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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172919
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】外科用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20231129BHJP
   A61B 17/15 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A61B17/56
A61B17/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023082288
(22)【出願日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】10 2022 205 194.7
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランツ-ペーター ファームバッハ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェニア アンホーン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL12
4C160LL27
4C160LL28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】膝関節置換術の際に使用するための外科用器具を提供する。
【解決手段】外科用器具は、大腿骨遠位切除のための切断ブロックに直接的又は間接的に解放可能に締結するように構成された締結デバイス(100)と、後方に向けられた基準平面が前記大腿骨の前面に当接するように構成される感知デバイス(200)と、前記基準平面を配置する当接デバイス(300)と、を備え、前記当接デバイスは、前後方向に向けられた枢動軸(S)を有する少なくとも1つの枢動当接部を有し、前記基準平面は、前記枢動軸回りに、前記締結デバイスに対して枢動移動し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝関節置換術の際に使用するための外科用器具(1、1a)であって、前記外科用器具(1、1a)は、
大腿骨(F)遠位切除のための切断ブロック(400)に直接的又は間接的に解放可能に締結するように構成された締結デバイス(100、100a)と、
後方に向けられた基準平面(R)が前記大腿骨(F)の前面(A)に当接するように構成される感知デバイス(200、200a)と、
前記基準平面(R)を配置する当接デバイス(300、300a)と、
を備え、
前記当接デバイスは、前後方向に向けられた枢動軸(S)を有する少なくとも1つの枢動当接部を有し、
前記基準平面(R)は、前記枢動軸(S)回りに、前記締結デバイス(100、100a)に対して枢動移動し得る、外科用器具(1、1a)。
【請求項2】
前記当接デバイス(300、300a)は、少なくとも1つの第1の直線案内部を有し、前記少なくとも1つの第1の直線案内部により、前記基準平面(R)は、前後方向に向けられた第1当接軸(L1)に沿って前記締結デバイス(100、100a)に対して並進移動し得ることを特徴とする、請求項1に記載の外科用器具(1、1a)。
【請求項3】
前記当接デバイス(300、300a)は、少なくとも1つの第2の直線案内部を有し、前記少なくとも1つの第2の直線案内部により、前記基準平面(R)は、少なくとも大部分が近位遠位方向に向けられた第2当接軸(L2)に沿って前記締結デバイス(100)に対して並進移動し得ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の外科用器具(1、1a)。
【請求項4】
前記感知デバイス(200、200a)は、支柱要素(201、201a)を有し、前記支柱要素(201、201a)は、前記枢動軸(S)回りに枢動移動でき、第1の端部(2011、2011a)と第2の端部(2012、2012a)との間の長手方向に沿って細長く、前記基準平面(R)は、前記支柱要素(201、201a)の後方に向けられた下側部上に配置又は構成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の外科用器具(1、1a)。
【請求項5】
前記枢動当接部は、ピン受け(S2、S2a)と、前記ピン受け(S2、S2a)内に組み付けられる相補形ピン要素(S1、S1a)とを有し、前記相補形ピン要素(S1、S1a)が前記枢動軸(S)回りに枢動移動できるようにし、
前記ピン要素(S1、S1a)は、前記支柱要素(201、201a)の前記第1の端部(2011、2011a)に配置され、
前記ピン受け(S2、S2a)は、前記締結デバイス(100、100a)上に配置される、又はその逆も同様であることを特徴とする、請求項4に記載の外科用器具(1、1a)。
【請求項6】
前記ピン要素(S1a)は、前記ピン要素(S1a)が前記枢動軸(S)に沿って、好ましくは制限された範囲まで直線移動し得るように、前記ピン受け(S2a)内に組み付けられることを特徴とする、請求項5に記載の外科用器具(1a)。
【請求項7】
前記支柱要素(201a)は、第1支柱部分(2015a)と、第2支柱部分(2016a)と、第3支柱部分(2017a)とを有し、
前記第1支柱部分(2015a)は、直線状に細長く、前記第2の端部(2012a)から開始し、前記第1支柱部分(2015a)の前記後方に向けられた下側部は、前記基準平面(R)を形成し、
