(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172852
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】水耕栽培用パネル、水耕栽培用パネルシステム
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20231129BHJP
【FI】
A01G31/00 611
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191725
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2022084090
(32)【優先日】2022-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 素晴
(72)【発明者】
【氏名】末岡 正章
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314NA09
2B314NB11
2B314NC06
2B314ND06
2B314ND14
2B314ND18
2B314ND29
2B314ND32
(57)【要約】
【課題】端に配置されたパネルで他のパネルを押して直列に配置された複数のパネルを移動させる際に、一のパネルが隣接するパネルに乗り上げてしまうことを抑制することができる、水耕栽培用パネルを提供する。
【解決手段】本発明によれば、水耕栽培用パネルであって、前記パネルは、左側面と右側面を備え、前記左側面は、前記左側面の下側が上側よりも突出した下側突出部と、前記左側面の上側が下側よりも突出した上側突出部を備え、前記右側面は、前記右側面の下側が上側よりも突出した下側突出部と、前記右側面の上側が下側よりも突出した上側突出部を備え、前記左側面の前記下側突出部と前記右側面の前記上側突出部は、左右方向に対向する位置に設けられ、前記左側面の前記上側突出部と前記右側面の前記下側突出部は、前記左右方向に対向する位置に設けられる、パネルが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水耕栽培用パネルであって、
前記パネルは、左側面と右側面を備え、
前記左側面は、前記左側面の下側が上側よりも突出した下側突出部と、前記左側面の上側が下側よりも突出した上側突出部を備え、
前記右側面は、前記右側面の下側が上側よりも突出した下側突出部と、前記右側面の上側が下側よりも突出した上側突出部を備え、
前記左側面の前記下側突出部と前記右側面の前記上側突出部は、左右方向に対向する位置に設けられ、
前記左側面の前記上側突出部と前記右側面の前記下側突出部は、前記左右方向に対向する位置に設けられる、パネル。
【請求項2】
請求項1に記載のパネルであって、
前記左側面は、一対の前記上側突出部を備え、前記左側面では、前記下側突出部は、一対の前記上側突出部の間に配置され、
前記右側面は、一対の前記下側突出部を備え、前記右側面では、前記上側突出部は、一対の前記下側突出部の間に配置される、パネル。
【請求項3】
請求項1に記載のパネルであって、
前記左側面及び前記右側面は、それぞれ、凹部と凸部を有する凹凸部に厚さ方向に隣接した部位に、前記凸部と前記凹部にまたがる範囲において平坦な平坦部を備え、
前記左側面の前記平坦部と前記右側面の前記平坦部は、前記左右方向に対向する位置に設けられる、パネル。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載のパネルであって、
前記パネルは、点対称形状ではない、パネル。
【請求項5】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載のパネルであって、
前記パネルは、点対称形状である、パネル。
【請求項6】
複数の水耕栽培用パネルが直列に並べられて構成される水耕栽培用パネルシステムであって、
前記複数の水耕栽培用パネルは、互いに隣接する左パネル及び右パネルを備え、
前記左パネル及び右パネルは、それぞれ、請求項1~請求項3の何れか1つに記載のパネルであり、
前記左パネルの前記右側面の前記上側突出部が、前記右パネルの前記左側面の前記下側突出部の上側に配置されるように重なり、
