(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172750
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】冷凍装置に用いられるアキュムレータ
(51)【国際特許分類】
F25B 43/00 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
F25B43/00 D
F25B43/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084776
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】小川 歩
(72)【発明者】
【氏名】福永 剛
(72)【発明者】
【氏名】小森 啓治
(57)【要約】
【課題】アキュムレータの振動を抑制する。
【解決手段】アキュムレータ(16)は、ケーシング(71)と、冷媒導入部(72)と、衝突部(73)と、を備える。ケーシング(71)は、支持部材(51)によって圧縮機(11)に固定される。冷媒導入部(72)は、ケーシングの内部へ冷媒を導入する。衝突部(73)は、傾斜部(73a)を有する。冷媒導入部から導入された冷媒は傾斜部に衝突することによってケーシングを圧縮機へ向かって押す。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材(51)によって圧縮機(11)に固定されるケーシング(71)と、
前記ケーシングの内部へ冷媒を導入する冷媒導入部(72)と、
傾斜部(73a)を有し、前記冷媒導入部から導入された前記冷媒は前記傾斜部に衝突することによって前記ケーシングを前記圧縮機へ向かって押す、衝突部(73)と、
を備える、アキュムレータ(16)。
【請求項2】
前記衝突部(73)は、衝突面(75)を有するとともに、前記冷媒に含まれる液体と気体を分離するバッフル(73)であり、
前記衝突面は、前記圧縮機に近づくほど高くなるように、前記冷媒導入部から導入される前記冷媒の進行方向と鋭角(θ2)をなすように配置されている、
請求項1に記載のアキュムレータ。
【請求項3】
前記衝突部(73)は、前記ケーシングの外部に位置する入口(79a)、前記ケーシングの内部に位置する湾曲部(77)、及び前記ケーシングの内部に位置する出口(79b)を有する吸入管(79)、であり、
前記出口は、前記圧縮機から離間する方向へ前記冷媒を排出する、
請求項1に記載のアキュムレータ。
【請求項4】
前記衝突部(73)は、前記ケーシングの内部に配置され、前記冷媒導入部から第1進行方向(D1)へ進む前記冷媒を受け取るとともに、前記第1進行方向とは異なる第2進行方向(D2)へ前記冷媒を排出する曲管(81)、である、
請求項1に記載のアキュムレータ。
【請求項5】
前記支持部材の上端(51a)は、支持部材上端高さ位置(H1)にあり、
前記ケーシングの高さ方向の中心(71a)は、中心高さ位置(H2)にあり、
前記ケーシングの重心(71g)は、重心高さ位置(H3)にあり、
前記支持部材上端高さ位置(H1)は、前記中心高さ位置(H2)よりも低く、
前記重心高さ位置(H3)は、前記中心高さ位置(H2)よりも低い、
請求項1から4のいずれか1項に記載のアキュムレータ。
【請求項6】
前記重心高さ位置(H3)は、前記支持部材上端高さ位置(H1)よりも低い、
請求項5に記載のアキュムレータ。
【請求項7】
前記ケーシングは、アキュムレータ高さ寸法(h)を有し、
前記圧縮機は、圧縮機高さ寸法(hc)を有する圧縮機ケーシング(61)を有し、
前記アキュムレータ高さ寸法は、前記圧縮機高さ寸法の45%以上110%以下である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のアキュムレータ。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載のアキュムレータ(16)と、
前記支持部材(51)と、
前記アキュムレータから前記冷媒を受け取る前記圧縮機(11)と、
を備える、圧縮機組立体(50)。