前記第2支柱部分(2016a)は、細長く、前記第1支柱部分(2015a)に対して前方に平行にずれる様式で前記第1の端部(2011a)から開始し、
前記第3支柱部分(2017a)は、少なくとも大部分が前後方向に細長く、前記第1支柱部分(2015a)及び前記第2支柱部分(2016a)を互いに接続することを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の外科用器具(1a)。
【請求項8】
前記感知デバイス(200)は、摺動要素(202)と感知要素(203)とを有し、
前記摺動要素(202)は、前記摺動要素(202)が前記支柱要素(201)の長手方向で前記支柱要素(201)に対して直線移動し得るように、前記支柱要素(201)上に組み付けられ、
前記感知要素(203)は、前記感知要素(203)が前記支柱要素(201)の長手方向に対して直交及び/又は前後方向に前記摺動要素(202)に対して直線移動し得るように、前記摺動要素(202)上に組み付けられ、
前記基準平面(R)は、前記感知要素(203)の一端に配置又は構成されることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の外科用器具(1)。
【請求項9】
前記感知要素(203)は、前記感知要素(203)が前後方向に向けられた回転軸(D)回りに前記摺動要素(202)に対して回転し得るように、前記摺動要素(203)上に組み付けられることを特徴とする、請求項8に記載の外科用器具(1)。
【請求項10】
前記締結デバイス(100、100a)は、前記切断ブロック(400)に直接的に解放可能に締結するように構成され、差込み要素(101、101a)を有し、前記差込み要素(101、101a)は、内外方向及び前後方向に平坦な様式で細長く、前記切断ブロック(400)の案内スロット(401)に対して明確な係止及び/又は摩擦係止差込み接続を確立するように構成されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の外科用器具(1、1a)。
【請求項11】
膝関節置換術の際に使用するための外科用器具システム(10、10a、10’、10a’)であって、
前記外科用器具システム(10、10a、10’、10a’)は、
請求項1から10のいずれか一項に記載の外科用器具(1、1a)と、
大腿骨(F)遠位切除のための切断ブロック(400)と、を備え、
前記切断ブロック(400)は、案内スロット(401)を有し、前記案内スロット(401)は、案内平面(P)内に配置され、
前記案内平面(P)は、内外方向及び前後方向に延在し、のこ刃を受け入れ、案内し、
前記外科用器具(1、1a)の前記締結デバイス(100、100a)は、
前記切断ブロックに直接的又は間接的に解放可能に締結され、
前記基準平面(R)は、前記案内平面(P)に対して直交に向けられる、外科用器具システム(10、10a、10’、10a’)。
【請求項12】
前記大腿骨(F)の遠位顆部に当接するための近位に向けられたブロック後側部(501、501a)を有する基準ブロック(500、500a)を備え、
前記切断ブロック(400)は、前記基準ブロック(500、500a)に解放可能に締結され、
前記案内平面(P)は、前記ブロック後側部(501、501a)に対して面平行に向けられ、
前記基準平面(R)は、前記ブロック後側部(501、501a)に対して直交に向けられることを特徴とする、請求項11に記載の外科用器具システム(10’、10a’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膝関節置換術の際に使用するための外科用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
損傷又は摩耗した自然骨構造のための人工置換物として整形外科用人工関節を使用することは、一般的な医療行為である。特に、股関節及び膝関節置換術は、さしあたり、外科整形外科の一般的な治療として用いられる。
【0003】
膝関節置換術(人工膝関節全置換術(TKA))において、病気又は事故によって摩耗又は損傷した大腿骨及び/又は脛骨の関節面は、人工膝関節によって置換される。この種類の人工膝関節は、通常、大腿骨の遠位端部に植え込まれる大腿骨の構成要素、及び脛骨の近位端部に植え込まれる脛骨の構成要素を備える。人工関節置換の適切な機能を保証するため、前記構成要素は規定された様式で、患者の解剖学的構造及び患者の体軸に対する位置及び向きに対して、可能な限り正確に配置する必要がある。さもなければ、患者にとって不満足な結果が予期される。構成要素の配置に対して様々な外科的手法がある。
【0004】
メカニカル・アライメントとして公知である1つの手法は、人工膝関節の人工関節軸の位置及び向きを、機械的に理想的な様式で設定することを提供するものであり、この点で、患者の整形外科的なアライメント不良は考慮されない。ここで、脛骨の長手方向軸は、向き決定及び配置のための基準軸として働くことが多い。臨床研究では、メカニカル・アライメント手法は、人工膝関節の機能が不自然であると知覚される場合があることが示されている。
【0005】
更なる手法は、キネマティック・アライメントとして公知である。この処置において、大腿骨の構成要素及び脛骨の構成要素は、患者の整形外科的なアライメント不良を考慮して配置される。キネマティック・アライメントにおける目的は、アライメント不良に苦しむ患者のいくつかの状況において、自然な関節の向きを再確立することである。臨床研究では、キネマティック・アライメント手法は、患者の満足の向上につながることが多いことが示されている。特に、人工膝関節の機能は、患者にとってかなり自然であるように知覚される。
