(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172797
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】無線路側機、交通通信システム、及び交通通信方法
(51)【国際特許分類】
H04B 17/29 20150101AFI20231129BHJP
H04B 17/18 20150101ALI20231129BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H04B17/29 300
H04B17/18
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084864
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】大薮 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
(72)【発明者】
【氏名】森田 李佳
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB17
5H181FF04
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL06
(57)【要約】
【課題】アンテナ本数が1本であってもアンテナ異常を適切に検出することが可能な無線路側機、交通通信システム、及び交通通信方法を提供する。
【解決手段】一態様に係る無線路側機は、アンテ110ナを介して車両200と路車間通信を行う無線路側機100である。無線路側機100は、車両200から送信された無線信号を受信する無線受信部120を有する。また、無線路側機100は、無線信号から車両200の位置情報を取得するメッセージ処理部130を有する。更に、無線路側機100は、位置情報に基づいて、無線路側機100と車両200との距離を算出し、当該距離に基づいて、無線信号の第1RSSIを推定するRSSI推定部140を有する。更に、無線路側機100は、無線信号の第2RSSIを測定するRSSI演算部150を有する。更に、無線路側機100は、第1RSSI及び第2RSSIに基づいて、アンテナ110の異常を検出する異常検出部160を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを介して車両と路車間通信を行う無線路側機であって、
前記車両から送信された無線信号を受信する無線受信部と、
前記無線信号から前記車両の位置情報を取得するメッセージ処理部と、
前記位置情報に基づいて、前記無線路側機と前記車両との距離を算出し、当該距離に基づいて、前記無線信号の第1RSSIを推定するRSSI推定部と、
前記無線信号の第2RSSIを測定するRSSI演算部と、
前記第1RSSI及び前記第2RSSIに基づいて、前記アンテナの異常を検出する異常検出部と、を有する
無線路側機。
【請求項2】
前記異常検出部は、補正期間内において、前記第1RSSIと前記第2RSSIとの差分が閾値以上のとき、前記第1RSSIを補正し、補正期間経過後において、前記補正した第1RSSIと、前記第2RSSIとに基づいて、前記アンテナの異常を検出する、
請求項1記載の無線路側機。
【請求項3】
前記RSSI推定部は、前記位置情報に基づいて、前記車両の前記無線路側機に対する方位を算出し、前記距離及び当該方位に基づいて、前記第1RSSIを推定する、
請求項1記載の無線路側機。
【請求項4】
前記RSSI推定部は、地図情報から取得した前記位置情報に基づいて、前記無線路側機と当該位置情報により示された位置との前記距離を算出し、前記距離に基づいて前記第1RSSIを推定し、前記位置情報と前記第1RSSIとの対応関係を示す内部推定テーブルを生成し、前記内部推定テーブルを用いて、前記メッセージ処理部で取得した前記位置情報に対応する前記第1RSSIを取得する
請求項1記載の無線路側機。
【請求項5】
前記メッセージ処理部は、前記無線信号から前記車両の速度を取得し、
前記RSSI推定部は、前記車両の前記速度が所定速度以上のとき、前記第1RSSIを補正しない、
請求項2記載の無線路側機。
【請求項6】
前記メッセージ処理部は、前記無線信号から前記車両の方位を取得し、
前記RSSI推定部は、前記車両の前記方位から前記車両の前記無線路側機に対する進行方向を算出し、前記距離及び前記進行方向に基づいて、前記第1RSSIを推定する
請求項1記載の無線路側機。
【請求項7】
前記メッセージ処理部は、前記無線信号から前記車両の種別を取得し、
前記RSSI推定部は、前記距離及び前記種別に基づいて、前記第1RSSIを推定する
請求項1記載の無線路側機。
【請求項8】
前記メッセージ処理部は、前記無線信号からMACアドレスを取得し、
前記RSSI推定部は、前記MACアドレスから前記車両に搭載された車載通信機のメーカー種別を取得し、前記距離及び前記メーカー種別に基づいて、前記第1RSSIを推定する
請求項1記載の無線路側機。
【請求項9】
前記RSSI推定部は、前記位置情報に基づいて、前記車両の前記無線路側機に対する方位を算出し
前記異常検出部は、特定方向における前記第2RSSIが同一距離における他の方向の前記第2RSSIよりも低くなっても、前記アンテナの異常と判定しない
請求項1記載の無線路側機。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の前記無線路側機を備える
交通通信システム。
【請求項11】
アンテナを介して車両と無線通信を行う無線路側機で行われる交通通信方法であって、
前記車両から送信された無線信号を受信するステップと、
前記無線信号から前記車両の位置情報を取得するステップと、
前記位置情報に基づいて、前記無線路側機と前記車両との距離を算出し、当該距離に基づいて、前記無線信号の第1RSSIを推定するステップと、
前記無線信号の第2RSSIを測定するステップと、
前記第1RSSI及び前記第2RSSIに基づいて、前記アンテナの異常を検出するステップと、を有する
交通通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線路側機、交通通信システム、及び交通通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通事故の危険を回避可能な技術として高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)が注目されている。非特許文献1には、路側に設けられる基地局である無線路側機と、車両に設けられる移動局である車載通信機とを有する交通通信システムの標準規格について規定されている。
【0003】
交通通信システムにおいて、例えば、以下のような技術がある。すなわち、複数のアンテナのうち、送信に未使用のアンテナを使用して無線環境を監視し、ウィンドウ期間中において、受信したパケット信号の受信電力がしきい値よりも小さい場合に送信異常と判定する無線装置がある(例えば、以下の特許文献1)。
【0004】
他方、電子式料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System)において、例えば、以下のような技術がある。すなわち、路側アンテナで受信した電波の受信信号強度RSSI(Received Signal Strength Indication)が所定の受信判定閾値を下回っている時間帯が所定の判定基準時間以上続いたか否に基づいて、路側アンテナが正常に動作しているか否かを判断する料金収受システムもある(例えば、以下の特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ARIB STD-T109 1.3版 「700MHz帯高度道路交通システム」
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-5249号公報
