(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172892
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】光学ユニット、試験システムおよび光学ユニットを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/497 20060101AFI20231129BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20231129BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G01S7/497
G02B3/00 A
G01S7/481 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023057505
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】10 2022 112 920.9
(32)【優先日】2022-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506012213
【氏名又は名称】ディスペース ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】dSPACE GmbH
【住所又は居所原語表記】Rathenaustr.26,D-33102 Paderborn, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヒムラー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シューカート
(72)【発明者】
【氏名】グレゴア ズィーファース
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ヴォルスフェルト
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ハーゲマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ユンゲヴェルター
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ラハマイアー
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084BA04
5J084BB04
5J084BB34
5J084CA03
(57)【要約】
【課題】本発明は、LiDARセンサ(12;112)の試験システム(1;101)用の、合成的に生成された光学信号(S)を伝送するための光学ユニット(10;110)と、試験システムと、光学ユニットを製造するための方法と、に関する。
【解決手段】光学ユニットは、少なくとも1つの光導波体(16;116)を収容するための支持体装置(14;114)を備え、支持体装置は、支持体装置の端面(14a;114a)に対して直交するように形成された少なくとも1つの開口部(20;120)を有し、開口部内に少なくとも1つの光導波体が挿入されており、光学ユニットは、支持体装置の端面に接続された少なくとも1つのマイクロレンズ(18;118)を備え、支持体装置と少なくとも1つのマイクロレンズとの互いに向かい合う端面(14a;114a,18a;118a)は、それぞれ平面状に形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LiDARセンサ(12)の試験システム(1)用の、合成的に生成された光学信号(S)を伝送するための光学ユニット(10)であって、
前記光学ユニット(10)は、少なくとも1つの光導波体(16)を収容するための支持体装置(14)を備え、
前記支持体装置(14)は、前記支持体装置(14)の端面(14a)に対して直交するように形成された少なくとも1つの開口部(20)を有し、前記開口部(20)内に前記少なくとも1つの光導波体(16)が挿入されており、
前記光学ユニット(10)は、前記支持体装置(14)の前記端面(14a)に接続された少なくとも1つのマイクロレンズ(18)を備え、
前記支持体装置(14)と前記少なくとも1つのマイクロレンズ(18)との互いに向かい合う端面(14a,18a)は、それぞれ平面状に形成されており、
前記支持体装置(14)の前記少なくとも1つの開口部(20)に挿入された少なくとも1つの光導波体(16)に、前記少なくとも1つのマイクロレンズ(18)が対応付けられており、
前記少なくとも1つの光導波体(16)によって伝達される前記合成的に生成された光学信号(S)、とりわけレーザパルスまたは発光ダイオード信号は、対応付けられた前記マイクロレンズ(18)を通って前記LiDARセンサ(12)へと向けられており、
