(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172812
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】紐端止め具
(51)【国際特許分類】
A44C 25/00 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
A44C25/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022093997
(22)【出願日】2022-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】591103944
【氏名又は名称】町田 明俊
(72)【発明者】
【氏名】町田 明俊
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA01
3B114AA11
3B114AA14
3B114AA16
3B114AA18
3B114AA25
3B114EB00
3B114FA01
(57)【要約】
【課題】 ペンダント等のアクセサリーのメダルフリーに向けて、一本の紐から首輪を作るための紐端止め具を提供する。
【解決手段】止め具となる基台の3か所に、それぞれ2カ所の紐の通り口を持つ瓢箪形の穴を設け、順番通りに紐を通していくことで,中央部に存在する括れの位置で紐同士が交差し、互いに締め付け合い、穴の壁に圧接されることで、外れる動きに抵抗する力が勝り、外れることなく首輪としての役割を持つことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台の3か所に、中央部に括れのある、行き交う2本の紐が通る通り口を2つずつ備える瓢箪形の穴を設け、一本の紐の両端がそれぞれ左右に分かれて、決められた通り口から順番に紐を通し交差する部位を3カ所設けることを特徴とする紐端の止め具。
【請求項2】
基台において、三角形の形をとる位置に、底辺に対して縦長となる瓢箪形の穴を3カ所設け、決められた2か所の裏の通り口から決められた順番で紐を通してなる、輪を作るための請求項1記載の紐端の止め具。
決められた順番として、左右からの紐の通り口番号の組み合わせには次の4通りがある。
▲1▼ (5)→(8)→(9)と(10)→(7)→(6)の組合せ
▲2▼ (5)→(7)→(9)と(10)→(8)→(6)の組合せ
▲3▼ (6)→(8)→(9)と(10)→(7)→(5)の組合せ
▲4▼ (6)→(7)→(9)と(10)→(8)→(5)の組合せ
【請求項3】
基台における一直線上に3カ所、縦長の瓢箪形の穴を設け、紐の一端を左端の通り口(11)→(13)→(15)と、紐の他端を右端の通り口(16)→(14)→(12)の順番に表→裏→表と紐を通してなる、輪を作るための請求項1記載の紐端の止め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紐の弾性を利用した、一本の紐を輪状にするための止め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
装身具にかかせない首輪(チェーン)などの部品には金属製のものが多く、金属アレルギーのために身に着けることを避けている人も少なからず存在する。金属高騰で、金属に代わる新たな素材も数多く作られている。一方、紐端同士を固定する器具は数多く作られているが、同時に長さ調節できる器具の種類は数少ない。代表的なものを上げると、金属製のばねが内蔵された合成樹脂製のコードストッパーが数多く存在する。簡単に長さ調節のためのスライドができる便利な止め具である。他には、身近に行われている結びという動作で、紐端同士を結紮して輪を作ることができる。
【0003】
しかし、お店などで手に入りやすいコードストッパーは、紐を挟む力があまり強くなく、一方の紐だけを引けば簡単に動いてしまい、一時的な止め具と見做されやすく、形状も円筒状の嵩張るものが多く、長期間使用するアクセサリーの一部品としては使いにくい。一方、紐を使って結び目を作る方法では、結び目が極端に盛り上がり、あるいは左右アンバランスになりがちで、花結びのような手の込んだ美しい結び方は日頃頻繁に身に着けるアクセサリーには向かない。
