(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172880
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】飛行体用回転翼及び飛行体用回転翼のモータのシャフトへの取付構造
(51)【国際特許分類】
B64U 30/29 20230101AFI20231129BHJP
F04D 29/34 20060101ALI20231129BHJP
F04D 29/24 20060101ALI20231129BHJP
F04D 29/38 20060101ALI20231129BHJP
B64C 27/48 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B64U30/29
F04D29/34 J
F04D29/24 A
F04D29/38 A
B64C27/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029810
(22)【出願日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2022084342
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501368724
【氏名又は名称】アイティテクノ 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 孝之
(72)【発明者】
【氏名】冨田 彰子
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC01
3H130BA22C
3H130CB07
3H130DD01Z
3H130EC17C
3H130ED01C
3H130ED04C
(57)【要約】
【課題】回転翼部とハブ部との連結部の強度を高めた飛行体用回転翼及び飛行体用回転翼のモータのシャフトへの取付構造を提供する。
【解決手段】回転中心を備えたハブ部2と、ハブ部2の外周に放射状に配設される3枚以上の回転翼部3を備える樹脂製の飛行体用回転翼1であって、飛行体用回転翼1を正面から見たい時に、ハブ部2と回転翼部3との連結部5において、隣接する連結部5は、一部が重なって見え、連結部5の重なって見える部分における、一方の回転翼部32の前縁部32aと他方の回転翼31部とは、リブ部6で連結されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心を備えたハブ部と、前記ハブ部の外周に放射状に配設される3枚以上の回転翼部を備える樹脂製の飛行体用回転翼であって、
前記飛行体用回転翼を正面から見た時に、前記ハブ部と前記回転翼部との連結部において、隣接する前記連結部は、一部が重なって見え、
前記連結部の重なって見える部分における、一方の回転翼部の前縁部と他方の回転翼部とは、リブ部で連結されていることを特徴とする飛行体用回転翼。
【請求項2】
前記リブ部は、前記他方の回転翼部の後縁部を含む領域に形成されている請求項1に記載の飛行体用回転翼。
【請求項3】
前記飛行体用回転翼を側面から見た時に、前記リブ部は、前記一方の回転翼部の前縁部の先端部から、前記他方の回転翼部方向に形成されている請求項1または請求項2に記載の飛行体用回転翼。
【請求項4】
前記リブ部は、前記飛行体用回転翼を正面から見た時に、前記ハブ部にも形成され、前記リブ部が形成される前記ハブ部における接線より前記ハブ部側に形成されている請求項3に記載の飛行体用回転翼。
【請求項5】
回転中心を備えたハブ部と、前記ハブ部の外周に放射状に配設される3枚以上の回転翼部を備える樹脂製の飛行体用回転翼のモータのシャフトへの取付構造であって、
前記飛行体用回転翼は、正面から見た時に、前記ハブ部と前記回転翼部との連結部において、隣接する前記連結部は、一部が重なって見え、
前記連結部の重なって見える部分における、一方の回転翼部の前縁部と他方の回転翼部とは、リブ部で連結されており、
前記ハブ部の前記回転中心は、円柱の一部が、円の直径に対称に削除された貫通孔であり、
前記回転中心に挿通される前記モータの前記シャフトの飛行体用回転翼取付部の断面は、前記回転中心の形状に合致し、
前記シャフトの前記飛行体用回転翼取付部には溝部が形成され、
前記飛行体用回転翼取付部に前記飛行体用回転翼の前記貫通孔を挿通した後、前記溝部に飛行体用回転翼固定部材を取付けることを特徴とする飛行体用回転翼のモータのシャフトへの取付構造。
【請求項6】
