(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172773
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】光電変換パネルの製造方法、光電変換パネル、及びX線パネル
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20231129BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20231129BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20231129BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20231129BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H01L27/146 C
H01L27/144 K
G01T1/20 G
G01T1/20 E
H01L31/10 A
A61B6/00 300S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084818
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】中澤 淳
(72)【発明者】
【氏名】森脇 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 力也
(72)【発明者】
【氏名】谷島 徹也
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
4M118
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
2G188AA03
2G188BB02
2G188CC22
2G188DD05
4C093AA01
4C093CA35
4C093EB12
4C093EB17
4C093EB20
4M118AA10
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(57)【要約】
【課題】フォトダイオードを覆う平坦化膜を設ける場合でも、バイアス線とフォトダイオードとのコンタクト不良又はコンタクト抵抗の増大を防止することが可能な光電変換パネルの製造方法、光電変換パネル、及びX線パネルを提供する。
【解決手段】光電変換パネル1の製造方法は、フォトダイオード14の上面の一部を露出させるコンタクトホールCH3と、ソース接続電極15caを露出させるコンタクトホールCH2とを第1平坦化膜106及び無機絶縁膜105a~105cに形成し、無機絶縁膜107を形成し、コンタクトホールCH2及びCH3内に、それぞれ、コンタクトホールCH2a及びCH3aを形成し、コンタクトホールCH2a及びCH3aの各々にバイアス線13a及びデータ線12aを形成する、製造方法である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にトランジスタを形成し、
前記トランジスタよりも上層にフォトダイオードを形成し、
前記フォトダイオードを覆う第1絶縁膜を形成し、
前記第1絶縁膜を覆う第1平坦化膜を形成し、
前記フォトダイオードの上面の一部を露出させる第1孔部を前記第1平坦化膜及び前記第1絶縁膜に形成するとともに、前記トランジスタのソース電極又は当該ソース電極に接続される接続電極を露出させる第2孔部を前記第1平坦化膜及び前記第1絶縁膜に形成し、
前記第1平坦化膜を覆う第2絶縁膜であって、前記第1孔部及び前記第2孔部内の各々に当該第2絶縁膜の一部が配置されるように第2絶縁膜を形成し、
前記第1孔部内に配置された前記第2絶縁膜に第3孔部を形成し、
前記第2孔部内に配置された前記第2絶縁膜に第4孔部を形成し、
前記第3孔部内にバイアス線の一部が配置されるように、前記第2絶縁膜よりも上層にバイアス線を形成し、
前記第4孔部内にデータ線の一部が配置されるように、前記第2絶縁膜よりも上層にデータ線を形成する、光電変換パネルの製造方法。
【請求項2】
前記第3孔部を形成することは、前記第1孔部内において、前記フォトダイオードの上面と前記第2絶縁膜の上面との間に第1段差部を形成することを含み、
前記第4孔部を形成することは、前記第2孔部内において、前記ソース電極又は前記接続電極と前記第2絶縁膜の上面との間に第2段差部を形成することを含む、請求項1に記載の光電変換パネルの製造方法。
【請求項3】
前記第1孔部及び前記第2孔部を形成した後で、かつ、前記第2絶縁膜を形成する前に、前記第1平坦化膜の前記第1孔部の径を広げ、前記第1平坦化膜の前記第2孔部の径を広げることを、さらに行う、請求項1または2に記載の光電変換パネルの製造方法。
【請求項4】
前記トランジスタを形成することは、前記基板上の端子が形成される端子領域に、端子領域電極を形成することを含み、
前記データ線を形成することは、平面視で前記端子領域電極に重なる位置にデータ端子を形成することを含む、請求項1または2に記載の光電変換パネルの製造方法。
【請求項5】
基板と、
前記基板上に形成されトランジスタと、
前記トランジスタよりも上層に形成されたフォトダイオードと、
前記フォトダイオードを覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜を覆う第1平坦化膜と、
前記第1平坦化膜を覆う第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜よりも上層に形成されたバイアス線と、
前記第2絶縁膜よりも上層に形成されたデータ線と、を備え、
前記第1平坦化膜及び前記第1絶縁膜の各々は、前記フォトダイオードの上面に接続された第1孔部と、前記トランジスタのソース電極又は当該ソース電極に接続される接続電極に接続された第2孔部とを有し、
前記第2絶縁膜の一部は、前記第1孔部内及び前記第2孔部内の各々に配置されており、
前記第2絶縁膜のうちの前記第1孔部内に配置された部分は、第3孔部を有し、
前記第2絶縁膜のうちの前記第2孔部内に配置された部分は、第4孔部を有し、
前記バイアス線の一部は、前記第3孔部内に配置されており、
前記データ線の一部は、前記第4孔部内に配置されている、光電変換パネル。
【請求項6】
X線が照射されることにより蛍光するシンチレータと、
基板と、
前記基板上に形成されトランジスタと、
前記トランジスタよりも上層に形成されたフォトダイオードであって、前記シンチレータからの光を電気信号に変換するフォトダイオードと、
前記フォトダイオードを覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜を覆う第1平坦化膜と、
前記第1平坦化膜を覆う第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜よりも上層に形成されたバイアス線と、
前記第2絶縁膜よりも上層に形成されたデータ線と、を備え、
前記第1平坦化膜及び前記第1絶縁膜の各々は、前記フォトダイオードの上面に接続された第1孔部と、前記トランジスタのソース電極又は当該ソース電極に接続される接続電極に接続された第2孔部とを有し、
前記第2絶縁膜の一部は、前記第1孔部内及び前記第2孔部内の各々に配置されており、
前記第2絶縁膜のうちの前記第1孔部内に配置された部分は、第3孔部を有し、
前記第2絶縁膜のうちの前記第2孔部内に配置された部分は、第4孔部を有し、
前記バイアス線の一部は、前記第3孔部内に配置されており、
