(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172914
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】空気中間層を備えたコイル巻線及びエアロゾル生成装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20231129BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20231129BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20231129BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20231129BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/40
A24F40/20
A24F40/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079224
(22)【出願日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】202210563546.2
(32)【優先日】2022-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】羅 永杰
(72)【発明者】
【氏名】楊 保民
(72)【発明者】
【氏名】范 吉昌
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC10
4B162AC11
4B162AC22
4B162AD06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】空気中間層を備えたコイル巻線及びそれを含むエアロゾル生成装置を提供する。
【解決手段】コイル巻線は、外面に空気溝2が設けられているブラケット本体1を含み、コイル3は、ブラケット本体1の外面に巻き付けられ、且つ少なくとも一部が空気溝2を覆っており、ブラケット本体1とコイル3との間には、空気溝2によって空気中間層が形成されている。本発明は、コイルブラケットに空気溝を開ける方式により、コイルとブラケットとの間に空気中間層を形成し、これにより、ブラケットのコイルへの熱伝導を減少させるとともに、空気中間層の存在がコイルの自己発熱の放熱に有利であり、コイル損失を低減する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中間層を備えたコイル巻線であって、
外面に空気溝(2)が設けられているブラケット本体(1)を含み、
コイル(3)は、前記ブラケット本体(1)の外面に巻き付けられ、且つ少なくとも一部が前記空気溝(2)を覆っており、
前記ブラケット本体(1)と前記コイル(3)との間には、前記空気溝(2)によって空気中間層が形成されている
ことを特徴とする空気中間層を備えたコイル巻線である。
【請求項2】
前記空気溝(2)は複数ある
ことを特徴とする請求項1に記載の空気中間層を備えたコイル巻線。
【請求項3】
前記コイル(3)は、前記空気溝(2)を完全に覆っている
ことを特徴とする請求項1に記載の空気中間層を備えたコイル巻線。
【請求項4】
前記空気溝(2)の軸方向の幅H1は、1本の前記コイル(3)の軸方向の幅H2よりも小さく、
前記空気溝(2)の径方向の深さTは、0.1mm以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の空気中間層を備えたコイル巻線。
【請求項5】
前記ブラケット本体(1)の外面には、突起(4)がさらに設けられ、
前記突起(4)は、前記コイル(3)の少なくとも2つの単一のコイルの間に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の空気中間層を備えたコイル巻線。
【請求項6】
前記突起(4)は複数ある
ことを特徴とする請求項5に記載の空気中間層を備えたコイル巻線。
【請求項7】
前記突起(4)の径方向の高さは、前記コイルの径方向の高さよりも小さい
ことを特徴とする請求項5に記載の空気中間層を備えたコイル巻線。
【請求項8】
コイル巻線が巻き付けられた後、少なくとも一部の前記コイル(3)の間には、隙間(5)が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の空気中間層を備えたコイル巻線。
【請求項9】
エアロゾル生成装置であって、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の空気中間層を備えたコイル巻線を含み、
前記ブラケット本体(1)の内部には発熱体(6)が設けられ、
前記発熱体は、前記コイル(3)によって誘導発熱される
