未だ、すべての画像について危険事象の検出を行っていない(未処理の画像が存在する)場合(S106;NO)、処理がS101に進む。
【0046】
S107では、制御部102は、検出された危険事象を集計する。制御部102は、記憶部104に格納される危険事象の情報に基づいて、車両の運転者毎に、所定期間(例えば、1か月間)における各危険事象の検出数を計数する。制御部102は、計数した運転者毎の所定期間における各危険事象の検出数を、記憶部104に格納する。また、制御部102は、各危険事象について、所定期間における1運転者当たりの各危険事象の検出数の平均値、分散(標準偏差)を算出する。さらに、制御部102は、算出した平均値、分散を用いて、運転者毎に各危険事象の検出数の偏差値を算出する。このとき、運転者の各偏差値の値が小さいほど、当該運転者は安全に車両を運転していることを示す。また、各危険事象の検出数の偏差値を、(偏差値―50)×(-1)+50の式で新たな点数値に変換してもよい。変換した点数値では、危険事象の検出値が平均である場合に、点数値50となり、危険事象の検出値が平均から1標準偏差(1σ)分、少ない場合には、点数値60となる。また、危険事象の検出値が平均から1標準偏差(1σ)分、多い場合には、点数値40となる。即ち、点数値が高いほど、運転者は安全に車両を運転していることを示す。運転者毎の当該点数値の合計を、運転者の安全運転度合いを示す指数としてもよい。このとき、運転者の指数の値が大きいほど、当該運転者は安全運転していることを示す。運転者は、過去の自分や他の運転者と指数の値を比較することにより、安全運転度合いを客観的に比較できるようになる。運転者が、より高い値を目指すことで、安全運転に寄与することになる。
【0047】
安全運転度合いを示す指数は、他の方法により算出されてもよい。例えば、平均で70、危険事象の検出値が平均から1標準偏差(1σ)だけ少ない場合に、100となるように算出されてもよい。また、各危険事象の点数値の合計を算出する際に、各危険事象の点数値を単に合計する代わりに、特定の条件において重みづけを行ってもよい。例えば、速度オーバーをしないことが他の危険事象よりも大事であると考える場合には、速度オーバーの点数値の重みづけを大きくする。これにより、速度オーバーの検出数が少ない運転者の点数値がより大きくなる。また、交通安全キャンペーン期間中など特定の期間における点数値の重みづけを大きくしてもよい。これにより、特定の期間において危険事象の検出数が少ない運転者の点数値がより大きくなる。また、事故が起こりやすいなど特定の時間帯(例えば、17時から19時まで)における点数値の重みづけを大きくしてもよい。これにより、特定の時間帯において危険事象の検出数が少ない運転者の点数値がより大きくなる。また、特定の地域における点数値の重みづけを大きくしてもよい。これにより、特定の地域において危険事象の検出数が少ない運転者の点数値がより大きくなる。重みづけを行うことで、運転者が、特定の条件において、より安全運転を目指すことを促すことができる。また、制御部102は、運転者毎の点数値を高い順に並べたランキング表を作成してもよい。車両10の運転者や運転者の管理者等は、ランキング表により、運転者の安全運転の度合いを比較しやすくなる。
【0048】
また、制御部102は、例えば、期間毎、運転者毎、時間帯毎、地域(領域)毎、天候毎に、各危険事象の検出数を集計してもよい。天候の情報は、例えば、既存のインターネ
ット上の他の情報処理装置が有するデータベース等を使用して、日時情報、位置情報に基づいて、車両10が走行していた位置の天候の情報を取得することができる。当該データベースには、例えば、日時情報、位置情報と、天気の情報とが対応付けられて格納されている。制御部102は、S101で取得される画像毎に天候の情報を対応付けることで、天候毎に集計を行うことができる。
【0049】
また、制御部102は、地図上に、危険事象が検出された位置(危険事象を含む画像が撮影された位置)をプロットした画像を生成してもよい。制御部102は、記憶部104にあらかじめ格納される地図や既存のインターネット上の他の情報処理装置が有するデータベース等を使用して、車両10が走行した地域を含む地図を取得する。制御部102は、危険事象が検出された位置の位置情報等に基づいて、地図上に、危険事象が検出された地点をプロットした画像を生成する。生成した画像は、記憶部104に格納される。当該画像により、危険事象が検出された位置を認識しやすくなる。
【0050】
図6は、地図上に危険事象が検出された位置をプロットした画像の例を示す図である。図6の例では、車両が走行する複数の道路(道路A-道路E)が記載された地図上に、所定のマークで危険事象が検出された位置がプロットされている。これにより、車両10の運転者や管理者などは、危険事象が発生しやすい位置、発生しにくい位置を認識しやすくなる。危険事象を示すマークは、危険事象の種類、運転者、期間、時間帯、天候等の所定の条件毎に、色彩や形状を変えられてもよい。所定の条件毎に、危険事象を示すマークの色彩や形状を変えることで、どの位置でどのような条件で、危険事象が発生しやすいかが認識されやすくなる。図6の例では、道路Aと道路Bとが交差する交差点Aの近傍で、他の場所に比べて多くの危険事象が検出されていることが分かる。また、画像において、危険事象を示すマークを選択することにより、危険事象の情報(検出日時、危険事象の種類等)が表示されるようにしてもよい。図5の例では、右端のマークが選択されて、危険事象の情報(検出日時(2022年5月20日10時15分)、危険事象の種類(速度オーバー))が
表示されている。
【0051】
S107の集計の処理は、他の処理から独立して行われてもよい。
【0052】
(実施形態の作用、効果)
本実施形態のシステムは、サーバ装置100、携帯端末200を含む。携帯端末200は、車両10に設置され、車両10の運転中に、車両10の前方を撮影するカメラを備える。携帯端末200で撮影された画像は、サーバ装置100に送信される。サーバ装置100は、携帯端末200から撮影された画像を受信し、危険事象を含む画像を検出する。サーバ装置100は、危険事象を含む画像を含む動画像を生成する。当該動画像を車両10の運転者や当該運転者の管理者などが見ることで、危険事象が検出された際の状況を後から把握することができる。また、危険事象が検出された画像だけでなく、危険事象が検出される前の時刻から検出された後の時刻までの動画像とすることで、危険事象が検出された際の状況を把握しやすくなる。
【0053】
サーバ装置100は、期間毎、運転者毎、時間帯毎、地域毎、天候毎に、各危険事象の検出数を集計する。また、サーバ装置100は、各危険事象の検出数に基づいて、運転者毎に安全運転の度合いを示す指数を算出する。車両10の運転者は、当該指数により、過去の自分や他の運転者と、安全運転の度合いを客観的に比較することができる。また、サーバ装置100は、安全運転の度合いを示す指数を算出する際に、特定の条件において重みづけをすることができる。特定の条件において重みづけをすることで特定の条件においてより安全運転とすることを運転者に促すことができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれ
らに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、各構成の組み合わせなど、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0055】
<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0056】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM(リードオンリーメモリ)等がある。さらに、SSD(Solid State Drive)は、コンピュータ等から取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータ
等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
100 サーバ装置
102 制御部
104 記憶部
106 入力部
108 出力部
110 通信IF
200 携帯端末
図1
図2
図3
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図5
図6