(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172787
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】冷却装置及び冷却装置を備える印刷装置
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20231129BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20231129BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
F28D15/02 G
F28D15/02 L
F28D15/02 D
F28D15/02 102A
H01L23/46 B
H05K7/20 B
H05K7/20 H
H05K7/20 Q
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084853
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176991
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100217696
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 英行
(72)【発明者】
【氏名】加藤 茂
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322BB03
5E322DB08
5E322FA04
5F136CC14
5F136CC17
5F136CC20
5F136CC24
5F136CC26
5F136DA33
5F136FA02
5F136FA03
(57)【要約】
【課題】LED素子の出力を制限することなく、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さい、冷却装置を提供する。
【解決手段】LED素子及び前記LED素子が設けられたLED基板を冷却する冷却装置であって、鉛直線方向において、前記LED基板よりも上方に配置されるヒートシンクと、前記ヒートシンクに向けて送風する送風機と、前記LED基板と前記ヒートシンクとに跨って設けられたベイパーチャンバーと、を有し、前記ベイパーチャンバー内に、冷媒として純水が封入されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子及び前記LED素子が設けられたLED基板を冷却する冷却装置であって、
鉛直線方向において、前記LED基板よりも上方に配置されるヒートシンクと、
前記ヒートシンクに向けて送風する送風機と、
前記LED基板と前記ヒートシンクとに跨って設けられたベイパーチャンバーと、を有し、
前記ベイパーチャンバー内に、冷媒として純水が封入されている、ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記LED基板と前記ベイパーチャンバーとの間には、銅板が介在している、ことを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記ベイパーチャンバーは、長手方向の一端と他端が封止された管状を成しており、
前記一端と前記他端の間には、一か所の屈曲部が設けられており、
前記屈曲部よりも前記一端側の領域は、前記銅板に沿う向きに設けられており、
前記屈曲部よりも前記他端側の領域は、前記鉛直線方向上側に延びており、
前記屈曲部よりも前記他端側の領域には、前記ヒートシンクの複数の放熱フィンが、前記鉛直線方向に間隔をあけて設けられており、
前記送風機は、前記鉛直線に交差する方向に送風する、ことを特徴とする冷却装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記送風機の送風方向に、複数の前記ベイパーチャンバーが設けられており、
前記送風方向で隣り合う前記ベイパーチャンバー同士は、互いの前記一端と前記他端とが、隣り合う向きで交互に配置されている、ことを特徴とする冷却装置。
【請求項5】
請求項2において、
前記ベイパーチャンバーは、長手方向の一端と他端が封止された管状を成しており、
前記一端と前記他端の間に二か所の屈曲部が設けられており、
前記二か所の屈曲部の間の領域は、前記銅板に沿う向きに設けられており、
前記二か所の屈曲部よりも一端側と他端側の領域は、前記鉛直線方向上側に延びており、
前記二か所の屈曲部よりも一端側と他端側の領域には、前記ヒートシンクの複数の放熱フィンが、前記鉛直線方向に間隔をあけて設けられており、
前記送風機は、前記鉛直線に交差する方向に送風する、ことを特徴とする冷却装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記送風機の送風方向に、複数の前記ベイパーチャンバーが設けられており、
前記送風方向で隣り合う前記ベイパーチャンバー同士は、前記送風方向の交差方向に位置をずらして配置されている、ことを特徴とする冷却装置。
【請求項7】
請求項3において、
前記ベイパーチャンバーは、前記送風方向の交差方向で隣り合う一対のベイパーチャンバー組を構成し、
前記一対のベイパーチャンバー組は、前記送風方向に複数設けられており、
前記送風方向で隣り合う前記一対のベイパーチャンバー組同士は、前記送風方向の交差方向に位置をずらして配置されている、ことを特徴とする冷却装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一に記載の冷却装置を有する印刷装置であって、
前記LED素子は、UVLEDである、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記印刷装置は、シリアル型プリンタである、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか一に記載の冷却装置を有する印刷装置であって、
前記LED素子は、IRLEDである、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記印刷装置は、シリアル型プリンタである、ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置及び冷却装置を備える印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、LED素子を空冷式で冷却する冷却装置を開示する。
特許文献2は、LED素子を水冷式で冷却する冷却装置を開示する。
特許文献3は、ダイオード等の発熱素子を、沸騰伝熱を利用して冷却する冷却装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-017178号公報
【特許文献2】特開2009-291995号公報
【特許文献3】特開2003-197839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空冷式の冷却装置は、冷却能力に限界があるため、LED素子の出力が制限される。
水冷式の冷却装置は、冷却水を供給するためにウォータージャケット、循環ポンプ、リザーバタンクなど多くの部品から構成されている。これらの部品同士を接続する配管も長くなる。そのため、水冷式の冷却装置は、装置全体が大きくなりやすく、コストも増大する傾向にある。
沸騰伝熱を利用する冷却装置は、冷媒としてフロンを用いるため環境への負荷が大きい。
【0005】
そこで、LED素子の出力を制限することなく、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さい、冷却装置を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