ことを特徴とするエアロゾル生成装置。
【請求項10】
前記コイル(3)の外側には、遮蔽層(9)が設けられている
ことを特徴とする請求項9に記載のエアロゾル生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置の分野に属し、特に電磁式喫煙具、より具体的には、空気中間層を備えたコイル巻線及びエアロゾル生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾルは、固体又は液体の小さな粒子が気体媒体中に分散・浮遊して形成されるコロイド分散体であり、エアロゾルは呼吸器系から人体に吸収され得るので、ユーザに新しい代替吸収手段を提供する。例えば、ハーブ又はペースト状のエアロゾル発生基質をベーク・加熱することでエアロゾルを生成する霧化装置は、様々な分野に適用され、従来の製品形態及び吸収手段の代わりに、ユーザに吸入可能なエアロゾルを供給する。
【0003】
従来の焼き付け型エアロゾル生成装置は、電磁誘導加熱原理により、発熱材に熱を発生させてエアロゾル発生基質をベーク・加熱して霧化することもできる。電磁誘導加熱の原理は、以下の通りである。つまり、誘導加熱電源により生じた交番電流が誘導器(即ち、コイル)を介して交番磁場を発生させ、磁気伝導サセプタ(即ち、発熱体)がその中において交番磁力線を切ることで、発熱体の内部で交番の電流(即ち、渦電流)を発生させる。その渦電流は発熱体の内部の原子を高速でランダムに移動させ、原子が互いに衝突・摩擦して熱エネルギーを発生させ、それによってエアロゾル発生基質をさらに加熱する。従来の電磁気加熱エアロゾル生成装置のうち、一種は、コイル巻線が固定されたブラケットが直接巻き付け方式を採用するもの、すなわち、コイルが直接一巻きずつブラケット上に密着して巻き付けられ、かつコイルがブラケットの表面に直接接触するものであり、もう一種は、コイルを巻き付けるための巻線固定ブラケットが専ら設けられ、巻線固定ブラケットの内部が管状ブラケットであるものである。前者に存在する問題は、コイルとブラケットとが密着しており、ブラケット内部の発熱体が加熱されると、熱伝導が行われ、コイルの温度上昇が過速しすぎて、線損の進行に繋がることであり、又は、内部が断熱された時、コイルが自己発熱する場合、コイル同士が密に並び、かつブラケットに密着しているため、コイルに放熱するための空隙がなくなり、これにより、温度が過剰に高くなり、コイル損失に繋がることである。後者は、コイルと管状ブラケットとを分離してコイルの放熱を向上させることができるが、部品の増加、構成の複雑化、ひいては、コイル及びブラケットの速すぎる放熱、大きなエネルギー損失に繋がる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の課題を解決するために、本発明が提案される。
【0005】
本発明のコイルとは、環状の導線巻線を指し、本発明では特にインダクタンスの分野に適用される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、空気中間層を備えたコイル巻線であって、外面に空気溝2が設けられているブラケット本体1を含み、コイル3は、前記ブラケット本体1の外面に巻き付けられ、且つ少なくとも一部が前記空気溝2を覆っており、前記ブラケット本体1と前記コイル3との間には、前記空気溝2によって空気中間層が形成されている、空気中間層を備えたコイル巻線を提供する。
【0007】
任意選択的に、前記空気溝2は複数ある。複数の空気溝2の分布は限定されず、均一に分布してもよいし、ランダムに分布してもよい。より任意選択的に、空気溝2は巻き付け後のコイルの分布と一致している、即ち、コイルが覆われたブラケット本体1の外面には、空気溝2が対応して設けられ、コイルとコイルとの間に隙間5が設けられている場合、隙間5の外面に空気溝2を設ける必要がない。
【0008】
任意選択的に、前記コイル3は、前記空気溝2を完全に覆っている。つまり、空気溝2は、ブラケット本体1とコイル3との間に完全に位置しており、コイル3が巻き付けられた後に露出することはない。
【0009】
任意選択的に、前記空気溝2の軸方向の幅H1は、1本の前記コイル3の軸方向の幅H2よりも小さく、前記空気溝2の径方向の深さTは、0.1mm以上(T≧0.1mm)である。選択的な実施態様では、空気溝2の軸方向の幅及び径方向の深さが限定されるが、空気溝の周方向の長さが限定されていない。つまり、空気溝2は、周方向に沿って一部しか延びなくてもよいし、コイルの延在方向に従ってコイルによって覆われた個所はすべて空気溝を有してもよい。
【0010】
任意選択的に、前記ブラケット本体1の外面には、突起4がさらに設けられ、前記突起4は、前記コイル3の少なくとも2つの単一のコイルの間に設けられている。
【0011】
任意選択的に、前記突起4は複数ある。
【0012】
