(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172766
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】道路機械及び道路機械の支援システム
(51)【国際特許分類】
E01C 19/48 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084807
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】寺元 陶太
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA03
2D052AB01
2D052AC01
2D052BD03
2D052BD12
2D052CA01
(57)【要約】
【課題】車幅方向において舗装材の厚さが異なるように舗装材を敷き均すことができる道路機械を提供すること。
【解決手段】道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ100は、路盤BC上を走行するトラクタ1と、舗装材PVを受け入れるホッパ2と、ホッパ2内の舗装材PVをトラクタ1の後方へ給送するコンベアCVと、コンベアCVにより給送された舗装材PVをトラクタ1の後方で敷き拡げるスクリュSCと、スクリュSCにより敷き拡げられた舗装材PVをスクリュSCの後方で敷き均すスクリード3と、路盤BCに対するスクリード3の第1高さHL及び第2高さHRを導き出すコントローラ50と、を備える。第1高さHLは、スクリード3における第1点SPLの高さであり、第2高さHRは、スクリード3における第2点SPRの高さであり、第1点SPLは、車幅方向において第2点SPRとは異なる位置にある。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路盤上を走行するトラクタと、
前記トラクタの前方に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、
前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後方へ給送するコンベアと、
前記コンベアにより給送された前記舗装材を前記トラクタの後方で敷き拡げるスクリュと、
前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後方で敷き均すスクリードと、
前記路盤に対する前記スクリードの第1高さ及び第2高さを導き出す演算装置と、を備え、
前記第1高さは、前記スクリードにおける第1点の高さであり、
前記第2高さは、前記スクリードにおける第2点の高さであり、
前記第1点は、車幅方向において前記第2点とは異なる位置にある、
道路機械。
【請求項2】
前記演算装置は、走行部材の寸法に基づいて前記路盤を表す仮想線を導き出し、前記仮想線と前記第1点との間の距離を前記第1高さとして算出し、前記仮想線と前記第2点との間の距離を前記第2高さとして算出する、
請求項1に記載の道路機械。
【請求項3】
前記路盤までの距離を検出する距離センサ、及び、前記トラクタの傾きを検出する傾斜センサの少なくとも一方が前記トラクタに取り付けられており、
前記演算装置は、前記距離センサ及び前記傾斜センサの少なくとも一方の出力に基づいて前記路盤を表す仮想線を導き出し、前記仮想線と前記第1点との間の距離を前記第1高さとして算出し、前記仮想線と前記第2点との間の距離を前記第2高さとして算出する、
請求項1に記載の道路機械。
【請求項4】
敷き均し厚さを調整するアクチュエータを備え、
前記演算装置は、前記第1高さ及び前記第2高さのそれぞれが設計面の高さと一致するように前記アクチュエータを制御する、
請求項1乃至3のいずれかに記載の道路機械。
【請求項5】
前記演算装置は、前記第1点及び前記第2点のそれぞれの位置を所定の座標系における座標を用いて認識する、
請求項1乃至3のいずれかに記載の道路機械。
【請求項6】
前記スクリードは、前側スクリードと車幅方向に伸縮可能な左後側スクリード及び右後側スクリードを含み、
前記第1点は、前記前側スクリードのスクリードプレートの左後端点であり、
前記第2点は、前記前側スクリードのスクリードプレートの右後端点である、
請求項1乃至3のいずれかに記載の道路機械。
【請求項7】
前記演算装置は、前記距離センサ及び前記傾斜センサの少なくとも一方の出力に基づいて前記路盤の凹凸を検出し、前記凹凸を含む前記路盤を表す直線を導き出し、前記直線と前記第1点との間の距離を前記第1高さとして算出し、前記直線と前記第2点との間の距離を前記第2高さとして算出する、
請求項3に記載の道路機械。
【請求項8】
前記直線は近似直線である、
請求項7に記載の道路機械。
【請求項9】
路盤上を走行するトラクタと、前記トラクタの前方に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後方へ給送するコンベアと、前記コンベアにより給送された前記舗装材を前記トラクタの後方で敷き拡げるスクリュと、前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後方で敷き均すスクリードと、を備えた道路機械の支援システムであって、
前記路盤に対する前記スクリードの第1高さ及び第2高さを導き出す演算装置を有し、
前記第1高さは、前記スクリードにおける第1点の高さであり、
