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特開2023-172920遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験装置及び実験方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172920
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験装置及び実験方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/56 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
G01N3/56 D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023082457
(22)【出願日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】202210564914.5
(32)【優先日】2022-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】507393540
【氏名又は名称】武▲漢▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 志遠
(72)【発明者】
【氏名】林 云発
(72)【発明者】
【氏名】銭 忠東
(72)【発明者】
【氏名】程 永光
(72)【発明者】
【氏名】李 鵬輝
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マイクロ定量実験を行う機能を備え、土砂摩耗特性、及び摩耗特性と土砂特性、水流特性との関係を正確に反映する、遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験装置及び実験方法を提供する。
【解決手段】主装置7、衝撃速度調整装置12、衝撃角度調整装置15及び温度制御装置を含み、主装置7は、循環水タンク1、遠心ポンプインペラー、パッチ装置、ミキサー4、ジェツトパイプ5及び循環水ポンプ6で構成され、循環水ポンプ6の入口の前にある給水管路18は循環水タンク1の底部に接続され、循環水ポンプ6の出口の後ろにある出水管路27はジェツトパイプ5に接続され、ジェツトパイプ5は、遠心ポンプインペラー上のパッチ装置に正対し、衝撃速度調整装置12は、ジェツトパイプ5の出口における砂含有水流の速度を制御して調整するために用いられ、衝撃角度調整装置12は、パッチに衝撃する砂含有水流の角度を調整するために用いられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主装置(7)、衝撃速度調整装置(12)、衝撃角度調整装置(15)及び温度制御装置(20)を含み、
前記主装置は、循環水タンク(1)、遠心ポンプインペラー(2)、パッチ装置(3)、ミキサー(4)、ジェツトパイプ(5)及び循環水ポンプ(6)を含み、前記循環水タンク(1)の管路は、循環水ポンプ(6)に接続されてからジェツトパイプ(5)に接続され、前記遠心ポンプインペラー(2)は、衝撃角度調整装置(15)によって循環水タンク(1)の内壁に接続されるとともに、ジェツトパイプ(5)の出口に対向し、前記衝撃角度調整装置(15)は、軸方向の回転及び上下左右の移動によって遠心ポンプインペラー(2)とジェツトパイプ(5)との角度及び距離を調整し、前記パッチ装置(3)は、摩耗状況をテストするために、遠心ポンプインペラー(2)の摩耗しやすい位置に貼り合わせて固定され、
前記衝撃速度調整装置(12)は、電磁流量計(9)、圧力計(10)、周波数変換器(11)及び水出口ゲートバルブ(8)を含み、周波数変換器(11)及び水出口ゲートバルブ(8)によって循環水ポンプ(6)の流量及び揚程を調整して衝撃速度を制御し、前記電磁流量計(9)は、循環水ポンプ(6)とジェツトパイプ(5)との間に設けられ、前記圧力計(10)は、循環水ポンプ(6)の給水管及び出水管に設けられ、
前記温度制御装置(20)は、冷却水タンク(16)、平板溢流堰(17)、給水管路(18)及び排水管路(19)を含み、冷却水タンク(16)には、平板溢流堰(17)及び循環水タンク(1)が設けられることを特徴とする、遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験装置。
【請求項2】
前記循環水タンク(1)の底部は逆円錐構造であり、循環水ポンプ(6)の給水端に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パッチ装置(3)は、押さえ板(24)、固定ボルト(25)及びパッチ(26)を含み、パッチ(26)は、押さえ板(24)及び固定ボルト(25)によって摩耗しやすい位置に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ジェツトパイプ(5)の出口端は矩形開口であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記衝撃角度調整装置(15)は、固定軸(13)及び調整固定装置(14)を含み、前記遠心ポンプインペラー(2)は、固定軸(13)に取り付けられ、さらに調整固定装置(14)によって循環水タンク(1)の内壁に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記調整固定装置(14)は、固定支持台(29)、固定支持板(30)、固定指針(31)、左右調整ロッド(32)、上下調整ロッド(33)、固定軸回転ロッド(34)、目盛板(35)、固定軸固定ロッド(36)及び可動ボックス(37)を含み、
前記固定支持台(29)は、循環水タンク(1)の内壁に固定され、固定支持板(30)は、固定支持台(29)の左右両端に固定され、左右調整ロッド(32)は、固定支持板(30)を挿通するようにそれに螺接され且つ可動ボックス(37)の両端を挟持して固定し、固定指針(31)は、7字状の構造であり、固定支持台(29)に設けられ、固定指針(31)の横方向針棒がジェツトパイプ(5)の中心と同一高さであり、上下調整ロッド(33)は、可動ボックス(37)の上下層を貫通するようにそれに螺接され、固定支持台(29)に接続されずに接触し、
前記可動ボックス(37)内に固定軸(13)及び固定軸回転ロッド(34)が横方向に設けられ、前記固定軸(13)は、可動ボックス(37)及び目盛板(35)を貫通するとともに、目盛板(35)に固定して接続され、固定軸(13)と固定軸回転ロッド(34)は歯車により噛み合い伝動され、固定軸(13)に固定軸固定ロッド(36)が設けられ、
前記目盛板(35)は、円板であり、衝撃角度目盛が設けられ、前記目盛板(35)は固定軸(13)と同期して回転することを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記平板溢流堰(17)は、冷却水タンク(16)を冷却溝(38)とオーバーフロー溝(39)に分け隔て、平板溢流堰(17)の頂部は、冷却水タンク(16)の頂部よりも低く、循環水タンクは、冷却溝(38)内に設けられ、冷却水タンク(16)には、2つの給水口付きの給水管路(18)及び3つの出水口付きの排水管路(19)が設けられ、給水口は、冷却水タンク(16)の冷却溝(38)の下部に設けられ、前記排水管路(19)は、第1オーバーフロー溝排水管路(42)、第2オーバーフロー溝排水管路(43)及び冷却溝排水管路(44)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
(1)実験装置を洗浄するステップと、
(2)衝撃角度及び距離を調整し、衝撃角度調整装置(15)によってパッチ装置(3)を被検角度及び距離に位置させるステップと、
(3)衝撃速度を調整し、周波数変換器(11)及び水出口ゲートバルブ(8)を調整することにより、電磁流量計(9)及び圧力計(10)を、実験の目標衝撃値にするステップと、
(4)温度制御装置(20)をオンにし、循環水タンクの温度を制御するステップと、
(5)ミキサー(4)をオンにし、土砂の濃度が目標濃度になるように実験用土砂を添加するステップと、