任意選択的に、前記突起4の径方向の高さは、前記コイルの径方向の高さよりも小さい。このように、突起4は、コイル巻線への位置決めを実現できるとともに、コイルとブラケットとの接触をできるだけ少なくし、これにより、コイルの放熱面積を増加させ、ブラケットのコイルへの熱伝導を減少させる技術的効果を実現する。他の実施例において、当該突起の個数、位置、軸方向の幅、径方向の深さ、周方向の長さは、コイルの位置決め・巻き付け及び巻き付け後のコイルの固定に合わせれば、特に限定されなくてもよい。また、コイルを位置決めすることは、コイルと空気溝との位置対応に有利である。
【0013】
任意選択的に、コイル巻線が巻き付けられた後、少なくとも一部の前記コイル3の間には、隙間5が設けられている。隣接するコイルの間に隙間5が設けられていてもよいし、又は一部の隣接するコイルの間のみに隙間5が設けられていてもよい。当該隙間5はコイルの放熱に有利である。突起4の役割は、コイルへの位置決めであり、それにより、コイルが密巻きと疎巻きとを組み合わせて配列することを確保し、隙間5の安定を確保する。
【0014】
本発明の第2の態様は、エアロゾル生成装置であって、本発明の第1態様に記載の空気中間層を備えたコイル巻線を含み、前記ブラケット本体1の内部には発熱体6が設けられ、前記発熱体は、前記コイル3によって誘導発熱される、エアロゾル生成装置を提供する。
【0015】
任意選択的に、前記コイル3の外側には、遮蔽層9が設けられている。コイル巻きが完了後、遮蔽層9自身が持っているバックゴムにより貼り付け固定を行い、コイル全体の巻線の固定を実現する。
【0016】
任意選択的に、前記ブラケット本体1は、頂部に発熱体上蓋7が設けられ、底部に発熱体下蓋8が設けられている。
【0017】
任意選択的に、前記発熱体6の表面には、温度測定アセンブリ10がさらに設けられている。
【0018】
本発明のエアロゾル生成装置は電磁式エアロゾル生成装置であり、エアロゾル生成装置の正常使用を保証するために、本発明のエアロゾル生成装置は、本分野における通常の喫煙具用の電源、コントローラ、ハウジング等をさらに備える。
【0019】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を備える。
1、本発明のコイル巻線のブラケット本体1の外面には空気溝2が設けられ、コイル3は、前記ブラケット本体1の外面に巻き付けられ、かつ少なくとも一部が前記空気溝2を覆っており、コイルブラケットに空気溝を開ける方式により、コイルとブラケットとの間に空気中間層を形成し、これにより、前記ブラケット本体1と前記コイル3との間に空気断熱層が形成され、ブラケットのコイルへの熱伝導を減少させ、コイル損失を減少させる。
2、より選択的な実施態様では、前記ブラケット本体1の外面には突起4が設けられるため、コイルの位置決め巻き付け及び巻き付け後のコイルの固定に合わせることができる。また、コイルを位置決めすることは、コイルと空気溝との位置対応に有利である。
3、より選択的な実施態様では、コイル巻線が巻き付けられた後、少なくとも一部の前記コイル3の間には隙間5が設けられるため、コイル自体の熱は、当該隙間5を通じて放熱することができる。
4、本モジュールの実測比較を経て、空気溝付きのコイルブラケットの態様は、従来の貼り付け巻きの態様と比べて、モジュールの温度(即ち、加熱ユニットの最外層の遮蔽層の温度)が6.53℃低下し、コイルリード線の表面の温度が4.43℃低下し、コイル表面の温度を効果的に低下させ、コイル損失を低減するという効果が実現される。
5、本モジュールの実測比較を経て、空気溝付きのコイルブラケット態様は、従来の単独の巻線固定ブラケットの態様と比べて、エネルギー消費が14mwhほど低く、デバイスの全体的なエネルギー消費をさらに低減するという技術的効果に達した。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施例によって提供されるエアロゾル生成装置の部分構造の模式図である。
【
図2】本発明の一実施例によって提供されるコイル巻線の部分構造の模式図である。
【
図3】本発明の一実施例によって提供されるコイル巻線の他の部分構造の模式図である。
【
図4】本発明の一実施例によって提供されるコイル巻線のブラケット本体の表面にコイルが巻き付けられていない場合の斜視構成図。
【
図5】本発明の一実施例によって提供されるコイル巻線のブラケット本体の表面にコイルが巻き付けられた後の斜視構成図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】
当業者であれば、以下の実施例が単に本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施例には、特定の技術または条件が記載されておらず、当技術分野の文献に記載されている技術または条件に従って、または製品説明書に従って行われている。使用される材料または装置は、製造業者が明記されておらず、いずれも、購入によって入手可能な従来の製品である。