【請求項9】
請求項8に記載の圧縮機組立体(50)と、
熱交換器(13)と、
膨張弁(15)と、
を備える、冷凍装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍装置に用いられるアキュムレータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開昭59-7370号公報)に開示される冷凍装置用のアキュムレータは、円筒形の密閉容器を有する。このアキュムレータは、振動を抑制するために、密閉容器の軸線を鉛直方向に対して傾斜させた状態で圧縮機に固定されている。このような傾斜配置により、重力に起因してアキュムレータを抑える力が生じ、この力が振動を抑制すると考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年の技術進歩によって圧縮機が小型化されており、アキュムレータは圧縮機に対して相対的に大きくなってきている。また、傾斜配置されたアキュムレータの重心は、圧縮機がアキュムレータを支持する支持点の真上には位置しない。これらの理由により、アキュムレータの振動は、傾斜配置によっては必ずしも効果的に抑制できない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点のアキュムレータは、ケーシングと、冷媒導入部と、衝突部と、を備える。ケーシングは、支持部材によって圧縮機に固定される。冷媒導入部は、ケーシングの内部へ冷媒を導入する。衝突部は、傾斜部を有する。冷媒導入部から導入された冷媒は傾斜部に衝突することによってケーシングを圧縮機へ向かって押す。
【0005】
この構成によれば、アキュムレータの中を進行する冷媒が、アキュムレータのケーシングに対し、圧縮機に向かって押さえる力を及ぼす。したがって、その力によってアキュムレータの振動が抑制される。
【0006】
第2観点のアキュムレータは、第1観点のアキュムレータであって、衝突部が、衝突面を有する。衝突部は、冷媒に含まれる液体と気体を分離するバッフルである。衝突面は、圧縮機に近づくほど高くなるように、冷媒導入部から導入される冷媒の進行方向と鋭角をなすように配置されている。
【0007】
この構成によれば、衝突部は、傾斜配置されたバッフルである。したがって、アキュムレータの中の冷媒が気体と液体に分離される過程で、アキュムレータを圧縮機に向かって押さえるが発生するので、振動抑制のための複雑な機構を必要としない。
【0008】
第3観点のアキュムレータは、第1観点のアキュムレータであって、衝突部が、吸入管である。吸入管は、入口、湾曲部、及び出口を有する。入口は、ケーシングの外部に位置する。湾曲部は、ケーシングの内部に位置する。出口は、ケーシングの内部に位置する。出口は、圧縮機から離間する方向へ冷媒を排出する。
【0009】
この構成によれば、衝突部は、ケーシングの内部と外部を接続する吸入管に設けられた湾曲部である。したがって、吸入管がアキュムレータの中へ冷媒を導入する過程で、アキュムレータを圧縮機に向かって押さえるが発生するので、振動抑制のための複雑な機構を必要としない。
【0010】
第4観点のアキュムレータは、第1観点のアキュムレータであって、衝突部が、曲管である。曲管は、ケーシングの内部に配置される。曲管は、冷媒導入部から第1進行方向へ進む冷媒を受け取るとともに、第1進行方向とは異なる第2進行方向へ冷媒を排出する。
【0011】
この構成によれば、衝突部は、ケーシングの内部に配置された曲管である。したがって、ケーシングの中の冷媒が曲管を通過する過程で、アキュムレータを圧縮機に向かって押さえるので、振動抑制のための複雑な機構を必要としない。
【0012】
第5観点のアキュムレータは、第1観点から第4観点のいずれか1つのアキュムレータであって、支持部材の上端が、支持部材上端高さ位置にある。ケーシングの高さ方向の中心は、中心高さ位置にある。ケーシングの重心は、重心高さ位置にある。支持部材上端高さ位置は、中心高さ位置よりも低い。重心高さ位置は、中心高さ位置よりも低い。
【0013】