【特許文献2】国際公開WO2017/145354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一態様は、アンテナ本数が1本であってもアンテナ異常を適切に検出することが可能な無線路側機、交通通信システム、及び交通通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係る無線路側機は、基地局は、アンテナを介して車両と路車間通信を行う無線路側機である。前記無線路側機は、車両から送信された無線信号を受信する無線受信部を有する。また、前記無線路側機は、無線信号から車両の位置情報を取得するメッセージ処理部を有する。更に、前記無線路側機は、位置情報に基づいて、無線路側機と車両との距離を算出し、当該距離に基づいて、無線信号の第1RSSIを推定するRSSI推定部を有する。更に、前記無線路側機は、無線信号の第2RSSIを測定するRSSI演算部を有する。更に、前記無線路側機は、第1RSSI及び第2RSSIに基づいて、アンテナの異常を検出する異常検出部を有する。
【0009】
第2の態様に係る交通通信システムは、第1の態様に係る無線路側機を備える。
【0010】
第3の態様に係る交通通信方法は、アンテナを介して車両と無線通信を行う無線路側機で行われる交通通信方法である。前記交通通信方法は、車両から送信された無線信号を受信するステップを有する。また、前記交通通信方法は、無線信号から車両の位置情報を取得するステップを有する。更に、前記交通通信方法は、位置情報に基づいて、無線路側機と車両との距離を算出し、当該距離に基づいて、無線信号の第1RSSIを推定するステップを有する。更に、前記交通通信方法は、無線信号の第2RSSIを測定するステップを有する。更に、前記交通通信方法は、第1RSSI及び第2RSSIに基づいて、アンテナの異常を検出するステップを有する。
【発明の効果】
【0011】
一態様によれば、アンテナ本数が1本であってもアンテナ異常を適切に検出することが可能な無線路側機、交通通信システム、及び交通通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る交通通信システムの構成例を表す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る車両の構成例を表す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る無線路側機の構成例を表す図である。
【
図4】
図4(A)と
図4(B)は、第1実施形態に係る推定RSSIの例を表す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
【
図6】
図6(A)は第1実施形態に係る位置情報の例、
図6(B)は第1実施形態に係る推定RSSIの例を夫々表す図である。
【
図7】
図7(A)は第1実施形態に係る位置情報の例、
図7(B)は第1実施形態に係る推定RSSIの例を夫々表す図である。
【
図8】
図8(A)は第1実施形態に係る地図情報の例、
図8(B)は第1実施形態に係る内部推定テーブルの例を夫々表す図である。
【
図9】
図9(A)は第1実施形態に係る位置情報の例、
図9(B)は第1実施形態に係る推定RSSIの例を夫々表す図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る推定RSSIの例を表す図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る内部推定テーブルの例を表す図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係る内部推定テーブルの例を表す図である。
【
図13】
図13(A)は第1実施形態に係る位置情報の例、
図13(B)は第1実施形態に係る推定RSSIの例を夫々表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
ITSによる無線路側機では、信号情報又は歩行者の飛び出し情報など、交通に重要な情報を送信する。車両に搭載された車載通信機がこれを受信することで、例えば、車両の運転者が周囲の状況を把握することができ、交通事故の危険を未然に防止するなど、交通安全の支援を行うことが可能となる。
【0014】
無線路側機では、このような情報を随時提供するために、自局の故障を速やかに検知することが重要となる。速やかに検知することで、無線路側機の部品を速やかに交換するなど、故障に対する対策を適切に講じることができるからである。
【0015】
故障の一つにアンテナ異常がある。アンテナ異常とは、メンテナンス時の接続ミス、飛来物の接触などによる故障、又は錆などの経年劣化などにより、本来期待されるアンテナ性能よりも大きく劣化することをいう。アンテナ異常により、正常な場合と比較して、無線路側機から送信される無線信号の送信電力が低下するなどの現象が発生する場合がある。そのため、無線路側機から車両へ、本来通知すべき情報が伝わらず、交通安全に影響を与える場合がある。
【0016】
アンテナ異常を検出するには、例えば、特許文献1のように複数のアンテナのうち、送信に未使用のアンテナを使用してアンテナ異常を監視することも考えられる。
【0017】
しかし、ITSで用いられる無線路側機では、1本のアンテナで路車間通信が行われる場合がある。このような場合、当該1本のアンテナを路車間通信に使用すると、未使用のアンテナが存在しなくなる。そのため、特許文献1の技術では、アンテナ異常を適切に検出することができない場合がある。
【0018】
また、複数のアンテナを用いて、各アンテナで受信した無線信号のRSSIを測定し、アンテナ間のRSSIの差分に基づいて、アンテナ異常を検出することも考えられる。
【0019】
しかし、上述したように1本アンテナを有する無線路側機で路車間通信が行われる場合に、複数アンテナを用いたアンテナ異常の検出技術を用いることはできない。
【0020】
更に、例えば、特許文献2のように、路側アンテナで受信した電波の受信信号強度(RSSI)と所定の受信判定閾値とを比較して、路側アンテナの異常検出を行うことも考えられる。
【0021】
しかし、路側アンテナで受信した電波の受信信号強度(RSSI)のみが判定対象となると、路側アンテナの周囲に障害物が存在するなど、路側アンテナの周囲の状況によって、アンテナ異常ではないにも関わらず、受信信号強度(RSSI)が所定の受信判定閾値よりも小さくなる場合もある。
【0022】
従って、特許文献2の技術では、アンテナ異常を適切に検出することができない場合がある。
【0023】
そこで、第1実施形態では、アンテナの本数が1本の無線路側機であっても、適切にアンテナ異常を検出できるようにすることを目的としている。
【0024】
以下において、一実施形態に係る交通通信システムについて図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0025】
(交通通信システムの構成例)
最初に、一実施形態に係る交通通信システムの構成例について説明する。以下において、非特許文献1の標準規格に基づく無線通信を行う交通通信システムについて主として説明するが、この標準規格に限定されるものではなく、例えば3GPP(Third Generation Partnership Project)(登録商標。以下同じ。)のV2X(Vehicle to Everything)規格に基づく無線通信を行ってもよい。
【0026】
図1は、一実施形態に係る交通通信システム10の構成例を示す図である。
図1に示すように、交通通信システム10は、道路付近に設けられる無線路側機100と、道路を走行する車両200とを有する。
【0027】
無線路側機100は、道路付近に設置されている。