前記データ線の一部は、前記第4孔部内に配置されている、X線パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電変換パネルの製造方法、光電変換パネル、及びX線パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光電変換パネルの製造方法、光電変換パネル、及びX線パネルが知られている。このような光電変換パネルの製造方法、光電変換パネル、及びX線パネルは、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
上記特許文献1の光電変換装置は、基板上に形成された薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタと電気的に接続されたフォトダイオードと、バイアス線と、データ線とを備える。また、光電変換装置は、フォトダイオード及び薄膜トランジスタを覆うパッシベーション膜を含む。パッシベーション膜には、バイアス線の一部が配置され、内部でバイアス線とフォトダイオードとが接続される第1の孔部が設けられている。また、パッシベーション膜には、データ線の一部が配置され、内部でデータ線と薄膜トランジスタのソース電極とが接続される第2の孔部が設けられている。また、バイアス線は、フォトダイオードの上方に設けられているため、バイアス線の上面の高さ位置は、データ線の上面の高さ位置よりも高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されている光電変換装置では、データ線の上面の高さ位置は、バイアス線の上面の高さ位置よりも低い。このため、パッシベーション膜において、データ線の一部が形成される第2の孔部の上端は、バイアス線の一部が形成される第1の孔部の上端よりも低い。これにより、第2の孔部の上端が低い分、当該第2の孔部の周囲に窪み(スペース)を設ける必要が生じる。この結果、パッシベーション膜を形成する際にフォトリソグラフィに必要な露光量が増大する。また、上記の窪みがフォトダイオードの側面に近接してしまい、フォトダイオードにプラズマダメージ(放電による損傷)が生じてしまう。
【0006】
そこで、フォトダイオードが配置されている場所の高さ位置とフォトダイオードが配置されていない場所の高さ位置とを平坦化する平坦化膜を、光電変換装置に設けることが考えられる。これにより、プラズマダメージを防止するとともに、画素の間隔を小さくすることができるため、光電変換パネルの画素数を増やすことができる。しかしながら、この場合、上記の第2の孔部を深くしなければならないため、第1の孔部および第2の孔部を形成するためのエッチングの時間が延びてしまう。このため、第1の孔部では、本来残存すべき部分が、エッチングにより削られることにより、第1の孔部に配置されるバイアス線とフォトダイオードとのコンタクト不良が発生するか、又はコンタクト抵抗の増大が発生する。
【0007】
そこで、本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、フォトダイオードを覆う平坦化膜を設ける場合でも、バイアス線とフォトダイオードとのコンタクト不良又はコンタクト抵抗の増大を防止することが可能な光電変換パネルの製造方法、光電変換パネル、及びX線パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の第1の態様に係る光電変換パネルの製造方法は、基板上にトランジスタを形成し、前記トランジスタよりも上層にフォトダイオードを形成し、前記フォトダイオードを覆う第1絶縁膜を形成し、前記第1絶縁膜を覆う第1平坦化膜を形成し、前記フォトダイオードの上面の一部を露出させる第1孔部を前記第1平坦化膜及び前記第1絶縁膜に形成するとともに、前記トランジスタのソース電極又は当該ソース電極に接続される接続電極を露出させる第2孔部を前記第1平坦化膜及び前記第1絶縁膜に形成し、前記第1平坦化膜を覆う第2絶縁膜であって、前記第1孔部及び前記第2孔部内の各々に当該第2絶縁膜の一部が配置されるように第2絶縁膜を形成し、前記第1孔部内に配置された前記第2絶縁膜に第3孔部を形成し、前記第2孔部内に配置された前記第2絶縁膜に第4孔部を形成し、前記第3孔部内にバイアス線の一部が配置されるように、前記第2絶縁膜よりも上層にバイアス線を形成し、前記第4孔部内にデータ線の一部が配置されるように、前記第2絶縁膜よりも上層にデータ線を形成する製造方法である。
【0009】
第2の態様に係る光電変換パネルは、基板と、前記基板上に形成されトランジスタと、前記トランジスタよりも上層に形成されたフォトダイオードと、前記フォトダイオードを覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜を覆う第1平坦化膜と、前記第1平坦化膜を覆う第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜よりも上層に形成されたバイアス線と、前記第2絶縁膜よりも上層に形成されたデータ線と、を備え、前記第1平坦化膜及び前記第1絶縁膜の各々は、前記フォトダイオードの上面に接続された第1孔部と、前記トランジスタのソース電極又は当該ソース電極に接続される接続電極に接続された第2孔部とを有し、前記第2絶縁膜の一部は、前記第1孔部内及び前記第2孔部内の各々に配置されており、前記第2絶縁膜のうちの前記第1孔部内に配置された部分は、第3孔部を有し、前記第2絶縁膜のうちの前記第2孔部内に配置された部分は、第4孔部を有し、前記バイアス線の一部は、前記第3孔部内に配置されており、前記データ線の一部は、前記第4孔部内に配置されている。
【0010】
第3の態様に係るX線パネルは、X線が照射されることにより蛍光するシンチレータと、基板と、前記基板上に形成されトランジスタと、前記トランジスタよりも上層に形成されたフォトダイオードであって、前記シンチレータからの光を電気信号に変換するフォトダイオードと、前記フォトダイオードを覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜を覆う第1平坦化膜と、前記第1平坦化膜を覆う第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜よりも上層に形成されたバイアス線と、前記第2絶縁膜よりも上層に形成されたデータ線と、を備え、前記第1平坦化膜及び前記第1絶縁膜の各々は、前記フォトダイオードの上面に接続された第1孔部と、前記トランジスタのソース電極又は当該ソース電極に接続される接続電極に接続された第2孔部とを有し、前記第2絶縁膜の一部は、前記第1孔部内及び前記第2孔部内の各々に配置されており、前記第2絶縁膜のうちの前記第1孔部内に配置された部分は、第3孔部を有し、前記第2絶縁膜のうちの前記第2孔部内に配置された部分は、第4孔部を有し、前記バイアス線の一部は、前記第3孔部内に配置されており、前記データ線の一部は、前記第4孔部内に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
上記の構成によれば、第1絶縁膜に第1孔部及び第2孔部を形成する工程と、第2絶縁膜に第3孔部及び第4孔部を形成する工程とが別の工程で実施されるので、第1絶縁膜と第2絶縁膜とに一度に孔部が形成される場合に比べて、第1孔部及び第3孔部におけるエッチングによる負担を工程ごとに分散させることができる。これにより、第1孔部内において、本来残存すべき部分が、エッチングにより削られるのを防止することができる。この結果、フォトダイオードを覆う平坦化膜を設ける場合でも、第1孔部及び第3孔部内において、バイアス線とフォトダイオードとのコンタクト不良又はコンタクト抵抗の増大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態における光電変換パネル1を含むX線パネル10を備えるX線撮像装置100を示す模式図である。
【
図2】
図2は、光電変換パネル1の概略構成を示す平面模式図である。
【
図3】