LED素子及び前記LED素子が設けられたLED基板を冷却する冷却装置であって、
鉛直線方向において、前記LED基板よりも上方に配置されるヒートシンクと、
前記ヒートシンクに向けて送風する送風機と、
前記LED基板と前記ヒートシンクとに跨って設けられたベイパーチャンバーと、を有し、
前記ベイパーチャンバー内に、冷媒として純水が封入されている。
【0007】
本発明によれば、LED素子の出力を制限することなく、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さい、冷却装置を提供することができる。
【0008】
本発明の一態様に係る冷却装置において、
前記LED基板と前記ベイパーチャンバーとの間には、銅板が介在している。
【0009】
本発明によれば、熱伝導率の高い銅板を介在させることで、LED基板の熱を速やかにベイパーチャンバー側に移動させることができる。
【0010】
本発明の一態様に係る冷却装置において、
前記ベイパーチャンバーは、長手方向の一端と他端が封止された管状を成しており、
前記一端と前記他端の間には、一か所の屈曲部が設けられており、
前記屈曲部よりも前記一端側の領域は、前記銅板に沿う向きに設けられており、
前記屈曲部よりも前記他端側の領域は、前記鉛直線方向上側に延びており、
前記屈曲部よりも前記他端側の領域には、前記ヒートシンクの複数の放熱フィンが、前記鉛直線方向に間隔をあけて設けられており、
前記送風機は、前記鉛直線に交差する方向に送風する。
【0011】
本発明によれば、銅板とベイパーチャンバーとの接触面積、及びヒートシンクとベイパーチャンバーとの接触面積が増える。よって、各ベイパーチャンバーにおける吸熱量および放熱量を増やすことができる。
【0012】
本発明の一態様に係る冷却装置において、
前記送風機の送風方向に、複数の前記ベイパーチャンバーが設けられており、
前記送風方向で隣り合う前記ベイパーチャンバー同士は、互いの前記一端と前記他端とが、隣り合う向きで交互に配置されている。
【0013】
本発明によれば、銅板の冷却される領域が偏ることを生じにくくできる。
【0014】
本発明の一態様に係る冷却装置において、
前記ベイパーチャンバーは、長手方向の一端と他端が封止された管状を成しており、
前記一端と前記他端の間に二か所の屈曲部が設けられており、
前記二か所の屈曲部の間の領域は、前記銅板に沿う向きに設けられており、
前記二か所の屈曲部よりも一端側と他端側の領域は、前記鉛直線方向上側に延びており、
前記二か所の屈曲部よりも一端側と他端側の領域には、前記ヒートシンクの複数の放熱フィンが、前記鉛直線方向に間隔をあけて設けられており、
前記送風機は、前記鉛直線に交差する方向に送風する。
【0015】
本発明によれば、ベイパーチャンバーからヒートシンクに放熱される放熱量を増やすことができる。
【0016】
本発明の一態様に係る冷却装置において、
前記送風機の送風方向に、複数の前記ベイパーチャンバーが設けられており、
前記送風方向で隣り合う前記ベイパーチャンバー同士は、前記送風方向の交差方向に位置をずらして配置されている。
【0017】
本発明によれば、ベイパーチャンバーを銅板上に密に配置できる。また、送風機から送られる空気は、千鳥配置されたベイパーチャンバーを上流側から下流側に横断する際に、乱流が発生する。これにより、ヒートシンクから、より多くの熱を奪うことができるため、冷却効率が向上する。
【0018】
本発明の一態様に係る冷却装置において、
前記ベイパーチャンバーは、前記送風方向の交差方向で隣り合う一対のベイパーチャンバー組を構成し、
前記一対のベイパーチャンバー組は、前記送風方向に複数設けられており、
前記送風方向で隣り合う前記一対のベイパーチャンバー組同士は、前記送風方向の交差方向に位置をずらして配置されている。
【0019】
本発明によれば、一対のベイパーチャンバー組を構成する各ベイパーチャンバーの全長を短くすることで、熱交換量を多くしている。また、冷却装置に搭載できるベイパーチャンバーの本数を増やすことができる。これにより、冷却装置の冷却効率が向上する。
【0020】
本発明の一態様に係る冷却装置を有する印刷装置において、
前記LED素子は、UVLEDである。
【0021】
本発明によれば、LED素子から照射される紫外線の出力を制限することなく、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さい、冷却装置を有する印刷装置を提供することができる。
【0022】
本発明の一態様に係る印刷装置において、
前記印刷装置は、シリアル型プリンタである。
【0023】
本発明によれば、LED素子から照射される紫外線の出力を制限することなく、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さい、シリアル型プリンタを提供することができる。
【0024】
本発明の一態様に係る冷却装置を有する印刷装置において、
前記LED素子は、IRLEDである。
【0025】
本発明によれば、LED素子から照射される赤外線の出力を制限することなく、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さい、冷却装置を有する印刷装置を提供することができる。
【0026】
本発明の一態様に係る印刷装置において、
前記印刷装置は、シリアル型プリンタである。
【0027】
本発明によれば、LED素子から照射される赤外線の出力を制限することなく、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さい、シリアル型プリンタを提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、LED素子の出力を制限することなく、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さい、冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図9】ベイパーチャンバーの配置を説明する図である。
【
図10】ベイパーチャンバーの配置を説明する図である。
【
図12】冷却装置内の空気の流れを説明する図である。
【
図14】変形例1に係るベイパーチャンバーを説明する図である。
【
図15】変形例1に係るベイパーチャンバーの配置を説明する図である。
【
図16】変形例1に係る冷却装置を説明する図である。
【
図17】変形例1に係る冷却装置を説明する図である。
【
図18】変形例1に係る冷却装置による冷却を説明する図である。
【
図19】変形例2に係るベイパーチャンバーを説明する図である。
【
図20】変形例2に係るベイパーチャンバーの配置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、冷却装置6を有する印刷装置1を例に挙げて説明する。
図1は、印刷装置1を正面側から見た斜視図である。
図2は、キャリッジ5を説明する図である。
図2は、印刷装置1のキャリッジ5周りの領域を正面側から見た図である。
図3は、キャリッジ5を説明する図である。
図3は、
図2のA-A矢視図である。
なお、以降の説明において、「Y方向」は、印刷装置1の主走査方向を意味する。主走査方向は、印刷装置1の正面から見た左右方向である。「X方向」は、副走査方向を意味する。副走査方向は、主走査方向に直交する方向であり、印刷装置1の正面側から奥側に向かう方向である。「Z方向」は、印刷装置1を水平面に置いた場合の鉛直線方向を意味する。また、「Y1側」は、印刷装置1の正面から見て、Y方向における一方側(
図2の左側)を意味し、「Y2側」は他方側(
