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特開2023-172909改善された表面粗さを有する積層造形部品に張り出し構造を形成するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172909
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】改善された表面粗さを有する積層造形部品に張り出し構造を形成するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/38 20210101AFI20231129BHJP
   B22F 10/25 20210101ALI20231129BHJP
   B22F 10/85 20210101ALI20231129BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20231129BHJP
   B22F 10/31 20210101ALI20231129BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20231129BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20231129BHJP
【FI】
B22F10/38
B22F10/25
B22F10/85
B22F12/90
B22F10/31
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077801
(22)【出願日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】17/664,470
(32)【優先日】2022-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】プリヤンカー、デヴィ、グジラプ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン、ポールソン
(72)【発明者】
【氏名】ディネシュ、クリシュナ、クマール、ジャヤバル
(72)【発明者】
【氏名】コリン、エー.、ラッド
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート、エー.、シュヴァイド
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018CA44
4K018EA51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】部品の非張り出し特徴の粗さスコアに相応する、金属物体張り出し特徴の粗さスコアを示す金属部品を形成することを可能にする、積層造形液滴吐出装置の動作方法および装置を提供する。
【解決手段】液滴吐出装置の動作方法は、装置から吐出された材料の液滴によって形成されている物体における最上層のデジタル画像データを生成することと、第1の補正方法及び生成されたデジタル画像データを使用して、物体の次の層の張り出し特徴を形成するように装置を動作させるために使用されるマシン対応命令を修正することと、第1の補正方法とは異なる第2の補正方法及び生成されたデジタル画像データを使用して、物体の次の層の非張り出し特徴を形成するように装置を動作させるために使用されるマシン対応命令を修正することと、修正されたマシン対応命令を実行して、物体の次の層を形成するように装置を動作させることと、を含む、方法とする。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形液滴吐出装置を動作させる方法であって、
前記液滴吐出装置から吐出された材料の液滴によって形成されている物体における最上層のデジタル画像データを生成することと、
第1の補正方法及び前記生成されたデジタル画像データを使用して、前記物体の次の層の張り出し特徴を形成するように前記液滴吐出装置を動作させるために使用されるマシン対応命令を修正することと、
第2の補正方法及び前記生成されたデジタル画像データを使用して、前記物体の前記次の層の非張り出し特徴を形成するように前記液滴吐出装置を動作させるために使用されるマシン対応命令を修正することであって、前記第2の補正方法が、前記第1の補正方法とは異なる、修正することと、
前記修正されたマシン対応命令を実行して、前記物体の前記次の層を形成するように前記液滴吐出装置を動作させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記装置においてZ軸に沿って位置合わせされたデジタルカメラを動作させて、前記物体の最上層の前記デジタル画像データを生成すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記積層造形液滴吐出装置が、溶融金属液滴吐出装置である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生成されたデジタル画像データを使用して、ゲインマップを生成することであって、前記第1の補正方法が、前記ゲインマップの第1の部分を使用して、前記張り出し特徴を形成する前記マシン対応命令に対して行われる変更を識別し、前記第2の補正方法が、前記ゲインマップの第2の部分を使用して、前記非張り出し特徴を形成する前記マシン対応命令に対して行われる変更を識別する、生成すること