【0006】
患者の満足を更に向上させるこの目的は、キネマティック・アライメントの実施に可能な限り正確で、使用が単純で、費用対効果の高い外科用器具に対する基本的な要件が付随する。本発明は、この種類の外科用器具及び対応する器具システムに関する。
【0007】
詳細には、キネマティック・アライメントは、遠位大腿骨切断が0°の屈曲/伸展角度で施されることを提供する。ここで、遠位大腿骨切断は、通常、骨端の前方骨基準に対して直交に向けられる。専門家の間では、屈曲/伸展角度は、通常、前記骨基準に対して直交する向きに対するずれを表すものである。切除は、通常、遠位大腿骨に取り付けられる切断ブロックにより行われ、切断ブロックは、のこ引きブロック又は切断ジグとも呼ばれる。従って、大腿骨切断を0°の屈曲/伸展で施すことを可能にするため、対応する切断ブロックの向き決定が必要とされる。向き決定は、通常、骨髄内ステムの使用により、遠位大腿骨顆部上に付けられる基準ブロック又は基準プレート(アライメント・プレート)により行われる。骨髄内ステムは、前記骨基準に平行に向けられる。遠位大腿骨切断を実行する前、切断ブロックの向きを確認することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
大腿骨の遠位切除のため、切断ブロックの向きの単純で正確な確認を可能にし、同時に、可能な限り単純な構造を有する外科用器具を提供することは、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を有する外科用器具の規定により達成される。
【0010】
本発明による前記外科用器具は、大腿骨遠位切除のための切断ブロックに直接的又は間接的に解放可能に締結するように構成された締結デバイスと、後方に向けられた基準平面が前記大腿骨の前面に当接するように構成される感知デバイスと、を備え、前記当接デバイスは、前後方向に向けられた枢動軸を有する少なくとも1つの枢動当接部を有し、前記基準平面は、前記枢動軸回りに、前記締結デバイスに対して枢動移動し得る。
【0011】
本発明による解決策により、感知デバイスの基準平面は、締結デバイスに対して枢動軸回りに回転移動し得る。外科用器具の使用に際し、このことにより、切断ブロックに対する、従って、同様に大腿骨に対する基準平面の相対的な配置を可能にする。従って、可能な限り正確である配置、従って、大腿骨の前面に対する基準平面の当接の改良を可能にする。当接の改良により、切断ブロックの向きの特に単純で正確な確認を可能にする。一実施形態では、締結デバイスは、切断ブロックに直接的に(即ち、直に)締結するように構成される。締結デバイスは、外科用器具を解放可能に締結する役割を果たす。更なる実施形態では、締結デバイスは、切断ブロックに間接的に(即ち、補助的に)締結するように構成される。最後に述べたケースでは、締結デバイスは、例えば、基準ブロックに直接締結するように構成でき、切断ブロックは、基準ブロックに締結される。どちらの場合も、締結は解放可能であり、特に、ラッチ、差込み、クランプ及び/又はスナップ嵌めの接続として構成し得る。感知デバイスは、基準平面を有し、切断ブロックの向きを実際に確認するための役割を果たす。この目的で、基準平面は、前遮蔽部とも呼び得る大腿骨の前記前面に当接する、即ち、大腿骨の前記前面と接触するように構成される。一実施形態では、基準平面は、構成要素の表面及び/又は感知デバイスの一部分により形成される。更なる実施形態では、基準平面は、感知デバイスの複数の部分であるように画定される。基準平面は、後方に向けられる。言い換えれば、基準平面は、患者の前平面と面平行である。当接デバイスは、締結デバイスに対して基準平面を配置させる役割を果たす。この目的で、当接デバイスは、前後方向に向けられた枢動軸を有する少なくとも前記枢動当接部を備える。枢動軸及び基準平面は、互いに対して直交に向けられる。本発明の一実施形態では、枢動当接部は、個別の構成要素又は個別の組立体であり、締結デバイスに最初に接続され、次に、感知デバイスに接続される。更なる実施形態では、枢動当接部は、締結デバイス及び感知デバイスの構成要素及び/又は部分により形成される。
【0012】
本明細書で使用される位置及び方向の名称は、患者の体、特に患者の大腿骨に関連し、この点で、従来の解剖学的な意味に一致すると理解されたい。従って、「前(anterior)」は、前方、又は前方にあることを意味し、「後(posterior)」は、後方、又は後方にあることを意味し、「内(medial)」は、内側、又は内部にあることを意味し、「外(lateral)」は、外側、又は外部にあることを意味し、「近位(proximal)」は、体の中心に向かうことを意味し、「遠位(distal)」は、体の中心から離れることを意味する。更に、「近位遠位方向(proximodistal)」は、好ましくは平行に、近位-遠位軸に沿っていることを意味し、「前後方向(anteroposterior)」は、好ましくは平行に、前-後軸に沿っていることを意味し、「内外方向(mediolateral)」は、好ましくは平行に、内-外軸に沿っていることを意味する。前記軸は、互いに直交し、言うまでもないが、これらの軸は、患者の解剖学的構造に関連しないX、Y及びZ軸に関連すると理解し得る。例えば、近位-遠位軸は、代替としてX軸と呼び得る。内-外軸は、Y軸と呼び得る。前-後軸は、Z軸と呼び得る。説明を改善し、名称を単純にする目的で、前記解剖学的位置及び方向の名称は、主に以下の文で使用される。更に、外科用器具の構成要素又は一部分、例えば、切断ブロックの「後側部」等の名称は、近位に向けられた観察方向に関連して使用される。対照的に、「前側部」等の名称は、遠位に向けられた観察方向に関連して使用される。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記当接デバイスは、少なくとも1つの第1の直線案内部を有し、前記少なくとも1つの第1の直線案内部により、前記基準平面は、前後方向に向けられた第1当接軸に沿って前記締結デバイスに対して並進移動し得る。
