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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172780
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】プリンタ装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/325 20060101AFI20231129BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B41J2/325 A
B41J29/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084835
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 公一
【テーマコード(参考)】
2C061
2C065
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ04
2C061BB02
2C061CD07
2C061CD10
2C061CD13
2C065AA01
2C065DA36
(57)【要約】
【課題】開放時の専有面積を小さくすることが可能なプリンタ装置を提供する。
【解決手段】片持ち構造で保持されたインクリボン軸と、前記インクリボン軸の下方に前記一側方に片持ち構造で保持された印字ヘッドユニットと、前記印字ヘッドユニットとの間に、インクリボンと用紙とを挿通搬送するための間隙を形成するプラテンローラユニットと、前記プラテンローラユニットに対する前記インクリボン軸及び前記印字ヘッドユニットの自由端の相対位置を固定するための板状の保持側板と、前記保持側板を前記自由端に接離する方向に回動自在に保持する第1ヒンジ部と、を備え、前記保持側板は、前記本体ハウジングの高さ方向で2分割された下部プレート及び上部プレートと、当該プレート間を接続し、前記上部プレートを前記一側方の方向に折り畳み可能に構成された第2ヒンジ部とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ハウジングと、
前記本体ハウジングの一側方に片持ち構造で保持された、インクリボンを送出及び巻き取るためのインクリボン軸と、
前記インクリボン軸の下方で且つ、前記本体ハウジングの前記一側方に片持ち構造で保持された印字ヘッドユニットと、
前記印字ヘッドユニットの下方に設けられ、前記印字ヘッドユニットとの間に、前記インクリボンと用紙とを挿通搬送するための間隙を形成するプラテンローラユニットと、
前記プラテンローラユニットに対する前記インクリボン軸及び前記印字ヘッドユニットの自由端の相対位置を固定するための板状の保持側板と、
前記保持側板の下端部と前記プラテンローラユニットとを接続し、前記保持側板を前記自由端に接離する方向に回動自在に保持することで、前記相対位置を固定する閉状態と当該固定を解除した開状態とを実現する第1ヒンジ部と、
を備え、
前記保持側板は、前記本体ハウジングの高さ方向で2分割された下部プレート及び上部プレートと、当該プレート間を接続し、前記上部プレートを前記一側方の方向に折り畳み可能に構成された第2ヒンジ部とを有する、プリンタ装置。
【請求項2】
前記上部プレートの外面に設けられ、前記下部プレートに接離する方向にスライド操作可能な取手部と、
前記取手部のスライド操作に連動して、前記上部プレートと前記下部プレートとを面一の状態に固定したロック状態と当該固定を解除した非ロック状態とを実現するロック機構と、
を更に備える請求項1に記載のプリンタ装置。
【請求項3】
前記上部プレートは、前記閉状態において、前記インクリボン軸の前記自由端に設けられた位置決めピンを嵌入させるための穴部を有し、
前記ロック機構は、前記取手部のスライド操作に連動して前記穴部の開閉を行う、
請求項2に記載のプリンタ装置。
【請求項4】
前記取手部の下端部は、テーパ形状で形成され、前記下部プレートに近づく方向へのスライド操作によって、前記下部プレートの外面の上端部に当接し、前記下部プレートを前記面一となる方向に移動させる、
請求項2に記載のプリンタ装置。
【請求項5】
前記下部プレートの内面の上端部には、面取りされたガイド部が設けられており、
前記ガイド部は、前記上部プレートが折り畳まれた状態から前記面一となる方向に移動される場合において、前記取手部の下端部に当接し、当該取手部を前記下部プレートから離れる方向に移動させる、