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の補正方法が、局所補正方法である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の補正方法が、オフセットベースの半局所補正方法である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲインマップの前記第1の部分における値の平均が、前記張り出し特徴を形成する前記マシン対応命令に対して行われる前記変更を識別するために使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の補正方法が、制限された半局所補正方法である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記変更が識別される前に、前記ゲインマップの前記第1の部分から、部分がフィルタリングされる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の補正方法が、トリムを伴う制限された半局所補正方法である、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記変更が識別される前に、前記ゲインマップの前記第1の部分の少なくとも1つの端部を、前記第1の部分から除去すること
を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の部分の長さの所定の割合を除去すること
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
積層造形液滴吐出装置であって、
溶融材料源に流体接続された吐出器と、
前記吐出器によって吐出された前記溶融材料の液滴によって形成されている物体の最上層のデジタル画像データを生成するように構成されたデジタル画像データ生成器と、
前記吐出器及び前記デジタル画像データ生成器に動作可能に接続されたコントローラであって、
第1の補正方法及び前記生成されたデジタル画像データを使用して、前記物体の次の層の張り出し特徴を形成するように前記液滴吐出装置を動作させるために使用されるマシン対応命令を修正することと、
第2の補正方法及び前記生成されたデジタル画像データを使用して、前記物体の前記次の層の非張り出し特徴を形成するように前記液滴吐出装置を動作させるために使用されるマシン対応命令を修正することであって、前記第2の補正方法が、前記第1の補正方法とは異なる、修正することと、
前記修正されたマシン対応命令を実行して、前記物体の前記次の層を形成するように前記液滴吐出装置を動作させることと、
を行うように構成されている、コントローラと、
を備える、積層造形液滴吐出装置。
【請求項14】
前記デジタル画像データ生成器が、前記物体の前記最上層の前記デジタル画像データを生成するように構成されている、前記積層造形液滴吐出装置においてZ軸に沿って位置合わせされたデジタルカメラである、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記溶融材料源が、
バルク金属を受け入れ、かつ前記吐出器からの吐出のために溶融金属を生成するように構成された取り外し可能な容器
を更に備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記コントローラが、
前記生成されたデジタル画像データを使用して、ゲインマップを生成することであって、前記第1の補正方法が、前記ゲインマップの第1の部分を使用して、前記張り出し特徴を形成する前記マシン対応命令に対して行われる変更を識別し、前記第2の補正方法が、前記ゲインマップの第2の部分を使用して、前記非張り出し特徴を形成する前記マシン対応命令に対して行われる変更を識別する、生成する
ことを行うように更に構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第2の補正方法が、局所補正方法である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の補正方法が、オフセットベースの半局所補正方法である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記コントローラが、
前記ゲインマップの前記第1の部分における値を平均化して、前記張り出し特徴を形成する前記マシン対応命令に対して行われる前記変更を識別する
ように更に構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の補正方法が、制限された半局所補正方法である、請求項16に記載の装置。
【請求項21】
前記コントローラが、
前記変更が識別される前に、前記ゲインマップの前記第1の部分から、部分をフィルタリングする
ように更に構成されている、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の補正方法が、トリムを伴う制限された半局所補正方法である、請求項16に記載の装置。
【請求項23】
前記コントローラが、
前記変更が識別される前に、前記ゲインマップの前記第1の部分の少なくとも1つの端部を、前記第1の部分から除去する
ように更に構成されている、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記コントローラが、
前記第1の部分の長さの所定の割合を除去する
ように更に構成されている、請求項23に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元(three-dimensional、3D)物体プリンタで使用される溶融金属吐出器を対象とし、より具体的には、それらのシステムによって製造される3D物体における張り出し構造の形成を対象とする。
