(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017288
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】給液ノズル
(51)【国際特許分類】
B67D 7/42 20100101AFI20230131BHJP
【FI】
B67D7/42 A
B67D7/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121439
(22)【出願日】2021-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 太介
(72)【発明者】
【氏名】藤ケ森 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊東 直人
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA02
3E083AA06
3E083AG07
3E083AG11
(57)【要約】
【課題】燃料補給作業における作業性の向上をはかった給液ノズルを提供する。
【解決手段】操作レバー4の操作に応動させてノズル本体2内の液通路に設けられたノズル弁を開閉し、ノズル弁の下流側の液通路に連通させてノズル本体2に接続されて設けられた吐出パイプ3から燃料を吐出させる給油ノズル1であって、吐出パイプ3を屈曲自在なフレキシブル金属管30を用いて構成し、吐出パイプ3の外周面には、給油ノズル1を燃料補給口に保持するための抜け止めコイルスプリング35が巻回されて設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバーの操作に応動させてノズル本体内の液通路に設けられた弁を開閉し、前記弁の下流側の液通路に連通させて前記ノズル本体に接続されて設けられた吐出パイプから燃料を吐出させる給液ノズルであって、
前記吐出パイプを屈曲自在なフレキシブルパイプで構成し、
前記吐出パイプの外周面には、給液ノズルを給液対象の燃料補給口に保持するための抜け止めスプリングが巻回されて設けられた、
給液ノズル。
【請求項2】
前記吐出パイプは、
前記ノズル本体に接続される基端側パイプ部分と、
燃料の吐出端となる先端側パイプ部分と、
前記基端側パイプ部分と前記先端側パイプ部分とを接続する中間パイプ部分と
で構成され、
前記基端側パイプ部分と前記先端側パイプ部分とが剛性パイプで構成され、
前記中間パイプ部分がフレキシブルパイプで構成されている、
請求項1に記載の給液ノズル。
【請求項3】
前記抜け止めスプリングは、前記基端側パイプ部分の外周面に固定され、前記中間パイプ部分を延び、
前記抜け止めスプリングは、前記中間パイプ部分の外周面との間に径方向の隙間を設けて巻回されている、
請求項2に記載の給液ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料を補給する給液機の給液ホース先端に設けられ、例えば鉄道車両の気動車等の燃料タンクに燃料を補給する給液ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
給液ノズルには、燃料タンクが満タンになった後に燃料が燃料補給口から溢れ出すのを防止するため、自動閉弁機構が備えられている。自動閉弁機構は、燃料補給口に挿入される給液ノズルの吐出パイプ筒先の大気導入口が燃料液面等によって閉塞されると、ノズル本体内を流れる燃料によるベンチュリ効果で発生する負圧を利用して、操作レバーの開弁操作で開弁状態になっているノズル弁を、操作レバーの操作状態にかかわらず閉弁する構成になっている。
【0003】