この構成によれば、支持部材の上端高さ位置と、アキュムレータのケーシングの重心のいずれもが、アキュムレータのケーシングの中心高さ位置よりも低い位置に配置される。一方、衝突部はケーシングの中心高さよりも高い位置に配置される。したがって、衝突部が生じさせる圧縮機本体への押し付け力は、重心を中心としたモーメントとしてアキュムレータに及び、アキュムレータの振動抑制の効果を生じさせる。
【0014】
第6観点のアキュムレータは、第5観点のアキュムレータであって、重心高さ位置は、支持部材上端高さ位置よりも低い。
【0015】
この構成によれば、アキュムレータのケーシングの重心が支持部材の上端よりも低い位置に配置される。したがって、アキュムレータの振動がより抑制される。
【0016】
第7観点のアキュムレータは、第1観点から第6観点のいずれか1つのアキュムレータであって、ケーシングが、アキュムレータ高さ寸法を有する。圧縮機は、圧縮機高さ寸法を有する圧縮機ケーシングを有する。アキュムレータ高さ寸法は、圧縮機高さ寸法の45%以上110%以下であり、好ましくは50%以上105%以下である。
【0017】
この構成によれば、アキュムレータ高さ寸法は、圧縮機高さ寸法の45%以上110%以下であり、好ましくは50%以上105%以下である。したがって、アキュムレータの振動が抑制される。
【0018】
第8観点の圧縮機組立体は、アキュムレータと、支持部材と、圧縮機と、を備える。アキュムレータは第1観点から第7観点のいずれか1つに関するものである。圧縮機は、アキュムレータから冷媒を受け取る。
【0019】
この構成によれば、アキュムレータの振動が抑制される。したがって、圧縮機組立体が発する騒音が低減される。
【0020】
第9観点の冷凍装置は、圧縮機組立体と、熱交換器と、膨張弁と、を備える。圧縮機組立体は、第8観点に関するものである。
【0021】
この構成によれば、圧縮機組立体の振動が抑制される。したがって、冷凍装置が発する騒音が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、冷凍装置100の冷媒回路RCを示す模式図である。
【
図2】
図2は、圧縮機組立体50の構造を示す断面図である。
【
図3】
図3は、アキュムレータ16の構造を示す断面図である。
【
図5】
図5は、圧縮機組立体50の設置態様を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第1変形例に係るアキュムレータ16の構造を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第2変形例に係るアキュムレータ16の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<基本実施形態>
(1)全体構成
図1は、冷凍装置100を示す。冷凍装置100は、熱源から冷熱(cold)又は温熱(heat)を取得して、その冷熱又は温熱をユーザに提供するためのものである。冷凍装置100の具体的態様は、例えば、空気調和装置、冷蔵庫、冷凍庫、給湯機、床暖房装置、洗濯乾燥機である。
【0024】
冷凍装置100は、冷媒を循環する冷媒回路RCを有する。冷媒回路RCは、1台の熱源ユニット10、1台の利用ユニット20、及び連絡配管30によって構成されている。これに代えて、1台の冷凍装置100に含まれる熱源ユニット10及び利用ユニット20の数は複数であってもよい。
【0025】
(1-1)熱源ユニット10
熱源ユニット10は、熱源である空気から冷熱又は温熱を取得するためのものである。熱源ユニット10は、圧縮機組立体50、四路切換弁12、熱源熱交換器13、熱源ファン14、熱源膨張弁15、液閉鎖弁17、及びガス閉鎖弁18を有する。圧縮機組立体50は、圧縮機11、及びアキュムレータ16を有する。
【0026】
圧縮機11は、吸入した低圧ガス冷媒を圧縮して、高圧ガス冷媒を図中の矢印の方向に吐出する。四路切換弁12は、冷熱提供運転のときには
図1の実線で示した接続を実現する一方、温熱提供運転のときには