前記左パネルの前記右側面の前記下側突出部が、前記右パネルの前記左側面の前記上側突出部の下側に配置されるように重なる、パネルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水耕栽培用パネル、及び水耕栽培用パネルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、細長い水槽トレイの養液上に、複数のパネルを水槽トレイの長手方向に沿って直列に浮かべ、水槽トレイの一端側で植物の苗の定植を行い、パネルを他端側に向けて移動させながら植物を成長させ、他端側で成長した植物の収穫を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のパネルは、例えば、水槽トレイの一端に最も近いパネルを他端に向けて押すことによって、同時に移動させることができる。しかし、養液上に浮かんだパネルは、上下方向に移動しやすいので、水槽トレイの一端に最も近いパネルを他端に向けて押したときに、あるパネルが隣接するパネルに乗り上げてしまう虞がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、端に配置されたパネルで他のパネルを押して直列に配置された複数のパネルを移動させる際に、一のパネルが隣接するパネルに乗り上げてしまうことを抑制することができる、水耕栽培用パネルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)水耕栽培用パネルであって、前記パネルは、左側面と右側面を備え、前記左側面は、前記左側面の下側が上側よりも突出した下側突出部と、前記左側面の上側が下側よりも突出した上側突出部を備え、前記右側面は、前記右側面の下側が上側よりも突出した下側突出部と、前記右側面の上側が下側よりも突出した上側突出部を備え、前記左側面の前記下側突出部と前記右側面の前記上側突出部は、左右方向に対向する位置に設けられ、前記左側面の前記上側突出部と前記右側面の前記下側突出部は、前記左右方向に対向する位置に設けられる、パネル。
(2)(1)に記載のパネルであって、前記左側面は、一対の前記上側突出部を備え、前記左側面では、前記下側突出部は、一対の前記上側突出部の間に配置され、前記右側面は、一対の前記下側突出部を備え、前記右側面では、前記上側突出部は、一対の前記下側突出部の間に配置される、パネル。
(3)(1)又は(2)に記載のパネルであって、前記左側面及び前記右側面は、それぞれ、凹部と凸部を有する凹凸部に厚さ方向に隣接した部位に、前記凸部と前記凹部にまたがる範囲において平坦な平坦部を備え、前記左側面の前記平坦部と前記右側面の前記平坦部は、前記左右方向に対向する位置に設けられる、パネル。
(4)(1)~(3)の何れか1つに記載のパネルであって、前記パネルは、点対称形状ではない、パネル。
(5)(1)~(3)の何れか1つに記載のパネルであって、前記パネルは、点対称形状である、パネル。
(6)複数の水耕栽培用パネルが直列に並べられて構成される水耕栽培用パネルシステムであって、前記複数の水耕栽培用パネルは、互いに隣接する左パネル及び右パネルを備え、前記左パネル及び右パネルは、それぞれ、(1)~(5)の何れか1つに記載のパネルであり、前記左パネルの前記右側面の前記上側突出部が、前記右パネルの前記左側面の前記下側突出部の上側に配置されるように重なり、前記左パネルの前記右側面の前記下側突出部が、前記右パネルの前記左側面の前記上側突出部の下側に配置されるように重なる、パネルシステム。
【0007】
本発明の水耕栽培用パネルは、直列に複数枚並べた場合に、左側のパネルの右側面の上側突出部が、右側のパネルの左側面の下側突出部の上側に配置されるように重なり、左側のパネルの右側面の下側突出部が、右側のパネルの左側面の上側突出部の下側に配置されるように重なる。このため、隣接する2つのパネルが上下方向に相対移動することが抑制される。従って、端に配置されたパネルで他のパネルを押して直列に配置された複数のパネルを移動させる際に、一のパネルが隣接するパネルに乗り上げてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態のパネル10を示し、
図1Aは、おもて面側から見た斜視図、
図1Bは、裏面側から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態のパネルシステム13を示し、
図2Aは、おもて面側から見た斜視図、
図2Bは、裏面側から見た斜視図である。
【
図4】本発明の第2実施形態のパネル10を示し、
図4Aは、おもて面側から見た斜視図、
図4Bは、裏面側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の第2実施形態のパネルシステム13を示し、
図5Aは、おもて面側から見た斜視図、
図5Bは、裏面側から見た斜視図である。
【
図6】本発明の第3実施形態のパネル10を示し、
図6Aは、おもて面側から見た斜視図、
図6Bは、裏面側から見た斜視図である。
【
図7】本発明の第3実施形態のパネルシステム13を示し、
図7Aは、おもて面側から見た斜視図、
図7Bは、裏面側から見た斜視図である。
【
図9】本発明の第4実施形態のパネル10を示し、
図9Aは、おもて面側から見た斜視図、
図9Bは、裏面側から見た斜視図である。
【
図11】本発明の第4実施形態のパネルシステム13を示し、
図11Aは、おもて面側から見た斜視図、
図11Bは、裏面側から見た斜視図である。
