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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172854
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】リードフレーム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
H01L23/50 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198244
(22)【出願日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2022084062
(32)【優先日】2022-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】今井 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】永田 昌博
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸一郎
【テーマコード(参考)】
5F067
【Fターム(参考)】
5F067AA11
5F067AB04
5F067BA02
5F067BB10
5F067BC01
5F067BC11
5F067BD05
5F067DC13
5F067EA02
5F067EA04
(57)【要約】
【課題】半導体装置の厚みをより薄くすることが可能な、リードフレーム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】リードフレーム10は、ダイパッド11と、ダイパッド11の周囲に配置されたリード部12と、ダイパッド11とリード部12の周囲に配置された樹脂部18と、を備えている。リード部12は、ダイパッド11側に位置する内部端子51と、ダイパッド11の反対側に位置する外部端子53とを有する。ダイパッド11は、表面側から薄肉化され、内部端子51は、表面側及び裏面側の両方から薄肉化され、樹脂部18は、内部端子51の裏面側に位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームにおいて、
ダイパッドと、
前記ダイパッドの周囲に配置されたリード部と、
前記ダイパッドと前記リード部の周囲に配置された樹脂部と、を備え、
前記リード部は、前記ダイパッド側に位置する内部端子と、前記ダイパッドの反対側に位置する外部端子とを有し、
前記ダイパッドは、表面側から薄肉化され、
前記内部端子は、表面側及び裏面側の両方から薄肉化され、
前記樹脂部は、前記内部端子の裏面側に位置する、リードフレーム。
【請求項2】
前記ダイパッドの表面は、前記樹脂部の表面のうち前記ダイパッドと前記リード部との間に位置する部分よりも裏面側に位置する、請求項1に記載のリードフレーム。
【請求項3】
前記外部端子は、表面側から薄肉化されておらず、前記外部端子の少なくとも一部が裏面側から薄肉化されている、請求項1に記載のリードフレーム。
【請求項4】
前記リード部は、前記内部端子と前記外部端子との間に位置する接続部を有し、前記接続部は、表面側及び裏面側の両方から薄肉化されている、請求項1に記載のリードフレーム。
【請求項5】
前記内部端子の厚みは、前記リードフレームの最大厚みの10%以上45%以下である、請求項1に記載のリードフレーム。
【請求項6】
前記ダイパッドと前記樹脂部との間、又は、前記リード部と前記樹脂部との間に、金属層が入り込んでいる、請求項1に記載のリードフレーム。
【請求項7】
リードフレームの製造方法において、
金属基板を準備する工程と、
前記金属基板の裏面側から前記金属基板を厚み方向の途中までエッチングすることにより、裏面側凹部を形成する工程と、
前記金属基板の裏面側に樹脂部を形成し、前記樹脂部によって前記裏面側凹部を覆う工程と、
前記樹脂部を所定の厚みだけ研磨する工程と、
前記金属基板の表面側から前記金属基板を厚み方向の途中までエッチングすることにより、ダイパッドと、前記ダイパッドの周囲に配置されたリード部とを形成する工程と、を備え、
前記リード部は、前記ダイパッド側に位置する内部端子と、前記ダイパッドの反対側に位置する外部端子とを有し、
前記金属基板の表面側からエッチングする工程において、前記ダイパッドと前記リード部との間に位置する前記樹脂部を表面側に露出させるとともに、前記ダイパッド及び前記内部端子が表面側から薄肉化され、
前記内部端子は、裏面側から薄肉化され、
前記樹脂部は、前記内部端子の裏面側に位置する、リードフレームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リードフレーム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板に実装される半導体装置の小型化及び薄型化が要求されてきている。このような要求に対応すべく、従来、いわゆるQFN(Quad Flat Non-lead)タイプの半導体装置が種々提案されている。QFNタイプの半導体装置は、リードフレームの搭載面に搭載した半導体素子を封止樹脂によって封止するとともに、裏面側にリードの一部分を露出させて構成されたものである。
【0003】
特許文献1には、リードフレームの裏面に樹脂部を設けた後、樹脂部の不要部を除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-57590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体装置の厚みを薄くすることが求められている。しかしながら、半導体装置を薄くするためにリードフレームを薄くすると、リードフレームの強度を維持することが難しくなる。
【0006】
本開示は、半導体装置の厚みをより薄くすることが可能な、リードフレーム及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施の形態は、以下の[1]~[7]に関する。