前記第2高さは、前記スクリードにおける第2点の高さであり、
前記第1点は、車幅方向において前記第2点とは異なる位置にある、
道路機械の支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路機械及び道路機械の支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリードによって敷き均された舗装材の厚さを測定するアスファルトフィニッシャが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のアスファルトフィニッシャは、車幅方向において舗装材の厚さが均一となるように舗装材が敷き均される場合に対応できるのみであり、車幅方向において舗装材の厚さが異なるように舗装材が敷き均される場合に対応できない。
【0005】
そこで、車幅方向において舗装材の厚さが異なるように舗装材を敷き均すことができる道路機械を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態に係る道路機械は、路盤上を走行するトラクタと、前記トラクタの前方に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後方へ給送するコンベアと、前記コンベアにより給送された前記舗装材を前記トラクタの後方で敷き拡げるスクリュと、前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後方で敷き均すスクリードと、前記路盤に対する前記スクリードの第1高さ及び第2高さを導き出す演算装置と、を備え、前記第1高さは、前記スクリードにおける第1点の高さであり、前記第2高さは、前記スクリードにおける第2点の高さであり、前記第1点は、車幅方向において前記第2点とは異なる位置にある。
【発明の効果】
【0007】
上述の道路機械は、車幅方向において舗装材の厚さが異なるように舗装材を敷き均すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】アスファルトフィニッシャの左側面図である。
【
図4】アスファルトフィニッシャの左側面の概略図である。
【
図5】アスファルトフィニッシャの背面の概略図である。
【
図6】アスファルトフィニッシャの左側面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び
図2は、本開示の実施形態に係る道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ100の概略図である。具体的には、
図1はアスファルトフィニッシャ100の左側面図であり、
図2は上面図である。
【0010】
アスファルトフィニッシャ100は、主に、トラクタ1、ホッパ2、及びスクリード3で構成されている。
図1及び
図2に示す例では、アスファルトフィニッシャ100は、車長方向がX軸方向に対応し、且つ、車幅方向がY軸方向に対応するように配置されている。そして、Z軸は、X軸及びY軸のそれぞれと直交するように配置されている。具体的には、車長方向の前側が+X側に対応し、車長方向の後側が-X側に対応し、車幅方向の左側が+Y側に対応し、車幅方向の右側が-Y側に対応し、鉛直方向の上側が+Z側に対応し、鉛直方向の下側が-Z側に対応している。
【0011】
トラクタ1は、アスファルトフィニッシャ100を走行させるための機構である。
図1及び
図2に示す例では、トラクタ1は、後輪走行用モータを用いて後輪5を回転させ、且つ、前輪走行用モータを用いて前輪6を回転させることによってアスファルトフィニッシャ100を移動させる。後輪走行用モータ及び前輪走行用モータは、油圧ポンプから作動油の供給を受けて回転する油圧モータである。トラクタ1は、車輪の代わりにクローラを備えていてもよい。
【0012】
コントローラ50は、演算装置の一例である。
図1及び
図2に示す例では、コントローラ50は、CPU、揮発性記憶装置、及び不揮発性記憶装置を含むコンピュータであり、トラクタ1に搭載され、各種機能を動作させることによってアスファルトフィニッシャ100を制御するように構成されている。コントローラ50の各種機能は、例えば、不揮発性記憶装置に記憶されたプログラムをCPUが実行することで実現される。コントローラ50が実現する各種機能は、例えば、油圧アクチュエータを駆動するための作動油を吐出する油圧ポンプの吐出量を制御する機能、及び、油圧アクチュエータと油圧ポンプとの間の作動油の流れを制御する機能を含む。なお、油圧アクチュエータは、油圧シリンダ及び油圧モータを含む。
【0013】
ホッパ2は、舗装材PVを受け入れるための機構である。舗装材PVは、例えば、アスファルト混合物である。
図1及び
図2に示す例では、ホッパ2は、トラクタ1の前側(+X側)に設置され、ホッパシリンダ24によってY軸方向(車幅方向)に開閉されるように構成されている。アスファルトフィニッシャ100は、通常、ホッパ2を全開状態にしてダンプトラックの荷台から舗装材PVを受け入れる。ダンプトラックは、アスファルトフィニッシャ100に補給される舗装材PVを運搬する車両(運搬車両)の一例である。また、アスファルトフィニッシャ100は、ダンプトラックの荷台から舗装材PVを受け入れているときも、プッシュローラ2bを介してダンプトラックを前方に押しながら走行を継続できる。
図1及び
図2はホッパ2が全開状態であることを示す。なお、
図1及び