(6)実験プロセスを記録し、電磁流量計(9)、圧力計(10)の示度及び循環水ポンプ(6)の回転数を間欠的に記録し、各値が実験中に変化しないように保証するステップと、
(7)実験終了後、実験装置をオフにするステップと、
(8)パッチ(26)を特徴づけ、パッチ(26)を洗浄、乾燥及び冷却した後、パッチ(26)を称量してそのマイクロ形態を観察するステップと、
(9)パッチ(26)を再度取り付けて実験を行い、パッチ(26)を同一位置に再度固定し、累計時間の摩耗実験を完了するまで、引き続き次の同じ時間の実験を行うステップと、を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置を使用して土砂摩耗実験を行う方法。
【請求項9】
前記ステップ(8)において、洗浄は超音波洗浄であり、温度は60~65℃であり、洗浄時間は10~15分間であり、その後、オーブンに入れて乾燥し、温度を65~70℃、乾燥時間を2~2.5時間に設定することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(8)において、前記マイクロ形態は、電界放出走査電子顕微鏡によって観察されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力機械の土砂摩耗の技術分野に属し、主に遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験装置及び実験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二重吸込遠心ポンプは、流量が大きく、揚程が高いという特徴を有し、黄河灌漑区域での揚水灌漑に広く応用されている。黄河の砂含有量が大きいため、二重吸込遠心ポンプにおけるオーバーフロー部品に深刻な摩耗が発生し、そのうち、遠心ポンプにおけるインペラーの摩耗が特に深刻であり、その結果、二重吸込遠心ポンプの出水流量が減少し、効率が低下し、耐用年数が短縮され、振動及び騒音が生じやすく、二重吸込遠心ポンプの安全且つ安定的な作動に深刻な危害を及ぼす。二重吸込遠心ポンプインペラーの土砂摩耗規則に関する研究は、二重吸込遠心ポンプの高効率、省エネルギー、安全且つ安定した作動を向上させる上で重要な意義を持っている。現在の研究では、遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験にはマクロ定性研究が多く採用され、つまり、二重吸込遠心ポンプ全体の作動過程における土砂による羽根摩耗状況を研究することにより、土砂摩耗規則を探索しているが、土砂摩耗に対するマイクロ定量研究は少ない。その理由の1つは、高精度で適切な実験装置及び実験方法が欠けることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記技術的課題に対して、本発明の目的は、土砂特性及び水流特性による遠心ポンプインペラーの摩耗に関するマイクロ定量研究を行い、遠心ポンプインペラーの土砂摩耗特性、及び摩耗特性と土砂特性、水流特性との関係並びに内在的メカニズムを正確に反映することができる、遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験装置及び実験方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明で提供される技術的解決手段は、次のとおりである。
第1側面において、本発明は、遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験装置を提供する。
主装置(7)、衝撃速度調整装置(12)、衝撃角度調整装置(15)及び温度制御装置(20)を含み、
前記主装置は、循環水タンク(1)、遠心ポンプインペラー(2)、パッチ装置(3)、ミキサー(4)、ジェツトパイプ(5)及び循環水ポンプ(6)を含み、前記循環水タンク(1)の管路は、循環水ポンプ(6)に接続されてからジェツトパイプ(5)に接続され、前記遠心ポンプインペラー(2)は、衝撃角度調整装置(15)によって循環水タンク(1)の内壁に接続されるとともに、ジェツトパイプ(5)の出口に対向し、前記衝撃角度調整装置(15)は、軸方向の回転及び上下左右の移動によって遠心ポンプインペラー(2)とジェツトパイプ(5)との角度及び距離を調整し、前記パッチ装置(3)は、摩耗状況をテストするために、遠心ポンプインペラー(2)の摩耗しやすい位置に貼り合わせて固定され、
前記衝撃速度調整装置(12)は、電磁流量計(9)、圧力計(10)、周波数変換器(11)及び水出口ゲートバルブ(8)を含み、周波数変換器(11)及び水出口ゲートバルブ(8)によって循環水ポンプ(6)の流量及び揚程を調整して衝撃速度を制御し、前記電磁流量計(9)は、循環水ポンプ(6)とジェツトパイプ(5)との間に設けられ、前記圧力計(10)は、循環水ポンプ(6)の給水管及び出水管に設けられ、
前記温度制御装置(20)は、冷却水タンク(16)、平板溢流堰(17)、給水管路(18)及び排水管路(19)を含み、冷却水タンク(16)には、平板溢流堰(17)及び循環水タンク(1)が設けられる。
【0005】
さらに、前記循環水タンク(1)は、底部が逆円錐構造であり、循環水ポンプ(6)の給水端に接続され、頂部が開放して大気に連通し、水供給管路(21)から内部に注水し、上部開口を介して土砂を内部に加え、逆円錐体の底端は、循環水ポンプ(6)の入口の前にある給水管路(22)に接続され、放水バルブ(23)が設けられる。
【0006】
さらに、前記パッチ装置(3)は、押さえ板(24)、固定ボルト(25)及びパッチ(26)を含み、パッチ(26)は、押さえ板(24)及び固定ボルト(25)によって摩耗しやすい位置に固定される。押さえ板(24)及びパッチ(26)は、屈曲性を有し、パッチ(26)は、2つの押さえ板(24)によって水ポンプインペラーの羽根の屈曲度に合わせ、パッチ(26)の材料は摩耗しやすい。
【0007】
さらに、前記ジェツトパイプ(5)の出口端は矩形開口である。
【0008】
さらに、前記衝撃角度調整装置(15)は、固定軸(13)及び調整固定装置(14)を含み、前記遠心ポンプインペラー(2)は、固定軸(13)に取り付けられ、さらに調整固定装置(14)によって循環水タンク(1)の内壁に接続されている。
【0009】
さらに、前記調整固定装置(14)は、固定支持台(29)、固定支持板(30)、固定指針(31)、左右調整ロッド(32)、上下調整ロッド(33)、固定軸回転ロッド(34)、目盛板(35)、固定軸固定ロッド(36)及び可動ボックス(37)を含み、
前記固定支持台(29)は、循環水タンク(1)の内壁に固定され、固定支持板(30)は、固定支持台(29)の左右両端に固定され、左右調整ロッド(32)は、固定支持板(30)を挿通するようにそれに螺接され且つ可動ボックス(37)の両端を挟持して固定し、固定指針(31)は、7字状の構造であり、固定支持台(29)に設けられ、固定指針(31)の横方向針棒がジェツトパイプ(5)の中心と同一高さであり、上下調整ロッド(33)は、可動ボックス(37)の上下層を貫通するようにそれに螺接され、固定支持台(29)に接続されずに接触し、
前記可動ボックス(37)内に固定軸(13)及び固定軸回転ロッド(34)が横方向に設けられ、前記固定軸(13)は、可動ボックス(37)及び目盛板(35)を貫通するとともに、目盛板(35)に固定して接続され、固定軸(13)と固定軸回転ロッド(34)は歯車により噛み合い伝動され、固定軸(13)に固定軸固定ロッド(36)が設けられ、
前記目盛板(35)は、円板であり、衝撃角度目盛が設けられ、前記目盛板(35)は固定軸(13)と同期して回転する。
【0010】
さらに、前記循環水ポンプ(6)の入口の前にある給水管路(22)と出口の後ろにある出水管路(27)にそれぞれ圧力計(10)が設けられ、出水管路(27)の頭部にジェツトパイプ(5)が接続され、ジェツトパイプ(5)の前にある出水管路(27)に水出口ゲートバルブ(8)が設けられ、水出口ゲートバルブ(8)と水出口圧力計(10)との間の長い出水管路(27)に電磁流量計(9)が設けられ、周波数変換器(11)は、循環水ポンプ(6)に接続されているモータ(28)に接続される。
【0011】