請求項2に記載のプリンタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクリボンを用いて印字する熱転写式のプリンタ装置が存在する。かかるプリンタ装置では、インクリボンの着脱作業等を行うため、インクリボン軸と印字ヘッドユニットとを片持ち構造とし、片側が開放される構造となっている。
【0003】
ところで、上述した片持ち構造のプリンタ装置では、種々の要因により、インクリボン軸に傾斜が発生したり、印字ヘッドユニットとプラテンローラユニットとの間隙にずれが発生したりする可能性がある。そこで、従来は、1枚の板状部材で形成された位置決め用のプレート(以下、保持側板ともいう)を用い、当該保持側板の下端側をヒンジで固定することで、インクリボン軸及び印字ヘッドユニットの自由端を固定する閉状態と、開放する開状態とを実現していた。
【0004】
しかしながら、上述した従来の構成では、保持側板はヒンジを支点にプリンタ装置の外側に開かれる構成であるため、インクリボンの交換等、自由端を開放する際にプリンタ装置の装置幅から大きくはみ出し、専有面積が大きくなるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、開放時の専有面積を小さくすることが可能なプリンタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のプリンタ装置は、本体ハウジングと、前記本体ハウジングの一側方に片持ち構造で保持された、インクリボンを送出及び巻き取るためのインクリボン軸と、前記インクリボン軸の下方で且つ、前記本体ハウジングの前記一側方に片持ち構造で保持された印字ヘッドユニットと、前記印字ヘッドユニットの下方に設けられ、前記印字ヘッドユニットとの間に、前記インクリボンと用紙とを挿通搬送するための間隙を形成するプラテンローラユニットと、前記プラテンローラユニットに対する前記インクリボン軸及び前記印字ヘッドユニットの自由端の相対位置を固定するための板状の保持側板と、前記保持側板の下端部と前記プラテンローラユニットとを接続し、前記保持側板を前記自由端に接離する方向に回動自在に保持することで、前記相対位置を固定する閉状態と当該固定を解除した開状態とを実現する第1ヒンジ部と、を備え、前記保持側板は、前記本体ハウジングの高さ方向で2分割された下部プレート及び上部プレートと、当該プレート間を接続し、前記上部プレートを前記一側方の方向に折り畳み可能に構成された第2ヒンジ部とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るプリンタ装置の外観を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るプリンタ装置のカバーが開けられた状態を概略的に示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るプリンタ装置のカバー及び保持側板が開けられた状態を概略的に示す斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係るプリンタ装置のカバーが開けられた状態を概略的に示す正面図である。
図5図5は、本実施形態に係るプリンタ装置の内部構造を模式的に示す図である。
図6図6は、本実施形態に係るプリンタ装置の内部構造を模式的に示す図である。
図7図7は、図2に示した保持側板周辺の部分拡大図である。
図8図8は、図2に示した保持側板周辺の部分拡大図である。
図9図9は、図7に示した状態の上部プレートをD方向から見た斜視図である。
図10図10は、図8に示した状態の上部プレートをD方向から見た斜視図である。
図11図11は、図9に示した篏合部周辺の部分拡大図である。
図12図12は、図10に示した篏合部周辺の部分拡大図である。
図13図13は、図7及び図8に示した取手部の下端部周辺をE方向から見た矢視図である。
図14図14は、図3に示した保持側板をC方向から見た斜視図である。
図15図15は、図3に示した保持側板をC方向から見た斜視図である。