図3は、光電変換パネル1の構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH2に配置された膜の構成を説明するための図である。
【
図5】
図5は、コンタクトホールCH3及びコンタクトホールCH3に配置された膜の構成を説明するための図である。
【
図6】
図6は、ゲート端子11及びゲート端子11の近傍の断面図である。
【
図7】
図7は、バイアス端子13及びバイアス端子13の近傍の断面図である。
【
図8】
図8は、光電変換パネル1の製造工程を説明するためのフロー図である。
【
図9】
図9は、第1平坦化膜106の形成について説明するための断面図である。
【
図10】
図10は、無機絶縁膜105a~105cに対するエッチングを説明するための図である。
【
図11】
図11は、コンタクトホールCH2a及びCH3aの形成を説明するための図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態における光電変換パネル201の一部の断面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態における光電変換パネル201の製造工程を示すフロー図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態による第1平坦化膜206のアッシングを説明するための図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態における光電変換パネル301の端子領域R12の断面図(1)である。
【
図16】
図16は、第3実施形態における光電変換パネル301の端子領域R12の断面図(2)である。
【
図17】
図17は、第3実施形態における光電変換パネル301の製造工程を示すフロー図である。
【
図18】
図18は、第1~第3実施形態の変形例による光電変換パネル401の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、本開示の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0014】
[第1実施形態]
(X線撮像装置100の構成)
図1は、第1実施形態における光電変換パネル1を含むX線パネル10を備えるX線撮像装置100を示す模式図である。X線撮像装置100は、光電変換パネル1とシンチレータ2とを含むX線パネル10と、制御部3と、X線源4とを備える。
【0015】
図1に示すように、制御部3は、ゲート制御回路31と、信号読出回路32と、バイアス電圧供給回路33とを含む。ゲート制御回路31は、光電変換パネル1のゲート端子11に接続されている。また、信号読出回路32は、データ端子12に接続されている。バイアス電圧供給回路33は、バイアス端子13に接続されている。
【0016】
X線源4は、被写体Sに対しX線を照射する。被写体Sを透過したX線は、光電変換パネル1の上部に配置されたシンチレータ2において蛍光(以下、シンチレーション光)に変換される。X線撮像装置100は、シンチレーション光をX線パネル10において撮像することにより、X線画像を生成する。
【0017】
図2は、光電変換パネル1の概略構成を示す平面模式図である。光電変換パネル1は、複数のゲート端子11と、複数のデータ端子12と、バイアス端子13と、複数のフォトダイオード14と、複数の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)15とを含む。また、光電変換パネル1の基板101上には、複数のゲート線11aと、複数のデータ線12aと、バイアス線13aとが形成されている。
【0018】
複数のゲート線11aは、複数のTFT15のゲート電極15aとゲート端子11とを接続する。複数のデータ線12aは、複数のTFT15のソース電極15cとデータ端子12とを接続する。バイアス線13aは、バイアス端子13と複数のフォトダイオード14とを接続する。
【0019】
図2に示すように、光電変換パネル1には、画素領域R1と、端子領域R2とが設けられている。画素領域R1は、例えば、平面視で矩形状を有する。画素領域R1とは、複数の画素20が形成された領域である。画素20は、ゲート線11aとデータ線12aとにより区画された領域である。端子領域R2は、画素領域R1のX方向の正側及びY方向の負側にそれぞれ設けられており、ゲート端子11とデータ端子12とバイアス端子13とが配置された領域である。
【0020】
また、
図2に示すように、画素領域R1では、複数のゲート線11aと複数のデータ線12aとが、互いに交差するように形成されている。これにより、複数の画素20は、平面視でマトリクス状に形成されている。光電変換パネル1は、アクティブマトリクス基板を含む。また、バイアス線13aは、例えば、データ線12aに沿って形成されている。そして、画素20の各々に、フォトダイオード14およびTFT15が設けられている。画素領域R1は、言い換えると、アクティブ領域である。
【0021】
また、
図2に示すように、端子領域R2では、複数のゲート端子11がY方向に並んで配置されている。また、端子領域R2では、複数のデータ端子12とバイアス端子13とが、X方向に並んで配置されている。複数のゲート端子11は、ゲート制御回路31からのゲート信号をゲート線11aに伝達する。複数のデータ端子12は、信号読出回路32からの読み出し電圧をデータ線12aに印加する。また、複数のデータ端子12は、データ信号をデータ線12a及びTFT15を介してフォトダイオード14から取得して、データ信号を信号読出回路32に伝達する。バイアス端子13は、バイアス電圧供給回路33からのバイアス電圧をバイアス線13aに供給する。
【0022】
図1に示す制御部3は、X線源4からX線を照射して、信号読出回路32により取得したデータ信号に基づいて、X線画像を生成する。フォトダイオード14は、バイアス線13aからバイアス電圧が印加されている状態で、被写体Sを透過したX線をシンチレータが変換したシンチレーション光の光量に応じた電荷に変換し、電荷に応じた信号(データ信号)をTFT15に伝達する。そして、制御部3は、各ゲート線11aに対して、ゲート制御回路31から順次選択的にゲート信号を供給させる。ゲート信号が供給されたTFT15はオン状態となる。データ線12aには、信号読出回路32により読み出し電圧が印加され、TFT15がオン状態になると、フォトダイオード14において変換された電荷に応じた信号(データ信号)が、読み出し電圧に印加される。そして、信号読出回路32は、データ信号を取得する。制御部3は、画素領域R1における各画素20のデータ信号に基づいて、X線画像を生成する。
【0023】
(光電変換パネル1の構成)
図3を参照して、光電変換パネル1の構成について説明する。
図3は、光電変換パネル1の構成を示す断面図である。
図3に示すように、光電変換パネル1の薄膜トランジスタ15は、ゲート線11a(
図2参照)に接続されるゲート電極15aと、半導体活性層15bと、データ線12aに接続されるソース電極15cと、フォトダイオード14に接続されるドレイン電極15dとを有する。また、フォトダイオード14は、光電変換層16と、カソード14bと、アノード14cと、を含む。光電変換層16は、カソード14bとアノード14cとの間に設けられている。そして、ドレイン電極15dとカソード14bとは、コンタクトホールCH1内に設けられたカソード接続電極14aを介して接続されている。
【0024】
データ線12aの一部は、コンタクトホールCH2内に配置され、コンタクトホールCH2を介してソース接続電極15caに接続されている。データ線12aは、データ下部電極12aaと、データ下部電極12aaを覆うデータ上部電極12abとを含む。バイアス線13aは、一部がコンタクトホールCH3内に形成されたバイアス下部電極13aaと、バイアス下部電極13aaの上に形成されたバイアス上部電極13abとを含む。バイアス線13aは、コンタクトホールCH3内において、フォトダイオード14のアノード14cに接続されている。なお、