【背景技術】
【0002】
積層造形(additive manufacturing)としても知られる三次元印刷は、事実上あらゆる形状のデジタルモデルから三次元の固体物体を作製するプロセスである。多くの三次元印刷技術は、積層造形デバイスが、構築材料の液滴を吐出するか、又は構築材料をひも状に押し出して、前に堆積された層の上に部品の連続層を形成する積層プロセスを使用する。これらの技術のうちのいくつかは、フォトポリマー又はエラストマーなどのUV硬化性材料を吐出する吐出器を使用するが、他の技術は、塑性材料を溶融して熱可塑性材料を生成し、これを押し出して熱可塑性材料の連続層を形成する。これらの技術は、様々な形状及び特徴を有する三次元物体を構築するために使用される。この積層造形法は、ほとんどが切断又はドリル加工などの減法プロセスによる加工物からの材料の除去に依存する従来の物体形成技術と区別可能である。
【0003】
近年、3D金属物体を形成するために、1つ以上の吐出器から溶融金属の液滴を吐出するいくつかの3D物体プリンタが開発されている。これらのプリンタは、ワイヤのロール、マイクロサイズのペレット、又は金属粉末などの固体金属源を有し、固体金属は、プリンタ内の容器の加熱された収容部に供給され、そこで固体金属が溶融され、溶融された金属が収容部を充填する。収容部は、周囲に電気ワイヤが巻き付けられてコイルを形成する非導電性材料で作製されている。電流がコイルを通過して電磁場を生成し、電磁場により、収容部のノズルにおける溶融金属の液滴が収容部内の溶融金属から分離し、ノズルから推進される。プラットフォームは、コントローラがアクチュエータを動作させることによって、プラットフォームの平面に平行なX-Y平面内で移動するように構成されており、ノズルから吐出された溶融金属液滴は、プラットフォーム上に物体の金属層を形成する。コントローラは、吐出器と、形成されている金属物体の既存の層との間に一定の距離を維持するように、別のアクチュエータを動作させて吐出器又はプラットフォームの位置を変化させる。このタイプの金属液滴吐出プリンタは、磁気流体力学(magnetohydrodynamic、MHD)プリンタと呼ばれる。
【0004】
3D印刷部品の表面品質は、従来の射出成形プロセスを使用して製造された部品に匹敵する必要がある。3D金属物体プリンタによって作製された部品の表面品質を客観的に測定することができる。積層造形された部品の粗さは、耐摩耗性、亀裂発生、疲労寿命、及び流体力学などの重要な特性に影響を及ぼす可能性がある。部品表面の粗さを低減することは、移動する表面間の相互作用が部品の急速な摩耗及び断裂をもたらし得る、ピストン、軸受、及びシール表面のようなマシン部品において特に重要である。3D金属物体プリンタでは、表面粗さスコアは、部品の異なる特徴タイプに対して異なり得る。例えば、張り出しを有して形成された特徴は、張り出し特徴なしで形成されたものと同様の表面粗さを有さない。本明細書で使用されるとき、「張り出し特徴」という用語は、先に形成された層の周囲を越えて延在する1つ以上の金属液滴を意味する。3D金属物体プリンタを用いて、部品の非張り出し特徴の粗さスコアに相応する、金属物体張り出し特徴の粗さスコアを示す金属部品を形成することができることは、有益であろう。
【発明の概要】
【0005】
3D金属物体プリンタを動作させる新しい方法は、プリンタが、部品の非張り出し特徴の粗さスコアに相応する、金属物体張り出し特徴の粗さスコアを示す金属部品を形成することを可能にする。方法は、液滴吐出装置から吐出された材料の液滴によって形成されている物体における最上層のデジタル画像データを生成することと、第1の補正方法及び生成されたデジタル画像データを使用して、物体の次の層の張り出し特徴を形成するに液滴吐出装置を動作させるために使用されるマシン対応命令を修正することと、第2の補正方法及び生成されたデジタル画像データを使用して、物体の次の層の非張り出し特徴を形成するように液滴吐出装置を動作させるために使用されるマシン対応命令を修正することであって、第2の補正方法が、第1の補正方法とは異なる、修正することと、修正されたマシン対応命令を実行して、物体の次の層を形成するように液滴吐出装置を動作させることと、を含む。
【0006】
新しい3D金属物体プリンタは、部品の非張り出し特徴の粗さスコアに相応する、金属物体張り出し特徴の粗さスコアを示す金属部品を形成することができる。3D金属物体プリンタは、溶融材料源に流体接続された吐出器と、吐出器によって吐出された溶融材料の液滴によって形成されている物体の最上層のデジタル画像データを生成するように構成されたデジタル画像データ生成器と、吐出器及びデジタル画像データ生成器に動作可能に接続されたコントローラと、を含む。コントローラは、第1の補正方法及び生成されたデジタル画像データを使用して、物体の次の層の張り出し特徴を形成するように液滴吐出装置を動作させるために使用されるマシン対応命令を修正することと、第2の補正方法及び生成されたデジタル画像データを使用して、物体の次の層の非張り出し特徴を形成するように液滴吐出装置を動作させるために使用されるマシン対応命令を修正することであって、第2の補正方法が、第1の補正方法とは異なる、修正することと、修正されたマシン対応命令を実行して、物体の次の層を形成するように液滴吐出装置を動作させることと、を行うように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