図16図16は、図14及び図15に示した保持側板をJ方向から見た矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、実施形態に係るプリンタ装置の外観を概略的に示す斜視図である。図2は、実施形態に係るプリンタ装置のカバーが開けられた状態を概略的に示す斜視図である。図3は、実施形態に係るプリンタ装置のカバー及び保持側板が開けられた状態を概略的に示す斜視図である。図4は、本実施形態に係るプリンタ装置のカバーが開けられた状態を概略的に示す正面図である。図5及び図6は、本実施形態に係るプリンタ装置の内部構造を模式的に示す図である。なお、本実施形態では、プリンタ装置の幅方向、奥行き方向、高さ方向を、互いに直交する3軸(X,Y,Z)を用いて表している。
【0010】
プリンタ装置10は、印刷媒体となるロール状に巻回された用紙を収容する。例えば、プリンタ装置10は、ロール式の台紙(以下、ラベルロール紙19ともいう)に仮着されたラベルに印刷を行う。
【0011】
プリンタ装置10の本体ハウジング11の前面には、印刷された後のラベルが排出される排出口12が形成されている。本体ハウジング11の左側には、各種操作キーで構成される入力部13や表示器14等を前面に備える制御ボックス15が設けられる。制御ボックス15の内部には、プリンタ装置10が備える各部を駆動制御する制御部が設けられる。
【0012】
本体ハウジング11の上方には、本体ハウジング11の内部開放を閉塞するカバー16が設けられる。このカバー16は、本体ハウジング11の上面の制御ボックス15側に設けられたヒンジ17を中心として上方向へ回動自在に設けられる。
【0013】
プリンタ装置10の本体ハウジング11の内部には、ラベルロール紙19を保持するためのラベル供給軸18が設けられる。ラベル供給軸18は、ラベルロール紙19を回転自在に保持する。ここで、ラベルロール紙19は、剥離可能なラベルを台紙に仮着して構成したものである。
【0014】
また、プリンタ装置10の本体ハウジング11の内部には、インクリボン23を保持するためのインクリボン軸の一例である、リボン供給軸21及びリボン巻取軸22が設けられる。リボン供給軸21及びリボン巻取軸22の一端側は、本体ハウジング11の一側方である制御ボックス15側の壁面に保持された片持ち構造となっており、他端側が自由端となっている。
【0015】
なお、リボン供給軸21の自由端側には、後述する上部プレート83の位置決め用穴831に嵌め込む係合部としての、位置決めピン211が設けられている。また、リボン巻取軸22の自由端側には、後述する上部プレート83の位置決め用穴832に嵌め込む係合部としての、位置決めピン221が設けられている。
【0016】
リボン供給軸21及びリボン巻取軸22には、図5及び図6に示すように、インクリボン23が装着される。リボン供給軸21及びリボン巻取軸22は、図示しないモータ等の駆動源によって駆動される。リボン巻取軸22は、駆動源により回転駆動されることで、順方向に搬送されたインクリボン23を巻き取る。なお、「順方向」とは、ピンチローラブロック50及びプラテンローラユニット70によってラベルロール紙19が搬送される方向、つまり搬送方向上流側(+Y方向)から搬送方向下流側(-Y方向)に向かう方向であるものとする。
【0017】
また、本体ハウジング11の内部には、ピンチローラブロック50、印字ヘッドユニット60、及びプラテンローラユニット70が収納されている。ピンチローラブロック50は、ラベルロール紙19を搬送するためのピンチローラ、当該ピンチローラを回転駆動するための駆動源、駆動列等を有する(何れも図示せず)。
【0018】
印字ヘッドユニット60は、印字ヘッドユニットの一例であり、リボン供給軸21及びリボン巻取軸22の下方に設けられる。印字ヘッドユニット60は、サーマルヘッド、当該サーマルヘッドを駆動するための駆動部、サーマルヘッドを上げ下げするための押圧機構等を有する(何れも図示せず)。
【0019】
プラテンローラユニット70は、プラテンローラユニットの一例であり、印字ヘッドユニット60の下方で且つ、本体ハウジング11に固定された状態で設けられている。プラテンローラユニット70は、印字ヘッドユニット60との間に、インクリボン23とラベルロール紙19とを挿通搬送するための間隙を形成する。プラテンローラユニット70は、プラテンローラ、当該プラテンローラを回転駆動するための駆動源や駆動列等を有する(何れも図示せず)。
【0020】