図1の破線で示した接続を実現する。熱源熱交換器13は、冷熱提供運転のときには凝縮器又は放熱器として機能する一方、温熱提供運転のときには蒸発器又は吸熱器として機能する。熱源ファン14は、熱源熱交換器13で行われる空気と冷媒との熱交換を促進する。熱源膨張弁15は、冷媒を減圧するための減圧装置として機能する。さらに、熱源膨張弁15は、冷媒の循環量を調節する。アキュムレータ16は、冷媒に含まれる液成分を除去し、ガス成分を圧縮機11へ案内する。液閉鎖弁17及びガス閉鎖弁18は、冷凍装置100の設置の際などに冷媒回路RCを遮断する。
【0027】
(1-2)利用ユニット20
利用ユニット20は、冷熱又は温熱をユーザに提供するためのものである。利用ユニット20は、利用熱交換器21、及び利用ファン22を有する。利用熱交換器21は、冷熱提供運転のときには蒸発器又は吸熱器として機能する一方、温熱提供運転のときには凝縮器又は放熱器として機能する。利用ファン22は、利用熱交換器21で行われる空気と冷媒との熱交換を促進する。
【0028】
(1-3)連絡配管30
連絡配管30は、熱源ユニット10と利用ユニット20を接続することによって、冷媒が循環する冷媒回路RCを構成する。連絡配管30は、液連絡配管31とガス連絡配管32を有する。液連絡配管31は、液閉鎖弁17に接続されており、主に液冷媒又は気液二相冷媒を案内する。ガス連絡配管32は、ガス閉鎖弁18に接続されており、主にガス状の冷媒を案内する。
【0029】
(2)圧縮機組立体50の構造
図2は、圧縮機組立体50の構造を示す。圧縮機組立体50は、圧縮機11と、アキュムレータ16と、支持部材51を有する。支持部材51は、圧縮機11とアキュムレータ16とを相互に固定する。
【0030】
(2-1)支持部材51
脈動する冷媒は間欠的にアキュムレータ16を通過し、それによってアキュムレータ16を振動させる傾向にある。支持部材51は、アキュムレータ16を圧縮機11に固定することによって、アキュムレータ16の振動をある程度低減する。
【0031】
(2-2)圧縮機11
圧縮機11は、圧縮機ケーシング61と、モータ62、クランク軸63、圧縮機構64を有する。
【0032】
圧縮機ケーシング61は、モータ62、クランク軸63、圧縮機構64を収容する。圧縮機ケーシング61には、吸入管61a、及び吐出管61bが設けられている。
【0033】
モータ62は、電力の供給を受けてクランク軸63を回転させる。
【0034】
クランク軸63は、モータ62が発生した回転力を圧縮機構64へ伝達する。クランク軸63は、主軸63a、及び偏心部63bを有する。
【0035】
圧縮機構64は、シリンダ64a、ピストン64b、フロントヘッド64c、リアヘッド64dを有する。シリンダ64a、ピストン64b、フロントヘッド64c、リアヘッド64dは、圧縮室64eを画定している。クランク軸63の偏心部63bはピストン64bに嵌合している。クランク軸63が回転すると、圧縮室64eの容積が変化する。
【0036】
圧縮機11は、アキュムレータ16から低圧のガス冷媒を受け取る。圧縮室64eは、吸入管61aから入ってきた低圧のガス冷媒を圧縮し、高圧のガス冷媒を生成し、その後高圧のガス冷媒を圧縮機ケーシング61の内部空間へ吐出する。高圧のガス冷媒はその後、吐出管61bから圧縮機11の外へ吐出される。
【0037】
(2-3)アキュムレータ16
アキュムレータ16は、ケーシング71、冷媒導入部72、衝突部73、冷媒排出部74を有する。
【0038】
ケーシング71は、衝突部73を収容する。ケーシング71は、支持部材51によって圧縮機ケーシング61に固定されている。冷媒導入部72は、ケーシング71の内部へ冷媒を導入するように構成された、アキュムレータ16の吸入管である。冷媒導入部72は、衝突部73に衝突するように冷媒を案内する。衝突部73は、アキュムレータ16に導入される冷媒と衝突することによって、冷媒に含まれる液成分を冷媒から分離する。分離された液成分は、ケーシング71の底部に貯留される。冷媒排出部74は、冷媒のガス成分を排出するように構成された、アキュムレータ16の排出管である。
【0039】
図3は、アキュムレータ16の内部構造を示す。アキュムレータ16の衝突部73は、ケーシング71の高さ方向の中心71aよりも高い位置に配置されている。衝突部73は、傾斜部73aを有する。冷媒導入部72から導入された冷媒は、傾斜部73aに衝突する。これによって、冷媒は、ケーシング71を圧縮機11へ向かって矢印Pの方向へ押す