3D金属物体プリンタを用いて、部品の非張り出し特徴の粗さスコアに相応する、金属物体張り出し特徴の粗さスコアを示す金属部品を形成する3D金属物体プリンタを動作させる方法の前述の態様及び他の特徴は、以下の説明において、添付の図面に関連して説明される。
【0008】
図1】3D金属物体プリンタを用いて、部品の非張り出し特徴の粗さスコアに対応する、金属物体張り出し特徴の粗さスコアを示す金属部品を形成する3D金属プリンタのブロック図である。
図2】形成されている金属部品の最上層の図を描写し、隣接するスケールは、表面粗さに寄与する最上層における偏差を識別する。図面に示されるその図の拡大部分は、検出された偏差を補償する後続の層の描写である。
図3】垂直からの偏差角が45°~62.5°変化する張り出し特徴を備える複数のアームを有する部品の層を描写する。
図4図3の各アームに対するステップアウトベースの半局所補正を示し、45°の張り出しを有するアームは半局所補正を有さない。
図5】45°より大きい張り出し角度を有する各アームの張り出しエッジに、ステップアウトベースの半局所補正が適用され、張り出しエッジ内の液滴間隔の変更に関連付けられた粗さを回避するために、張り出しエッジにおいてアームの幅にわたって補正が一定である、図4の層を示す。
図6】制限された半局所補正方法が各アーム上の張り出し特徴のエッジに適用された図3の層を描写する。
図7図6の各アーム上の張り出し特徴のエッジに対する、制限された半局所補正の適用を示す。
図8A図7に示された層のゲインマップであり、制限された半局所補正が各アーム上の張り出し特徴のエッジで使用され、図8Bは、図8Aの拡大部分である。
図8B図7に示された層のゲインマップであり、制限された半局所補正が各アーム上の張り出し特徴のエッジで使用され、図8Bは、図8Aの拡大部分である。
図9】3D金属物体プリンタを用いて、部品の非張り出し特徴の粗さ測定値に関する公差内にある、金属物体張り出しの粗さスコアを示す金属部品を形成することができる3D金属物体プリンタを動作させるための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に開示された3D金属物体プリンタ及びその動作のための環境、並びにプリンタ及びその動作の詳細の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同様の参照番号は、同様の要素を表す。
【0010】
図1は、非張り出し特徴の粗さスコアに相応する粗さスコアを有する張り出し特徴を形成する3D金属物体プリンタ100の一実施形態を例解する。本文書で使用されるとき、「支持構造」という用語は、吐出器ヘッドから吐出された溶融金属液滴で形成された部品から後で取り外される、吐出器ヘッドから吐出された溶融金属液滴で作製された金属の形成を意味する。本文書で使用されるとき、「部分」という用語は、3D金属液滴吐出装置で作製された製造物体を意味する。図1のプリンタでは、溶融バルク金属の液滴が、単一ノズル108を有する取り外し可能な容器104の収容部から吐出されて、構築プラットフォーム112上に、製造された物体の層を形成する。本文書で使用されるとき、「取り外し可能な容器」という用語は、バルク金属を溶融し、かつ溶融金属を保持するように構成された収容部を有する中空コンテナを意味し、コンテナは全体として、3D金属物体プリンタにおける設置及び取り外し可能に構成されている。本文書で使用されるとき、「容器」という用語は、3D物体金属プリンタに対して設置及び取り外しを行うように構成され得る、溶融又は固体物質を保持するように構成された収容部を有する中空コンテナを意味する。本文書で使用されるとき、「バルク金属」という用語は、一般的に入手可能なゲージのワイヤ、マクロサイズの金属ペレット、及び金属粉末などの、凝集体形態で入手可能な導電性金属を意味する。
【0011】
図1を更に参照すると、金属ワイヤ120などのバルク金属源116が、吐出器ヘッド140内の上部ハウジング122を通って延びるワイヤガイド124に供給され、取り外し可能な容器104の収容部内で溶融されて、吐出器ヘッド140のベースプレート114内のオリフィス110を通ってノズル108から吐出される溶融金属を提供する。本文書で使用されるとき、「ノズル」という用語は、容器内の収容部から溶融金属液滴を排出するように構成されている、溶融金属を含む容器の収容部内の体積に流体的に接続されたオリフィスを意味する。本文書で使用されるとき、「吐出器ヘッド」という用語は、金属物体の製造のための溶融金属液滴の溶融、吐出、及び吐出の調整を行う3D金属物体プリンタのハウジング及び構成要素を意味する。溶融金属レベルセンサ184は、レーザー及び反射センサを含む。溶融金属レベルからのレーザーの反射は、反射センサによって検出され、溶融金属レベルまでの距離を示す信号を生成する。コントローラは、この信号を受信し、取り外し可能な容器の収容部内の適切なレベル118に維持することができるように、取り外し可能な容器104内の溶融金属の体積のレベルを求める。取り外し可能な容器104がヒータ160内へと摺動し、ヒータの内径が取り外し可能な容器に接触し、取り外し可能な容器の収容部内の固体金属を、固体金属を溶融させるのに十分な温度まで加熱することが可能になる。本文書で使用されるとき、「固体金属」という用語は、元素の周期表で定義されている金属、又は液体若しくは気体ではなく固体の形態でこれらの金属によって形成される合金を意味する。ヒータは、取り外し可能な容器から分離されて、ヒータと取り外し可能な容器104との間に体積を形成する。不活性ガス供給部128は、ガス供給管132を通して吐出器ヘッドにアルゴンなどの不活性ガスの圧力調整された供給源を提供する。ガスは、ヒータと取り外し可能な容器との間の体積を通って流れ、ノズル108の周りの吐出器ヘッド及びベースプレート114内のオリフィス110から出ていく。ノズルに近接するこの不活性ガスの流れは、溶融金属の吐出された液滴をベースプレート114の周囲空気から絶縁して、吐出された液滴の飛行中に金属酸化物が形成されるのを防止する。ノズルと、吐出された金属液滴が着地する表面との間の隙間は、不活性ガス流内の液滴が着地する前に、ノズルの周りから出るこの不活性ガスが放散しない程度に意図的に十分に小さく保たれる。