ラベルロール紙19に印刷を行う場合は、プリンタ装置10は、ラベルロール紙19及びインクリボン23がサーマルヘッドとプラテンローラとの間に介在された状態でサーマルヘッドをプラテンローラに押圧する。そして、プリンタ装置10は、ピンチローラ及びプラテンローラを回転することで、ラベルロール紙19及びインクリボン23を、搬送方向上流側から搬送方向下流側に搬送する。また、プリンタ装置10は、ラベルロール紙19及びインクリボン23を搬送しながらサーマルヘッドに印刷信号を供給する。これにより、サーマルヘッドの発熱体が発熱して、ラベルロール紙19のラベルに印刷が行われる。プリンタ装置10は、印刷が行われたラベルを排出口12から外部に排出する。
【0021】
ピンチローラブロック50は、制御ボックス15側の壁面に設けられた図示しない回動軸により保持される片持ち構造となっている。また、印字ヘッドユニット60は、制御ボックス15側の壁面に設けられた図示しない回動軸により保持される片持ち構造となっている。
【0022】
印字ヘッドユニット60の自由端側の側面には、後述する下部プレート82の位置決め用穴821に嵌め込む係合部としての、位置決めピン61が一又は複数個設けられている。また、プラテンローラユニット70の側面にも、後述する下部プレート82の位置決め用穴822に嵌め込む係合部としての、位置決めピン71が一又は複数個設けられている。
【0023】
リボン供給軸21、リボン巻取軸22及び印字ヘッドユニット60の自由端は、第1ヒンジ部81により開け閉め可能な板状の保持側板80によって、本体ハウジング11(プラテンローラユニット70)に固定される。具体的には、リボン供給軸21、リボン巻取軸22及び印字ヘッドユニット60の自由端側に設けられた後述する各種の位置決めピンが、保持側板80の位置決め用穴に篏合することで、保持側板80を介してプラテンローラユニット70に固定される。なお、図2及び図5では、保持側板80を閉じた状態を示している。また、図3及び図6では、保持側板80を開放した状態(以下、開状態ともいう)を示している。
【0024】
保持側板80は、保持側板の一例である。保持側板80は、第1ヒンジ部81によって当該保持側板80の下端部がプラテンローラユニット70に接続されている。また、第1ヒンジ部81は、保持側板80をリボン供給軸21、リボン巻取軸22、印字ヘッドユニット60の自由端に接離する方向に回動自在に保持することで、当該自由端の位置を固定する閉状態と当該固定を解除した開状態とを実現する。
【0025】
また、保持側板80は、本体ハウジング11の高さ方向で2分割された下部プレート82及び上部プレート83を有し、下部プレート82と上部プレート83とが二つ折り可能となっている。
【0026】
具体的には、下部プレート82の下端側は、第1ヒンジ部81を介してプラテンローラユニット70に接続されている。下部プレート82は、第1ヒンジ部81を中心に、本体ハウジング11の幅方向外側(+X方向)に回動自在となっている。また、下部プレート82の上端側には、第2ヒンジ部84が設けられている。上部プレート83の下端側は、第2ヒンジ部84を介して下部プレート82に接続されている。上部プレート83は、第2ヒンジ部84を中心に本体ハウジング11の幅方向内側(-X方向)に回動自在となっている。つまり、保持側板80は、第2ヒンジ部84によって、上部プレート83を、制御ボックス15側の壁面方向に折り畳むことが可能となっている。
【0027】
また、下部プレート82と上部プレート83とは、プリンタ装置10の高さ方向に立てた状態(図2参照)において、外面が面一となるように構成されている。ここで、下部プレート82及び上部プレート83の「外面」は、下部プレート82及び上部プレート83をプリンタ装置10の高さ方向に立てた状態において、プリンタ装置10の外側に位置する面を意味する。また、下部プレート82及び上部プレート83の「内面」は、下部プレート82及び上部プレート83をプリンタ装置10の高さ方向に立てた状態において、プリンタ装置10の内側に位置する面を意味する。なお、上部プレート83の外面には、保持側板80を開閉する際の持ち手となる取手部85が設けられている。
【0028】
保持側板80を開放する場合、ユーザは、下部プレート82を本体ハウジング11の幅方向外側に回動させながら、上部プレート83を本体ハウジング11の幅方向内側に回動させる(図3の矢印A、B参照)。これにより、保持側板80は、下部プレート82と上部プレート83とが折り畳まれた状態となる。なお、図2及び図5は、保持側板80が閉じた状態を示しており、図3図4及び図6は、保持側板80を開放した状態を示している。
【0029】