図2では、明瞭化のため、ホッパ2内に受け入れられた舗装材PVの図示が省略されている。
【0014】
アスファルトフィニッシャ100の操作者は、ホッパ2内の舗装材PVが減少すると、ホッパ2を手動で閉じ、ホッパ2の内壁付近にあった舗装材PVをホッパ2の中央部に集めるようにする。ホッパ2の底面中央部にあるコンベアCVがトラクタ1の後方に舗装材PVを搬送できるようにするためである。トラクタ1の後方に搬送された舗装材PVは、スクリュSCによってトラクタ1の後ろ且つスクリード3の前で車幅方向に敷き拡げられる。
【0015】
コンベアCVは、油圧ポンプから作動油の供給を受けて回転する油圧モータによって駆動される。
図1及び
図2に示す例では、コンベアCVは、搬送通路CPを介して、ホッパ2内の舗装材PVをトラクタ1の後方へ搬送するように構成されている。搬送通路CPは、トラクタ1の内部に形成された略直方体状の空間である。具体的には、コンベアCVは、互いに別々に動作する左コンベアCVL及び右コンベアCVRを含む。
【0016】
スクリュSCは、油圧ポンプから作動油の供給を受けて回転する油圧モータによって駆動される。具体的には、スクリュSCは、互いに別々に動作する左スクリュSCL及び右スクリュSCRを含む。図示例では、左スクリュSCLは、トラクタ1の幅から左側に突出するように設置されている。右スクリュSCRは、トラクタ1の幅から右側に突出するように設置されている。
【0017】
スクリード3は、舗装材PVを敷き均すための機構である。
図1及び
図2に示す例では、スクリード3は、主に、前側スクリード30及び後側スクリード31を含む。後側スクリード31は、左後側スクリード31L及び右後側スクリード31Rを含む。前側スクリード30、左後側スクリード31L、及び右後側スクリード31Rは、互いに前後にずれるように配置されている。具体的には、前側スクリード30の後ろに左後側スクリード31Lが配置され、左後側スクリード31Lの後ろに右後側スクリード31Rが配置されている。スクリード3は、トラクタ1によって牽引される浮動スクリードであり、レベリングアームAMを介してトラクタ1に連結されている。スクリード3は、スクリードリフトシリンダ25の伸縮によってレベリングアームAMとともに上下に動かされる。
【0018】
後側スクリード31は、伸縮シリンダ60によって車幅方向に伸縮できるように構成されている。伸縮シリンダ60は、前側スクリード30の筐体に固定される支持部によって支持され、後側スクリード31を車幅方向に伸縮させることができるように構成されている。具体的には、伸縮シリンダ60は、左伸縮シリンダ60L及び右伸縮シリンダ60Rを含む。左伸縮シリンダ60Lは、前側スクリード30の左後方の空間において左後側スクリード31Lを伸縮させる。右伸縮シリンダ60Rは、前側スクリード30の右後方の空間において右後側スクリード31Rを伸縮させる。なお、
図1及び
図2では、明瞭化のため、後側スクリード31の前に敷き拡げられた舗装材PVには粗いドットパターンが付され、スクリード3によって敷き均された舗装材PV(新設舗装体NP)には細かいドットパターンが付されている。
【0019】
レベリングアームAMは、スクリード3をトラクタ1に連結できるように構成されている。具体的には、レベリングアームAMは、左レベリングアームAML及び右レベリングアームAMRを含む。左レベリングアームAML及び右レベリングアームAMRのそれぞれは、一端(後端)がスクリード3に連結され、他端(前端)がトラクタ1(レベリングシリンダ23)に連結されている。
【0020】
レベリングシリンダ23は、舗装材PVの敷き均し厚さを調節するためにレベリングアームAMの前端を上下動させる油圧シリンダである。
図1及び
図2に示す例では、レベリングシリンダ23は、シリンダ部がトラクタ1に連結され、ロッド部がレベリングアームAMの前端に連結されている。なお、レベリングアームAMの前端は、上下にスライド可能となるようにトラクタ1に取り付けられている。敷き均し厚さを増大させる場合、コントローラ50は、油圧ポンプが吐出する作動油をレベリングシリンダ23のロッド側油室内に流入させ、レベリングシリンダ23を収縮させてレベリングアームAMの前端を上昇させる。また、敷き均し厚さを低減させる場合、コントローラ50は、レベリングシリンダ23のロッド側油室内の作動油を流出させ、レベリングシリンダ23を伸張させてレベリングアームAMの前端を下降させる。
【0021】
具体的には、レベリングシリンダ23は、左レベリングアームAMLの前側連結点(左前側連結点)を上下動させる左レベリングシリンダ23Lと、右レベリングアームAMRの前側連結点(右前側連結点)を上下動させる右レベリングシリンダ23Rと、を含む。コントローラ50は、左レベリングシリンダ23L及び右レベリングシリンダ23Rを別々に伸縮させることができる。
【0022】
スクリードリフトシリンダ25は、スクリード3を持ち上げるための油圧シリンダである。
図1及び