さらに、前記平板溢流堰(17)は、冷却水タンク(16)を冷却溝(38)とオーバーフロー溝(39)に分け隔て、平板溢流堰(17)の頂部は、冷却水タンク(16)の頂部よりも低く、循環水タンクは、冷却溝(38)内に設けられ、冷却水タンク(16)には、2つの給水口付きの給水管路(18)及び3つの出水口付きの排水管路(19)が設けられ、給水口は、冷却水タンク(16)の冷却溝(38)の下部に設けられ、前記排水管路(19)は、第1オーバーフロー溝排水管路(42)、第2オーバーフロー溝排水管路(43)及び冷却溝排水管路(44)を含む。
【0012】
さらに、前記平板溢流堰(17)の頂部は、冷却水タンク(16)の頂部よりも10~15cm低く、前記給水管路(18)に2つの給水口が設けられ、給水口は、オーバーフロー溝側から離れた冷却水タンク(16)の後壁の、冷却水タンクの底部から10~15cm離れた位置に設けられ、給水量を制御するための第1ゲートバルブ(40)及び第2ゲートバルブ(41)が設けられる。前記排水管路(19)は第1オーバーフロー溝排水管路(42)、第2オーバーフロー溝排水管路(43)及び冷却溝排水管路(44)を含み、第1オーバーフロー溝排水管路(42)及び第2オーバーフロー溝排水管路(43)は、オーバーフロー溝(39)の底部に設けられ、排水量を制御するための第3ゲートバルブ(45)及び第4ゲートバルブ(46)が設けられ、冷却溝排水管路(44)は、冷却溝(38)の底部に設けられ、排水量を制御するための第5ゲートバルブ(47)が設けられる。
【0013】
第2側面において、本発明は、第1側面に記載の装置を使用して土砂摩耗実験を行う方法を提供する。前記方法は、以下のステップを含む。
(1)実験装置を洗浄する。
(2)衝撃角度を調整し、衝撃角度調整装置(15)によってパッチ装置(3)を被検角度及び距離に位置させ、具体的には、固定軸回転ロッド(34)、左右調整ロッド(32)及び上下調整ロッド(33)を調整することにより、固定指針(31)を目盛板(35)上の衝撃角度に対応させて、パッチ装置(3)を被検角度に位置させる。
(3)衝撃速度を調整し、周波数変換器(11)及び水出口ゲートバルブ(8)を調整することにより、電磁流量計(9)及び圧力計(10)を、実験の目標衝撃値にするステップと、
(4)温度制御装置(20)をオンにし、循環水タンクの温度を制御するステップと、
(5)ミキサー(4)をオンにし、土砂の濃度が目標濃度になるように実験用土砂を添加するステップと、
(6)実験プロセスを記録し、電磁流量計(9)、圧力計(10)の示度及び循環水ポンプ(6)の回転数を間欠的に記録し、各値が実験中に変化しないように保証するステップと、
(7)実験終了後、実験装置をオフにするステップと、
(8)パッチ(26)を特徴づけ、パッチ(26)を洗浄、乾燥及び冷却した後、パッチ(26)を称量してそのマイクロ形態を観察するステップと、
(9)パッチ(26)を再度取り付けて実験を行い、パッチ(26)を同一位置に再度固定し、累計時間の摩耗実験を完了するまで、引き続き次の同じ時間の実験を行うステップと、を含む。
【0014】
さらに、前記ステップ(8)において、洗浄は超音波洗浄であり、温度は60~65℃であり、洗浄時間は10~15分間であり、その後、オーブンに入れて乾燥し、温度を65~70℃、乾燥時間を2~2.5時間に設定する。
【0015】
さらに、前記ステップ(8)において、前記マイクロ形態は、電界放出走査電子顕微鏡によって観察される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
(1)本発明は、二重吸込遠心ポンプ全体作動実験の考え方から飛び出し、遠心ポンプインペラーの摩耗と土砂特性、水流特性との間の関係に関する実験を直接行い、土砂摩耗実験の周期を大幅に短縮し、実験にかかる費用を低減し、実験効率を高める。
【0017】
(2)本発明は、二重吸込遠心ポンプインペラーの摩耗が深刻な位置に摩耗しやすく、屈曲しやすいパッチを固定することを提案し、各実験動作を完了した後、パッチを取り外して称量し、走査電子顕微鏡下で観察し、摩耗損失重量と摩耗表面の形態特徴を直観的に反映し、土砂摩耗に対するマイクロ定量研究の機能を備え、実験装置及び実験方法の構想が巧みであり、実験結果が正確である。
【0018】
(3)本発明は、衝撃速度調整装置及び衝撃角度調整装置によって衝撃速度及び衝撃角度を得ることができ、実験装置の操作が簡便である。
【0019】
(4)本発明は、異なる摩耗時間、異なる土砂粒径、異なる土砂濃度、異なる土砂形状、異なる衝撃角度、異なる衝撃速度で遠心ポンプインペラーの土砂摩耗のマイクロ定量実験を行うことができ、実験機能が強く、調整可能なパラメータが豊富である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の正面図である。
図2】本発明の上面図である。
図3】本発明の側面図である。
図4】本発明のパッチ装置の模式図である。
図5】本発明の調整固定装置の正面図である。
図6】本発明の調整固定装置の上面図である。
図7】本発明の調整固定装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下において、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明確に、完全に説明し、説明される実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではなく、本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
【0022】
図1~3を参照すると、遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験装置は、主装置7、衝撃速度調整装置12、衝撃角度調整装置15及び温度制御装置20を含む。
【0023】
前記主装置7は、循環水タンク1、遠心ポンプインペラー2、パッチ装置3、ミキサー4、ジェツトパイプ5及び循環水ポンプ6を含み、前記循環水タンク1の管路は、循環水ポンプ6に接続されてからジェツトパイプ5に接続され、前記遠心ポンプインペラー2は、衝撃角度調整装置15によって循環水タンク1の内壁に接続されるとともに、ジェツトパイプ5の出口に対向し、前記衝撃角度調整装置15は、軸方向の回転及び上下左右の移動によって遠心ポンプインペラー2とジェツトパイプ5との角度及び距離を調整し、前記パッチ装置3は、摩耗状況をテストするために、遠心ポンプインペラー2の摩耗しやすい位置に貼り合わせて固定される。
【0024】
前記衝撃速度調整装置12は、電磁流量計9、圧力計10、周波数変換器11及び水出口ゲートバルブ8を含み、周波数変換器11及び水出口ゲートバルブ8によって循環水ポンプ6の流量及び揚程を調整して衝撃速度を制御し、前記電磁流量計9は、循環水ポンプ6とジェツトパイプ5との間に設けられ、前記圧力計10は、循環水ポンプ6の給水管及び出水管に設けられる。
【0025】
前記温度制御装置20は、冷却水タンク16、平板溢流堰17、給水管路18及び排水管路19を含み、冷却水タンク16には、平板溢流堰17及び循環水タンク1が設けられる。
【0026】
好ましくは、前記循環水タンク1の底部は逆円錐構造であり、四角錐体は、長1.5m、幅0.7m、高0.3mであり、長方体は、長1.5m、幅0.7m、高1.15mである。水供給管路21から内部に注水し、上部開口を介して土砂を内部に加え、逆円錐体の底端は、循環水ポンプ6の入口の前にある給水管路22に接続され、放水バルブ23が設けられる。
【0027】
好ましくは、前記パッチ装置3は、押さえ板24、固定ボルト25及びパッチ26を含み、パッチ26は、押さえ板24及び固定ボルト25によって摩耗しやすい位置に固定される。前記押さえ板24及びパッチ26は、屈曲性を有し、パッチ26は、2つの押さえ板24によって水ポンプインペラーの羽根の屈曲度に合わせ、押さえ板24及び固定ボルト25は、パッチ26の両辺を押さえることにより、パッチ26を遠心ポンプインペラー2の羽根の摩耗しやすい位置に固定し、押さえ板24及び固定ボルト25は、好ましくはステンレス鋼の材質であり、パッチ26は、好ましくは純粋な赤銅の材質である。
【0028】
好ましくは、前記ミキサー4は、循環水タンク1における後壁から0.5m離れ、両側壁の中心から0.1mずれる位置に設けられる。
【0029】
好ましくは、前記ジェツトパイプ5は、円形管路に矩形管路を接続して構成され、出口端は矩形開口である。円形管路は直径が50mmであり、矩形管路は長30mm×幅15mmであり、ジェツトパイプ5の出口は、遠心ポンプインペラー2上のパッチ26に正対する。