一方、ディーゼルエンジンを搭載する鉄道車両の気動車の燃料タンクは、台車に搭載された車体下面に取り付けられている。そして、燃料補給口は、タンク本体から延出された導入管を介して、車体下面の車体側に寄った高さ位置で、車体の側方側に向けて設けられている。そこで、鉄道車両の気動車等の燃料タンクに燃料を補給する給液ノズルは、吐出パイプ筒先を燃料補給口に挿入しやすく、燃料補給中は給液ノズルを燃料補給口に掛止しておきやすいように、吐出パイプが特許文献1に記載されているような屈曲形態に予め形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、鉄道車両の気動車等の燃料タンクは、燃料補給口およびタンク本体の車体下面における配置位置および配置環境が気動車の型式に応じて異なっている。そのため、従来の、吐出パイプが屈曲形態に予め形成されている給液ノズルでは、例えば主要型式以外の型式の気動車の燃料タンクへの燃料補給時に使用する場合に、車体や台車、隣接する車体取付機器が給液ノズルに対し干渉して、給液ノズルの吐出パイプが燃料補給口に挿入しにくかったり、操作レバーの操作が行いにくい、といった問題があった。
【0006】
また、燃料補給口やタンク本体の車体下面における配置位置に関係して、燃料補給口とタンク本体との間を連通する導入管もその構造や延設状態等が気動車の型式に応じて異なる。そのため、特定の型式の気動車では、燃料補給開始後すぐに給液ノズルの自動閉弁機構が燃料付着や泡で誤作動してしまうことがあった。通常、このような場合は、自動閉弁機構の誤作動の都度、自動閉弁機構がなるべく誤作動を起こしにくいように、例えば、吐出パイプから吐出される単位時間当たりの流量を調整したり、燃料補給口に対する吐出パイプの挿入具合を調整しながら、残りの燃料を補給しなければならない。
【0007】
このような場合、従来の、吐出パイプが屈曲形態に予め形成されている給液ノズルでは、燃料補給口に対する吐出パイプの挿入姿勢や挿入加減を調整するにしても、その挿入姿勢や挿入加減は、吐出パイプを備えた給液ノズル全体の姿勢で調整せざるを得ない。しかしながら、給液ノズル全体の姿勢の調整は、給液ノズルが車体や台車、隣接する車体取付機器干渉してしまうので限られたものとなっていた。
【0008】
本開示は、上述した問題点を鑑みてなされたものであって、燃料補給口に対する吐出パイプの挿入姿勢や挿入加減を他部からの干渉を受けることなく吐出パイプで独立して調整を行うことができ、燃料補給作業における作業性の向上をはかった給液ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る給液ノズルは、前述した課題を解決するために、操作レバーの操作に応動させてノズル本体内の液通路に設けられた弁を開閉し、前記弁の下流側の液通路に連通させて前記ノズル本体に接続されて設けられた吐出パイプから燃料を吐出させる給液ノズルであって、前記吐出パイプを屈曲自在なフレキシブルパイプで構成し、前記吐出パイプの外周面には、給液ノズルを給液対象の燃料補給口に保持するための抜け止めスプリングが巻回されて設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本開示の給液ノズルによれば、燃料補給口に対する吐出パイプの挿入姿勢や挿入加減を他部からの干渉を受けることなく吐出パイプで独立して調整を行うことができ、燃料補給作業における作業性の向上をはかることができる。
【0011】
また、本開示の上記した以外の、課題、構成および効果については、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の給液ノズルに係る一実施例の給油ノズルの一部切断外観図である。
【
図2】
図1に示した給油ノズルにおける吐出パイプの拡大図である。
【
図3】
図2に示した吐出パイプの基端側部分の外観図である。
【
図4】
図2に示した吐出パイプの基端側部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に係る給液ノズルの一実施の形態について、図面に基づいて説明する。以下、説明に当たっては、鉄道車両の気動車の燃料タンクに燃料を補給する給油ノズルを例に説明するが、本開示に係る給液ノズルは、鉄道車両用の給液ノズルに限られるものではない。本開示に係る給液ノズルは、操作レバーの操作に応動させてノズル本体内の液通路に設けられた弁を開閉し、弁の下流側の液通路に連通させてノズル本体に接続されて設けられた吐出パイプから燃料を吐出させる構成の給液ノズルであれば、ノズル本体の具体的構成・形態に限定されることなく、適用可能である。
【0014】
図1は、本開示の給液ノズルに係る一実施例の給油ノズルの一部切断外観図である。