図3には図示されていないものの、ソース電極15cは、ソース接続電極15caを介して、データ線12aに接続されている。
【0025】
また、
図3に示すように、ゲート電極15aは、基板101上に形成されている。基板101は、例えば、絶縁性を有するガラス基板である。ゲート電極15aは、例えば、タングステン(W)及び窒化タンタル(TaN)を材料として含む積層膜として構成されている。ゲート電極15aを覆うように、ゲート絶縁膜102が設けられている。ゲート絶縁膜102は、例えば、上層に酸化ケイ素(SiO
2)からなる絶縁膜と、下層に窒化ケイ素(SiN
x)からなる絶縁膜とが積層されて構成されている。
【0026】
半導体活性層15bと、半導体活性層15bに接続されたソース電極15c及びドレイン電極15dとは、ゲート絶縁膜102を介してゲート電極15aの上に形成されている。半導体活性層15bは、酸化物半導体からなる。酸化物半導体は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を所定の比率で含有するアモルファス酸化物半導体である。この構成によれば、アモルファスシリコン(a-Si)と比べ、薄膜トランジスタ15のオフリーク電流を低減することができる。薄膜トランジスタ15のオフリーク電流が小さいと、高感度なセンサーパネルが得られ、低被ばくの光電変換パネル1を得ることができる。なお、半導体活性層15bは、これに限られず、InGaO3(ZnO)5、酸化マグネシウム亜鉛(MgxZn1-xO)、酸化カドミウム亜鉛(CdxZn1-xO)、酸化カドミウム(CdO)、InSnZnO(In(インジウム)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)を含む)もの、In(インジウム)-Al(アルミニウム)-Zn(亜鉛)-O(酸素)系のアモルファス酸化物半導体等を用いてもよい。また、酸化物半導体としては、「非晶質」、「結晶質(多結晶、微結晶、c軸配向を含む)」の材料も適用可能である。
【0027】
ソース電極15c及びドレイン電極15dは、ゲート絶縁膜102の上において半導体活性層15bの一部と接するように配置されている。また、ソース電極15c及びドレイン電極15dは、同一層上に形成されている。ソース電極15c及びドレイン電極15dは、例えば、アルミニウム(Al)からなる金属膜を、チタン(Ti)からなる2つの金属膜が挟むように積層された3層構造を有する。
【0028】
図3に示すように、ゲート絶縁膜102の上において、ソース電極15c及びドレイン電極15dを覆うように保護膜103が設けられている。また、保護膜103は、ドレイン電極15dの上に、コンタクトホールCH1が設けられている。保護膜103は、例えば、酸化ケイ素(SiO
2)により構成されている。
【0029】
保護膜103の上層に、第2平坦化膜104が設けられている。すなわち、第2平坦化膜104は、薄膜トランジスタ15よりも上層に形成されている。これにより、第2平坦化膜104は、薄膜トランジスタ15の少なくとも一部を覆い、薄膜トランジスタ15の上部を平坦化する。また、第2平坦化膜104は、ドレイン電極15dの上に設けられたコンタクトホールCH1を有する。第2平坦化膜104は、樹脂材料(有機材料)を含む有機絶縁膜により構成されている。
【0030】
カソード接続電極14aは、第2平坦化膜104の上層に形成されている。カソード接続電極14aは、コンタクトホールCH1内に形成され、ドレイン電極15dとカソード14bとを接続している。カソード接続電極14a、例えば、チタン(Ti)からなる2つの金属膜がアルミニウム(Al)からなる金属膜を挟むように積層された3層構造を有する。ここで、カソード接続電極14aにアルミニウムが含まれることにより、アルミニウムは比較的電気抵抗値が小さいので、カソード接続電極14aの電気抵抗値が比較的低くなる。なお、ソース接続電極15caは、第2平坦化膜104の上層で、かつ、カソード接続電極14aと同層に形成されている。
【0031】
カソード接続電極14a及びソース接続電極15caの上層に、無機絶縁膜105aが形成されている。無機絶縁膜105aには、ソース接続電極15caの上にコンタクトホールCH2が設けられており、コンタクトホールCH2内には、データ下部電極12aaの一部及びデータ上部電極12abが設けられる。また、無機絶縁膜105aは、例えば、窒化ケイ素(SiNx)または二酸化ケイ素(SiO2)により構成されている。
【0032】
フォトダイオード14のカソード14bは、カソード接続電極14aよりも上層において、無機絶縁膜105aの一部を覆うように形成されている。また、カソード14bとカソード接続電極14aとは、接触している。カソード14bは、例えば、チタン(Ti)により形成されている。
【0033】
光電変換層16は、カソード14bの上層に形成されている。光電変換層16は、n型非晶質半導体層161、真性非晶質半導体層162、p型非晶質半導体層163が順に積層されて構成されている。n型非晶質半導体層161は、n型不純物(例えば、リン)がドーピングされたアモルファスシリコンからなる。真性非晶質半導体層162は、真性のアモルファスシリコンからなる。真性非晶質半導体層162は、n型非晶質半導体層161に接して形成されている。p型非晶質半導体層163は、p型不純物(例えば、ボロン)がドーピングされたアモルファスシリコンからなる。p型非晶質半導体層163は、真性非晶質半導体層162に接して形成されている。アノード14cは、光電変換層16の上に形成されている。アノード14cは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)で構成されている。そして、アノード14cを覆うように、無機絶縁膜105cが形成されている。無機絶縁膜105cには、バイアス線13aの一部が設けられるコンタクトホールCH3が形成されている。無機絶縁膜105cは、例えば、窒化ケイ素(SiNx)または、二酸化ケイ素(SiO2)により構成されている。
【0034】
無機絶縁膜105bは、フォトダイオード14及び無機絶縁膜105aの少なくとも一部を覆うように形成されている。また、無機絶縁膜105bは、フォトダイオード14の上面の一部とフォトダイオード14の側面とを覆う。また、無機絶縁膜105bには、コンタクトホールCH3及びCH5が形成されている。無機絶縁膜105bは、例えば、無機絶縁膜として構成されており、窒化ケイ素(SiNx)により構成されている。
【0035】
第1平坦化膜106は、フォトダイオード14よりも上層に形成され、無機絶縁膜105bを覆うように形成されている。また、第1平坦化膜106は、フォトダイオード14を覆い、フォトダイオード14により形成される段差部分を平坦化する。第1平坦化膜106は、例えば、第2平坦化膜104と同様の材料(有機絶縁膜)からなる。また、第1平坦化膜106には、コンタクトホールCH2及びCH3が形成されている。
【0036】
コンタクトホールCH2内では、データ下部電極12aaとデータ上部電極12abとが積層されている。また、コンタクトホールCH3内では、バイアス下部電極13aaとバイアス上部電極13abとが積層されている。そして、コンタクトホールCH2内において、データ線12aとソース接続電極15caとが接続される。また、コンタクトホールCH3内において、バイアス線13aとフォトダイオード14のアノード14cとが接続される。データ下部電極12aa及びバイアス下部電極13aaは、例えば、チタン(Ti)からなる2つの金属膜がアルミニウム(Al)からなる金属膜を挟むように積層された3層構造を有する。データ上部電極12ab及びバイアス上部電極13abは、例えば、ITOから構成される。
【0037】