【0030】
好ましくは、前記循環水ポンプ6の入口の前にある給水管路22と出口の後ろにある出水管路27にそれぞれ圧力計10が設けられ、出水管路27の頭部にジェツトパイプ5が接続され、ジェツトパイプ5の前にある出水管路27に水出口ゲートバルブ8が設けられ、水出口ゲートバルブ8と水出口圧力計10との間の長い出水管路27に電磁流量計9が設けられ、周波数変換器11は、循環水ポンプ6に接続されているモータ28に接続される。
【0031】
前記衝撃角度調整装置15は、固定軸13及び調整固定装置14を含み、前記遠心ポンプインペラー2は、固定軸13に取り付けられ、さらに調整固定装置14によって循環水タンク1の内壁に接続されている。
【0032】
好ましくは、前記調整固定装置14は、固定支持台29、固定支持板30、固定指針31、左右調整ロッド32、上下調整ロッド33、固定軸回転ロッド34、目盛板35、固定軸固定ロッド36及び可動ボックス37を含む。
前記固定支持台29は、循環水タンク1の内壁に固定され、固定支持板30は、固定支持台29の左右両端に固定され、左右調整ロッド32は、固定支持板30を挿通するようにそれに螺接され且つ可動ボックス37の両端を挟持して固定し、固定指針31は、7字状の構造であり、固定支持台29に設けられ、固定指針31の横方向針棒がジェツトパイプ5の中心と同一高さであり、上下調整ロッド33は、可動ボックス37の上下層を貫通するようにそれに螺接され、前記上下調整ロッド33は、可動ボックス37を支持し及び上下に調整するという役割を果たし、固定支持台29に接続されずに接触する。
前記可動ボックス37内に固定軸回転ロッド34及び固定軸13が横方向に設けられ、前記固定軸13は、可動ボックス37及び目盛板35を貫通するとともに、目盛板35に固定して接続され、前記固定軸13は、可動ボックス37を挿通し、固定軸回転ロッド34と歯車により噛み合い伝動され、固定軸13に固定軸固定ロッド36が設けられる。
前記目盛板35は、円板であり、衝撃角度目盛が設けられ、前記目盛板35は固定軸13と同期して回転する。
【0033】
衝撃角度を調整する時、固定軸固定ロッド36を緩め、固定軸回転ロッド34を回転させ、歯車の伝動によって固定軸13を駆動して回転させ、目盛板35は固定軸13につれて回転し、目盛板35上の所望の衝撃角度の目盛線が固定指針31の横方向針棒と平行になると、固定軸回転ロッド34の回転を停止し、固定軸固定ロッド36を締め付ける。上下調整ロッド33を調整することにより、可動ボックス37を上下に移動させるとともに、可動ボックス37上の固定軸13及び固定軸13上の目盛板35を上下に移動させるように駆動し、目盛板35上の所望の衝撃角度の目盛線を固定指針31の横方向針棒と重ね合わせる。そして左右調整ロッド32を調整することにより、可動ボックス37を左右に移動させるとともに、可動ボックス37上の固定軸13及び固定軸13上の目盛板35を左右に移動させるように駆動し、目盛板35上の所望の衝撃角度の目盛線の開始点を固定指針31の横方向針棒の頂点と重ね合わせ、衝撃距離を変化させずに衝撃角度を調整して変更するという効果を達成する。これにより、衝撃角度の調整を完了する。
【0034】
好ましくは、前記平板溢流堰17は、冷却水タンク16を冷却溝38とオーバーフロー溝39に分け隔て、平板溢流堰17の頂部は、冷却水タンク16の頂部よりも低く、循環水タンク1は、冷却溝38内に設けられ、冷却水タンク16には、2つの給水口付きの給水管路18及び3つの出水口付きの排水管路19が設けられ、給水口は、冷却水タンク16の冷却溝38の下部に設けられ、前記排水管路19は、第1オーバーフロー溝排水管路42、第2オーバーフロー溝排水管路43及び冷却溝排水管路44を含む。
【0035】
好ましくは、前記冷却水タンク16は、循環水タンク1の外を取り囲み、冷却水タンク16は、長1.88m、幅1.00m、高1.35mであり、給水管路18を介して給水し、排水管路19を介して排水する。前記平板溢流堰17は、冷却水タンク16を冷却溝38とオーバーフロー溝39に分け隔て、平板溢流堰17は高1.25mである。前記給水管路18に2つの給水口が設けられ、給水口は、オーバーフロー溝側から離れた冷却水タンク16の後壁の、冷却水タンクの底部から12cm離れた位置に設けられ、給水量を制御するための第1ゲートバルブ40及び第2ゲートバルブ41が設けられる。前記排水管路19は、第1オーバーフロー溝排水管路42、第2オーバーフロー溝排水管路43及び冷却溝排水管路44を含み、第1オーバーフロー溝排水管路42及び第2オーバーフロー溝排水管路43は、オーバーフロー溝39の底部に設けられ、排水量を制御するための第3ゲートバルブ45及び第4ゲートバルブ46が設けられ、冷却溝排水管路44は、冷却溝38の底部に設けられ、排水量を制御するための第5ゲートバルブ47が設けられる。
【0036】
遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験方法は次のステップS1~S12を含む。
S1において、実験装置を洗浄し、水供給管路21を開放して、実験水位になるまで清水を循環水タンク1内に注入し、循環水ポンプ6をオンにし、清水による循環水タンク1、循環水ポンプ6及び管路の洗浄を実現し、5分間後、循環水ポンプ6をオフにし、循環水タンク1の底端にある放水ゲート23を開放し、洗浄水を完全に排出し、このように3回繰り返して実験装置の洗浄を完了する。
【0037】
S2において、実験パッチ26を取り付け、パッチ装置3にパッチ26を取り付け、押さえ板24及び固定ボルト25を用いてパッチ26を堅牢に固定する。
【0038】
S3において、衝撃角度を調整し、固定軸回転ロッド34、左右調整ロッド32及び上下調整ロッド33を調整することにより、固定指針31を目盛板35上の衝撃角度に対応させ、固定軸固定ロッド36を締め付け、衝撃角度を、実験の目標衝撃角度に調整することを完了する。
【0039】
S4において、衝撃速度を調整し、水供給管路21を開放して、実験水位になるまで清水を循環水タンク1に注入し、循環水ポンプ6をオンにし、周波数変換器11及び水出口ゲートバルブ8を調整し、電磁流量計9及び圧力計10に目標値を表示させ、実験の目標衝撃速度にする。
【0040】
S5において、温度制御装置20をオンにし、外部給水を循環水タンク1の外層の冷却溝38内に搬送することで、外部給水は、冷却溝38の下端から進入し、循環水タンク1の外壁の周囲で循環水の熱を吸収してから、平板溢流堰17の上端からオーバーフロー溝39に溢れ、第1オーバーフロー溝排水管路42及び第2オーバーフロー溝排水管路43から排出される。
【0041】
S6において、ミキサー4をオンにし、砂添加前の水を撹拌し、砂添加過程及び砂添加後の水流と土砂との十分な混合を実現する。
【0042】
S7において、実験用土砂を添加し、循環水タンク1の上部で実験用の目標土砂を、土砂の濃度が目標濃度になるように添加する。
【0043】
S8において、実験過程を記録し、1hおきに電磁流量計9、圧力計10の示度及び循環水ポンプ6の回転数を記録し、各値が実験過程で変化しないように保証する。
【0044】
S9において、実験装置をオフにし、実験時間が要件を満たすと、循環水ポンプ6、ミキサー4、第1ゲートバルブ40及び第2ゲートバルブ41、第3ゲートバルブ45及び第4ゲートバルブ46を順にオフにする。
【0045】
S10において、実験パッチ26を処理し、パッチ26を取り外し、超音波洗浄器に入れて洗浄し、温度を60℃、洗浄時間を10分間に設定し、その後、オーブンに入れて乾燥し、温度を65℃、乾燥時間を2時間に設定し、乾燥が完了した後、冷却するまでパッチ26を放置し、パッチ26を称量して形態測定を行う。
【0046】
S11において、パッチ26を再度取り付けて実験を行い、称量及び観察が終了した後のパッチ26を再度押さえ板24及び固定ボルト25によって同一位置に固定し、引き続き2番目の同じ時間の実験を行い、累計時間の摩耗実験を完了するまで続く。
【0047】
S12において、一連の実験が全て完了した後、S9を押して実験装置をオフにし、放水バルブ23をオンにして循環水タンク1内の砂含有水を排出し、第5ゲートバルブ47をオンにして冷却溝内の水を排出し、第3ゲートバルブ45及び第4ゲートバルブ46をオンにしてオーバーフロー溝内の水を排出する。
【0048】