図2は、
図1に示した給油ノズルにおける吐出パイプの拡大図である。
【0015】
本実施例の給油ノズル1は、ノズル本体2に吐出パイプ3が接続固定された構成になっている。ノズル本体2の内部には、ノズル本体2を貫通して延びる液通路が形成されている。液通路の一側開口端は、接手を介して給油ホースが接続され、他側開口端は、吐出パイプ3の接続部になっている。液通路の一側開口端には、給油ホースを介して、ポンプ等を備えた給油機本体から送液された燃料油液が供給される。
【0016】
図面上、
図1には表れないが、ノズル本体2内の液通路の途中には、液通路に設けられた弁座に弁体を離・着座させることによって、液通路を連通・遮断するノズル弁が設けられている。給油ノズル1に給油ホースを介して供給された燃料油液は、一側開口端からノズル弁を介して他側開口端に、液通路中を流れるようになっている。
【0017】
ノズル弁の弁体は、同じく
図1には表れないが、ノズル本体2内に設けられた弁軸機構を介して、
図1に示した操作レバー4と連結されている。弁軸機構は、操作レバー4の開閉弁操作に応動して、ノズル弁の弁体を弁座に対して離・着座させる。操作レバー4は、
図1に示すように、基端がノズル本体2に回動可能に軸支され、その回動によって、自由端側がノズル本体2のノズル本体把持部5に対して近接又は離間できるようになっている。
【0018】
操作レバー4は、その回動軌跡で取り囲むようにして設けられたレバーガード6によって保護されている。レバーガード6には、レバーフックが取り付けられ、操作レバー4の自由端をレバーフックに設けられたいずれかの段部に掛止することよって、操作レバー4から手を離しても、操作レバー4の開弁操作位置を掛止した段部に対応するノズル弁の弁開位置に保持できる。
【0019】
また、ノズル本体2内には、
図1には表れないが、吐出パイプ3の筒先の液面検知口(大気導入口)7が燃料油液やその泡によって閉塞されると、液通路を流れる燃料油液によるベンチュリ効果で発生する負圧を利用して、操作レバー4の開弁操作で開弁状態になっているノズル弁を、操作レバー4の操作状態にかかわらず閉弁する自動閉弁機構が設けられている。
【0020】
自動閉弁機構は、負圧室と、負圧発生部と、一端が負圧発生部に連通し、他端が負圧室に連通した負圧通路と、一端が吐出パイプ3の液面検知口7に連通し、他端が負圧室に連通した補償通路と、を有する。負圧室は、ダイアフラムの可動隔壁で画成されて、ノズル本体2内に設けられている。負圧発生部は、液通路の一側開口端から流入した燃料が吐出パイプ3の筒先から流出している、操作レバー4の開弁操作状態で、液通路を流れる燃料のベンチュリ効果で負圧を発生する。
【0021】
自動閉弁機構は、吐出パイプ3の筒先の液面検知口7が燃料油液やその泡によって閉塞されると、負圧発生部で発生した負圧が液面検知口7から導入される大気圧で補償されなくなり、負圧室が負圧状態になってダイアフラムの可動隔壁が移動変位し、この可動隔壁の移動変位に連動して弁軸機構におけるノズル弁の弁体と操作レバー4との連結を解除して、操作レバー4の操作状態にかかわらずノズル弁を閉弁させる。
【0022】
一方、このように構成されたノズル本体2の他側開口端に接続固定された吐出パイプ3は、
図2に示すように、液面検知口7が設けられた先端側パイプ部分11と、ノズル本体2の他側開口端に接続固定される基端側パイプ部分13とが、剛性を有した金属管部材で構成され、これら先端側パイプ部分11と基端側パイプ部分13との間の中間パイプ部分12が蛇腹状の管壁(ベローズ)を有した屈曲可能なフレキシブル金属管部材で構成されている。
【0023】
これに伴い、一端が吐出パイプ3の液面検知口7に連通し、他端が負圧室に連通した補償通路における、吐出パイプ3内を延びる通路部分の負圧補償管20も、液面検知口7の構成部分21が剛性を有した金属部材で構成され、液面検知口7の構成部分21からノズル本体2に形成された補償通路部分24までのパイプ内延設部分22が、屈曲可能なフレキシブル金属管部材で構成されている。
【0024】
ここで、吐出パイプ3の、屈曲可能なフレキシブル金属管部材で構成された部分と、剛性を有した金属管部材で構成された部分との接続固定構成について、