ここで、図4を参照すると、保持側板80を開放した状態での、本体ハウジング11からの飛び出し量は、下部プレート82のサイズに収まることが分かる。そのため、例えば、保持側板80を一枚の平板とした場合の構成と比較し、本実施形態のプリンタ装置10では、保持側板80を開放した状態での本体ハウジング11からの飛び出し量を抑えることができる。つまり、本実施形態のプリンタ装置10では、保持側板80を開放した際の占有面積を抑えることができる。
【0030】
次に、保持側板80の構成について説明する。図7及び図8は、図2に示した保持側板80周辺の部分拡大図である。
【0031】
図7及び図8に示すように、下部プレート82には、印字ヘッドユニット60に設けられた位置決めピン61を嵌め込むための位置決め用穴821が設けられている。また、下部プレート82には、プラテンローラユニット70に設けられた位置決めピン71を嵌め込むための位置決め用穴822が設けられている。さらに、下部プレート82には、上部プレート83の外面に設けられた位置決めピン833(図14図15参照)を嵌め込むための位置決め用穴823が設けられている。
【0032】
一方、上部プレート83には、リボン供給軸21及びリボン巻取軸22の端部に設けられた位置決めピン211、221を嵌め込むための位置決め用穴831、832が設けられている。
【0033】
下部プレート82及び上部プレート83の位置決め用穴は、保持側板80を閉じた状態において、リボン供給軸21、リボン巻取軸22、印字ヘッドユニット60及びプラテンローラユニット70の位置決めピンと対向する位置にそれぞれ設けられている。
【0034】
より詳細には、下部プレート82及び上部プレート83の位置決め用穴は、プラテンローラユニット70に対するリボン供給軸21、リボン巻取軸22及び印字ヘッドユニット60の自由端の配置位置が適正な位置となるように保持するものとなっている。保持側板80を閉じた状態において、各種の位置決めピンは対応する位置決め用穴に嵌入して係合する。これにより、保持側板80は、プラテンローラユニット70に対するリボン供給軸21、リボン巻取軸22、及び印字ヘッドユニット60の自由端の相対位置を固定する。なお、保持側板80は、ピンチローラブロック50についても、印字ヘッドユニット60等と同様に固定する形態としてもよい。
【0035】
上部プレート83の外面に設けられる取手部85は、下部プレート82に離接する方向にスライド可能に構成されている。以下では、下部プレート82及び上部プレート83を立てた状態に基づき、下部プレート82から離れるスライド方向を「上」方向、下部プレート82に近づくスライド方向を「下」方向とも表記する。
【0036】
また、取手部85は、上部プレート83に設けられたスリットを介して、上部プレート83の内面側に設けられたシャッター部87(図9、10参照)に接続されている。シャッター部87は、取手部85の上下方向のスライド操作に応じて上下に移動する。なお、図7は、取手部85を上にスライドさせた状態を示している。また、図8は、取手部85を下にスライドさせた状態を示している。
【0037】
ここで、図9は、図7に示した状態の上部プレート83をD方向から見た斜視図である。また、図10は、図8に示した上部プレート83をD方向から見た斜視図である。
【0038】
図9及び図10に示すように、上部プレート83の内面側には、ロックアーム86とシャッター部87とが設けられている。ロックアーム86は、柱状の剛体であり、シャッター部87と一体的に設けられている。
【0039】
シャッター部87は、上部プレート83の内壁面に沿って設けられた平板状の部材である。シャッター部87は、ネジ等の接合部材で取手部85に接合されており、取手部85のスライド操作に連動して上下方向に移動する。シャッター部87は、取手部85が上にスライドされた状態において、上部プレート83に設けられた穴部の一例である位置決め用穴831、832を閉塞する。また、シャッター部87は、取手部85が下にスライドされた状態において、位置決め用穴831、832を開放する。
【0040】
また、ロックアーム86は、取手部85のスライド操作に連動して、シャッター部87と一体的に上下方向に移動する。ロックアーム86は、取手部85を下げた状態においてロックアーム86の先端部(下端部)が下部プレート82の篏合部88に達し、篏合部88に篏合するように構成されている。なお、ロックアーム86、シャッター部87及び篏合部88は、ロック機構の一例である。
【0041】
篏合部88は、下部プレート82の内面側上端部に設けられており、取手部85を下げた状態でロックアーム86の先端部と篏合する。図11は、図9に示した篏合部88周辺(破線領域F)の部分拡大図である。図12は、図10に示した篏合部88周辺(破線領域F)の部分拡大図である。