また、特許文献1にある紐端止め具は構造が複雑であり、ここまで強力に紐を固定する必要性はなく、紐端を固定するためのもので、所望の長さに首輪の長さ調整はできない。
【0004】
これらの問題点を解決するために、本発明は、基台を違和感の少ない平板状の形状にして、3か所に瓢箪形の穴を開け、順番通りに穴に紐を通して、紐の柔軟さを生かして、紐同士の締め付けを利用して外れない紐の輪を作るための止め具を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、一本の紐から簡単、確実に、紐の両端を抑えて輪を拵えることができ、さらに輪の大きさを自在に調整できて、しかも背中のおしゃれにも役立つ止め具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属と異なって,指で抓むと若干変形する弾性を有する紐を、穴の括れ部分で交差させて通すことで、互いに締め付けあう形になり、擦り合うことで引っ張りに抵抗する摩擦力が高まり外れなくなることに注目し、基台の3か所に瓢箪形の穴を設けることを特徴とする。ここで、穴の数を増やすことは、使用時においては外れにくくなるが、反面穴に紐を通す作業が複雑になると共に、紐を基台から外すときに手間が掛かることになる。設定する穴の数は3か所が最適である。
【0007】
瓢箪形の穴を選択した根拠は、行き交う2本の紐が穴を通りやすくするためであり、括れの位置で紐を交差した方がより締め付けが確実になる利点がある。
瓢箪形の円形の穴と比較して、一つの大きな円形の穴にすると紐が交差して通るときに、隙間が多くなり遊びが生じやすい。
瓢箪形の穴の配置場所は止め具の基台の外形によって一直線上3カ所配置する場合と、三角形となる位置に、3か所配置する場合が考えられる。
穴の形状としては、紐が通る最小限の大きさの通り口を2か所確保できて、中間部に括れを有する瓢箪形の穴とする。括れの幅を紐の通り口の幅より小さくすることが重要となる。紐の通し方として、外れにくくするためには3か所で紐同士を交差させて、互いに締め付け合う状態にすることが大切となる。
【0008】
次に、輪になっている紐の外し方について説明しますと、片側に出ている紐端を押し戻すことによって浮き上がった反対側の紐を指で抓み、取り付けとは逆の順番で外していき、3つの穴から外し終えた時点で、もう片方の紐端を抓んでやや強めに引くことで紐全体が簡単に外れる。
【発明の効果】
本発明品を使い、輪を作る工程において、紐の持つ特性を生かし、互いに締め付けあうことで外れにくくなる一方、一部紐を戻すことで容易に輪の長さ調節ができ、紐を外して新たな紐に取り換えられる利点がある。さらに、背中サイドを引き立てる装飾品の一部品としての役割を担うことにもなる。本発明の目的の一つでもある、メタルフリーに対して有効であるだけでなく、従来から、主に金属部品が使われている装飾品に占める使用金属の割合を軽減させることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1で作られるメタルフリーのペンダントの全体像を示す斜視図。
【
図2】実施例1で使用される止め具の基台における三角形となる位置に設けた3か所の瓢箪形の穴からなる6か所の通り口からの紐の通り方を説明するための図。
【
図3】実施例2で使用される止め具の基台における一直線上に3か所に配置された瓢箪形の穴からなる6か所の通り口からの紐の通り方を説明するための図。
【
図4】実施例2の止め具の基台におけるA-A拡大断面図。
【符号の説明】
【0010】
1 止め具
2 ペンダントトップ
3 保持部
4a 首輪側の紐
4b 紐端側の紐
5 実施例1で、三角板の止め具における底辺側の右側にある縦長の瓢箪形の円の内、下方に位置する紐の通り口。
6 実施例1で、三角板の止め具における底辺側の右側にある縦長の瓢箪形の円の内、上方に位置する紐の通り口。
7 実施例1で、三角板の止め具における頂点側にある縦長の瓢箪形の円の内、下方に位置する紐の通り口。
8 実施例1で、三角板の止め具における頂点側にある縦長の瓢箪形の円の内、上方に位置する紐の通り口。
9 実施例1で、三角板の止め具における底辺側の左側にある縦長の瓢箪形の円の内、上方に位置する紐の通り口
10 実施例1で、三角板の止め具における底辺側の左側にある縦長の瓢箪形の円の内、下方に位置する紐の通り口。