前記飛行体用回転翼固定部材は、スナップリングである請求項5に記載の飛行体用回転翼のモータのシャフトへの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ドローンなどの飛行体に使用される回転中心を備えたハブ部と、ハブ部の外周に放射状に配設される3枚以上の回転翼部を備える飛行体用回転翼及び飛行体用回転翼のモータのシャフトへの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、物流・農業分野などで深刻化する労働力不足への対策として、複数の回転翼を備え、無線により電波を利用して飛行できる無人航空機であるドローンの活用領域が広がっている。このようなドローンにおいては、重量物を、過疎地や離島など遠くまで運搬する必要性の観点から、回転翼を大型化したタイプの普及が望まれている。
【0003】
一方、空飛ぶ車も開発が進められている。空飛ぶ車は、飛行機のような翼を有するタイプか、回転翼(プロペラ、ブレードともいう)タイプか、駆動方法では、エンジンタイプ駆動か、モータ駆動か、タイヤで道路を走行できるかどうかなどによって種々に分類されるが、現在、もっとも開発が進められているのは、ドローンをそのまま大きくして乗車可能にした、すなわち、回転翼を有するタイプである。
【0004】
これらのドローンに用いられている回転翼(飛行体用回転翼)は、モータ駆動の回転中心を備えたハブ部と、ハブ部の外周に放射状に配設される回転翼部を有している。ドローンに使用される回転翼部の数は、2枚、3枚、4枚などであるが、重量物を運搬する場合や空飛ぶ車などに使用される回転翼部の直径が大きい場合には、回転翼部の数を増やすことにより、モータの回転数を増加させることなく大きな推進力を得ている。
【0005】
ドローンのような飛行体用回転翼が高速で回転する場合には、回転翼部とハブ部との連結部が遠心力で引っ張られ、この連結部に最大応力が発生する。したがって、飛行体用回転翼の大型化にあたっては、回転翼部とハブ部との連結部の強度を高めることが必要である。
【0006】
例えば、送風機に用いられる羽根車に関するものであるが、特許文献1には、以下の技術が開示されている。
図8に示すように、外部より回転力を受けて回転駆動されるハブ200と、ハブ200の周囲に複数枚の羽根300を放射状に延び出してなる送風機羽根車100において、羽根300の前縁の翼型形状部分において、ハブ200との接合部の羽根300の付け根部400の肉厚を大きく形成した。これにより強度アップが図られ、回転時の遠心力に対して頑丈な送風機羽根車100を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ドローンのような飛行体に使用され、上記の送風機より格段に回転速度が速く、回転翼部の直径が大きい場合は、単に回転翼部とハブ部との連結部を肉厚化するだけでは不十分である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を解決し、ハブ部と回転翼部との連結部の強度をさらに高めた飛行体用回転翼及び飛行体用回転翼のモータのシャフトへの取付構造を提供することを目的とするものであり、請求項1の本発明は、回転中心を備えたハブ部と、ハブ部の外周に放射状に配設される3枚以上の回転翼部を備える樹脂製の飛行体用回転翼であって、飛行体用回転翼を正面から見た時に、ハブ部と回転翼部との連結部において、隣接する連結部は、一部が重なって見え、連結部の重なって見える部分における、一方の回転翼部の前縁部と他方の回転翼部とは、リブ部で連結されていることを特徴とする飛行体用回転翼である。
【0010】
請求項1の本発明では、回転中心を備えたハブ部と、ハブ部の外周に放射状に配設される3枚以上の回転翼部を備える飛行体用回転翼であって、飛行体用回転翼を正面から見た時に、ハブ部と回転翼部との連結部において、隣接する連結部は、一部が重なって見えるので、連結部が重ならずに放射状に配設される場合に比較して、ハブ部と回転翼部との連結部の接合面積を大きくすることができる。その結果、回転翼部とハブ部との連結強度を高めることができる。
【0011】
また、連結部の重なって見える部分における、一方の回転翼部の前縁部と他方の回転翼部とは、リブ部で連結されているので、回転翼部は、リブ部を通じて、ハブ部の外周において周状に連結される。その結果、ハブ部と回転翼部との連結部が回転翼部毎に離れている場合に比較して、回転翼部とハブ部との連結部の強度を飛躍的に高めることができる。
【0012】
請求項2の本発明は、請求項1の発明において、リブ部は、他方の回転翼部の後縁部を含む領域に形成されている飛行体用回転翼である。
【0013】