図4は、衝突部73の外形を示す。衝突部73はバッフル(障害板)として構成されており、保持部73bと衝突面75を有する。保持部73bは、衝突面75を保持しながらケーシング71に固定するための部位である。衝突面75は、冷媒と衝突することによって、冷媒に含まれる液体と気体を分離するための板材である。衝突面75には、複数の穴76が設けられている。冷媒から分離された液成分は、穴76を通過し、ケーシング71の底部へ落下する。
【0040】
衝突部73の傾斜部73aは、衝突面75として構成されている。衝突面75は、水平面に対して傾斜するように設置される。衝突面75の高さは、圧縮機11に近づくほど高くなる。衝突面75が広がる方向Sに垂直な法線Nは、冷媒導入部72から導入される冷媒の進行方向Fと鋭角θ1をなす。衝突面75が広がる方向Sは、冷媒導入部72から導入される冷媒の進行方向Fと鋭角θ2をなす。
【0041】
(3)圧縮機組立体50の設置態様
図5は、圧縮機組立体50の設置態様を示す。支持部材51の上端51aは、支持部材上端高さ位置H1にある。ケーシング71の高さ方向の中心71aは、アキュムレータ高さ寸法hの半分h/2だけケーシング71の上端71bから下方に位置するともに、アキュムレータ高さ寸法hの半分h/2だけケーシング71の下端71cから上方に位置する。ケーシング71の高さ方向の中心71aは、中心高さ位置H2にある。ケーシング71の重心71gは、重心高さ位置H3にある。支持部材上端高さ位置H1は、中心高さ位置H2よりも低い。重心高さ位置H3は、中心高さ位置H2よりも低い。重心高さ位置H3は、支持部材上端高さ位置H1よりも低い。
【0042】
圧縮機11の圧縮機ケーシング61は、圧縮機高さ寸法hcを有する。アキュムレータ高さ寸法hは、圧縮機高さ寸法hcの45%以上110%以下であり、好ましくは50%以上105%以下である。
【0043】
このように、支持部材51の高さ位置、及び、ケーシング71の重心71gの高さ位置の両方が、ケーシング71の中心71aよりも低い位置にある。これに対し、
図3に示されるように、衝突部73の高さ位置は、ケーシング71の中心71aよりも高い位置にある。
【0044】
(4)特徴
(4-1)
アキュムレータ16の中を進行する冷媒が、アキュムレータ16のケーシング71に対し、圧縮機11に向かって押さえる力を及ぼす。したがって、その力によってアキュムレータ16の振動が抑制される。
【0045】
(4-2)
衝突部73は、傾斜配置されたバッフルである。したがって、アキュムレータ16の中の冷媒が気体と液体に分離される過程で、アキュムレータを圧縮機に向かって押さえるので、振動抑制のための複雑な機構を必要としない。
【0046】
(4-3)
支持部材51の高さ位置、及び、ケーシング71の重心71gの高さ位置の両方が、ケーシング71の中心71aの高さ位置よりも低い位置にある。一方、衝突部73の高さ位置は、ケーシング71の中心71aよりも高い位置にある。したがって、衝突部73が生じさせる圧縮機11への押し付け力は、重心71gを中心としたモーメントとしてアキュムレータ16に及ぶ。さらに、支持部材51がアキュムレータ16のモーメントに抗する復元力を生じさせる。これにより、アキュムレータ16の振動抑制の効果が生じる。
【0047】
(4-4)
アキュムレータ高さ寸法は、圧縮機高さ寸法の45%以上110%以下であり、好ましくは50%以上105%以下である。したがって、アキュムレータの振動が抑制される。
【0048】
(4-5)
アキュムレータの振動が抑制される。したがって、圧縮機組立体が発する騒音が低減される。
【0049】
(4-6)
圧縮機組立体の振動が抑制される。したがって、冷凍装置が発する騒音が低減される。
【0050】
<基本実施形態の変形例>
(5)変形例
(5-1)第1変形例
上述の実施形態において、衝突部73は、衝突面75を有するバッフルである。これに代えて、衝突部73は、アキュムレータ16の吸入管として構成されてもよい。
【0051】