以上は本発明の好ましい具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はそれらに限定されない。当業者が本発明に開示されている技術範囲内に行った修正、同等な置換、及び改良等は、全て発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0049】
(符号の説明)
循環水タンク1、遠心ポンプインペラー2、パッチ装置3、ミキサー4、ジェツトパイプ5、循環水ポンプ6、主装置7、水出口ゲートバルブ8、電磁流量計9、圧力計10、周波数変換器11、衝撃速度調整装置12、固定軸13、調整固定装置14、衝撃角度調整装置15、冷却水タンク16、平板溢流堰17、給水管路18、排水管路19、温度制御装置20、水供給管路21、給水管路22、放水バルブ23、押さえ板24、固定ボルト25、パッチ26、出水管路27、モータ28、固定支持台29、固定支持板30、固定指針31、左右調整ロッド32、上下調整ロッド33、固定軸回転ロッド34、目盛板35、固定軸固定ロッド36、可動ボックス37、冷却溝38、オーバーフロー溝39、第1ゲートバルブ40、第2ゲートバルブ41、第1オーバーフロー溝排水管路42、第2オーバーフロー溝排水管路43、冷却溝排水管路44、第3ゲートバルブ45、第4ゲートバルブ46、第5ゲートバルブ47。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力機械の土砂摩耗の技術分野に属し、主に遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験装置及び実験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二重吸込遠心ポンプは、流量が大きく、揚程が高いという特徴を有し、黄河灌漑区域での揚水灌漑に広く応用されている。黄河の砂含有量が大きいため、二重吸込遠心ポンプにおけるオーバーフロー部品に深刻な摩耗が発生し、そのうち、遠心ポンプにおけるインペラーの摩耗が特に深刻であり、その結果、二重吸込遠心ポンプの出水流量が減少し、効率が低下し、耐用年数が短縮され、振動及び騒音が生じやすく、二重吸込遠心ポンプの安全且つ安定的な作動に深刻な危害を及ぼす。二重吸込遠心ポンプインペラーの土砂摩耗規則に関する研究は、二重吸込遠心ポンプの高効率、省エネルギー、安全且つ安定した作動を向上させる上で重要な意義を持っている。現在の研究では、遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験にはマクロ定性研究が多く採用され、つまり、二重吸込遠心ポンプ全体の作動過程における土砂による羽根摩耗状況を研究することにより、土砂摩耗規則を探索しているが、土砂摩耗に対するマイクロ定量研究は少ない。その理由の1つは、高精度で適切な実験装置及び実験方法が欠けることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記技術的課題に対して、本発明の目的は、土砂特性及び水流特性による遠心ポンプインペラーの摩耗に関するマイクロ定量研究を行い、遠心ポンプインペラーの土砂摩耗特性、及び摩耗特性と土砂特性、水流特性との関係並びに内在的メカニズムを正確に反映することができる、遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験装置及び実験方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明で提供される技術的解決手段は、次のとおりである。
第1側面において、本発明は、遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験装置を提供する。
主装置(7)、衝撃速度調整装置(12)、衝撃角度調整装置(15)及び温度制御装置(20)を含み、
前記主装置は、循環水タンク(1)、遠心ポンプインペラー(2)、パッチ装置(3)、ミキサー(4)、ジェットパイプ(5)及び循環水ポンプ(6)を含み、前記循環水タンク(1)の管路は、循環水ポンプ(6)に接続されてからジェットパイプ(5)に接続され、前記遠心ポンプインペラー(2)は、衝撃角度調整装置(15)によって循環水タンク(1)の内壁に接続されるとともに、ジェットパイプ(5)の出口に対向し、前記衝撃角度調整装置(15)は、軸方向の回転及び上下左右の移動によって遠心ポンプインペラー(2)とジェットパイプ(5)との角度及び距離を調整し、前記パッチ装置(3)は、摩耗状況をテストするために、遠心ポンプインペラー(2)の摩耗しやすい位置に貼り合わせて固定され、
前記衝撃速度調整装置(12)は、電磁流量計(9)、圧力計(10)、周波数変換器(11)及び水出口ゲートバルブ(8)を含み、周波数変換器(11)及び水出口ゲートバルブ(8)によって循環水ポンプ(6)の流量及び揚程を調整して衝撃速度を制御し、前記電磁流量計(9)は、循環水ポンプ(6)とジェットパイプ(5)との間に設けられ、前記圧力計(10)は、循環水ポンプ(6)の給水管及び出水管に設けられ、
前記温度制御装置(20)は、冷却水タンク(16)、平板溢流堰(17)、給水管路(18)及び排水管路(19)を含み、冷却水タンク(16)には、平板溢流堰(17)及び循環水タンク(1)が設けられる。
【0005】
さらに、前記循環水タンク(1)は、底部が逆円錐構造であり、循環水ポンプ(6)の給水端に接続され、頂部が開放して大気に連通し、水供給管路(21)から内部に注水し、上部開口を介して土砂を内部に加え、逆円錐体の底端は、循環水ポンプ(6)の入口の前にある給水管路(22)に接続され、放水バルブ(23)が設けられる。
【0006】
さらに、前記パッチ装置(3)は、押さえ板(24)、固定ボルト(25)及びパッチ(26)を含み、パッチ(26)は、押さえ板(24)及び固定ボルト(25)によって摩耗しやすい位置に固定される。押さえ板(24)及びパッチ(26)は、屈曲性を有し、パッチ(26)は、2つの押さえ板(24)によって水ポンプインペラーの羽根の屈曲度に合わせ、パッチ(26)の材料は摩耗しやすい。
【0007】
さらに、前記ジェットパイプ(5)の出口端は矩形開口である。
【0008】
さらに、前記衝撃角度調整装置(15)は、固定軸(13)及び調整固定装置(14)を含み、前記遠心ポンプインペラー(2)は、固定軸(13)に取り付けられ、さらに調整固定装置(14)によって循環水タンク(1)の内壁に接続されている。
【0009】
さらに、前記調整固定装置(14)は、固定支持台(29)、固定支持板(30)、固定指針(31)、左右調整ロッド(32)、上下調整ロッド(33)、固定軸回転ロッド(34)、目盛板(35)、固定軸固定ロッド(36)及び可動ボックス(37)を含み、
前記固定支持台(29)は、循環水タンク(1)の内壁に固定され、固定支持板(30)は、固定支持台(29)の左右両端に固定され、左右調整ロッド(32)は、固定支持板(30)を挿通するようにそれに螺接され且つ可動ボックス(37)の両端を挟持して固定し、固定指針(31)は、7字状の構造であり、固定支持台(29)に設けられ、固定指針(31)の横方向針棒がジェットパイプ(5)の中心と同一高さであり、上下調整ロッド(33)は、可動ボックス(37)の上下層を貫通するようにそれに螺接され、固定支持台(29)に接続されずに接触し、
前記可動ボックス(37)内に固定軸(13)及び固定軸回転ロッド(34)が横方向に設けられ、前記固定軸(13)は、可動ボックス(37)及び目盛板(35)を貫通するとともに、目盛板(35)に固定して接続され、固定軸(13)と固定軸回転ロッド(34)は歯車により噛み合い伝動され、固定軸(13)に固定軸固定ロッド(36)が設けられ、
前記目盛板(35)は、円板であり、衝撃角度目盛が設けられ、前記目盛板(35)は固定軸(13)と同期して回転する。
【0010】
さらに、前記循環水ポンプ(6)の入口の前にある給水管路(22)と出口の後ろにある出水管路(27)にそれぞれ圧力計(10)が設けられ、出水管路(27)の頭部にジェットパイプ(5)が接続され、ジェットパイプ(5)の前にある出水管路(27)に水出口ゲートバルブ(8)が設けられ、水出口ゲートバルブ(8)と水出口圧力計(10)との間の長い出水管路(27)に電磁流量計(9)が設けられ、周波数変換器(11)は、循環水ポンプ(6)に接続されているモータ(28)に接続される。