【0014】
結果として、第1当接軸に沿った基準平面の相対的な可動性に更なる自由度、即ち、並進移動の自由度が追加される。第1当接軸は、前後方向に向けられ、従って、枢動軸に対して平行に位置合わせされる。一実施形態では、第1当接軸は、枢動軸に対して同軸である。第1当接軸に沿った相対可動性により、基準平面のより一層正確な配置を可能にし、従って、やはり、大腿骨の前面に対する当接の改良を可能にする。このことにより、切断ブロックの向きの確認の更なる改善を可能にする。本発明の一実施形態では、少なくとも基準平面は、第1当接軸に沿って移動し得る。更なる実施形態では、感知デバイス全体は、第1当接軸に沿って移動し得る。
【0015】
本発明の更なる実施形態において、前記当接デバイスは、少なくとも1つの第2の直線案内部を有し、前記少なくとも1つの第2の直線案内部により、前記基準平面は、少なくとも大部分が近位遠位方向に向けられた第2当接軸に沿って前記締結デバイスに対して並進移動し得る。
【0016】
結果として、第2当接軸に沿った基準平面の相対的な可動性に更なる自由度、即ち、並進移動の自由度が追加される。第2当接軸の向きは、枢動軸回りのそれぞれの枢動位置に依存し、少なくとも大部分が近位遠位方向に向けられる。従って、基準平面は、少なくとも大部分が大腿骨の長手方向に位置し得る。このことにより、より一層正確な配置を可能にし、従って、大腿骨の前面に対する当接の更なる改善を可能にする。第2当接軸は、枢動軸に対して直交に向けられる。第2当接軸は、基準平面に面平行に向けられる平面内で細長い。
【0017】
本発明の更なる実施形態において、前記感知デバイスは、支柱要素を有し、前記支柱要素は、前記枢動軸回りに枢動移動でき、第1の端部と第2の端部との間の長手方向に沿って細長く、前記基準平面は、前記支柱要素の後方に向けられた下側部上に配置又は構成される。
【0018】
当接デバイスは、好ましくは支柱要素の第2の端部に配置される。支柱要素は、少なくとも大部分が締結デバイスから近位に突出し、支柱要素の長手方向は、枢動軸回りの枢動位置に応じて様々に向けられる。外科用器具が、上述の実施形態の1つに応じた第1の直線案内部を有する場合、一実施形態では、支柱要素全体は、第1の枢動軸に沿って並進移動し得る。更なる実施形態では、基準平面は、第1当接軸に沿って並進移動できるだけであり、それ以外、支柱要素は、第1当接軸に対して固定されている。
【0019】
本発明の更なる実施形態において、前記枢動当接部は、ピン受けと、前記ピン受け内に組み付けられる相補形ピン要素とを有し、前記相補形ピン要素が前記枢動軸回りに枢動移動できるようにし、前記ピン要素は、前記支柱要素の前記第1の端部に配置され、前記ピン受けは、前記締結デバイス上に配置される、又はその逆も同様である。
【0020】
ピン要素は、枢動軸に沿って軸方向にピン受けに係合する。ピン要素及びピン受けは、摺動可能に相互作用する。この実施形態では、枢動当接部は、特に単純で強固な構造を有する。
【0021】
本発明の更なる実施形態において、前記ピン要素は、前記ピン要素が前記枢動軸に沿って、好ましくは制限された範囲まで直線移動し得るように、前記ピン受け内に組み付けられる。
【0022】
ピン要素を、直線移動可能な様式で制限された範囲まで組み付けることにより、支柱要素、及び従って、基準平面は、枢動軸に沿って、即ち、前後方向に並進移動し得る。言い換えれば、この実施形態では、枢動当接部は、上記の実施形態の1つに応じた第1の直線案内部を形成する。この実施形態は、(枢動軸回り及び枢動軸に沿った)少なくとも2つの自由度に対する基準平面の相対的な配置を可能にし、同時に、特に単純な構造の外科用器具が達成又は維持される。
【0023】
本発明の更なる実施形態において、前記支柱要素は、第1支柱部分と、第2支柱部分と、第3支柱部分とを有し、前記第1支柱部分は、直線状に細長く、前記第2の端部から開始し、前記第1支柱部分の後方に向けられた下側部は、前記基準平面を形成し、前記第2支柱部分は、細長く、前記第1支柱部分に対して前方に平行にずれる様式で前記第1の端部から開始し、前記第3支柱部分は、少なくとも大部分が前後方向に細長く、前記第1支柱部分及び前記第2支柱部分を互いに接続する。
【0024】
結果として、支柱要素は、広義に角度がずれている。第1支柱部分は、第2支柱部分から後方に離間する。第2支柱部分は、第1支柱部分から前方に離間する。第3支柱部分は、支柱要素の長手方向で第1支柱部分と第2支柱部分との間に配置される。
【0025】
本発明の更なる実施形態において、前記感知デバイスは、摺動要素と感知要素とを有し、前記摺動要素は、前記摺動要素が前記支柱要素長手方向で前記支柱要素に対して直線移動し得るように、前記支柱要素上に組み付けられ、前記感知要素は、前記感知要素が前記支柱要素の長手方向に対して直交に及び/又は前後方向に前記摺動要素に対して直線移動し得るように、前記摺動要素上に組み付けられ、前記基準平面は、前記感知要素の一端に配置又は構成される。
【0026】