【0008】
[1]リードフレームにおいて、ダイパッドと、前記ダイパッドの周囲に配置されたリード部と、前記ダイパッドと前記リード部の周囲に配置された樹脂部と、を備え、前記リード部は、前記ダイパッド側に位置する内部端子と、前記ダイパッドの反対側に位置する外部端子とを有し、前記ダイパッドは、表面側から薄肉化され、前記内部端子は、表面側及び裏面側の両方から薄肉化され、前記樹脂部は、前記内部端子の裏面側に位置する、リードフレーム。
【0009】
[2]前記ダイパッドの表面は、前記樹脂部の表面のうち前記ダイパッドと前記リード部との間に位置する部分よりも裏面側に位置する、[1]に記載のリードフレーム。
【0010】
[3]前記外部端子は、表面側から薄肉化されておらず、前記外部端子の少なくとも一部が裏面側から薄肉化されている、[1]又は[2]に記載のリードフレーム。
【0011】
[4]前記リード部は、前記内部端子と前記外部端子との間に位置する接続部を有し、前記接続部は、表面側及び裏面側の両方から薄肉化されている、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のリードフレーム。
【0012】
[5]前記内部端子の厚みは、前記リードフレームの最大厚みの10%以上45%以下である、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のリードフレーム。
【0013】
[6]前記ダイパッドと前記樹脂部との間、又は、前記リード部と前記樹脂部との間に、金属層が入り込んでいる、[1]乃至[5]のいずれか1つに記載のリードフレーム。
【0014】
[7]リードフレームの製造方法において、金属基板を準備する工程と、前記金属基板の裏面側から前記金属基板を厚み方向の途中までエッチングすることにより、裏面側凹部を形成する工程と、前記金属基板の裏面側に樹脂部を形成し、前記樹脂部によって前記裏面側凹部を覆う工程と、前記樹脂部を所定の厚みだけ研磨する工程と、前記金属基板の表面側から前記金属基板を厚み方向の途中までエッチングすることにより、ダイパッドと、前記ダイパッドの周囲に配置されたリード部とを形成する工程と、を備え、前記リード部は、前記ダイパッド側に位置する内部端子と、前記ダイパッドの反対側に位置する外部端子とを有し、前記金属基板の表面側からエッチングする工程において、前記ダイパッドと前記リード部との間に位置する前記樹脂部を表面側に露出させるとともに、前記ダイパッド及び前記内部端子が表面側から薄肉化され、前記内部端子は、裏面側から薄肉化され、前記樹脂部は、前記内部端子の裏面側に位置する、リードフレームの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、半導体装置の厚みをより薄くできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、第1の実施の形態によるリードフレームを示す平面図。
図2図2は、第1の実施の形態によるリードフレームを示す断面図(図1のII-II線断面図)。
図3図3は、第1の実施の形態による半導体装置を示す平面図。
図4図4は、第1の実施の形態による半導体装置を示す断面図(図3のIV-IV線断面図)。
図5図5(a)-(c)は、第1の実施の形態による半導体装置を配線基板に接続した状態を示す断面図。
図6図6(a)-(i)は、第1の実施の形態によるリードフレームの製造方法を示す断面図。
図7図7(a)-(e)は、第1の実施の形態による半導体装置の製造方法を示す断面図。
図8図8は、第1の実施の形態の変形例による半導体装置を示す断面図。
図9図9は、第1の実施の形態の変形例による半導体装置を配線基板に接続した状態を示す断面図。
図10図10は、第2の実施の形態によるリードフレームを示す断面図。
図11図11は、第2の実施の形態によるリードフレームを示す部分拡大断面図。
図12図12(a)-(d)は、第2の実施の形態によるリードフレームの製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、第1の実施の形態について、図1乃至図7を参照して説明する。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
【0018】
本明細書中、X方向、Y方向とは、リードフレーム10又はパッケージ領域10aの各辺に平行な二方向であり、X方向とY方向とは互いに直交する。また、Z方向は、X方向及びY方向の両方に対して垂直な方向である。また、「内」、「内側」とは、各パッケージ領域10aの中心方向を向く側をいう。「外」、「外側」とは、各パッケージ領域10aの中心から離れる側をいう。また、「表面」とは、半導体素子21が搭載される側の面(Z方向プラス側の面)をいう。「裏面」とは、「表面」の反対側(Z方向マイナス側)の面であって、半導体素子21が搭載される側の面と反対側の面をいう。
【0019】
また、本明細書中、ハーフエッチングとは、被エッチング材料をその厚み方向に途中までエッチングすることをいう。ハーフエッチング後の被エッチング材料の厚みは、ハーフエッチング前の被エッチング材料の厚みの例えば10%以上90%以下、又は30%以上70%以下、又は40%以上60%以下であっても良い。
【0020】
(リードフレームの構成)
まず、図1及び図2により、本実施の形態によるリードフレームの概略について説明する。図1及び図2は、本実施の形態によるリードフレームを示す図である。
【0021】
図1に示すように、リードフレーム10は、パッケージ領域(単位リードフレーム)10aを含む。パッケージ領域10aは、リードフレーム10内で、平面視で多列及び多段に(マトリックス状に)複数配置されている。なお、これに限らずパッケージ領域10aは1つ以上存在していれば良い。なお、パッケージ領域10aは、それぞれ半導体装置20(後述)に対応する領域であり、図1において仮想線の内側に位置する領域である。また、図1の仮想線は半導体装置20の外周縁に対応している。
【0022】
次に、図1及び図2を参照してリードフレーム10の構成についてさらに説明する。
【0023】