図1に示す例において、無線路側機100は、道路付近に設けられた支柱(又は電柱)に設置された例を表している。無線路側機100は、交通信号灯器(例えば、信号機)に設置されてもよい。無線路側機100は、通信回線を介してサーバ装置300に接続されている。サーバ装置300は、中央装置と呼ばれることもある。サーバ装置300は、無線路側機100が受信する情報に基づいて各種の交通情報を収集し、道路交通を管理する。
【0028】
車両200は、道路を通行する車両であればよい。車両200は、例えば、普通自動車や軽自動車等の自動車、又は自動二輪車(オートバイ)等であってもよい。また、車両200は、自動運転車両であってもよい。車両200には、車載通信機250が設けられている。車載通信機250は、車両200に固定的に設けられる据置型の通信機であってもよいし、車両200にケーブルを介して一時的に接続される可搬型の通信機であってもよい。
【0029】
なお、
図1に示す交通通信システム10では、1台の無線路側機100と1台の車両200とについて例示されているが、無線路側機100は複数台存在してもよいし、車両200も複数台存在してもよい。
【0030】
このような交通通信システム10においては、無線路側機100と車載通信機250との間で路車間通信を行い、車載通信機250間で車車間通信を行う。一実施形態において、車載通信機250は、700MHz帯の搬送波周波数(周波数帯)を時分割で無線路側機100と共用する。
【0031】
例えば、路車間通信により、無線路側機100から送信される路車間メッセージを車載通信機250が受信し、車載通信機250から送信される車両情報メッセージを無線路側機100が受信する。また、車車間通信により、1つの車載通信機250から送信される車両情報メッセージを他の車載通信機250が受信する。路車間通信及び車車間通信により、周辺車両の状態、交通情報、歩行者の有無等を認識し、交通事故の危険を回避するための支援を行うことができる。また、無線路側機100が受信する車両情報メッセージを交通流の円滑化等に用いることができる。
【0032】
路車間メッセージは、道路に関する情報を含むメッセージである。路車間メッセージは、例えば、UTMS(Universal Traffic Management System)協会発行の「ITS無線路側機 通信アプリケーション共通規格」や「5.8GHz帯/700MHz帯無線式DSSS用 通信アプリケーション(光・電波実験)規格」に準拠した所定フォーマットを有する。
【0033】
車両情報メッセージは、車両200に関する情報を含むメッセージである。車両情報メッセージは、例えば、ITS Connect推進協議会発行の「ITS Connectシステム 車車間通信メッセージ仕様」に準拠した所定フォーマットを有する。このようなフォーマットとしては、「ITS Connect TD-001 1.0版」であってもよい。
【0034】
更に、交通通信システム10において、無線路側機100間で路路間通信を行ってもよい。路路間通信により、1つの無線路側機100から送信される路路間メッセージを他の無線路側機100が受信する。
【0035】
路車間通信、車車間通信、及び路路間通信の夫々には、ブロードキャストによる無線通信が用いられてもよい。例えば、送信される無線信号(通信パケット)について、宛先アドレス(宛先MACアドレス)としてブロードキャストアドレスのみが規定されていてもよい。路車間通信、車車間通信、及び路路間通信は、互いに重複しないように時分割で行われる。
【0036】
(路車間通信)
路車間通信においては、無線路側機100に対して、路車間通信期間が割り当てられる。路車間通信期間は、「16μs」を1制御単位(「ユニット」と呼ばれる)として、100ms周期(「制御周期」と呼ばれる)中に、制御周期の先頭から390ユニット(6240μs)間隔で、最大「16」個が設定可能である。無線路側機100は、自身に割り当てられた路車間通信期間を用いて、所定周期で路車間メッセージをブロードキャスト(報知)する。
【0037】
路車間メッセージには、路車間通信期間に関する情報を含む。具体的には、無線路側機100は、自身の送信情報として送信時刻及び路車間通信期間情報(転送回数及び路車間通信期間長)を含む路車間メッセージを周囲の車載通信機250に送信(報知)することにより、自身の送信時間を確保する。
【0038】
このような路車間メッセージを受信した車載通信機250は、路車間メッセージに含まれる送信時刻に基づいて時刻同期し、路車間メッセージに含まれる路車間通信期間情報に基づいて自身の送信を停止し、無線路側機100の送信期間以外のタイミングで送信を行う。具体的には、車載通信機250は、無線路側機100に割り当てられた路車間通信期間以外の時間、及び無線路側機100に未割当の路車間通信期間において、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式により車両情報メッセージをブロードキャスト(報知)する。CSMA/CA方式は、同一チャネルに複数のユーザがアクセスする際の競合を回避する通信方式である。CSMA/CS方式は、IEEE802.11Aa、IEEE802.11b、IEEE802.11gにおける通信プロトコルとして採用されている。
【0039】
第1実施形態では、車載通信機250が送信する車両情報メッセージを無線路側機100が受信し、無線路側機100では、当該車両情報メッセージに含まれる位置情報に基づいて、当該車両情報メッセージを含む無線信号を受信したときのRSSIを推定する。そして、無線路側機100では、推定したRSSI(以下では、「推定RSSI」と称する場合がある)と、当該無線信号を受信したときに測定したRSSI(以下では、「測定RSSI」と称する場合がある)とに基づいて、無線路側機100のアンテナ異常を検出する。
【0040】
具体的には、第1に、無線路側機100では、車両情報メッセージ(又は無線信号)に含まれる位置情報に基づいて、無線路側機と前記車両との距離を算出し、当該距離に基づいて、前記無線信号のRSSI(第1RSSI)を推定する。第2に、無線路側機100では、当該無線信号を受信したときのRSSI(第2RSSI)を測定する。第3に、無線路側機100では、推定RSSIと測定RSSIとに基づいて、アンテナの異常を検出する。
【0041】
これにより、例えば、車両200の位置情報からRSSIを推定しているため、推定RSSIの精度が測定RSSIよりも高くなる場合もあり、そのような推定RSSIと測定RSSIとに基づいてアンテナ異常を検出することで、アンテナ本数が1本でも適切にアンテナ異常を検出することが可能となる。
【0042】
(車両の構成例)
次に、第1実施形態に係る車両200の構成例について説明する。
【0043】
【0044】
図2に示すように、車両200は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部210と、メッセージ生成部220と、無線送信部230と、アンテナ240とを有する。
【0045】
GNSS受信部210は、衛星から受信したGNSS衛星信号に基づいて測位を行い、車両200の現在の地理的な位置(緯度及び経度)を示す位置情報をメッセージ生成部220へ出力する。GNSS受信部210は、例えば、GPS(Global Positioning System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、IRNSS(Indian Regional Navigation Satellite System)、COMPASS((Compass Navigation Satellite System)、Galileo、及びQZSS(Quasi-Zenith Satellite System)のうち少なくとも1つのGNSSの受信器を含んで構成される。
【0046】