【0042】
図11に示すように、篏合部88は、ロックアーム86が篏合するための凹部を形成する被篏合部材881を備える。ロックアーム86は、上に移動している状態では、被篏合部材881に篏合せず、下部プレート82から独立した状態となる。つまり、保持側板80は、取手部85が上に引かれた状態において、下部プレート82と上部プレート83とを折り畳むことができる。一方、図12に示すように、ロックアーム86は下に移動することで、その先端が被篏合部材881により形成された凹部に嵌る。
【0043】
つまり、保持側板80は、取手部85が下に引かれると、下部プレート82と上部プレート83とが面一の状態で固定されたロック状態となる。また、保持側板80は、取手部85が上に引かれると、ロック状態が解除され、下部プレート82と上部プレート83とを折り畳み可能な非ロック状態となる。
【0044】
また、取手部85の下端部851は、下方へのスライド操作時に下部プレート82の外面に重畳するよう構成されている。ここで、図13は、図7及び図8に示した取手部85の下端部周辺をE方向から見た矢視図である。
【0045】
図13に示すように、取手部85の下端部851の角部は面取りが施されており、全体としてテーパ形状で形成されている。より詳細には、取手部85の下端部851のうち、上部プレート83の外面に対向する側の角部が傾斜面形状で形成されている。
【0046】
取手部85をG方向に押し下げると、取手部85の下端部851に形成された傾斜面と下部プレート82の上端部とが当接する。また、取手部85のG方向への移動に伴い、下部プレート82の上端部は、下端部851の傾斜面に沿って摺動することで、H方向に向かって移動する。かかる構成により、保持側板80では、取手部85をG方向に押し下げることで、下部プレート82と上部プレート83とを面一にする力が働く。
【0047】
上述した構成の保持側板80において、開放状態にある保持側板80を閉じる場合、ユーザは取手部85を上にスライドさせた状態で、下部プレート82及び上部プレート83をプリンタ装置10の高さ方向に立てる操作を行う。
【0048】
このとき、下部プレート82と上部プレート83とは少し“くの字”状に屈曲した状態でリボン供給軸21及びリボン巻取軸22へ当接される。この状態で位置決めピン211、221と、上部プレート83に設けられた位置決め用穴831、832とが接触すると、位置決めピン211、221の先端でかじりが生じ、正常位置まで上部プレート83が到達しない篏合不良が発生する可能性がある。しかしながら、本実施形態のプリンタ装置10では、上述したように、取手部85を上にスライドされた状態では、ロックアーム86と一体となったシャッター部87が位置決め用穴831、832を塞ぐ構成となっている。したがって、本実施形態の保持側板80では、下部プレート82と上部プレート83とが面一の状態となっていない時は、シャッター部87が位置決め用穴831、832を塞ぐため、篏合不良を防止することが可能となっている。
【0049】
また、位置決めピン211、221がシャッター部87に当接した状態において、ユーザが取手部85を下方にスライドさせると、取手部85の下端部851に設けられたテーパ形状によって、下部プレート82と上部プレート83とを面一にする力が働く。また、取手部85の下方へのスライドに伴い、シャッター部87が位置決め用穴831、832を開放する。これに伴い、位置決めピン211、221を含む位置決めピンの各々が適切な位置で上部プレート83に固定され、ロックアーム86の先端部が篏合部88に篏合することで、下部プレート82と上部プレート83がロックされる。これにより、保持側板80は、位置決めピン211、221、印字ヘッドユニット60の各ユニットをプラテンローラユニット70に固定した状態で、各ユニットの自由端側を閉じることになる。
【0050】
また、閉じた状態にある保持側板80を開放する場合、ユーザは取手部85を上にスライドすることで、下部プレート82及び上部プレート83のロック解除と、各種位置決めピンの開放とを行う。そして、ユーザは、下部プレート82と上部プレート83とを折り畳む操作を行うことで、保持側板80の開放状態を維持する。
【0051】