前記少なくとも1つの光導波体(16)は、前記支持体装置(14)内で、前記光導波体(16)に対応付けられた前記マイクロレンズ(18)の光軸(18b)に対してオフセットされて配置されている、
光学ユニット(10)。
【請求項2】
前記支持体装置(14)の前記少なくとも1つの開口部(20)に挿入された前記少なくとも1つの光導波体(16)は、前記少なくとも1つのマイクロレンズ(18)の前記光軸(18b)に対して平行に、とりわけ直交する方向にオフセットされて配置されている、
請求項1記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記少なくとも1つのマイクロレンズ(18)の寸法は、前記少なくとも1つのマイクロレンズ(18)の内部における前記合成的に生成された光学信号(S)の信号経路の長さが、前記マイクロレンズ(18)の焦点距離に相当するように形成されている、
請求項1または2記載の光学ユニット。
【請求項4】
LiDARセンサ(112)の試験システム(101)用の、合成的に生成された光学信号(S)を伝送するための光学ユニット(110)であって、
前記光学ユニット(110)は、少なくとも1つの光導波体(116)を収容するための支持体装置(114)を備え、
前記支持体装置(114)は、前記支持体装置(114)の端面(114a)に対して直交するように形成された少なくとも1つの開口部(120)を有し、前記開口部(120)に前記少なくとも1つの光導波体(116)が挿入されており、
前記光学ユニット(110)は、前記支持体装置(114)の前記端面(114a)に接続された少なくとも1つのマイクロレンズ(118)を備え、
前記支持体装置(114)と前記少なくとも1つのマイクロレンズ(118)との互いに向かい合う端面(114a,118a)は、それぞれ平面状に形成されており、
前記支持体装置(114)の前記少なくとも1つの開口部(120)に挿入された前記少なくとも1つの光導波体(116)には、前記少なくとも1つのマイクロレンズ(118)が対応付けられており、
前記少なくとも1つの光導波体(116)は、前記光導波体(116)に対応付けられた前記少なくとも1つのマイクロレンズ(118)の光軸(118b)上に配置されており、
前記少なくとも1つのマイクロレンズ(118)は、前記少なくとも1つの光導波体(116)によって伝達される前記合成的に生成された光学信号(S)、とりわけレーザパルスまたは発光ダイオード信号を、前記少なくとも1つのマイクロレンズ(118)に隣接して配置されたさらなるレンズ(119)にコリメートするように構成されており、
前記合成的に生成された光学信号(S)は、前記さらなるレンズ(119)を通って前記LiDARセンサ(112)へと向けられている、
光学ユニット(110)。
【請求項5】
前記さらなるレンズ(119)は、前記少なくとも1つのマイクロレンズ(118)に対して所定の間隔を置いて前記マイクロレンズ(118)の前記光軸(118b)に沿って配置されており、
前記さらなるレンズ(119)は、前記合成的に生成された光学信号(S)の出射側において凸状に形成されている、
請求項4記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記少なくとも1つのマイクロレンズ(18;118)は、とりわけプラスチックまたはガラスから一体に形成されており、
前記少なくとも1つのマイクロレンズ(18;118)は、前記合成的に生成された光学信号(S)の出射側において凸状に形成されている、
請求項1または4記載の光学ユニット。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光導波体(16;116)は、スリーブ(15;115)によって、とりわけフェルールによって、前記支持体装置(14;114)内に形成された少なくとも1つの開口部(20;120)内に固定されており、
前記スリーブ(15;115)は、それぞれの前記光導波体(16;116)および/またはそれぞれの前記開口部(20;120)と圧着または接着されている、
請求項1、4および6のいずれか1項記載の光学ユニット。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光導波体(16;116)の、とりわけ平面状に形成された軸方向の端部区域は、前記少なくとも1つのマイクロレンズ(18;118)のうちの前記支持体装置(14;114)の方を向いた端面に、とりわけ前記少なくとも1つのマイクロレンズ(18;118)の端面に当接するように配置されている、
請求項1、4、6および7のいずれか1項記載の光学ユニット。
【請求項9】
前記光学ユニット(10;110)は、実質的にストリップ形に形成されており、