図2の右側)を意味する。「X1側」は、印刷装置1の正面側を意味し、「X2側」は奥側を意味する。
【0031】
印刷装置1は、インクジェット方式により媒体Mに印刷する。媒体Mは、例えば、紙、布帛、樹脂製のフィルムとすることができる。
図1に示すように、印刷装置1は、本体部2と、本体部2を支持する架台20と、を備える。本体部2は、媒体Mを支持するプラテン21を備える。
また、印刷装置1は、媒体Mに紫外線硬化型のインクを吐出するヘッド部3と、媒体Mに吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射部4と、ヘッド部3と紫外線照射部4を搭載するキャリッジ5と、を備える。
【0032】
図2に示すように、印刷装置1は、キャリッジ5をY方向に往復移動させる移動機構GAと、キャリッジ5の移動を案内するガイドレールGBと、を備える。ガイドレールGBは、本体部2のY方向に沿って配置される。図示は省略するが、移動機構GAは、ベルトと、ベルトが掛けまわされた駆動プーリおよび従動プーリと、駆動プーリを回転させるモータと、を備える。キャリッジ5は駆動ベルトに固定されている。モータにより駆動ベルトを回転させることで、キャリッジ5はガイドレールGBに沿って本体部2をY方向に往復移動する。すなわち、印刷装置1は、シリアル型プリンタである。
【0033】
印刷装置1は、移動機構GAによりキャリッジ5をY方向に移動させると共に、図示しない送り機構により媒体MをX方向に送る。これによってキャリッジ5は、媒体Mに対してX方向およびY方向に相対的に移動する(
図1参照)。印刷装置1は、キャリッジ5を移動させながら、ヘッド部3から紫外線硬化型のインクを媒体Mに吐出する。印刷装置1は、媒体M上に着弾したインクを、紫外線照射部4から照射した紫外線により硬化させる。これによって、媒体Mへの印刷が行われる。
【0034】
図2に示すように、キャリッジ5は、内部にヘッド部3と紫外線照射部4を収容するケースである。Y方向において紫外線照射部4は、ヘッド部3の一方側と他方側にそれぞれ設けられている。ヘッド部3と紫外線照射部4は、キャリッジ5の底壁部50に固定されている。
ヘッド部3のノズル部30は、底壁部50をZ方向に貫通して、キャリッジ5の外部に露出している。紫外線照射部4の発光部40は、底壁部50をZ方向に貫通して、キャリッジ5の外部に露出している。
【0035】
図3に示すように、底壁部50には、ヘッド部3のノズル部30が露出している。ノズル部30には、ノズル列31~34が形成されている。ノズル列31~34は、X方向に沿う向きに設けられている。ノズル列31~34は、X方向に沿う向き並ぶ複数のノズル孔(図示せず)から構成されている。ノズル列31のノズル孔からは、C(シアン:Cyan)のインクが吐出される。ノズル列32のノズル孔からは、M(マゼンタ:Magenta)のインクが吐出される。ノズル列33のノズル孔からは、Y(イエロー:Yellow)のインクが吐出される。ノズル列34のノズル孔からは、K(キー・プレート:Key plate)のインクが吐出される。キー・プレートとして、例えば黒を用いることができる。
【0036】
なお、ここで示した構成はあくまで一例であり、ノズル部の数、ノズル列の数、ノズル孔の数、インクの色数、各ノズル部へのインクの色の割り当て等の設定については、適宜変更可能である。
【0037】
図3に示すように、底壁部50には、Y方向におけるノズル部30の一方側と他方側に、紫外線照射部4の発光部40がそれぞれ露出している。発光部40は、Y方向で、ノズル列31~34とオーバーラップする位置に設けられている。
【0038】
発光部40は、LED基板41と、LED基板41に固定された複数のLED素子42とを有する。複数のLED素子42は、Y方向に沿う直線Lyを挟んだ一方側と他方側で同じ数となるように配置されている。
なお、ここで示した構成はあくまで一例であり、LED基板の数、LED素子の数、LED素子の配置等の設定については、適宜変更可能である。
【0039】
LED素子42は、紫外線を発光するUVLEDである。LED基板41は銅製である。LED素子42は、紫外線を発光することで発熱する。LED素子42の熱はLED基板41に伝達され、当該LED基板41が加熱される。
そこで、本発明に係る印刷装置1では、紫外線照射部4に、LED素子42及びLED基板41を冷却する冷却装置6を設けている。
【0040】
図4は、冷却装置6を説明する図である。
図4は、キャリッジ5を上側から見た斜視図である。
図4では、キャリッジ5及びヘッド部3を破線で示すと共に、キャリッジ5の底壁部50にクロスハッチングを付してある。
図5は、冷却装置6を説明する図である。
図5は、
図4におけるヘッド部3から見てY2側(右側)に位置する冷却装置6を示している。
【0041】
図4に示すように、冷却装置6は、キャリッジ5内に設けられている。冷却装置6は、直線Ly方向で、ヘッド部3を挟んだ一方側と他方側に設けられている。冷却装置6は、前記した発光部40(LED基板41)のZ方向上側に配置されている。
【0042】
図5に示すように、冷却装置6は、熱交換部7と、熱交換部7に空気を送風する送風機8とを有する。送風機8は、第1送風機81と、第2送風機82と、を有する。第1送風機81と、第2送風機82は、直線Ly方向で間隔を空けて配置されている。熱交換部7は、直線Ly方向において、第1送風機81と第2送風機82の間に配置されている。
【0043】
図6は、熱交換部7を説明する図である。
図6は、
図5の送風機8を省略したものを示している。
図7は、熱交換部7のヒートシンク71を説明する図である。
図8は、熱交換部7のベイパーチャンバー72を説明する図である。
図9は、ベイパーチャンバー72の配置を説明する図である。
図9では、見やすくするために、一部のベイパーチャンバー72にクロスハッチングを付してある。
図10は、ベイパーチャンバー72の配置を説明する図である。
図10は、
図9の上面図である。
図10では、LED基板41の外形を仮想線で示してある。
図11は、熱交換部7を説明する図である。
図11は、
図6のA-A矢視図である。なお、
図11では、ボルトB周りを断面で示している。
図11では、見やすくするために、一部のベイパーチャンバー72にクロスハッチングを付してある。
【0044】
図6に示すように、熱交換部7は、複数のフィン710(放熱フィン)から構成されるヒートシンク71を有する。ヒートシンク71は、複数のフィン710をZ方向に並べて形成される。また、熱交換部7は、ヒートシンク71をZ方向に貫通する複数のベイパーチャンバー72と、ヒートシンク71及びベイパーチャンバー72を支持する支持板70と、を有する。
【0045】
図7に示すように、ヒートシンク71のフィン710は、アルミニウム製の薄板である。フィン710は、略矩形形状を成している。フィン710は、直線Lyに平行な短辺711、712と、これら短辺711、712の端部同士を接続する長辺713、714と、を有する。
【0046】
フィン710には、複数の貫通孔715が形成されている。本実施形態では、短辺711側に4つの貫通孔715が形成され、短辺712側に3つの貫通孔715が形成されている。これら貫通孔715は、直線Lyに沿う向きに並んでいる。
具体的には、直線Ly方向において、短辺711側の貫通孔715と、短辺712側の貫通孔715とが、交互に並ぶように設けられている。
【0047】
フィン710には、貫通孔715を囲むリング状の肉厚部716が設けられている。肉厚部716は、フィン710と一体に形成されている。肉厚部716は、フィン710の一方の面710aから突出している。
【0048】
フィン710の角部には、ボス部717が設けられている。ボス部717は、フィン710と一体に形成されている。ボス部717は、フィン710の一方の面710aから突出している。