図1に示すように、リードフレーム10は、ダイパッド11と、複数のリード部12と、樹脂部18と、を備えている。複数のリード部12は、それぞれ細長い形状を有し、ダイパッド11周囲に設けられている。各リード部12は、それぞれ半導体素子21と外部の配線基板80(図5参照)とを電気的に接続する。樹脂部18は、ダイパッド11とリード部12の周囲であって、リードフレーム10の裏面側に配置されている。複数のパッケージ領域10aは、支持リード(支持部材)13を介して互いに連結される。支持リード13は、ダイパッド11とリード部12とを支持する。支持リード13は、X方向及びY方向に沿ってそれぞれ延びている。
【0024】
ダイパッド11は、平面視で略正方形形状を有している。この場合、ダイパッド11は、例えばハーフエッチングにより表面側から薄肉化されている。ダイパッド11は、裏面側からは薄肉化されていない。ダイパッド11の平面形状は、正方形に限らず、長方形等の多角形としても良い。また、ダイパッド11の四隅には吊りリード14が連結されている。ダイパッド11は、4本の吊りリード14を介して支持リード13に連結支持されている。本実施の形態において、吊りリード14は、表面側及び裏面側のいずれからも薄肉化されておらず、加工前の金属基板(後述する金属基板31)と同一の厚みを有する。なお、これに限らず、吊りリード14は、表面側又は裏面側から薄肉化されていても良い。
【0025】
図2に示すように、ダイパッド11は、表面側に位置するダイパッド表面11aと、裏面側に位置するダイパッド裏面11bとを有する。ダイパッド表面11aには、後述する半導体素子21が搭載される。ダイパッド表面11a及びダイパッド裏面11bは、樹脂部18に覆われることなく、リードフレーム10から外方に露出する。ダイパッド表面11aは、後述する樹脂部18の樹脂表面18aのうち、リード部12とダイパッド11との間に位置する部分よりも裏面側(Z方向マイナス側)に位置する。なお、これに限らず、ダイパッド表面11aは、樹脂部18の樹脂表面18aと同一平面上に位置していても良い。ダイパッド表面11aが、樹脂部18の樹脂表面18aよりも裏面側、または樹脂表面18aと同一表面上に位置していることにより、ダイパッド11と内部端子51とが連結してしまうことを防ぐことができる。
【0026】
ダイパッド11のうちリード部12を向く側には、ダイパッド側面11cが形成されている。ダイパッド側面11cは、樹脂部18に密着している。
【0027】
各リード部12は、それぞれ後述するようにボンディングワイヤ22を介して半導体素子21に接続される。リード部12は、ダイパッド11との間に空間を介して配置されている。リード部12は、それぞれ支持リード13から延び出している。
【0028】
複数のリード部12は、ダイパッド11の周囲に沿って配置されている。このリード部12の裏面には、それぞれ外部の配線基板80(図5参照)に電気的に接続される第1外部端子裏面53bが形成されている。各第1外部端子裏面53bは、半導体装置20(後述)の製造後に、それぞれ半導体装置20から外方に露出する。
【0029】
リード部12は、内部端子51と、接続部52と、外部端子53とを有する。内部端子51は、内側(ダイパッド11側)に位置する。外部端子53は、外側(ダイパッド11の反対側、支持リード13側)に位置する。接続部52は、内部端子51と外部端子53との間に位置する。内部端子51は、リード部12の内側端部に位置し、その表面側には内部端子面15が形成されている。この内部端子面15は、後述するようにボンディングワイヤ22を介して半導体素子21に電気的に接続される領域である。なお、内部端子面15上には、ボンディングワイヤ22との密着性を向上させるめっき層25が設けられている。めっき層25は、例えば銀めっきからなっていても良い。
【0030】
内部端子51は、例えばハーフエッチングにより表面側及び裏面側の両方から薄肉化されている。内部端子51は、上述した内部端子面15と、内部端子裏面51bとを有する。内部端子面15は、内部端子51の表面側に位置する。内部端子裏面51bは、内部端子51の裏面側に位置する。内部端子面15及び内部端子裏面51bはそれぞれエッチングにより形成された面である。内部端子面15は、樹脂部18によって覆われていない。内部端子裏面51bは、樹脂部18に密着している。また、内部端子51のうちダイパッド11を向く側には、リード側面51cが形成されている。リード側面51cは、樹脂部18に覆われることなく、外方に露出している。
【0031】
接続部52は、例えばハーフエッチングにより表面側及び裏面側の両方から薄肉化されている。接続部52は、内側において内部端子51に連結され、外側において外部端子53に連結されている。接続部52は、表面側に位置する接続部表面52aと、裏面側に位置する接続部裏面52bとを有する。接続部表面52a及び接続部裏面52bはそれぞれエッチングにより形成された面である。接続部表面52aは、樹脂部18に覆われることなく、外方に露出している。接続部裏面52bは、樹脂部18に密着している。また、接続部表面52aは、内部端子面15と同一平面上に位置する。接続部裏面52bは、内部端子裏面51b及び第2外部端子裏面53cと同一平面上に位置する。
【0032】
外部端子53は、支持リード13側に位置しており、その外側端部は支持リード13に連結されている。外部端子53は、断面において、略L字形状となっている。外部端子53は、表面側から薄肉化されていない。外部端子53は、その一部が裏面側から薄肉化されている。外部端子53は、外部端子表面53aと、上述した第1外部端子裏面53bと、第2外部端子裏面53cとを有する。外部端子表面53aは、外部端子53の表面側に位置しており、外方に露出する。外部端子表面53aは、内部端子面15及び接続部表面52aよりも表面側(Z方向プラス側)に位置する。第1外部端子裏面53bは、外部端子53の裏面側に位置しており、外方に露出する。第1外部端子裏面53bは、裏面側から薄肉化されてない。第1外部端子裏面53bは、外部端子表面53aよりも面積が小さくても良い。なお、第1外部端子裏面53bと支持リード13との間の領域が、裏面側から薄肉化されていても良い。第2外部端子裏面53cは、外部端子53の裏面側に位置しており、樹脂部18に密着している。第2外部端子裏面53cは、第1外部端子裏面53bより表面側(Z方向プラス側)に位置する。第2外部端子裏面53cは、裏面側から薄肉化された部分に形成される。