【
図13】
図13A及び
図13Bは、第5実施形態のパネルシステム13において、
図2中のA-A断面及びB-B断面に相当する部位の断面図である。
【
図15】
図15Aは、
図14のパネル10を2枚並べた状態の平面図であり、
図15Bは、
図15A中の領域Bの拡大図である。係合凹部2f、ベース凹部2g、係合壁2hは、上方からは視認できないが、
図15では、便宜上、点線でこれらの構成を図示している。
【
図16】
図16Aは、
図15Bと同じ領域についての、係合突起1f、ベース凹部2g、及び係合凹部2fを通る面の断面図である。
図16Bは、
図16Aの状態から右パネル12を左パネル11に対して斜め下方にずらした状態を示す。なお、
図16及び
図17では、図示の便宜上、パネル10は中実で表している。
【
図17】
図17Aは、
図16Bの状態からガイド構造10cでガイドしながら右パネル12を左パネル11に近づけた後の状態を示す。
図17Bは、
図17Aの状態から、右パネル12を左パネル11に対して上方にずらした状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0010】
1.第1実施形態
図1~
図3を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態の水耕栽培用パネル10は、養液上に浮かべられて水耕栽培に用いられるものである。パネル10は、略長方形状であり、その短辺方向の寸法が例えば20~60cmであり、長辺方向の寸法が例えば50~100cmであり、厚みが例えば2~4cmである。短辺方向の寸法は、具体的には例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。長辺方向の寸法は、具体的には例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。パネル10の厚さは、具体的には例えば、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0011】
以下、説明の便宜上、パネル10の前(front)・後(rear)・左(left)・右(right)を
図1Aのように定義する。この定義では、パネル10の短辺方向を左右方向としているが、長辺方向が左右方向となるように、前後左右を定義してもよい。また、上記定義では、
図1Aの手前側からパネル10を見て前後左右を定義しているが、
図1の奥側からパネル10を見て前後左右を定義してもよい。この場合、
図1中の前後左右がそれぞれ後前右左に入れ替わる。また、パネル10は、水耕栽培中に左右方向に移動させることが想定されているが、左から右に移動させても、右から左に移動させてもよい。何れの定義においても、前後方向は、左右方向に直交する方向である。
【0012】
パネル10には、複数の孔20が所定の間隔で規則的に設けられている。これらの孔20は、上下方向に貫通しており、パネル10の上面10a側及び下面10b側に開口している。各孔20には、パネル10の上面10a側から水耕栽培を行う植物が挿入される。
【0013】
パネル10は、左側面1及び右側面2を有する。
【0014】
左側面1は、左側面1の下側が上側よりも突出した下側突出部1aと、左側面1の上側が下側よりも突出した上側突出部1bを備える。右側面2は、右側面2の下側が上側よりも突出した下側突出部2aと、右側面2の上側が下側よりも突出した上側突出部2bを備える。
【0015】
左側面1の下側突出部1aと右側面2の上側突出部2bは、左右方向に対向する位置に設けられている。また、左側面1の上側突出部1bと右側面2の下側突出部2aは、左右方向に対向する位置に設けられている。
【0016】
パネル10は、
図2に示すように、複数のパネル10を左右方向に直列に並べて水耕栽培用パネルシステム13を構成するために用いることができる。パネル10は、点対称形状ではないので、複数のパネル10を直列に並べてパネルシステム13を構成する際に、パネル10の向きを間違えることが抑制される。左右方向に直列に並べられるパネル10の数は、例えば5以上であり、5~200であることが好ましい。この数は、具体的には例えば、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0017】
パネルシステム13において、互いに隣接する2枚のパネル10の左側を左パネル11とし、右側と右パネル12とすると、
図3Aに示すように、左パネル11の右側面2の上側突出部2bが、右パネル12の左側面1の下側突出部1aの上側に配置されるように重なり、
図3Bに示すように、左パネル11の右側面2の下側突出部2aが、右パネル12の左側面1の上側突出部1bの下側に配置されるように重なる。
【0018】
つまり、左パネル11と右パネル12は、左パネル11の右側面2と右パネル12の左側面1は、重なり部3で互いに重なるように配置され、