図2に示す例では、スクリードリフトシリンダ25は、左スクリードリフトシリンダ25L及び右スクリードリフトシリンダ25Rを含む。左スクリードリフトシリンダ25Lは、シリンダ部がトラクタ1の左後端部に連結され、ロッド部が左レベリングアームAMLの後側連結点(左後側連結点)に連結されている。また、右スクリードリフトシリンダ25Rは、シリンダ部がトラクタ1の右後端部に連結され、ロッド部が右レベリングアームAMRの後側連結点(右後側連結点)に連結されている。スクリード3を持ち上げる場合、コントローラ50は、油圧ポンプが吐出する作動油をスクリードリフトシリンダ25のロッド側油室内に流入させる。その結果、スクリードリフトシリンダ25は収縮し、レベリングアームAMの後端部が持ち上がりスクリード3が持ち上がる。また、持ち上げられたスクリード3を下ろす場合、コントローラ50は、スクリードリフトシリンダ25のロッド側油室内の作動油を流出可能とする。その結果、スクリード3の重量によってスクリードリフトシリンダ25は伸張し、レベリングアームAMの後端部が下降してスクリード3が下降する。施工中においては、スクリードリフトシリンダ25は、スクリード3の上下動に応じて伸縮できる状態となっている。
【0023】
後側スクリード31の遠位端には、サイドプレート40が取り付けられている。サイドプレート40は、車長方向に延びる板状の部材であり、左サイドプレート40L及び右サイドプレート40Rを含む。具体的には、左後側スクリード31Lの遠位端(左端)には、左サイドプレート40Lが取り付けられ、右後側スクリード31Rの遠位端(右端)には、右サイドプレート40Rが取り付けられている。
【0024】
図示例では、サイドプレート40は、モールドボード41の遠位端にも連結されている。モールドボード41は、スクリュSCによって敷き拡げられた舗装材PVのうち、後側スクリード31の手前に滞留する舗装材PVの量を調節するための部材であり、後側スクリード31とともに車幅方向に伸縮できるように構成されていてもよい。
【0025】
具体的には、モールドボード41は、車幅方向に延びる板状の部材であり、左モールドボード41L及び右モールドボード41Rを含む。図示例では、左モールドボード41Lの遠位端(左端)には、左サイドプレート40Lが連結され、右モールドボード41Rの遠位端(右端)には、右サイドプレート40Rが連結されている。
【0026】
モールドボード41は、後側スクリード31及びサイドプレート40とは無関係に、Z軸方向における高さが調節できるように構成されている。アスファルトフィニッシャ100の操作者は、モールドボード41を上下に移動させることで、モールドボード41の下端と路盤BCとの間の隙間の大きさを調節し、その隙間を通過する舗装材PVの量を調節できる。そのため、アスファルトフィニッシャ100の操作者は、モールドボード41を上下に移動させることで、モールドボード41の後側(-X側)で且つ後側スクリード31の前側(+X側)に滞留する舗装材PVの量(高さ)を調節でき、ひいては、後側スクリード31の下側に取り込まれる舗装材PVの量を調節できる。
【0027】
スクリードステップ42は、作業者がスクリード3の後方で作業する際の足場を構成する部材である。具体的には、スクリードステップ42は、左スクリードステップ42L、中央スクリードステップ42C、及び右スクリードステップ42Rを含む。
【0028】
リテーニングプレート43は、スクリュSCによって舗装材PVが車幅方向に適切に敷き拡げられるようにするために、スクリュSCによって車幅方向に敷き拡げられる舗装材PVがスクリュSCの前方に散らばってしまうのを防止するための板状部材である。
図1及び
図2に示す例では、リテーニングプレート43は、左リテーニングプレート43L及び右リテーニングプレート43Rを含む。
【0029】
次に、
図3を参照し、コントローラ50が有する機能の一つである支援機能の一例について説明する。
図3は、コントローラ50の機能ブロック図である。支援機能は、アスファルトフィニッシャ100の操作者によるアスファルトフィニッシャ100の操作を支援するための機能である。支援機能は、主に、シリンダストロークセンサS1、距離センサS2、傾斜センサS3、コントローラ50、及び敷き均し厚さ制御装置55の協働によって実現される。なお、距離センサS2及び傾斜センサS3は省略されてもよい。
図3では、省略可能な距離センサS2及び傾斜センサS3を表すブロックは破線で描かれている。
【0030】
シリンダストロークセンサS1は、油圧シリンダの伸縮量(ストローク量)を検出するセンサである。シリンダストロークセンサS1は、どのような方式のセンサであってもよい。図示例では、シリンダストロークセンサS1は、超音波を用いたセンサであり、左レベリングシリンダ23L、右レベリングシリンダ23R、左スクリードリフトシリンダ25L、及び右スクリードリフトシリンダ25Rのそれぞれのストローク量を別々に検出できるように構成されている。具体的には、シリンダストロークセンサS1は、四つの独立したシリンダストロークセンサを含む。
【0031】
距離センサS2は、トラクタ1と路盤BCとの間の距離を検出するためのセンサである。距離センサS2は、どのような方式のセンサであってもよい。図示例では、距離センサS2は、レーザ光を利用してトラクタ1の左端部と路盤BCとの間のZ軸方向における距離を検出する左距離センサS2Lと、レーザ光を利用してトラクタ1の右端部と路盤BCとの間のZ軸方向における距離を検出する右距離センサS2Rと、を含む。具体的には、左距離センサS2Lは、トラクタ1のフレームの左側面の前端部に取り付けられ、右距離センサS2Rは、トラクタ1のフレームの右側面の前端部に取り付けられている。
【0032】
傾斜センサS3は、トラクタ1の傾きを検出するためのセンサである。傾斜センサS3はどのような方式のセンサであってもよい。図示例では、傾斜センサS3は、静電容量式の傾斜センサであり、水平面に対するトラクタ1の傾きを検出できるように構成されている。具体的には、傾斜センサS3は、トラクタ1のピッチ角及びヨー角を検出できるように構成されている。