【0033】
また、外部端子53のうち第2外部端子裏面53cより裏面側の位置には、第1外部端子内側面53dが形成されている。第1外部端子内側面53dは、第2外部端子裏面53cから第1外部端子裏面53bに向けて延びる。第1外部端子内側面53dには、樹脂部18が密着している。また、外部端子53のうち接続部表面52aより表面側の位置には、第2外部端子内側面53eが形成されている。第2外部端子内側面53eは、外部端子表面53aから接続部表面52aに向けて延びる。第2外部端子内側面53eは、外方に露出している。
【0034】
樹脂部18は、ダイパッド11とリード部12の周囲に配置されている。すなわち、図1に示すように、表面側から見て、樹脂部18は、ダイパッド11の一辺と、当該辺に対向する複数のリード部12と、支持リード13と、2本の吊りリード14とによって取り囲まれる領域に位置している。また、裏面側から見て、樹脂部18は、ダイパッド11の一辺と、当該辺に対向する複数のリード部12の第1外部端子裏面53bと、支持リード13と、2本の吊りリード14とによって取り囲まれる領域に位置している。なお、図1において、樹脂部18を網掛けで示している(後述する図3についても同様)。
【0035】
樹脂部18は、リードフレーム10の裏面側に配置されている。すなわち樹脂部18は、リードフレーム10のうち、厚み方向の途中位置よりも裏面側(Z方向マイナス側)にのみ存在する。樹脂部18は、厚み方向(Z方向)の途中位置よりも表面側(Z方向プラス側)には存在しない。なお、上記途中位置は、リードフレーム10の厚み方向の中央に限らず、厚み方向の中央よりも表面側又は裏面側に位置しても良い。図2において、厚み方向の途中位置とは、厚み方向において、内部端子裏面51b、接続部裏面52b及び第2外部端子裏面53cが存在する位置に対応する。
【0036】
図2に示すように、樹脂部18は、ダイパッド11のダイパッド側面11cに密着している。また樹脂部18は、リード部12の裏面側に配置されている。具体的には、樹脂部18は、リード部12の第1外部端子内側面53dと、第2外部端子裏面53cと、接続部裏面52bと、内部端子裏面51bとに密着している。
【0037】
樹脂部18は、表面側に位置する樹脂表面18aと、裏面側に位置する樹脂裏面18bとを有する。このうち樹脂表面18aは、ダイパッド側面11cとリード側面51cとの間から外方に露出する。また樹脂表面18a、内部端子裏面51b、接続部裏面52b及び第2外部端子裏面53cは、互いに同一平面上に位置している。樹脂裏面18bは、リードフレーム10の裏面側から外方に露出する。ダイパッド裏面11b、樹脂裏面18b及び第1外部端子裏面53bは、互いに同一平面上に位置している。樹脂部18は、樹脂内側面18cをさらに有する。樹脂内側面18cは、ダイパッド11側を向いており、外方に露出している。
【0038】
樹脂部18としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいはPPS樹脂等の熱可塑性樹脂を用いても良い。なお、樹脂部18と後述する封止樹脂23との密着性を高めるため、樹脂部18として、封止樹脂23と同一の材料を用いることが好ましい。
【0039】
以上説明したリードフレーム10の樹脂部18以外の部分は、全体として銅、銅合金、42合金(Ni42%のFe合金)等の金属から構成されている。また、リードフレーム10の最大厚みT1は、製造する半導体装置20の構成にもよるが、80μm以上300μm以下としても良い。本明細書において、リードフレーム10の最大厚みとは、リードフレーム10のうち最も厚い部分における厚み(Z方向距離)であり、表面側からも裏面側からも薄肉化されていない部分における厚みをいう。また、リードフレーム10の最大厚みは、後述する金属基板31の板厚に対応する。本実施の形態において、リード部12の裏面側に樹脂部18が設けられているため、ワイヤボンディング時に加わる力によってリード部12が変形しにくい。これにより、リードフレーム10の最大厚みT1を薄くできる。
【0040】
内部端子51及び接続部52の厚みT2は、リードフレーム10の最大厚みT1の10%以上45%以下としても良く、15%以上30%以下としても良い。内部端子51及び接続部52の厚みT2は、30μm以上135μm以下としても良く、35μm以上75μm以下としても良い。内部端子51及び接続部52の厚みT2をリードフレーム10の最大厚みT1の10%以上とすることにより、内部端子51と外部端子53との導電性を確保できる。内部端子51及び接続部52の厚みT2をリードフレーム10の最大厚みT1の45%以下とすることにより、樹脂封止後の半導体装置20の厚みを薄肉化できる。
【0041】
外部端子53のうち薄肉化された部分の厚みT3は、リードフレーム10の最大厚みT1の40%以上70%以下としても良く、50%以上60%以下としても良い。外部端子53のうち薄肉化された部分の厚みT3は、32μm以上175μm以下としても良く、40μm以上150μm以下としても良い。
【0042】
ダイパッド11の厚みT4は、リードフレーム10の最大厚みT1の40%以上70%以下としても良く、50%以上60%以下としても良い。ダイパッド11の厚みT4は、32μm以上175μm以下としても良く、40μm以上150μm以下としても良い。ダイパッド11の厚みT4をリードフレーム10の最大厚みT1の40%以上とすることにより、ダイパッド11と樹脂部18との密着性を維持できる。ダイパッド11の厚みT4をリードフレーム10の最大厚みT1の70%以下とすることにより、樹脂封止後の半導体装置20の厚みを薄肉化できる。
【0043】
樹脂部18の厚みT5は、リードフレーム10の最大厚みT1の30%以上60%以下としても良く、40%以上50%以下としても良い。樹脂部18の厚みT5は、24μm以上150μm以下としても良く、32μm以上125μm以下としても良い。