【0049】
図6に示すように、ヒートシンク71は、複数のフィン710をZ方向に並べて形成される。
図11に示すように、フィン710は、ボス部717の突出高さH1が、肉厚部716の突出高さH2よりも高くなっている(H1>H2)。そのため、複数のフィン710をZ方向で順番に並べると、下側のフィン710のボス部717の上面717aに、上側のフィン710の他方の面710bが当接する。これにより、Z方向におけるフィン710、710の間には空間Rが形成される。ヒートシンク71は、複数のフィン710を並べた状態で、ベイパーチャンバー72に装着される。
【0050】
図8に示すように、ベイパーチャンバー72は、1本の銅製の管状部材を長手方向における一端72aと他端72bの間の1か所で屈曲させて形成したものである。ベイパーチャンバー72の一端72aと他端72bは封止されている。ベイパーチャンバー72は、側面視において、略L字形状を成している。ベイパーチャンバー72は、長手方向の全長に亘って、均一な直径Dを有する。
具体的には、ベイパーチャンバー72は、直線Lpに沿う向きに設けられた第1筒状部721と、直線Lpと交差する直線Lqに沿う向きに設けられた第2筒状部722と、を有する。第1筒状部721と第2筒状部722との間には屈曲部723が介在している。ベイパーチャンバー72は、屈曲部723よりも一端72a側の領域が第1筒状部721を構成する。屈曲部723よりも他端72b側の領域が第2筒状部722を構成する。
【0051】
図10に示すように、直線Lp方向における第1筒状部721の長さL721は、直線Lyに直交する方向の支持板70の長さL70よりも短く、LED基板41の長さL41よりも長い(L70>L721>L41)。また、
図11に示すように、直線Lq方向における第2筒状部72の長さL722は、複数のフィン710を並べたヒートシンク71全体の厚みT71よりも長い(L722>T71)。
【0052】
図8に示すように、ベイパーチャンバー72では、第1筒状部721、屈曲部723及び第2筒状部722の内部空間は、互いに連通しており、ベイパーチャンバー72内で1つの連続した内部空間S72を形成している。
ベイパーチャンバー72の内周面720には、銅製の毛管繊維CFが設けられている。毛管繊維CFは、内周面720の全面に亘って張り巡らされている。なお、図示は省略するが、内周面720には、毛管繊維CFに替えて、銅製のバネをスパイラル状に張り巡らせてもよい。
【0053】
内部空間S72には、冷媒Qが封入されている。冷媒Qは純水である。詳細は後記するが、ベイパーチャンバー72では、内部空間S72に封入された冷媒Qが蒸発及び凝縮を繰り返すことで、ベイパーチャンバー72周りの空間と熱交換を行う。
【0054】
図10に示すように、Z方向から見てベイパーチャンバー72は、LED基板41が設けられた領域を直線Ly方向に横断する範囲に設けられている。本実施形態では、ベイパーチャンバー72は、直線Ly方向に7本並んでいる。7本のベイパーチャンバー72が並んだ領域は、Z方向から見てLED基板41が設けられた領域と重なっている。
【0055】
図9に示すように、ベイパーチャンバー72の第1筒状部721は、支持板70に載置されている。支持板70は、銅製の板状部材である。支持板70は、略矩形形状を成している。支持板70は、直線Lyに平行な短辺701、702と、これら短辺701、702の端部同士を接続する長辺703、704と、を有する。
【0056】
図9に示すように、Z方向における支持板70の下面70bは、前記したLED基板41に当接している(図中、仮想線参照)。
図10に示すように、支持板70は、直線Ly方向の幅W70を有する。支持板70の幅W70は、LED基板41(図中、仮想線参照)の幅W41よりも大きい。また、支持板70は、直線Lyに直交する方向の長さL70を有する。支持板70の長さL70は、LED基板41(図中、仮想線参照)の長さL41よりも大きい。すなわち、Z方向から見て、支持板70は、LED基板41を全面に亘って覆っている。なお、支持板70は、少なくとも一部がLED基板41に重なるように配置されていてもよいが、吸熱効率の観点から、支持板70は、LED基板41を全面に亘って覆うように設けることが好ましい。
【0057】
図9に示すように、Z方向における支持板70の上面70aには、凹溝705が、開口を上方に向けて設けられている。凹溝705は、ベイパーチャンバー72を支持するために設けられている。凹溝705は、ベイパーチャンバー72の数に合わせて7つ設けられている。これら7つの凹溝705は、直線Ly方向に並んでいる。凹溝705は、直線Lyに直交する方向に延びる直線状の溝である。凹溝705は、直線Lyに直交する方向で、支持板70の全長に亘って設けられている。直線Lyに直交する方向から見て、凹溝705は、ベイパーチャンバー72の外形に略整合する弧状に形成されている。
【0058】
図9に示すように、ベイパーチャンバー72は、第1筒状部721を凹溝705内に収容した状態で、支持板70に載置される。ベイパーチャンバー72の第1筒状部721と支持板70との間には公知の熱伝導グリスが介在している。この状態において、第1筒状部721の長手方向に沿う直線Lpは、直線Lyに直交する向きに配置される。第2筒状部722の長手方向に沿う直線Lqは、Z方向に沿う向きに配置される。第2筒状部722は、第1筒状部721からZ方向上向きに延びている。
図10に示すように、直線Ly方向で隣り合うベイパーチャンバー72同士は、Z方向上側から見て、互いの一端72aと他端72bとが、隣り合う向きで配置される。
【0059】
図10に示すように、Z方向から見て、支持板70の角部には、それぞれボルト穴707が設けられている。ボルト穴707は、凹溝705を避けた位置で、支持板70の上面70aに開口している。
【0060】
ここで、
図11に示すように、ヒートシンク71は、フィン710に設けた貫通孔715を、ベイパーチャンバー72の第2筒状部722にZ方向上側から外挿することで、ベイパーチャンバー72に装着される。これにより、ヒートシンク71は、Z方向において、LED基板41(
図4参照)よりも上方に配置される。なお、ベイパーチャンバー72の第2筒状部722と貫通孔715との間には公知の熱伝導グリスが介在している。
【0061】
Z方向において支持板70とヒートシンク71との間には、円筒状のスペーサ73が介在している。これにより、ヒートシンク71は、ベイパーチャンバー72の屈曲部723を避けた位置に配置できる。ヒートシンク71は、第2筒状部722の略全長に亘る範囲に設けられている。
【0062】
この状態において、Z方向に重なる複数のフィン710のボス部717と、スペーサ73に1本のボルトBをZ方向上側から挿通したのち、ボルトBを支持板70のボルト穴707に螺入することで、ヒートシンク71が支持板70に固定される。
これにより、ベイパーチャンバー72は、LED基板41とヒートシンク71とに跨って設けられた状態が維持される。
【0063】
図12は、冷却装置6内の空気の流れを示す図である。
図12は、
図4のA-A矢視図である。なお、
図12では、送風機8および発光部40周りを断面で示している。送風機8では、空気の通流路のみを簡略化して示している。また、熱交換部7のボルトBを省略している。
【0064】
図12に示すように、冷却装置6では、直線Ly方向における熱交換部7の一方側と他方側に、第1送風機81と、第2送風機82が設けられている。第1送風機81の排気口81bと第2送風機82の吸気口82aは、熱交換部7を間に挟んで直線Ly方向で、互いに対向している。
【0065】