図3Aに示すように上側突出部2bと下側突出部1aが重なる第1重なり部3aでは左パネル11が上側となり、
図3Bに示すように下側突出部2aと上側突出部1bが重なる第2重なり部3bでは、左パネル11が下側となる。このため、左パネル11と右パネル12が上下方向に相対移動することが抑制される。なお、第1重なり部3aと第2重なり部3bの配置は適宜入れ替えることができる。例えば、
図2AのA-A断面の位置に、下側突出部2aと上側突出部1bが重なる第2重なり部3bを設け、
図2AのB-B断面の位置に、上側突出部2bと下側突出部1aが重なる第1重なり部3aを設けてもよい。
【0019】
ここでは、
図2A中の3枚のパネルのうちの左側の2枚を左パネル11と右パネル12としたが、パネルシステム13を構成する複数のパネル10のうち、隣接する任意の2枚を左パネル11と右パネル12とすることができ、隣接する任意の2枚のパネル10の上下方向の移動が同様に抑制される。このため、端に配置されたパネル10で他のパネルを押して直列に配置された複数のパネルを移動させる際に、一のパネルが隣接するパネルに乗り上げてしまうことを抑制することができる。パネルシステム13を構成する複数のパネル10は、同一形状であることが好ましいが、上述の作用によって上下方向の相対移動が抑制可能な形状であれば、同一形状でなくてもよい。
【0020】
重なり部3a,3bの左右方向の長さOL1,OL2は、それぞれ、例えば、5~50mmであり、10~40mmが好ましい(本実施形態では18.2mm)。この長さが短すぎると、左パネル11と右パネル12の上下方向の相対移動の抑制が不十分になりやすい。また、この長さが長すぎると、パネル10単独の左右方向の寸法が大きくなりすぎる場合がある。この長さは、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。パネル10の厚さをTとすると、OL1/T及びOL2/Tは、それぞれ、例えば、0.1~3であり、0.2~2が好ましく、具体的には例えば、0.1、0.2、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0021】
左側面1は、一対の上側突出部1bを備え、左側面1では、下側突出部1aは、前後方向において一対の上側突出部1bの間に配置されている。右側面2は、一対の下側突出部2aを備え、右側面2では、上側突出部2bは、前後方向において一対の下側突出部2aの間に配置されている。このような構成によれば、パネルシステム13において、第1重なり部3aが一対の第2重なり部3bで挟まれるので、左パネル11と右パネル12が前後方向に相対移動することが抑制される。
【0022】
図1に示すように、左側面1は、凹部1caと凸部1cbが前後方向に並んで配置される凹凸部1cを備える。好ましくは、凹部1caは、一対の凸部1cbによって前後方向に挟まれる。また、左側面1は、凹凸部1cに厚さ方向に隣接した部位に、凹部1caと凸部1cbにまたがる範囲において平坦な平坦部1dを備える。右側面2は、凹部2caと凸部2cbが前後方向に並んで配置される凹凸部2cを備える。好ましくは、凸部2cbは、一対の凹部1caによって前後方向に挟まれる。また、右側面2は、凹凸部2cに厚さ方向に隣接した部位に、凹部2caと凸部2cbにまたがる範囲において平坦な平坦部2dを備える。平坦部1dと平坦部2dは、左右方向に対向する位置に設けられる。
【0023】
パネルシステム13では、
図2Aに示すように、左パネル11の右側面2の凸部2cbが、右パネル12の左側面1の凹部1ca内に配置される。また、
図2Bに示すように、平坦部1dと平坦部2dが当接して左パネル11と右パネル12の間で押圧力が効率的に伝達可能である。凹凸部1c,2cと平坦部1d,2dの厚さは、それぞれ、パネル10の厚さに対する割合が0.3~0.7であることが好ましい。パネル10の厚さに対する凹凸部1c,2cと平坦部1d,2dのそれぞれの厚さの割合は、例えば0.3~0.7であり、具体的には例えば、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0024】
なお、平坦部1dと平坦部2dが当接しているときでも、
図3Aに示すように、凸部2cbの先端2cb3は、凹部1caの底面1ca3には当接しないことが好ましく、
図3Bに示すように、凸部1cbの先端1cb3は、凹部2caの底面2ca3には当接しないことが好ましい。つまり、先端2cb3と底面1ca3の間に隙間が設けられ、先端1cb3と底面2ca3の間にも隙間が設けられることが好ましい。この場合、平坦部1dと平坦部2dのみでパネル10間の押圧力が伝達されることになり、意図しない部位で押圧力が伝達されることを抑制することができる。
【0025】