【0011】
さらに、前記平板溢流堰(17)は、冷却水タンク(16)を冷却溝(38)とオーバーフロー溝(39)に分け隔て、平板溢流堰(17)の頂部は、冷却水タンク(16)の頂部よりも低く、循環水タンクは、冷却溝(38)内に設けられ、冷却水タンク(16)には、2つの給水口付きの給水管路(18)及び3つの出水口付きの排水管路(19)が設けられ、給水口は、冷却水タンク(16)の冷却溝(38)の下部に設けられ、前記排水管路(19)は、第1オーバーフロー溝排水管路(42)、第2オーバーフロー溝排水管路(43)及び冷却溝排水管路(44)を含む。
【0012】
さらに、前記平板溢流堰(17)の頂部は、冷却水タンク(16)の頂部よりも10~15cm低く、前記給水管路(18)に2つの給水口が設けられ、給水口は、オーバーフロー溝側から離れた冷却水タンク(16)の後壁の、冷却水タンクの底部から10~15cm離れた位置に設けられ、給水量を制御するための第1ゲートバルブ(40)及び第2ゲートバルブ(41)が設けられる。前記排水管路(19)は第1オーバーフロー溝排水管路(42)、第2オーバーフロー溝排水管路(43)及び冷却溝排水管路(44)を含み、第1オーバーフロー溝排水管路(42)及び第2オーバーフロー溝排水管路(43)は、オーバーフロー溝(39)の底部に設けられ、排水量を制御するための第3ゲートバルブ(45)及び第4ゲートバルブ(46)が設けられ、冷却溝排水管路(44)は、冷却溝(38)の底部に設けられ、排水量を制御するための第5ゲートバルブ(47)が設けられる。
【0013】
第2側面において、本発明は、第1側面に記載の装置を使用して土砂摩耗実験を行う方法を提供する。前記方法は、以下のステップを含む。
(1)実験装置を洗浄する。
(2)衝撃角度を調整し、衝撃角度調整装置(15)によってパッチ装置(3)を被検角度及び距離に位置させ、具体的には、固定軸回転ロッド(34)、左右調整ロッド(32)及び上下調整ロッド(33)を調整することにより、固定指針(31)を目盛板(35)上の衝撃角度に対応させて、パッチ装置(3)を被検角度に位置させる。
(3)衝撃速度を調整し、周波数変換器(11)及び水出口ゲートバルブ(8)を調整することにより、電磁流量計(9)及び圧力計(10)を、実験の目標衝撃値にするステップと、
(4)温度制御装置(20)をオンにし、循環水タンクの温度を制御するステップと、
(5)ミキサー(4)をオンにし、土砂の濃度が目標濃度になるように実験用土砂を添加するステップと、
(6)実験プロセスを記録し、電磁流量計(9)、圧力計(10)の示度及び循環水ポンプ(6)の回転数を間欠的に記録し、各値が実験中に変化しないように保証するステップと、
(7)実験終了後、実験装置をオフにするステップと、
(8)パッチ(26)を特徴づけ、パッチ(26)を洗浄、乾燥及び冷却した後、パッチ(26)を称量してそのマイクロ形態を観察するステップと、
(9)パッチ(26)を再度取り付けて実験を行い、パッチ(26)を同一位置に再度固定し、累計時間の摩耗実験を完了するまで、引き続き次の同じ時間の実験を行うステップと、を含む。
【0014】
さらに、前記ステップ(8)において、洗浄は超音波洗浄であり、温度は60~65℃であり、洗浄時間は10~15分間であり、その後、オーブンに入れて乾燥し、温度を65~70℃、乾燥時間を2~2.5時間に設定する。
【0015】
さらに、前記ステップ(8)において、前記マイクロ形態は、電界放出走査電子顕微鏡によって観察される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
(1)本発明は、二重吸込遠心ポンプ全体作動実験の考え方から飛び出し、遠心ポンプインペラーの摩耗と土砂特性、水流特性との間の関係に関する実験を直接行い、土砂摩耗実験の周期を大幅に短縮し、実験にかかる費用を低減し、実験効率を高める。
【0017】
(2)本発明は、二重吸込遠心ポンプインペラーの摩耗が深刻な位置に摩耗しやすく、屈曲しやすいパッチを固定することを提案し、各実験動作を完了した後、パッチを取り外して称量し、走査電子顕微鏡下で観察し、摩耗損失重量と摩耗表面の形態特徴を直観的に反映し、土砂摩耗に対するマイクロ定量研究の機能を備え、実験装置及び実験方法の構想が巧みであり、実験結果が正確である。
【0018】
(3)本発明は、衝撃速度調整装置及び衝撃角度調整装置によって衝撃速度及び衝撃角度を得ることができ、実験装置の操作が簡便である。
【0019】
(4)本発明は、異なる摩耗時間、異なる土砂粒径、異なる土砂濃度、異なる土砂形状、異なる衝撃角度、異なる衝撃速度で遠心ポンプインペラーの土砂摩耗のマイクロ定量実験を行うことができ、実験機能が強く、調整可能なパラメータが豊富である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の正面図である。
図2】本発明の上面図である。
図3】本発明の側面図である。
図4】本発明のパッチ装置の模式図である。
図5】本発明の調整固定装置の正面図である。
図6】本発明の調整固定装置の上面図である。
図7】本発明の調整固定装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下において、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明確に、完全に説明し、説明される実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではなく、本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
【0022】
図1~3を参照すると、遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験装置は、主装置7、衝撃速度調整装置12、衝撃角度調整装置15及び温度制御装置20を含む。
【0023】
前記主装置7は、循環水タンク1、遠心ポンプインペラー2、パッチ装置3、ミキサー4、ジェットパイプ5及び循環水ポンプ6を含み、前記循環水タンク1の管路は、循環水ポンプ6に接続されてからジェットパイプ5に接続され、前記遠心ポンプインペラー2は、衝撃角度調整装置15によって循環水タンク1の内壁に接続されるとともに、ジェットパイプ5の出口に対向し、前記衝撃角度調整装置15は、軸方向の回転及び上下左右の移動によって遠心ポンプインペラー2とジェットパイプ5との角度及び距離を調整し、前記パッチ装置3は、摩耗状況をテストするために、遠心ポンプインペラー2の摩耗しやすい位置に貼り合わせて固定される。
【0024】
前記衝撃速度調整装置12は、電磁流量計9、圧力計10、周波数変換器11及び水出口ゲートバルブ8を含み、周波数変換器11及び水出口ゲートバルブ8によって循環水ポンプ6の流量及び揚程を調整して衝撃速度を制御し、前記電磁流量計9は、循環水ポンプ6とジェットパイプ5との間に設けられ、前記圧力計10は、循環水ポンプ6の給水管及び出水管に設けられる。
【0025】
前記温度制御装置20は、冷却水タンク16、平板溢流堰17、給水管路18及び排水管路19を含み、冷却水タンク16には、平板溢流堰17及び循環水タンク1が設けられる。
【0026】
好ましくは、前記循環水タンク1の底部は逆円錐構造であり、四角錐体は、長1.5m、幅0.7m、高0.3mであり、長方体は、長1.5m、幅0.7m、高1.15mである。水供給管路21から内部に注水し、上部開口を介して土砂を内部に加え、逆円錐体の底端は、循環水ポンプ6の入口の前にある給水管路22に接続され、放水バルブ23が設けられる。
【0027】
好ましくは、前記パッチ装置3は、押さえ板24、固定ボルト25及びパッチ26を含み、パッチ26は、押さえ板24及び固定ボルト25によって摩耗しやすい位置に固定される。前記押さえ板24及びパッチ26は、屈曲性を有し、パッチ26は、2つの押さえ板24によって水ポンプインペラーの羽根の屈曲度に合わせ、押さえ板24及び固定ボルト25は、パッチ26の両辺を押さえることにより、パッチ26を遠心ポンプインペラー2の羽根の摩耗しやすい位置に固定し、押さえ板24及び固定ボルト25は、好ましくはステンレス鋼の材質であり、パッチ26は、好ましくは純粋な赤銅の材質である。
【0028】
好ましくは、前記ミキサー4は、循環水タンク1における後壁から0.5m離れ、両側壁の中心から0.1mずれる位置に設けられる。