無機絶縁膜107は、第1平坦化膜106の上層に形成されており、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3の各々の内側面に一部が配置されている。無機絶縁膜108は、無機絶縁膜107、データ線12a及びバイアス線13aを覆うように形成されている。また、無機絶縁膜107及び108は、パッシベーション膜(保護膜)である。無機絶縁膜107及び108は、例えば、窒化ケイ素(SiNx)または二酸化ケイ素(SiO2)により構成されている。
【0038】
第3平坦化膜109は、無機絶縁膜108を覆うように形成されている。第3平坦化膜109は、データ線12a及びバイアス線13aよりも上方の部分を平坦化する。また、第3平坦化膜109は、例えば、第2平坦化膜104と同様の材料(有機絶縁膜)からなる。
【0039】
〈コンタクトホールCH2及びCH3の構成〉
図4は、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH2に配置された膜の構成を説明するための図である。
図5は、コンタクトホールCH3及びコンタクトホールCH3に配置された膜の構成を説明するための図である。
【0040】
図4に示すように、第1平坦化膜106及び無機絶縁膜105a及び105bの各々は、ソース接続電極15caに接続されたコンタクトホールCH2を有する。コンタクトホールCH2内に配置されたデータ線12aは、ソース接続電極15caの上面に接触している。また、無機絶縁膜107の一部は、コンタクトホールCH2の内側面と、コンタクトホールCH2の底部の一部に配置されている。無機絶縁膜107のうちのコンタクトホールCH2内に配置された部分は、コンタクトホールCH2aを有する。これにより、ソース接続電極15caと無機絶縁膜107の上面との間に、段差部107aが形成されている。
【0041】
図5に示すように、第1平坦化膜106及び無機絶縁膜105b及び105cの各々は、アノード14cに接続されたコンタクトホールCH3を有する。コンタクトホールCH3内に配置されたバイアス線13aは、アノード14cの上面に接触している。また、無機絶縁膜107の一部は、コンタクトホールCH3の内側面と、コンタクトホールCH3の底部の一部に配置されている。無機絶縁膜107のうちのコンタクトホールCH3内に配置された部分は、コンタクトホールCH3aを有する。これにより、アノード14cと無機絶縁膜107の上面との間に、段差部107bが形成されている。この構成によれば、光電変換パネル1を製造する際に、後述するステップS13及びS14(コンタクトホールCH2及びCH3を形成する工程)と、後述するステップS15(コンタクトホールCH2a及びCH3b)とを別の工程で実施することができるので、無機絶縁膜105a~105cと、無機絶縁膜107とに一度にコンタクトホールが形成される場合に比べて、エッチングによる負担を工程ごとに分散させることができる。この結果、フォトダイオード14を覆う第1平坦化膜106を設ける場合でも、コンタクトホールCH2内及びCH3内において、バイアス線13aとフォトダイオード14とのコンタクト不良又はコンタクト抵抗の増大を防止することができる。そして、段差部107a及び107bによって、不要に削られた部分にバイアス線13a又はデータ線12aが入り込むのを防止することができる。この結果、バイアス線13a及びデータ線12aの膜厚の減少を防止でき、バイアス線13aとフォトダイオード14とのコンタクト抵抗を低減し、データ線12aとソース接続電極15caとのコンタクト抵抗を低減することができる。
【0042】
〈端子領域R2の構成〉
次に、第1実施形態による端子領域R2の構成について説明する。
図6は、ゲート端子11及びゲート端子11の近傍の断面図である。
図7は、バイアス端子13及びバイアス端子13の近傍の断面図である。
【0043】
図6に示すように、ゲート端子11は、バイアス下部電極13aaが形成された層と同一の層に形成されたゲート端子下部電極11baと、バイアス上部電極13abが形成された層と同一の層に形成されたゲート端子上部電極11bbと、を含む。ゲート端子下部電極11baと、ゲート端子上部電極11bbとは、積層している。ゲート線11aは、ゲート電極15aが形成された層と同一の層に形成されている。そして、端子領域R2には、ゲート線11aとゲート端子11との間に配置されたゲート端子接続電極11c及び11dが設けられている。ゲート端子接続電極11cは、ソース電極15cが形成された層と同一の層に形成されており、ゲート線11aに接続している。ゲート端子接続電極11dは、カソード接続電極14aが形成された層と同一の層に形成されており、ゲート端子接続電極11cとゲート端子11とに接続している。なお、第1実施形態では、ゲート端子11が露出した部分と、ゲート端子接続電極11c及び11dとは、平面視で重ならない位置に配置されている。
【0044】
図7に示すように、データ端子12は、バイアス下部電極13aaが形成された層と同一の層に形成されたデータ端子下部電極12baと、バイアス上部電極13abが形成された層と同一の層に形成されたデータ端子上部電極12bbと、を含む。データ端子下部電極12baと、データ端子上部電極12bbとは、積層している。データ線12aは、端子領域R2においては、ソース電極15cが形成された層と同一の層に形成されている。そして、端子領域R2には、データ線12aとデータ端子12との間に配置されたデータ端子接続電極12cが設けられている。データ端子接続電極12cは、カソード接続電極14aが形成された層と同一の層に形成されており、データ線12aとデータ端子12とに接続している。なお、第1実施形態では、データ端子12が露出した部分と、データ端子接続電極12cとは、平面視で重ならない位置に配置されている。
【0045】
[第1実施形態による光電変換パネルの製造方法]
次に、
図8を参照して、第1実施形態による光電変換パネル1の製造方法について説明する。
図8は、光電変換パネル1の製造工程を説明するためのフロー図である。
【0046】
図8に示すように、ステップS1において、画素領域R1では、基板101上にゲート電極15a(
図3参照)が成膜され、パターニングされる。また、このステップS1において、端子領域R2では、基板101上にゲート線11a(
図6参照)が成膜され、パターニングされる。
【0047】
ステップS2において、ゲート電極15a及びゲート線11aを覆うように、ゲート絶縁膜102が成膜され、パターニングされる。そして、ステップS3において、画素領域R1では、ゲート絶縁膜102の上に、半導体活性層15b(
図3参照)が成膜され、パターニングされる。
【0048】
ステップS4において、画素領域R1では、ゲート絶縁膜102の上に、ソース電極15c及びドレイン電極15dが成膜され、パターニングされる。これにより、薄膜トランジスタ15が形成される。また、このステップS4において、端子領域R2では、ゲート絶縁膜102の上に、ゲート端子接続電極11c(
図6参照)及びデータ線12aが形成される。
【0049】
ステップS5において、画素領域R1では、ゲート絶縁膜102の上において、ソース電極15c及びドレイン電極15dを覆うように保護膜103が成膜され、パターニングされる。ステップS6において、保護膜103の上に、第2平坦化膜104が成膜される。このステップS6において、画素領域R1では、第2平坦化膜104にコンタクトホールCH1(
図3参照)が形成される。
【0050】
ステップS7において、画素領域R1では、第2平坦化膜104上及びコンタクトホールCH1内にカソード接続電極14aが成膜され、パターニングされる。これにより、カソード接続電極14aとドレイン電極15dとが接続される。また、端子領域R2では、ゲート端子接続電極11d及びデータ端子接続電極12cが形成される。
【0051】