図1に示すように、凹部1caは、平坦部1dより凹んでおり、凹部1caの下側の部位が下側突出部1aとなる。凸部1cbは、平坦部1dより突出しており、凸部1cbが上側突出部1bとなる。凹部2caは、平坦部2dより凹んでおり、凹部2caの下側の部位が下側突出部2aとなる。凸部2cbは、平坦部2dより突出しており、凸部2cbが上側突出部2bとなる。凸部2cbの側面2cb1は、凸部2cbの幅が先端に向かって細くなるように傾斜している。凹部1caの側面1ca1は、凹部1caの幅が底(左右方向の底)に向かって狭くなるように傾斜している。このような構成によれば、
図2に示すパネルシステム13において、左パネル11の右側面2の凸部2cbが、右パネル12の左側面1の凹部1ca内に入り込みやすくなる。
【0026】
図1及び
図3に示すように、上側突出部1b,2bの下面1b2,2b2は、上側突出部1b,2bの先端に向かって上面10aに近づくように傾斜している。このような構成によれば、
図3Aに示すように、パネルシステム13において、左パネル11の右側面2の上側突出部2bが、右パネル12の左側面1の平坦部1dに衝突したときに上側突出部2bが上向きに誘導されて、下側突出部1aの上に乗りやすくなる。上側突出部1bについても同様の作用効果が奏される。なお、本実施形態では、下側突出部1a,2aの上面1a2,2a2は、水平になっているが、下側突出部1a,2aの先端に向かって下面10bに近づくように傾斜していてもよい。この場合、上面1a2,2a2に水が貯まることが抑制される。また、上面1a2,2a2の傾斜角度は、下面1b2,2b2の傾斜角度以下であることが好ましい。
【0027】
パネル10は、好ましくは、樹脂の中空成形体である。パネル10は、ブロー成形や真空成形によって製造することができる。パネル10の製造に用いる樹脂としては、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂が好ましく、ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などが挙げられる。パネル10は、アンダーカット形状を有していないので、分割金型を用いた成形によって容易に製造可能である。
【0028】
2.第2実施形態
図4~
図5を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のパネル10は、第1実施形態のパネル10に類似しており、第1実施形態で述べた事項は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも当てはまる。以下、相違点を中心に説明する。
【0029】
図1に示すように、本実施形態のパネル10では、左側面1は、下側突出部1aと上側突出部1bを2つずつ有し、これらは互い違いに配置されている。右側面2は、下側突出部2aと上側突出部2bを2つずつ有し、これらは互い違いに配置されている。また、下側突出部1aと上側突出部2bが左右方向に対向し、上側突出部1bと下側突出部2aが左右方向に対向するように配置されている。また、本実施形態のパネル10は、点対称形状となっている。このため、
図5に示すように、複数のパネル10を直列に並べてパネルシステム13を構成する際に、パネル10の向きを気にする必要がないという利点がある。
【0030】
3.第3実施形態
図6~
図8を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態のパネル10は、第1実施形態のパネル10に類似しており、第1実施形態で述べた事項は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも当てはまる。以下、相違点を中心に説明する。
【0031】
本実施形態でのパネル10は、平坦部1d,2dが設けられておらず、重なり部3a,3bの左右方向の長さOL1,OL2が第1実施形態よりも長くなっている(本実施形態では36.5mm)。これによって、左パネル11と右パネル12の間の上下方向の係合が解除されにくくなっている。また、下側突出部1aと上側突出部1bの先端がほぼ面一であり、下側突出部2aと上側突出部2bの先端もほぼ面一である。
【0032】
本実施形態では、
図6に示すように、下側突出部1aに設けられる凹部1caの側面1ca1には段差部1ca2が設けられており、上側突出部2bに設けられる凸部2cbの側面2cb1にも段差部2cb2が設けられている。段差部1ca2,2cb2は、それぞれ、左右方向に垂直な平面になっているため、
図7に示すパネルシステム13では、段差部1ca2,2cb2が当接することで、左パネル11と右パネル12の間で押圧力が効率的に伝達可能である。
【0033】
なお、段差部1ca2,2cb2が当接しているときでも、
図8Aに示すように、上側突出部2bの先端2b6は、凹部1caの底面1ca3には当接しないことが好ましく、