前記光学ユニット(10;110)には、長手方向および横方向に方向付けられた複数列のマイクロレンズ(18;118)が実装されている、
請求項1、4、6、7および8のいずれか1項記載の光学ユニット。
【請求項10】
LiDARセンサ(12;112)のための試験システム(1;101)であって、前記試験システム(1;101)は、
とりわけ前記LiDARセンサ(12;112)に対して定置式または可動式に配置された、請求項1から9までのいずれか1項記載の複数の光学ユニット(10;110)と、
LiDARセンサ(12;112)と、
を備え、
前記光学ユニット(10;110)によって伝達される合成的に生成された光学信号(S)は、前記LiDARセンサ(12;112)へと向けられており、
前記複数の光学ユニット(10;110)は、前記LiDARセンサ(12;112)の検出範囲内に配置されている、
試験システム(1;101)。
【請求項11】
前記複数の光学ユニット(10;110)は、前記LiDARセンサ(12;112)を中心として実質的に半円形に互いに隣接して配置されている、
請求項10記載の試験システム。
【請求項12】
前記光学ユニット(10;110)は、前記光導波体(16;116)によって供給された前記合成的に生成された光学信号(S)を、前記光導波体(16;116)の向きに対して最大20°だけ偏向させるように、とりわけ屈折させるように構成されている、
請求項10または11記載の試験システム。
【請求項13】
前記光学ユニット(10;110)への前記マイクロレンズ(18;118)の実装は、前記LiDARセンサ(12;112)に対するそれぞれの前記光学ユニット(10;110)の位置に応じて変更可能である、
請求項10から12までのいずれか1項記載の試験システム。
【請求項14】
前記LiDARセンサ(12;112)を中心とした前記光学ユニット(10;110)の実質的に半円形の配列の中央区域に配置されている光学ユニット(10;110)は、前記半円形の配列の縁部領域に配置されている光学ユニット(10;110)よりも多数のマイクロレンズ(18;118)を有する、
請求項13記載の試験システム。
【請求項15】
LiDARセンサ(12;112)の試験システム(1;101)用の、合成的に生成された光学信号(S)を伝送するための光学ユニット(10;110)を製造するための方法であって、前記方法は、
少なくとも1つの光導波体(16;116)を収容するための支持体装置(14;114)を用意するステップ(S1)と、
前記支持体装置(14;114)の端面(14a;114a)に対して直交するように形成された少なくとも1つの開口部(20;120)を前記支持体装置(14;114)に穿設するステップ(S2)と、
前記少なくとも1つの光導波体(16;116)を前記少なくとも1つの開口部(20;120)に挿入して、前記少なくとも1つの光導波体(16;116)をスリーブ(15;115)によって前記少なくとも1つの開口部(20;120)内に固定するステップ(S3)と、
前記少なくとも1つの光導波体(16;116)のうちのレンズの方を向いた端面を平面状に研削するステップ(S4)と、
前記少なくとも1つの光導波体(16;116)のファイバ端部を研磨するステップ(S5)と、
前記支持体装置(14;114)を前記少なくとも1つのマイクロレンズ(18;118)と接合および接着するステップ(S6)と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LiDARセンサの試験システム用の、合成的に生成された光学信号を伝送するための光学ユニットに関する。
【0002】
本発明はさらに、LiDARセンサのための試験システムに関する。
【0003】
本発明はさらに、LiDARセンサの試験システム用の、合成的に生成された光学信号を伝送するための光学ユニットを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
LiDAR光測定システムは、さらなる用途に加えて、光学的に距離および速度を測定するために使用される。LiDAR光測定システムは、光を送出し、その光がオブジェクトで反射された後、LiDAR光測定システムに戻ってくるまでの所要時間を測定する。既知の光速から、LiDAR光測定システムからオブジェクトまでの距離が算出される。
【0005】
LiDAR光測定システムの用途分野の例は、光学的な距離測定のためのモバイル機器および自動車用途分野のための、すなわち運転者支援システムおよび自動運転のための、ならびに航空宇宙用途のためのLiDAR光測定システムである。
【0006】
独国特許出願公開第102007057372号明細書は、トリガユニットを有するLiDARセンサのための試験システムを開示しており、同試験システムによれば、試験されるべきLiDARセンサの信号を受信したことに応答して、所定の合成的に生成または記録された光学信号が信号発生器の信号生成ユニットによって出力されるように、信号発生器が制御される。