メッセージ生成部220は、位置情報を含む車両情報メッセージを生成し、生成した車両情報メッセージを無線送信部230へ出力する。車両情報メッセージは、「ITS Connect TD-001 1.0版」で示されるメッセージであってもよい。車両情報メッセージは、位置情報以外にも様々な情報が含まれてもよい。例えば、車両200の速度を表す速度情報、車両200の進行方向を表す方位情報、及び車両200の種別を表す種別情報の少なくともいずれかが車両情報メッセージに含まれてもよい。メッセージ生成部220は、車両200に設けられた速度メータ(又は速度センサ)などから速度情報を取得してもよい。また、メッセージ生成部220は、GNSS受信部210から方位情報を取得してもよい。更に、メッセージ生成部220は、車両200内部のメモリに記憶された種別情報を当該メモリから読み出すことで種別情報を取得してもよい。メッセージ生成部220は、このように取得した情報を含む車両情報メッセージを生成してもよい。
【0047】
無線送信部230は、メッセージ生成部220から受け取った車両情報メッセージに対して信号処理を施すことで無線帯域の無線信号へ変換(アップコンバード)する。無線送信部230は、上述した路車間通信、すなわち、ARIB(Association of Radio Industries and Businesses) STD-T109に準拠した無線通信方式を利用して路車間通信を行う。ただし、無線送信部230は、3GPPのV2X規格に準拠した方式を利用してもよい。ARIB STD-T109の場合、無線送信部230は、無線路側機100から既に受信した路車間メッセージに含まれる路車間通信期間情報に基づいて、無線路側機100の送信期間以外のタイミングで送信を行う。この際、無線送信部230は、キャリアセンスを行って、電波の周波数(例えば、700MHz帯)の空き状態を判定し、キャリアセンスの結果に応じて決定されたタイミングで無線信号をブロードキャスト送信してもよい。
【0048】
アンテナ240は、無線送信部230から受け取った無線信号を送信する。
【0049】
なお、車両200には車載通信機250が設けられる。車載通信機250は、GNSS受信部210と、メッセージ生成部220と、無線送信部230と、アンテナ240とを有する。
【0050】
(無線路側機の構成例)
次に、第1実施形態に係る無線路側機100の構成例について説明する。
【0051】
【0052】
図3に示すように、無線路側機100は、アンテナ110と、無線受信部120と、メッセージ処理部130と、RSSI推定部140と、RSSI演算部150と、異常検出部160と、異常通知部170とを有する。
【0053】
アンテナ110は、車両200(又は車載通信機250)から送信された無線信号を受信する。アンテナ110は、受信した無線信号を無線受信部120へ出力する。なお、アンテナ110の本数は、1本でもよいし、複数本でもよい。
【0054】
無線受信部120は、アンテナ110を介して車両200と路車間通信を行う。無線受信部120における無線通信方式は、ARIB STD-T109に準拠した方式であるものとする。但し、無線受信部120は、3GPPのV2X規格に準拠した方式であってもよい。
【0055】
無線受信部120は、アンテナ110を介して、車両200から送信された無線信号を受信する。無線受信部120は、無線信号に対して信号処理を施すことで、無線帯域の無線信号をベースバンド帯域のベースバンド信号に変換(ダウンコンバート)する。無線受信部120は、ベースバンド信号をメッセージ処理部130へ出力する。
【0056】
メッセージ処理部130は、無線受信部120から受け取ったベースバンド信号から車両情報メッセージを抽出し、車両情報メッセージから車両200の位置情報を取得する。すなわち、メッセージ処理部130は、無線受信部120を介して、無線信号から車200の位置情報を取得する。メッセージ処理部130は、取得した位置情報をRSSI推定部140へ出力する。なお、メッセージ処理部130は、車両情報メッセージ(又は無線信号)から、位置情報以外に、車両200の速度情報、車両200の方位情報、及び車両200の種別情報の少なくとも1つを取得してもよい。また、メッセージ処理部130は、車両情報メッセージ(又は無線信号)から、MACアドレスを取得してもよい。メッセージ処理部130は、位置情報をRSSI推定部140へ出力する。メッセージ処理部130は、車両200の速度情報、車両200の方位情報、車両200の種別情報、及びMACアドレスの少なくともいずれかをRSSI推定部140へ出力してもよい。
【0057】
RSSI推定部140は、位置情報に基づいて、無線路側機100と車両200の距離を算出する。例えば、RSSI推定部140は、メッセージ処理部130から受け取った位置情報(すなわち、車両200の現在位置の緯度及び経度)と、無線路側機100内のメモリから読み出した無線路側機100の位置情報(すなわち、無線路側機100が設置されている位置の緯度及び経度)とに基づいて、無線路側機100と車両200の距離を算出する。そして、RSSI推定部140は、当該距離に基づいて、無線信号のRSSIを推定する。
【0058】
無線路側機100において、受信した無線信号のRSSIと、当該無線信号を送信した送信元(すなわち、車両200又は車載通信機250)から無線路側機100までの距離とは相関関係がある。すなわち、当該距離が近ければ近いほど、当該RSSIは高くなり、当該距離が遠いほど、当該RSSIは小さくなる。RSSI推定部140では、車両200から送信される無線信号の送信電力が既知であることを前提に、このような相関関係を表すテーブル又は関数などに基づいて、当該距離に対応するRSSIを取得し、これを推定RSSIとしてもよい。RSSI推定部140は、推定RSSIを異常検出部160へ出力する。なお、無線路側機100は、車両200から送信電力を直接取得してもよいし、予め、メモリなどに保持してもよい。
【0059】
RSSI演算部150は、無線受信部120で受信した無線信号のRSSIを測定する。RSSI演算部150は、無線帯域の無線信号に対して当該無線信号のRSSIを測定してもよい。この場合、RSSI演算部150は、無線受信部120で測定された測定RSSIを無線受信部120から取得してもよい。RSSI演算部150は、測定RSSIを異常検出部160へ出力する。
【0060】
異常検出部160は、推定RSSI(第1RSSI)及び測定RSSI(第2RSSI)に基づいて、アンテナ110の異常を検出する。具体的には、異常検出部160は、推定RSSIと測定RSSIとの差分が第1閾値以上となる回数が(連続して)第2閾値を超えた場合、アンテナ110のアンテナ異常であると判定する。一方、異常検出部160は、推定RSSIと測定RSSIとの差分が第1閾値未満の場合、及び、当該差分が第1閾値以上であっても、その回数が(連続して)第2閾値以下の場合の少なくともいずれかの場合、アンテナ110は正常であると判定する。異常検出部160は、検出結果を異常通知部170へ出力する。
【0061】
異常通知部170は、異常検出部160からの検出結果をサーバ装置300へ送信する。そして、サーバ装置300を介して、例えば、交通通信システム10を管理する管理者へ、無線路側機100のおけるアンテナ異常を通知することが可能となる。
【0062】
図4(A)は、停車している車両200(又は車載通信機250)から位置情報が送信されるケースにおいて、測定RSSIと推定RSSIとを時系列で表した図である。
図4(A)において、「ANT」が測定RSSIを表している。
【0063】
図4(A)に示すように、測定RSSIが「-70dB」から「-110dB」へと変化する例が示されている。例えば、第1閾値を「-10dB」、第2閾値を「6回」とすると、測定RSSIが「-70dB」の場合、推定RSSIとの差分が「-5dB」となるため、第1閾値未満となっている。そのため、異常検出部160は、アンテナは正常(「OK」)と判定する。一方、測定RSSIが「-110dB」である場合、推定RSSIとの差分が「-35dB」となり、当該差分は第1閾値以上となる。そして、当該差分が第1閾値以上を検出する回数が連続して「7回」となると、当該回数が第2閾値を超えるため、異常検出部160は、アンテナ110の異常と判定する。