図8Bに示すように、上側突出部1bの先端1b6は、凹部2caの底面2ca3には当接しないことが好ましい。つまり、先端2b6と底面1ca3の間に隙間が設けられ、先端1b6と底面2ca3の間にも隙間が設けられることが好ましい。この場合、段差部1ca2,2cb2のみでパネル10間の押圧力が伝達されることになり、意図しない部位で押圧力が伝達されることを抑制することができる。
【0034】
4.第4実施形態
図9~
図12を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態のパネル10は、第1及び第3実施形態のパネル10に類似しており、第1及び第3実施形態で述べた事項は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも当てはまる。以下、相違点を中心に説明する。
【0035】
本実施形態でのパネル10は、重なり部3a,3bの左右方向の長さが第1~第3実施形態よりも短くなっている(本実施形態では11.2mm)。このため、パネル10単独の左右方向の寸法が小さく、パネル10の保管スペースを小さくすることが可能になっている。
【0036】
また、下側突出部1a,2a及び上側突出部1b,2bには傾斜面1a1,2a1,1b1,2b1が設けられており、
図11~
図12に示すパネルシステム13では、
図12Aに示すように傾斜面1a1,2b1が当接し、
図12Bに示すように傾斜面2a1,1b1が当接することによって、左パネル11と右パネル12の間で押圧力が効率的に伝達可能である。傾斜面1a1,2a1,1b1,2b1は、平坦面であり、パネル10の厚さ方向の60%以上に渡って設けられることが好ましい。この割合は、例えば60~100%であり、具体的には例えば、60、65、70、75、80、85、90、95、100%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0037】
さらに、
図10Aに示すように、左側面1では、下側突出部1aと上側突出部1bの間のパーティングラインPLは、斜め方向に延びており、その結果、下側突出部1aの先端縁1a5の幅が、根本縁1a4の幅よりも狭くなっている。つまり、下側突出部1aが先細りになっている。また、
図10Bに示すように、右側面2では、下側突出部2aと上側突出部2bの間のパーティングラインPLは、斜め方向に延びており、その結果、上側突出部2bの先端縁2b5の幅が、根本縁2b4の幅よりも狭くなっている。つまり、上側突出部2bが先細りになっている。このような構成によれば、パネルシステム13では、先端縁1a5が一対の下側突出部2aの間に入りやすく、先端縁2b5が一対の上側突出部1bの間に入りやすい。このため、パネルシステム13を構成する際に、パネル10同士を係合させるのが容易になる。
【0038】
5.第5実施形態
図13を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態のパネル10は、第1実施形態のパネル10に類似しており、第1実施形態で述べた事項は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも当てはまる。以下、相違点を中心に説明する。
【0039】
本実施形態では、パネル10の下側突出部1a,2a及び上側突出部1b,2bには、それぞれ、係合部1a3,2a3,1b3,2b3が設けられている。第1重なり部3aでは、係合部2b3と係合部1a3が左右方向に係合し、第2重なり部3bでは、係合部2a3と係合部1b3が左右方向に係合する。この構成によれば、パネルシステム13において、左パネル11と右パネル12の間で引張力が効率的に伝達可能である。このため、パネルシステム13の端にあるパネルを引っ張って、パネルシステム13に含まれる複数のパネル10を同時に移動させることができる。
【0040】
6.第6実施形態
図14~
図18を用いて、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態のパネル10は、第1実施形態のパネル10に、第5実施形態に記載のような、引張力の伝達構造を設けた形状を有する。従って、第1実施形態で述べた事項は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも当てはまる。以下、相違点を中心に説明する。
【0041】
本実施形態では、左側面1に設けられた係合突起1fが、右側面2に設けられた係合凹部2f内に収容されることによって、隣接する2枚のパネル10が左右方向に互いに係合されて、引張力の伝達が可能になっている。
【0042】
図14Bに示すように、係合突起1fは、左側面1の下側突出部1aの上面に設けられている。係合突起1fは、凹部1ca内に配置されている。つまり、係合突起1fは、一対の上側突出部1bの間に配置されている。