【0007】
独国特許出願公開第102017110790号明細書は、LiDAR光受信センサを有するLiDAR光測定システムのためのシミュレーション装置を開示しており、同シミュレーション装置では、LiDAR光受信センサの平面に光送信機が設けられており、LiDAR光受信センサの平面に、上記の光送信機に隣接してさらなる光送信機が配置されており、コンピュータが、LiDAR光受信センサの作動と、光送信機および/またはさらなる光送信機を介して光学信号を放出するための期間と、を監視し、光送信機またはさらなる光送信機からの光学信号の信号入力を記録する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
信号発生器を使用してLiDARセンサを試験する際の問題は、信号発生器またはLiDAR OTAシステムの全ての光源または画素を1つの点に重畳させなければならないことにある。この点は、理想的には、試験されるべきLiDARセンサの開口絞りに相当する。
【0009】
このような所期のビームガイダンスを経済的な観点で信号発生器に伝達することが問題提起される。
【0010】
したがって、本発明の課題は、所期のビームガイダンスを最適化された費用便益比の枠内で可能にするような、LiDARセンサの試験システム用の、合成的に生成された光学信号を伝送するための光学ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を有する、LiDARセンサの試験システム用の、合成的に生成された光学信号を伝送するための光学ユニットによって解決される。
【0012】
上記の課題は、本発明によればさらに、請求項4に記載の特徴を有する、LiDARセンサの試験システム用の、合成的に生成された光学信号を伝送するための代替的な光学ユニットによって解決される。
【0013】
上記の課題は、本発明によればさらに、請求項10に記載の特徴を有するLiDARセンサのための試験システムによって解決される。
【0014】
上記の課題はさらに、請求項15に記載の特徴を有する、LiDARセンサの試験システム用の、合成的に生成された光学信号を伝送するための光学ユニットを製造するための方法によって解決される。
【0015】
本発明は、LiDARセンサの試験システム用の、合成的に生成された光学信号を伝送するための光学ユニットに関する。
【0016】
光学ユニットは、少なくとも1つの光導波体を収容するための支持体装置を含み、支持体装置は、当該支持体装置の端面に対して直交するように形成された少なくとも1つの開口部を有し、この開口部内に少なくとも1つの光導波体が挿入されている。
【0017】
光学ユニットはさらに、支持体装置の端面に接続された少なくとも1つのマイクロレンズを含み、支持体装置と少なくとも1つのマイクロレンズとの互いに向かい合う端面は、それぞれ平面状に形成されており、支持体装置の少なくとも1つの開口部に挿入された少なくとも1つの光導波体に、少なくとも1つのマイクロレンズが対応付けられている。
【0018】
少なくとも1つの光導波体によって伝達される合成的に生成された光学信号、とりわけレーザパルスまたは発光ダイオード信号は、対応付けられたマイクロレンズを通ってLiDARセンサへと向けられている。少なくとも1つの光導波体は、支持体装置内で、当該光導波体に対応付けられたマイクロレンズの光軸に対してオフセットされて配置されている。
【0019】
本発明はさらに、LiDARセンサの試験システム用の、合成的に生成された光学信号を伝送するための代替的な光学ユニットに関する。
【0020】
光学ユニットは、少なくとも1つの光導波体を収容するための支持体装置を含み、支持体装置は、当該支持体装置の端面に対して直交するように形成された少なくとも1つの開口部を有し、この開口部に少なくとも1つの光導波体が挿入されている。
【0021】
光学ユニットはさらに、支持体装置の端面に接続された少なくとも1つのマイクロレンズを含み、支持体装置と少なくとも1つのマイクロレンズとの互いに向かい合う端面は、それぞれ平面状に形成されており、支持体装置の少なくとも1つの開口部に挿入された少なくとも1つの光導波体には、少なくとも1つのマイクロレンズが対応付けられている。
【0022】
少なくとも1つの光導波体は、当該光導波体に対応付けられた少なくとも1つのマイクロレンズの光軸上に配置されている。
【0023】
少なくとも1つのマイクロレンズはさらに、少なくとも1つの光導波体によって伝達される合成的に生成された光学信号、とりわけレーザパルスまたは発光ダイオード信号を、少なくとも1つのマイクロレンズに隣接して配置されたさらなるレンズにコリメートするように構成されている。それに加えて、合成的に生成された光学信号は、さらなるレンズを通ってLiDARセンサへと向けられている。