【0033】
敷き均し厚さ制御装置55は、敷き均し厚さを制御するように構成されている。図示例では、敷き均し厚さ制御装置55は、レベリングシリンダ23に流入する或いはレベリングシリンダ23から流出する作動油の流量を制御する電磁弁である。具体的には、敷き均し厚さ制御装置55は、コントローラ50からの制御指令に応じ、レベリングシリンダ23と油圧ポンプとを接続する管路の断面積である流路面積を増減させる。
【0034】
より具体的には、敷き均し厚さ制御装置55は、油圧ポンプが吐出する作動油を左レベリングシリンダ23Lのロッド側油室内に流入させ、左レベリングシリンダ23Lを収縮させて左レベリングアームAMLの前端を上昇させることにより、アスファルトフィニッシャ100の前後軸AXよりも左側(+Y側)にある舗装材PV(新設舗装体NP)の敷き均し厚さ(左敷き均し厚さ)を大きくすることができる。また、敷き均し厚さ制御装置55は、左レベリングシリンダ23Lのロッド側油室内の作動油を流出させ、左レベリングシリンダ23Lを伸張させて左レベリングアームAMLの前端を下降させることにより、左敷き均し厚さを小さくすることができる。同様に、敷き均し厚さ制御装置55は、油圧ポンプが吐出する作動油を右レベリングシリンダ23Rのロッド側油室内に流入させ、右レベリングシリンダ23Rを収縮させて右レベリングアームAMRの前端を上昇させることにより、アスファルトフィニッシャ100の前後軸AXよりも右側(-Y側)にある舗装材PV(新設舗装体NP)の敷き均し厚さ(右敷き均し厚さ)を大きくすることができる。また、敷き均し厚さ制御装置55は、右レベリングシリンダ23Rのロッド側油室内の作動油を流出させ、右レベリングシリンダ23Rを伸張させて右レベリングアームAMRの前端を下降させることにより、右敷き均し厚さを小さくすることができる。
【0035】
図示例では、アスファルトフィニッシャ100の前後軸AXは、後輪5の車軸5Xと垂直に交差して車長方向に沿って延びる軸であり、トラクタ1の中心線を形成している。
【0036】
コントローラ50は、シリンダストロークセンサS1等から情報を取得し、各種演算を実行した上で、その演算結果に応じ、敷き均し厚さ制御装置55等に制御指令を出力する。具体的には、コントローラ50は、シリンダストロークセンサS1等から取得した情報に基づき、所定の条件が満たされたか否かを判定し、所定の条件が満たされたと判定した場合に、敷き均し厚さ制御装置55等に制御指令を出力する。
【0037】
より具体的には、コントローラ50は、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせで構成される機能ブロックとして、算出部50A及び敷き均し厚さ制御部50Bを有する。
【0038】
算出部50Aは、敷き均し厚さの制御に必要な情報を算出するように構成されている。図示例では、算出部50Aは、路盤BCに対するスクリード3の高さを算出するように構成されている。
【0039】
ここで、
図4及び
図5を参照し、コントローラ50が路盤BCに対するスクリード3の高さを算出する方法の一例について説明する。
図4は、アスファルトフィニッシャ100の左側面の概略図であり、
図5は、アスファルトフィニッシャ100の背面の概略図である。なお、
図4及び
図5では、明瞭化のため、前側スクリード30にドットパターンが付されている。後掲の
図6においても同様である。
【0040】
コントローラ50の算出部50Aは、路盤BCに対するスクリード3の第1高さHL及び第2高さHRを算出するように構成されている。第1高さHLは、スクリード3における第1点SPLの高さであり、第2高さHRは、スクリード3における第2点SPRの高さである。第1点SPLは、車幅方向において第2点SPRとは異なる位置にある。図示例では、第1点SPLは、前側スクリード30のスクリードプレートの左後端点であり、第2点SPRは、前側スクリード30のスクリードプレートの右後端点である。但し、第1点SPL及び第2点SPRは、前側スクリード30における他の位置に対応する点であってもよい。
【0041】
具体的には、算出部50Aは、左前輪6Lの半径RD1と左後輪5Lの半径RD2とに基づき、左後輪5Lの接地点、及び、左前輪6Lの接地点を通る左仮想線VTLを導き出す。同様に、算出部50Aは、右前輪(図示せず)の半径RD1と右後輪5Rの半径RD2とに基づき、右後輪5Rの接地点、及び、右前輪の接地点を通る右仮想線VTRを導き出す。なお、半径RD1は、前輪6の車軸6Xと前輪6の接地点とを結ぶ線分の長さであり、半径RD2は、後輪5の車軸5Xと後輪5の接地点とを結ぶ線分の長さである。また、半径RD1及び半径RD2はコントローラ50の不揮発性記憶装置等に予め登録されている値である。
【0042】
図示例では、算出部50Aは、基準点RPを原点とする三次元直交座標系における左後輪5L及び左前輪6Lのそれぞれの接地点の座標を算出することにより、左仮想線VTLの位置を導き出すように構成されている。同様に、算出部50Aは、基準点RPを原点とする三次元直交座標系における右後輪5R及び右前輪のそれぞれの接地点の座標を算出することにより、右仮想線VTRの位置を導き出すように構成されている。
【0043】
図示例では、基準点RPは、車長方向(X軸方向)に沿って延びるトラクタ1の中心線(前後軸AX)と後輪5の車軸5Xとの交点である。
【0044】
また、算出部50Aは、基準点RPに対する第1点SPLの相対位置を導き出すように構成されている。図示例では、算出部50Aは、基準点RPを原点とする三次元直交座標系における第1点SPLの座標を導き出すように構成されている。