本発明のこの実施形態は、締結デバイスに対する基準平面の特に正確で変更可能な配置を可能にする。摺動要素は、摺動要素が支柱要素に沿って直線移動し得るように、支柱要素上に組み付けられる。当接デバイスが、上記の実施形態の1つに応じた第2の直線案内部を備える場合、支柱要素の長手方向は、支柱要素の第2当接軸を形成する。感知要素と、従って、感知要素上に配置又は構成される基準平面は、支柱要素の長手方向に対して直交する摺動要素に対して直線移動し得る。結果として、感知要素は、前後方向に直線移動し得る。当接デバイスが、上記の実施形態の1つに応じた第1の直線案内部を備える場合、摺動要素上への感知要素の直線移動可能な組付けは、摺動要素の第1当接軸を形成する。摺動要素は、支柱要素の第1の端部と第2の端部との間で支柱要素に対して移動し得る。摺動要素は、好ましくは、摺動要素が摺動移動し得るように、支柱要素上に案内される。感知要素は、好ましくは、感知要素が摺動移動し得るように、摺動要素上に案内される。
【0027】
本発明の更なる実施形態において、前記感知要素は、前記感知要素が前後方向に向けられた回転軸回りに前記摺動要素に対して回転し得るように、前記摺動要素上に組み付けられる。
【0028】
結果として、一端で感知要素上に配置又は構成される基準平面の配置の更なる改善を達成し得る。感知要素は、好ましくは、感知要素が回転軸に沿って直線移動し得るように、摺動要素上に組み付けられる。
【0029】
本発明の更なる実施形態において、前記締結デバイスは、前記切断ブロックに直接的に解放可能に締結するように構成され、差込み要素を有し、前記差込み要素は、内外方向及び前後方向に平坦な様式で細長く、前記切断ブロックの案内スロットに対して明確な係止及び/又は摩擦係止差込み接続を確立するように構成される。
【0030】
締結デバイスが差込み要素と共に差し込まれていない状態において、切断ブロックの案内スロットは、のこ刃を受け入れ、案内するように構成される。言い換えれば、案内スロットは、遠位大腿骨切断を施す間、のこ刃を案内する役割を果たす。差込み要素は、前記案内スロットに差し込まれるように構成され、前記案内スロットと相補形設計である。従って、切断ブロックへの外科用器具の特に単純で、とはいえ信頼できる解放可能な締結を可能にする。切断ブロックに直接締結する結果として、外科用器具の向きを特に正確に確実に確認し得る。
【0031】
加えて、本発明は、膝関節置換術の際に使用するための外科用器具システムに関し、前記外科用器具システムは、前述の実施形態に記載の外科用器具と、大腿骨遠位切除のための切断ブロックとを備え、前記切断ブロックは、案内スロットを有し、前記案内スロットは、案内平面内に配置され、前記案内平面は、内外方向及び前後方向に延在し、のこ刃を受け入れ、案内し、前記外科用器具の前記締結デバイスは、前記切断ブロックに直接的又は間接的に解放可能に締結され、前記基準平面は、前記案内平面に対して直交に向けられる。
【0032】
切断ブロックは、大腿骨切断ブロック(ジグ)又は大腿骨のこ引きブロックと呼ぶこともでき、遠位大腿骨切断を施す間、のこ刃を案内するように設けられる。この目的で、切断ブロックは、前記案内スロットを有する。前記案内スロットは、案内平面内で平坦で細長い。案内平面は、内外方向及び前後方向に延在する。締結デバイスは、好ましくは上述の実施形態に応じた差込み要素により、切断ブロックに直接、好ましく締結される。基準平面は、案内平面に対して直交に向けられる。従って、通常、0°の屈曲/伸展角度を有するキネマティック・アライメントのために使用される向きを、特に単純に正確に確認し得る。
【0033】
本発明の更なる実施形態において、前記大腿骨の遠位顆部に当接するための近位に向けられたブロック後側部を有する基準ブロックを備え、前記切断ブロックは、前記基準ブロックに解放可能に締結され、前記案内平面は、前記ブロック後側部に対して面平行に向けられ、前記基準平面は、前記ブロック後側部に対して直交に向けられる。
【0034】
近位に向けられたブロック後側部は、基準ブロックの遠位参照、従って、同様に、基準ブロックに解放可能に締結される切断ブロックの遠位参照に役立つ。切断ブロックの案内平面は、ブロック後側部に面平行に、ブロック後側部に対して近位にずれる様式で配置される。基準平面は、ブロック後側部に対して直交に向けられる。
【0035】
本発明の更なる利点及び特徴は、特許請求の範囲、及び図面を使用して示される本発明の好ましい例示的実施形態の以下の説明からもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による外科用器具の一実施形態の概略斜視図である。
図2】本発明による外科用器具システムの一実施形態の概略斜視図であり、外科用器具システムは、図1による外科用器具と、大腿骨切断ブロックとを備える。
図3図2による器具システムを使用する、手術中の状況の概略斜視図である。
図4】内観察方向による、図2による外科用器具システムの概略側面図である。
図5】後観察方向による、図2及び図4による外科用器具システムの概略平面図である。
図6図5による更なる概略平面図であり、外科用器具の感知デバイスは、枢動移動する。
図7】本発明による外科用器具の更なる実施形態の概略斜視図である。
図8】内観察方向による、図7による外科用器具の概略側面図である。
図9】本発明による外科用器具システムの更なる実施形態の概略斜視図であり、外科用器具システムは、図7及び図8による外科用器具と、大腿骨切断ブロックとを有する。
図10】本発明による外科用器具システムの更なる実施形態の概略斜視図であり、外科用器具システムは、図7及び図8による外科用器具と、大腿骨切断ブロックとを有する。
図11図9及び図10による外科用器具システムを使用する、手術中の状況の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1によれば、膝関節置換術の際に使用するための外科用器具1が提供され、外科用器具1は、締結デバイス100と、感知デバイス200と、当接デバイス300とを備える。外科用器具1は、大腿骨Fを遠位切除する切断ブロック400(図3参照)の向きを確認するため、一層より詳細に説明されるように構成される。