【0044】
(半導体装置の構成)
次に、図3及び図4により、本実施の形態による半導体装置について説明する。図3及び図4は、本実施の形態による半導体装置を示す図である。
【0045】
図3及び図4に示すように、半導体装置(半導体パッケージ)20は、ダイパッド11と、複数のリード部12と、半導体素子21と、複数のボンディングワイヤ(接続部材)22とを備えている。複数のリード部12は、ダイパッド11の周囲に配置されている。半導体素子21は、ダイパッド11上に搭載されている。ボンディングワイヤ22は、リード部12と半導体素子21とを電気的に接続する。また、ダイパッド11とリード部12の周囲であって、半導体装置20の裏面側に樹脂部18が配置されている。さらに、ダイパッド11、リード部12、半導体素子21及びボンディングワイヤ22は、封止樹脂23によって樹脂封止されている。
【0046】
半導体装置20のダイパッド11、リード部12及び樹脂部18は、上述したリードフレーム10から作製されたものである。ダイパッド11、リード部12及び樹脂部18の構成は、半導体装置20に含まれない領域を除き、上述した図1及び図2に示すものと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0047】
半導体素子21としては、従来一般に用いられている各種半導体素子を使用することが可能である。半導体素子21としては、例えば集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等を用いても良い。この半導体素子21は、各々ボンディングワイヤ22が取り付けられる複数の電極21aを有している。また、半導体素子21は、接着剤24により、ダイパッド11の表面に固定されている。接着剤24としては、例えばダイボンディングペースト等を用いても良い。
【0048】
各ボンディングワイヤ22は、例えば金、銅等の導電性の良い材料からなる。各ボンディングワイヤ22の一端は、それぞれ半導体素子21の電極21aに接続されている。各ボンディングワイヤ22の他端は、それぞれ各リード部12の内部端子面15上に位置するめっき層25に接続されている。
【0049】
封止樹脂23としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいはPPS樹脂等の熱可塑性樹脂を用いても良い。封止樹脂23全体の厚みは、300μm以上1500μm以下程度としても良い。また、封止樹脂23の一辺(半導体装置20の一辺)は、例えば0.2mm以上16mm以下としても良い。ダイパッド11とリード部12との間の空間において、封止樹脂23は、樹脂部18の樹脂表面18a及び樹脂内側面18cに密着している。また封止樹脂23は、リード部12の接続部表面52a及び第2外部端子内側面53eに密着している。
【0050】
図4に示すように、封止樹脂23の表面23aは、外部端子表面53aと同一平面上に位置する。すなわち外部端子表面53aは、封止樹脂23から外方に露出する。これにより、外部端子表面53aを外部と電気的に接続する外部端子面として用いたり(図5(b))、外部端子表面53aを半導体素子21からの熱を放射する熱放射面として用いたりできる(図5(a))。これに限らず、封止樹脂23の表面23aは、外部端子表面53aよりも裏面側(Z方向マイナス側)に位置しても良い。なお、図3において、封止樹脂23の図示を省略している。
【0051】
図5(a)-(c)は、それぞれ本実施の形態による半導体装置20を配線基板80に接続した状態を示している。
【0052】
図5(a)は、半導体装置20の裏面側を配線基板80に接続した状態を示している。この場合、リード部12の第1外部端子裏面53b及びダイパッド11のダイパッド裏面11bは、それぞれ半田部81によって配線基板80に接続される。これにより、リード部12の第1外部端子裏面53bを外部の配線基板80と電気的に接続する外部端子面として用いることができる。また、リード部12の外部端子表面53aを半導体素子21からの熱を放射する熱放射面として用いることができる。さらに、ダイパッド11のダイパッド裏面11bを半導体素子21からの熱を伝導させる熱伝導面として用いることができる。
【0053】
図5(b)は、半導体装置20の表面側を配線基板80に接続した状態を示している。この場合、リード部12の外部端子表面53aは、半田部81によって配線基板80に接続される。これにより、第1外部端子裏面53bよりも面積の大きい外部端子表面53aを、外部と電気的に接続する外部端子面として用いることができる。また、ダイパッド11のダイパッド裏面11bを半導体素子21からの熱を放射する熱放射面として用いることができる。
【0054】
図5(c)は、半導体装置20の裏面側を配線基板80に接続するとともに、複数の半導体装置20を積層した状態を示している。この場合、最も配線基板80側に位置する半導体装置20のリード部12の第1外部端子裏面53b及びダイパッド11のダイパッド裏面11bは、それぞれ半田部81によって配線基板80に接続される。また、配線基板80側に位置する半導体装置20のリード部12の外部端子表面53aと、他の半導体装置20のリード部12の第1外部端子裏面53bとが、互いに電気的に接続される。これにより、複数の半導体装置20を厚み方向(Z方向)に接続できる。
【0055】
(リードフレームの製造方法)
次に、図1及び図2に示すリードフレーム10の製造方法について、図6(a)-(i)を用いて説明する。
【0056】
まず図6(a)に示すように、平板状の金属基板31を準備する。金属基板31としては、銅、銅合金、42合金(Ni42%のFe合金)等の金属からなる基板を使用しても良い。なお金属基板31は、その両面に対して脱脂等を行い、洗浄処理を施したものを使用することが好ましい。
【0057】
次に、金属基板31の表裏全体にそれぞれ感光性レジストを塗布し、乾燥する。続いて、金属基板31上の感光性レジストに対してフォトマスクを介して露光し、現像する。これにより、所望の開口部32b、33bを有するエッチング用レジスト層32、33を形成する(図6(b))。
【0058】