【0045】
より具体的には、算出部50Aは、シリンダストロークセンサS1が検出した左レベリングシリンダ23Lのストローク量に基づいて左レベリングシリンダ23Lの長さST1を導き出し、更に、長さST1に基づいて左レベリングアームAMLの左前側連結点P1Lの座標を算出する。また、算出部50Aは、シリンダストロークセンサS1が検出した左スクリードリフトシリンダ25Lのストローク量に基づいて左スクリードリフトシリンダ25Lの長さST2を導き出し、更に、長さST1に基づいて左レベリングアームAMLの左後側連結点P2Lの座標を算出する。その上で、算出部50Aは、左前側連結点P1Lの座標と左後側連結点P2Lの座標とに基づいて第1点SPLの座標を算出する。
【0046】
同様に、算出部50Aは、シリンダストロークセンサS1が検出した右レベリングシリンダ23Rのストローク量に基づいて右レベリングシリンダ23Rの長さを導き出し、更に、その長さに基づいて右レベリングアームAMRの右前側連結点(図示せず)の座標を算出する。また、算出部50Aは、シリンダストロークセンサS1が検出した右スクリードリフトシリンダ25Rのストローク量に基づいて右スクリードリフトシリンダ25Rの長さを導き出し、更に、その長さに基づいて右レベリングアームAMRの右後側連結点(図示せず)の座標を算出する。その上で、算出部50Aは、左前側連結点の座標と左後側連結点の座標とに基づいて第2点SPRの座標を算出する。
【0047】
なお、レベリングシリンダ23、スクリードリフトシリンダ25、レベリングアームAM、及び前側スクリード30等の各部材の寸法、並びに、レベリングシリンダ23及びスクリードリフトシリンダ25のそれぞれのトラクタ1に対する連結点の位置(座標)等は、コントローラ50の不揮発性記憶装置等に予め登録されている。そのため、算出部50Aは、不揮発性記憶装置等に予め登録された値と、シリンダストロークセンサS1の検出値とに基づいて第1点SPL及び第2点SPRの座標を算出できる。図示例では、レベリングアームAMとスクリード3とは剛結されているためである。
【0048】
そして、算出部50Aは、上述のような方法で算出した左仮想線VTLと第1点SPLの座標とに基づいて左仮想線VTLと第1点SPLとの間の距離を第1高さHL(左敷き均し厚さ)として導き出す。同様に、算出部50Aは、上述のような方法で算出した右仮想線VTRと第2点SPRの座標とに基づいて右仮想線VTRと第2点SPRとの間の距離を第2高さHR(右敷き均し厚さ)として導き出す。
【0049】
敷き均し厚さ制御部50Bは、舗装材PVの敷き均し厚さを制御できるように構成されている。図示例では、敷き均し厚さ制御部50Bは、予め設定される目標敷き均し厚さと実際の敷き均し厚さとが一致するように敷き均し厚さを調整するように構成されている。目標敷き均し厚さは、例えば、設計データにおいて設定されている設計面と路盤BCとの間の距離である。具体的には、予め設定される目標敷き均し厚さは、アスファルトフィニッシャ100の前後軸AXの左側にある領域で敷き均される舗装材PVの厚さの目標値である左目標敷き均し厚さと、アスファルトフィニッシャ100の前後軸AXの右側にある領域で敷き均される舗装材PVの厚さの目標値である右目標敷き均し厚さと、を含む。例えば、左目標敷き均し厚さは、前側スクリード30のスクリードプレートの左端部の真下にある舗装材PVの厚さの目標値であり、右目標敷き均し厚さは、前側スクリード30のスクリードプレートの右端部の真下にある舗装材PVの厚さの目標値である。
【0050】
より具体的には、敷き均し厚さ制御部50Bは、算出部50Aが算出した第1高さHL(左敷き均し厚さ)と左目標敷き均し厚さとが一致するように、敷き均し厚さ制御装置55に対する制御指令を生成する。
【0051】
同様に、敷き均し厚さ制御部50Bは、算出部50Aが算出した第2高さHR(右敷き均し厚さ)と右目標敷き均し厚さとが一致するように、敷き均し厚さ制御装置55に対する制御指令を生成する。
【0052】
例えば、敷き均し厚さ制御部50Bは、今回算出した第1高さHL(左敷き均し厚さ)が左目標敷き均し厚さよりも大きい場合には、左敷き均し厚さを小さくすべく、左レベリングシリンダ23Lを伸張させて左レベリングアームAMLの前端を下降させるための制御指令を生成し、敷き均し厚さ制御装置55に向けて出力する。反対に、敷き均し厚さ制御部50Bは、今回算出した第1高さHL(左敷き均し厚さ)が左目標敷き均し厚さよりも小さい場合には、左敷き均し厚さを大きくすべく、左レベリングシリンダ23Lを収縮させて左レベリングアームAMLの前端を上昇させるための制御指令を生成し、敷き均し厚さ制御装置55に向けて出力する。
【0053】
このような構成により、コントローラ50は、車幅方向(Y軸方向)において舗装材PVの厚さが異なるように舗装材PVを敷き均すことができる。
【0054】
次に、
図6を参照し、コントローラ50が路盤BCに対するスクリード3の高さを算出する方法の別の一例について説明する。
図6は、アスファルトフィニッシャ100の左側面の概略図であり、
図4に対応している。
【0055】
図6を参照して説明する方法は、主に、距離センサS2及び傾斜センサS3のうちの少なくとも一つの出力を利用して左仮想線VTL及び右仮想線VTRを導き出す点で、
図4を参照して説明した方法と異なるが、その他の点では
図4を参照して説明した方法と同じである。
【0056】