ステップS8において、カソード接続電極14aの一部及びソース接続電極15caを覆うように、無機絶縁膜105aが成膜される、パターニングされる。そして、ステップS9において、画素領域R1に、無機絶縁膜105aの一部と、カソード接続電極14aの上にフォトダイオード14のカソード14b(
図3参照)が成膜され、パターニングされる。
【0052】
ステップS10において、画素領域R1に、光電変換層16(
図3参照)が成膜される。具体的には、n型非晶質半導体層161、真性非晶質半導体層162、p型非晶質半導体層163が順に積層される。そして、アノード14cが成膜される。ステップS11において、アノード14c及び光電変換層16がパターニングされる。ステップS12において、アノード14cを覆うように、無機絶縁膜105cが成膜され、パターニングされる。また、フォトダイオード14、無機絶縁膜105a及び105cを覆うように無機絶縁膜105bが成膜され、パターニングされる。
【0053】
図9は、第1平坦化膜106の形成について説明するための断面図である。ステップS13において、
図9に示すように、無機絶縁膜105bを覆うように第1平坦化膜106が成膜され、フォトリソグラフィにより、コンタクトホールCH2b及びコンタクトホールCH3bが形成される。
【0054】
図10は、無機絶縁膜105a~105cに対するエッチングを説明するための図である。ステップS14において、
図10に示すように、無機絶縁膜105a~105cにエッチングが行われ、無機絶縁膜105a~105cにコンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3が形成される。例えば、第1平坦化膜106をマスクとして、ドライエッチングが行われ、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3が形成される。その後、洗浄(剥離もしくは水洗)を行う。コンタクトホールCH2が形成されることにより、ソース接続電極15caの上面の一部が露出し、コンタクトホールCH3が形成されることにより、アノード14cの上面の一部が露出する。
【0055】
図11は、コンタクトホールCH2a及びCH3aの形成を説明するための図である。ステップS15において、第1平坦化膜106上、コンタクトホールCH2内及びコンタクトホールCH3内の各々に、無機絶縁膜107が成膜され、パターニングされる。このステップS15において、
図11に示すように、無機絶縁膜107のうちのコンタクトホールCH2内に配置された部分に、コンタクトホールCH2aが形成され、無機絶縁膜107のうちのコンタクトホールCH3内に配置された部分に、コンタクトホールCH3aが形成される。これにより、コンタクトホールCH2内において、ソース接続電極15caと無機絶縁膜107の上面との間に段差部107aが形成され、コンタクトホールCH3内において、フォトダイオード14の上面と無機絶縁膜107の上面との間に段差部107bが形成される。段差部107a及び107bによって、不要に削られた部分にバイアス線13a又はデータ線12aが入り込むのを防止することができる。この結果、バイアス線13a及びデータ線12aの膜厚の減少を防止でき、バイアス線13aとフォトダイオード14とのコンタクト抵抗を低減し、データ線12aとソース接続電極15caとのコンタクト抵抗を低減することができる。
【0056】
ステップS16において、データ下部電極12aa、バイアス下部電極13aa、及びゲート端子下部電極11ba、及びデータ端子下部電極12baとなる膜が、無機絶縁膜107上に成膜され、データ上部電極12ab、バイアス上部電極13ab、及びゲート端子上部電極11bb、及びデータ端子上部電極12bbとなる膜が、データ下部電極12aa、バイアス下部電極13aa、及びゲート端子下部電極11ba、及びデータ端子下部電極12baとなる膜上に、それぞれ成膜され、パターニングされる。
【0057】
そして、ステップS17において、第1平坦化膜106の上において、データ線12a及びバイアス線13aを覆うように無機絶縁膜108が成膜され、パターニングされる。ステップS18において、無機絶縁膜108を覆うように第3平坦化膜109が成膜され、パターニングされる。これにより、光電変換パネル1が完成する。その後、シンチレータ2との組み合わせられることにより、X線パネル10が完成する。なお、制御部3からの図示しないフレキシブルプリント基板を、ゲート端子11、データ端子12、及びバイアス端子13に取り付けることにより、X線撮像装置100が完成する。
【0058】
以上の方法によれば、ステップS13及びS14(コンタクトホールCH2及びCH3を形成する工程)と、ステップS15(コンタクトホールCH2a及びCH3b)とが別の工程で実施されるので、無機絶縁膜105a~105cと、無機絶縁膜107とに一度にコンタクトホールが形成される場合に比べて、エッチングによる負担を工程ごとに分散させることができる。この結果、フォトダイオード14を覆う第1平坦化膜106を設ける場合でも、コンタクトホールCH2内及びCH3内において、バイアス線13aとフォトダイオード14とのコンタクト不良又はコンタクト抵抗の増大を防止することができる。
【0059】
[第2実施形態]
図12を参照して、第2実施形態における光電変換パネル201の構成について説明する。
図12は、第2実施形態における光電変換パネル201の一部の断面図である。なお、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0060】
図12に示すように、第2実施形態による光電変換パネル201は、コンタクトホールCH12及びCH13が形成された第1平坦化膜206と、コンタクトホールCH12及びCH13内に一部が配置され、第1平坦化膜206上に形成された無機絶縁膜207と、を含む。無機絶縁膜207には、コンタクトホールCH12内に、2段の段差部207a及び207bが形成され、コンタクトホールCH13内に、2段の段差部207c及び207cが形成されている。また、第1平坦化膜206のうちのコンタクトホールCH12の内側面を構成する部分は、無機絶縁膜105a及び105bのうちのコンタクトホールCH12の内側面を構成する部分よりも、外方に位置する。また、第1平坦化膜206のうちのコンタクトホールCH13の内側面を構成する部分は、無機絶縁膜105b及び105cのうちのコンタクトホールCH13の内側面を構成する部分よりも、外方に位置する。その他の構成及び効果は、第1実施形態と同様である。
【0061】
[第2実施形態の製造方法]
次に、
図13を参照して、第2実施形態における光電変換パネル201の製造方法について説明する。
図13は、第2実施形態における光電変換パネル201の製造工程を示すフロー図である。なお、第1実施形態と同様の工程には、第1実施形態と同じステップ番号を用い説明を省略する。
【0062】
図13に示すように、第2実施形態における光電変換パネル201の製造工程では、第1実施形態に対して、ステップS14の後で、かつ、ステップS15の前に、第1平坦化膜206のアッシングが行われるステップS201が追加されている。
図14は、第2実施形態による第1平坦化膜206のアッシングを説明するための図である。
図14に示すように、第1平坦化膜206におけるコンタクトホールCH12及びCH13に対して、例えば酸素プラズマを照射することにより、第1平坦化膜206が、点線部分から実線部分に向かって後退する。これにより、コンタクトホールCH12の径D1が径D2に拡大し、コンタクトホールCH13の径D3が径D4に拡大する。なお、「径」とは、コンタクトホールが円形の場合、直径を意味し、楕円形の場合、長軸の長さを意味し、矩形の場合、一辺(長辺)の長さを意味する。
【0063】