【0024】
本発明はさらに、LiDARセンサのための試験システムに関する。試験システムは、とりわけLiDARセンサに対して定置式または可動式に配置された、本発明による複数の光学ユニットと、LiDARセンサと、を含み、光学ユニットによって伝達される合成的に生成された光学信号は、LiDARセンサへと向けられており、複数の光学ユニットは、LiDARセンサの検出範囲内に配置されている。
【0025】
本発明はさらに、LiDARセンサの試験システム用の、合成的に生成された光学信号を伝送するための光学ユニットを製造するための方法に関する。
【0026】
本方法は、少なくとも1つの光導波体を収容するための支持体装置を用意することと、支持体装置の端面に対して直交するように形成された少なくとも1つの開口部を支持体装置に穿設することと、を含む。
【0027】
本方法はさらに、少なくとも1つの光導波体を少なくとも1つの開口部に挿入して、少なくとも1つの光導波体をスリーブによって少なくとも1つの開口部内に固定することと、少なくとも1つの光導波体のうちのレンズの方を向いた端面を平面状に研削することと、を含む。
【0028】
それに加えて、本方法は、少なくとも1つの光導波体のファイバ端部を研磨することと、支持体装置を少なくとも1つのマイクロレンズと接合および接着することと、を含む。
【0029】
本発明の着想は、支持体装置の端面に接続された少なくとも1つのマイクロレンズと、光導波体に対応付けられたマイクロレンズの光軸に対してオフセットされた、支持体装置内の少なくとも1つの光導波体の配列と、を設けることにより、LiDAR OTA(over the air)試験システムの光学フロントエンドの小型化を可能にすることである。
【0030】
本発明による光学ユニットはさらに、LiDAR試験センサまでの距離を増加させる必要なしに、画素密度および角度分解能の向上を可能にする。
【0031】
これによってさらに、OTA試験システムを顧客要求にフレキシブルに適合させるためのスケーラブルかつモノリシックなフロントエンドモジュールの実現可能性を改善することができる。この場合、OTA試験システムは、定置式に実現可能であるか、または機械的に可動式のフロントエンドモジュールまたは光学ユニットとして実現可能である。
【0032】
複数の光学ユニットを含んでいるOTA試験システムのモジュール式の構造に基づき、マイクロレンズアレイの使用を、経済的な観点で有利に実現することが可能となる。
【0033】
本発明のさらなる実施形態は、さらなる従属請求項と図面を参照する以下の説明との対象である。
【0034】
本発明の好ましい発展形態によれば、支持体装置の少なくとも1つの開口部に挿入された少なくとも1つの光導波体は、少なくとも1つのマイクロレンズの光軸に対して平行に、とりわけ直交する方向にオフセットされて配置されている。
【0035】
光導波体がオフセットされて配置されていることにより、有利には、光学信号をLiDARセンサに対して正確に方向付けることができるように、光学ユニットの少なくとも1つのマイクロレンズによって光学信号を偏向させることが可能となる。
【0036】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、少なくとも1つのマイクロレンズの寸法は、少なくとも1つのマイクロレンズの内部における合成的に生成された光学信号の信号経路の長さが、マイクロレンズの焦点距離に相当するように形成されている。これにより、光学信号は、マイクロレンズから出射した後、相応に所望の方向に偏向させられる。
【0037】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、さらなるレンズは、少なくとも1つのマイクロレンズに対して所定の間隔を置いてマイクロレンズの光軸に沿って配置されており、さらなるレンズは、合成的に生成された光学信号の出射側において凸状に形成されている。これにより、有利には、光学信号をLiDARセンサの方向に偏向させることが可能となる。
【0038】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、少なくとも1つのマイクロレンズは、とりわけプラスチックまたはガラスから一体に形成されており、少なくとも1つのマイクロレンズは、合成的に生成された光学信号の出射側において凸状に形成されている。これにより、有利には、光学信号をLiDARセンサの方向に偏向させることが可能となる。
【0039】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、少なくとも1つの光導波体は、スリーブによって、とりわけフェルールによって、支持体装置内に形成された少なくとも1つの開口部内に固定されており、スリーブは、それぞれの光導波体および/またはそれぞれの開口部と圧着または接着されている。
【0040】