【0012】
吐出器ヘッド140は、プラットフォーム112に対する吐出器ヘッドの移動に対応するように、Z軸軌道内に移動可能に装着される。1つ以上のアクチュエータ144は、吐出器ヘッドをZ軸に沿って移動させるために吐出器ヘッド140に動作可能に接続され、プラットフォームを吐出器ヘッド140の下のX-Y平面内で移動させるために、プラットフォーム112に動作可能に接続される。アクチュエータ144は、コントローラ148によって動作されて、吐出器ヘッド140のベースプレート114内のオリフィス110とプラットフォーム112上の物体の表面との間の適切な距離を維持する。
【0013】
溶融金属の液滴がプラットフォーム112に向かって吐出されるときに、X-Y平面内でプラットフォーム112を移動させることにより、形成される物体上に溶融金属液滴のスワスが形成される。コントローラ148はまた、アクチュエータ144を動作させ、吐出器ヘッド140と、基材上に最も近時に形成された層との間の距離を調節して、物体上の他の構造体の形成を容易にする。溶融金属3D物体プリンタ100は、垂直配向で動作されるように図1に描写されるが、他の別の配向を採用することができる。また、図1に示される実施形態がX-Y平面内で移動するプラットフォームを有し、吐出器ヘッドがZ軸に沿って移動するが、他の構成も可能である。例えば、アクチュエータ144は、吐出器ヘッド140をX-Y平面内で、Z軸に沿って移動させるように構成されても、又はX-Y平面及びZ軸の両方でプラットフォーム112を移動させるように構成されてもよい。
【0014】
コントローラ148は、スイッチ152を動作させる。1つのスイッチ152は、供給源156からヒータ160に電力を提供するようにコントローラによって選択的に動作され得、別のスイッチ152は、ノズル108から液滴を吐出する電場を生成するために別の電源156からコイル164に電力を提供するようにコントローラによって選択的に動作され得る。ヒータ160は高温で大量の熱を生成するため、コイル164は、吐出器ヘッド140の1つ(円形)又は2つ以上の壁(直線形状)によって形成されたチャンバ168内に位置決めされる。本文書で使用されるとき、「チャンバ」という用語は、3D金属物体プリンタのヒータ、コイル、及び取り外し可能な容器が位置する、金属液滴吐出プリンタ内の1つ以上の壁内に収容された体積を意味する。取り外し可能な容器104及びヒータ160は、かかるチャンバ内に位置している。チャンバは、ポンプ176を介して流体源172に流体的に接続されており、また、熱交換器180にも流体的に接続されている。本文書で使用されるとき、「流体源」という用語は、熱を吸収するのに有用な特性を有する液体のコンテナを指す。熱交換器180は、流体源172への戻りを介して接続される。供給源172からの流体は、チャンバを通って流れて、コイル164から熱を吸収し、流体は、交換器180を通して吸収された熱を搬送し、熱は、既知の方法によって除去される。冷却された流体は、適切な動作範囲内のコイルの温度を維持する際に更に使用するために、流体源172に戻される。
【0015】
3D金属物体プリンタ100のコントローラ148は、金属物体製造のためにプリンタを制御するために、外部供給源からのデータを必要とする。一般に、形成されるべき物体の三次元モデル又は他のデジタルデータモデルは、コントローラ148に動作可能に接続されたメモリ内に記憶される。コントローラは、サーバなどを通してデジタルデータモデルに、デジタルデータモデルが記憶されたリモートデータベースに、又はデジタルデータモデルが記憶されているコンピュータ可読媒体に、選択的にアクセスすることができる。この三次元モデル又は他のデジタルデータモデルは、プリンタ100の構成要素を動作させ、かつモデルに対応する金属物体の層を形成するために、既知の方法で、コントローラとともに実装されるスライサによって処理されて、コントローラ148による実行のためのマシン対応命令を発生させる。マシン対応命令の発生は、デバイスのCADモデルがSTLデータモデル、多角形メッシュ、又は他の中間表現に変換されるときなどの、中間モデルの生成を含むことができ、次いで、この中間モデルを処理して、プリンタによって物体を製造するためのGコードなどのマシン命令を発生させることができる。本文書で使用されるとき、「マシン対応命令」という用語は、3D金属物体積層造形システムの構成要素を動作させて、プラットフォーム112上に金属物体を形成するために、コンピュータ、マイクロプロセッサ、又はコントローラによって実行されるコンピュータ言語コマンドを意味する。コントローラ148は、マシン対応命令を実行して、ノズル108からの溶融金属液滴の吐出、プラットフォーム112の位置付け、並びにオリフィス110とプラットフォーム112上の物体の表面との間の距離の維持を制御する。
【0016】