次に、ハーフエッチングにより、金属基板31の裏面側から金属基板31を厚み方向の途中まで薄肉化する。この場合、裏面側のエッチング用レジスト層33を耐腐蝕膜として、金属基板31の裏面側に腐蝕液でエッチングを施す(図6(c))。なお、このとき金属基板31の表面側を図示しないフィルムで覆っても良い。これにより、金属基板31の裏面側に非貫通凹部である裏面側凹部36を形成する。この裏面側凹部36は、樹脂部18に対応する形状を有する。なお、腐蝕液は、使用する金属基板31の材質に応じて適宜選択できる。例えば、金属基板31として銅を用いる場合、腐蝕液は、塩化第二鉄水溶液を使用してもよい。この場合、塩化第二鉄水溶液を金属基板31の一方の面又は両面からスプレーエッチングしても良い。
【0059】
次に、表面側のエッチング用レジスト層32を残して、裏面側のエッチング用レジスト層33を剥離除去する(図6(d))。次いで金属基板31を水洗し、乾燥させる。
【0060】
次に、金属基板31の裏面側に樹脂部18を形成し、樹脂部18によって裏面側凹部36を覆う(図6(e))。このとき、金属基板31の裏面側に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を射出成形又はトランスファ成形しても良い。これにより、樹脂部18が裏面側凹部36内に充填される。なお、ダイパッド裏面11bに対応する部分11eからの樹脂部18の厚みT6は、25μm以上200μm以下としても良い。
【0061】
次に、ハーフエッチングにより、金属基板31の表面側から金属基板31を厚み方向の途中まで薄肉化する。この場合、表面側のエッチング用レジスト層32を耐腐蝕膜として、金属基板31の表面側に腐蝕液でエッチングを施す(図6(f))。なお、腐蝕液としては、金属基板31の裏面側をエッチングする際に用いたものと同様のものを用いても良い(図6(c))。
【0062】
これにより、金属基板31の表面側がエッチングされ、ダイパッド11、リード部12及び支持リード13の外形が形成される。また、ダイパッド11とリード部12との間に隙間が形成され、樹脂部18が表面側に露出する。このとき、ダイパッド11の表面側が、エッチングにより薄肉化される。さらに、リード部12の接続部52及び外部端子53の表面側が、樹脂部18が露出しない程度にエッチングにより薄肉化される。金属基板31の表面側をエッチングする際、例えば接続部52の表面及び外部端子53の表面を図示しないレジストで覆っても良い。この場合、ダイパッド11の表面のエッチング、及び、ダイパッド11とリード部12との間のエッチングが一定程度進んだ後、当該レジストを除去する。その後、接続部52の表面及び外部端子53の表面をそれぞれエッチングにより薄肉化しても良い。あるいは、金属基板31の表面側を一度のエッチングのみにより薄肉化しても良い。
【0063】
次に、樹脂部18を所定の厚みだけ研磨する(図6(g))。具体的には、樹脂部18を裏面側から研磨してゆき、金属基板31を構成する金属部分が出現した後、樹脂部18の研磨を終了する。これにより、ダイパッド11のダイパッド裏面11b及びリード部12の第1外部端子裏面53bが裏面側に露出する。なお、樹脂部18を研磨する方法としては、例えばバフ研磨が挙げられる。
【0064】
本実施の形態において、エッチングにより樹脂部18を表面側に露出させる工程(図6(f))は、樹脂部18を研磨する工程(図6(g))よりも前に行われる。これにより、金属基板31の表面側をエッチングする際、金属基板31の裏面側が樹脂部18によって覆われる。このため、金属基板31の裏面側を他の部材で覆う工程を別途設けることなく、金属基板31の表面側のみを薄肉化できる。なお、樹脂部18を研磨する工程(図6(g))は、金属基板31の表面側をエッチングする工程(図6(f))よりも前に行っても良い。
【0065】
次に、表面側のエッチング用レジスト層32を剥離除去する(図6(h))。次いで金属基板31を水洗及び乾燥させる。
【0066】
その後、リード部12の内部端子51に電解めっきを施す。これによりリード部12の内部端子51上に金属(例えば銀)を析出させて、めっき層25を形成する。このようにして図1及び図2に示すリードフレーム10が得られる(図6(i))。
【0067】
(半導体装置の製造方法)
次に、図3及び図4に示す半導体装置20の製造方法について、図7(a)-(e)を用いて説明する。
【0068】
まず、例えば図6(a)-(i)に示す方法により、リードフレーム10を作製する(図7(a))。
【0069】
次に、リードフレーム10のダイパッド11上に、半導体素子21を搭載する。この場合、接着剤24を用いて、半導体素子21をダイパッド11上に載置して固定する(ダイアタッチ工程)(図7(b))。接着剤24としては、例えばダイボンディングペースト等を用いても良い。
【0070】
次に、半導体素子21の各電極21aと、各リード部12に形成されためっき層25とを、それぞれボンディングワイヤ(接続部材)22によって互いに電気的に接続する(ワイヤボンディング工程)(図7(c))。このとき、図示しないワイヤボンディング装置のキャピラリーを介して超音波を印加しながら、半導体素子21の各電極21aと各リード部12の内部端子51とをボンディングワイヤ22により接続する。
【0071】
次に、リードフレーム10に対して、例えば熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を射出成形又はトランスファ成形することにより、封止樹脂23を形成する(図7(d))。このようにして、ダイパッド11、リード部12、半導体素子21及びボンディングワイヤ22を封止する。
【0072】
次に、各半導体素子21間の封止樹脂23及び支持リード13をダイシングする。これにより、リードフレーム10を各半導体装置20毎に分離する。この際、例えば人工ダイヤモンドを含有したブレードを回転させながら、各半導体装置20間の封止樹脂23及び支持リード13を切断しても良い。
【0073】
このようにして、図3及び図4に示す半導体装置20が得られる(図7(e))。
【0074】