これにより、光導波体を開口部内に正確に位置決めすることが可能となる。これにより、接着剤の硬化後にも開口部内における光導波体の位置変化が生じなくなる。
【0041】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、少なくとも1つの光導波体の、とりわけ平面状に形成された軸方向の端部区域は、少なくとも1つのマイクロレンズのうちの支持体装置の方を向いた端面に、とりわけ少なくとも1つのマイクロレンズの端面に当接するように配置されている。これにより、散乱光の損失を発生させることなく光導波体からマイクロレンズへと光学信号を効率的に伝達することが可能となる。
【0042】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、光学ユニットは、実質的にストリップ形に形成されており、光学ユニットには、長手方向および横方向に方向付けられた複数列のマイクロレンズが実装されている。したがって、複数の光導波体を設けることにより、有利には、光学ユニットの画素分解能の向上を達成することが可能となる。
【0043】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、複数の光学ユニットは、LiDARセンサを中心として実質的に半円形に互いに隣接して配置されている。したがって、この試験システムにより、LiDARセンサの同一の検出範囲を有する現実の交通状況を模擬的に再現することが可能となる。
【0044】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、光学ユニットは、光導波体によって供給された合成的に生成された光学信号を、光導波体の向きに対して最大20°だけ偏向させるように、とりわけ屈折させるように構成されている。このことは、有利には20°のLiDARセンサの開き角に相当する。
【0045】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、光学ユニットへのマイクロレンズの実装は、LiDARセンサに対するそれぞれの光学ユニットの位置に応じて変更可能である。これにより、種々異なる交通状況に対してレンズを最適に配置することが可能となる。
【0046】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、LiDARセンサを中心とした光学ユニットの実質的に半円形の配列の中央区域に配置されている光学ユニットは、半円形の配列の縁部領域に配置されている光学ユニットよりも多数のマイクロレンズを有する。これにより、例えば高速道路での走行に対して、都市領域での交通状況の場合よりも分解能をより精密にすることが可能となる。
【0047】
本明細書に記載された自動車の少なくとも部分的に自律的な操縦のための装置の仮想的な試験の計算コストを決定するための方法の特徴は、自動車の少なくとも部分的に自律的な操縦のための装置の仮想的な試験の計算コストを決定するための本発明による試験ユニットにも適用可能であり、その逆もまた同様である。
【0048】
本発明およびその利点をより良好に理解するために、添付の図面に関連して以下の説明が参照される。
【0049】
以下では、本発明を、図面の概略図に示されている例示的な実施形態に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明の第1の実施形態による、LiDARセンサの試験システム用の、合成的に生成された光学信号を伝送するための光学ユニットの概略図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による、LiDARセンサの試験システム用の、合成的に生成された光学信号を伝送するための光学ユニットの概略図である。
【
図3】本発明の実施形態によるLiDARセンサの試験システムの概略図である。
【
図4】本発明の実施形態によるLiDARセンサの試験システムの平面図である。
【
図5】本発明の実施形態による、LiDARセンサの試験システム用の、合成的に生成された光学信号を伝送するための光学ユニットを製造するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
別段の指示がない限り、同じ参照符号は、各図の同じ要素を指している。
【0052】
図1に示されている、LiDARセンサ12の試験システム1用の、合成的に生成された光学信号Sを伝送するための光学ユニット10は、少なくとも1つの光導波体16を収容するための支持体装置14を含む。
【0053】
支持体装置14は、支持体装置14の端面14aに対して直交するように形成された少なくとも1つの開口部20を有し、この開口部20に少なくとも1つの光導波体16が挿入されている。
【0054】