具体的には、算出部50Aは、アスファルトフィニッシャ100が所定距離(例えば数センチメートル)だけ進む度に取得する左距離センサS2Lの出力に基づき、左前輪6L及び左後輪5Lが通過する路盤BCの表面形状を表す線である左軌跡BCLを導き出す。なお、算出部50Aは、左軌跡BCLを導き出すために傾斜センサS3の出力を利用してもよい。
【0057】
左軌跡BCLは、アスファルトフィニッシャ100が所定距離だけ進む毎に左距離センサS2Lが発するレーザ光が当たる点(測定点)を繋いだ線(XZ平面に平行な仮想平面上の線)である。算出部50Aは、基準点RPを原点とする三次元直交座標系における左軌跡BCL上の各測定点の座標を算出する。
【0058】
同様に、算出部50Aは、アスファルトフィニッシャ100が所定距離(例えば数センチメートル)だけ進む度に取得する右距離センサS2Rの出力に基づき、右前輪及び右後輪5Rが通過する路盤BCの表面形状を表す線である右軌跡(図示せず)を導き出す。なお、算出部50Aは、右軌跡を導き出すために傾斜センサS3の出力を利用してもよい。
【0059】
右軌跡は、アスファルトフィニッシャ100が所定距離だけ進む毎に右距離センサS2Rが発するレーザ光が当たる点(測定点)を繋いだ線(XZ平面に平行な仮想平面上の線)である。算出部50Aは、基準点RPを原点とする三次元直交座標系における右軌跡上の各測定点の座標を算出する。
【0060】
その後、算出部50Aは、左軌跡BCLを代表する一本の直線を左仮想線VTLとして導き出す。図示例では、左仮想線VTLは、最小二乗法を用いて導き出される、左軌跡BCLの近似直線である。
【0061】
同様に、算出部50Aは、右軌跡を代表する一本の直線を右仮想線VTRとして導き出す。図示例では、右仮想線VTRは、最小二乗法を用いて導き出される、右軌跡の近似直線である。
【0062】
なお、算出部50Aは、最小二乗法以外の他の方法を用いて左軌跡BCL及び右軌跡のそれぞれを代表する直線を左仮想線VTL及び右仮想線VTRとして導き出してもよい。
【0063】
その上で、算出部50Aは、
図4を参照して説明した方法と同じように、左仮想線VTLと第1点SPLの座標とに基づいて左仮想線VTLと第1点SPLとの間の距離を第1高さHL(左敷き均し厚さ)として導き出す。同様に、算出部50Aは、右仮想線VTRと第2点SPRの座標とに基づいて右仮想線VTRと第2点SPRとの間の距離を第2高さHR(右敷き均し厚さ)として導き出す。
【0064】
そして、敷き均し厚さ制御部50Bは、算出部50Aが算出した第1高さHL(左敷き均し厚さ)と左目標敷き均し厚さとが一致するように、敷き均し厚さ制御装置55に対する制御指令を生成する。また、敷き均し厚さ制御部50Bは、算出部50Aが算出した第2高さHR(右敷き均し厚さ)と右目標敷き均し厚さとが一致するように、敷き均し厚さ制御装置55に対する制御指令を生成する。
【0065】
このような構成により、コントローラ50は、車幅方向(Y軸方向)において舗装材PVの厚さが異なるように舗装材PVを敷き均すことができる。
【0066】
上述の通り、アスファルトフィニッシャ100は、
図1及び
図2に示すように、路盤BC上を走行するトラクタ1と、トラクタ1の前方に設置されて舗装材PVを受け入れるホッパ2と、ホッパ2内の舗装材PVをトラクタ1の後方へ給送するコンベアCVと、コンベアCVにより給送された舗装材PVをトラクタ1の後方で敷き拡げるスクリュSCと、スクリュSCにより敷き拡げられた舗装材PVをスクリュSCの後方で敷き均すスクリード3と、路盤BCに対するスクリード3の第1高さHL(
図5参照)及び第2高さHR(
図5参照)を導き出す演算装置としてのコントローラ50と、を備えている。そして、
図5に示すように、第1高さHLは、スクリード3における第1点SPLの高さであり、第2高さHRは、スクリード3における第2点SPRの高さである。第1点SPLは、車幅方向(Y軸方向)において第2点SPRとは異なる位置にある。
【0067】
コントローラ50は、
図5に示すように、走行部材の寸法に基づいて路盤BCを表す仮想線VT(左仮想線VTL及び右仮想線VTR)を導き出し、左仮想線VTLと第1点SPLとの間の距離を第1高さHL(左敷き均し厚さ)として算出し、右仮想線VTRと第2点SPRとの間の距離を第2高さHR(右敷き均し厚さ)として算出してもよい。
【0068】
走行部材の寸法は、例えば、前輪6の半径RD1、及び、後輪5の半径RD2等である。トラクタ1が車輪式ではなくクローラ式である場合、走行部材の寸法は、例えば、クローラを回転させる走行油圧モータの回転軸とその鉛直下方にあるクローラリンクの外面との間の距離である。
【0069】
トラクタ1には、路盤BCまでの距離を検出する距離センサS2、及び、トラクタ1の傾きを検出する傾斜センサS3の少なくとも一方が取り付けられていてもよい。この場合、コントローラ50は、
図6に示すように、距離センサS2及び傾斜センサS3の少なくとも一方の出力に基づいて路盤BCを表す仮想線VT(左仮想線VTL及び右仮想線VTR)を導き出し、左仮想線VTLと第1点SPLとの間の距離を第1高さHLとして算出し、右仮想線VTRと第2点SPRとの間の距離を第2高さHRとして算出してもよい。
【0070】
アスファルトフィニッシャ100は、敷き均し厚さを調整するアクチュエータを備えていてもよい。
図1及び