飛行体用回転翼を正面から見た時に、ハブ部と回転翼部との連結部において、隣接する連結部の一部が重なって見える場合、連結部が重なって見える部分では、樹脂成形において、連結部が重なって見える回転翼部間に樹脂を流動させないために、金型の構造が複雑になるので、飛行体用回転翼のコストアップにつながる。
【0014】
請求項2の本発明では、リブ部は、他方の回転翼部の後縁部を含む領域に形成されているので、連結部が重なって見える部分に樹脂が入る。その結果、金型の構造を複雑にすることなく、成形することができるので、飛行体用回転翼のコストアップを抑制することができる。
【0015】
請求項3の本発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、飛行体用回転翼を側面から見た時に、リブ部は、一方の回転翼部の前縁部の先端部から、対向する側の他方の回転翼部方向に形成されている飛行体用回転翼である。
【0016】
上記の通り、飛行体用回転翼を正面から見た時に、隣接する連結部は、一部が重なって見え、連結部の重なって見える部分における、一方の回転翼部の前縁部と他方の回転翼部とは、リブ部で連結されているので、回転翼部は、リブ部を通じて、ハブ部の外周において周状に連結され、ハブ部と回転翼部との連結部の強度は増大するが、樹脂成形においては、成形後の冷却に伴うヒケ発生による変形を抑制する必要がある。リブ部を大型化することは、上記ヒケによるハブ部の変形、例えば、回転中心となる貫通孔である円柱筒形状の変形や、連結部の変形が懸念される。
【0017】
請求項3の本発明では、飛行体用回転翼を側面から見た時に、リブ部は、一方の回転翼部の前縁部の先端部から、他方の回転翼部方向に形成されているので、ハブ部と回転翼部との連結部の強度を増大させつつ、樹脂成形におけるヒケによる変形、特に、回転中心となる貫通孔である円柱筒形状の変形を抑制することができる。
【0018】
請求項4の本発明は、請求項3の発明において、リブ部は、飛行体用回転翼を正面から見た時に、、ハブ部にも形成され、ハブ部における接線よりハブ部側に形成されている飛行体用回転翼である。
【0019】
請求項4の本発明では、リブ部は、飛行体用回転翼を正面から見た時に、ハブ部にも形成され、ハブ部における接線よりハブ部側に形成されているので、ハブ部と回転翼部との連結部の強度を増大させつつ、飛行体用回転翼の重量増を抑制することができる。
【0020】
請求項5の本発明は、回転中心を備えたハブ部と、ハブ部の外周に放射状に配設される3枚以上の回転翼部を備える樹脂製の飛行体用回転翼のモータのシャフトへの取付構造であって、飛行体用回転翼は、正面から見た時に、ハブ部と回転翼部との連結部において、隣接する前記連結部は、一部が重なって見え、連結部の重なって見える部分における、一方の回転翼部の前縁部と他方の回転翼部とは、リブ部で連結されており、ハブ部の回転中心は、円柱の一部が、円の直径に対称に削除された孔形状であり、回転中心に挿通されるモータのシャフトの飛行体用回転翼取付部の断面は、回転中心の形状に合致し、シャフトの飛行体用回転翼取付部には溝部が形成され、飛行体用回転翼取付部に飛行体用回転翼の貫通孔を挿通した後、溝部に飛行体用回転翼固定部材を取付けることを特徴とする飛行体用回転翼のモータのシャフトへの取付構造である。
【0021】
請求項5の本発明では、ハブ部の回転中心は、円柱の一部が、円の直径に対称に削除された貫通孔であり、回転中心に挿通されるモータのシャフトの飛行体用回転翼取付部の断面は、回転中心の形状に合致しているので、モータのシャフトが回転し、飛行体用回転翼の回転のトルクが大きくなった時に、シャフトと飛行体用回転翼の回転中心との間に滑りが発生することを防止することができる。
【0022】
又、シャフトの飛行体用回転翼取付部には溝部が形成され、飛行体用回転翼取付部に飛行体用回転翼の貫通孔を挿通した後、溝部に飛行体用回転翼固定部材を取付けるので、簡便な方法により、飛行体用回転翼をモータのシャフトに取付けることができる。
【0023】
請求項6の本発明は、請求項5において、飛行体用回転翼固定部材は、スナップリングである飛行体用回転翼のモータのシャフトへの取付構造である。
【0024】
請求項6の本発明では、飛行体用回転翼固定部材は、スナップリングであるので、スナップリングを拡げて飛行体用回転翼取付部の溝部に挿入することにより、飛行体用回転翼を容易に、且つ強固にモータのシャフトに取付けることができる。又、ボルトによる固定に比較して軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