【0038】
締結デバイス100は、外科用器具1を切断ブロック400に直接的に解放可能に締結するように構成される。
【0039】
感知デバイス200は、後方に向けられた基準平面Rを有する。基準平面Rは、大腿骨Fの前面A上で切断ブロック400の向きを確認するように構成される。
【0040】
当接デバイス300は、大腿骨Fに対する基準平面Rの配置を改良する役割を果たす。この目的で、当接デバイス300は、枢動軸Sを有する少なくとも1つの枢動当接部を備える。枢動軸Sは、基準平面Rに対して直交に及び/又は前後方向に向けられる。基準平面Rは、締結デバイス100に対して枢動軸S回りに枢動移動し得る。従って、一層より詳細に説明する手術中の状況において(図3参照)、基準平面Rは、大腿骨Fの前面Aに対して特に正確に向け得る。このことにより、切断ブロック400に対する向きの確認が改良される。
【0041】
本ケースでは、外科用器具1及び切断ブロック400は、外科用器具システム10(図2)を形成する。本ケースでは、器具システム10は、(上位)外科用器具システム10’の構成部品であり、外科用器具1及び切断ブロック400に加えて、基準ブロック500と、骨髄内ステム600とを備える。器具システム10’の様々な構成要素の相互作用及びこれらの特定の機能を以下の本文で詳細に説明する。まず、外科用器具1の更なる構造をより詳細に説明する。
【0042】
本ケースでは、当接デバイス300は、第1当接軸L1を有する第1の直線案内部を更に備える。基準平面Rは、締結デバイス100に対して第1当接軸L1に沿って並進移動し得る。第1当接軸L1は、枢動軸Sに平行に及び/又は基準平面Rに対して直交に向けられる。
【0043】
図示の実施形態では、当接デバイス300は、第2当接軸L2を有する第2の直線案内部を更に備える。基準平面Rは、締結デバイス100に対して第2当接軸L2に沿って並進移動し得る。第2当接軸L2は、枢動軸Sに対して直交に及び/又は第1当接軸L1に対して直交に向けられる。
【0044】
本ケースでは、基準平面Rは、当接軸L1回りに回転移動可能である。
【0045】
図示の実施形態では、当接デバイス300は、枢動軸S回りの回転自由度、当接軸L1に沿った並進移動自由度、第2当接軸L2に沿った更なる並進移動自由度、及び第1当接軸L1回りの更なる回転自由度により、基準平面Rの相対移動を可能にする。
【0046】
図示の実施形態では、締結デバイス100は、切断ブロック400に直接的に解放可能に締結するように構成される(特に、図2参照)。切断ブロック400は、のこ引きブロック又は切断ジグとも呼び得る。切断ブロック400は、遠位大腿骨切断を施す間、のこ刃を案内するように設けられ、この目的で、案内スロット401を有する。案内スロット401は、のこ刃を受け入れ、案内するように構成され、ブロック上側部402から反対のブロック下側部403まで延びている(特に、図4参照)。案内スロット401は、案内平面Pを画定し、前記のこ刃は、遠位大腿骨切断を施す間、案内平面P内に案内される。
【0047】
締結デバイス100は、切断ブロック400に解放可能に締結する差込み要素101を有する。差込み要素101は、案内スロット401に対する明確な係止及び/又は摩擦係止差込み接続を確立するように構成される。差込み要素101は、案内スロット401に応じて、案内スロット401に対して相補形であるように設計、寸法決定及び/又は構成される。差込み要素101は、平坦であり、板形状に延在する。締結状態において(図2から図6)、差込み要素101は、案内平面P内に同一平面上に延在する及び/又は配置される。差込み要素101は、基準平面Rに対して直交に向けられる。
【0048】
図示の実施形態では、差込み要素101は、外差込み部分1011と内差込み部分1012とを有する。2つの差込み部分1011、1012は、外板1011又は外パドル1011、及び対応して、内板1012又は内パドル1012とも呼び得る。
【0049】
更に、図示の実施形態では、締結デバイス100は、支持要素102を有し、支持要素102は、差込み要素101から感知デバイス200及び当接デバイス300の方向に直交に突出する。外科用器具1の締結状態において、支持要素102は、切断ブロック400のブロック上側部402上にある(図2)。支持要素は、一端で差込み要素101に接続され、もう一端で前記枢動当接部に接続される。本ケースでは、支持要素102は、特に、外支持部分1021と内支持部分1022とを有する。外支持部分1021は、一端で外差込み部分1011に接続される。従って、内支持部分1022は、一端で内差込み部分1012に接続される。
【0050】
図示の実施形態では、感知デバイス200は、枢動軸S回りに枢動移動し得る支柱要素201を有する。支柱要素201は、第1の端部2011と第2の端部2012との間で支柱要素201の長手方向(参照符号なし)に沿って細長い。より詳細に説明するように、基準平面Rは、支柱要素201の後方に向けられた下側部上に配置及び/又は構成される。
【0051】
枢動軸Sは、支柱要素201の第1の端部2011の領域内に配置され、図示の実施形態では、ピン要素S1とピン受けS2とを有する。ピン要素S1は、ピン受けS2に係合し、ピン要素S1は、枢動軸S回りに摺動移動し得る。本ケースでは、ピン要素S1は、締結デバイス100の一端に配置される。詳細には、ピン要素S1は、一端で支持要素102上に配置され、締結デバイス101から離れて向けられる。ピン受けS2は、支柱要素201の第1の端部2011に配置される。一実施形態(図示せず)では、ピン受け及びピン要素の割当ては入れ替えられる。この点で、ピン要素S1を支柱要素201上に配置し、逆に、ピン受けS2を締結デバイス100上に配置することもできる。