図4(A)の例では、異常通知部170は、判定結果に基づいて、警告メッセージをサーバ装置300へ送信する。
【0064】
図4(B)は、車両200が時間の経過とともに無線路側機100に近づくケースにおける測定RSSI(「ANT」)と推定RSSIとの例を表している。
図4(B)に示すように、測定RSSIが「-62dB」となるまでは、推定RSSIとの差分が第1閾値(「-10dB」)以下となっている。そのため、異常検出部160は、アンテナ110が正常と判定する。一方、その後、測定RSSIが「-110dB」となると、推定RSSIとの差分が第1閾値以上となる。そのため、異常検出部160は、当該差分が第1閾値以上となった(「NG」)と判定する。そして、異常検出部160は、当該差分が第1閾値以上となった回数が第2閾値(「6回」)を超えると、アンテナ異常と判定する。
【0065】
(第1実施形態における動作例)
次に、第1実施形態に係る動作例について説明する。
【0066】
図5は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。なお、以下では、車両200と車載通信機250とを区別しないで用いる場合がある。例えば、車両200から送信された位置情報と、車載通信機250から送信された位置情報とは同じ意味でとして説明する場合がある。
【0067】
図5に示すように、ステップS10において、車両200は、位置情報を取得する。
【0068】
ステップS11において、車両200は、位置情報を送信する。例えば、無線送信部230は、車両200の現地位置を示す位置情報を含む無線信号(又は車両情報メッセージ)を送信する。
【0069】
ステップS12において、無線路側機100は、当該無線信号を受信し、当該無線信号のRSSIを測定する。例えば、RSSI演算部150は、無線受信部120で受信した当該無線信号のRSSIを測定する。
【0070】
ステップS13において、無線路側機100は、位置情報からRSSIを推定する。例えば、メッセージ処理部130は、当該無線信号から位置情報を取得し、RSSI推定部140は、当該位置情報から無線路側機100と車両200との距離を算出し、当該距離からRSSIを推定する。
【0071】
ステップS14において、無線路側機100(異常検出部160)は、測定RSSI(ステップS12)と、推定RSSI(ステップS13)とに基づいてアンテナ110の異常を検出する。
【0072】
(第1実施形態の第1変形例)
次に、第1実施形態における第1変形例について説明する。第1変形例では、主に、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0073】
例えば、無線路側機100の前方は見通しがよく、後方は支柱などの存在により見通しが良くないケースを考える。このような場合、無線路側機100は、前方に対する測定RSSIは推定RSSIに近い数値となるものの、後方に対する測定RSSIは推定RSSIに対して第3閾値以上異なる場合がある。このような場合、無線路側機100は、後方からの無線信号に基づいて推定RSSIを推定しても、推定RSSIと測定RSSIとの差分が第3閾値以上離れているため、アンテナ110の異常を適切に検出することができない場合がある。
【0074】
そこで、第1変形例では、推定RSSIについて、測定RSSIを利用して学習する例について説明する。すなわち、異常検出部160は、補正期間内において、推定RSSI(第1RSSI)と測定RSSI(第2RSSI)との差分が閾値(第3閾値)以上のとき、推定RSSIを補正し、補正期間経過後、補正した推定RSSIと測定RSSIとに基づいてアンテナ110の異常を検出する。
【0075】
このように、無線路側機100は、補正期間内において、推定RSSIを測定RSSIに基づいて補正するため、測定RSSIとの差が第3閾値未満となるまで、推定RSSIを測定RSSIに近づけるようにすることも可能となる。そのため、推定RSSIが無線路側機100の周囲の状況に応じた数値にすることも可能となり、補正期間経過後、無線路側機100は、アンテナ110の異常検出を適切に判定することが可能となる。
【0076】
図6(A)は、同一位置(緯度が「35.001」、経度が「135.001」)に存在する車両200から位置情報を送信したケースにおける位置情報と測定RSSIと距離とを時系列で表している。また、
図6(B)は、推定RSSIと、補正後の推定RSSIとの例を時系列で表している。なお、無線路側機100は、緯度が「35」、経度が「135」の位置に設置されている。
【0077】
このケースでは、
図6(A)に示すように、測定RSSIは、「-80dB」となった。一方、車両200から取得した位置情報に基づいて、推定RSSIを算出すると、
図6(B)に示すように、「-75dB」となった。測定RSSI(「80dB」)と推定RSSI(「-75dB」)との差分が第3閾値(例えば、「5dB」)以上であるとして、異常検出部160は、推定RSSIを補正する。例えば、異常検出部160は、以下の式を用いて補正する。
【0078】
補正後の推定RSSI=推定RSSI+(測定RSSI-推定RSSI)×0.1 ・・・(1)
【0079】
その結果、
図6(B)に示すように、補正後の推定RSSIは、「75.500」となる。以降、異常検出部160は、補正後の推定RSSIを「推定RSSI」として、車両200から位置情報を取得する毎に、式(1)を計算し、補正期間内において、補正後の推定RSSIの計算を繰り返す。これにより、推定RSSIの学習が行われる。補正期間は、学習期間又はトレーニング期間であってもよい。そして、異常検出部160は、補正期間が終了すると、
図6(B)の点線で示すように、推定RSSIとして、「-79.392dB」を得る。以後、異常検出部160は、補正後の推定RSSI(「-79.392dB」)を「推定RSSI」として、当該「推定RSSI」と測定RSSIとを比較してアンテナ110の異常検出を判定する。
【0080】
第1変形例の動作としては、例えば、
図5のステップS13において、異常検出部160は、補正期間内において、式(1)を用いた補正処理を行うことで、補正後の推定RSSIを「推定RSSI」として、推定RSSIを取得してもよい。
【0081】
なお、式(1)は一例であって、推定RSSIを測定RSSIに近づけるような算出式であればどのようなものでもよく、例えば、式(1)の右辺の「0.1」を「0.15」又は「0.2」などにしてもよい。
【0082】
また、異常検出部160は、補正期間内において、アンテナ110の異常を判定する場合、補正後のRSSIを適宜利用してもよい。例えば、異常検出部160は、アンテナ110の異常を判定するときの補正後のRSSIが「-79.073dB」であった場合、この「-79.073dB」を推定RSSIとして、アンテナ110の異常を判定してもよい。
【0083】
更に、
図6(B)では、内部テーブルが利用されている。例えば、異常検出部160は、無線路側機100内のメモリに内部テーブルを記憶し、当該内部テーブルを利用して、補正後のRSSIを計算してもよい。また、異常検出部160は、補正後のRSSIを内部テーブルに保持し、内部テーブルから補正後のRSSIを適宜読み出して、アンテナ110の異常判定を行ってもよい。
【0084】
(第1実施形態の第2変形例)
次に、第1実施形態に係る第2変形例について説明する。第2変形例も、主に、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0085】
第1変形例でも説明したように、無線路側機100を中心にして、同じ距離に位置する車両200であっても、無線路側機100周囲の状況によって、(測定)RSSIが異なる場合がある。例えば、無線路側機100の北方向は下り坂、南方向は平坦となっているケースでは、同じ距離でも、北方向からのRSSIが南方向からのRSSIよりも低くなる場合がある。また、例えば、無線路側機100の東方向は背後に支柱があり、西方向は見通しがよいケースでは、支柱による影響により、東方向からのRSSIが西方向からのRSSIよりも低くなる場合がある。