回転中心を備えたハブ部と、ハブ部の外周に放射状に配設される3枚以上の回転翼部を備える樹脂製の飛行体用回転翼であって、飛行体用回転翼を正面から見た時に、ハブ部と回転翼部との連結部において、隣接する連結部は、一部が重なって見えるので、連結部が重ならずに放射状に配設される場合に比較して、ハブ部と回転翼部との連結部の接合面積を大きくすることができる。その結果、回転翼部とハブ部との連結強度を高めることができる。
【0026】
また、連結部の重なって見える部分における、一方の回転翼部の前縁部と他方の回転翼部とは、リブ部で連結されているので、回転翼部は、リブ部を通じて、ハブ部の外周において周状に連結される。その結果、ハブ部と回転翼部との連結部が回転翼部毎に離れている場合に比較して、回転翼部とハブ部との連結部の強度を飛躍的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態に係る樹脂製の飛行体用回転翼の正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態であり、
図1における領域Xの斜視図である。
【
図3】
図2におけるY方向から見た時の図(正面図)である。
【
図4】
図2におけるZ方向から見た時の図(側面図)である。
【
図5】本発明の第2の実施形態であり、
図1における領域Xの拡大図である。
【
図6】
図5の飛行体用回転翼をモータのシャフトに取付けた時の正面図である。
【
図8】従来の送風機に用いられる羽根車の斜視図である(特許文献1)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、
図1から
図4に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る樹脂製の飛行体用回転翼について説明する。なお、以下に述べる寸法、形状、数量、物質名や配置方法等は例示であり、飛行体の仕様等により適宜変更される。ここで、
図1は、樹脂製の飛行体用回転翼の正面図であり、
図2は、
図1における領域Xの斜視図であり、
図3は、
図2におけるY方向から見た時の図(正面図)、つまり、飛行体用回転翼を正面から見た図であり、
図4は、
図2におけるZ方向から見た時の図(側面図)つまり、飛行体用回転翼を側面から見た図である。
【0029】
図1から
図4において、樹脂製の飛行体用回転翼1は、略円柱状のハブ部2に3枚の同一形状の回転翼部3(第1回転翼部31、第2回転翼部32と第3回転翼部33)が120°の間隔で放射状に配設されている。なお、本実施の形態ではハブ部2を円柱状としたが、これに限定するものではなく、円錐台状のハブとしたり、円柱状と円錐台状とを組み合わせたりしてもよい。また、回転翼部3の枚数も、4枚以上であってもよい。
【0030】
ハブ部2の中心には、円柱筒状の貫通孔4が形成されている。貫通孔4における一点鎖線が回転中心である(
図2)。本実施形態の飛行体用回転翼1の直径(
図1のL)は440mmであり、ハブ部2の外径は18mm、貫通孔4の直径は10mmである。また、ハブ部2と回転翼部3の連結部5の幅(
図3のW)は、ハブ部2の外径と同じ18mmである。また、連結部5の肉厚は4mmである。
【0031】
回転翼部3の連結部5の幅がハブ部2の外径と同じ18mmであるので、
図3に示すように、本実施形態の飛行体用回転翼1におけるハブ部2と回転翼部3の連結部5は、飛行体用回転翼1を正面から見た時、すなわち、
図2におけるY方向から見た時に、隣接する連結部5は一部が重なって見える。
【0032】
図2と
図4に示すように、連結部5の断面は、弧形状に湾曲している。この隣接する連結部5は一部が重なって見えること、連結部5の断面が湾曲していることにより、連結部5の断面積が大きくなり、回転翼部3とハブ部2との連結強度を高めることができる。なお、連結部5の断面は湾曲せず、直線であってもよい。
【0033】
また、
図2に示すように、第1回転翼部31において、第1回転翼部前縁部31aと第1回転翼部後縁部31bは、断面において反対方向、つまり、
図2において、第1回転翼部前縁部31aは、左側に凸状に、第1回転翼部後縁部31bは、右側に凸状に突き出る円弧形状に形成されている。これは、第2回転翼部32と第3回転翼部33においても同様である。なお、第1回転翼部前縁部31aと第1回転翼部後縁部31bは、円弧でない弧形状であってもよく、また、尖って突き出る形状であってもよい。
【0034】
図2から
図4に示すように、隣接する連結部5、例えば、第1回転翼部31と第2回転翼部32の場合において、「一方の回転翼部の前縁部」に相当する第2回転翼部32の第2回転翼部前縁部32aと「他方の回転翼部」に相当する第1回転翼部31とは、リブ部6で連結されている。