コントローラ148は、プログラムされた命令を実行する1つ以上の汎用又は専用のプログラマブルプロセッサを用いて実装され得る。プログラムされた機能を実施するために必要とされる命令及びデータは、プロセッサ又はコントローラに関連付けられたメモリ内に記憶され得る。プロセッサ、それらのメモリ、及びインターフェース回路は、先に記載され、並びに以下に記載される動作を実施するようにコントローラを構成する。これらの構成要素は、印刷回路カード上に提供されてもよいか、又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)内の回路として提供されてもよい。回路の各々は、別個のプロセッサで実装され得るか、又は複数の回路は、同じプロセッサ上に実装され得る。代替的に、回路は、超大規模集積回路(very large scale integrated、VLSI)内に提供される個別の構成要素又は回路で実装することができる。また、本明細書に記載される回路は、プロセッサ、ASIC、個別の構成要素、又はVLSI回路の組み合わせで実装することができる。金属物体の形成中に、生成される構造体の画像データは、吐出器ヘッド104に出力される吐出器ヘッド制御信号を処理及び生成するための走査システム又はオンライン若しくはワークステーション接続のいずれかから、コントローラ136のためのプロセッサ又は複数のプロセッサに送信される。
【0017】
図1のコントローラ148は、コントローラによって実行されると、コントローラに、図1のプリンタを用いて製造された金属部品の張り出し特徴を、張り出していない部品の他の特徴の粗さスコアに相応する粗さスコアで形成させるプログラムされた命令を用いて構成されている。コントローラは、これらのプログラムされた命令を用いて、形成されている部品の張り出し特徴の表面粗さ測定を改善する3つの補正方法を実行するように構成されている。これらの方法は、非張り出し特徴における表面偏差を補償するために使用される方法とは異なって表面偏差を補償する。3つの方法は、ステップアウトベースの半局所補正、制限された半局所補正、及びトリム量を伴う制限された半局所補正を含む半局所補正技術である。表面粗さは、実行された各半局所補正に対して、平均粗さ(Ra)及び表面領域粗さ(Sa)によって測定され、近接する非張り出し特徴に対して使用されたローカル補正と比較される。
【0018】
本明細書で使用されるとき、「ステップアウトベースの半局所補正」は、次の層で形成されるステップアウトの直線セグメントに対応するゲインマップ値を使用したマシン対応命令の修正を意味する。本明細書で使用されるとき、「制限された半局所補正」は、曲線がフィルタリングされたステップアウトの直線セグメントに対応するゲインマップ値を使用したマシン対応命令の修正を意味する。本明細書で使用されるとき、「トリムを伴う制限された半局所補正」は、セグメントの1つ以上の端部における部分が除去された、ステップアウトの直線セグメントに対応するゲインマップ値を使用する、マシン対応命令の修正を意味する。
【0019】
張り出し特徴における表面偏差を補償するために使用される方法を説明する前に、非張り出し領域に対して使用される局所補正方法が注目される。製造されている部品の任意の領域における表面偏差は、吐出された溶融金属液滴サイズ、溶融金属液滴配置、溶融金属液滴温度、及び部品の幾何学的形状のランダム変動によって引き起こされる。これらの偏差が対処されない場合、結果として生じる高さ誤差は、部品がその意図された目的に適合しない程度まで蓄積する可能性がある。部品の寸法完全性を維持するために、非張り出し領域に対して局所補正方法が採用される。この方法は、上面高さを測定することと、後続の層を生成するためのマシン対応命令を調整して、測定された変動を補償することと、を含む。プリンタ100は、コントローラ148及びアクチュエータ144のうちの少なくとも1つに動作可能に接続されているデジタル画像データ生成器188を含む。デジタル画像データ生成器は、例えば、プリンタ100においてZ軸又は垂直方向に位置合わせされているデジタルカメラであり得る。一実施形態では5層である、所定数の部品層が形成された後、コントローラ148は、1つ以上のアクチュエータ144を動作させて、カメラ188を部品上で移動させ、カメラは、部品の最上層の画像データを生成する。コントローラ148は、カメラ188によって生成された画像データを受信し、それを物体モデルデータと比較し、ゲインマップを生成して、画像化された層におけるZ軸誤差を補正するためにどこで及びどの程度の補償が必要であるかを判定する。層内の全ての非張り出し特徴は同じように扱われ、同じタイプの補正が、ゲインマップに基づいて、非張り出し特徴に適用される。以下でより詳細に説明されるのは、非張り出し特徴を補正するために使用されるものとは異なるゲインマップを使用して、張り出し特徴における高さ誤差を補償する方法である。
【0020】
図2に示すように、現在の上部金属層のゲインマップは、Z軸位置合わせカメラによって生成された画像データを使用して生成される。ゲインマップのスケールは、図2のゲインマップの右側に示されている。本明細書で使用されるとき、「ゲインマップ」という用語は、金属物体の最上層における金属液滴場所のアレイを意味し、各金属液滴場所における数値表現は、層内の場所における液滴の高さとその場所における液滴の予想高さとの間の偏差に対応する。このスケールでは、公称ゲイン値1は、液滴の高さがその予想される高さにあり、したがって後続の層に影響を及ぼさないことを意味し、1よりも大きい値は、液滴の高さがその予想される高さよりも低く、したがって後続の層のその位置における液滴の数を増加させる必要があることを意味し、1未満の値は、液滴の高さがその予想される高さよりも高く、したがって後続の層のその位置における液滴の数を減少させる必要があることを意味する。図2に示す拡大された区域は、1より大きい値を有するゲイン画像領域に対応する領域において液滴の数を増加させ、1未満の値を有するゲイン画像領域に対応する領域において液滴の数を減少させて生成された後続の層である。液滴の数は、マシン対応命令における液滴間隔パラメータを変更することによって変化させることができる。