図14Dに示すように、右側面2の上側突出部2bには、ベース凹部2gと、係合凹部2fが設けられている。ベース凹部2gと、係合凹部2fは、上側突出部2bの下面(つまり、下側突出部1aに対向する面)に設けられている。ベース凹部2gは、上側突出部2bの左右方向の先端から基端に向かって延びるように設けられている。係合凹部2fは、ベース凹部2gに繋がるように前後方向に延びるように設けられている。係合凹部2fの右側には係合壁2hが設けられている。
【0043】
隣接する2枚のパネル10を互いに係合させる際には、
図15及び
図16Aに示すように、左パネル11と右パネル12を互いに近接させ、その後に、右パネル12の係合突起1fを、左パネル11のベース凹部2g内に挿入する。
図17Aに示すように、係合突起1fが係合凹部2fに前後方向に対向する位置にまで挿入されると、
図17Bに示すように、右パネル12と左パネル11を前後方向に相対移動させることによって、係合突起1fを係合凹部2f内に挿入させる。この状態では、
図18に示すように係合突起1fと係合凹部2fが係合しているので、右パネル12と左パネル11を引き離す方向に引張力を加えると、係合突起1fと係合壁2hが当接して、左パネル11と右パネル12の間で引張力を伝達することができる。係合突起1fと係合壁2hは、中実であることが好ましい。この場合、係合突起1fと係合壁2hの強度が高くなって、右パネル12と左パネル11を引き離す方向に引張力を加えたときに係合突起1fと係合壁2hが変形しにくくなる。
【0044】
第5実施形態では、右パネル12と左パネル11を係合させるには、厚さ方向に突出する凸部を乗り越えさせる必要があり、パネルの重量の増大に伴って、右パネル12と左パネル11を係合させる際の作業性が悪くなりやすい。一方、本実施形態では、左パネル11と右パネル12を互いに面内で相対移動させることによって係合させることができるので、作業性に優れている。
【0045】
ところで、ベース凹部2g及び係合凹部2fは、パネル10の下面に設けられているので、左パネル11と右パネル12を上側から見ながら係合させようとしたときに、ベース凹部2gが視認できず、係合突起1fをベース凹部2gに挿入することが容易ではない。ベース凹部2gの前後方向の長さを長くすれば係合突起1fをベース凹部2gに挿入しやすくなるが、その場合、係合突起1fと係合壁2hが当接する長さが短くなり、左パネル11と右パネル12の係合が意図せずに解除されてしまいやすくなる。
【0046】
このような問題を解決すべく、本実施形態では、
図16Bに示すように、係合突起1fが、ベース凹部2gに挿入可能な位置よりも、係合壁2hから離れた位置に配置されている場合に、係合突起1fが上側突出部2bに当接する前に、上側突出部1bと上側突出部2bが当接するようになっている。そして、上側突出部1bと上側突出部2bが当接する部位には、係合突起1fをベース凹部2gに挿入可能な位置に案内するガイド構造10cが設けられており、左パネル11と右パネル12を近づけると、ガイド構造10cによって係合突起1fがベース凹部2gに挿入可能な位置に案内され、係合突起1fをベース凹部2g内に容易に挿入することができるようになっている。
【0047】
ガイド構造10cは、左パネル11の側面2cb1と、右パネル12の側面1ca1によって構成される。ガイド構造10cを構成する側面2cb1及び側面1ca1は、第1実施形態に比べて、前後方向に対する傾斜角度が大きくなっているために、係合突起1fが上側突出部2bに当接する前に、側面2cb1及び側面1ca1が当接して係合突起1fをベース凹部2gに挿入可能な位置にガイド可能になっている。ガイド構造10cを構成する側面2cb1及び側面1ca1のうち、傾斜角度が最大の部位での傾斜角度は、例えば60~90度であり、具体的には例えば、60、65、70、75、80、85、90度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 :左側面
1a :下側突出部
1a1 :傾斜面
1a2 :上面
1a3 :係合部
1a4 :根本縁
1a5 :先端縁
1b :上側突出部
1b1 :傾斜面
1b2 :下面
1b3 :係合部
1b6 :先端
1c :凹凸部
1ca :凹部
1ca1 :側面
1ca2 :段差部
1ca3 :底面
1cb :凸部
1cb3 :先端
1d :平坦部
1f :係合突起
2 :右側面
2a :下側突出部
2a1 :傾斜面
2a2 :上面
2a3 :係合部
2b :上側突出部
2b1 :傾斜面
2b2 :下面
2b3 :係合部
2b4 :根本縁
2b5 :先端縁
2b6 :先端
2c :凹凸部
2ca :凹部
2ca3 :底面
2cb :凸部
2cb1 :側面
2cb2 :段差部
2cb3 :先端
2d :平坦部
2f :係合凹部
2g :ベース凹部
2h :係合壁
3 :重なり部
3a :第1重なり部
3b :第2重なり部
10 :水耕栽培用パネル
10a :上面
10b :下面
10c :ガイド構造
11 :左パネル
12 :右パネル
13 :水耕栽培用パネルシステム
20 :孔
PL :パーティングライン