第1送風機81は、公知の軸流ファンである。第1送風機81の吸気口81aは、直線Ly方向における熱交換部7と反対側に開口している。第1送風機81の排気口81bは、直線Ly方向における熱交換部7側に開口している。第1送風機81は、図示しないファンが回転することで、直線Ly方向に空気Airを送風する(図中、矢印A方向)。
【0066】
第2送風機82は、公知のターボファンである。第2送風機82の吸気口82aは、直線Ly方向における熱交換部7側に開口している。第2送風機82の排気口82bは、Z方向上向きに開口している。第2送風機82は、図示しないファンが回転することで、直線Ly方向に吸引した空気AirをZ方向に排出する(図中、矢印C方向)。なお、排気口82bから排出された空気Airは、キャリッジ5及び本体部2に形成された開口部(図示せず)から、印刷装置1の外部へ最終的に排出される。
【0067】
熱交換部7から見て、第1送風機81は、送風方向上流側に配置されている。熱交換部7から見て、第2送風機82は、送風方向下流側に配置されている。
ここで、熱交換部7は、ヒートシンク71のフィン710が直線Lyに沿う向きに設けられている。そのため、フィン710、710の間の空間Rもまたは、直線Lyに沿う向きに形成される。
従って、第1送風機81から熱交換部7に供給された空気Airは、ヒートシンク71の空間R内を直線Ly方向に移動したのち、第2送風機82に排出される(図中、矢印B方向)。空間R内を流れる空気Airは、ヒートシンク71のフィン710に接触しながら移動する。
【0068】
以下、冷却装置6による冷却について説明する。
図13は、熱交換部7による熱交換を示す図である。
図13は、
図12のA-A断面の模式図である。
図13に示すように、紫外線照射部4(
図2参照)による紫外線の照射は、発光部40のLED素子42を発光させることで行われる。LED素子42が発光すると、LED素子42は発熱する。
【0069】
熱は高温側から低温側に伝達される。
LED素子42が発熱すると、LED素子42の熱はLED基板41に伝達される。LED基板41とベイパーチャンバー72とでは、LED基板41の方がベイパーチャンバー72よりも高温になる。よって、ベイパーチャンバー72の第1筒状部721には、支持板70を介してLED基板41から熱が伝達される。
一方、ベイパーチャンバー72とヒートシンク71とでは、LED基板41から熱が伝達された際には、ベイパーチャンバー72の方がヒートシンク71よりも高温になる。よって、ベイパーチャンバー72の第2筒状部722の熱は、ヒートシンク71に伝達される。
また、ヒートシンク71と空気とでは、ベイパーチャンバー72から熱が伝達された際には、ヒートシンク71の方が空気よりも高温になる。よって、ヒートシンク71の熱は、空気に伝達される。
【0070】
前記した通り、ベイパーチャンバー72は、内部空間S72に、冷媒Q(純水)を封入したものである。ベイパーチャンバー72は、第1筒状部721が第2筒状部722よりもZ方向下側に配置されている。そのため、冷媒Qは、ベイパーチャンバー72の第1筒状部721内に貯留される。
【0071】
冷媒Qは、支持板70を介して、LED基板41から熱が伝達されて加熱される(図中、白抜き矢印A)。そうすると、冷媒Qは蒸発する。このときの冷媒Qの気化熱により、LED基板41の熱が吸熱される。これにより、LED基板41およびLED素子42は冷却される。なお、支持板70は銅製であり、熱伝導率が高い。そのため、冷媒QとLED基板41との熱交換を効率的に行えるようになっている。
【0072】
蒸発して気体となった冷媒Q’は、ベイパーチャンバー72の内部空間S72をZ方向上側に上昇し(図中、矢印a)、第2筒状部722内に溜まる(
図13におけるクロスハッチング部分)。第2筒状部722内の気体の冷媒Q’は、ヒートシンク71の各フィン710との熱交換(図中、白抜き矢印B)、そして空間Rを通流する空気との熱交換(図中、白抜き矢印C)により、冷却される。これにより、気体の冷媒Q’は凝縮し、液化する。
【0073】
ここで、フィン710の貫通孔715周りは、肉厚部716が設けられている。これにより、ベイパーチャンバー72とフィン710との接触面積を増やして、フィン710側に熱を伝達しやすくしている。
【0074】
フィン710に伝達された熱は、空間Rを通流する空気との熱交換により、冷却(放熱)される(図中、白抜き矢印C)。
図12に示すように、空間Rには、第1送風機81から供給される空気Airが通流する。フィン710から放出された熱は、空気Airとともに第2送風機82側に排出される。これにより、フィン710は冷却される。なお、空間R内には、第1送風機81(
図12参照)から連続的に空気Airが供給されるため、フィン710(ヒートシンク71)は、ベイパーチャンバー72から伝達された熱を連続的に放熱するようになっている。
【0075】
図13の拡大領域に示すように、凝縮して液体となった冷媒Qは、ベイパーチャンバー72の内周面720に設けられた毛管繊維CFを伝いながら、自重でZ方向下側に移動し、第1筒状部721側に貯留される(図中、矢印b)。第1筒状部721に貯留された冷媒Qは、再びLED素子42からの熱を受けて蒸発する(図中、矢印a)。
【0076】
このように、ベイパーチャンバー72は、冷媒Qが蒸発と凝縮を繰り返すことで、LED基板41の熱を連続的にヒートシンク71に放出している。これにより、LED基板41及びLED素子42を冷却している。
【0077】
本実施形態では、ベイパーチャンバー72の第1筒状部721は、直線Lp方向における略全長に亘って支持板70と接触している。また、ベイパーチャンバー72の第2筒状部722には、直線Lq方向における略全長に亘ってヒートシンク71が設けられている。
このように、支持板70とベイパーチャンバー72との接触面積、及びヒートシンク71とベイパーチャンバー72との接触面積を増やすことで、1本あたりのベイパーチャンバー72における吸熱量および放熱量を増やすことができる。
【0078】
また、本実施形態では、直線Ly方向で隣り合うベイパーチャンバー72同士は、Z方向から見たときに、互いの一端72aと他端72bとが隣り合う向きで交互に配置されている(
図10参照)。
【0079】
図13に示すように、ベイパーチャンバー72の第1筒状部721は、ヒートシンク71が設けられた他端72b側(屈曲部723側)が、一端72a側よりも温度が低くなりやすい。第1筒状部721に接する支持板70では、屈曲部723と反対側(一端72a側)は冷却されにくい。例えば、Z方向から見たときに、互いの一端72a、72a同士が直線Ly方向で隣り合うように、ベイパーチャンバー72を同じ向きに配置した場合、支持板70は、屈曲部723と反対側(一端72a側)が冷却されにくく、冷却領域に偏りが生じる。そうすると、LED基板41もまた、冷却される領域が偏ることになる。
そこで、本実施形態では、Z方向から見たときに、互いの一端72aと他端72b(屈曲部723側)とが直線Ly方向で隣り合うように、ベイパーチャンバー72を交互に配置することで、支持板70が冷却される領域に偏りを生じにくくしている。
【0080】
以上の通り、本発明に係る冷却装置6は、以下の構成を有する。
(1)冷却装置6は、LED素子42及びLED素子42が設けられたLED基板41を冷却する。
冷却装置6は、Z方向(鉛直線方向)において、LED基板41よりも上方に配置されるヒートシンク71と、
ヒートシンク71に向けて空気Airを送風する送風機8と、
LED基板41とヒートシンク71とに跨って設けられたベイパーチャンバー72と、を有する。
ベイパーチャンバー72内には、冷媒Qとして純水が封入されている。
【0081】