光学ユニット10はさらに、支持体装置14の端面14aに接続された少なくとも1つのマイクロレンズ18を有する。
【0055】
1つの光学ユニット10当たりのマイクロレンズ18の個数は、自由に選択可能または構成可能である。例えば、この場合、それぞれの光導波体16に1つのマイクロレンズ18を対応付けることができる。
【0056】
本実施形態では、支持体装置14は、複数の開口部20を有し、これらの開口部の各々に1つの光導波体16が挿入されている。それぞれの光導波体16自体には1つのマイクロレンズ18が対応付けられている。
【0057】
支持体装置14と少なくとも1つのマイクロレンズ18との互いに向かい合う端面14a,18aは、それぞれ平面状に形成されている。支持体装置14の少なくとも1つの開口部20に挿入された少なくとも1つの光導波体16には、少なくとも1つのマイクロレンズ18が対応付けられている。
【0058】
少なくとも1つの光導波体16によって伝達される合成的に生成された光学信号S、とりわけレーザパルスまたは発光ダイオード信号は、対応付けられたマイクロレンズ18を通ってLiDARセンサ12へと向けられている。
【0059】
少なくとも1つの光導波体16はさらに、支持体装置14内で、この光導波体16に対応付けられたマイクロレンズ18の光軸18bに対してオフセットされて配置されている。さらに、支持体装置14の少なくとも1つの開口部20に挿入された少なくとも1つの光導波体16は、少なくとも1つのマイクロレンズ18の光軸18bに対して平行に、とりわけ直交する方向にオフセットされて配置されている。
【0060】
それに加えて、少なくとも1つのマイクロレンズ18の寸法は、少なくとも1つのマイクロレンズ18の内部における合成的に生成された光学信号Sの信号経路の長さが、マイクロレンズ18の焦点距離に相当するように形成されている。
【0061】
少なくとも1つのマイクロレンズ18は、とりわけプラスチックまたはガラスから一体に形成されている。少なくとも1つのマイクロレンズ18はさらに、合成的に生成された光学信号Sの出射側において凸状に形成されている。
【0062】
少なくとも1つの光導波体16は、スリーブ15によって、とりわけフェルールによって、支持体装置14内に形成された少なくとも1つの開口部20内に固定されている。スリーブ15は、それぞれの光導波体16および/またはそれぞれの開口部20と圧着または接着されている。
【0063】
少なくとも1つの光導波体16の、とりわけ平面状に形成された軸方向の端部区域はさらに、少なくとも1つのマイクロレンズ18のうちの支持体装置14の方を向いた端面に、とりわけ少なくとも1つのマイクロレンズ18の端面に当接するように配置されている。
【0064】
光学ユニット10は、実質的にストリップ形に形成されている。さらに、光学ユニット10には、長手方向および横方向に方向付けられた複数列のマイクロレンズ18が実装されている。
【0065】
図2は、本発明の第2の実施形態による、LiDARセンサ112の試験システム101用の、合成的に生成された光学信号Sを伝送するための光学ユニット110の概略図を示す。
【0066】
光学ユニット110は、少なくとも1つの光導波体116を収容するための支持体装置114を含み、支持体装置114は、当該支持体装置114の端面114aに対して直交するように形成された少なくとも1つの開口部120を有し、この開口部120に少なくとも1つの光導波体116が挿入されている。
【0067】
光学ユニット110はさらに、支持体装置114の端面114aに接続された少なくとも1つのマイクロレンズ118を含む。支持体装置114と少なくとも1つのマイクロレンズ118との互いに向かい合う端面114a,118aは、それぞれ平面状に形成されている。支持体装置114の少なくとも1つの開口部120に挿入された少なくとも1つの光導波体116には、少なくとも1つのマイクロレンズ118が対応付けられている。
【0068】
少なくとも1つの光導波体116はさらに、当該光導波体116に対応付けられた少なくとも1つのマイクロレンズ118の光軸118b上に配置されている。それに加えて、少なくとも1つのマイクロレンズ118は、少なくとも1つの光導波体116によって伝達される合成的に生成された光学信号S、とりわけレーザパルスまたは発光ダイオード信号を、少なくとも1つのマイクロレンズ118に隣接して配置されたさらなるレンズ119にコリメートするように構成されている。
【0069】
合成的に生成された光学信号Sはさらに、さらなるレンズ119を通ってLiDARセンサ112へと向けられている。それに加えて、さらなるレンズ119は、少なくとも1つのマイクロレンズ118に対して所定の間隔を置いてマイクロレンズ118の光軸118bに沿って配置されている。さらなるレンズ119は、合成的に生成された光学信号Sの出射側において凸状に形成されている。
【0070】