図6は、第1変形例に係るアキュムレータ16の構造を示す。アキュムレータ16は、ケーシング71、衝突部73、冷媒排出部74、バッフル80を有する。
【0052】
衝突部73は、アキュムレータ16の吸入管79として構成されている。吸入管79は、冷媒導入部72、湾曲部77、排出部78を有する。
【0053】
冷媒導入部72は、冷媒をアキュムレータ16に取り込むための入口79aを有する。入口79aは、ケーシング71の外部に位置する。
【0054】
湾曲部77は、湾曲した管路である。湾曲部77は、ケーシング71の内部に位置する。冷媒は、吸入管79を通過するとき、湾曲部77の内壁に衝突する。湾曲部77の内壁の少なくとも一部は、水平方向に対して傾斜する傾斜部73aである。傾斜部73aの面は、圧縮機11に近づくほど高くなる。
【0055】
排出部78は、吸入管79から冷媒が出るための出口79bを有する。出口79bは、ケーシング71の内部に位置する。出口79bは、圧縮機11から離間する方向へ冷媒を排出する。
【0056】
バッフル80は、アキュムレータ16に導入される冷媒と衝突することによって、冷媒に含まれる液成分を冷媒から分離する板状の部材である。バッフル80の構造は、基本実施形態の衝突部73と類似しているが、その衝突面は傾斜しておらず、水平面を構成するように設置される。
【0057】
この構成によれば、衝突部73は、ケーシング71の内部と外部を接続する吸入管79に設けられた湾曲部77である。したがって、吸入管79がアキュムレータ16の中へ冷媒を導入する過程で、アキュムレータ16を圧縮機11に向かって押さえるが発生するので、振動抑制のための複雑な機構を必要としない。
【0058】
(5-2)第2変形例
上述の第1変形例において、衝突部73は冷媒導入部72と同一の部材である。これに代えて、衝突部73は冷媒導入部72と別個の部材であってもよい。
【0059】
図7は、第2変形例に係るアキュムレータ16の構造を示す。アキュムレータ16は、ケーシング71、冷媒導入部72、衝突部73、冷媒排出部74、バッフル80を有する。バッフル80の構成は、第1変形例と同様である。
【0060】
衝突部73は、ケーシング71の内部に配置される曲管81として構成されている。曲管81は、冷媒導入部72を有する吸入管とは離間している。曲管81の内壁の少なくとも一部は、水平方向に対して傾斜する傾斜部73aである。傾斜部73aの面は、圧縮機11に近づくほど高くなる。
【0061】
曲管81は、冷媒導入部72から第1進行方向D1へ進む冷媒を受け取る。曲管81は、第1進行方向D1とは異なる第2進行方向D2へ冷媒を排出する。第2進行方向D2は、圧縮機11から離間する方向である。
【0062】
この構成によれば、衝突部73は、ケーシング71の内部に配置された曲管81である。したがって、ケーシング71の中の冷媒が曲管81を通過する過程で、アキュムレータ16を圧縮機11に向かって押さえるが発生するので、振動抑制のための複雑な機構を必要としない。
【0063】
<むすび>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0064】
10 :熱源ユニット
11 :圧縮機
13 :熱源熱交換器(熱交換器)
15 :熱源膨張弁(膨張弁)
16 :アキュムレータ
20 :利用ユニット
50 :圧縮機組立体
51 :支持部材
51a :上端
61 :圧縮機ケーシング
71 :ケーシング
71a :高さ方向の中心
71b :上端
71c :下端
71g :重心
72 :冷媒導入部
73 :衝突部/バッフル
73a :傾斜部
73b :保持部
74 :冷媒排出部
75 :衝突面
76 :穴
77 :湾曲部
78 :排出部
79 :吸入管
79a :入口
79b :出口
80 :バッフル
81 :曲管
100 :冷凍装置
D1 :第1進行方向
D2 :第2進行方向
H1 :支持部材上端高さ位置
H2 :中心高さ位置
H3 :重心高さ位置
h :アキュムレータ高さ寸法
hc :圧縮機高さ寸法
θ1 :鋭角
θ2 :鋭角
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】