【0035】
また、リブ部6は、「一方の回転翼部の前縁部の先端部」に相当する第2回転翼部32の第2回転翼部前縁部32aの第2回転翼部先端部32cから第2回転翼部32の第2回転翼部前縁部32aの第1回転翼部31側領域を含み、「他方の回転翼部の後縁部」に相当する第1回転翼部31の第1回転翼部後縁部31bを含む領域に形成されている。本実施形態では、リブ部6は、ハブ部2にも連結して形成されている。
【0036】
また、リブ部6は、ハブ部2の側面に対して、平行、または第1回転翼部31の第1回転翼部後縁部31b側が少し厚くなるよう(
図4)に形成されている。
【0037】
また、リブ部6は、ハブ部2にも形成され、
図3に示すように、第1回転翼部31の幅方向における中央線(
図3における一点鎖線A)より第2回転翼部32側にその起点20を有し、起点20におけるハブ部2の接線(
図3における一点鎖線B)よりハブ部2側に形成されている。
【0038】
上記のようにリブ部6を形成することにより、回転翼部3(第1回転翼部31、第2回転翼部32と第3回転翼部33)は、リブ部6を通じて、ハブ部2の外周において周状に連結される。その結果、ハブ部2と回転翼部3との連結部5が回転翼部3毎に離れている場合に比較して、回転翼部3とハブ部2との連結部5の強度を飛躍的に高めることができる。
【0039】
また、連結部5が重なって見える部分の第1回転翼部31と第2回転翼部32間に樹脂が入るので、金型構造を複雑にすることなく、成形することができる。その結果、飛行体用回転翼1のコストアップを防止することができる。
【0040】
また、リブ部6は、第2回転翼部32の第2回転翼部前縁部32aの第2回転翼部先端部32cから第1回転翼部31方向に形成されているので、ハブ部2と回転翼部3との連結部5の強度を増大させつつ、樹脂成形において、特に回転中心となる貫通孔4である円柱筒形状の成形後のヒケによる変形を抑制させることができる。
【0041】
また、リブ部6は、ハブ部2にも形成され、ハブ部2の接線よりハブ部2側に形成されているので、ハブ部2と回転翼部3との連結部5の強度を増大させつつ、飛行体用回転翼1の重量増を抑制することができる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態について、
図5から
図7に基づいて説明する。
図5は、
図1における領域Xの拡大図であり、
図6は、
図5の飛行体用回転翼をモータのシャフトに取付けた時の正面図であり、
図7は、
図6の側面図である。
【0043】
図5に示すように、ハブ部2の回転中心の貫通孔4は、円柱の一部が、円の直径に対称に削除された、弧形状部41と直線部42が交互に連結する貫通孔4である。他の部分は、
図3と同様である。貫通孔4の形状は、貫通孔4に挿通される図示しないモータのシャフト50の飛行体用回転翼取付部51(
図6)の断面形状に合致している。その結果、モータのシャフト50が回転し、飛行体用回転翼1の回転のトルクが大きくなった時に、シャフト50と飛行体用回転翼1の貫通孔4との間に滑りが発生することを防止することができる。
【0044】
図6、
図7に示すように、モータのシャフト50の飛行体用回転翼取付部51において、挿通された飛行体用回転翼1の上部に位置する部分には、溝部52が形成されている。溝部52は、シャフト50に周上に形成した。なお、
図7において、シャフト50の飛行体用回転翼1の下方の断面は、円形である。したがって、飛行体用回転翼1は、飛行体用回転翼1の貫通孔4にシャフト50を挿通した時、飛行体用回転翼1は、円形の断面部分の上端で止まり、飛行体用回転翼1の上端部で飛行体用回転翼固定部材60によって固定される。
【0045】
飛行体用回転翼1をシャフト50に固定するために溝部52に取付けられる飛行体用回転翼固定部材60は、スナップリングの1つであるE形止め輪である。E形止め輪は、先端突出部61がシャフト50の溝部52に挿入され、溝部52の直線部を押圧することにより、又、弧形状の中心部の中心突出部62が、シャフト50の溝部52の弧形状部に挿入されることにより、容易に、且つ強固に飛行体用回転翼1をシャフト50に固定することができる。本実施形態では、E形止め輪の先端突出部61が開かれた状態で、シャフト50の溝部52の直線部を押圧することにより、E形止め輪の先端突出部61のシャフト50側を線状に溝部52の直線部に当接可能にした。
【0046】
又、溝部52に飛行体用回転翼固定部材60として、スナップリング(E形止め輪)を用いることにより、簡便な方法による取付ができると共に、ボルトによる固定に比較して軽量化を図ることができる。