【0023】
当業者であれば、本明細書で使用される単数形「1」、「1つ」、「前記」および「当該」は、特に断りがない限り、複数形も含むことを理解するであろう。本発明の明細書で使用される「含む」という表現は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、素子および/または部品の存在を意味するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、素子、部品および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されるべきである。一方の素子が他方の素子に「接続される」と呼ばれる場合、他方の素子に直接接続されていてもよいし、中間素子が存在していてもよいことを理解されたい。また、本明細書で使用される「接続」は、無線接続を含むことができる。
【0024】
本発明の説明において、「複数」とは、特に断りがない限り、2つ又は2つ以上を意味する。「内」、「上」、「下」などの用語が示す方位または状態関係は、図面に示す方位または状態関係に基づくものであり、本発明を説明しやすく且つ説明を簡略化するためのものだけであり、言及される装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作しなければならないことを意味又は示唆するものではなく、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0025】
本発明の説明において、特に明確に規定及び限定されない限り、「取り付け」、「接続」、「設け」といった用語は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、一体的に接続されていてもよい。また、機械的に接続されていてもよいし、電気的に接続されていてもよい。また、直接的に接続されていてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよい。本発明における上記用語の具体的な意味は、特定の状況に応じて当業者には理解されるであろう。
【0026】
当業者であれば、他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する技術用語および科学用語を含むことを理解するであろう。また、一般的な辞書に定義されているような用語は、従来技術の文脈における意味と一致する意味を有するように理解されるべきであり、本明細書のように定義されない限り、理想的な又は過度に正式な意味で解釈されるべきではないことも理解されたい。
【0027】
比較例1
従来の電磁式エアロゾル生成装置において、コイルブラケットの表面に空気溝2がなく、突起もなく、対応するコイルが直接一巻きずつブラケット上に密着して巻き付けられ、かつコイルがブラケットの表面に直接接触する。
【0028】
比較例2
従来の電磁式エアロゾル生成装置において、コイルを巻き付けるための巻線固定ブラケットが専ら設けられ、巻線固定ブラケットの内部が管状ブラケットであり、コイルは巻線ブラケット上に密着して巻き付けられている。
【実施例0029】
図1~
図5に示されるように、本発明の実施例は、空気中間層を備えたコイル巻線及び前記空気中間層を備えたコイル巻線を含むエアロゾル生成装置を提供する。
【0030】
ここで、前記空気中間層を備えたコイル巻線は、ブラケット本体1を含み、前記ブラケット本体1の外面に空気溝2が設けられ、コイル3は前記ブラケット本体1の外面に巻き付けられ、かつ少なくとも一部が前記空気溝2を覆っており、前記ブラケット本体1と前記コイル3との間には、前記空気溝2によって空気中間層が形成されている。これにより、前記ブラケット本体1と前記コイル3との間に空気断熱層が形成され、コイル3へ熱の伝達を減少させ、コイル損失を減少させる。
【0031】
例示的には、前記空気溝2は、複数あり、巻き付けられたコイルの分布と一致し、即ち、コイルが覆われたブラケット本体1の外面には、空気溝2が対応して設けられ、コイルが覆っていないブラケット本体1の外面には、空気溝2が設けられていない。例えば、一つの選択的な実施形態では、コイルの単一のコイルの間に隙間5が設けられている状態で、隙間5に対応する前記ブラケット本体1の外面には、空気溝2が設けられていない。
【0032】
例示的には、前記コイル3は、前記空気溝2を完全に覆っている。空気溝2がすでに完全に覆われているため、コイルとブラケットとの間の空気層は相対的に密閉となり、これにより、コイルとブラケットとの間に空気断熱層が形成され、ブラケットのコイルへの熱伝導をさらに減少させ、コイル損失を減少させることができる。
【0033】