【0021】
張り出し特徴に使用される補償方法は、これらの特徴のエッジを対称とする。2021年1月27日に出願された「Method And Apparatus For Forming Overhang Structures with A Metal Drop Ejecting Three-Dimensional(3D)Object Printer」という名称の同時係属中の特許出願S/N第17/159,975号に記載されているように、外周に沿って実行される溶融金属液滴吐出器の追加の支持されていないステップアウトパスを参照して、張り出しエッジが判定される。図3は、垂直から45°~62.5°の範囲の異なる角度の張り出しエッジ312を備えるアーム308を有する部品の層304を示す。連続した輪郭316は層の周囲であり、各アームの端部付近の線308は、張り出しを形成するための支持体を必要とせずに、張り出しが構築されることを可能にするように形成されている支持されていないステップアウト又は張り出しエッジ308である。これらのサポートされていないステップアウトは、サポートされていないステップアウトが延在する張り出しエッジ内の溶融金属液滴の全てに対応するゲインマップ値の平均をとり、その平均を使用して、吐出器を動作させて、サポートされていないステップアウトを形成するために使用されるマシン対応命令を調整して、したがってサポートされていないステップアウトが、張り出し特徴のエッジ内の表面偏差を補償するようにすることによって、各アームについて局所的に補正される。マシン対応命令の調整又は修正は、液滴間隔又は吐出器ヘッド速度などの命令内のパラメータを変更することを含む。
【0022】
この技術の主な欠点は、水平から45°以上の角度を有する任意の張り出し特徴が、サポートされていないステップアウトを有さず、半局所的に補正することができないことである。代わりに、これらの張り出し特徴は、張り出し特徴のエッジセグメントに位置しない層の領域に対して実行される通常の局所補正に含まれる。更に、サポートされていないステップアウトに対して実行される半局所補償を受ける張り出しの角に対して、顕著な垂下が発生する。この垂下は、各張り出しエッジのゲイン値が、表面偏差が、1又は1より大きいエッジセグメントの中央によって影響されることによるものであり、これによって、角における補償が、表面偏差を適切に補償するためにあるべきものよりも小さくなる。
【0023】
図4は、45°張り出し408を有するアームが半局所補正を有さないことを除いて、各アームの張り出しエッジ404に対するステップアウトベースの半局所補正を示す。図5は、45°より大きい張り出し角度を有する各アームの張り出しエッジに、ステップアウトベースの半局所補正が適用され、張り出しエッジ内の液滴間隔の変更に関連付けられた粗さを回避するために、張り出しエッジにおいてアームの幅にわたって補正が一定である、同じ部品の層を示す。
【0024】
サポートされていないステップアウトにおける角から生じる問題を克服するために、制限された半局所補正方法が使用される。この方法では、ステップアウトベースの半局所補正が適用される張り出し特徴のエッジは、パルス距離及びデカルト距離フィルタリングを使用して判定される。液滴間隔と呼ばれることもあるパルス距離は、張り出し特徴のエッジにおける隣接する溶融金属液滴間の距離である。張り出し特徴のエッジにおけるパルス距離は、層の非張り出し領域における隣接する金属液滴間の公称距離よりも小さい。一実施形態では、公称距離は、0.425mmである。溶融金属液滴が、より小さいパルス距離ではなく公称距離だけ離れている領域は、張り出し特徴のエッジセグメントからフィルタリングされ、局所的に補正される領域に含まれる。デカルト距離は、エッジ内に湾曲した角を形成するために使用される所定のセグメント長である。デカルト距離以下であるエッジセグメントを検出することによって、制限された半局所補正が適用される前に、湾曲した角を形成するために使用される非常に小さいラインセグメントをエッジセグメントからフィルタリングすることができる。再び、制限された半局所補正方法は、液滴がパルス距離だけ分離されており、角セグメントが、垂下を回避するために局所的に補正される非張り出し領域に含まれる、張り出し特徴の直線エッジにのみ適用される。図6は、制限された半局所補正方法が適用された図3の層304を描写する。ここでは、各アーム308の張り出しエッジ312は、補正のために識別され、角は、半局所補正に含まれない。結果として、45°張り出しエッジは、半局所エッジ補正に含まれる。
【0025】
図7は、各アーム上の張り出し特徴のエッジに対する、制限された半局所補正の適用を示す。後続の層におけるオフセットの形成に使用される補正されたゲイン値は、張り出し特徴のエッジにおける金属液滴に対応するゲインマップ値の全ての平均である。例えば、図8Aは、制限された半局所補正が、各アームの各張り出し特徴のエッジで使用される層のゲインマップであり、図8Bは、図8Aの拡大部分である。拡大画像は、層のアームのある部分上のゲイン値を示す。この図面における45°の張り出しエッジは、張り出し特徴エッジの半局的補正が、画像内の局所的に補正された非張り出し部分とよく調和することを実証する。別の実施形態では、制限された半局所補正は、エッジに対するゲインマップ値の平均ではなく、ゲインマップ値1を参照して判定される。すなわち、ゲインマップ値が1である場合には補正は実行されず、値が1でない他の場所では、それらの場所におけるゲインマップ値は、後続の層内のその場所における液滴の数を判定するために使用される。