【0086】
そこで、第2変形例では、位置情報から東西南北などの方位を取得し、方位を考慮して、推定RSSIを推定する例について説明する。具体的には、RSSI推定部140は、位置情報に基づいて、車両200の無線路側機100に対する方位を算出し、当該方位と距離とに基づいて、RSSI(第1RSSI)を推定する。
【0087】
これにより、例えば、無線路側機100では、周囲の状況に応じた推定RSSIを取得することができ、このような推定RSSIを用いて異常判定を行うことで、アンテナ110の異常判定を適切に行うことができる。
【0088】
図7(A)は位置情報の例を表し、
図7(B)は推定RSSIの例を表す図である。
図7(A)と
図7(B)では、無線路側機100が、経度「35」、緯度「135」の位置に設置されているケースについての例を表している。
【0089】
図7(A)では、緯度「35.001」は変わらず、経度が変化しているケース、すなわち、東西方向に車両200が移動したケースの例を表している。
図7(A)に示す例では、経度「135」を中心にして、経度は異なるものの、無線路側機100までの距離が同一となっている各位置での測定RSSIは、同じ数値となっている。
【0090】
例えば、経度「135.0005」と経度「134.9995」とは、無線路側機100までの距離は同じであり、前者の測定RSSIは「-77.9dB」、後者の測定RSSIも「-77.9dB」となっている。そのため、
図7(B)に示す推定RSSIも、前者の推定RSSIは「-72.6dB」、後者の推定RSSIは「-72.6dB」と、同じ数値となっている。
【0091】
同様に、例えば、経度「135.0001」と経度「134.9999」とは、無線路側機100までの距離は同じであり、測定RSSIは、両者とも「-77.1dB」となり、推定RSSIも、両者とも「-71.8dB」となっている。
【0092】
上述したように、無線路側機100周囲の状況によって、同じ距離でも、東西方向により、測定RSSIが異なる場合もあり、そのような場合、推定RSSIも測定RSSIに応じて東西方向で、同じ距離でも異なる数値となり得る。
図7(A)と
図7(B)は、同じ距離で同じ推定RSSIとなっている例を表している。
【0093】
例えば、RSSI推定部140は、位置情報から距離を算出し、当該距離からRSSIを推定した後、推定RSSIに対して所定の計算式を用いて、方位に応じて推定RSSIを補正することで、方位に応じた異なる「推定RSSI」を取得することができる。
【0094】
(第1実施形態に係る第3変形例)
次に、第1実施形態に係る第3変形例について説明する。第3変形例も、主に、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0095】
第3変形例は、地図情報を用いる例である。上述したように、推定RSSIは、距離から算出可能である。従って、地図情報に含まれる緯度及び経度を用いて、無線路側機100までの距離を算出し、当該距離から推定RSSIも算出可能である。これにより、例えば、無線路側機100では、車両200から取得した位置情報を用いる場合と比較して、位置情報に関して、分解能の大きい推定RSSIを取得できる。
【0096】
図8(A)は地図情報の例を表し、
図8(B)は推定RSSIの例を表す図である。
図8(B)の各推定RSSIは、
図8(A)に示す斜線で示された道路上の各位置に車両200が位置すると仮定した場合において当該車両200から無線路側機100へ送信された無線信号のRSSIの推定値を表す。
【0097】
図8(B)に示すように、RSSI推定部140は、地図情報に基づいて、推定した各推定RSSIを、内部推定テーブルに記憶する。内部推定テーブルは、位置情報と推定RSSIとの対応関係を表すテーブルである。そして、RSSI推定部140は、内部推定テーブルを利用して、位置情報に対応する推定RSSIを取得する。具体的には、RSSI推定部140は、以下のような処理を行う。
【0098】
すなわち、RSSI推定部140は、地図情報から取得した位置情報に基づいて、無線路側機100と当該位置情報により示された位置との距離を算出する。RSSI推定部140は、当該距離に基づいて、推定RSSIを算出し、推定RSSIを内部推定テーブルに記憶する。RSSI推定部140は、無線路側機100内のメモリに内部推定テーブルを記憶する。RSSI推定部140は、内部推定テーブルを用いて、メッセージ処理部130で取得した位置情報に対応する推定RSSIを取得する。RSSI推定部140は、取得した推定RSSIを異常検出部160へ出力する。以降は、第1実施形態と同様に、アンテナ110の異常検出を行う。
【0099】
(第1実施形態に係る第4変形例)
次に、第1実施形態に係る第4変形例について説明する。
【0100】
第1変形例では、無線路側機100が、補正期間内において、推定RSSIを補正する例について説明した。他方、車両200の走行速度が所定速度以上のとき、RSSIの精度、又は位置情報の精度が、車両200の走行速度が所定速度未満のときと比較して、劣化する場合がある。
【0101】
そこで、第4変形例では、車両速度を考慮して、推定RSSIを補正する。具体的には、第1に、メッセージ処理部130は、車両200から送信された無線信号(又は車両情報メッセージ)から車両200の速度を取得する。第2に、RSSI推定部140は、車両200の速度が所定速度以上のとき、推定RSSIを補正しないようにする。
【0102】
これにより、例えば、無線路側機100では、車両200の走行速度によるRSSIの精度又は位置情報の精度に応じた補正後の推定RSSIを取得できる。そのため、無線路側機100では、アンテナ110の異常を適切に判定することが可能となる。
【0103】
また、無線路側機100では、車両情報メッセージから車両200の速度(又は速度情報)を取得できるため、当該速度に応じて、アンテナ異常を判定する際に用いた第1閾値を変更するようにしてもよい。
【0104】
例えば、異常検出部160は、メッセージ処理部130から車両200の速度を取得し、当該速度が所定速度以上のとき、第1閾値をより大きくした値を「第1閾値」に変更してもよい。そして、異常検出部160は、測定RSSIと推定RSSIとの差分が変更後の「第1閾値」以下のとき、アンテナ110が正常と判定する。また、異常検出部160は、当該差分が変更後の「第1閾値」を超える回数が第2閾値を超えると、アンテナ110が異常と判定する。車両200の速度が所定速度以上の場合、当該速度が所定速度未満の場合と比較して、測定RSSIが大きくなる。そのため、異常検出部160では、このような測定RSSIを考慮した「第1閾値」を用いてアンテナ110の異常を判定する。従って、無線路側機100では、アンテナ異常を適切に判定することが可能となる。
【0105】
他方、車両200の速度が所定速度未満のとき、第1閾値をより小さくした値を「第1閾値」に変更してもよい。この場合も、異常検出部160は、第1閾値をより大きくした場合と同様に、アンテナ異常を適切に判定することが可能となる。
【0106】
図9(A)は位置情報の例を表し、
図9(B)は補正後の推定RSSIの例を表す図である。
図9(B)に示すように、速度が所定速度(例えば、「30」km/h)以上のとき、推定RSSIの補正が行われず、内部テーブルでは空欄となっている。
【0107】
(第1実施形態に係る第5変形例)
次に、第1実施形態に係る第5変形例について説明する。第5変形例も、主に、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0108】
第5変形例は、無線路側機100が車両200の進行方向を考慮して、推定RSSIを算出する例である。
【0109】