図2において点線の枠線で囲んで示した、吐出パイプ3の基端側パイプ部分13と中間パイプ部分12との接続固定部を例に、
図3、
図4を参照しながら説明する。なお、吐出パイプ3の先端側パイプ部分11と中間パイプ部分12との接続固定部については、吐出パイプ3の基端側パイプ部分13と中間パイプ部分12との接続固定部と同様な接続固定構成であるので、その説明は省略する。
【0025】
図3は、吐出パイプにおける、基端側パイプ部分と中間パイプ部分との接続固定部の外観図である。
図4は、
図3に示した吐出パイプにおける、吐出パイプの基端側パイプ部分と中間パイプ部分との接続固定部の断面図である。
【0026】
図4に示すように、中間パイプ部分12を構成する蛇腹状の管壁を有したフレキシブル金属管30の管端側部分の外周には、剛性を有した筒状金属部材で構成された固定金具31が装着固定される。固定金具31は、例えば、フレキシブル金属管30の管端側部分の外周に圧入する等して、フレキシブル金属管30の管端側部分に一体的に装着固定される。それから、外周に固定金具31が装着固定されたフレキシブル金属管30の管端部分と、ノズル本体2の他側開口端に接続固定される基端側パイプ部分13を構成する剛性金属管32の管端部分とが、例えばTIG溶接(タングステン・イナート・ガス溶接)等を使用して、一体的に溶接固定される。その際、図示の例では、吐出パイプ3は、基端側パイプ部分13を構成する剛性金属管32のパイプ外周面の径は、固定金具31部分のパイプ外周面の径よりも小径になっており、両外周面の境界には、段部33が形成されている。
【0027】
これにより、吐出パイプ3は、中間パイプ部分12の、蛇腹状の管壁を有した屈曲可能なフレキシブル金属管30を屈曲・伸長することによって、吐出パイプ3の姿勢を任意の屈曲状態に保ったり、伸長状態に保ったりすることができる。このフレキシブル金属管30の屈曲・伸長に伴って、吐出パイプ3は、ノズル本体2の他側開口端に接続固定された基端側パイプ部分13の伸長向きに対して、吐出パイプ3の筒先の先端側パイプ部分11の伸長向きを任意の向きに変更できる。すなわち、吐出パイプ3の中間パイプ部分12となるフレキシブル金属管30を屈曲・伸長することで、ノズル本体2の姿勢はそのままに、ノズル本体2に対する吐出パイプ3の筒先開口の向きを所望の向きに向けたり、吐出パイプ3の筒先開口の向きはそのままに、吐出パイプ3に対するノズル本体2の姿勢を所望の姿勢に調整したりすることができる。
【0028】
そして、吐出パイプ3の外周には、
図2、
図3に示すように、燃料補給対象への燃料補給中、給油ノズル1が燃料タンクの燃料補給口から脱落するのを防止する金属製の抜け止めコイルスプリング35が、
図2および
図3に示すように巻回されている。抜け止めコイルスプリング35は、コイル内径に係り、大径部36の一側端部に小径部37が連設された形態になっている。
【0029】
抜け止めコイルスプリング35の大径部36は、吐出パイプ3の中間パイプ部分12となるフレキシブル金属管30の凸部(山折り部)の外径よりも大きなコイル内径を有している。図示の例では、抜け止めコイルスプリング35の大径部36と、フレキシブル金属管30とが同軸になるように巻回されている場合、抜け止めコイルスプリング35の大径部36の内周面と、フレキシブル金属管30の蛇腹(ベローズ)の凸部(山折り部)の外周面との間には、
図3に示すように、径方向に隙間δが生成されるようになっている。そして、抜け止めコイルスプリング35の大径部36の軸方向に沿った長さは、フレキシブル金属管30の軸方向に沿った長さと略等しく、またはそれよりも長く形成されている。また、抜け止めコイルスプリング35の大径部36のピッチPは、フレキシブル金属管30の蛇腹の一連の凸部(山折り部)および凹部(谷折り部)のピッチpよりも長く形成された上で、フレキシブル金属管30の軸方向に沿って、抜け止めコイルスプリング35の大径部36は複数回巻回された構成になっている。
【0030】
また、抜け止めコイルスプリング35の小径部37は、基端側パイプ部分13の剛性金属管32の外周面に巻回されて緊結されている。これにより、抜け止めコイルスプリング35の小径部37は、固定金具31部分との段部33とノズル本体2との間の剛性金属管32の外周面に抜け止め固定された構成になっている。