【0029】
好ましくは、前記ジェットパイプ5は、円形管路に矩形管路を接続して構成され、出口端は矩形開口である。円形管路は直径が50mmであり、矩形管路は長30mm×幅15mmであり、ジェットパイプ5の出口は、遠心ポンプインペラー2上のパッチ26に正対する。
【0030】
好ましくは、前記循環水ポンプ6の入口の前にある給水管路22と出口の後ろにある出水管路27にそれぞれ圧力計10が設けられ、出水管路27の頭部にジェットパイプ5が接続され、ジェットパイプ5の前にある出水管路27に水出口ゲートバルブ8が設けられ、水出口ゲートバルブ8と水出口圧力計10との間の長い出水管路27に電磁流量計9が設けられ、周波数変換器11は、循環水ポンプ6に接続されているモータ28に接続される。
【0031】
前記衝撃角度調整装置15は、固定軸13及び調整固定装置14を含み、前記遠心ポンプインペラー2は、固定軸13に取り付けられ、さらに調整固定装置14によって循環水タンク1の内壁に接続されている。
【0032】
好ましくは、前記調整固定装置14は、固定支持台29、固定支持板30、固定指針31、左右調整ロッド32、上下調整ロッド33、固定軸回転ロッド34、目盛板35、固定軸固定ロッド36及び可動ボックス37を含む。前記固定支持台29は、循環水タンク1の内壁に固定され、固定支持板30は、固定支持台29の左右両端に固定され、左右調整ロッド32は、固定支持板30を挿通するようにそれに螺接され且つ可動ボックス37の両端を挟持して固定し、固定指針31は、7字状の構造であり、固定支持台29に設けられ、固定指針31の横方向針棒がジェットパイプ5の中心と同一高さであり、上下調整ロッド33は、可動ボックス37の上下層を貫通するようにそれに螺接され、前記上下調整ロッド33は、可動ボックス37を支持し及び上下に調整するという役割を果たし、固定支持台29に接続されずに接触する。前記可動ボックス37内に固定軸回転ロッド34及び固定軸13が横方向に設けられ、前記固定軸13は、可動ボックス37及び目盛板35を貫通するとともに、目盛板35に固定して接続され、前記固定軸13は、可動ボックス37を挿通し、固定軸回転ロッド34と歯車により噛み合い伝動され、固定軸13に固定軸固定ロッド36が設けられる。前記目盛板35は、円板であり、衝撃角度目盛が設けられ、前記目盛板35は固定軸13と同期して回転する。
【0033】
衝撃角度を調整する時、固定軸固定ロッド36を緩め、固定軸回転ロッド34を回転させ、歯車の伝動によって固定軸13を駆動して回転させ、目盛板35は固定軸13につれて回転し、目盛板35上の所望の衝撃角度の目盛線が固定指針31の横方向針棒と平行になると、固定軸回転ロッド34の回転を停止し、固定軸固定ロッド36を締め付ける。上下調整ロッド33を調整することにより、可動ボックス37を上下に移動させるとともに、可動ボックス37上の固定軸13及び固定軸13上の目盛板35を上下に移動させるように駆動し、目盛板35上の所望の衝撃角度の目盛線を固定指針31の横方向針棒と重ね合わせる。そして左右調整ロッド32を調整することにより、可動ボックス37を左右に移動させるとともに、可動ボックス37上の固定軸13及び固定軸13上の目盛板35を左右に移動させるように駆動し、目盛板35上の所望の衝撃角度の目盛線の開始点を固定指針31の横方向針棒の頂点と重ね合わせ、衝撃距離を変化させずに衝撃角度を調整して変更するという効果を達成する。これにより、衝撃角度の調整を完了する。
【0034】
好ましくは、前記平板溢流堰17は、冷却水タンク16を冷却溝38とオーバーフロー溝39に分け隔て、平板溢流堰17の頂部は、冷却水タンク16の頂部よりも低く、循環水タンク1は、冷却溝38内に設けられ、冷却水タンク16には、2つの給水口付きの給水管路18及び3つの出水口付きの排水管路19が設けられ、給水口は、冷却水タンク16の冷却溝38の下部に設けられ、前記排水管路19は、第1オーバーフロー溝排水管路42、第2オーバーフロー溝排水管路43及び冷却溝排水管路44を含む。
【0035】
好ましくは、前記冷却水タンク16は、循環水タンク1の外を取り囲み、冷却水タンク16は、長1.88m、幅1.00m、高1.35mであり、給水管路18を介して給水し、排水管路19を介して排水する。前記平板溢流堰17は、冷却水タンク16を冷却溝38とオーバーフロー溝39に分け隔て、平板溢流堰17は高1.25mである。前記給水管路18に2つの給水口が設けられ、給水口は、オーバーフロー溝側から離れた冷却水タンク16の後壁の、冷却水タンクの底部から12cm離れた位置に設けられ、給水量を制御するための第1ゲートバルブ40及び第2ゲートバルブ41が設けられる。前記排水管路19は、第1オーバーフロー溝排水管路42、第2オーバーフロー溝排水管路43及び冷却溝排水管路44を含み、第1オーバーフロー溝排水管路42及び第2オーバーフロー溝排水管路43は、オーバーフロー溝39の底部に設けられ、排水量を制御するための第3ゲートバルブ45及び第4ゲートバルブ46が設けられ、冷却溝排水管路44は、冷却溝38の底部に設けられ、排水量を制御するための第5ゲートバルブ47が設けられる。
【0036】
遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験方法は次のステップS1~S12を含む。S1において、実験装置を洗浄し、水供給管路21を開放して、実験水位になるまで清水を循環水タンク1内に注入し、循環水ポンプ6をオンにし、清水による循環水タンク1、循環水ポンプ6及び管路の洗浄を実現し、5分間後、循環水ポンプ6をオフにし、循環水タンク1の底端にある放水ゲート23を開放し、洗浄水を完全に排出し、このように3回繰り返して実験装置の洗浄を完了する。
【0037】
S2において、実験パッチ26を取り付け、パッチ装置3にパッチ26を取り付け、押さえ板24及び固定ボルト25を用いてパッチ26を堅牢に固定する。
【0038】
S3において、衝撃角度を調整し、固定軸回転ロッド34、左右調整ロッド32及び上下調整ロッド33を調整することにより、固定指針31を目盛板35上の衝撃角度に対応させ、固定軸固定ロッド36を締め付け、衝撃角度を、実験の目標衝撃角度に調整することを完了する。
【0039】
S4において、衝撃速度を調整し、水供給管路21を開放して、実験水位になるまで清水を循環水タンク1に注入し、循環水ポンプ6をオンにし、周波数変換器11及び水出口ゲートバルブ8を調整し、電磁流量計9及び圧力計10に目標値を表示させ、実験の目標衝撃速度にする。
【0040】
S5において、温度制御装置20をオンにし、外部給水を循環水タンク1の外層の冷却溝38内に搬送することで、外部給水は、冷却溝38の下端から進入し、循環水タンク1の外壁の周囲で循環水の熱を吸収してから、平板溢流堰17の上端からオーバーフロー溝39に溢れ、第1オーバーフロー溝排水管路42及び第2オーバーフロー溝排水管路43から排出される。
【0041】
S6において、ミキサー4をオンにし、砂添加前の水を撹拌し、砂添加過程及び砂添加後の水流と土砂との十分な混合を実現する。
【0042】
S7において、実験用土砂を添加し、循環水タンク1の上部で実験用の目標土砂を、土砂の濃度が目標濃度になるように添加する。
【0043】
S8において、実験過程を記録し、1hおきに電磁流量計9、圧力計10の示度及び循環水ポンプ6の回転数を記録し、各値が実験過程で変化しないように保証する。
【0044】
S9において、実験装置をオフにし、実験時間が要件を満たすと、循環水ポンプ6、ミキサー4、第1ゲートバルブ40及び第2ゲートバルブ41、第3ゲートバルブ45及び第4ゲートバルブ46を順にオフにする。
【0045】
S10において、実験パッチ26を処理し、パッチ26を取り外し、超音波洗浄器に入れて洗浄し、温度を60℃、洗浄時間を10分間に設定し、その後、オーブンに入れて乾燥し、温度を65℃、乾燥時間を2時間に設定し、乾燥が完了した後、冷却するまでパッチ26を放置し、パッチ26を称量して形態測定を行う。
【0046】
S11において、パッチ26を再度取り付けて実験を行い、称量及び観察が終了した後のパッチ26を再度押さえ板24及び固定ボルト25によって同一位置に固定し、引き続き2番目の同じ時間の実験を行い、累計時間の摩耗実験を完了するまで続く。
【0047】