例えば、車両200が、無線路側機100に対して北方向から南方向へ移動するケースについて考える。このようなケースにおいて、車両200の車載通信機250が車両200の前方に設けられていると仮定した場合、無線路側機100では、車両200が北方向から近づく場合の測定RSSIと、車両200が南方向へ遠のいていく場合の測定RSSIとでは、同じ距離からの無線信号であっても、異なる場合がある。
【0110】
すなわち、車載通信機250が車両200前方に設けられている場合、車両200が無線路側機100へ近づく場合は、車両200自体が車載通信機250から送信される無線信号がそのまま無線路側機100へ到達する。一方、車両200が無線路側機100から遠のく場合、車両200を経由して当該無線信号が無線路側機100へ到達する。そのため、車両200を経由する分、車両200が無線路側機100から遠のく場合の方が、車両200が無線路側機100から近づく場合と比較して、同じ距離であっても、当該無線信号のRSSIが低くなる。
【0111】
第4変形例では、無線路側機100では、車両の進行方向を考慮して、車両200が無線路側機100に近づく場合と、車両200が無線路側機100から遠のく場合とで、異なる推定RSSIとなるようにする例について説明する。
【0112】
具体的には、第1に、メッセージ処理部130は、無線信号から車両200の方位(又は方位情報)を取得する。第2に、RSSI推定部は、車両200の方位から車両200の無線路側機100に対する進行方向を算出し、距離及び進行方向に基づいて、RSSI(第1RSSI)を推定する。
【0113】
これにより、無線路側機100では、車両の進行方向に応じた推定RSSIに基づいて、アンテナ110の異常を適切に判定することが可能となる。
【0114】
図10は、内部推定テーブルの例を表す図である。
図10は、車両200の進行方向に応じた推定RSSIの例を表している。但し、
図10の例では、無線路側機100の位置(緯度「35」、経度「135」)を中心にして、車両200が近づく場合と、車両200が遠くなる場合とで、距離が同じ場合、推定RSSIは同一となっている例を表している。
【0115】
上述したように、車両200が近づく場合と、車両200が遠くなる場合とで、距離が同じ場合、推定RSSIは異なる数値となってもよい。例えば、RSSI推定部140は、車両200が近づく場合と、車両200が遠くなる場合とで、距離が同じ場合、後者の方が前者よりも低い推定RSSIとなるように所定の計算式により、推定RSSIを補正することで、「推定RSSI」を取得してもよい。
【0116】
なお、無線路側機100では、第3変形例と同様に、内部推定テーブルを用いて、推定RSSIを取得してもよい。
【0117】
(第1実施形態に係る第6変形例)
次に、第1実施形態に係る第6変形例について説明する。第6変形例も、主に、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0118】
例えば、車両200がトラックの場合と自動車の場合とでは、車載通信機250が設置される地面からの高さが異なる場合がある。この高さの違いにより、無線路側機100で測定されるRSSIの値も異なる場合がある。
【0119】
そこで、第6変形例では、無線路側機100では、車両200の種別を考慮して、推定RSSIを算出する。具体的には、第1に、メッセージ処理部130は、無線信号から車両の種別を取得する。第2に、RSSI推定部140は、距離及び種別に基づいて、RSSI(第1RSSI)を推定する。
【0120】
これにより、例えば、無線路側機100では、車両200の種別による車載通信機250の設置位置に応じた推定RSSIを用いて、アンテナ異常を検出するため、アンテナ異常の検出を適切に行うことが可能となる。
【0121】
図11は、内部推定テーブルの例を表す図である。
図11では、乗用車の場合とトラックの場合とによる推定RSSIの例を表す図である。但し、
図11の例では、乗用車の場合とトラックの場合とで、推定RSSIは、距離が同じ場合、同じ数値となっている例を表している。RSSI推定部140では、位置情報から推定RSSIを算出後、所定の計算式を用いて推定RSSIを補正することで、車両200の種別に応じた推定RSSIを取得するようにしてもよい。
【0122】
(第1実施形態に係る第7変形例)
次に、第1実施形態に係る第7変形例について説明する。第7変形例も、主に、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0123】
車載通信機250は、当該車載通信機250を製造するメーカー毎に異なる挙動を示す場合がある。従って、車載通信機250は、メーカー毎に、同一距離であっても、測定RSSIが異なる場合がある。
【0124】
そこで、第7変形例は、無線路側機100が車載通信機250のメーカー種別を考慮して、RSSIを推定する例である。具体的には、第1に、メッセージ処理部130は、無線信号からMACアドレスを取得する。第2に、RSSI推定部140は、MACアドレスから車両200に搭載された車載通信機250のメーカー種別を取得し、距離及びメーカー種別に基づいて、RSSI(第1RSSI)を推定する。
【0125】
これにより、例えば、無線路側機100は、車載通信機250を製造したメーカー毎に異なる挙動を示す場合であっても、メーカー毎にRSSIを推定することができる。そのため、無線路側機100では、当該推定RSSIを利用してアンテナ110の異常を判定することにより、異なるメーカーの車載通信機250であっても、アンテナ異常を適切に判定することが可能となる。
【0126】
図12は、内部推定テーブルの例を表す図である。
図12の例は、メーカー種別として、「A社」と「B社」の2つのメーカーによる推定RSSIの例を表している。但し、
図12の例では、車両200と無線路側機100との間の距離が同一の場合、「A社」の推定RSSIと「B社」の推定RSSIとは同じ数値の例を表している。上述したように、当該距離が同一の場合、「A社」の推定RSSIと「B社」の推定RSSIとは異なる数値でもよい。
【0127】
上述したように、車両情報メッセージには、MACアドレスが含まれる。そして、MACアドレスには、車載通信機250を製造したメーカーのメーカーコード(又はメーカ種別)が含まれる。そのため、メッセージ処理部130は、車両情報メッセージ(又は無線信号)からメーカーコードを取得することができる。RSSI推定部140は、位置情報から算出した距離と、当該メーカーコードとを利用して、RSSIを推定する。例えば、RSSI推定部140は、位置情報から算出した推定RSSIに対して、所定の算出式を用いて、推定RSSIを補正することで、メーカー毎に異なる推定RSSIを得ることができる。
【0128】
(第1実施形態に係る第8変形例)
次に、第1実施形態に係る第8変形例について説明する。第8変形例も、主に、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0129】
第1実施形態で説明したように、異常検出部160では、測定RSSIと推定RSSIとの差分が第1閾値以上か否かに基づいて、アンテナ110の異常を判定する。ここで、無線路側機100においてある特定方向に障害物が存在するケースを仮定する。この場合、無線路側機100では、当該特定方向から受信した無線信号のRSSIは、それ以外の方向から受信した無線信号のRSSIと比較して、障害物の存在によって、低くなる場合がある。
【0130】
そこで、第8変形例において、無線路側機100では、ある特定方向について測定RSSIが他と比較して低くなった結果、当該特定方向における測定RSSIと推定RSSIとの差分が第1閾値未満となっても、アンテナ異常とは判定しないようにする。
【0131】
具体的には、第1に、RSSI推定部140は、位置情報に基づいて、車両200の無線路側機100に対する方位を算出する。第2に、異常検出部160は、特定方向における測定RSSI(第2RSSI)が同一距離における他の方向の測定RSSI(第2RSSI)よりも低くなっても、アンテナ110の異常と判定しない。