上記の構成をとることで、プリンタ装置10は、開放時の専有面積を抑えた状態で保持側板80の開放を行うことができる。また、プリンタ装置10は、保持側板80の開閉に係る操作性を向上させるとともに、リボン供給軸21、リボン巻取軸22及び印字ヘッドユニット60の各ユニットの位置決めを確実に行うことができる。具体的には、ユーザは、取手部85を掴むことで、片手で開閉操作を行うことができるため、操作性の向上を図ることができる。
【0052】
なお、上部プレート83に設けられたロックアーム86は、上述したように、取手部85を下げた状態で下部プレート82の篏合部88に篏合する。そのため、例えば、下部プレート82と上部プレート83とを折り畳み(図3参照)で、取手部85を下げた状態で上部プレート83を起き上げると、ロックアーム86と篏合部88(被篏合部材881)とが干渉し、破損等の不具合が発生する可能性がある。
【0053】
そこで、本実施形態の保持側板80は、上述したロックアーム86と篏合部88との干渉を防ぐための構成を備えている。以下、図14図16を参照して、保持側板80が備える、ロックアーム86と篏合部88との干渉を防ぐための構成について説明する。
【0054】
図14及び図15は、図3に示した保持側板80をC方向から見た斜視図である。ここで、図14は、下部プレート82と上部プレート83とを折り畳んだ状態を示しており、図15は、図14の状態から、上部プレート83を矢印I方向に展開した状態を示している。また、図16は、図14及び図15に示した保持側板80をJ方向から見た矢視図である。
【0055】
図14図15及び図16に示すように、下部プレート82の内壁面の上端部には、凸状のガイド部824が設けられている。ガイド部824は、面取りが施された曲面形状を有し、取手部85の下端部851に対応する位置に設けられている。具体的には、ガイド部824は、下部プレート82の高さ方向に亘って曲面形状を有している。
【0056】
上部プレート83の取手部85は、上部プレート83が図15のI方向に起き上がると、図16(a)に示すように、その下端部851がガイド部824に当接する。また、取手部85の下端部851がガイド部824に沿って摺動し、これに伴って取手部85が図中L方向へ向かって移動することで、取手部85が押し上げられる。そして、図16(c)に示すように、上部プレート83がM方向に移動されることで、上部プレート83の位置決めピン833が、下部プレート82に設けられた位置決め用穴823に嵌入し、下部プレート82と上部プレート83とが展開された状態となる。
【0057】
上述した構成により、下部プレート82と上部プレート83とを折り畳みで、取手部85を下げた状態で上部プレート83を起き上げたとしても、取手部85が自動で押し上げられることになるため、ロックアーム86と篏合部88との干渉を防ぐことができる。これにより、例えば、取手部85以外の場所を掴んで下部プレート82と上部プレート83とを展開する場合でも、ロックアーム86と篏合部88とが干渉することなく、スムーズに展開することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態のプリンタ装置10では、リボン供給軸21、リボン巻取軸22、及び印字ヘッドユニット60の自由端が保持側板80によって開閉自在に固定され、保持側板80の開状態において保持側板80が折り畳み可能に構成されている。これにより、プリンタ装置10では、開放時の専有面積を抑えることができるため、インクリボン23の交換等で自由端を開放する際の利便性を図ることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態やその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10 プリンタ装置
11 本体ハウジング
12 排出口
13 入力部
14 表示器
15 制御ボックス
16 カバー
17 ヒンジ
18 ラベル供給軸
19 ラベルロール紙
21 リボン供給軸
22 リボン巻取軸
23 インクリボン
50 ピンチローラブロック
60 印字ヘッドユニット
70 プラテンローラユニット
80 保持側板
81 第1ヒンジ部
82 下部プレート
83 下部プレート
84 第2ヒンジ部
85 取手部
86 ロックアーム
87 シャッター部
88 篏合部
881 被篏合部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開2003-251873号公報
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