このように構成すると、LED素子42とLED基板41を適切に冷却できるので、発熱の抑制のためにLED素子42の出力を制限する必要が無い。また、冷却装置6は、キャリッジ5内に収容することができる。従って、水冷式の冷却装置のようにウォータージャケット、循環ポンプ、リザーバタンクなどを備える必要はない。よって、コンパクトな冷却装置6を実現できる。また、純水の気化熱を利用して冷却するため、空冷式の冷却装置よりも冷却効果は高い。さらに、冷媒として純水を使用しているため、フロンなどを使用する沸騰伝熱式の冷却装置よりも環境への負荷は小さい。
以上より、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さい、冷却装置6とすることができる。
【0082】
本発明に係る冷却装置6は、以下の構成を有する。
(2)LED基板41とベイパーチャンバー72との間には、銅板である支持板70が介在している。
Z方向(鉛直線方向)から見て、支持板70は、LED基板41を全面に亘って覆う範囲に設けられている。
【0083】
このように構成して、熱伝導率の高い銅板を支持板70として介在させることで、LED基板41側の熱を速やかにベイパーチャンバー72側に移動させることができる。
また、LED基板41を全面に亘って覆うように支持板70を設けることで、LED基板41の熱を均等にベイパーチャンバー72側に移動させることができる。これにより、LED基板41が局所的に温度上昇することを好適に抑制できる。
【0084】
本発明に係る冷却装置6は、以下の構成を有する。
(3)ベイパーチャンバー72は、長手方向の一端72aと他端72bが封止された管状を成している。
一端72aと他端72bの間には、一か所の屈曲部723が設けられている。
屈曲部723よりも一端72a側の領域は、第1筒状部721である。第1筒状部721は、支持板70に沿う向きに設けられている。
屈曲部723よりも他端72b側の領域は、第2筒状部722である。第2筒状部722は、Z方向上側に延びている。
第2筒状部722には、ヒートシンク71の複数のフィン710(放熱フィン)が、Z方向に間隔をあけて設けられている。
送風機8は、Z方向に交差する直線Ly方向に空気Airを送風する。
【0085】
このように構成すると、支持板70とベイパーチャンバー72との接触面積を第1筒状部721で確保できると共に、ヒートシンク71とベイパーチャンバー72との接触面積を第2筒状部722で確保できる。よって、各ベイパーチャンバー72における吸熱量および放熱量を増やすことができる。
【0086】
本発明に係る冷却装置6は、以下の構成を有する。
(4)直線Ly方向(送風機8の送風方向)に沿って、複数のベイパーチャンバー72が設けられている。
直線Ly方向で隣り合うベイパーチャンバー72同士は、Z方向から見て、互いの一端72aと他端72bとが、隣り合う向きで交互に配置される。
【0087】
ベイパーチャンバー72の第1筒状部721は、ヒートシンク71が設けられた他端72b側(屈曲部723側)が、一端72a側よりも温度が低くなりやすい。例えば、複数のベイパーチャンバー72について、向きを揃えて配置した場合、第1筒状部721と接する支持板70は、屈曲部723と反対側(一端72a側)が冷却されにくくなり、冷却領域に偏りが生じる。そうすると、LED基板41が冷却される領域も偏ることになる。
そこで、上記のように構成することで、支持板70が冷却される領域に偏りを生じにくくしている。
【0088】
本発明に係る冷却装置6を備える印刷装置1は、以下の構成を有する。
(5)LED素子42は、UVLEDである。
【0089】
このように構成すると、LED素子42から照射される紫外線の出力を制限することなく、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さい、冷却装置6を備える印刷装置1を提供することができる。
【0090】
本発明に係る冷却装置6を備える印刷装置1は、以下の構成を有する。
(6)印刷装置1は、シリアル型プリンタである。
【0091】
このように構成すると、LED素子42から照射される紫外線の出力を制限することなく、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さい、シリアル型プリンタを提供することができる。
【0092】
(変形例1)
前記した実施形態では、1本の管状部材を長手方向における1か所で屈曲させた略L字形状のベイパーチャンバー72を有する冷却装置6を例示したが、この態様に限定されるものではない。例えば、1本の管状部材を長手方向における2か所で屈曲させた略U字形状のベイパーチャンバー72Aを有する冷却装置6Aとしてもよい。以下の変形例では、前記した実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0093】
図14は、変形例1に係るベイパーチャンバー72Aを説明する図である。
図15は、変形例1に係るベイパーチャンバー72Aの配置を説明する図である。
図15では、見やすくするために、一部のベイパーチャンバー72Aにクロスハッチングを付してある。
図16は、変形例1に係る冷却装置6Aを説明する図である。
図16では、冷却装置6Aの熱交換部7Aを斜視図で示してある。
図17は、変形例1に係る冷却装置6Aを説明する図である。
図17は、
図16の熱交換部7Aを上方から見た図である。
図18は、変形例1に係る冷却装置6Aによる熱交換を示す図である。
図18は、
図17のA-A断面の模式図である。
【0094】
図14に示すように、ベイパーチャンバー72Aは、1本の銅製の管状部材を長手方向における一端72aと他端72bの間の2か所で屈曲させて形成したものである。ベイパーチャンバー72Aの一端72aと他端72bは封止されている。ベイパーチャンバー72Aは、側面視において、略U字形状を成している。ベイパーチャンバー72Aは、長手方向の全長に亘って、均一な直径Dを有する。
【0095】
ベイパーチャンバー72Aは、直線Lpに沿う向きに設けられた第1筒状部721と、直線Lpと交差する直線Lq1に沿う向きに設けられた第2筒状部722と、直線Lpと交差する直線Lq2に沿う向きに設けられた第3筒状部724と、を有する。直線Lq1、Lq2は、互いに平行な直線である。第2筒状部722と第3筒状部724は、第1筒状部721からみて同じ方向に延びている。
【0096】
図14に示すように、第1筒状部721と第2筒状部722との間には屈曲部723が介在している。第1筒状部721と第3筒状部724との間には屈曲部725が介在している。
ベイパーチャンバー72Aは、屈曲部723と屈曲部725の間の領域が、第1筒状部721を構成する。屈曲部723よりも他端72b側の領域が、第2筒状部721を構成する。屈曲部725よりも一端72a側の領域が、第3筒状部724を構成する。
【0097】
図15に示すように、ベイパーチャンバー72Aは、第1筒状部721を凹溝705内に収容した状態で、支持板70に載置される。この状態において、第1筒状部721の長手方向に沿う直線Lpは、直線Lyに直交する向きに配置される。第2筒状部722、第3筒状部724の長手方向に沿う直線Lq1、Lq2は、それぞれZ方向に沿う向きに配置される。第2筒状部722と第3筒状部724は、第1筒状部721からZ方向上向きに延びている。
【0098】
図15に示すように、ベイパーチャンバー72Aは、直線Ly方向に7本並んでいる。直線Ly方向に並ぶ7本のベイパーチャンバー72Aは、互いに隣り合う第2筒状部722、722同士、第3筒状部724、724同士をX方向に交互に位置をずらした千鳥配置となっている。
【0099】
図16に示すように、ヒートシンク71Aのフィン710Aは、ベイパーチャンバー72Aの第2筒状部722と第3筒状部724がそれぞれ貫通する貫通孔715を有している。肉厚部716もまた、ベイパーチャンバー72Aの第2筒状部722と第3筒状部72をそれぞれ囲むように設けられている。
【0100】