図2に示されるように、空気溝2の軸方向の幅をH1とし、コイル3の軸方向の幅をH2とすると、H1がH2以下の状態では、1本のコイルがブラケット上の空気溝を相対的にシールすることができる。このように、コイルとブラケットとの間に相対的にシールされた空気溝が形成され、空気断熱による技術的効果が得られる。例示的には、前記空気溝2の軸方向の幅H1=1.0mmは、1本の前記コイル3の軸方向の幅H2=1.65mmよりも小さい。また、例えば、前記空気溝2の径方向の深さT=0.3mmである。
【0034】
図3に示されるように、例示的には、前記ブラケット本体1の外面には、突起4がさらに設けられ、前記突起4は、前記コイル3の少なくとも2つの単一のコイルの間に設けられている。前記突起4は1つ又は複数であり、一般的には、複数である。突起4はコイル巻線の巻きに使用されるものであり、コイル巻線に対する固定及び位置決めの役割を果たす。いくつかの選択的な実施例では、コイルの自己発熱のより良好な放熱という技術的効果を達成するように、コイル巻線のコイルの間に間隔が設けられている。突起の位置及び大きさの設定により、コイル巻線を巻く時の個々のコイル間の間隔を制御できる。一般的には、突起4の位置及び大きさは、所望の放熱効果を達成するように、コイル巻線の個々のコイルのサイズに適合される。例えば、一つの選択的な実施例では、
図3に示されるように、前記突起4の径方向の高さH3=0.5mm、前記コイルの径方向の高さH4=0.8mmである。ただし、突起4の径方向の高さH3が前記コイルの径方向の高さH4よりも小さいことにより、コイルをよりよく位置決めすることができる。突起はブラケットの一部に属するので、一部の熱を伝導することはある。もう一つの選択的な実施例では、突起4の径方向の高さH3はコイルの径方向の高さH4よりも小さく、突起4は、コイル巻線への位置決めを実現できるとともに、コイルとブラケットとの接触をできるだけ少なくし、これにより、コイルの放熱面積を増加させ、ブラケットのコイルへの熱伝導を減少させる技術的効果を実現する。
【0035】
コイル巻線がコイルに巻き付けられた後、少なくとも一部の前記コイル3の間には隙間5が設けられている。ここで、巻き付け後のコイルの間の隙間5は、均一に設けられてもよいし、不均一に設けられてもよい。例示的には、
図1に示されるように、巻き付け後のコイルは、軸方向において、3つの部分に大体分けられ、上部と下部にそれぞれ3~4ターンのコイルがあり、中間に1ターンのコイルがあり、中間層のコイルと上部及び下部のコイルとの間に、1つの隙間5がそれぞれ設けられ、対応する中間層のコイルの両側には、突起4が設けられている。突起4により、コイルの位置決め及び隙間の設置を実現する。ここで、上部及び下部の各3~4ターンのコイルの間の間隔は、上部と中間、下部と中間の間隔よりも小さい。即ち、相対的には、上部及び下部の各3~4ターンのコイル間は密巻き、中間コイルは疎巻きであり、コイル間の間隔は、徐変してもよい。本実施形態では、コイルを密巻きと疎巻きとを組み合わせた配置とすることにより、これらの間隔によってコイルの自己発熱を良好に放熱させることができ、製品によって異なる放熱パターンを設計することが可能となっている。
【0036】
本発明の実施例によって提供されるエアロゾル生成装置は、上述実施例に記載の空気中間層を備えたコイル巻線1を含み、前記ブラケット本体1の内部には発熱体6が設けられ、通常、前記コイル3の外側には遮蔽層9が設けられている。いくつかの選択的な実施形態では、前記ブラケット本体1は、頂部に発熱体上蓋7が設けられ、底部に発熱体下蓋8が設けられている。いくつかの選択的な実施形態では、前記発熱体6の表面には、温度測定アセンブリ10がさらに設けられている。
【0037】
本モジュールの実測比較を経て、本実施例の空気溝付きのコイルブラケットの態様は、比較例1の従来の貼り付け巻きの態様と比べて、モジュールの表面の温度が6.53℃低下し、コイルリード線の表面の温度が4.43℃低下した。具体的なデータは、表1に示す従来の態様と空気層の態様との温度比較表を参照されたい。
【0038】
【0039】
本モジュールの実測比較を経て、本実施例の空気溝付きのコイルブラケットの態様は、比較例2の従来の単独の巻線固定ブラケットの態様と比べて、エネルギー消費が14mwhほど低くかった。具体的なデータは、表2に示す従来の態様と空気層の態様とのエネルギー消費比較表を参照されたい。
【0040】
【0041】
本発明の実施例によって提供されるコイル巻線及びエアロゾル生成装置は、ブラケット本体の外面に空気溝を設けることで、コイルとブラケットとの間の空気層を形成し、ブラケットのコイルへの熱伝導を減少させるとともに、突起により個々のコイル間に隙間を設け、コイルの自己発熱の放熱に有利であり、コイル損失を低減する。従来技術に対して、エネルギー消費及びモジュール温度を著しく低減し、モジュール損失を低減することができる。
【0042】
上記は本発明の実施例にすぎず、本願の特許の範囲を限定するものではなく、本願の明細書及び添付図面の内容による等価構成又は等価フローの変換、又は直接又は間接的に他の関連する技術分野に適用されるものは、全て本願の保護範囲に含まれる。