【0132】
これにより、例えば、無線路側機100では、特定方向における障害物の存在により測定RSSIが他の方向と比較して低くなっても、アンテナ110の異常と判定することがないため、アンテナ異常を適切に判定することが可能となる。
【0133】
この場合、異常検出部160は、全方向における測定RSSIと、当該測定RSSIと同一距離の推定RSSIとを比較して、その差分が第1閾値以上となる回数が(連続して)第2閾値を超えた場合、アンテナ異常と判定してもよい。
【0134】
図13(A)は位置情報の例を表し、
図13(B)は推定RSSIの例を表す図である。
図13(A)に示すように、緯度が「34.999」の方向における測定RSSIは、緯度が「35.001」の方向における測定RSSIよりも全体的に低くなっている。そのため、
図13(B)に示すように、異常検出部160は、緯度が「34.999」の方向における各測定RSSIと、各推定RSSIとの差分が第1閾値以上となっているため、「NG」と判定している。この場合、異常検出部160は、緯度が「35.001」を含む全方向で、各測定RSSIと各推定RSSIとの差分が第1閾値以上となる回数が(連続して)第2閾値以上検出した場合に、アンテナ110の異常と判定してもよい。
【0135】
[その他の実施形態]
上述した実施形態において、無線路側機100が、アンテナ異常を検出する例について説明した。例えば、サーバ装置300がアンテナ異常を検出してもよい。この場合、例えば、無線路側機100には、無線受信部120とメッセージ処理部130とRSSI推定部140とRSSI演算部150とを有し、サーバ装置300には、異常検出部160と異常通知部170とを有してもよい。具体的には、RSSI推定部140は、推定RSSIをサーバ装置300へ送信し、RSSI演算部150も測定RSSIをサーバ装置300へ送信し、サーバ装置300の異常検出部160で異常を判定してもよい。所謂、サーバ装置300によるクラウド方式による異常検出の例である。これにより、例えば、サーバ装置300において、配下の無線路側機100のアンテナ異常を集中管理することができる。
【0136】
上述した実施形態に係る各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。このような記録媒体は、異常検出部160に含まれてもよい。異常検出部160は、記録媒体からプログラムを読み出して、実行することで、上述した実施形態で説明した各機能を実現してもよい。そのため、異常検出部160は、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサ又はコントローラで構成されてもよい。
【0137】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、矛盾しない範囲で、各実施形態、各動作例、又は各処理を組み合わせることも可能である。
【0138】
(付記)
一実施形態において、(1)アンテナを介して車両と路車間通信を行う無線路側機であって、前記車両から送信された無線信号を受信する無線受信部と、前記無線信号から前記車両の位置情報を取得するメッセージ処理部と、前記位置情報に基づいて、前記無線路側機と前記車両との距離を算出し、当該距離に基づいて、前記無線信号の第1RSSIを推定するRSSI推定部と、前記無線信号の第2RSSIを測定するRSSI演算部と、前記第1RSSI及び前記第2RSSIに基づいて、前記アンテナの異常を検出する異常検出部と、を有する。
【0139】
(2)上記(1)の無線路側機は、更に、前記異常検出部において、補正期間内において、前記第1RSSIと前記第2RSSIとの差分が閾値以上のとき、前記第1RSSIを補正し、補正期間経過後において、前記補正した第1RSSIと、前記第2RSSIとに基づいて、前記アンテナの異常を検出することを含むことができる。
【0140】
(3)上記(1)又は(2)の無線路側機は、更に、前記RSSI推定部において、前記位置情報に基づいて、前記車両の前記無線路側機に対する方位を算出し、前記距離及び当該方位に基づいて、前記第1RSSIを推定することを含むことができる。
【0141】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかの無線路側機は、更に、前記RSSI推定部において、地図情報から取得した前記位置情報に基づいて、前記無線路側機と当該位置情報により示された位置との前記距離を算出し、前記距離に基づいて前記第1RSSIを推定し、前記位置情報と前記第1RSSIとの対応関係を示す内部推定テーブルを生成し、前記内部推定テーブルを用いて、前記メッセージ処理部で取得した前記位置情報に対応する前記第1RSSIを取得することを含むことができる。
【0142】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかの無線路側機は、更に、前記メッセージ処理部において、前記無線信号から前記車両の速度を取得し、前記RSSI推定部において、前記車両の前記速度が所定速度以上のとき、前記第1RSSIを補正しないことを含むことができる。
【0143】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかの無線路側機は、更に、前記メッセージ処理部において、前記無線信号から前記車両の方位を取得し、前記RSSI推定部において、前記車両の前記方位から前記車両の前記無線路側機に対する進行方向を算出し、前記距離及び前記進行方向に基づいて、前記第1RSSIを推定することを含むことができる。
【0144】
(7)上記(1)乃至(6)のいずれかの無線路側機は、更に、前記メッセージ処理部において、前記無線信号から前記車両の種別を取得し、前記RSSI推定部において、前記距離及び前記種別に基づいて、前記第1RSSIを推定することを含むことができる。
【0145】
(8)上記(1)乃至(7)のいずれかの無線路側機は、更に、前記メッセージ処理部において、前記無線信号からMACアドレスを取得し、前記RSSI推定部において、前記MACアドレスから前記車両に搭載された車載通信機のメーカー種別を取得し、前記距離及び前記メーカー種別に基づいて、前記第1RSSIを推定することを含むことができる。
【0146】
(9)上記(1)乃至(8)のいずれかの無線路側機は、前記RSSI推定部において、前記位置情報に基づいて、前記車両の前記無線路側機に対する方位を算出し、前記異常検出部において、特定方向における前記第2RSSIが同一距離における他の方向の前記第2RSSIよりも低くなっても、前記アンテナの異常と判定しないことを含むことができる。
【0147】
一実施形態において、(10)交通通信システムは、上記(1)乃至(9)のいずれかの無線路側機を備える。
【0148】
一実施形態において、(11)アンテナを介して車両と無線通信を行う無線路側機で行われる交通通信方法であって、前記車両から送信された無線信号を受信するステップと、前記無線信号から前記車両の位置情報を取得するステップと、前記位置情報に基づいて、前記無線路側機と前記車両との距離を算出し、当該距離に基づいて、前記無線信号の第1RSSIを推定するステップと、前記無線信号の第2RSSIを測定するステップと、前記第1RSSI及び前記第2RSSIに基づいて、前記アンテナの異常を検出するステップとを有する。
【符号の説明】
【0149】
10 :交通通信システム 100 :無線路側機
110 :アンテナ 120 :無線受信部
120 :無線受信部 130 :メッセージ処理部
140 :RSSI推定部 150 :RSSI演算部
160 :異常検出部 170 :異常通知部
200 :車両 210 :GNSS受信部
220 :メッセージ生成部 230 :無線送信部
240 :アンテナ 250 :車載通信機
300 :サーバ装置