図16に示すように、ヒートシンク71Aは、フィン710Aに設けた貫通孔715を、ベイパーチャンバー72Aの第2筒状部722及び第3筒状部724にZ方向上側から外挿することで、ベイパーチャンバー72Aに装着される。ヒートシンク71Aは、X方向で、ベイパーチャンバー72Aの第2筒状部722と第3筒状部724とに跨って設けられる。また、ベイパーチャンバー72Aは、LED基板41とヒートシンク71Aとに跨って設けられている。
【0101】
図17に示すように、直線Ly方向に並ぶ7本のベイパーチャンバー72Aは、互いに隣り合う第2筒状部722、722同士がX方向に距離Xtだけ交互にオフセットした千鳥配置となっている。これにより、隣り合う肉厚部716、716同士の干渉を避けつつ、直線Ly方向における第2筒状部722、722の隙間CLを詰めることができる。例えば、
図17の拡大領域に示すように、隙間CLを1つ分の肉厚部716の厚みに相当する距離とすることができる。もちろん、隙間CLは、1つ分の肉厚部716の厚み以下となる距離まで詰めることもできる。なお、直線Ly方向で隣り合う第3筒状部724、724の隙間についても同様である。
【0102】
ここで、7本のベイパーチャンバー72Aを、直線Lyに沿って一直線に並べる場合、隣り合う第2筒状部722、722の隙間CLは、少なくとも2つ分の肉厚部716、716の厚みに相当する距離を有することになる。そして、この距離は、これ以上詰めることはできない。肉厚部716、716同士が干渉するからである。
これに対して、7本のベイパーチャンバー72Aを千鳥配置とすることで、一直線に並べる場合よりも、支持板70上(
図15参照)に密に配置できる。これにより、支持板70上により多くのベイパーチャンバー72Aを配置することができるので、冷却装置6Aによる冷却効率を向上させることができる。
【0103】
また、
図17の拡大領域に示すように、直線Ly方向に流れる空気Airの一部は、千鳥配置された第2筒状部722を上流側から下流側に横断する。この際に、空気Airには乱流が発生する。図示は省略するが、第3筒状部724側を横断する空気Airについても同様である。そのため、ベイパーチャンバー72Aを一直線に並べる場合よりも対流熱伝達率が向上し、空気Airは、より多くの熱を奪うことができる。よって、冷却効率は向上する。
【0104】
図18に示すように、ベイパーチャンバー72Aでは、第1筒状部721が第2筒状部722及び第3筒状部724よりもZ方向下側に配置されている。そのため、冷媒Qは、ベイパーチャンバー72Aの第1筒状部721内に貯留される。
【0105】
冷媒Qは、支持板70を介して、LED基板41から熱が伝達されて加熱される(図中、白抜き矢印A)。そうすると、冷媒Qは蒸発する。このときの冷媒Qの気化熱により、LED基板41の熱が吸熱される。これにより、LED基板41およびLED素子42は冷却される。
【0106】
蒸発して気体となった冷媒Q’は、ベイパーチャンバー72Aの内部空間S72AをZ方向上側に上昇し(図中、矢印a)、第2筒状部722内及び第3筒状部724内にそれぞれ溜まる(
図18におけるクロスハッチング部分)。第2筒状部722内及び第3筒状部724内に溜まった気体の冷媒Q’の熱は、ヒートシンク71Aから放熱される(図中、白抜き矢印B)。これにより、気体の冷媒Q’は冷却されて、液化する。
【0107】
液体となった冷媒Qは、第2筒状部722内及び第3筒状部724内をそれぞれ自重でZ方向下側に移動し、第1筒状部721内に貯留される(図中、矢印b)。第1筒状部721に貯留された冷媒Qは、再びLED素子42からの熱を受けて蒸発する(図中、矢印a)。変形例1に係るベイパーチャンバー72Aでは、第2筒状部722と第3筒状部724の2か所で熱交換が行えるので、1本あたりのベイパーチャンバー72Aによる放熱量を増やすことができる。これにより、冷却効率を向上させることができる。
【0108】
変形例1に係る冷却装置6Aは、以下の構成を有する。
(7)ベイパーチャンバー72Aは、長手方向の一端72aと他端72bが封止された管状を成している。
一端72aと他端72bの間には、二か所の屈曲部723、725が設けられている。
二か所の屈曲部723、725の間の領域は、第1筒状部721である。第1筒状部721は、支持板70に沿う向きに設けられている。
二か所の屈曲部723、725よりも一端72a側の領域は、第3筒状部724である。第3筒状部724は、Z方向上側に延びている。
二か所の屈曲部723、725よりも他端72b側の領域は、第2筒状部722である。第2筒状部722は、Z方向上側に延びている。
第2筒状部722と第3筒状部724には、ヒートシンク71Aの複数のフィン710A(放熱フィン)が、Z方向に間隔をあけて設けられている。
送風機8は、Z方向に交差する直線Ly方向に空気Airを送風する。
【0109】
このように構成すると、第2筒状部722と第3筒状部724で熱交換が行えるので、1本あたりのベイパーチャンバー72Aにおける放熱量をより増やすことができる。
【0110】
変形例1に係る冷却装置6Aは、以下の構成を有する。
(8)空気Airの送風方向である直線Ly方向に、複数のベイパーチャンバー72Aが設けられている。
直線Ly方向で隣り合うベイパーチャンバー72A同士は、Z方向から見て、直線Lyの交差方向であるX方向に交互に位置をずらして千鳥配置されている。
【0111】
このように構成すると、複数のベイパーチャンバー72Aを支持板70上に密に配置できる。
また、直線Ly方向に流れる空気Airは、千鳥配置された複数のベイパーチャンバー72Aを上流側から下流側に横断する際に、乱流が発生する。これにより、対流熱伝達率が向上し、空気Airは、より多くの熱を奪うことができる。よって、冷却効率は向上する。
【0112】
(変形例2)
ここで、管状のベイパーチャンバーは、全長が短くなるほど熱交換量は多くなる。ベイパーチャンバー内を移動する冷媒Qの移動距離が短くなるため、冷媒Qによる吸熱と放熱のサイクルが短くなるからである。
そこで、冷却効率をより向上させるために、前記したベイパーチャンバー72よりも全長の短いベイパーチャンバー72Bを備える冷却装置6Bとしてもよい。
以下の変形例2では、前記した実施形態及び変形例1と異なる部分のみを説明する。
【0113】
図19は、変形例2に係るベイパーチャンバー72Bを説明する図である。
図20は、変形例2に係るベイパーチャンバー72Bの配置を説明する図である。
図20では、見やすくするために、一部のベイパーチャンバー72Bにクロスハッチングを付してある。
【0114】
図19に示すように、ベイパーチャンバー72Bでは、第1筒状部721Aの長さL721Aが、前記したベイパーチャンバー72の第1筒状部721の長さL721(
図8参照)の略半分の長さに設定されている(L721A≒(L721)/2)。
第1筒状部721Aの長さが短くなっている分、ベイパーチャンバー72Bの全長は、前記したベイパーチャンバー72の全長よりも短くなっている。ベイパーチャンバー72Bの直径Dは、前記したベイパーチャンバー72の直径D(
図8参照)と同じである。
【0115】
図20に示すように、ベイパーチャンバー72Bは、第1筒状部721Aが凹溝705に収容された状態で、支持板70に載置される。冷却装置6Bでは、第1筒状部721Aの長さを短くして、1つの凹溝705に、2本のベイパーチャンバー72B、72Bを配置している。これら2本のベイパーチャンバー72B、72Bは、X方向で隣り合っており、一対のベイパーチャンバー組72Cを構成する。一対のベイパーチャンバー組72Cは、X方向における長さ(2×L721A)が、前記したLED基板41の長さ(L41、
図10参照)よりも長くなっている(2×L721A>L41)。
【0116】