このように本実施の形態によれば、ダイパッド11は表面側から薄肉化され、内部端子51は表面側及び裏面側の両方から薄肉化されている。これにより、半導体素子21及びボンディングワイヤ22をより裏面側に配置でき、半導体装置20の全体の厚みを薄くできる。
【0075】
また、本実施の形態によれば、樹脂部18は、内部端子51及び接続部52の裏面側に位置する。すなわち樹脂部18は、リード部12を裏面側から支持する。これにより、リードフレーム10の製造工程及び半導体装置20の製造工程において、リード部12が変形することを抑制できる。このため、リード部12の厚みを薄くすることが可能となり、リードフレーム10及び半導体装置20の全体の厚みも薄くできる。
【0076】
また、本実施の形態によれば、ダイパッド11のダイパッド表面11aは、樹脂部18の樹脂表面18aのうちダイパッド11とリード部12との間に位置する部分よりも裏面側に位置する。これにより、半導体素子21及びボンディングワイヤ22をより裏面側に配置でき、半導体装置20の全体の厚みを薄くできる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、外部端子53は、表面側から薄肉化されておらず、外部端子53の少なくとも一部が裏面側から薄肉化されている。これにより、外部端子表面53aを外部と電気的に接続する外部端子面として用いたり、外部端子表面53aを半導体素子21からの熱を放射する熱放射面として用いたりできる。
【0078】
また、本実施の形態によれば、接続部52は、表面側及び裏面側の両方から薄肉化されている。これにより、樹脂部18が接続部裏面52bから剥離することを抑制できる。すなわち、各リード部12の内部端子51にボンディングワイヤ22を接続する際(図7(c)参照)、各リード部12にはキャピラリーによって表面側から裏面側に向けて押圧力が加わる。その後、キャピラリーによる押圧力が解除されたときに、接続部52には裏面側から表面側に向けて、上記押圧力に対する反発力が生じる。本実施の形態によれば、接続部52は、表面側及び裏面側の両方から薄肉化されることにより、厚みが薄く、柔軟になっている。これにより、キャピラリーによる押圧力が解除されたときに接続部52に生じる反発力を低減できる。この結果、樹脂部18が接続部裏面52bから剥離することを抑制できる。
【0079】
また、本実施の形態によれば、内部端子51の厚みT2は、リードフレーム10の最大厚みT1の10%以上である。これにより、内部端子51と外部端子53との導電性を確保できる。また、内部端子51の厚みT2は、リードフレーム10の最大厚みT1の45%以下である。これにより、樹脂封止後の半導体装置20の厚みを薄肉化できる。
【0080】
(変形例)
次に、図8及び図9により、本実施の形態による半導体装置の変形例について説明する。図8及び図9に示す変形例は、リード部12の外部端子53の構成が異なるものであり、他の構成は、図1乃至図7に示す実施の形態と略同一である。図8及び図9において、図1乃至図7と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0081】
図8に示す半導体装置20Aにおいて、外部端子53は、表面側から薄肉化されておらず、その全体が裏面側から薄肉化されている。外部端子53は、外部端子表面53aと、第2外部端子裏面53cと、第2外部端子内側面53eとを有する。この場合、外部端子53は、第1外部端子裏面53bと第1外部端子内側面53dとを有していない。
【0082】
この半導体装置20Aは、上述した図1及び図2に示すリードフレーム10から作製される。すなわち、半導体装置20Aの外部端子53は、上述した図1及び図2に示すリードフレーム10の外部端子53のうち、裏面側から薄肉化されていない部分(図8の仮想線で示す部分)を除去したものである。半導体装置20Aの製造工程において、封止樹脂23及び支持リード13をダイシングする際(図7(e))、第1外部端子内側面53dよりも内側の位置でリード部12を切断する。これにより、図8に示す半導体装置20Aが得られる。
【0083】
図9に示すように、半導体装置20Aは、その表面側が配線基板80に接続される。この場合、リード部12の外部端子表面53aは、半田部81によって配線基板80に接続される。これにより、外部端子表面53aを外部と電気的に接続する外部端子面として用いることができる。また、ダイパッド11のダイパッド裏面11bを半導体素子21からの熱を放射する熱放射面として用いることができる。
【0084】
本変形例によれば、半導体装置20Aの厚みを薄くするとともに、半導体装置20Aのサイズを小さくできる。
【0085】
(第2の実施の形態)
次に、図10乃至図12を参照して第2の実施の形態について説明する。図10乃至図12は第2の実施の形態を示す図である。図10乃至図12に示す第2の実施の形態は、主として、ダイパッド11と樹脂部18との間、又は、リード部12と樹脂部18との間に、金属層27a~27cが入り込んでいる点が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態と略同一である。図10乃至図12において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0086】
(リードフレームの構成)
図10は本実施の形態によるリードフレーム10Aを示す断面図であり、図11は本実施の形態によるリードフレーム10Aを示す部分拡大断面図である。
【0087】
図10及び図11に示すリードフレーム10Aにおいて、ダイパッド11と樹脂部18との間、及び、リード部12と樹脂部18との間に、金属層27a~27cが入り込んでいる。金属層27a~27cのそれぞれの一部は、外方に露出していても良い。金属層27a~27cは、リードフレーム10Aの表面側及び裏面側の両方に形成されていても良い。金属層は、リードフレーム10Aの表面側のみ、又は、リードフレーム10Aの裏面側のみに形成されていても良い(図示せず)。
【0088】