【0052】
更に、感知デバイス200は、本ケースでは、摺動要素202と感知要素203とを備える。摺動要素202は、第2当接軸L2に沿って支柱要素201に対して並進移動し得る(本ケースでは、第2当接軸L2は、支柱要素201の長手方向軸と一致する)。この目的で、摺動要素202は、摺動要素202が摺動移動し得るように、支柱要素201上に組み付けられる。
【0053】
本ケースでは、支柱要素201は、特に、外支柱部分2013と内支柱部分2014とを有する。2つの支柱部分2013、2014は、各場合において、第1の端部2011と第2の端部2012との間で細長い。2つの支柱部分2013、2014は、互いに平行に細長い。摺動要素は、摺動要素が第2当接軸L2に沿って摺動移動し得るように、支柱部分2013、2014上に案内され、この目的で、外案内切欠き2021と内案内切欠き2022とを有する。2つの案内切欠き2021、2022は、各場合において、摺動要素202を通じて、第2当接軸L2に沿って連続的に延在する。外支柱部分2013は、外支柱部分2013が摺動移動し得るように、外案内切欠き2021内に受け入れられる。内支柱部分2014は、内支柱部分2014が摺動移動し得るように、内案内切欠き2022内に受け入れられる。摺動要素202は、支柱要素201に対して、第1の端部位置と第2の端部位置との間で第2当接軸L2に沿って移動し得る。第1の端部位置において、摺動要素202は、第1の端部2011の領域内に配置される。第2の端部位置において、摺動要素202は、第2の端部2012の領域内に配置される。
【0054】
感知要素203は、感知要素203が支柱要素201の長手方向に対して直交に直線移動し得るように、摺動要素202上に組み付けられる。言い換えれば、感知要素203は、感知要素203が第1当接軸L1に沿って、及び/又は第2当接軸L2に対して直交に、及び/又は基準平面Rに対して直交に直線移動し得るように、摺動要素202上に組み付けられる。感知要素203は、一端で基準平面Rを構成する。この目的で、一端では、感知要素203は、第1の感知先端部2031と第2の感知先端部2032とを有する感知部分(参照符号なし)を有する。基準平面Rは、2つの感知先端部2031、2032の間に延在する。更に、感知要素203は、シャンク部分2033と、把持部分2034とを有する。シャンク部分2033は、一端で感知部分(参照符号なし)に接続され、もう一端で把持部分2034に接続される。シャンク部分2033は、シャンク部分2033が第1当接軸L1に沿って摺動移動し得るように、摺動要素202の案内穴2023内に案内される。更に、本ケースでは、シャンク部分2033は、シャンク部分2033が第1当接軸L1回りに回転移動し得るように、案内穴2023内に案内される。把持部分2034は、シャンク部分2033に固定接続され、例えば、基準平面Rの向きを決定する目的で手の親指と指との間で把持し得る。
【0055】
外科用器具1の更なる機能は、外科用器具システム10’と共に、図3に基づいてより詳細に説明する。ここでは、図3は、手術中の状況を示し、切断ブロック400は、遠位に配置され、基準ブロック500により大腿骨F上に位置合わせされる。この目的で、基準ブロック500は、基準ブロック500の役割として、基本的に当業者に公知の様式で骨髄内ステム600上に押し付けられる。骨髄内ステム600は、近位方向で、大腿骨の長手方向軸(参照符号なし)に沿って大腿骨の骨髄腔に導入される。基準ブロック500は、近位方向で骨髄内ステム600の遠位端部601上に押し付けられる。ここで、基準ブロック500は、近位に向けられたブロック後側部501を有する。近位ブロック後側部501は、大腿骨Fの遠位顆部を当接するように構成される。即ち、外側の遠位顆部KLだけが、図3に基づいて見える。ブロック後側部501の直交方向(参照符号なし)は、図3に示される近位遠位方向軸に平行に細長く、近位方向に向けられる。
【0056】
切断ブロック400は、当業者に公知の様式で基準ブロック500上に解放可能に固定される。この目的で、基準ブロック500は、固定装置502を備える。固定装置502の特定の構造及び機能は、本発明に必須ではないため、この点についての更なる説明は省くことができる。本ケースでは、基準ブロック400は、案内スロット401の案内平面Pがブロック後側部501に面平行に向けられるように、向けられる。この点で、案内平面Pは、内外方向及び前後方向に平坦な様式で延在する。
【0057】
外科用器具1は、上記で説明した様式で案内スロット401及び/又は案内平面Pの向きを確認するため、切断ブロック400に解放可能に締結される。この目的で、前記差込み接続は、差込み要素101と案内スロット401との間で確立される。2つの差込み部分1011、1012は、案内スロット401に後方に差し込まれる。枢動軸Sは、図3に示される前後方向軸に平行に向けられる。このことは、対応して、第1当接軸L1にも当てはまる。第2当接軸L2は、枢動軸S回りの支柱要素201の枢動位置に依存する様式で、少なくとも大部分が近位遠位方向に向けられる。基準平面Rは、ブロック後側部501に対して直交に向けられる。
【0058】
大腿骨Fの前面Aに対して基準平面及び/又は感知先端部2031、2032を配置するため、感知デバイス200は、上記で説明した様式で、枢動軸S回りに及び2つの当接軸L1、L2に沿って移動し得る。第1当接軸L1に沿った並進移動により、基準平面Rの前後方向での配置を可能にする。第2当接軸L2に沿った並進移動により、基準平面Rの近位遠位方向での配置を可能にする。更に、感知部分(参照符号なし)は、第1当接軸L1回りの感知要素203の回転により回転移動し得る。このことにより、前面Aに対する2つの感知先端部2031、2032の特に正確な配置を可能にする。