11 実施例2で、長方形の止め具における左端の紐の通り口
12 実施例2で、長方形の止め具における左から2番目の紐の通り口
13 実施例2で、長方形の止め具における左から3番目の紐の通り口
14 実施例2で、長方形の止め具における右から3番目の紐の通り口
15 実施例2で、長方形の止め具における右から2番目の紐の通り口
16 実施例2で、長方形の止め具における右端の紐の通り口
【発明を実施するための形態】
【0011】
一本の弾性を有する紐を、止め具の基台に設けられた複数の瓢箪形の穴を通して互いに締め付けられる形を作ることで、外れない輪を作ることを実現した。
基台となる素材は、木、樹脂、紙、陶磁器、ガラスセラミックス、ガラスなど軽くて、丈夫な素材を適宜選択して使用する。金属板も使用可能である。
基台の形状としては、ハート、ボタン、動植物、富士山、人形,キャラクターなど様々な形が選択できる。基台の保持部の形状にはトランプのマークをアレンジした形のものを使用することも選択肢の一つである。
紐の素材としては、天然繊維、皮、合成繊維、ゴム、金属チェ―ンも形状によっては使える。太さは用途に応じて適宜選択して使用する。
更に高級感を出すために、基台に伝統工芸を施すこともできる。
現在注目されている紐の素材に最新の発明品である夢の繊維:蜘蛛の糸があるが、本発明に適合した形であれば取り入れたい素材である。
【実施例0012】
陶器製のペンダントヘッド(2)の保持部の穴に紐(4a)を通した後、本発明のガラスセラミックス製の止め具で紐の両端を止めて首輪とするペンダントの制作方法について説明します。
ペンダントヘッドの制作では、焼成後の収縮を考慮して、陶土の段階では10%~15%大きめに作成します。手始めに4.8×3.5cm角に切り分けた厚さ4mmの陶板を2枚用意する。次に厚さ1.5mmのワックスシートを1.8cm角に切り、陶土の板の間に挟み周囲を塞ぎ焼成前の基台とする。その後、保持部(3)となるハート形に成形した陶土を基台の上部と連結させる。適度に陶土が硬化してから焼成時の破裂を防ぐため、下側となる陶板の一部にワックスがみえる深さまで、直径2mm程度の穴を開け、焼成後に中空にすることで基台の軽量化を図る。更に保持部の側面中央の位置に左右に貫ける紐を通すための穴をあける。楽焼後、全体に釉薬を掛けて本焼きし、絵付けなど装飾を施して再焼成して仕上げる。
【0013】
一方、紐端止め具の制作では、一辺が2.5cm、厚さ4mm程度に仕上げた三角板のガラスセラミックス製の止め具の基台に、三角形となる位置に瓢箪形の穴を3か所設ける。交差による締め付けが加わるように瓢箪形の穴は縦向きにし、底辺に直角になるように穴を開ける。
図2は三角形に開けられた瓢箪形の穴の6か所の紐の通り口を通る紐の流れを分かり易くするために、左右の穴から通す紐の太さを変えて表示しています。
図2に示すように、まず初めに基台に設けた瓢箪形の穴の内、(5)と(10)の穴にそれぞれ、裏側から紐の先端を通し、通り口(5)→(8)→(9)、(10)→(7)→(6)の順番に裏→表→裏と紐を通し、紐通しは終了となる。この順番に紐を通し、最後に(4a)の2本と(4b)の2本の紐端同士を強めに締め上げておくと、3か所での紐同士の捻じれを伴った締め付けと、括れ部分での紐が縮径されることで、強い抵抗力が得られ、外れにくくなる。さらに、左右に余裕を持たせた6cmほどの紐端(4b)をそれぞれ(5)(8)間と(10)(7)間を通る紐に絡めることで、さらなる締め付け強化と紐端の方向性の安定と絡みのおもしろさ現出できる。
【0014】
次に、首への装着方法としては、両側の紐端(4b)にそれぞれ6cmほど余裕を持たせた全長78cm程度の紐で、止め具の穴とペンダントの保持部の穴に通したできた首輪をすっぽり頭から被り通してから、両紐端から動かして首輪のサイズを調整する。
本発明である紐端止め具を使うことで、金属をまったく使わない、メタルフリーの特長を生かした新たなデザインのアクセサリーが作られる。
一本の紐から本発明品である止め具を使って作られた輪状の紐を使用して、丸環など従来から存在するアクセサリー部品を用いて、様々な種類のアクセサリーを作ることもできる。さらに、本発明の紐端止め具はリバーシブルに使うことができる。
以上の説明は、本発明の一具体例であり、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。