S12において、一連の実験が全て完了した後、S9を押して実験装置をオフにし、放水バルブ23をオンにして循環水タンク1内の砂含有水を排出し、第5ゲートバルブ47をオンにして冷却溝内の水を排出し、第3ゲートバルブ45及び第4ゲートバルブ46をオンにしてオーバーフロー溝内の水を排出する。
【0048】
以上は本発明の好ましい具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はそれらに限定されない。当業者が本発明に開示されている技術範囲内に行った修正、同等な置換、及び改良等は、全て発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0049】
(符号の説明)
循環水タンク1、遠心ポンプインペラー2、パッチ装置3、ミキサー4、ジェットパイプ5、循環水ポンプ6、主装置7、水出口ゲートバルブ8、電磁流量計9、圧力計10、周波数変換器11、衝撃速度調整装置12、固定軸13、調整固定装置14、衝撃角度調整装置15、冷却水タンク16、平板溢流堰17、給水管路18、排水管路19、温度制御装置20、水供給管路21、給水管路22、放水バルブ23、押さえ板24、固定ボルト25、パッチ26、出水管路27、モータ28、固定支持台29、固定支持板30、固定指針31、左右調整ロッド32、上下調整ロッド33、固定軸回転ロッド34、目盛板35、固定軸固定ロッド36、可動ボックス37、冷却溝38、オーバーフロー溝39、第1ゲートバルブ40、第2ゲートバルブ41、第1オーバーフロー溝排水管路42、第2オーバーフロー溝排水管路43、冷却溝排水管路44、第3ゲートバルブ45、第4ゲートバルブ46、第5ゲートバルブ47。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主装置(7)、衝撃速度調整装置(12)、衝撃角度調整装置(15)及び温度制御装置(20)を含み、
前記主装置は、循環水タンク(1)、遠心ポンプインペラー(2)、パッチ装置(3)、ミキサー(4)、ジェットパイプ(5)及び循環水ポンプ(6)を含み、前記循環水タンク(1)の管路は、循環水ポンプ(6)に接続されてからジェットパイプ(5)に接続され、前記遠心ポンプインペラー(2)は、衝撃角度調整装置(15)によって循環水タンク(1)の内壁に接続されるとともに、ジェットパイプ(5)の出口に対向し、前記衝撃角度調整装置(15)は、軸方向の回転及び上下左右の移動によって遠心ポンプインペラー(2)とジェットパイプ(5)との角度及び距離を調整し、前記パッチ装置(3)は、摩耗状況をテストするために、遠心ポンプインペラー(2)の摩耗しやすい位置に貼り合わせて固定され、
前記衝撃速度調整装置(12)は、電磁流量計(9)、圧力計(10)、周波数変換器(11)及び水出口ゲートバルブ(8)を含み、周波数変換器(11)及び水出口ゲートバルブ(8)によって循環水ポンプ(6)の流量及び揚程を調整して衝撃速度を制御し、前記電磁流量計(9)は、循環水ポンプ(6)とジェットパイプ(5)との間に設けられ、前記圧力計(10)は、循環水ポンプ(6)の給水管及び出水管に設けられ、
前記温度制御装置(20)は、冷却水タンク(16)、平板溢流堰(17)、給水管路(18)及び排水管路(19)を含み、冷却水タンク(16)には、平板溢流堰(17)及び循環水タンク(1)が設けられることを特徴とする、遠心ポンプインペラーの土砂摩耗実験装置。
【請求項2】
前記循環水タンク(1)の底部は逆円錐構造であり、循環水ポンプ(6)の給水端に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パッチ装置(3)は、押さえ板(24)、固定ボルト(25)及びパッチ(26)を含み、パッチ(26)は、押さえ板(24)及び固定ボルト(25)によって摩耗しやすい位置に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ジェットパイプ(5)の出口端は矩形開口であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記衝撃角度調整装置(15)は、固定軸(13)及び調整固定装置(14)を含み、前記遠心ポンプインペラー(2)は、固定軸(13)に取り付けられ、さらに調整固定装置(14)によって循環水タンク(1)の内壁に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記調整固定装置(14)は、固定支持台(29)、固定支持板(30)、固定指針(31)、左右調整ロッド(32)、上下調整ロッド(33)、固定軸回転ロッド(34)、目盛板(35)、固定軸固定ロッド(36)及び可動ボックス(37)を含み、
前記固定支持台(29)は、循環水タンク(1)の内壁に固定され、固定支持板(30)は、固定支持台(29)の左右両端に固定され、左右調整ロッド(32)は、固定支持板(30)を挿通するようにそれに螺接され且つ可動ボックス(37)の両端を挟持して固定し、固定指針(31)は、7字状の構造であり、固定支持台(29)に設けられ、固定指針(31)の横方向針棒がジェットパイプ(5)の中心と同一高さであり、上下調整ロッド(33)は、可動ボックス(37)の上下層を貫通するようにそれに螺接され、固定支持台(29)に接続されずに接触し、
前記可動ボックス(37)内に固定軸(13)及び固定軸回転ロッド(34)が横方向に設けられ、前記固定軸(13)は、可動ボックス(37)及び目盛板(35)を貫通するとともに、目盛板(35)に固定して接続され、固定軸(13)と固定軸回転ロッド(34)は歯車により噛み合い伝動され、固定軸(13)に固定軸固定ロッド(36)が設けられ、
前記目盛板(35)は、円板であり、衝撃角度目盛が設けられ、前記目盛板(35)は固定軸(13)と同期して回転することを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記平板溢流堰(17)は、冷却水タンク(16)を冷却溝(38)とオーバーフロー溝(39)に分け隔て、平板溢流堰(17)の頂部は、冷却水タンク(16)の頂部よりも低く、循環水タンクは、冷却溝(38)内に設けられ、冷却水タンク(16)には、2つの給水口付きの給水管路(18)及び3つの出水口付きの排水管路(19)が設けられ、給水口は、冷却水タンク(16)の冷却溝(38)の下部に設けられ、前記排水管路(19)は、第1オーバーフロー溝排水管路(42)、第2オーバーフロー溝排水管路(43)及び冷却溝排水管路(44)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
(1)実験装置を洗浄するステップと、
(2)衝撃角度及び距離を調整し、衝撃角度調整装置(15)によってパッチ装置(3)を被検角度及び距離に位置させるステップと、
(3)衝撃速度を調整し、周波数変換器(11)及び水出口ゲートバルブ(8)を調整することにより、電磁流量計(9)及び圧力計(10)を、実験の目標衝撃値にするステップと、
(4)温度制御装置(20)をオンにし、循環水タンクの温度を制御するステップと、
(5)ミキサー(4)をオンにし、土砂の濃度が目標濃度になるように実験用土砂を添加するステップと、
(6)実験プロセスを記録し、電磁流量計(9)、圧力計(10)の示度及び循環水ポンプ(6)の回転数を間欠的に記録し、各値が実験中に変化しないように保証するステップと、
(7)実験終了後、実験装置をオフにするステップと、
(8)パッチ(26)を取り外し、パッチ(26)を洗浄、乾燥及び冷却した後、パッチ(26)を称量してそのマイクロ形態を観察するステップと、
(9)パッチ(26)を再度取り付けて実験を行い、パッチ(26)を同一位置に再度固定し、累計時間の摩耗実験を完了するまで、引き続き次の同じ時間の実験を行うステップと、を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置を使用して土砂摩耗実験を行う方法。
【請求項9】
前記ステップ(8)において、洗浄は超音波洗浄であり、温度は60~65℃であり、洗浄時間は10~15分間であり、その後、オーブンに入れて乾燥し、温度を65~70℃、乾燥時間を2~2.5時間に設定することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(8)において、前記マイクロ形態は、電界放出走査電子顕微鏡によって観察されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【外国語明細書】