ここで、コンタクトホールを形成する際のアライメントがずれた場合に、第1平坦化膜が露出し、バイアス線又はデータ線と第1平坦化膜(有機膜)とが接触する可能性がある。Tiからなるバイアス下部電極又はデータ下部電極が第1平坦化膜に接触した場合は、問題がないが、バイアス下部電極又はデータ下部電極がコンタクトホール内を被覆せずに、Alからなるバイアス上部電極又はデータ上部電極に、第1平坦化膜が接触した場合、第1平坦化膜からの水分によって、Alからなるバイアス上部電極又はデータ上部電極に変質が生じてしまう。これに対して、第2実施形態による製造方法によれば、コンタクトホールCH12及びCH13の径が広がるので、アライメントのずれの許容範囲を拡大することができる。この結果、バイアス下部電極213aa、データ下部電極212aa、バイアス上部電極213ab、及びデータ上部電極212abが、第1平坦化膜206に接触するのが防止される。これにより、バイアス上部電極213ab、及びデータ上部電極212abの変質を防止することができる。また、コンタクトホールCH12に、2段の段差部207a及び207bが形成され、コンタクトホールCH13内に、2段の段差部207c及び207cが形成されるので、不要に削られた部分にバイアス線213a及びデータ線212aが入り込むのを防止することができる。この結果、バイアス線213a及びデータ線212aの膜厚の減少を防止でき、バイアス線213aとフォトダイオード14とのコンタクト抵抗を低減し、データ線212aとソース接続電極15caとのコンタクト抵抗を低減することができる。その他の製造方法及び効果は、第1実施形態と同様である。
【0064】
[第3実施形態]
図15及び
図16を参照して、第3実施形態における光電変換パネル301の構成について説明する。
図15及び
図16は、第3実施形態における光電変換パネル301の端子領域R12の断面図である。なお、第1又は第2実施形態と同様の構成には、第1又は第2実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0065】
図15に示すように、第3実施形態による光電変換パネル301は、平面視でゲート端子311と重なる位置に形成されたゲート線311aと、平面視でゲート端子311と重なる位置に形成されたゲート端子接続電極311c及び311dと、を含む。
図16に示すように、第3実施形態による光電変換パネル301は、平面視でデータ端子312と重なる位置に形成されたデータ線312a及びゲート線311aと、平面視でデータ端子312と重なる位置に形成されたデータ端子接続電極312cと、を含む。また、図示を省略するが、第3実施形態による光電変換パネル301は、平面視でバイアス端子と重なる位置に形成されたバイアス線、ゲート線、及びデータ線と、を含む。ここで、端子領域R12には、平坦化膜が設けられないが、ゲート端子311及びデータ端子312の基板101からの高さ位置と、平坦化膜が設けられた端子領域以外の領域の高さ位置との差異を低減することができる。この結果、フレキシブルプリント基板をゲート端子311及びデータ端子312に接続する際に、ゲート端子311及びデータ端子312とフレキシブルプリント基板との圧着固定が不良になるのを防止することができる。また、検査時に、ゲート端子311及びデータ端子312に検査プローブを容易に当てることができる。その他の構成及び効果は、第1又は第2実施形態と同様である。
【0066】
[第3実施形態の製造方法]
次に、
図17を参照して、第3実施形態における光電変換パネル301の製造方法について説明する。
図17は、第3実施形態における光電変換パネル301の製造工程を示すフロー図である。なお、第1実施形態と同様の工程には、第1実施形態と同じステップ番号を用い説明を省略する。
【0067】
図17に示すように、第3実施形態における光電変換パネル301の製造工程では、第1実施形態のステップS1、S4及びS7に代えて、ステップS301~S303が実行される。ステップS301において、画素領域R1では、基板101上にゲート電極15a(
図3参照)が成膜され、パターニングされる。また、このステップS301において、端子領域R12では、ゲート端子311及びデータ端子312が形成される位置と平面視で重なる位置に、基板101上にゲート線311aが成膜され、パターニングされる。また、ステップS302では、画素領域R1では、ゲート絶縁膜102の上に、ソース電極15c及びドレイン電極15dが成膜され、パターニングされる。また、このステップS302において、端子領域R12では、ゲート絶縁膜102の上において、ゲート端子311及びデータ端子312が形成される位置と平面視で重なる位置に、ゲート端子接続電極311c及びデータ線312aが形成される。また、ステップS303では、画素領域R1では、第2平坦化膜104上及びコンタクトホールCH1内にカソード接続電極14aが成膜され、パターニングされる。また、端子領域R12では、ゲート端子311及びデータ端子312が形成される位置と平面視で重なる位置に、ゲート端子接続電極311d及びデータ端子接続電極312cが形成される。その他の製造方法及び効果は、第1又は第2実施形態と同様である。
【0068】
以上、実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。よって、本開示は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0069】
(1)上記第1~第3実施形態では、第2平坦化膜104を光電変換パネルに設ける例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、
図18に示す変形例の光電変換パネル401のように、第2平坦化膜104が設けられないで、薄膜トランジスタ415の上に第1平坦化膜106が形成されていてもよい。この場合、データ線412aは、データ下部電極412aa及びデータ上部電極412abを含み、データ線412aは、薄膜トランジスタ415のソース電極415cに接続している。データ下部電極412aaは、ソース電極415cに接触している。
【0070】
(2)上記第1~第3実施形態では、光電変換パネルを、X線撮像装置用のX線パネルに適用する例を示したが、本開示はこの例に限られない。すなわち、X線以外の光センサ用のパネルに上記光電変換パネルを適用してもよい。
【0071】
(3)上記第1~第3実施形態では、光電変換パネルを構成する層(膜)の材料の例を示したが、本開示はこの例に限られない。すなわち、上記した例以外の材料により光電変換パネルを構成する層(膜)を構成してもよい。
【0072】
(4)上記第1~第3実施形態では、データ線、バイアス線、データ端子、及びゲート端子を、2層の膜から構成する例を示したが、本開示はこの例に限られない。すなわち、データ線、バイアス線、データ端子、及びゲート端子を、単一の層から構成してもよいし、3層以上の膜から構成してもよい。
【0073】
上述した光電変換パネルの製造方法、光電変換パネル、及びX線パネルは、以下のように説明することもできる。
【0074】
第1の構成に係る光電変換パネルの製造方法は、基板上にトランジスタを形成し、トランジスタよりも上層にフォトダイオードを形成し、フォトダイオードを覆う第1絶縁膜を形成し、第1絶縁膜を覆う第1平坦化膜を形成し、フォトダイオードの上面の一部を露出させる第1孔部を第1平坦化膜及び第1絶縁膜に形成するとともに、トランジスタのソース電極又は当該ソース電極に接続される接続電極を露出させる第2孔部を第1平坦化膜及び第1絶縁膜に形成し、第1平坦化膜を覆う第2絶縁膜であって、第1孔部及び第2孔部内の各々に当該第2絶縁膜の一部が配置されるように第2絶縁膜を形成し、第1孔部内に配置された第2絶縁膜に第3孔部を形成し、第2孔部内に配置された第2絶縁膜に第4孔部を形成し、第3孔部内にバイアス線の一部が配置されるように、第2絶縁膜よりも上層にバイアス線を形成し、第4孔部内にデータ線の一部が配置されるように、第2絶縁膜よりも上層にデータ線を形成する、製造方法である(第1の構成)。