図20に示すように、Z方向から見て、一対のベイパーチャンバー組72Cでは、2本のベイパーチャンバー72B、72Bの一端72a、72a同士を対向させた状態で配置されている。一端72a、72aは、X方向で当接していても良いし、X方向で僅かに隙間を空けていてもよい。
【0117】
また、一対のベイパーチャンバー組72Cは、直線Ly方向に沿って7組設けられており、支持板70上には、合計14本のベイパーチャンバー72Bが載置されている。このように、変形例2に係る冷却装置6Bは、前記した冷却装置6よりも、多くのベイパーチャンバー72Bを搭載している。
【0118】
図20に示すように、直線Ly方向に7組並ぶ一対のベイパーチャンバー組72Cでは、直線Ly方向で隣り合う第2筒状部722、722同士がX方向に交互にオフセットした千鳥配置となっている。これにより、一対のベイパーチャンバー組72Cを、支持板70上に密に配置している。
【0119】
また、直線Ly方向に7組並ぶ一対のベイパーチャンバー組72Cを千鳥配置することで、第2筒状部722を通流する空気Airには乱流が発生する。これにより、対流熱伝達率が向上するため、空気Airは、より多くの熱を奪うことができる。
【0120】
ここで、
図19に示すように、ベイパーチャンバー72Bは、第1筒状部721Aの長さL721Aが、前記したベイパーチャンバー72の第1筒状部721の長さL721(
図8参照)よりも短くなっている。そのため、第1筒状部721A内で蒸発した冷媒Q’は、速やかに第2筒状部722側に移動して放熱される。
【0121】
従って、変形例2に係るベイパーチャンバー72Bは、冷媒Qの吸熱と放熱のサイクルが短く、熱交換量が多い。そして、
図20に示すように、1対のベイパーチャンバー組72Cとして、2つのベイパーチャンバー72BをX方向に並べることで、発光部40(LED基板41、LED素子42)をX方向における全長に亘って均一に冷却できる。
【0122】
このように、変形例2に係る冷却装置6Bでは、全長の短いベイパーチャンバー72Bを用いることで、熱交換量を多くすると共に、冷却装置6Bに搭載できる本数を増やすことができる。これにより、冷却効率を向上させることができる。
【0123】
変形例2に係る冷却装置6Bは、以下の構成を有する。
(9)ベイパーチャンバー72Bは、送風方向の交差方向であるX方向で隣り合う一対のベイパーチャンバー組72Cを構成する。
一対のベイパーチャンバー組72Cは、送風方向である直線Ly方向に沿って7組設けられている。
直線Ly方向で隣り合う一対のベイパーチャンバー組72C同士は、Z方向から見て、X方向に交互に位置をずらして千鳥配置されている。
【0124】
このように構成して、一対のベイパーチャンバー組72Cとすることで、各ベイパーチャンバー72Bの全長を短くして、熱交換量を多くしている。また、冷却装置6Bに搭載できるベイパーチャンバー72Bの本数を増やすことができる。これにより、冷却装置6Bの冷却効率が向上する。
【0125】
なお、変形例2に係る一対のベイパーチャンバー組72Cでは、
図20に示すように、Z方向から見てベイパーチャンバー72B、72Bの一端72a、72a同士が対向したものを例示したが、この態様に限定されない。例えば、Z方向から見て、互いの他端72b、72b同士を対向させても良いし、互いの一端72aと他端72b同士を対向させてもよい。
【0126】
(その他の変形例)
前記した実施形態及び変形例1~2に係る印刷装置1では、LED素子42が紫外線を発光するUVLEDであるものを例示したが、この態様に限定されるものではない。例えば
図21に示す印刷装置1Aのように、LED素子42Aが赤外線を発光するIRLEDであってもよい。
【0127】
図21に示すように、LED素子42Aは、印刷装置1Aの赤外線照射部4Aに設けられている。Y方向において赤外線照射部4Aは、ヘッド部3の一方側と他方側にそれぞれ設けられている。ヘッド部3からは、赤外線吸収剤を含むインクが吐出される。なお、赤外線吸収剤を含むインクとは、例えば赤外線によって溶媒が揮発除去されることで媒体Mに定着するインクなどが挙げられる。
【0128】
LED素子42Aは、赤外線を発光することで発熱する。このような印刷装置1Aにおいても、赤外線照射部4Aに冷却装置6を設けることで、LED素子42Aから照射される赤外線の出力を制限することなく、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さくすることができる。なお、印刷装置1Aの赤外線照射部4Aは、前記した冷却装置6A、6Bのいずれかを備えていてもよい。
【0129】
本発明に係る冷却装置6を備える印刷装置1Aは、以下の構成を有する。
(10)LED素子42Aは、IRLEDである。
【0130】
このように構成すると、LED素子42Aから照射される赤外線の出力を制限することなく、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さい、冷却装置6を備える印刷装置1Aを提供することができる。
【0131】
本発明に係る冷却装置6を備える印刷装置1Aは、以下の構成を有する。
(11)印刷装置1Aは、シリアル型プリンタである。
【0132】
このように構成すると、LED素子42Aから照射される赤外線の出力を制限することなく、コンパクトかつ低コストで、環境への負荷も小さい、シリアル型プリンタを提供することができる。
【0133】
前記した実施形態では、直線Ly方向に7本のベイパーチャンバー72が設けられたものを例示したが、この態様に限定されない。直線Ly方向に設けるベイパーチャンバー72の本数は、適宜変更可能である。
【0134】
また、前記した実施形態では、フィン710に設けたボス部717の突出高さH1が、肉厚部716の突出高さH2よりも高いものを例示した(H1>H2;
図11参照)が、この態様に限定されない。ボス部717と肉厚部716は同じ高さであってもよい(H1=H2)。ボス部717及び肉厚部716の高さは、空間R内を通流する空気Airの通流速度に合わせて適宜変更可能である。
【0135】
また、前記した実施形態では、送風機8として、第1送風機81と第2送風機82を有するものを例示したが、この態様に限定されない。少なくとも第1送風機81または第2送風機82のいずれかを有していればよい。送風機が第1送風機81のみで構成される場合、ヒートシンク71には正圧の空気Airが通流する。送風機が第2送風機82のみで構成される場合、ヒートシンク71には負圧の空気Airが通流する。
【0136】
また、前記した実施形態では、直線Ly方向におけるヘッド部3の一方側と他方側に1つずつ発光部40及び冷却装置6が設けられた場合を例示した(
図4参照)が、この態様に限定されない。発光部40及び冷却装置6は、X方向に沿う向きに複数配置されていても良いし、Y方向に沿う向きに複数配置されていてもよい。印刷装置1の仕様に合わせて適宜変更可能である。
【0137】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。発明の技術的な思想の範囲内で、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0138】
1、1A :印刷装置
6、6A、6B :冷却装置
8 :送風機
41 :LED基板
42、42A :LED素子
70 :支持板(銅板)
71、71A :ヒートシンク
710、710A :フィン(放熱フィン)
72、72A、72B :ベイパーチャンバー
72C :一対のベイパーチャンバー組
72a :一端
72b :他端
721、721A :第1筒状部
722 :第2筒状部
723 :屈曲部
724 :第3筒状部
725 :屈曲部
CF :毛管繊維
Ly :直線(送風方向)
Q :冷媒
X :副走査方向(送風方向に交差する方向)
Z :鉛直線方向