【0059】
特に、基準平面Rが前面Aと一致する際に要件を満たす切断ブロック400の向きがある。言い換えれば、特に、(基準平面R内の)矢状面上に突出する基準軸が、(前面A内で)同様に突出する骨の湾曲進行部に一致する際に要件を満たす向きがある。
【0060】
向きが確認された後、締結デバイス100と切断ブロック400との間の接続が解放され、外科用器具1が取り外される。この後、遠位大腿骨切断を施し得る。この目的で、前記のこ刃が案内スロット401に導入され、大腿骨Fの遠位か部が切除される。予め、切断ブロック400は、当業者に公知の様式で大腿骨F上に固定される。
【0061】
本発明による外科用器具1aの更なる実施形態は、図7及び図8に基づき示される。図9及び図10は、本発明による外科用器具システム10aの更なる実施形態を示し、外科用器具システム10aは、図7及び図8による外科用器具1aと、切断ブロック400とを備える。更に、図11は、本発明による外科用器具システム10a’の更なる実施形態を示し、外科用器具システム10a’は、図9及び図10による外科用器具システム10aと、更に、基準ブロック500aと、骨髄内ステム600とを備える。繰り返しを避けるため、図1による外科用器具1と比較した外科用器具1aの単なる本質的な差を以下の文で説明する。このことは、必要な変更を加えて、外科用器具システム10a、10a’に当てはまる。実質的に同一で、機能的に同一の構成要素及び/又は部分は、個別に説明しない。代わりに、外科用器具1及び外科用器具システム10、10’に対する開示に対して明示的に言及し、説明する。
【0062】
外科用器具1aは、主に、感知デバイス200aの異なる設計及び締結デバイス100aの細部が異なる設計のために、図1による外科用器具1とは異なる。
【0063】
感知デバイス200aは、やはり、支柱要素201aを備える。支柱要素201aは、支柱要素201aの第1の端部2011aと第2の端部2012aとの間で長手方向軸Laに沿って細長い。ここで、支柱要素201aは、連続的な直線長手方向範囲を有さないが、角度のずれた長手方向範囲を有する。支柱要素201aは、第1支柱部分2015aと、第2支柱部分2016aと、第3支柱部分2017aとを有する。
【0064】
第2の端部2012aから開始して、第1支柱部分2015aは、長手方向軸Laに沿って直線的に延在する。第1支柱部分2015aは、基準平面Rを形成する、後方に向けられた下側部(参照符号なし)を有する(特に、図8参照)。第1の端部2011aから開始して、第2支柱部分2016aは、第1支柱部分2015aと平行に細長く、第1支柱部分2015aから前方にずれている。図8の図面の平面に対して、第1支柱部分2015aは、第2支柱部分2016aの下に配置される。第3支柱部分2017aは、少なくとも大部分が長手方向軸Laに対して直交して細長く、第1支柱部分2015aを第2支柱部分2016aに接続する。
【0065】
図1による外科用器具1の基準平面とは対照的に、本ケースでの基準平面Rは、支柱要素201aの長手方向軸に沿って並進移動できない。
【0066】
とはいえ、支柱要素201aは、やはり、支柱要素201aが枢動軸S回りに枢動移動し得るように、締結デバイス100a上に組み付けられる。枢動軸Sは、第1の端部2011aの領域内で支柱要素201a上に構成されたピン要素S1aと、締結デバイス100a上に配置されるピン受けS2aとの間に構成される。
【0067】
図1による外科用器具1に一致して、外科用器具1aの当接デバイス300aは、第1当接軸L1を有する。対照的に、本ケースにおける第1当接軸L1は、枢動軸Sと一致する。第1当接軸L1に沿った可動性は、ピン要素S1aとピン受けS2aとの間に直線変位可能である結果として生じる。言い換えれば、ピン要素S1aは、ピン受けS2aに軸方向に摺動可能に係合する。本ケースでは、ピン要素S1aとピン受けS2aとの間の直線変位可能性は、より詳細に示されない停止部により制限される。外科用器具1aの適用において(図11参照)、ピン受けS2aに対するピン要素S1aの摺動可能な並進移動により、図11に示される前後方向軸に対する基準平面Rの設定を可能にする。
【0068】
図1の外科用器具1とは更に対照的に、本ケースにおける締結デバイス100(より正確には差込み要素101a)は、少なくとも1つのばね舌部1013aを備える。図示の実施形態では、2つのばね舌部1013a、1014aがあり、これらは、外ばね舌部1013a及び内ばね舌部1014aとも呼び得る。外ばね舌部1013aは、外差込み部分1011a上に配置される。内ばね舌部1014aは、内差込み部分1012a上に配置される。2つのばね舌部1013a、1014aは、各場合において、案内平面Pに対して直交に弾力的に弾性移動可能である。差込み要素101aの差込み状態において、2つのばね舌部1013a、1014aは、各場合において、ばね力によって案内スロット401の内壁(参照符号なし)に対して装填される様式で押し入れられ。従って、締結の改善が達成される。
【0069】
更に、図11に関連して、基準ブロック500aは、外科用器具システム10’の基準ブロック500とは異なる設計を有することがわかる。この点についての差は、本発明に関してさほど重要ではない。従って、この点についての更なる説明は、不必要である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】