【0075】
上記第1の構成によれば、第1絶縁膜に第1孔部及び第2孔部を形成する工程と、第2絶縁膜に第3孔部及び第4孔部を形成する工程とが別の工程で実施されるので、第1絶縁膜と第2絶縁膜とに一度に孔部が形成される場合に比べて、第1孔部及び第3孔部におけるエッチングによる負担を工程ごとに分散させることができる。これにより、第1孔部内において、本来残存すべき部分が、エッチングにより削られるのを防止することができる。この結果、フォトダイオードを覆う平坦化膜を設ける場合でも、第1孔部及び第3孔部内において、バイアス線とフォトダイオードとのコンタクト不良又はコンタクト抵抗の増大を防止することができる。
【0076】
第1の構成において、第3孔部を形成することは、第1孔部内において、フォトダイオードの上面と第2絶縁膜の上面との間に第1段差部を形成することを含んでもよく、第4孔部を形成することは、第2孔部内において、ソース電極又は接続電極と第2絶縁膜の上面との間に第2段差部を形成することを含んでもよい(第2の構成)。
【0077】
ここで、エッチングにより基板と平行な方向(横方向)に第1絶縁膜が不要に削られる場合がある。これに対して、上記第2の構成によれば、第1孔部内に形成された第1段差部によって、不要に削られた部分にバイアス線が入り込むのを防止することができる。また、第2孔部内に形成された第2段階部によって、不要に削られた部分にデータ線が入り込むのを防止することができる。この結果、バイアス線及びデータ線の膜厚の減少を防止でき、バイアス線とフォトダイオードとのコンタクト抵抗を低減し、データ線とソース電極又は接続電極とのコンタクト抵抗を低減することができる。
【0078】
第1または第2の構成において、第1孔部及び第2孔部を形成した後で、かつ、第2絶縁膜を形成する前に、第1平坦化膜の第1孔部の径を広げ、第1平坦化膜の第2孔部の径を広げることを、さらに行ってもよい(第3の構成)。
【0079】
ここで、第3孔部及び第4孔部を形成する際に、第3孔部及び第4孔部が形成される位置(アライメント)がずれる場合がある。この場合、平坦化膜が露出してしまい、平坦化膜中の水分や有機成分がバイアス線側又はデータ線側に漏れてしまう。この結果、バイアス線、データ線、又はフォトダイオードの性質が変化し、ダイオードリークが発生する。これに対して、上記第3の構成によれば、第1孔部の径及び第2孔部の径が広がるので、アライメントのずれの許容範囲を拡大することができる。この結果、ダイオードリークが発生するのを防止することができる。また、フォトダイオードの上面と第1絶縁膜の上面との間に段差が形成されるので、上記段差上に形成された第2絶縁膜にも段差が形成される。これにより、第2絶縁膜に形成された段差によって、不要に削られた部分にバイアス線及びデータ線が入り込むのを防止することができる。この結果、バイアス線及びデータ線の膜厚の減少を防止でき、バイアス線とフォトダイオードとのコンタクト抵抗を低減し、データ線とソース電極又は接続電極とのコンタクト抵抗を低減することができる。
【0080】
第1~第3の構成のいずれか1つにおいて、トランジスタを形成することは、基板上の端子が形成される端子領域に、端子領域電極を形成することを含んでもよく、データ線を形成することは、平面視で端子領域電極に重なる位置にデータ端子を形成することを含んでもよい(第4の構成)。
【0081】
ここで、端子領域には、平坦化膜が設けられないので、端子の基板からの高さ位置が、平坦化膜が設けられた端子領域以外の領域の高さ位置よりも低くなる。この場合、端子に他の部材(例えば、フレキシブルプリント基板)を圧着固定する際に、平坦化膜が設けられた端子領域以外の領域に他の部材の一部が接触して、端子と他の部材との圧着固定が不良となる場合がある。これに対して、上記第4の構成によれば、端子の基板からの高さ位置を、端子領域電極が形成されることにより高くすることができるので、端子の基板からの高さ位置と、平坦化膜が設けられた端子領域以外の領域の高さ位置との差異を低減することができる。この結果、端子と他の部材との圧着固定が不良になるのを防止することができる。また、検査時に、端子に検査プローブを容易に当てることができる。
【0082】
第5の構成に係る光電変換パネルは、基板と、基板上に形成されトランジスタと、トランジスタよりも上層に形成されたフォトダイオードと、フォトダイオードを覆う第1絶縁膜と、第1絶縁膜を覆う第1平坦化膜と、第1平坦化膜を覆う第2絶縁膜と、第2絶縁膜よりも上層に形成されたバイアス線と、第2絶縁膜よりも上層に形成されたデータ線と、を備え、第1平坦化膜及び第1絶縁膜の各々は、フォトダイオードの上面の一部を露出させる第1孔部と、トランジスタのソース電極又は当該ソース電極に接続される接続電極を露出させる第2孔部とを有し、第2絶縁膜の一部は、第1孔部内及び第2孔部内の各々に配置されており、第2絶縁膜のうちの第1孔部内に配置された部分は、第3孔部を有し、第2絶縁膜のうちの第2孔部内に配置された部分は、第4孔部を有し、バイアス線の一部は、第3孔部内に配置されており、データ線の一部は、第4孔部内に配置されている(第5の構成)。
【0083】
上記第5の構成によれば、フォトダイオードを覆う平坦化膜を設ける場合でも、バイアス線とフォトダイオードとのコンタクト不良又はコンタクト抵抗の増大を防止することが可能な光電変換パネルを提供することができる。
【0084】
第6の構成に係るX線パネルは、X線が照射されることにより蛍光するシンチレータと、基板と、基板上に形成されトランジスタと、トランジスタよりも上層に形成されたフォトダイオードであって、シンチレータからの光を電気信号に変換するフォトダイオードと、フォトダイオードを覆う第1絶縁膜と、第1絶縁膜を覆う第1平坦化膜と、第1平坦化膜を覆う第2絶縁膜と、第2絶縁膜よりも上層に形成されたバイアス線と、第2絶縁膜よりも上層に形成されたデータ線と、を備え、第1平坦化膜及び第1絶縁膜の各々は、フォトダイオードの上面の一部を露出させる第1孔部と、トランジスタのソース電極又は当該ソース電極に接続される接続電極を露出させる第2孔部とを有し、第2絶縁膜の一部は、第1孔部内及び第2孔部内の各々に配置されており、第2絶縁膜のうちの第1孔部内に配置された部分は、第3孔部を有し、第2絶縁膜のうちの第2孔部内に配置された部分は、第4孔部を有し、バイアス線の一部は、第3孔部内に配置されており、データ線の一部は、第4孔部内に配置されている(第6の構成)。
【0085】
上記第6の構成によれば、フォトダイオードを覆う平坦化膜を設ける場合でも、バイアス線とフォトダイオードとのコンタクト不良又はコンタクト抵抗の増大を防止することが可能なX線パネルを提供することができる。
【符号の説明】
【0086】
1,201,301,401…光電変換パネル、2…シンチレータ、10…X線パネル、11,311…ゲート端子、11a,311a…ゲート線、11c,311c…ゲート端子接続電極、11d,311d…ゲート端子接続電極、12,312…データ端子、12a,212a,312a,412a…データ線、12aa,412aa…データ下部電極、12ab,412ab…データ上部電極、12ba…データ端子下部電極、12bb…データ端子上部電極、12c,312c…データ端子接続電極、13…バイアス端子、13a,213a…バイアス線、13aa…バイアス下部電極、13ab…バイアス上部電極、14…フォトダイオード、15,415…薄膜トランジスタ、15a…ゲート電極、15c,415c…ソース電極、15ca…ソース接続電極、15d…ドレイン電極、16…光電変換層、100…X線撮像装置、101…基板、105a~105c,107,207…無機絶縁膜、106,206…第1平坦化膜、107a,107b,207a,207b…段差部、CH2,CH2a,CH3,CH3a,CH12,CH13…コンタクトホール、D1~D4…径