図10及び図11に示すように、金属層27aは、表面側において、リード部12と樹脂部18との間に入り込んでいる。具体的には、金属層27aは、リード部12の内部端子裏面51bと、樹脂部18の樹脂表面18aとの間に入り込んでいる。金属層27aは、断面視で逆T字状であっても良い。金属層27aは、樹脂部18の樹脂表面18a上に延びている。具体的には、金属層27aは、樹脂表面18a上であって、リード側面51cよりも接続部52側、及び、リード側面51cよりもダイパッド11側の両方に延びている。金属層27aは、リード側面51cの厚み方向全域にわたって延びていても良い。金属層27aは、内部端子面15上に位置するめっき層25と一体化されているが、めっき層25と一体化されていなくても良い。
【0089】
図10及び図11に示すように、金属層27bは、裏面側において、ダイパッド11と樹脂部18との間に入り込んでいる。具体的には、金属層27bは、ダイパッド11のダイパッド側面11cと、樹脂部18の樹脂内側面18cとの間に入り込んでいる。金属層27bは、断面視でL字状であっても良い。金属層27bは、ダイパッド表面11aまで達していないが、ダイパッド表面11aまで達していても良い。また金属層27bは、樹脂部18の樹脂裏面18b上に延びる。
【0090】
図10及び図11に示すように、金属層27cは、裏面側において、リード部12と樹脂部18との間に入り込んでいる。具体的には、金属層27cは、リード部12の第1外部端子内側面53dと、樹脂部18の樹脂外側面18dとの間に入り込んでいる。金属層27cは、断面視でL字状であっても良い。金属層27cは、第2外部端子裏面53cまで達していないが、第2外部端子裏面53cまで達していても良い。また金属層27cは、樹脂部18の樹脂裏面18b上に延びる。
【0091】
金属層27a~27cは、めっき層であっても良い。金属層27a~27cを構成する金属は、例えば銀、銅又ははんだ(錫合金)であっても良い。金属層27a~27cは、めっき層25と同一種類の金属から構成されていても良い。
【0092】
金属層27a~27cは、ダイパッド11と樹脂部18との間、及び、リード部12と樹脂部18との間のうち、一方のみに入り込んでいても良い。
【0093】
(半導体装置の構成)
本実施の形態によるリードフレーム10Aを用いて作製される半導体装置は、金属層27a~27cが入り込んでいる点のほか、上述した第1の実施の形態による半導体装置20、20Aと略同一である。
【0094】
(リードフレームの製造方法)
次に、図10及び図11に示すリードフレーム10Aの製造方法について、図12(a)-(d)を用いて説明する。図12(a)-(d)において、図6(a)-(i)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0095】
まず、上述した図6(a)-(h)に示す工程と略同様にして、ダイパッド11、リード部12及び支持リード13を有する金属基板31を作製する。ダイパッド11とリード部12の周囲には樹脂部18が配置される(図12(a))。
【0096】
次に、金属基板31の表面側及び裏面側にそれぞれめっき用レジスト層34、35を設ける(図12(b))。このとき、表面側のめっき用レジスト層34は、ダイパッド11のダイパッド表面11a、及び、リード部12の接続部表面52a、第2外部端子内側面53e、外部端子表面53aを覆う。一方、リード部12の内部端子面15、リード側面51c、及び、樹脂部18の樹脂表面18aは、めっき用レジスト層34に覆われることなく金属基板31が露出する。また裏面側のめっき用レジスト層35は、ダイパッド11のダイパッド裏面11b、及び、リード部12の第1外部端子内側面53dを覆う。一方、樹脂部18の樹脂裏面18bは、めっき用レジスト層35に覆われることなく金属基板31が露出する。
【0097】
なお、金属層をリードフレーム10Aの裏面側に形成しない場合、樹脂部18の樹脂裏面18bを含む、金属基板31の裏面側の全域をめっき用レジスト層35で覆っても良い。金属層をリードフレーム10Aの表面側に形成しない場合、リード部12の内部端子面15、リード側面51c、及び、樹脂部18の樹脂表面18aを含む、金属基板31の表面側の全域をめっき用レジスト層34で覆っても良い。
【0098】
続いて、金属基板31のうちめっき用レジスト層34、35に覆われていない領域に電解めっきを施す(図12(c))。これにより、リード部12の内部端子面15上に金属(例えば銀)を析出させて、めっき層25を形成する。また、表面側において、リード部12と樹脂部18との隙間に金属(例えば銀)が析出する。これにより、リード部12と樹脂部18との間に金属層27aが入り込む。同様に、裏面側において、ダイパッド11と樹脂部18との隙間、及び、リード部12と樹脂部18との隙間に金属(例えば銀)が析出する。これにより、ダイパッド11と樹脂部18との間、及び、リード部12と樹脂部18との間にそれぞれ金属層27b、27cが入り込む。
【0099】
その後、めっき用レジスト層34、35を剥離除去することにより、図10及び図11に示すに示すリードフレーム10Aが得られる(図12(d))。
【0100】
(半導体装置の製造方法)
本実施の形態による半導体装置の製造方法は、図7(a)-(e)に示す半導体装置20の製造方法と略同様にして行うことができる。
【0101】
本実施の形態によれば、ダイパッド11と樹脂部18との間、及び、リード部12と樹脂部18との間に、金属層27a~27cが入り込んでいる。これにより、ダイパッド11と樹脂部18との界面、又は、リード部12と樹脂部18との界面から、半導体素子21側に水分が侵入することを抑えられる。この結果、長期間の使用後における半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0102】
上記各実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0103】
10 リードフレーム
10a パッケージ領域
11 ダイパッド
12 リード部
13 支持リード(支持部材)
14 吊りリード
15 内部端子面
17 外部端子面
18 樹脂部
20 半導体装置
51 内部端子
52 接続部
53 外部端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12