1つの光学ユニット110当たりのマイクロレンズ118の個数は、自由に選択可能または構成可能である。例えば、この場合、それぞれの光導波体116に1つのマイクロレンズ118を対応付けることができる。
【0071】
本実施形態では、支持体装置114は、複数の開口部120を有し、これらの開口部の各々に1つの光導波体116が挿入されている。それぞれの光導波体116自体には1つのマイクロレンズ118が対応付けられている。
【0072】
少なくとも1つのマイクロレンズ118は、とりわけプラスチックまたはガラスから一体に形成されている。少なくとも1つのマイクロレンズ118はさらに、合成的に生成された光学信号Sの出射側において凸状に形成されている。
【0073】
少なくとも1つの光導波体116は、スリーブ115によって、とりわけフェルールによって、支持体装置114内に形成された少なくとも1つの開口部120内に固定されている。スリーブ115は、それぞれの光導波体116および/またはそれぞれの開口部120と圧着または接着されている。
【0074】
少なくとも1つの光導波体116の、とりわけ平面状に形成された軸方向の端部区域は、少なくとも1つのマイクロレンズ118のうちの支持体装置114の方を向いた端面に、とりわけ少なくとも1つのマイクロレンズ118の端面に当接するように配置されている。光学ユニットはさらに、実質的にストリップ形に形成されており、光学ユニットには、長手方向および横方向に方向付けられた複数列のマイクロレンズ118が実装されている。
【0075】
図3は、本発明の実施形態によるLiDARセンサ12;112の試験システム1;101の概略図を示す。
【0076】
LiDARセンサ12;112のための試験システム1;101は、とりわけLiDARセンサ12;112に対して定置式または可動式に配置された、本発明による複数の光学ユニット10;110と、LiDARセンサ12;112と、を含み、光学ユニット10;110によって伝達される合成的に生成された光学信号Sは、このLiDARセンサ12;112へと向けられている。複数の光学ユニットはさらに、LiDARセンサ12;112の検出範囲内に配置されている。
【0077】
複数の光学ユニット10;110は、LiDARセンサ12;112を中心として実質的に半円形に互いに隣接して配置されている。この場合、これらの光学ユニットは、光導波体16;116によって供給された合成的に生成された光学信号Sを、光導波体16;116の向きに対して最大20°だけ偏向させるように、とりわけ屈折させるように構成されている。
【0078】
図4は、本発明の実施形態によるLiDARセンサ12;112の試験システム1;101の平面図を示す。
【0079】
光学ユニット10;110へのマイクロレンズ18;118の実装は、LiDARセンサ12;112に対するそれぞれの光学ユニット10;110の位置に応じて変更可能である。
【0080】
LiDARセンサ12;112を中心とした光学ユニット10;110の実質的に半円形の配列の中央区域に配置されている光学ユニット10;110は、好ましくは、半円形の配列の縁部領域に配置されている光学ユニット10;110よりも多数のマイクロレンズ18;118を有する。代替的に、この配列を、その他の構造的かつ/またはシステム的な基準に従って実現してもよい。
【0081】
図5は、本発明の実施形態による、LiDARセンサ12;112の試験システム1用の、合成的に生成された光学信号Sを伝送するための光学ユニットを製造するための方法を示す。
【0082】
本方法は、少なくとも1つの光導波体16;116を収容するための支持体装置14;114を用意することS1と、支持体装置14;114の端面14a;114aに対して直交するように形成された少なくとも1つの開口部20;120を支持体装置14;114に穿設することS2と、を含む。
【0083】
本方法はさらに、少なくとも1つの光導波体16;116を少なくとも1つの開口部20;120に挿入して、少なくとも1つの光導波体16;116をスリーブ15;115によって少なくとも1つの開口部20;120内に固定することS3と、少なくとも1つの光導波体16;116のうちのレンズの方を向いた端面を平面状に研削することS4と、を含む。
【0084】
本方法はさらに、少なくとも1つの光導波体16;116のファイバ端部を研磨することS5と、支持体装置14;114を少なくとも1つのマイクロレンズ18;118と接合および接着することS6と、を含む。
【符号の説明】
【0085】
1;101 試験システム
10;110 光学ユニット
12;112 LiDARセンサ
14;114 支持体装置
14a;114a 端面
15;115 スリーブ
16;116 光導波体
18;118 マイクロレンズ
18a;118a 端面
18b;118b 光軸
119 さらなるレンズ
20;120 開口部
S 光学信号
S1~S6 方法ステップ
【外国語明細書】