【0047】
ハブ部2、回転翼部3とリブ部6から構成される飛行体用回転翼1は、炭素繊維を含有する熱可塑性樹脂を使用し、射出成形によって製造される。熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、エラストマーのTPEなどを使用することができる。
【0048】
中でも、ナイロン66は、射出成形による異形押出等、加工が容易であり、成形性に優れ、且つ低コスト化を図ることができる。この発明を限定しない例示として、炭素繊維を含有するナイロン66は、三菱ケミカルホールディングス製のPA66-N66-C-30である。上記樹脂は、ナイロン66の100重量部に対して、30重量部の炭素繊維を含有しており、比重は、1.28である。
【0049】
なお、ナイロン66への炭素繊維の含有量は、ナイロン66の100重量部に対して、20重量部から40重量部が高い強度、低比重と低成形収縮率の観点で望ましい。炭素繊維の含有量が、ナイロン66の100重量部に対して、20重量部未満の場合は、比重は小さいが、強度面で劣る。又、成形後の収縮率が増加するので好ましくない。一方、40重量部を越える場合は、強度と成形後の収縮率の観点からは問題ないが、比重が増加するので好ましくない。
【0050】
なお、本発明は、特許請求の範囲の記載以外に、以下の観点を含む。
【0051】
前記リブ部は、前記飛行体用回転翼を正面から見た時に、前記ハブ部にも形成され、前記リブ部が形成される前記ハブ部における接線より前記ハブ部側に形成されている請求項1または請求項2に記載の飛行体用回転翼。
【0052】
前記ハブ部、前記回転翼部と前記リブ部は、炭素繊維を含有する熱可塑性樹脂で形成されている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の飛行体用回転翼。
【0053】
前記熱可塑性樹脂は、ナイロン66である飛行体用回転翼。
【0054】
前記ナイロン66への前記炭素繊維の含有量は、前記ナイロン66の100重量部に対して、20重量部から40重量部である飛行体用回転翼。
【0055】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0056】
例えば、上記の実施形態においては、リブ部6は、第2回転翼部32の第2回転翼部前縁部32aの第2回転翼部先端部32cから第2回転翼部32の第2回転翼部前縁部32aの第1回転翼部31側領域を含み、第1回転翼部31の第1回転翼部後縁部31bを含む領域に、ハブ部2の側面に対して、平行、または第1回転翼部31の第1回転翼部後縁部31b側が少し厚くなるように形成したが、
図4における第2回転翼部32の第2回転翼部先端部32cから第1回転翼部31側にハブ部2の側面と平行に下した破線Cの右側部分、つまり、連結部5が重なって見える部分のみに形成してもよい。
【0057】
例えば、上記の実施形態においては、リブ部6は、第2回転翼部32の第2回転翼部前縁部32aの第2回転翼部先端部32cから第2回転翼部32の第2回転翼部前縁部32aの第1回転翼部31側領域を含み、第1回転翼部31の第1回転翼部後縁部31bを含む領域に、ハブ部2の側面に対して、平行、または第1回転翼部31の第1回転翼部後縁部31b側が少し厚くなるように形成したが、
図4における破線Cの左側部分、つまり、第2回転翼部32の第2回転翼部前縁部32aの第2回転翼部先端部32cから下方に、ハブ部2の側面に対して、平行、または第1回転翼部31の第1回転翼部後縁部31b側が少し厚くなるように形成してもよい。ただし、この場合は、第2回転翼部32の第2回転翼部前縁部32aの第1回転翼部31側、つまり、
図4における破線Cの右側部分に樹脂が入らないようにする必要があるので、上記の実施形態に比較して金型が複雑になる。
【0058】
例えば、上記の実施形態においては、ハブ部2と回転翼部3は連結部5を含み一体に形成したが、本発明は、ハブ部2と連結部5を一体に形成し、回転翼部3を連結部5に取付ける場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 樹脂製飛行体用回転翼
2 ハブ部
3 回転翼部
4 貫通孔
5 連結部
6 リブ部
20 起点
31 第1回転翼部
32 第2回転翼部
33 第3回転翼部
31a 第1回転翼部前縁部
31b 第1回転翼部後縁部
32a 第2回転翼部前縁部
32c 第2回転翼部先端部
50 シャフト
51 飛行体用回転翼取付部
52 溝部
60 飛行体用回転翼固定部材