【0031】
次に、このように構成された本実施例の給油ノズル1を、鉄道車両の気動車等の燃料タンクに燃料を補給する給油機の給油ノズルとして使用した場合の、作用・効果について説明する。
【0032】
例えば気動車の燃料タンクへの燃料補給時に、型式の違いによって、燃料補給口の向きや燃料補給口とタンク本体との間を連通する導入管の構造や延設状態が異なる。そのため、燃料補給作業では、特定の型式の車輌について、給油ノズル1の吐出パイプ3を燃料補給口に挿入しにくかったり、吐出パイプ3を燃料補給口に挿入しても給油ノズル1の姿勢状態が不安定であったり、車体や台車、隣接する車体取付機器が給油ノズル1に対し干渉して、操作レバー4やノズル本体把持部5を把持しにくいといった問題が生じる。
【0033】
このような問題が生じる恐れがある場合は、本実施例の給油ノズル1によれば、吐出パイプ3の中間パイプ部分12がフレキシブル金属管30で構成され、吐出パイプ3は屈曲可能に構成されているので、フレキシブル金属管30を屈曲・伸長することで、ノズル本体2の姿勢はそのままに、ノズル本体2に対する吐出パイプ3の筒先開口の向きを所望の向きに向けたり、吐出パイプ3の筒先開口の向きはそのままに、吐出パイプ3に対するノズル本体2の姿勢を所望の姿勢に調整したりすることができる。
【0034】
これにより、本実施例の給油ノズル1によれば、燃料補給口の向きや燃料補給口とタンク本体との間を連通する導入管の構造や延設状態が異なる様々な型式の車輌に対して、燃料補給口に対する吐出パイプ3の挿入姿勢や挿入加減を調整したり、操作レバー4やノズル本体把持部5を把持し易いように吐出パイプ3に対するノズル本体2の姿勢に調整したりすることができ、給油ノズル1の安定した姿勢状態で、燃料補給作業における作業性の向上をはかることができる。
【0035】
吐出パイプ3のフレキシブル金属管30の外周には、抜け止めコイルスプリング35が隙間δを設けるようにして巻回されて設けられている。そのため、燃料補給中に給油ノズル1を燃料補給口に掛止しておく場合でも、フレキシブル金属管30の蛇腹の一連の凹凸部だけが燃料補給口の開口縁部に引っ掛かり、給油ノズル1が燃料補給口に掛止されることがなく、必ず抜け止めコイルスプリング35が燃料補給口の開口縁部に引っ掛かり、給油ノズル1が燃料補給口に掛止されるようになっている。加えて、抜け止めコイルスプリング35は、吐出パイプ3の剛性金属管32の外周面に巻回されて緊結された構成になっている。
【0036】
これにより、給油ノズル1を燃料補給口に掛止する場合であっても、フレキシブル金属管30には負荷がかからない構造になっているので、吐出パイプ3のフレキシブル金属管30の耐久性を延ばすことができるとともに、給油ノズル1を燃料補給口に掛止したときの給油ノズル1の支持も安定する。
【0037】
また、吐出パイプ3を屈曲させる場合も、フレキシブル金属管30には抜け止めコイルスプリング35が巻回されているので、抜け止めコイルスプリング35の屈曲時に発生する反力によって、フレキシブル金属管30の蛇腹の特定の凹凸部だけの屈曲が集中することがなくなり、吐出パイプ3のフレキシブル金属管30の耐久性を延ばすことができる。
【0038】
なお、本開示に係る給液ノズルは、上述した実施例の給油ノズル1の具体的構成に限定されるものではなく、吐出パイプを屈曲自在なフレキシブルパイプで構成し、吐出パイプの外周面には、給液ノズルを給液対象の燃料補給口に保持するための抜け止めスプリングが巻回されて設けられた給液ノズルであれば、ノズル本体を含め、他の構成部分の具体的な構成・形態は種々の変形例が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 給油ノズル、
2 ノズル本体、
3 吐出パイプ、
4 操作レバー、
5 ノズル本体把持部、
6 レバーガード、
7 液面検知口、
11 先端側パイプ部分、
12 中間パイプ部分、
13 基端側パイプ部分、
20 負圧補償管、
21 液面検知口の構成部分、
22 パイプ内延設部分、
24 ノズル本体の補償通路部分、
30 フレキシブル金属管、
31 固定金具、
32 剛性金属管、
33 段部、
35 抜け止めコイルスプリング、
36 大径部、
37 小径部。