【0026】
張り出し特徴のエッジにおける制限された半局所補正の使用に伴う問題は、張り出し特徴エッジの一端又は両端に鋭い角が存在する場合に発生する。角は、鋭いため、張り出し特徴エッジに対するオフセットベースの半局所補正からフィルタリングされない。代わりに、鋭い角を含む、全体の張り出し特徴エッジは、半局所的に補正される。その結果、角で垂下が発生し得る。この問題に対処するために、ある量のエッジが、鋭い角が生じる張り出し特徴エッジの端部からトリミングされる。このトリム量は、張り出し特徴エッジの全長の所定の割合であり、一実施形態では、所定の割合は、張り出し特徴エッジの全長の15%である。したがって、エッジの各端部に鋭い角を有する張り出し特徴エッジでは、張り出しエッジの約30%が、層の非張り出し部分に対する局所補正に含まれ、張り出し特徴エッジに対するオフセットベースの半局所補正から除外される。補償技術のこの説明は、鋭い角及び湾曲した角に言及している。本明細書で使用されるとき、「鋭い角」という用語は、互いに垂直である2つのセグメントによって形成される角を意味し、一方、「湾曲した角」は、互いに対して90度以外の任意の角度で位置付けられた2つ以上のセグメントによって形成される角である。
【0027】
オフセットベースの半局所方法、制限付き半局所方法、及びトリムを伴うオフセットベースの半局所方法の有効性を評価するために、表面の粗さが測定される。平均粗さ(Ra)は、評価長さに沿ったプロファイル変動の絶対値の平均をとることによって測定される。より正確には、Raは、表面上の各点が評価長さに沿った平均高さからどれだけ高さがずれているかの平均である。3D光学形状測定において、粗さは、通常、表面領域粗さ(Sa)として示される。Raは、通常、領域を通る線に沿って判定されるので、Saは、同じ領域を通る複数の線の平均Raとして判定することができる。積層造形された部品の張り出し特徴の異なる線又は領域の平均粗さ又は表面領域粗さは、非張り出し表面領域の平均粗さ又は表面粗さと比較することができる。部品の張り出し部分の表面粗さ測定値が、非張り出し領域の表面粗さ測定値に関する所定の許容範囲内にある場合、張り出し特徴補償技術は成功である。
【0028】
部品の非張り出し領域に対する表面粗さ測定値に関する許容範囲内の表面粗さ測定値を有する張り出し特徴に対するステップアウトを有する部品を形成するように、金属液滴吐出プリンタを動作させるためのプロセスが図9に示されている。プロセスの説明において、プロセスがいくつかのタスク又は機能を実施しているという記述は、コントローラ又は汎用プロセッサが、データを操作して、又はプリンタ内の1つ以上の構成要素を動作させてタスク若しくは機能を実施するために、コントローラ又はプロセッサに動作可能に接続された非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム命令を実行することを指す。上述したコントローラ148は、そのようなコントローラ又はプロセッサとすることができる。代替的に、コントローラは、2つ以上のプロセッサ並びに関連する回路及び構成要素とともに実装され得、これらは各々、本明細書に記載される1つ以上のタスク又は機能を形成するように構成される。追加的に、方法の工程は、図に示される順序又は処理が記載される順序にかかわらず、任意の実行可能な時系列順序で実施され得る。
【0029】
図9は、プリンタ10などの金属液滴吐出プリンタを動作させて、張り出し特徴に対するステップアウトを形成するプロセスのフロー図である。プロセス900は、Z軸又は垂直方向に配向されたデジタルカメラを動作させて、製造されている物体の最上層の画像データを生成する(ブロック904)。層のゲインマップが生成される(ブロック908)。水平から45°以上の角度を有する、構築されている各張り出しについて(ブロック912)、プロセスは、張り出し特徴エッジが、湾曲した角(ブロック916)又は鋭い角(ブロック920)を有するかどうかを判定する。張り出し特徴エッジが、湾曲した角を有する場合、制限された半局所補正が、張り出し特徴エッジにおける表面の偏差を補償するように金属液滴吐出器を動作させるために使用されるマシン対応命令に適用される(ブロック924)。張り出し特徴エッジが、鋭い角を有する場合、トリムを伴う制限された半局所補正が、張り出し特徴エッジにおける表面の偏差を補償するように金属液滴吐出器を動作させるために使用されるマシン対応命令に適用される(ブロック928)。ゲインマップの全ての他の領域は、局所領域補償方法で処理される(ブロック932)。次の層を形成するように金属液滴吐出器を動作させるために使用されるマシン対応命令が、これらの異なる方法によって調整された後、調整されたマシン対応命令は、金属液滴吐出器を動作させ、部品の次の層を形成するために使用される(ブロック936)。次の層が形成された後、プロセスは、別の層が形成されるべきかどうかを判定し(ブロック940)、別の層がある場合、プロセスは、継続する(ブロック904)。そうでなければ、プロセスは停止し、完成した部品を取り出すことができる。
【0030】
上記に開示された及び他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替が、望ましくは、多くの他の異なるシステム、アプリケーション、又は方法に組み合わされ得ることが理解されるであろう。以下の特許請求の範囲によって包含されることも意図される、様々な現在予見又は予期されていない代替、修正、変形、又は改善が、その後、当業者によって行われ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9