図2に示す例では、アスファルトフィニッシャ100は、敷き均し厚さを調整するアクチュエータとしてレベリングシリンダ23を備えている。この場合、コントローラ50は、第1高さHL及び第2高さHRのそれぞれが設計面の高さと一致するようにレベリングシリンダ23の伸縮量(ストローク量)を制御してもよい。
【0071】
コントローラ50は、第1点SPL及び第2点SPRのそれぞれの位置を所定の座標系における座標を用いて認識してもよい。
図4~
図6に示す例では、コントローラ50は、第1点SPL及び第2点SPRのそれぞれの位置を、基準点RPを原点とする三次元直交座標系における座標を用いて認識している。基準点RPは、アスファルトフィニッシャ100の車長方向(X軸方向)に沿って延びるトラクタ1の中心線と後輪5の車軸5Xとの交点である。
【0072】
スクリード3は、前側スクリード30と車幅方向(Y軸方向)に伸縮可能な左後側スクリード31L及び右後側スクリード31Rを含んでいてもよい。この場合、
図5に示すように、第1点SPLは、前側スクリード30のスクリードプレートの左後端点であってもよく、第2点SPRは、前側スクリード30のスクリードプレートの右後端点であってもよい。
【0073】
コントローラ50は、
図5及び
図6に示すように、距離センサS2及び傾斜センサS3の少なくとも一方の出力に基づいて路盤BCの凹凸を検出し、そのような凹凸を含む路盤BCを表す直線(左仮想線VTL及び右仮想線VTR)を導き出し、直線(左仮想線VTL)と第1点SPLとの間の距離を第1高さHLとして算出し、直線(右仮想線VTR)と第2点SPRとの間の距離を第2高さHRとして算出してもよい。
【0074】
コントローラ50が導き出す直線(左仮想線VTL及び右仮想線VTR)は近似直線であってもよい。
図6に示す例では、左仮想線VTLは、距離センサS2の出力に基づいて導き出された左軌跡BCLの近似直線である。そして、コントローラ50が導き出す直線(左仮想線VTL及び右仮想線VTR)は、最小二乗法を用いて導き出される近似直線であってもよい。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
【0076】
例えば、上述の実施形態では、コントローラ50は、エッジ側(アスファルトフィニッシャ100のトラクタ1)に搭載されているが、クラウド側(アスファルトフィニッシャ100の外部)に搭載されていてもよい。この場合、コントローラ50は、トラクタ1に搭載された通信装置を通じてアスファルトフィニッシャ100に取り付けられた各種装置が出力する情報を取得するように、且つ、トラクタ1に搭載された通信装置を通じて制御指令を敷き均し厚さ制御装置55等に伝えるように構成されていてもよい。通信装置は、例えば、通信ネットワークを介した外部機器との通信を制御するように構成されている。
【0077】
通信ネットワークは、主に、アスファルトフィニッシャ100、管理装置、及び支援装置を相互接続できるように構成されている。通信ネットワークは、例えば、衛星通信網、携帯電話通信網、及びインターネット網等の少なくとも一つを含む。
【0078】
支援装置は、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース、入力装置、及びディスプレイ等を備えたコンピュータである。具体的には、支援装置は、携帯通信端末及び固定通信端末等を含む。携帯通信端末は、ノートパソコン、タブレットPC、携帯電話、スマートフォン、スマートウォッチ、又はスマートグラス等である。
【0079】
管理装置は、管理センタ等の外部施設に設置される装置であり、アスファルトフィニッシャ100が送信する情報を保存し且つ管理する。管理装置は、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース、入力装置、及びディスプレイ等を備えたコンピュータである。具体的には、管理装置は、通信ネットワークを通じて受信した情報を取得・保存し、操作者(管理者)が必要に応じてその保存した情報を参照できるように管理する。
【0080】
アスファルトフィニッシャ100、管理装置、及び支援装置は、例えば、インターネットプロトコル等の通信プロトコルを用いて互いに接続される。通信ネットワークを介して接続されるアスファルトフィニッシャ100、管理装置、及び支援装置のそれぞれは一つであってもよく複数であってもよい。
【0081】
コントローラ50は、管理装置に設けられていてもよく、支援装置に設けられていてもよい。また、コントローラ50の算出部50A及び敷き均し厚さ制御部50Bは、管理装置と支援装置に分散配置されていてもよい。
【0082】
このように、アスファルトフィニッシャ100と管理装置及び支援装置の少なくとも一方とはアスファルトフィニッシャ100の動きを支援する支援システムを構成していてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1・・・トラクタ 2・・・ホッパ 2b・・・プッシュローラ 3・・・スクリード 5・・・後輪 6・・・前輪 23・・・レベリングシリンダ 24・・・ホッパシリンダ 25・・・スクリードリフトシリンダ 30・・・前側スクリード 31・・・後側スクリード 40・・・サイドプレート 41・・・モールドボード 42・・・スクリードステップ 43・・・リテーニングプレート 50・・・コントローラ 50A・・・算出部 50B・・・敷き均し厚さ制御部 55・・・敷き均し厚さ制御装置 60・・・伸縮シリンダ 100・・・アスファルトフィニッシャ AM・・・レベリングアーム CP・・・搬送通路 CV・・・コンベア PV・・・舗装材 SC・・・スクリュ